(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の外部アンテナが接続される複数の第1コネクタと、前記無線モジュールの前記アンテナ接続端に接続される第2コネクタと、前記無線モジュールからの前記制御信号に基づいて前記第1コネクタに接続された前記外部アンテナの選択を行うスイッチ部とを有するアンテナ接続モジュールを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の無線機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1等に開示された従来の無線機器は、フィールド機器と同様に、可燃性のガスが用いられる環境で使用されることがあるため、防爆規格を満たすように設計される。このような無線機器は、防爆規格の要件を満たすようにアンテナが無線機器に固定されており、アンテナが無線機器から分離可能とはされていない。このため、上述した従来の無線機器は、以下の(1)〜(3)に示す問題があった。
【0007】
(1)安定した無線通信が困難になる可能性がある
上述した従来の無線機器は、フィールド機器との接続線を保護するための配管(コンジット)の設置工事を省略してコストの発生を抑える等の理由から、フィールド機器の近くに設置されることが殆どである。しかしながら、フィールド機器は、パイプや生産設備等が多数設置されて電波の反射や遮蔽が生じやすい環境下に設置されることが多い。このため、上述した特許文献1に開示された無線機器のように、インターフェイス部と無線通信部とが一体化された構成では、安定した無線通信が困難になる可能性が考えられるという問題がある。
【0008】
(2)使用可能なアンテナの種類が制限される
上述した従来の無線機器においては、必要となるアンテナ特性(通信距離や指向性)に応じた任意のアンテナを使用可能であることが理想的である。しかしながら、例えば長距離通信を実現する場合に用いられる大型のアンテナ(外寸及び重量が大きなアンテナ)は、物理的寸法及び耐荷重性等を考慮すると使用できないという問題がある。その結果として、上述した従来の無線機器において使用可能なアンテナは軽量なものに限られてしまい、長距離通信を行うことが困難になってしまう。
【0009】
(3)アンテナの設置位置や設置角度を自由に設定することができない
上述した従来の無線機器は、フィールド機器との関係において設置位置や設置角度が定められる。このため、アンテナが無線機器に固定されていると、アンテナの設置位置や設置角度は、フィールド機器との関係において定められた無線機器の設置位置や設置角度になってしまい、アンテナの設置位置や設置角度を自由に設定することができないという問題がある。その結果、安定した無線通信が困難になる可能性がある。
【0010】
尚、上述した従来の無線機器において、防爆規格を満たしつつアンテナケーブル等を用いてアンテナを無線通信部から分離可能に構成することができれば、アンテナの設置位置の自由度が高くなり、安定した無線通信が可能になるとも考えられる。しかしながら、アンテナケーブルを伝送する無線信号は損失が大きくノイズの影響を受けやすく、延長可能なケーブル長さに限界があるため、安定した無線通信が必ずしも実現されるという訳ではないと考えられる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、防爆規格を満たしつつ、任意のアンテナを用いて安定した無線通信を実現することが可能な
無線機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の無線モジュールは、無線信号の送受信を行う無線モジュール(20、40)において、複数の外部アンテナ(AT1〜AT4)を接続可能なアンテナ接続端(24)と、前記アンテナ接続端に接続される前記外部アンテナのうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択し、外部から送信されてくる信号を受信して選択した外部アンテナから無線信号にして送信させるとともに、選択した外部アンテナで受信された無線信号の処理を行った信号を外部に送信する回路部(25、41)と、前記回路部で送受信される信号が入出力される外部のコネクタに接続可能なコネクタ部(23)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、アンテナ接続端に接続される外部アンテナのうちの少なくとも1つの外部アンテナが選択され、外部から送信されてきた信号が回路部で受信されて選択された外部アンテナから無線信号にして送信されるとともに、選択されたアンテナで受信された無線信号が回路部で処理されて外部に送信される。
また、本発明の無線モジュールは、前記回路部が、前記アンテナ接続端に接続される前記外部アンテナのうちの何れか1つを選択する第1スイッチ(SW3)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線モジュールは、前記回路部が、前記第1スイッチによる選択を行うか、又は、前記アンテナ接続端に接続される前記外部アンテナの全ての選択を行うかを切り替える第2スイッチ(SW2)を備えることを特徴としている。
また、本発明の無線モジュールは、内部アンテナ(AT0)を備えており、前記回路部が、前記外部アンテナを用いるのか、又は前記内部アンテナを用いるのかを切り替える第3スイッチ(SW1)を備えることを特徴としている。
或いは、本発明の無線モジュールは、前記回路部が、前記アンテナ接続端に接続される前記外部アンテナのうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択する制御信号を、前記アンテナ接続端を介して出力することを特徴としている。
また、本発明の無線モジュールは、内部アンテナ(AT0)を備えており、前記回路部が、前記外部アンテナを用いるのか、又は前記内部アンテナを用いるのかを切り替えるスイッチ(SW1)を備えることを特徴としている。
本発明の無線機器は、無線信号の送受信を行う無線機器(1)において、上記の無線モジュール(20)と、前記複数の外部アンテナが接続される複数の第1コネクタ(C11〜C14)と、前記無線モジュールの前記アンテナ接続端に接続される第2コネクタ(C20)とを有するアンテナ接続モジュール(30)とを備えることを特徴としている。
或いは、本発明の無線機器は、無線信号の送受信を行う無線機器(2)において、上記の無線モジュール(40)と、前記複数の外部アンテナが接続される複数の第1コネクタ(C11〜C14)と、前記無線モジュールの前記アンテナ接続端に接続される第2コネクタ(C20)と、前記無線モジュールからの前記制御信号に基づいて前記第1コネクタに接続された前記外部アンテナの選択を行うスイッチ部(51)とを有するアンテナ接続モジュール(50)とを備えることを特徴としている。
ここで、本発明の無線機器は、前記無線機器は、フィールド機器(FD)からの第1信号を無線信号にして送信し、無線信号で送信されてくる前記フィールド機器への第2信号を受信するものであり、前記フィールド機器及び前記無線モジュールに接続され、前記フィールド機器からの前記第1信号を前記無線モジュールに送信するとともに、前記無線モジュールからの前記第2信号を受信して前記フィールド機器に出力する信号処理モジュール(10)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線モジュールのアンテナ接続端に接続される外部アンテナのうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択し、外部(信号処理モジュール)から送信されてきた信号を受信して選択した外部アンテナから無線信号にして送信するとともに、選択したアンテナで受信された無線信号を処理して外部(信号処理モジュール)に送信するようにしている。このため、防爆規格を満たしつつ、任意のアンテナを用いて安定した無線通信を実現することが可能であるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による無線モジュール及び無線機器について詳細に説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による無線機器の使用状態の一例を示す図である。
図1に示す通り、本実施形態の無線機器1は、信号処理モジュール10、無線モジュール20、及びアンテナ接続モジュール30を備えており、配管PLに取り付けられているフィールド機器FDに接続されて、フィールド機器FDからの信号(第1信号)を無線信号にして送信し、無線信号で送信されてくるフィールド機器FDへの信号(第2信号)を受信する。尚、無線機器1は、防爆規格の要件を満たすようにされており、ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。
【0017】
ここで、フィールド機器FDは、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発するマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他のプラントの現場に設置される機器である。また、配管PLは、例えば原油やガス等の流体が流れる配管である。尚、本実施形態では、理解を容易にするために、フィールド機器FDは、配管PLを流れる流体の流量を測定するセンサ機器であるものとする。
【0018】
このフィールド機器FDは、プラントの現場に敷設されるネットワークや伝送線(例えば、「4〜20mA」信号の伝送に使用される伝送線)に接続されて、ネットワーク等からの電源供給を受けてネットワーク等を介した通信が可能である。具体的に、フィールド機器FDは、HART(登録商標)、BRAIN、ファウンデーションフィールドバス(Foundation Fieldbus:登録商標)、プロフィバス(PROFIBUS:登録商標)、DeviceNet(登録商標)、CC−Link(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)等のプロセス工業用の汎用通信プロトコルを用いた通信が可能である。
【0019】
信号処理モジュール10は、フィールド機器FD及び無線モジュール20に接続されて、フィールド機器FDとの間における通信処理、無線モジュール20との間における通信処理、及び通信プロトコルの変換処理等の信号処理を行う。この信号処理モジュール10は、いわばフィールド機器FDと無線モジュール20との間で授受される各種信号を中継する中継モジュールと言うこともできる。
【0020】
具体的に、信号処理モジュール10は、接続コネクタCNによってフィールド機器FDに接続されており、接続コネクタCNを介してフィールド機器FDと通信(アナログ通信又はディジタル通信)を行う。つまり、信号処理モジュール10には、フィールド機器FDとの間の通信を可能とするために、フィールド機器FDに実装されている通信プロトコルと同じ通信プロトコルが実装されている。
【0021】
また、信号処理モジュール10は、ケーブルCB及びケーブルCBに備えられたコネクタ(外部のコネクタ)を介して無線モジュール20に接続され、ケーブルCBを介して無線モジュール20と通信(例えば、RS−422等のシリアル通信)を行う。尚、
図1では、信号処理モジュール10と無線モジュール20とがケーブルCBによって接続される例を図示しているが、ケーブルCBを用いることなく、無線モジュール20を信号処理モジュール10に直接接続することも可能である。つまり、信号処理モジュール10が備えるコネクタC0(外部のコネクタ)には、ケーブルCBを接続することも、無線モジュール20を接続することも可能である。
【0022】
ケーブルCBを用いて信号処理モジュール10と無線モジュール20とを接続した場合には、無線モジュール20の設置場所の自由度を高めることが可能になる。これに対し、ケーブルCBを用いることなく、無線モジュール20を信号処理モジュール10に直接接続した場合には、アンテナが固定された従来の無線機器と同様に無線機器1を取り扱うことができる。尚、上記のケーブルCBとしては、電源線、信号線、及びグランド線を有する多芯のシールドケーブルが用いられる。
【0023】
この信号処理モジュール10は、不図示の電源を備えており、ケーブルCBを介して無線モジュール20に電力を供給する。この電源としては、電池(例えば、塩化チオニルリチウム電池等の自己放電が極めて少ない一次電池や二次電池)、燃料電池、キャパシタ、或いは環境発電(所謂、太陽電池等のエナジーハーベスト)を行う発電回路等を用いることができる。尚、電源は、信号処理モジュール10に内蔵されるものであっても、信号処理モジュール10の外部に設けられるものであっても良い。
【0024】
無線モジュール20は、信号処理モジュール10及びアンテナ接続モジュール30に接続され、信号処理モジュール10との間で通信を行うとともに、内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4(何れも
図2参照)を用いて無線信号の送受信を行う。具体的に、無線モジュール20は、信号処理モジュール10から送信されてくる信号を受信して内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4から無線信号にして送信するとともに、内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4で受信した無線信号を処理して信号処理モジュール10に向けて送信する。
【0025】
ここで、無線モジュール20は、外部アンテナAT1〜AT4を用いる場合には、アンテナ接続モジュール30に接続された複数の外部アンテナAT1〜AT4のうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択して無線信号の送受信を行う。具体的に、無線モジュール20は、複数の外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択して無線信号の送受信を行い、或いは外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号の送受信を行う。
【0026】
アンテナ接続モジュール30は、無線モジュール20に対して複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能にするために用いられるモジュールである。このアンテナ接続モジュール30は、複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能に構成されており、同軸ケーブルCB1を介して無線モジュール20に接続される。尚、上記の同軸ケーブルCB1としては、外部アンテナAT1〜AT4の各々に接続される複数の芯線を有するシールドケーブルが用いられる。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態による無線モジュールとアンテナ接続モジュールとの要部構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、無線モジュール20は、筐体21、アンテナキャップ22、コネクタ部23、アンテナ接続端24、回路部25、及び内部アンテナAT0を備えており、外形形状が円柱形状又は多角柱形状(例えば、四角柱形状)のモジュールである。筐体21は、例えば高剛性アルミニウム等の剛性の高い金属によって形成された筒状(円筒状、或いは多角筒状)の部材であり回路部25を収容する。アンテナキャップ22は、内部に内部アンテナAT0を収容する樹脂製の部材である。
【0028】
コネクタ部23は、無線モジュール20をケーブルCB或いは信号処理モジュール10に接続する接続部である。このコネクタ部23は、無線モジュール20が屋外に設置されることが考えられるため、IP(International Protection)規格やNEMA(National Electrical Manufacturers Association)規格等の防水防塵規格に適合するものを用いるのが望ましい。アンテナ接続端24は、ケーブルCB1を介してアンテナ接続モジュール30が接続される接続端である。このアンテナ接続端24にアンテナ接続モジュール30が接続されることよって、アンテナ接続モジュール30に接続された複数の外部アンテナAT1〜AT4が回路部25に接続される。尚、アンテナ接続端24は、無線モジュール20の筐体21の端部、又は筐体21の中間部に備えられても良い。
【0029】
回路部25は、送受信部25a、信号処理部25b、無線部25c、及び分配処理部25dを備える。かかる構成の回路部25は、内部アンテナAT0又はアンテナ接続端24に接続される外部アンテナAT1〜AT4のうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択し、外部の信号処理モジュール10から送信されてくる信号を受信して選択したアンテナから無線信号にして送信するとともに、選択したアンテナで受信した無線信号を処理して外部の信号処理モジュール10に向けて送信する。
【0030】
送受信部25aは、ケーブルCBを介して信号処理モジュール10との間で通信(例えば、RS−422等のシリアル通信)を行う。具体的に、送受信部25aは、コネクタ部23を介して送信されてくる信号処理モジュール10からの信号を受信して信号処理部25bに出力するとともに、信号処理部25bから出力される信号(信号処理モジュール10に送信すべき信号)を、コネクタ部23を介して送信する。
【0031】
信号処理部25bは、送受信部25aからの信号、或いは無線部25cからの信号に対して予め規定された信号処理を行う。具体的に、信号処理部25bは、送受信部25aからの信号に対しては、同期処理、データ変換処理、通信プロトコルの変換処理、暗号化処理、変調処理等を行い、無線部25cからの信号に対しては、復調処理、復号処理、通信プロトコルの変換処理、データ変換処理、同期処理等を行う。
【0032】
また、信号処理部25bは、アンテナの切替制御及び選択制御も行う。具体的に、信号処理部25bは、分配処理部25dを制御して、内部アンテナAT0を用いるのか、又は外部アンテナAT1〜AT4を用いるのかを切り替える。また、信号処理部25bは、外部アンテナAT1〜AT4を用いる場合には、分配処理部25dを制御して、複数の外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択して無線信号の送受信を行うのか、又は外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号の送受信を行うのかを切り替える。
【0033】
無線部25cは、信号処理部25bからの信号を用いて内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4から送信すべき無線信号を生成し、或いは内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4からの無線信号を受信する処理を行う。具体的に、無線部25cは、信号処理部25bからの信号に対しては、同期処理、暗号化処理、周波数変換処理等を行い、内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4からの無線信号に対しては、周波数変換処理、複合処理、同期処理等を行う。
【0034】
分配処理部25dは、信号処理部25bの制御の下で、無線信号の分配処理を行う。具体的に、分配処理部25dは、無線信号の送信時には、無線部25cで生成された無線信号が信号処理部25bの制御によって選択されたアンテナ(内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4のうちの少なくとも1つの外部アンテナ)に入力されるように無線信号を分配し、無線信号の受信時には信号処理部25bの制御によって選択されたアンテナで受信された無線信号が無線部25cに入力されるように無線信号を分配する。
【0035】
図3は、本発明の第1実施形態による無線モジュールに設けられる分配処理部の構成を示すブロック図である。
図3に示す通り、分配処理部25dは、スイッチSW1(第3スイッチ)、スイッチSW2(第2スイッチ)、スイッチSW3(第1スイッチ)、及び2つの送受信切替部SRを備える。尚、分配処理部25dの入出力端T1は無線部25cに接続され、入出力端T2は内部アンテナAT0に接続され、入出力端T3,T4はアンテナ接続端24を介してアンテナ接続モジュール30に接続される。ここで、複数設けられている入出力端T3は、アンテナ接続モジュール30に設けられた複数のコネクタC11〜C14(
図2参照:詳細は後述する)にそれぞれ個別に接続され、入出力端T4はコネクタC11〜C14の全てに接続される。
【0036】
スイッチSW1は、信号処理部25bの制御の下で、入出力端T1に対して入出力端T2を接続するのか、或いは入出力端T3,T4を接続するのかを切り替える。ここで、上述の通り、入出力端T2は内部アンテナAT0に接続され、入出力端T3,T4はアンテナ接続モジュール30に接続されるため、スイッチSW1は、内部アンテナAT0を用いるのか、又は外部アンテナAT1〜AT4を用いるのかを切り替えるスイッチである。
【0037】
スイッチSW2は、入出力端T1に入出力端T3,T4が接続されるようスイッチSW1が切り替えられている場合に、信号処理部25bの制御の下で、入出力端T1に対して入出力端T3を接続するのか、或いは入出力端T4を接続するのかを切り替える。ここで、上述の通り、入出力端T3はアンテナ接続モジュール30に設けられた複数のコネクタC11〜C14にそれぞれ個別に接続され、入出力端T4はコネクタC11〜C14の全てに接続される。このため、スイッチSW2は、外部アンテナAT1〜AT4を用いる場合に、外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択するのか、又は外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択するのかを切り替えるスイッチである。
【0038】
スイッチSW3は、例えば、SPnT(Single Pole n Throw)スイッチであり、入出力端T1に入出力端T3が接続されるようスイッチSW1,SW2が切り替えられている場合に、信号処理部25bの制御の下で、複数設けられた入出力端T3の何れを入出力端T1に接続するのかを切り替える。つまり、スイッチSW3は、複数設けられた外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択するスイッチである。
【0039】
送受信切替部SRは、スイッチSW1とスイッチSW2との間、及びスイッチSW1と入出力端T2との間に設けられており、信号処理部25bの制御の下で、無線信号の送受信の切り替えを行う。具体的に、送受信切替部SRは、無線信号の送信時には、無線部25cで生成されてスイッチSW1を介した無線信号が、スイッチSW2又は入出力端T2に出力されるように無線信号の伝送経路を切り替え、無線信号の受信時にはスイッチSW2又は入出力端T2を介した無線信号がスイッチSW1を介して無線部25cに出力されるように無線信号の伝送経路を切り替える。
【0040】
図4は、本発明の第1実施形態による無線モジュールに設けられる送受信切替部の構成を示すブロック図である。
図4に示す通り、送受信切替部SRは、スイッチSW11,SW12、出力調整部A1、フィルタ部A2、高周波アンプA3、出力レベル検出部A4、バンドパスフィルタB1、及び増幅器B2を備える。尚、これらのうちの出力調整部A1〜出力レベル検出部A4は、送信経路R1上に設けられており、バンドパスフィルタB1及び増幅器B2は受信経路R2上に設けられている。上記送信経路R1は、無線部25cで生成された無線信号が通過する経路であり、上記受信経路R2は、内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4で受信された無線信号が通過する経路である。
【0041】
スイッチSW11,SW12は、信号処理部25bの制御の下で、入出力端T11と入出力端T12との間の伝送経路を送信経路R1にするか受信経路R2にするかを切り替える。尚、入出力端T11は、
図3中のスイッチSW1に接続されており、入出力端T12は、
図3中のスイッチSW2又は入出力端T2に接続されている。出力調整部A1は、信号処理部25bによって制御され、入出力端T11から入力されてスイッチSW11を介した無線信号の出力調整を行う。フィルタ部A2は、出力調整部A1からの無線信号に重畳しているイメージ信号や高次高調波等のスプリアスを除去する。
【0042】
高周波アンプA3は、フィルタ部A2を通過した無線信号を所定の増幅率で増幅する。尚、高周波アンプA3の増幅率は、信号処理部25bによって制御される。出力レベル検出部A4は、高周波アンプA3で増幅された無線信号の出力レベルを検出する。尚、出力レベル検出部A4の検出結果は、信号処理部25bに出力されて、信号処理部25bが出力調整部A1或いは高周波アンプA3の増幅率等を制御する際に用いられる。
【0043】
バンドパスフィルタB1は、入出力端T12から入力されてスイッチSW12を介した無線信号のうちの信号成分のみを通過させることによって、その無線信号に重畳されている雑音成分を除去する。増幅器B2は、バンドパスフィルタB1を通過した無線信号を所定の増幅率で増幅する。尚、増幅器B2の増幅率は、高周波アンプA3の増幅率と同様に、信号処理部25bによって制御される。
【0044】
図2に戻り、内部アンテナAT0は、分配処理部25dの入出力端T2に接続されており、分配処理部25dからの無線信号を送信するとともに、送信されてきた無線信号を受信して分配処理部25dに出力する。この内部アンテナAT0は、アンテナキャップ22内に収容される小型のアンテナであれば良く、例えば基板上に形成されたマイクロストリップアンテナを用いることができる。
【0045】
アンテナ接続モジュール30は、例えば高剛性アルミニウム等の剛性の高い金属によって形成された中空箱状のモジュールであり、複数のコネクタC11〜C14(第1コネクタ)及びコネクタC20(第2コネクタ)を備える。コネクタC11〜C14は、アンテナ延長ケーブルCB11〜CB14を介して外部アンテナAT1〜AT4がそれぞれ接続されるコネクタである。コネクタC20は、同軸ケーブルCB1を介して無線モジュール20のアンテナ接続端24に接続されるコネクタである。
【0046】
このアンテナ接続モジュール30は、内部に集合コネクタ31を備える。この集合コネクタ31は、コネクタC11〜C14の各々に接続される接続線を集線してコネクタC20に接続するためのものである。同軸ケーブルCB1によってアンテナ接続モジュール30のコネクタC20と無線モジュール20のアンテナ接続端24とが接続されると、アンテナ接続モジュール30のコネクタC11〜C14と、無線モジュール20の分配処理部25dに設けられた複数の入出力端T3(
図3参照)とが1対1で接続される。また、アンテナ接続モジュール30の全てのコネクタC11〜C14は、無線モジュール20の分配処理部25dに設けられた入出力端T4(
図3参照)に接続される。
【0047】
ここで、アンテナ接続モジュール30に接続される外部アンテナAT1〜AT4としては、線状アンテナ(例えば、スリーブアンテナ、ホイップアンテナ、八木アンテナ等)、平面アンテナ(例えば、パッチアンテナ)、開口面アンテナ(例えば、ホーンアンテナやパラボラアンテナ)等の任意のアンテナを用いることができる。尚、
図2においては、ホイップアンテナを外部アンテナAT1として図示し、八木アンテナを外部アンテナAT2として図示し、パッチアンテナを外部アンテナAT3として図示し、ホーンアンテナやパラボラアンテナを外部アンテナAT4として図示している。
【0048】
次に、上記構成における無線機器1の動作について説明する。以下では、理解を容易にするために、外部アンテナAT1〜AT4の何れか1つ(ここでは、外部アンテナAT1とする)を選択して無線信号で送信されてくるフィールド機器FDへの信号を受信する動作(受信動作)と、外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択してフィールド機器FDからの信号を無線信号にして送信する動作(送信動作)とを例に挙げて説明する。尚、無線機器1が無線信号を送受信するタイミングは予めスケジューリングされており、上記の受信動作及び送信動作は予め規定されたタイミングで行われる。
【0049】
〈受信動作〉
受信動作が開始されると、まず送信されてくる無線信号を受信する外部アンテナ(外部アンテナAT1)を選択する動作が無線モジュール20によって行われる。具体的には、無線モジュール20に設けられた信号処理部25bによって分配処理部25dのスイッチSW1〜SW3(
図3参照)が制御され、複数の入出力端T3のうちの何れか1つ(外部アンテナAT1に接続された入出力端T3)が入出力端T1に接続される。これと並行して、分配処理部25dの送受信切替部SR(スイッチSW1,SW2間に設けられた送受信切替部SR)に設けられたスイッチSW11,SW12(
図4参照)が信号処理部25bによって制御され、入出力端T11,T12間の伝送経路が受信経路R2とされる。
【0050】
以上の動作が完了した後に、外部アンテナAT1で無線信号が受信されると、この無線信号は、アンテナ接続モジュール30及び同軸ケーブルCB1を順に介して無線モジュール20に入力される。無線モジュール20に入力された無線信号は、
図3に示す入出力端T3のうちの何れか1つ(外部アンテナAT1に接続された入出力端T3)に入力され、スイッチSW3及びスイッチSW2を順に介して送受信切替部SRに入力される。送受信切替部SRに入力された無線信号は、
図4に示す入出力端T12を介して受信経路R2上に設けられたバンドパスフィルタB1及び増幅器B2を順に通過した後に入出力端T11から出力され、
図3に示すスイッチSW1及び入出力端T1を順に介した後に
図2に示す無線部25cに入力される。
【0051】
無線部25cに入力した無線信号は、周波数変換処理、複合処理、同期処理等が行われる。無線部25cから出力された信号は信号処理部25bに入力され、復調処理、復号処理、通信プロトコルの変換処理、データ変換処理、同期処理等の信号処理が行われる。信号処理部25bで信号処理が行われた信号は、送受信部25aに出力され、信号処理モジュール10との間で行われる通信によって信号処理モジュール10に向けて送信される。
【0052】
無線モジュール20から送信された信号は、ケーブルCBを介して信号処理モジュール10に入力される。信号処理モジュール10に入力された信号は、通信プロトコルの変換処理等の信号処理が行われた後に、接続コネクタCNを介してフィールド機器FDに向けて送信される。
【0053】
〈送信動作〉
送信動作が開始されると、まず無線信号を送信すべき外部アンテナ(外部アンテナAT1〜AT4の全て)を選択する動作が無線モジュール20によって行われる。具体的には、無線モジュール20に設けられた信号処理部25bによって分配処理部25dのスイッチSW1,SW2(
図3参照)が制御され、入出力端T4(外部アンテナAT1〜AT4の全てに接続された入出力端T4)が入出力端T1に接続される。これと並行して、分配処理部25dの送受信切替部SR(スイッチSW1,SW2間に設けられた送受信切替部SR)に設けられたスイッチSW11,SW12(
図4参照)が信号処理部25bによって制御され、入出力端T11,T12間の伝送経路が送信経路R1とされる。
【0054】
以上の動作が完了した後に、フィールド機器FDから信号が出力されると、この信号は接続コネクタCNを介して信号処理モジュール10に入力され、通信プロトコルの変換処理等の信号処理が行われた後に、信号処理モジュール10と無線モジュール20との間で行われる通信によって無線モジュール20に向けて送信される。信号処理モジュール10から送信された信号は、ケーブルCBを介して無線モジュール20の回路部25に入力される。
【0055】
回路部25に入力された信号は、
図2に示す送受信部25aで受信されて信号処理部25bに出力され、同期処理、データ変換処理、通信プロトコルの変換処理、暗号化処理、変調処理等の信号処理が行われる。信号処理部25bで信号処理が行われた信号は、無線部25cに出力される。そして、無線部25cにおいて、信号処理部25bからの信号を用いて同期処理、暗号化処理、周波数変換処理等の処理が行われることによって無線信号が生成される。
【0056】
無線部25cで生成された無線信号は、
図3に示す分配処理部25dの入出力端T1に入力され、スイッチSW1を介して送受信切替部SRに入力される。送受信切替部SRに入力された無線信号は、
図4に示す入出力端T11を介して送信経路R1上に設けられた出力調整部A1、フィルタ部A2、高周波アンプA3、及び出力レベル検出部A4を順に通過した後に入出力端T12から出力される。この無線信号は、
図3に示すスイッチSW2及び入出力端T4並びに
図2に示す同軸ケーブルCB1を順に介してアンテナ接続モジュール30に送信され、これによりアンテナ接続モジュール30に接続された外部アンテナAT1〜AT4の全てから無線信号が送信される。
【0057】
尚、ここでは、外部アンテナAT1〜AT4の何れか1つ(外部アンテナAT1)を選択して無線信号を受信し、外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号を送信する例について説明したが、送受信に用いるアンテナを逆にすることも可能である。つまり、外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号を受信し、外部アンテナAT1〜AT4の何れか1つを選択して無線信号を送信するといった具合である。
【0058】
また、外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号の送信及び受信の双方を行っても良いし、外部アンテナAT1〜AT4の何れか1つを選択して無線信号の送信及び受信の双方を行っても良い。例えば、無線信号の周波数、通信距離、又は方向(指向角)が明確であれば、予め外部アンテナAT1〜AT4のうち適した何れか1つを選択して通信を行うことによって、効率的に安定した通信を実現できる。また、無線信号の周波数、通信距離、又は方向(指向角)が明確でなければ、外部アンテナAT1〜AT4の全部を選択して通信を行うことによって、汎用的に安定した通信を実現できる(例えば、受信する無線信号の周波数又は方向(指向角)が明確でなければ、外部アンテナAT1〜AT4の全部を選択しておくことによって、外部アンテナAT1〜AT4のうち無線信号の周波数又は方向(指向角)が合致したアンテナで受信可能となる)。
【0059】
また、ここでは外部アンテナAT1〜AT4を用いて無線信号を送受信する例について説明したが、内部アンテナAT0を用いて無線信号を送受信することも可能である。また、外部アンテナAT1〜AT4を用いて無線信号を送信するとともに内部アンテナAT0を用いて無線信号を受信し、或いは内部アンテナAT0を用いて無線信号を送信するとともに外部アンテナAT1〜AT4を用いて無線信号を受信することも可能である。例えば、長距離通信を行う場合には外部アンテナAT1〜AT4のうち長距離通信が可能なアンテナを選択し、無指向性の短距離通信を行う場合には内部アンテナAT0を選択して、効率的に安定した通信を実現できる。
【0060】
以上の通り、実施形態では、無線機器1を、フィールド機器FDとの間で通信を行う信号処理モジュール10と、無線通信を行う無線モジュール20と、複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能なアンテナ接続モジュール30とに分けて構成し、信号処理モジュール10及び無線モジュール20の間で授受される信号を、ケーブルCBを介して送受信するようにしている。これにより、本実施形態では、無線モジュール20とアンテナ接続モジュール30及び外部アンテナAT1〜AT4とを余り離すことなく、これら無線モジュール20、アンテナ接続モジュール30、及び外部アンテナAT1〜AT4を信号処理モジュール10から離間して配置することができる。このため、内部アンテナAT0が設けられた無線モジュール20及び外部アンテナAT1〜AT4の設置場所の自由度を高めることができ、防爆規格を満たしつつ安定した無線通信を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態では、複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能なアンテナ接続モジュール30を無線モジュール20に接続し、無線モジュール20が無線信号の送受信に用いる外部アンテナAT1〜AT4を選択するようにしている。これにより、任意の外部アンテナAT1〜AT4を用いることができるとともに、外部アンテナAT1〜AT4の設置位置や設置角度を自由に設定することができる。よって、電場状態が良い場所に外部アンテナAT1〜AT4を設置すれば安定した無線通信を行うことができる。このように、本実施形態では、防爆規格を満たしつつ、任意のアンテナを用いて安定した無線通信を実現することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態による無線モジュールとアンテナ接続モジュールとの要部構成を示すブロック図である。尚、
図5においては、
図2に示す構成と同様の構成については同一の符号を付してある。本実施形態の無線機器は、
図1に示す無線モジュール20及びアンテナ接続モジュール30に代えて
図5に示す無線モジュール40及びアンテナ接続モジュール50を設けた構成である。尚、図中には示していないが、以下では本実施形態の無線機器を「無線機器2」という。
【0063】
上述した第1実施形態による無線機器1は、スイッチ(
図3中のスイッチSW1〜SW3)を無線モジュール20に設け、外部アンテナAT1〜AT4の切り替えや選択を無線モジュール20で行うものであった。これに対し、本実施形態による無線機器2は、上記のスイッチSW2,SW3に相当するものをアンテナ接続モジュール50に設け、外部アンテナAT1〜AT4の切り替えや選択を無線モジュール40の制御によってアンテナ接続モジュール50で行うものである。
【0064】
図5に示す通り、無線モジュール40は、
図2に示す無線モジュール20の回路部25に代えて回路部41を設けた構成である。回路部41は、送受信部41a、信号処理部41b、無線部41c、及び分配処理部41dを備える。かかる構成の回路部41は、内部アンテナAT0又はアンテナ接続端24に接続される外部アンテナAT1〜AT4のうちの少なくとも1つの外部アンテナを選択する制御信号を出力し、信号処理モジュール10から送信されてくる信号を受信して選択させたアンテナから無線信号にして送信するとともに、選択させたアンテナで受信した無線信号を処理して信号処理モジュール10に向けて送信する。
【0065】
送受信部41aは、
図2に示す送受信部25aと同様に、ケーブルCBを介して信号処理モジュール10との間で通信(例えば、RS−422等のシリアル通信)を行う。信号処理部41bは、送受信部41aからの信号、或いは無線部41cからの信号に対して予め規定された信号処理を行う。尚、信号処理部41bで行われる具体的な信号処理は、
図2に示す信号処理部25bで行われる信号処理と同様である。
【0066】
また、信号処理部41bは、アンテナの切り替え又は選択のための制御信号を出力する。具体的に、信号処理部41bは、内部アンテナAT0を用いるのか、又は外部アンテナAT1〜AT4を用いるのかを切り替えるための制御信号を分配処理部41dに出力する。また、信号処理部41bは、外部アンテナAT1〜AT4を用いる場合には、複数の外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択して無線信号の送受信を行うのか、又は外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号の送受信を行うのかを切り替えるための制御信号をアンテナ接続端24に出力する。ここで、信号処理部41bから出力される制御信号としては、例えば選択するアンテナに応じて異なる電圧が設定されたDC(直流)信号を用いることができる。
【0067】
無線部41cは、信号処理部41bからの信号を用いて内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4から送信すべき無線信号を生成し、或いは内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4からの無線信号を受信する処理を行う。尚、無線部41cで行われる具体的な処理は、
図2に示す無線部25cで行われる処理と同様である。
【0068】
分配処理部41dは、信号処理部41bの制御の下で、無線信号の分配処理を行う。具体的に、分配処理部41dは、無線信号の送信時には、無線部41cで生成された無線信号が信号処理部41bからの制御信号に基づいて選択されたアンテナ(内部アンテナAT0又は外部アンテナAT1〜AT4の少なくとも1つの外部アンテナ)に入力されるように無線信号を分配し、無線信号の受信時には信号処理部41bからの制御信号に基づいて選択されたアンテナで受信された無線信号が無線部41cに入力されるように無線信号を分配する。
【0069】
図6は、本発明の第2実施形態による無線モジュールに設けられる分配処理部の構成を示すブロック図である。尚、
図6においては、
図3に示す構成と同様の構成については同一の符号を付してある。
図6に示す通り、分配処理部41dは、スイッチSW1及び2つの送受信切替部SRを備える。尚、分配処理部41dの入出力端T1は無線部41cに接続され、入出力端T2は内部アンテナAT0に接続され、入出力端T5はアンテナ接続端24を介してアンテナ接続モジュール50に接続される。
【0070】
スイッチSW1は、
図3に示すものと同様のものであり、信号処理部41bの制御の下で、入出力端T1に対して入出力端T2を接続するのか、或いは入出力端T5を接続するのかを切り替える。ここで、上述の通り、入出力端T2は内部アンテナAT0に接続され、入出力端T5はアンテナ接続モジュール50に接続されるため、スイッチSW1は、内部アンテナAT0を用いるのか、又は外部アンテナAT1〜AT4を用いるのかを切り替えるスイッチである。送受信切替部SRは、
図4に示すものと同じものである。
【0071】
図5に戻り、アンテナ接続モジュール50は、
図2に示すアンテナ接続モジュール30と同様に、無線モジュール40に対して複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能にするために用いられるモジュールであり、同軸ケーブルCB2を介して無線モジュール40に接続される。尚、上記の同軸ケーブルCB2としては、単一の芯線を有するシールドケーブルが用いられる。
【0072】
このアンテナ接続モジュール50は、
図2に示すアンテナ接続モジュール30と同様に、例えば高剛性アルミニウム等の剛性の高い金属によって形成された中空箱状のモジュールであり、複数のコネクタC11〜C14(第1コネクタ)及びコネクタC20(第2コネクタ)を備える。このアンテナ接続モジュール50は、その内部にスイッチ部51を備える。
【0073】
このスイッチ部51は、無線モジュール40からの制御信号(信号処理部41bから出力されてアンテナ接続端24及び同軸ケーブルCB2を介した制御信号)に基づいてコネクタC11〜C14に接続される外部アンテナAT1〜AT4の選択を行う。スイッチ部51は、
図3に示すスイッチSW3と同様のスイッチ、或いは
図3に示す通りスイッチSW2,SW3が接続されてなるスイッチと同様のスイッチを備えていても良い。このスイッチ部51は、無線モジュール40からの制御信号に応じて、外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つの外部アンテナを選択することも、外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択することも可能である。尚、スイッチ部51で選択された外部アンテナが、同軸ケーブルCB2を介して無線モジュール40に接続されることとなる。
【0074】
ここで、アンテナ接続モジュール50には、
図2に示すアンテナ接続モジュール30に接続される外部アンテナAT1〜AT4と同様のものが接続可能である。具体的には、線状アンテナ(例えば、スリーブアンテナ、ホイップアンテナ、八木アンテナ等)、平面アンテナ(例えば、パッチアンテナ)、開口面アンテナ(例えば、ホーンアンテナやパラボラアンテナ)等の任意のアンテナをアンテナ接続モジュール50に接続可能である。
【0075】
尚、本実施形態の無線機器2は、外部アンテナAT1〜AT4の切り替えや選択が、無線モジュール40の制御によってアンテナ接続モジュール50で行われる点において第1実施形態による無線機器1と相違するだけであり、第1実施形態の無線機器1とほぼ同様の動作によって無線信号の送受信が行われる。このため、無線機器2の動作の詳細な説明については省略する。
【0076】
以上の通り、本実施形態では、無線機器2を、信号処理モジュール10と、無線通信を行う無線モジュール40と、複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能なアンテナ接続モジュール50とに分けて構成し、信号処理モジュール10及び無線モジュール40の間で授受される信号を、ケーブルCBを介して送受信するようにしている。これにより、第1実施形態と同様に、無線モジュール40とアンテナ接続モジュール50及び外部アンテナAT1〜AT4とを余り離すことなく、これら無線モジュール40、アンテナ接続モジュール50、及び外部アンテナAT1〜AT4を信号処理モジュール10から離間して配置することができる。このため、内部アンテナAT0が設けられた無線モジュール40及び外部アンテナAT1〜AT4の設置場所の自由度を高めることができ、防爆規格を満たしつつ安定した無線通信を実現することができる。
【0077】
また、本実施形態では、複数の外部アンテナAT1〜AT4を接続可能なアンテナ接続モジュール50を無線モジュール40に接続し、無線モジュール40の制御によってアンテナ接続モジュール50で送受信に用いる外部アンテナAT1〜AT4を選択するようにしている。これにより、任意の外部アンテナAT1〜AT4を用いることができるとともに、外部アンテナAT1〜AT4の設置位置や設置角度を自由に設定することができる。よって、電場状態が良い場所に外部アンテナAT1〜AT4を設置すれば安定した無線通信を行うことができる。このように、本実施形態においても、防爆規格を満たしつつ、任意のアンテナを用いて安定した無線通信を実現することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態による無線モジュール及び無線機器について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態で説明した無線モジュール20,40は、複数の外部アンテナAT1〜AT4のうちの何れか1つを選択して無線信号の送受信を行い、或いは外部アンテナAT1〜AT4の全てを選択して無線信号の送受信を行うものであった、しかしながら、外部アンテナAT1〜AT4のうちの2つ又は3つの外部アンテナを選択して無線信号の送受信を行うものであっても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、信号処理モジュール10に電源が設けられており、信号処理モジュール10から無線モジュール20に電力が供給される例について説明した。しかしながら、信号処理モジュール10の電源を省略して、フィールド機器FDからの電力を信号処理モジュール10及び無線モジュール20に供給するようにしても良い。また、無線モジュール20に電源を設けても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、無線機器1が、工業プロセスにおける状態量として流体の流量を測定するものであるとして説明したが、本発明は、他の状態量(例えば、圧力、温度等)を測定する無線機器にも適用することができる。また、上記実施形態では、ISA100.11aに準拠した無線通信を行う無線機器を例に挙げて説明したが、本発明はWirelessHART(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線機器、Wi−Fi(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線機器、或いはZigBee(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線機器にも適用することができる。