(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の配線基板が連結された第1の電気コネクタと、第2の配線基板が連結された第2の電気コネクタとを嵌合させることによって、前記第1及び第2の配線基板同士を電気的に接続するものであって、
前記第1及び第2の電気コネクタの各絶縁ハウジングに多極状をなすようにそれぞれ配列されたコンタクト部材同士を弾性的に嵌り合わせるとともにロック部材同士を係合させることで、前記第1及び第2の電気コネクタ同士を嵌合状態に維持する構成になされた基板接続用電気コネクタ装置において、
前記第1及び第2の電気コネクタのいずれか一方のロック部材が、前記絶縁ハウジングの内方側の領域に一体的に形成された軸状部材からなるロックガイド部と、そのロックガイド部に往復移動可能に取り付けられた可動ロック係合部と、を有するとともに、
前記第1及び第2の電気コネクタのいずれか他方のロック部材が、前記絶縁ハウジングに取り付けられた固定ロック係止部を備えたものであって、
前記ロックガイド部を構成している軸状部材は、前記コンタクト部材が多極状をなすように配列された方向に沿って略平行に延在する一対の摺動スリット部の間部分に形成されているとともに、
そのロックガイド部に跨がるようにして前記可動ロック係合部が装着されていることにより、当該可動ロック係合部が、前記ロックガイド部及びその両側の摺動スリット部に沿って前記絶縁ハウジングの内方側の領域で往復移動可能に取り付けられ、
前記第1及び第2の電気コネクタ同士を嵌合した際に前記固定ロック係止部が前記ロックガイド部と前記嵌合の方向に重なり合う配置関係になされ、当該固定ロック係止部が前記ロックガイド部に重なり合った状態から前記可動ロック係合部が前記ロックガイド部に沿って移動することにより、当該可動ロック係合部が前記固定ロック係止部に対して係合又は解除される構成になされているとともに、
前記第1及び第2の電気コネクタの各絶縁ハウジングの少なくとも一方には、前記可動ロック係合部を、前記嵌合の方向の外方に向かって露出状態とするハウジング操作開口部が設けられていることを特徴とする基板接続用電気コネクタ装置。
前記第1及び第2の配線基板の少なくとも一方には、前記可動ロック係合部を、前記嵌合の方向の外方に向かって露出状態とする基板操作開口部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板接続用電気コネクタ装置。
前記可動ロック係合部が、前記嵌合の方向に弾性変位可能となるように前記絶縁ハウジングに一体に形成された位置決め部によって、当該可動ロック係合部の移動範囲が規制されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成で、ロック部材の係合又は解除させるための操作が目視状態で容易に行われ、しかも小型化が可能な基板接続用電気コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明では、第1の配線基板が連結された第1の電気コネクタと、第2の配線基板が連結された第2の電気コネクタとを嵌合させることによって、前記第1及び第2の配線基板同士を電気的に接続するものであって、前記第1及び第2の電気コネクタの各絶縁ハウジングに
多極状をなすようにそれぞれ配列されたコンタクト部材同士を弾性的に嵌り合わせるとともにロック部材同士を係合させることで、前記第1及び第2の電気コネクタ同士を嵌合状態に維持する構成になされた基板接続用電気コネクタ装置において、前記第1及び第2の電気コネクタのいずれか一方のロック部材が、前記絶縁ハウジング
の内方側の領域に
一体的に形成された
軸状部材からなるロックガイド部と、そのロックガイド部に往復移動可能に取り付けられた可動ロック係合部と、を有するとともに、前記第1及び第2の電気コネクタのいずれか他方のロック部材が、前記絶縁ハウジングに取り付けられた固定ロック係止部を
備えたものであって、
前記ロックガイド部を構成している軸状部材は、前記コンタクト部材が多極状をなすように配列された方向に沿って略平行に延在する一対の摺動スリット部の間部分に形成されているとともに、そのロックガイド部に跨がるようにして前記可動ロック係合部が装着されていることにより、当該可動ロック係合部が、前記ロックガイド部及びその両側の摺動スリット部に沿って前記絶縁ハウジングの内方側の領域で往復移動可能に取り付けられ、前記第1及び第2の電気コネクタ同士を嵌合した際に前記固定ロック係止部が前記ロックガイド部と前記嵌合の方向に重なり合う配置関係になされ、当該固定ロック係止部が前記ロックガイド部に重なり合った状態から前記可動ロック係合部が前記ロックガイド部に沿って移動することにより、当該可動ロック係合部が前記固定ロック係止部に対して係合又は解除される構成になされているとともに、前記第1及び第2の電気コネクタの各絶縁ハウジングの少なくとも一方には、前記可動ロック係合部を、前記嵌合の方向の外方に向かって露出状態とするハウジング操作開口部
を設けられた構成が採用されている。
【0007】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、ロック部材の可動ロック係合部を固定ロック係止部に対して係合又は解除させるための操作が、絶縁ハウジングに設けられたハウジング操作開口部を通して目視可能な電気コネクタに対面した状態で行われることから、ロック部材の操作及びその確認が容易かつ確実に行われる。
また、可動ロック係合部を含むロック部材が、電気コネクタの実装領域からはみ出すことがないので、電気コネクタの小型化が確実に図られる。
さらに、ロック部材の可動ロック係合部を固定ロック係止部に係合又は解除させる操作が、スペース的に余裕のある電気コネクタの長手方向に沿って容易に行われる。
【0008】
また、本発明における前記第1及び第2の配線基板の少なくとも一方には、前記可動ロック係合部を、前記嵌合の方向の外方に向かって露出状態とする基板操作開口部が設けられていることが望ましい。
【0009】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、ロック部材の可動ロック係合部を固定ロック係止部に対して係合又は解除させるための操作が、配線基板に設けられた基板操作開口部を通して目視可能な電気コネクタに対面した状態で行われることから、ロック部材の操作及びその確認が容易かつ確実に行われる。
【0012】
また、本発明においては、前記第1及び第2の電気コネクタが、多極配列された複数のコンタクト部材からなる一対の電極列を備えたものであって、前記一対の電極列の間に前記可動ロック係合部が配置されていることが望ましい。
【0013】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、可動ロック係合部を含むロック部材が、電極列が配置された領域からはみ出すことがないので、電気コネクタの小型化が確実に図られる。
【0014】
また、本発明においては、前記固定ロック係止部及び前記可動ロック係合部が、薄板状金属部材により形成されているとともに、当該可動ロック係合部及び固定ロック係止部には、前記係合の際に嵌り合う凹凸部からなる嵌合検知部が設けられていることが望ましい。
【0015】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、ロック部材の可動ロック係合部を固定ロック係止部に係合又は解除させる際に、嵌合検知部の凹凸部が嵌り合うことによって、いわゆる嵌合のクリック感が得られ、操作性の向上が図られる。
【0018】
また、本発明においては、前記可動ロック係合部が、前記嵌合の方向に弾性変位可能となるように前記絶縁ハウジングに一体に形成された位置決め部によって、当該可動ロック係合部の移動範囲が規制されることが望ましい。
【0019】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、可動ロック係合部が位置決め部を嵌合の方向に押圧して弾性変位させた状態で、当該可動ロック係合部をロックガイド部に沿って移動されることによって、ロックガイド部に対する可動ロック係合部の装着が行われるとともに、その可動ロック係合部の装着後に、位置決め部が元の位置に弾性復帰することによって、可動ロック係合部の移動規制が位置決め部によって行われる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明にかかる基板接続用電気コネクタ装置は、第1及び第2の電気コネクタ同士を嵌合した際に、それら第1及び第2の電気コネクタのいずれか一方に設けられた固定ロック係止部が、他方
の絶縁ハウジングの内方側の領域に一体的に形成された
軸状部材からなるロックガイド部と嵌合方向に重なり合う配置関係になされた状態で、可動ロック係合部がロックガイド部に沿って移動することにより可動ロック係合部が固定ロック係止部に係合又は解除されるとともに、第1及び第2の電気コネクタの各絶縁ハウジングの少なくとも一方に、可動ロック係合部を露出状態とするハウジング操作開口部が設けられていることによって、ロック部材の可動ロック係合部を固定ロック係止部に対して係合又は解除させるための操作が、ハウジング操作開口部を通して目視可能かつ電気コネクタに対面した状態で行われる構成を採用したものであるから、簡易な構成で、ロック部材の操作及びその確認が容易かつ確実に行われ、基板接続用電気コネクタ装置の小型化を図りつつ信頼性を安価かつ大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)を上方側から表した外観斜視説明図である。
【
図2】
図1に示された本発明の一実施形態にかかる第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)を表した平面説明図である。
【
図3】
図1中のIII−III線に沿った横断面説明図である。
【
図4】
図1中のIV−IV線に沿った横断面説明図である。
【
図5】
図1中のV−V線に沿った横断面説明図である。
【
図6】
図1〜
図5に示された第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に用いられているロック部材の待機状態(非ロック状態)を表したものであって、(a)はコネクタ外方側から見た外観斜視説明図、(b)はコネクタ内方側から見た外観斜視説明図である。
【
図7】
図1〜
図5に示された第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に用いられている可動ロック係合部の構造を表したものであって、(a)はコネクタ外方の上方側から見た外観斜視説明図、(b)はコネクタ外方の下方側から見た外観斜視説明図である。
【
図8】
図1〜
図5に示された第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に用いられているロック部材の操作状態(ロック状態)を表した
図4相当の横断面説明図である。
【
図9】
図1〜
図5に示された第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に用いられているロック部材の操作状態(ロック状態)を表した
図5相当の横断面説明図である。
【
図10】
図1〜
図5に示された第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に用いられているロック部材の操作状態(ロック状態)を表したものであって、(a)はコネクタ外方側から見た外観斜視説明図、(b)はコネクタ内方側から見た外観斜視説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態にかかる第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)を上方側から表した外観斜視説明図である。
【
図12】
図11に示された本発明の一実施形態にかかる第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)を上下反転して第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に対向させた状態を表した外観斜視説明図である。
【
図13】
図11及び
図12に示された本発明の一実施形態にかかる第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)の単品を表した平面説明図である。
【
図14】
図13中のXIV−XIV線に沿った横断面説明図である。
【
図15】
図11〜
図14に示された本発明の一実施形態にかかる第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられているロック部材をコネクタ内方側から見た外観斜視説明図である。
【
図16】
図15に示されたロック部材をコネクタ外方側から見た外観斜視説明図である。
【
図17】第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)の上方位置に第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)を対向配置した状態を表した外観斜視説明図である。
【
図18】
図17において第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)が実装される第2の配線基板を省略して表した外観斜視説明図である。
【
図19】
図17に示した対向状態から第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)を下降させて第1の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)に嵌合させた直後の非ロック状態を表した外観斜視説明図である。
【
図20】
図19において第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)が実装される第2の配線基板を省略して表した外観斜視説明図である。
【
図21】
図19において第1及び第2の配線基板の一部を切り欠いて表した外観斜視説明図である。
【
図22】
図19に示した非ロック状態からロック操作を施したロック状態を表した外観斜視説明図である。
【
図23】
図22において第2の電気コネクタ(プラグコネクタ)が実装される第2の配線基板を省略して表した外観斜視説明図である。
【
図24】
図22において第1及び第2の配線基板の一部を切り欠いて表した外観斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、印刷配線基板同士を接続する基板接続用電気コネクタ装置に適用した実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
[電気コネクタ装置の全体構造について]
図に示された本発明の一実施形態にかかる基板接続用電気コネクタ装置は、例えば携帯電話等の電子機器内に配置された印刷配線基板同士を電気的に接続するものであって、
図1〜
図10に示された第1の電気コネクタとしてのリセプタクルコネクタ10と、
図11〜
図16に示された第2の電気コネクタとしてのプラグコネクタ20とから構成されている。そして、リセプタクルコネクタ(第1の電気コネクタ)10が第1の配線基板P1に実装されるとともに、プラグコネクタ(第2の電気コネクタ)20が第2の配線基板P2に実装された状態で、それらリセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20同士が嵌合されることによって、第1及び第2の配線基板P1,P2同士の電気的な接続が行われるようになっている。
【0024】
以下の説明においては、リセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ20との嵌合方向を「上下方向」とし、
図17及び
図18のように下方側に配置されたリセプタクルコネクタ10の上方側にプラグコネクタ20が配置され、その状態から、
図19〜
図21に示されているように、プラグコネクタ20が下方向に押し込まれることで、両コネクタ10,20同士の嵌合が行われる。また、その嵌合状態からプラグコネクタ20が上方に向かって適宜の力で引き上げられることで、リセプタクルコネクタ10からプラグコネクタ20が抜去される構成になされている。
【0025】
なお、上述したリセプタクルコネクタ10に対してプラグコネクタ20を嵌合・抜去する操作は、作業者の手で行われることに限られることはなく、所定の治具や機械によって自動的に行うようにしても良い。
【0026】
[各電気コネクタの構造について]
それらのリセプタクルコネクタ(第1の電気コネクタ)10、及びプラグコネクタ(第2の電気コネクタ)20は、平面略矩形状(長方形状)をなす平板枠体状の絶縁ハウジング11及び21を有している。それらの絶縁ハウジング11及び21は、プラスチック等の樹脂材を用いて例えばモールド成形されたものであるが、当該絶縁ハウジング11及び21の長手方向に沿って多数のコンタクト部材12及び22が多極状をなすように配列されている。以下において、絶縁ハウジング11及び21の長手方向を「コネクタ長手方向」と呼び、その「コネクタ長手方向」に直交する方向を「コネクタ前後方向」と呼ぶ。
【0027】
上述したように各コンタクト部材12及び22は、「コネクタ長手方向」に多極配列されているが、より具体的には、それぞれ2列の電極列12a,12b及び22a,22bを有している。それら各2列の電極列12a,12b及び22a,22bは、「コネクタ長手方向」に沿って略平行に延在するように並設されており、両コネクタ10,20同士が嵌合された際に、コンタクト部材12側の電極列12a,12bと、コンタクト部材22側の電極列22a,22bが、互いに弾性的に嵌り合う関係になされている。
【0028】
一方、上述したようにして嵌合状態になされたリセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20は、以下に説明するロック部材13及び23により、嵌合状態が維持されるようになっている。これらのロック部材13及び23は、「コネクタ長手方向」の両側部分にそれぞれ一対配置されているが、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20が第1の配線基板P1及びP2に実装される領域の内方側に配置されている。
【0029】
より具体的には、各絶縁ハウジング11及び21の内方側の領域にロック部材13及び23は配置されており、リセプタクルコネクタ10においては、コンタクト部材12を構成する一対の電極列12a,12bの極間部分にロック部材13が配置されているとともに、プラグコネクタ20においては、コンタクト部材22を構成する一対の電極列22a,22bの極間部分にロック部材23が配置されている。
【0030】
これらのロック部材13及び23は、コネクタ長手方向の両側部分において互いに対称的な構造及び配置関係になされていることから、以下の説明においては、一方側のものについて説明し、他方については説明を省略する。
【0031】
[リセプタクルコネクタのロック部材について]
まず、
図1〜
図10に示された第1の電気コネクタとしてのリセプタクルコネクタ10に設けられたロック部材13は、絶縁ハウジング11に一体的に形成された軸状部材からなるロックガイド部13aを有しているとともに、そのロックガイド部13aには、可動ロック係合部13bが摺動自在に取り付けられている。そのうちのロックガイド部13aは、「コネクタ長手方向」に略平行に延在する一対の摺動スリット部13a1,13a1の間部分に形成されており、それら摺動スリット部13a1,13a1の間部分に横断面略矩形状をなして「コネクタ長手方向」に延在する軸状部材から形成されている。そして、そのロックガイド部13aに跨がるようにして装着された可動ロック係合部13bが、ロックガイド部13a及びその両側の摺動スリット部13a1,13a1に沿って「コネクタ長手方向」に往復移動可能に組み付けられている。
【0032】
一方、可動ロック係合部13bは、特に
図7に示されているように、鞍型形状をなす薄板状金属部材から形成されており、上述したロックガイド部13aの外周表面を取り囲む正面略矩形状をなすように折曲げられた形状になされている。その可動ロック係合部13bの内方側には、正面略矩形状の空間部分が形成されており、当該可動ロック係合部13bの内方側空間が、上述したロックガイド部13aの外方側に遊嵌状態で挿入されるようになっている。
【0033】
このような可動ロック係合部13bの取り付けは、ロックガイド部13aの根本部分に形成された後述する装着空間部13cに対して可動ロック係合部13bが上方から挿入されることで行われ、その装着空間部13c内に挿入された可動ロック係合部13bがロックガイド部13aに向かって移動されることで当該可動ロック係合部13bの装着が行われるようになっている。
【0034】
このような可動ロック係合部13bの装着にあたって、当該可動ロック係合部13bの底部には、「コネクタ長手方向」に延在する分割スリット部13b1が形成されている。この分割スリット部13b1は、後述する装着空間部13cの細幅仕切り板13a2を上下方向に挿通させるためのものであって、装着空間部13cに向かって上方側から可動ロック係合部13bが下降されてきた際に、装着空間部13cの細幅仕切り板13a2が分割スリット部13b1を挿通させることによって、可動ロック係合部13bの装着が行われるようになっている。この点については後述する。
【0035】
また、可動ロック係合部13bが装着空間部13cに一旦挿入された状態になされた後においては、当該可動ロック係合部13bがコネクタ外方に向かって移動され、それによってロックガイド部13a側に可動ロック係合部13bが乗り移ってロックガイド部13aに対する可動ロック係合部13bの装着が完了する。この点についても、上述した装着空間部13cの構造とともに後段において詳細に説明する。
【0036】
上述したように可動ロック係合部13bは、ロックガイド部13aに対して往復移動可能に装着されるものであるが、その可動ロック係合部13bにおける往復移動方向の両側端縁部の一方側、より具体的にはコネクタ外方側の端縁部には、当該可動ロック係合部13bの上面から斜め上方に向かって延出する係合案内部13b2が形成されている。この係合案内部13b2は、可動ロック係合部13bの上方端縁部に沿って延在するように設けられており、後述するように第2の電気コネクタとしてのプラグコネクタ20に設けられたロック部材23に対する係合案内機能を有している。
【0037】
ここで、上述したロックガイド部13aの根本部分、より具体的には、当該ロックガイド部13aにおける「コネクタ長手方向」の内端側部分に、可動ロック係合部13bを上方側から挿入させるための装着空間部13cが連設されている。この装着空間部13cは、絶縁ハウジング11に平面略矩形状をなすように凹設されたものであって、上述した一対の摺動スリット部13a1,13a1のコネクタ内端部が連通するように形成されており、当該装着空間部13cに対して、可動ロック係合部13bが上方側から遊嵌状態で挿入されるようになっている。
【0038】
このとき、上述した装着空間部13cの中央部分には、「コネクタ長手方向」に延在する細幅仕切り板13a2が設けられており、その細幅仕切り板13a2によって装着空間部13cが、「コネクタ前後方向」において2室に分割された状態になされている。この細幅仕切り板13a2は、装着空間部13cを形成しているコネクタ内端側の壁面から、上述したロックガイド部13aにおけるコネクタ内端側の壁面まで「コネクタ長手方向」に延在しており、前述した可動ロック係合部13bの分割スリット部13b1より小さな細幅をなすように形成されている。そして、可動ロック係合部13bが装着空間部13c内に挿入される際に、当該可動ロック係合部13bの分割スリット部13b1内に細幅仕切り板13a2が挿通された状態になされ、そのようにして装着空間部13cの内方に挿入された可動ロック係合部13bは、コネクタ外方側に向かって移動されていき、ロックガイド部13aに乗り移るようにして可動ロック係合部13bの装着が行われる。
【0039】
また、上述した装着空間部13cの底部側(下方側)の開口部分には、可動ロック係合部13bの移動範囲を規定する位置決め部13dが、絶縁ハウジング11と一体的に設けられている。この位置決め部13dは、装着空間部13cにおけるコネクタ内方側の壁面からコネクタ外方側に向かって片持ち状に延出する弾性状部材から形成されており、上述した細幅仕切り板13a2を挟んだ両側に一対のものが配置されている。それらの各位置決め部13dは、上述したロックガイド部13aに対してやや下方側に位置するように設けられているが、当該位置決め部13dにおける延出方向の先端面、すなわちコネクタ外方側の自由端面は、「コネクタ長手方向」においてロックガイド部13aの端面とほぼ同位置になるように配置されている。
【0040】
そして、前述したようにして装着空間部13cの内方側に挿入された可動ロック係合部13bは、一旦、両位置決め部13d,13dの上面で受けられることとなるが、その可動ロック係合部13bに対する下方側への押圧力によって、位置決め部13dが下方側に弾性変位される。その位置決め部13dの弾性変位に従って可動ロック係合部13bがロックガイド部13aに対面する位置まで下降されると、可動ロック係合部13bがロックガイド部13aに向かってコネクタ外方側に移動され、ロックガイド部13aの外方側に可動ロック係合部13bが装着される。
【0041】
このようして位置決め部13dの上方側にあった可動ロック係合部13bがロックガイド部13a側に乗り移ると、位置決め部13dは開放状態となって元の位置に復帰するように上昇変位する。その上昇変位して元の位置に復帰した位置決め部13dの先端部は、上述したようにしてロックガイド部13aに移動した可動ロック係合部13bに対して対面する状態となる。このような復帰状態となった位置決め部13dは、可動ロック係合部13bに対するストッパーとしての機能を備えることとなり、可動ロック係合部13bの最大移動範囲、特にコネクタ内方側への移動が位置決め部13dにより規定されるようになっている。
【0042】
なお、コネクタ外方側における可動ロック係合部13bの移動範囲の規定は、前述したロックガイド部13aの両側に設けられた摺動スリット部13a1,13a1の端部に可動ロック係合部13bが当接することによって行われる。また、可動ロック係合部13bの上側表面には、当該可動ロック係合部13bの位置を表示する三角形状の指示マークが形成されており、可動ロック係合部13bの移動位置が目視で確認されるようになっている。
【0043】
[第2の電気コネクタにおけるロック部材について]
一方、前述した第2の電気コネクタとしてのプラグコネクタ20に設けられた絶縁ハウジング21における「コネクタ長手方向」の両端部分には、平面略矩形状(正方形状)をなす一対のハウジング操作開口部21a,21aが貫通形成されている。それらの各ハウジング操作開口部21aは、上述したリセプタクルコネクタ10との嵌合時に、ロック部材13を構成しているロックガイド部13a、可動ロック係合部13b、装着空間部13c及び位置決め部13dを、嵌合方向の外方側に向かって露出する大きさを有するように形成されている。
【0044】
また、それらの各ハウジング操作開口部21aには、当該ハウジング操作開口部21aのコネクタ外方側に相当する領域に、帯板状をなす薄板金属部材からなるロック部材23が、「コネクタ前後方向」に延在するように取り付けられている。そのロック部材23は、絶縁ハウジング11の内方領域から「コネクタ前後方向」における外方領域の両側に向かって延出するように配置されており、絶縁ハウジング21における「コネクタ前後方向」の両端縁部に対して圧入又はインサート成形で固定されている。
【0045】
さらに、そのロック部材23には、「コネクタ前後方向」における略中央部分に、平面略矩形状をなす固定ロック係止部23aが設けられている。その固定ロック係止部23aは、前述したリセプタクルコネクタ10のロックガイド部13aと対面する配置関係になされており、両コネクタ10,20の嵌合時に、リセプタクルコネクタ10のロックガイド部13aに受けられて、当該ロックガイド部13aの上側表面に当接するようになっている。
【0046】
そして、
図21に示すように、このプラグコネクタ20側の固定ロック係止部23aが、リセプタクルコネクタ10側のロックガイド部13aの上方側に当接した状態から、前述したようにリセプタクルコネクタ10に設けられた可動ロック係合部13bが、コネクタ外方側に移動される操作が行われると、そのリセプタクルコネクタ10の可動ロック係合部13bが、プラグコネクタ20の固定ロック係止部23aを上方側から覆うように移動される。その結果、リセプタクルコネクタ10のロックガイド部13aと可動ロック係合部13bとの間に、プラグコネクタ20の固定ロック係止部23aが挟持されることとなり、ロック部材13,23同士がロック状態に移行される構成になされている。
【0047】
また、上述したようなロック部材13,23同士のロック状態から、可動ロック係合部13bがコネクタ内方側に移動操作されると、当該可動ロック係合部13bが固定ロック係止部23aから離間し、固定ロック係止部23aが開放状態となって、ロック解除状態に移行されることとなる。
【0048】
前述したようにセプタクルコネクタ10側の可動ロック係合部13bと、プラグコネクタ20側の固定ロック係止部23aとは、互いに係合状態となる配置関係になされているが、それらの可動ロック係合部13b及び固定ロック係止部23aには、
図7(b)、
図15及び
図16に示すように、両者の係合の際に嵌り合う凹凸部からなる嵌合検知部13b3及び23a1が設けられている。本実施形態においては、可動ロック係合部13b側の嵌合検知部13b1が凹溝状をなすように形成されているとともに、固定ロック係止部23a側の嵌合検知部23a1が凸山状をなすように形成されており、可動ロック係合部13bが固定ロック係止部23aを上方側から覆うようにして係合状態となった際に、上述した両嵌合検知部13b1,23a1同士が嵌り合うことによって、いわゆる嵌合のクリック感が得られることから、操作性の向上が図られるようになっている。
【0049】
一方、上述したプラグコネクタ20が実装される第2の配線基板P2には、絶縁ハウジング21に形成されたハウジング操作開口部21a,21aに、ほぼ重合する位置及び大きさを有する基板操作開口部P2a,P2aが貫通形成されている。それらの基板操作開口部P2aは、プラグコネクタ10のロック部材13を構成するロックガイド部13a、可動ロック係合部13b、装着空間部13c及び位置決め部13dを、両コネクタ10,20同士の嵌合時に外方側に向かって露出する大きさを有するように形成されている。
【0050】
このような構成を備えた基板接続用電気コネクタ装置によれば、リセプタクルコネクタ10に設けられたロック部材13の可動ロック係合部13bを、プラグコネクタ20の固定ロック係止部23aに対して係合又は解除させるための操作が、絶縁ハウジング21のハウジング操作開口部21a及び第2の配線基板P2の基板操作開口部P2aを通して目視可能な電気コネクタ装置に対面した状態で容易に行われることから、ロック部材13,23に関する係合・解除の操作及びその確認が容易かつ確実に行われる。
【0051】
このとき特に本実施形態によれば、可動ロック係合部13bを含むロック部材13が、リセプタクルコネクタ10の実装領域及び電極列12a,12bの配置領域からはみ出すことがないので、リセプタクルコネクタ10の小型化が確実に図られる。また、それと同様に、固定ロック係止部23aを含むロック部材23が、プラグコネクタ20の実装領域及び電極列22a,22bの配置領域からはみ出すことがないので、プラグコネクタ20の小型化が確実に図られる。
【0052】
さらに、本実施形態における可動ロック係合部13bは、リセプタクルコネクタ10の長手方向に沿って移動するように構成されていることから、ロック部材13の可動ロック係合部13bを固定ロック係止部23aに係合又は解除させる操作が、スペース的に余裕のある電気コネクタ装置の長手方向に沿って容易に行われる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0054】
例えば、上述したロック部材13,23の係合・係止の関係は、リセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ20との間において逆の関係に配置することが可能である。