(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケーブル状信号伝送媒体の端末部分が連結される絶縁ハウジングと、その絶縁ハウジングの外表面の一部を覆うように装着された略中空円筒状部材からなる外部導体シェルと、前記絶縁ハウジングの内方領域に取り付けられた内部導体コンタクトと、を備え、
前記ケ一ブル状信号伝送媒体が、前記内部導体コンタクトに接続されるケーブル中心導体と、当該ケーブル中心導体の外周側にケーブル誘電体を介して配置されたケーブルシールド導体とを有する同軸ケーブルから形成され、当該同軸ケーブルの端末部分において前記ケーブル誘電体から露出状態になされた前記ケーブル中心導体が前記内部導体コンタクトに電気的に接続される一方、
前記外部導体シェルの円筒開口部には、当該外部導体シェルの円筒開口部を開放・閉塞するシェル蓋部が開閉可能に連結されているとともに、
前記絶縁ハウジングには、前記シェル蓋部と一体的に開閉される絶縁押圧板が前記シェル蓋部の蓋内面に沿って延在するように設けられたものであって、
前記シェル蓋部が、前記外部導体シェルの円筒開口部を覆うように閉塞されることで、当該シェル蓋部の蓋内面における所定の領域が前記絶縁押圧板に対向するように配置される構成になされた同軸型電気コネクタにおいて、
前記シェル蓋部の蓋内面と前記絶縁押圧板とが対向する領域には、当該シェル蓋部の蓋内面を前記絶縁押圧板から離間させるように前記シェル蓋部の厚さを薄くして形成された凹溝からなる空隙部が、前記ケ一ブル状信号伝送媒体のケーブル中心導体及びケーブル誘電体に沿って延在するように設けられ、
前記空隙部を形成している凹溝が、前記ケーブル中心導体との電気的接続領域に対向配置される第1凹溝状部と、前記ケーブル誘電体に対向配置される第2凹溝状部と、からなるものであって、
前記第1凹溝状部の溝幅が、前記絶縁押圧板の板幅より小さい細幅に形成されていることにより、前記第1凹溝状部の周囲には、当該第1凹溝状部の内部に前記絶縁押圧板が落ち込むことを規制する落込抑止部が設けられ、かつ
前記第2凹溝状部の溝幅が、前記ケーブル誘電体の外径より大きい太幅に形成されていることを特徴とする同軸型電気コネクタ。
前記内部導体コンタクトは、前記ケ一ブル状信号伝送媒体のケーブル中心導体が載置されるケーブル載置部と、当該ケーブル載置部との連結部から延出して前記絶縁押圧板に押し付けられる舌片状部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の同軸型電気コネクタ。
前記凹溝からなる空隙部は、前記内部導体コンタクトにおけるケーブル載置部と舌片状部との連結部分から、前記ケーブル状信号伝送媒体における誘電体の露出部分まで、前記ケ一ブル状信号伝送媒体に沿って延在するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の同軸型電気コネクタ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる同軸ケーブルが連結された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)単体を正面側から表した外観斜視説明図である。
【
図2】
図1に示されたプラグコネクタ単体を側面側から表した外観斜視説明図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されたプラグコネクタ単体の底面説明図である。
【
図4】
図2中の IV−IV 線に沿った横断面説明図である。
【
図5】
図2中の V−V 線に沿った横断面説明図である。
【
図6】
図4中の VI−VI 線に沿った縦断面説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に連結される信号伝送媒体としての細線同軸ケーブルの単体を表した外観斜視説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の初期開放状態(ケーブル非連結状態)を表した外観斜視説明図である。
【
図9】
図8に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の正面説明図である。
【
図10】
図8に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の側面説明図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した外観斜視説明図である。
【
図12】
図11に示されたシールドシェル単体の正面説明図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した外観斜視説明図である。
【
図14】
図13に示されたシールドシェル単体の正面説明図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した正面説明図である。
【
図16】
図15に示されたシールドシェル単体の外観斜視説明図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した正面説明図である。
【
図18】
図17に示されたシールドシェル単体の外観斜視説明図である。
【
図19】本発明の第5の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した正面説明図である。
【
図20】
図19に示されたシールドシェル単体の外観斜視説明図である。
【
図21】本発明の第6の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した正面説明図である。
【
図22】
図21に示されたシールドシェル単体の外観斜視説明図である。
【
図23】本発明の第7の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているシールドシェル単体の初期開放状態を表した正面説明図である。
【
図24】
図23に示されたシールドシェル単体の外観斜視説明図である。
【
図25】本発明の第8の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)における
図4相当の横断面説明図である。
【
図26】本発明の第8の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)における
図6相当の縦断面説明図である。
【
図27】本発明の第8の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の初期開放状態(ケーブル非連結状態)を表した外観斜視説明図である。
【
図28】本発明の第8の実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられている絶縁ハウジングの初期開放状態(ケーブル非連結状態)を表した外観斜視説明図である。
【
図29】
図28に示されている同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられている絶縁ハウジングの閉塞状態(ケーブル連結状態)を表した外観斜視説明図である。
【
図30】本発明の第9実施形態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の構造を表した
図4相当の横断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、信号伝送媒体として細線同軸ケーブルを使用する同軸型電気コネクタに本発明を適用した実施形態についての説明を図面に基づいて詳細に行う。
【0021】
[同軸型電気コネクタの全体構造について]
まず、
図1〜
図6に示されている本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタとしてのプラグコネクタ10は、ケーブル状信号伝送媒体としての細線同軸ケーブルSCの端末部分が連結される構成になされており、図示を省略した所定の印刷配線基板上に実装されたリセプタクルコネクタなどからなる相手側の電気コネクタ(図示省略)に対して、上方から差し込むようにして嵌合又は抜去される構成になされている。その相手側の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ等)に対するプラグコネクタ10の嵌合・抜去作業は、印刷配線基板の平面に対して略直交する方向に行われる。
【0022】
より具体的には、プラグコネクタ10における主たる嵌合部分を構成しているコネクタ本体部は、概略形状において円筒形状をなすように形成されており、その略円筒形状をなすプラグコネクタ10のコネクタ本体部に対して、径方向外方側の一方向から細線同軸ケーブルSCの端末部が連結され、その細線同軸ケーブルSCが連結された状態で、相手側の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ等)の上方位置に対面するようにプラグコネクタ10が配置される。そして、当該プラグコネクタ10の全体が、印刷配線基板の外表面に対して略直交する方向に下降されていくことによってプラグコネクタ10の下端部分が、相手側の電気コネクタの上端部分に対して嵌合状態になされる。このように相手側の電気コネクタに対してプラグコネクタ10が上方から差し込まれた嵌合状態になされることによって、細線同軸ケーブルSCの端末部がプラグコネクタ10及び相手側の電気コネクタを介して印刷配線基板上の配線パターン導電路に接続されることとなる。
【0023】
ここにおいて、相手側の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ等)に対してプラグコネクタ10を差し込む方向を「下方向」とし、それとは反対に抜き出す抜去方向を「上方向」とする。また、プラグコネクタ10自体において、細線同軸ケーブルSCの端末部が接続される方の端縁部分を「正面側端縁部分」とするとともに、それとは反対側の端縁部分を「背面側端縁部分」とし、さらにその「背面側端縁部分」から「正面側端縁部分」に向かう方向を「コネクタ前方向」、その逆方向を「コネクタ後方向」とする。また、それらの「コネクタ上下方向」及び「コネクタ前後方向」の双方に直交する方向を「コネクタ左右方向」とする。
【0024】
[同軸ケーブルについて]
特に
図7に示されているように、ケーブル状信号伝送媒体としての細線同軸ケーブルSCは、複数の導線で形成されたケーブル中心導体(信号線)SCa及びケーブルシールド導体(シールド線)SCbが、ケーブル誘電体SCcを介して同軸状に積層された構成になされており、そのうちのケーブルシールド導体(シールド線)SCbは、外周被覆材SCdが皮剥きされることによって露出状態になされているとともに、ケーブル中心導体(信号線)SCaは、さらにケーブルシールド導体(シールド線)SCb及びケーブル誘電体SCcが皮剥きされることによって露出状態になされている。
【0025】
そして、当該細線同軸ケーブルSCの中心軸に沿うようにして配置されたケーブル中心導体SCaが、絶縁ハウジング11に取り付けられた内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12に接続されることによって信号回路が構成される。また、ケーブル中心導体SCaの外周側を取り囲むように配置されたケーブルシールド導体SCbはシールドシェル13に接続され、そのシールドシェル13が、接地用のグランド導電コンタクトとして機能することでグランド回路が構成されるようになっている。
【0026】
[絶縁ハウジングについて]
ここで、上述した絶縁ハウジング11は、主たる嵌合部分であるコネクタ本体部を構成する略円板形状の絶縁本体部11aを有しているとともに、その絶縁本体部11aの下方側部分に、嵌合相手である電気コネクタ(リセプタクルコネクタ等)の内方側に挿入される絶縁挿入部11bを一体的に有している。そのうちの絶縁本体部11aの略中央部分には、上述した細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置されるようにしてセットされるが、その細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaを載置する内部導電コンタクト(シグナル導電コンタクト)12が、絶縁本体部11aの上表面の略中央部分において凹状に形成された部位に取り付けられている。
【0027】
また、上述した内部導電コンタクト12の周囲を外方側から取り囲むようにして、グランドコンタクトとしてのシールドシェル13が、上述した絶縁本体部11aに取り付けられている。さらに、絶縁本体部11aの正面側端縁部分には、正面視において略半円形状をなす凹溝からなるケーブル支持部11c(
図5参照)が形成されており、そのケーブル支持部11cの内方側の壁面に、上述した細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置されて受けられるようになっている。
【0028】
さらに、上述した絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aには、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaを上方側から覆うようにして舌片状部材からなる絶縁押圧板11dが一体的に設けられている。この絶縁押圧板11dは、絶縁本体部11aのコネクタ後端側の端縁から片持ち状をなして細線同軸ケーブルSCに沿うように突出する細長の板状部材から形成されているが、特に
図8に示されているような細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置される前の初期状態においては、絶縁押圧板11dが上方に立ち上げられて開放状態になされている。そして、細線同軸ケーブルSCの端末部分が絶縁ハウジング11にセットされた後に、後述するシェル蓋部13bとともに下方に折り曲げられて細線同軸ケーブルSCの上方側に沿って配置されるようになっている。
【0029】
このような主たる嵌合部分を構成している絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aに対して絶縁挿入部11bは、上述したように絶縁本体部11aから下方に向かって一体的に突出する構成になされているが、当該絶縁挿入部11bは、略中空円筒状をなすように形成されている。この絶縁挿入部11bは、上述したように嵌合相手である相手側電気コネクタ(リセプタクルコネクタ等)の内方に向かって下端側から挿入される構成になされている。
【0030】
[シールドシェルについて]
さらに、
図4及び
図8に示されているように、上述した絶縁本体部11a及び絶縁挿入部11bを有する絶縁ハウジング11の外側表面は、薄板金属状部材からなるシールドシェル13の主たる嵌合部分を構成している外部導体シェル13aによって覆われている。この外部導体シェル13aは、主として絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aを径方向外方側から環状に覆うように形成された略中空円筒形状になされている。また、この外部導体シェル13aの下方側部分は、上述した絶縁挿入部11bを径方向外方側から環状に覆うシェル挿入部13a1になされているとともに、当該外部導体シェル13aの上端側の円筒開口部分には、上述した絶縁本体部11aの上面側を覆うシェル蓋部13bが開閉可能に連結されている。
【0031】
このとき、細線同軸ケーブルSCの端末部分を接続して固定する前の初期状態におけるシールドシェル13は、特に
図8〜
図12に示されているように、上述した外部導体シェル13aに対してシェル蓋部13bが上方側へ開放された状態になされている。すなわち、当該初期状態におけるシェル蓋部13bは、外部導体シェル13aの後方側端縁部分に、細幅の板状部材からなる繋ぎ部材13b1を介して略鉛直上方に立ち上がるように配置されている。また、そのシェル蓋部13bの蓋内面、すなわち当該シェル蓋部13bが閉塞された際に内方側に位置する面には、絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aから上方に立ち上がる舌片状部材からなる絶縁押圧板11dが、シェル蓋部13bの蓋内面に沿うように配置されている。なお、繋ぎ部材13b1の設置位置及び設置個数は任意に選定することが可能である。
【0032】
そして、上述したようなシールドシェル13の開放状態(初期状態)において、細線同軸ケーブルSCの端末部分が、絶縁ハウジング11のケーブル支持部11cに受けられるように載置されてセットされた後、繋ぎ部材13b1が絶縁押圧板11dとともに下方側に向かって略直角に折り曲げられるようにしてシールドシェル13のシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒されると、それによって絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aの全体が、シェル蓋部13bにより上方側から覆われ、シールドシェル13が閉塞状態になされる。
【0033】
このときのシェル蓋部13bは、上述したように略水平状態まで押し倒されて閉塞された際に、外部導体シェル13aの上端側の円筒開口部分を覆うように被せられる構造になされているが、その略水平状態まで押し倒されたシェル蓋部13bの正面側部分には、細線同軸ケーブルSCの特にケーブル誘電体SCc及びケーブルシールド導体(シールド線)SCbを上方側から覆う前方カバー部13b2が一体的に連設されている。この前方カバー部13b2は、細線同軸ケーブルSCとともに、上述した外部導体シェル13aから前方側に突出する一対のケ一ブル保護アーム13a2,13a2を外方側から覆う構成になされている。
【0034】
このときのケ一ブル保護アーム13a2,13a2は、細線同軸ケーブルSCを挟んだ左右方向の両側に沿って延在する構成になされており、前述した外部導体シェル13aの正面側端縁部分から細線同軸ケーブルSCの端末部分に沿って一対のものが互いに略平行に対向するようにして前方側に突出するように設けられている。
【0035】
また、上述したようにシェル蓋部13bの正面側から突出するように設けられた前方カバー部13b2の両側縁部には、一対の舌片状部材からなる第1固定保持板13b3、第2固定保持板13b4及び第3固定保持板13b5が、フランジ板状をなすように設けられている。そのうちの第1固定保持板13b3は、細線同軸ケーブルSC及びケ一ブル保護アーム13a2,13a2を外方側から覆うように折り曲げられてカシメ固定される構成になされている。
【0036】
すなわち、これら一対の第1固定保持板13b3,13b3を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、ケ一ブル保護アーム13a2,13a2の両側外方に位置するように配置され、その状態からカシメを行うようにケ一ブル保護アーム13a2,13a2の両側外壁面に沿ってコネクタ内方側に折り曲げられ、それによって外部導体シェル13aに対するシェル蓋部13bの固定が行われるとともに、細線同軸ケーブルSCの特にケーブル誘電体SCcがシェル蓋部13bに固定されるようになっている。
【0037】
さらに、第2固定保持板13b4及び第3固定保持板13b5は、上述した第1固定保持板13b3の前方側に隣接して並列するように設けられており、比較的小型のフランジ板から形成されている。これらの第2固定保持板13b4及び第3固定保持板13b5は、細線同軸ケーブルSCにおけるケーブルシールド導体(シールド線)SCb及び外周被覆材SCdを外方側から覆うように折り曲げられてカシメ固定される構成になされている。
【0038】
すなわち、それらの第2固定保持板13b4及び第3固定保持板13b5を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、細線同軸ケーブルSCにおけるケーブルシールド導体(シールド線)SCb及び外周被覆材SCdの両側外方に位置するように配置され、その状態からカシメを行うようにコネクタ内方側に折り曲げられる。それによって、細線同軸ケーブルSCのケーブルシールド導体(シールド線)SCb及び外周被覆材SCdに対するシェル蓋部13bの固定が行われるとともに、ケーブルシールド導体SCbが、第2固定保持板13b4に接触することで、シールドシェル13によるグランド回路が構成されるようになっている。
【0039】
一方、前述したようにシールドシェル13の下方側部分を構成しているシェル挿入部13a1は、嵌合相手である相手コネクタ(リセプタクルコネクタ等)の径方向外方側部分に外嵌される構成になされており、前述した相手コネクタの径方向内方側に挿入される絶縁ハウジング11の絶縁挿入部11bとともにコネクタ連結部分を構成している。より具体的には、このシェル挿入部13a1は、略円筒形状を有するように形成されており、当該シェル挿入部13a1の挿入側の下端部分に、径方向内方側に向かって突出する環状凹溝からなる連結係合部が形成されている。そして、前述したようにシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された後に、当該連結係合部が、嵌合相手である相手コネクタに設けられた連結係止部(図示省略)に対して弾性的な嵌合関係になされるようになっている。
【0040】
[シグナル導電コンタクトについて]
また、本実施形態において採用されている内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12は、前述した絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aに圧入又はインサート成形等により取り付けられているが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに接続される一対の上下ビーム部12a,12bからなるケーブル挟持部を有しているとともに、そのケーブル挟持部における下側ビーム部12bから下方側に向かって延出するように設けられた弾性バネ部12cが、嵌合の相手コネクタ(リセプタクルコネクタ等)に設けられた導電コンタクト(図示省略)に対して弾性的に接触する構成になされている。
【0041】
このケーブル挟持部を構成している上側ビーム部12a及び下側ビーム部12bは、一連に延在する帯板状部材から形成されており、側面視において略C字形状又は略L字形状をなすように折り曲げ形成されたクリップビーム構造を有している。そして、後述するように下側ビーム部12bに上側ビーム部12aを近付ける方向に両者の連結部分を折り曲げ変形させることで、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaを、両ビーム部12a,12b同士の間に上下からクリップ状に挟む構造になされている。
【0042】
このとき、ケーブル挟持部の上側ビーム部12aは、上述した細線同軸ケーブルSCの端末部分を連結する前の段階である初期状態において、特に
図8に示されているように斜め上方に立ち上げられた舌片状部材から形成されており、当該舌片状部としての上側ビーム部12aが上方開放状態になされていることによって、下側ビーム部12bから上方に離間した状態になされている。
【0043】
一方、ケーブル挟持部の下側ビーム部12bは、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが載置されるケーブル載置部として形成されたものであって、上側ビーム部12aとの連結部分からコネクタ前方側に向かって略水平に延出している。そして、前述したように絶縁ハウジング11のケーブル支持部11cに細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置された際に、当該細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが、ケーブル挟持部の下側ビーム部12bの表面に上方側から載置される。
【0044】
このようにして細線同軸ケーブルSCの端末部分が、絶縁ハウジング11のケーブル支持部11cに載置されてセット状態になされた後に、シールドシェル13のシェル蓋部13bが、前述した絶縁押圧板11dとともに略水平状態まで押し倒されることとなるが、その際には、絶縁押圧板11dにより下方側に押されたケーブル挟持部の上側ビーム部12aが、略水平状態となるまで押し倒されるように屈曲変形され、当該上側ビーム部12aが、特に
図6に示されているように、ケーブル中心導体(信号線)SCaを上方側から押圧する構成になされている。
【0045】
ここで、上述したケーブル挟持部を構成する上側ビーム部12aにおける延在方向の途中位置は、ケーブル中心導体(信号線)SCaを上方側から押圧する上方電極部に形成されている。このシグナル導電コンタクト12の上側ビーム部12aに設けられた上方電極部は、細線同軸ケーブルSCを挟持する下方向に突出する屈曲形状に形成されており、その下方側屈曲形状部分が、細線同軸ケーブルSC側に向かって突出する突状接点部になされている。この突状接点部は、前述したようにシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、下側ビーム部12b上にセットされている細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対して上方側から圧接する構成になされており、両ビーム部上側ビーム部12a,12b同士の間にケーブル中心導体(信号線)SCaが圧接された状態で挟持されるとともに、電気的な接続が行われる構成になされている。
【0046】
また、上述した導電コンタクト12のケーブル載置部として設けられた下側ビーム部12bは、舌片状部をなす上側ビーム部12aとの連結部分から平坦状をなして前方に延出する板状部材から形成されており、前述した絶縁ハウジング11における絶縁本体部11aの上表面に載置された状態で固定されている。この下側ビーム部12bの略中央部分には、丸穴形状をなす接続監視穴12b1が貫通形成されているが、当該接続監視穴12b1とほぼ同軸状をなすようにして、相手側コネクタのコンタクト挿入孔が絶縁ハウジング11に貫通形成されている。その相手側コネクタのコンタクト挿入孔は、接続監視穴としての機能を兼ねており、上述した接続監視穴12b1を通して、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaの配置状態が下方側から目視可能となっている。
【0047】
また、前述したようにケーブル挟持部の下側ビーム部12bは、コネクタ前後方向に延在する帯板状部材から形成されているが、当該下側ビーム部12bの板幅方向(左右方向)における両側端縁部からは、下方側に向かって一対の弾性バネ部12c,12cが所定の間隔をなして一体的に延出しており、それらの両弾性バネ部12c,12c同士の間部分に、嵌合の相手コネクタ(リセプタクルコネクタ等)に設けられたピン形状の信号導電コンタクト(図示省略)が、圧接状態で挿入されて電気的に接続される構成になされている。
【0048】
ここで、前述したように初期状態に上方開放状態となっているシールドシェル13のシェル蓋部13bが、下方側に向かって押し倒される際には、同じく初期状態に上方開放状態となっている絶縁ハウジング11の絶縁押圧板11dが、シェル蓋部13bの蓋内面における所定の領域に対して下方側から対向して圧接状態となり、その後にシェル蓋部13bとともに略水平状態まで押し倒されていく。そして、これらのシェル蓋部13b及び絶縁押圧板11dが、内部導電コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の上側ビーム部12aを介して、ケーブル中心導体(信号線)SCaの上方側に積層状に配置される。このとき、シェル蓋部13bの蓋内面と絶縁押圧板11dとが圧接する対向領域には、細長の凹溝形状をなす空隙部14が、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに沿ってコネクタ前後方向に延在するように設けられている。
【0049】
本実施形態における空隙部14は、シェル蓋部13bの内面の一部を窪ませた凹溝状部の内壁面により形成されているが、その空隙部14を構成する凹溝状部は、プレス加工等によって形成されており、当該空隙部14を構成する凹溝状部の溝深さ分だけシェル蓋部13bの板厚さが薄肉化されることにより設けられている。なお、この空隙部14を構成する凹溝状部は、シェル蓋部13bの蓋内面又は絶縁押圧板11dの少なくとも一方を他方から離間させて設けられるものであって、後述する第8の実施形態のように、空隙部を構成する凹溝状部を絶縁押圧板11dに設けても良いし、双方の部材に空隙部を構成する凹溝状部を設けることも可能である。
【0050】
上述したように空隙部14を構成している凹溝状部は、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに沿って延在しているが、当該空隙部14を構成している凹溝状部の長手方向における延在範囲は、内部導電コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の後端部である下側ビーム部(ケーブル載置部)12bと上側ビーム12aとの連結部分から、ケーブル状信号伝送媒体SCの誘電体SCcが露出している部位の上方位置に至るまでの範囲に設定されている。
【0051】
より具体的には、特に
図9〜
図12に示されているように、本実施形態における空隙部14を構成している凹溝状部は、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが電気的に接続される領域(以下、「電気的接続領域」という。)の上方に位置する細幅の第1凹溝状部14aと、細線同軸ケーブルSCの誘電体SCcの上方に位置する太幅の第2凹溝状部14bとを、直線状に連続するように備えたものであって、特に
図4に示されているように、電気的接続領域に配置された第1凹溝状部14aが有している溝幅W1aは、前述した絶縁押圧板11dが電気的接続領域において有する板幅W2より小さくなるように形成されている(W1a<W2)。
【0052】
ここで、空隙部14の溝幅方向両側に対応した領域は、シェル蓋部13bの蓋内面になされているが、上述した電気的接続領域に配置された第1凹溝状部14aの両側に位置するシェル蓋部13bの蓋内面は、絶縁押圧板11dの上側表面に対して上方側から当接する落込抑止部13b6になされている。すなわち、この落込抑止部13b6は、絶縁押圧板11dの上側表面に当接することによって当該絶縁押圧板11dの上方に積層される関係になされていることから、空隙部14の電気的接続領域に配置された第1凹溝状部14aの内部に絶縁押圧板11dが入り込むことはなく、電気的接続領域に空隙部14が確実に形成されるようになっている。
【0053】
一方、太幅の第2凹溝状部14bの溝幅W1bは、特に
図9に示されているように絶縁押圧板11dの板幅W2より大きくなされているが(W1b>W2)、本実施形態における絶縁押圧板11dは、延出長さの方向において第1凹溝状部14aの途中位置までしか延在しておらず、太幅の第2凹溝状部14bに対向することはない構成になされている。従って、シールドシェル13のシェル蓋部13bが押し倒された閉塞状態においても、太幅の第2凹溝状部14bの内部に絶縁押圧板11dが入り込むことはなく、当該絶縁押圧板11dは、全長にわたってシェル蓋部13bの内面に圧接した積層状態に保持される。そして、その絶縁押圧板11dの上方に、シェル蓋部13bが積層された状態に維持されるとともに、当該絶縁押圧板11dの直上位置に空隙部14が配置されるようになっている。
【0054】
また、電気的接続領域からやや離れた空隙部14の他の領域を形成している太幅の第2凹溝状部14bは、上述したように細線同軸ケーブルSCにおける誘電体SCcの露出部分に対応した位置に配置されているが、当該太幅の第2凹溝状部14bが有している溝幅W1bは、細線同軸ケーブルSCの誘電体SCcが有している外径D2(
図6参照)よりやや大きくなるように形成されている(W1b>D2)。従って、細線同軸ケーブルSCの誘電体SCcは、空隙部14の太幅の第2凹溝状部14bの内部に収容され、それによってコネクタの低背化が図られている。
【0055】
また、前述したように第2凹溝状部14bが有している溝幅W1bは、絶縁押圧板11dの板幅W2より大きく設定されているとともに(W1b>W2)、電気的接続領域における内部導体コンタクト12の板幅W3より大きく設定されている(W1b>W3)。
【0056】
さらに、上述したように空隙部14を構成している細幅の第1凹溝状部14aの溝幅W1aは、ケ一ブル状信号伝送媒体SCのケーブル中心導体(信号線)SCa、すなわち内部導電コンタクト(シグナル導電コンタクト)12が接触する部分の線径D1(
図6参照)と同一又はそれ以上となるように設定されている(W1a≧D1)。さらにまた、空隙部14を構成している細幅の第1凹溝状部14aの溝幅W1aは、内部導電コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の上側ビーム部12aが有する板幅W3(
図4参照)より小さく設定されている(W1a<W3)。
【0057】
このような構成を有する本実施形態によれば、シェル蓋部13bの蓋内面と絶縁押圧板11dとの対向領域に空隙部14が設けられていることから、その分だけ誘電率が低下して静電容量が小さくなり、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに関する特性インピーダンスが、空隙部14により調整されることとなる。従って、伝送信号に対する特性インピーダンスのマッチング度合い(VSWR)が、容易かつ適切に整合されることとなって高周波信号の伝送が良好に行われる。
【0058】
特に、本実施形態における空隙部14は、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに沿って延在する凹溝により形成されていることから、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに対する特性インピーダンスの調整がより確実に行われるとともに、そのような空隙部14が、容易かつ確実に形成される。
【0059】
さらに、本実施形態の空隙部14には、当該空隙部14の内部に絶縁押圧板11dが落ち込むことを規制する落込抑止部13b6が設けられていることから、シェル蓋部13bの蓋内面と絶縁押圧板11dとが良好な離間状態に維持されることとなり、空隙部14が確実に形成されるようになっている。
【0060】
さらにまた本実施形態においては、空隙部14における電気的接続領域を構成している細幅の第1凹溝状部14aの溝幅W1aが、絶縁押圧板11dの板幅W2より小さく設定されていることから(W1a<W2)、空隙部14の内部に絶縁押圧板11dが入り込むことが規制されて空隙部14が良好に確保されるとともに、空隙部14における他の領域を構成している太幅の第2凹溝状部14bが有する溝幅W1bが、絶縁押圧板11dの板幅W2より大きく設定されていることから(W1b>W2)、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに対する特性インピーダンスの調整がより良好に行われるようになっている。
【0061】
加えて、本実施形態における空隙部14構成する第1及び第2の溝部14a,14bは、シェル蓋部13bの板厚を薄くするようにして形成されていることから、空隙部14の形成によってシェル蓋部13b1の厚さが拡大することがなく、空隙部14がコネクタの低背化の支障となることがない。
【0062】
一方、上述した第1の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図13及び
図14にかかる第2の実施形態においては、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaの上方に位置する空隙部14を構成する凹溝状部14cの形状が異ならされている。
【0063】
すなわち、本実施形態における凹溝状部14cも、シェル蓋部13bの蓋内面に設けられているが、前述したように実施形態よりも短長に形成されており、細線同軸ケーブルSCの誘電体SCcの上方に位置する部位はシェル蓋部13bの内面により構成されている。
【0064】
このときの空隙部14を構成する凹溝状部14cは、絶縁押圧板11dの先端部分よりやや大きな溝幅を有しているが、絶縁押圧板11dの根本側である後端部分が凹溝状部14cの溝幅より大きな板幅になされていることから、空隙部14を構成する凹溝状部14cに対して絶縁押圧板11dが内部に入り込むことはなく、空隙部14が凹溝状部14cによって形成されるようになっている。
【0065】
また、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図15及び
図16にかかる第3の実施形態においては、シェル蓋部13b1の蓋内面に、第2実施形態と同様な凹溝状部14cが形成されているが、本実施形態における凹溝状部14cには、溝幅方向に向かって略平行に延在する一対の落込抑止部14d,14dが設けられている。これらの各落込抑止部14dは、シェル蓋部13bの蓋内面から連続する同一高さ面をなすようにから形成されており、それらの落込抑止部14d,14dが絶縁押圧板11dの表面に当接することによって、絶縁押圧板11dが凹溝状部14cの内部に入り込むことが確実に防止され、空隙部14が凹溝状部14cによって確実に形成されるようになっている。
【0066】
さらに、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図17及び
図18にかかる第4の実施形態においては、シェル蓋部13b1の内面に、第1実施形態における第1凹溝状部14aと同様な細幅を有する凹溝状部14eが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaの上方に位置する空隙部14を構成するように形成されている。また、細線同軸ケーブルSCの誘電体SCcの上方に位置する部位は、シェル蓋部13bの蓋内面により構成されている。
【0067】
さらにまた、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図19及び
図20にかかる第5の実施形態においては、シェル蓋部13b1の蓋内面に、第4実施形態と同様な細幅を有する凹溝状部14fが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaの上方に位置する空隙部14を構成するように形成されているが、本実施形態における凹溝状部14fは、長手方向の中央部分において溝幅が拡張されている。この溝幅拡張部分は、絶縁押圧板11dよりやや大きな溝幅を有しているが、その他の部分における溝幅が絶縁押圧板11dの板幅より小さく形成されていることから、空隙部14を構成する凹溝状部14fに対して絶縁押圧板11dが内部に入り込むことはなく、空隙部14が凹溝状部14fによって形成されるようになっている。
【0068】
一方、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図21及び
図22にかかる第6の実施形態においては、シェル蓋部13b1の蓋内面に、コネクタ左右方向に延在する一対の凹溝状部14g,14gが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaの上方に位置する空隙部14を構成するように形成されている。本実施形態における各凹溝状部14gは、絶縁押圧板11dよりやや大きな溝幅を有しているが、絶縁押圧板11dにおける大部分の表面が、シェル蓋部13b1の蓋内面により受けられる構成になされていることから、空隙部14の凹溝状部14gに対して絶縁押圧板11dが内部に入り込むことはなく、空隙部14が凹溝状部14gによって形成されるようになっている。
【0069】
さらに、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図23及び
図24にかかる第7の実施形態においては、シェル蓋部13b1の蓋内面に、第3実施形態と同様な凹溝状部14cが設けられているとともに、その凹溝状部14cの内方領域に溝幅方向に延在する一体の落込抑止部14hが設けられている。この落込抑止部14hも、シェル蓋部13bの蓋内面から連続する面を有するように形成されており、当該落込抑止部14hに絶縁押圧板11dの表面が受けられることによって、絶縁押圧板11dが凹溝状部14cの内部に入り込むことが確実に防止され、空隙部14が凹溝状部14cによって確実に形成されるようになっている。
【0070】
上述した各実施形態によれば、凹溝からなる空隙部14の周囲における一部の領域に落込抑止部を形成することによって、絶縁押圧板11dが凹溝状部14cの内部に入り込むことが確実に防止され、かつ空隙部の形状については、コネクタの品種によって、それぞれに適した特性インピーダンス値を、容易かつ適正に整合することができる。
【0071】
さらにまた、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図25〜
図29にかかる第8の実施形態は、空隙部15を構成している凹溝状部15aが絶縁押圧板11dに設けられたものである。当該凹溝状部15aは、内部導体コンタクト12におけるケーブル載置部12bと舌片状部12aとの連結部分から、ケーブル状信号伝送媒体SCにおける誘電体SCcの露出部分まで、ケ一ブル状信号伝送媒体SCに沿って延在するように形成されている。このような実施形態においても、上述した実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0072】
一方、上述した各実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した
図30にかかる第9の実施形態は、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが、導電コンタクト12の下側ビーム部(ケーブル載置部)12bに上方から載置された状態で半田付けされる同軸型電気コネクタに対して本発明を適用したものである。すなわち、本実施形態における導電コンタクト12は、下側ビーム部12bを有するのみであって、上述した実施形態のような上側ビーム部(舌片状部)を備えていない。
【0073】
そして、その導電コンタクト12の下側ビーム部(ケーブル載置部)12bに細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが電気的に接続される電気的接続領域において、空隙部24の溝幅W1aが、導電コンタクト12の下側ビーム部12bの板幅W3より大きくなるように設定されている(W1a>W3)。
【0074】
また、電気的接続領域における空隙部24の溝幅W1aは、絶縁押圧板11dが備えている板幅W2より小さくなるように形成されており(W1a<W2)、空隙部24の溝幅方向の両側に位置するシェル蓋部13bの蓋内面が、絶縁押圧板11dの上側表面と当接する落込抑止部13b6になされている。この落込抑止部13b6は、絶縁押圧板11dの上側表面に当接することによって絶縁押圧板11dと積層関係になされ、空隙部24を構成している凹溝状部の内部に絶縁押圧板11dが入り込むことがないことから、空隙部24が確実に形成されるようになっている。
【0075】
さらに、本実施形態における空隙部24を構成している凹溝状部の溝幅方向の中央部分には、空隙部24の内部に絶縁押圧板11dが落ち込むことを規制する落込抑止部24aが設けられている。本実施形態における落込抑止部24aは、空隙部24を構成している凹溝状部の底面から立ち上がるように形成されたリブ状部材から形成されており、そのリブ状部材からなる落込抑止部24aの頂部が絶縁押圧板11dの表面に当接することで、絶縁押圧板11dの板幅方向の中央部分における変形等が防止されることとなり、空隙部24の内部に絶縁押圧板11dが入り込むことなく空隙部24が確実に形成されるようになっている。
【0076】
このような第9実施形態、あるいは前述した第1の実施形態のような導電コンタクト12における上側ビーム部(舌片状部)の有無に対応して、シェル蓋部の蓋内面の凹溝状部を形成することとすれば、それぞれに適した特性インピーダンス値を容易かつ適正に整合することができる。
【0077】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0078】
例えば、上述した各実施形態においては、空隙部が凹溝状部から形成されているが、空隙部を形成するにあたっては、一対の突起の同士の間を空隙部として構成するなど、他の手段も当然に採用可能である。
【0079】
また、上述した各実施形態においては、凹溝状部からなる空隙部が、シェル蓋部の厚さを薄くすることで形成されているが、シェル蓋部の厚さを薄くせずに、プレス加工等によってシェル蓋部の一部を凸状に湾曲変形させることで形成するようにしても良い。
【0080】
さらに、上述した実施形態は、垂直嵌合型の電気コネクタに本発明を適用したものであるが、水平嵌合型の電気コネクタに対しても同様に適用することができる。
【0081】
また、本発明は、上述した実施形態のような単芯の細線同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、多極状に配置された同軸ケーブル用コネクタや、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタ等についても同様に適用することが可能である。