(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転軸の回転中心は、前記正面から見て、前記本体ケースの左右方向の中心に対して、左側又は右側のいずれかの方向にずれた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
図1〜
図6を参照すると、本実施の形態に係る空気清浄機Aは、外郭を成す本体ケースCと、この本体ケースCに設けられる脱臭部60などの各種機能部品により構成されている。
この本体ケースCは、樹脂により形成された箱形状を成しており、前パネル10と前ケース20と後ケース40などの複数の部位により構成されている。
【0011】
前ケース20は、正面視形状が長方形で、所定の奥行き幅がある枠状のフレーム21が基体となり構成されている。このフレーム21の前面には、長方形の前開口22が形成されており、後面の開口は仕切板23により覆われている。
そして、この仕切板23には、後方に向いて開口する円形の後開口24が形成されている。つまり、前ケース20は、前開口22と後開口24とが連通した状態となっている。
尚、仕切板23の後開口24は、円形状であり、開口の中心は、本体を正面から見て左右方向の中心から左側にずれている。また、この後開口24は、後述する送風ファン44のファン開口44dに対向する位置に開口し、このファン開口44dの周囲にベルマウスを形成する。
【0012】
次に、前ケース20のフレーム21の下辺は、左右の2辺より前方に全体的に突出することで、下突出部25が形成されている。
また、フレーム21の上辺は、左右の2辺より前方に突出することで、上突出部28が形成されており、上辺の上部の前側には、複数の操作ボタンや表示部を形成するLEDなどからなる操作部26が設けられている。
そして、この操作部26に対応して、フレーム21の上辺の上部内側には、これらの操作ボタンやLEDが実装されている操作基板(図示せず)が設けられている。尚、この操作基板は、後述する制御部47に電気的に接続されている。
【0013】
次に、前パネル10は、正面視形状が長方形で、前ケース20の前開口22を正面から覆うことが可能な形状に構成されている。
また、前パネル10の前面に、左右方向に延びるスリットを形成することにより、前パネル10の前後方向に連通する空気吸込口11(以下、吸込口11)が形成されている。つまり、前パネル10は、前後方向に貫いて空気が流れることが可能なように、通気性が確保されている。
【0014】
次に、後ケース40は、正面視形状が長方形で、前面に前開口41が開口し、上面に空気吹出口42(以下、吹出口42)となる開口が形成され、後面43が閉鎖された箱型形状を成している。この吹出口42は、本体を正面から見て、右側に位置している。
そして、後面43には、室内空気を空気清浄機内部に取り込むための送風手段である送風ファン44と、この送風ファン44から流下する空気を空気吹出口42へと導く風路を形成するスクロール形状の仕切板45が設けられている。
【0015】
また、仕切板45の下側で、後ケース40と仕切板45で形成された空間には、空気清浄機Aの各部を所定のプログラムに基づき制御する制御部47が設けられている。
更に、後ケース40の内側の上部であって、吹出口42の近傍には、空気吹出口42から室内に向けて吹き出す空気の風向を変えたり、空気吹出口42を閉じたりするルーバー46が設けられている。
尚、吹出口42の開口部分は、ルーバー46を直接触れられないように、格子が取付けられている。
【0016】
次に、送風ファン44は、回転方向に対して、所定の幅を有する多数の羽が取付けられた多翼の羽を用いた多翼式ファン(シロッコファン)を用いている。つまり、送風ファン44は、回転軸から所定の半径の位置に多数の羽44aが位置している。
そして、送風ファン44は、羽44aを回転駆動させるモーター44bが、回転軸44cの向きが前方を向き、水平方向に伸びるように、後ケース40の後面43に取付けられている。
【0017】
また、周囲を羽44aに囲まれたファン開口44dは、前方に向けて開口している。
このように送風ファン44を後ケース40に取付けることで、送風ファン44は、回転軸44cの軸方向である前方を向くファン開口44dから空気を吸込み、送風ファン44の上方を含む、送風ファン44の径方向に空気を吐き出す。
尚、送風ファン44の回転中心は、本体を正面から見て、左右方向の中心より左側に偏った位置となっており、この状態でファン開口44dが後開口24と対向する。また、この送風ファン44は、本体正面から見て、左回転することにより、空気を吸い込むように構成されている。
【0018】
次に、仕切板45は、送風ファン44の周囲を囲むように、後ケース40の後面43から略垂直に立設しており、一端を空気吹出口42の開口縁である右端42a、他端を空気吹出口42の左端42bへと接続している。
つまり仕切板45は、送風ファン44の周囲を囲み、両端部が空気吹出口42の開口縁と接続することで袋状となり、送風ファン44から吹出される空気の風路を形成して、後ケース40に配置されている。
尚、仕切り板45により形成される吹出口42に至る風路は、送風ファン44を空気清浄機Aの本体の左右中心より左側に配置することで、仕切り板45とファン44の左側のスペースより、右側のスペースが広くなるように構成されている。
【0019】
この様に、送風ファン44と仕切板45を構成することにより、送風ファン44から吹出した空気は、送風ファン44の回転に伴い、左方向に回転しながら仕
切板45に沿って吹出口42へと至る。
この時、送風ファン44は、本体正面からみて左側に偏って配置され、送風ファン44の右側と仕切板45との間には、大きなスペースが形成されているので、送風ファン44から本体の右側上部に開口する吹出口42へと空気が効率よく流れることができる。
【0020】
つまり、送風ファン44から吹出口42へと至る空気の流れを、限られた本体の左右の幅内で、効率よく形成することができる。
尚、本実施の形態において、送風ファン44の中心が左側に、吹出口42の位置が右側に偏った形態で説明したが、送風ファンの中心が右側に、吹出口42が左側の形態でもよい。この場合、送風ファン44の左側と仕切り板の間隔が、送風ファン44の右側と仕切り板との間隔より広くなり、送風ファンが右回転する形態となる。
【0021】
次に、ルーバー46は、複数の板状の風向板46aと、この複数の風向板46aをそれぞれ繋いで風向板46aを所定の角度に動かすリンク機構46cと、このリンク機構46cを動かすモーターなどの駆動部(図示せず)から構成されている。
そして、ルーバー46は、複数の板状の風向板46aが、空気吹出口42の開口に所定の間隔を空けて、それぞれ平行となるように並んで配置されており、それぞれの風向板46aは、この風向板46aの両端に形成された軸46dで、空気吹出口42に軸支されている。
【0022】
尚、リンク機構46cを動かす駆動部は、後述する制御部47に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて、所定のプログラムで駆動されるものであり、これにより、ルーバー46の向きが変更される。
【0023】
次に、
図8〜
図9を参照すると、脱臭部60は、空気清浄機Aの内部に取り込んだ室内空気を通過させることにより、空気内部から臭気を取り除く部位であり、各種部品が設けられる基体となる枠体61と、脱臭エレメント62と、この脱臭エレメント62を局部的に加熱する加熱ユニット63と、脱臭エレメント62を動かして加熱ユニット63と脱臭エレメントの対向する部位の相対的位置関係を変更する位置変更手段である駆動手段64を有する。
【0024】
まず、枠体61は、正面視形状が長方形で、所定の奥行き幅がある枠状のフレームである。そして、枠体61の外形は、前ケース20の前開口22の内部に嵌め込むことができる大きさである。
また、枠体61の内部には、枠体61の開口を遮るように(開口を前後に仕切るように)中仕切板65が設けられている。
【0025】
そして、中仕切板65には、枠体61の前後に連通する円形状の開口65aが形成されている。この開口65aの中心には、中央支持体65bが位置し、この中央支持体65bから放射状に開口65aの開口縁と繋がる梁部65cが複数形成されている。この梁部65cは、中央支持体65bを支持するものである。また、中央支持体65bには、後方に突出する軸65jが設けられている。
ここで
図7を参照すると、開口65aの中心、つまり、中央支持体65bは、本体を前方から見て左右方向の中心上(中心線L上)に位置している。
【0026】
また、軸65jの近傍であって、中央支持体65bと梁部65cが接続する部位には、光センサー70が設けられている。この光センサー70は、発光部71と受光部72から構成されている。また、発光部71と受光部72は、軸65jを基準に、開口65aの径方向に並んで所定の間隔を空けて向かい合って配置されている。
この光センサー70は、制御部47と接続されており、発光部71が放った光を受光部72が検知した場合(ON状態)、検知信号が制御部47に送られる。
更に、開口65aの前側には、開口65a内に空気が流入可能な枠65hが設けられている。この枠65hは、後述する脱臭エレメント62に使用者が直接触れることを防止するためのものである。
【0027】
更に、中仕切板65の裏面(後面)には、開口65aを囲むように後方に向けて立設したリング状のガイド部65eが形成されている。
このガイド部65eの縁には、開口65aの内方に突出するように、後述する脱臭エレメント62をこのガイド部65e
に取付けた際に、脱臭エレメント62を受ける受部65fが設けられている。
【0028】
尚、ガイド部65eは、円形状の開口65aの円形の開口縁の外側に位置している。つまり、開口65aの縁とガイド部65eの間には、隙間rが形成される。また、ガイド部65eが形成するリングの直径は、後述する各部が設けられた脱臭エレメント62を内部に保持可能な程度の大きさである。
【0029】
そして、中仕切板65の開口65aの中央支持体65bの下方の領域であって、中央支持体65bを中心に、左右に等しく広がる所定の開角により形成される扇形の領域は、扇形状の蓋体65dにより覆われている。
尚、この蓋体65dはステンレスにより形成されており、中仕切板65の後面側(裏面側)から、梁部65cにネジなどにより固定される。
【0030】
また、蓋体65dは、脱臭エレメント62を介して、後述する加熱ユニット63と対向して位置するように配置され、加熱ユニット63のヒーターユニット63aと対向した状態において、ヒーターユニット63aを覆うことが可能な大きさとなっている。つまり、加熱ユニット63と蓋体65dとが対向することで、後述する脱臭エレメント62の加熱空間を形成している。
尚、蓋体65dには、熱放射率を向上させるための黒色の耐熱塗装が施されている。
【0031】
次に、
図10を参照すると、脱臭エレメント62は、平面形状が円板形状であり、セラミック又はアルミニウムにより形成された蜂の巣の開口のように複数の開口が形成されたハニカムコアに、バインダーで触媒が塗布又は含浸されたものである。
尚、この触媒は、白金系やマンガンを用いたものなど、臭気(特に、アンモニア臭)を吸着する性質を有する触媒を用いる。
【0032】
また、脱臭エレメント62の中心部には開口部62cが形成され、脱臭エレメント62が枠体61に設けられた際に前方を向く面である前面には、脱臭エレメント62を保持するステンレスにより形成されたエレメントフレーム62aが設けられている。
この脱臭エレメント62には、脱臭エレメント62の中心(開口部62cの中心)から所定の距離の位置に、複数の角度板62dが設けられている。角度板62dは、脱臭エレメント62の面に対して垂直に立設しており、それぞれの角度板62dの面は、脱臭エレメント62の中心を向いている。
【0033】
また、それぞれの角度板62dは、脱臭エレメント62の中心から同じ距離に位置し、隣り合う角度板62dと所定の間隔を空けて設けられている。つまり、これらの複数の角度板62dは、脱臭エレメント62の中心に、この中心を囲んで環状に配置されている。
また、本実施の形態において、それぞれの角度板62dは、脱臭エレメント62の中心に開角θが45度おきにとなるように、隣り合って配置されている。
尚、脱臭エレメント62の中心と角度板62dの距離は、前述した中央支持体65
b(軸65j)の中心と、発光部71と受光部72が向かい合って形成する隙間が位置する距離と等しい。
ここで、上記のよう
に脱臭エレメント62は、ハニカムコアにより形成され、前面に設けられたエレメントフレーム62aは所定の開口が形成されているので、脱臭エレメント62の内部を前後方向に貫いて空気が流れることができる。
【0034】
更に、脱臭エレメント62の周縁には、脱臭エレメント62を囲むように、ギア部62bが設けられている。
このギア部62bを含む脱臭エレメント62の直径は、中仕切板65に形成された円形状の開口65aの直径より大きくなるように構成されている。
【0035】
次に、
図13〜
図14を参照すると、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62を加熱する加熱手段であるヒーターユニット63aと、このヒーターユニット63aを内部に収納する所定の内部空間を有するケース63bから構成されている。
このヒーターユニット63aは、制御部47に電気的に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて通電制御されるものである。
【0036】
また、ヒーターユニット63aは、板状の発熱部63fと、この発熱部63fを熱するヒーター部63gから構成されている。更に、発熱部63fの平面形状は扇形状を成しており、表面にはヒーター部63
gから受けた熱の放射率を向上させるための耐熱塗装(黒色)が施されている。
つまり、ヒーターユニット63aは、ヒーター部63gで生じた熱を板状の発熱部63fが受け、板面全体から熱を放射することにより、対向する脱臭エレメント62をムラが少なく加熱する。
そして、ヒーターユニット63aは所定の時間通電された場合、ヒーターユニット63aから所定の隙間を介在して配置された脱臭エレメント62に対向した部位を、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去可能な所定の温度まで上昇させることができる加熱能力に設定してある。
【0037】
尚、ヒーター63gは、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックであるPTCヒーターを用いている。
このPTCヒーターは、自己温度制御性があり、外部からの温度制御を必要としないことから、サーモスタットのように断続的制御を行わないので、火花やノイズが発生せず、安定して使用することができる。
【0038】
次に、ケース63bは、ヒーターユニット63aを内部に保持する凹部63cと、この凹部63cの開口周縁から広がるフランジ部63dが形成されている。
凹部63cは、ヒーターユニット63aの平面形状と一致した扇形状を成しており、内部にヒーターユニット63aを凹部63cの開口に臨ませた状態でヒーターユニット63aが設けられている。フランジ部63dには、加熱ユニット63を所定の位置に取り付ける際に螺子を貫通させるための螺子穴63eが形成されている。
以上のように構成される加熱ユニット63は、平面形状がヒーターユニット63aの発熱部の形状に合わせて、扇形状に構成されており、凹部63cの開口も扇形状に構成されている。
【0039】
次に、
図8〜
図9を参照すると、駆動手段64は、脱臭エレメント62を回転させて加熱ユニット63と脱臭エレメントの対向する部位の相対的位置関係を変更する、つまり、加熱ユニット63と対向する脱臭エレメント62の部位を変更する位置変更手段である。
駆動手段64は、モーター64aと、このモーター64aを保持するブラケット64bからなる。モーター64aの回転軸には、ギアが取付けられている。また、モーター64aは、制御部47に電気的に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて通電制御されるものである。
【0040】
図4及び
図7〜
図9を参照すると、以上の脱臭エレメント62と加熱ユニット63と駆動手段64は、次のように枠体61に取付けられることにより、脱臭部60を構成する。
まず、枠体61の裏面より、中央支持体65bに設けられた軸65jに、脱臭エレメント62の開口部62cが軸受となって回転自在に嵌り込む。つまり、中央支持体65bは、脱臭エレメント62を回転自在に支持する。
【0041】
この様に脱臭エレメント62は中央支持体65bに取付けられるので、脱臭エレメント62の回転中心は、本体を正面から見て左右方向の中心に位置している。
また、送風ファン44の回転中心である回転軸44cは、本体を前方から見て左右方向の中心から左側にずれた位置にあるので、脱臭エレメント62の回転中心から送風ファン44の回転中心が左側にずれた状態となる。
【0042】
これにより、脱臭エレメント62は、枠体61の裏面(後面)に形成されているガイド部65eの内部に、脱臭エレメント62が開口65aに臨んだ状態(対面した状態)で、枠体61に対して回転自在に配置される。
そして、この状態において、ガイド部65eの縁に、開口65aの内方に突出するように、脱臭エレメント62を受ける受部65fが、脱臭エレメント62の回転方向の動きを大きく阻害しない程度に、脱臭エレメント62の後方(裏面)より保持する。
【0043】
このように、脱臭エレメント62が枠体61に取付けられることで、脱臭エレメント62は、中仕切板65の開口65aに臨んだ状態で、中仕切板65の裏面(隙間r)と、ガイド部65eと、受部65fに囲まれた空間の内部に回転自在に保持される。
尚、中央支持体65bに設けた軸65jと脱臭エレメント62の開口部62
cを、上記のように軸と軸受の関係となるように構成しなくても、脱臭エレメント62をガイド部65eにより保持する構造でもよい。
【0044】
図11〜
図12を参照すると、このように脱臭エレメント62が枠体61に保持された状態において、脱臭エレメント62の中心と角度板62dの距離は、中央支持体65
b(軸65j)の中心と、発光部71と受光部72が形成する隙間の距離と等しいことから、脱臭エレメント62が中央支持体65
bに取付けられることで、角度板62dが発光部71と受光部72が形成する隙間に位置可能となる。
これにより、角度板62dは、発光部71と受光部72の直接対向した状態を遮ることが可能となる。
【0045】
つまり、脱臭エレメント62が軸65jに支持されて回転することで、角度板62dが発光部71と受光部72の隙間を通過する。これにより、発光部71と受光部72を直接対向した状態にしたり(
図11(b)の状態)、対向した状態を遮ったりして(
図11(a)の状態)、脱臭エレメント62の回転角度によって、受光部72の光の検知・非検知状態を作ることができる。
この様に、発光部71と受光部72からなる光センサー70と角度板62dが前後に合わさることにより、脱臭フィルター62が回転した角度を検知する角度検知手段が構成される。
【0046】
本実施の形態の場合、脱臭エレメント62の中心から開角θが45度おきとなるように角度板62dが所定の間隔を空けては位置されているので、脱臭エレメント62が45度回転するごとに、発光部71から受光部72へと届く光が遮られる。
つまり、制御部へ送られる光の検知信号が、脱臭エレメント62が45度回転するごとに途切れる。
これにより、制御部は、脱臭エレメント62が回転した角度を正しく検出することが可能である。尚、上記の角度をより細かく設定すれば、より細かい脱臭エレメント62の回転した角度を検知できる。
【0047】
次に、上記のように枠体61に脱臭エレメント62が配置された状態で、脱臭エレメント62の一部を覆うように、枠体61に加熱ユニット63が次のように取付けられる。
まず、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の中心から下側の部位を跨いで脱臭エレメント62の回転を妨げないように配置される。
この状態において、加熱ユニット63のヒーターユニット63aが脱臭エレメント62に直接近接して対向するように、ヒーターユニット63aが設けられた凹部63cの開口が前方を向いている。
【0048】
そして、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の開口部62cに位置する中央支持体65bと、脱臭エレメント62の外側に位置する中仕切板65に形成された取付け位置に螺子止めされる。
尚、この状態において、加熱ユニット63と蓋体65dは、脱臭エレメント62を介して向かい合う位置関係となっている。また、平面視の形状が扇形である加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の回転中心から下側の領域を左右同じ面積となるように覆っている。
【0049】
以上のように構成することにより、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の回転方向の動きを阻害することなく、枠体61に固定される。
また、加熱ユニット63と蓋体65dが向かい合って枠体61に配置されるので、加熱ユニット63と蓋体65dの間に脱臭エレメント62を介在させた状態で、ヒーターユニット63aの熱を留める空間が形成される。更に、発熱部63fは、熱の放射率を向上させる塗装が施されているので、ヒーター部63gから受けた熱を効率よく放射する。
これにより、加熱ユニット63は、対向する脱臭エレメント62の部位を局所的に効率よく加熱することができるように構成されている。
【0050】
次に、駆動手段64は、モーター64aがブラケットに64bに保持された状態で、ブラケット64bが中仕切板65に固定される。この時、モーター64aの回転軸に取付けられたギアは、脱臭エレメント62に設けられたギア62bと歯合している。
また、駆動手段64の配置位置は、中仕切板65の裏面であって、開口65aと中仕切板65の角65gに挟まれた部位である。更に、この駆動手段64を設ける部位は、4つある角65gの内、加熱ユニット63から離れた上方に位置する角65gと開口65aにより挟まれた部位であるとよい。
【0051】
このように駆動手段64を設けることにより、制御部47による通電制御でモーター64aが駆動されることで、枠体61に対して脱臭エレメント62を回転させることが可能となり、脱臭エレメント62の加熱ユニット63と対向する部位を変更可能となる。
つまり、加熱ユニット63と脱臭エレメント62の相対的位置関係を変更可能とすることができる。
また、開口65aと角65gに挟まれた位置に駆動部64を設けたので、長方形の中仕切板65に形成された開口65aの周囲のデッドスペースを有効に利用できる。更に、加熱ユニット63から離れた位置に駆動手段64を設けたので、加熱ユニット63から生じる熱の影響を駆動部64が受けにくい構造とすることができる。
【0052】
次に、以上のように各部が構成された前パネル10と前ケース20と後ケース40と脱臭部60は、次のように他の機能部品と共に組み立てられることで、空気清浄機Aを構成する。
まず、後ケース40は開口41を前方に向けて、前ケース20の後面に取付けられる。この時、後ケース40に設けられた送風ファン44の開口44dは、前ケース20に設けられた仕切板23に形成された後開口24と、対向した位置関係となっている。また、後開口24の開口中心は、送風ファン44の回転軸の軸心と、前後に一致している。
【0053】
次に、脱臭部60は、枠体61が前ケース20の前開口22から前ケース20の内部に挿入されて、枠体61の外周が前ケース20の内部に保持されることにより、前ケース20に取付けられる。
このように脱臭部60が前ケース20に取付けられた状態において、脱臭部60の後面側(加熱ユニット63が取付けられている位置側)が、前ケース20の後開口24を向くように配置され、脱臭エレメント62と後開口24の間に、加熱ユニット63が位置することになる。
【0054】
ここで、脱臭エレメント62と、送風ファン44の開口44dの周囲にベルマウスを形成する前ケース20の仕切板23及び後開口24は、脱臭エレメント62から後開口24への空気の流れを妨げないために、所定の間隔Dを空けて対向している。
この様に、送風ファン44の空気を吸い込む部分と、脱臭エレメント62のような空気の流れの圧損物との距離を確保したので、脱臭エレメント62での風速分布の偏りをより平均化し,脱臭エレメント62による圧力損失の上昇を抑え,送風ファン44の空気を吸い込む効率を確保することができ、空力性能の悪化を抑えることができる。
尚、間隔Dは、40mm〜60mm程度の大きさである。
また、加熱ユニット63は、このようにして形成された間隔Dの部位に位置している。
【0055】
次に、前ケース20に取付けられた脱臭部60の枠体61の内方には、枠体61の開口と同程度の大きさであるHEPAフィルター12が設けられ、このHEPAフィルター12の前面を覆うようにプレフィルター13が設けられる。
そして、プレフィルター13の前面側に、前ケース20の上突出部28と下突出部25に挟まれて、前パネル10が設けられることで、空気清浄機Aが構成される。
【0056】
尚、HEPAフィルター12とは、空気中に含まれる花粉、ダニの糞、カビの胞子、ハウスダストなどの微細な塵埃を取り除くためのフィルターである。
また、プレフィルター13とは、HEPAフィルターで空気をろ過する前に、あらかじめ空気に含まれる大きな塵埃を取り除くための目の粗いフィルターであり、HEPAフィルターの効果を長期間保つ為のものである。
【0057】
次に、
図4を参照すると、以上のように構成された空気清浄機Aの内部には、室内空気を取り込み、この空気の清浄および脱臭を行い、室内へ放出する通風路Rが形成される。この風路Rについて、空気清浄機Aの空気清浄運転状態と、内部に取り込まれた空気の流れに沿って説明する。
まず、使用者が操作部26を操作することで、制御部47に対して入力を行うことにより、空気清浄機Aの運転を行う所定のプログラムが実行される。
【0058】
上記の運転開始後、送風ファン44が駆動されると、空気吸込口11から空気清浄機Aの内部に室内空気を取り込む吸込み力が生じ、室内空気が空気吸込口11へ流入する。
空気吸込口11から取り込まれた空気は、空気清浄機Aの内部を後方へと流れ、プレフィルター13で大きな塵埃が取り除かれた後、HEPAフィルター12で微細な塵埃が取り除かれる。
【0059】
次に、塵埃が取り除かれた空気は、更に後方へと流れて脱臭部60へ到達し、開口65aを通過して、この開口部65aに臨む位置に配置された脱臭エレメント62に至る。この脱臭エレメント62は、表面から裏面に至るハニカム形状の多数の開口が形成されており、表面に臭気を吸着する触媒が塗布されている。
【0060】
従って、臭気を含んだ空気が、脱臭エレメント62の表側から裏側へと通過する際に、ハニカム形状の開口を通過し、脱臭エレメント62に塗布された触媒が、空気に含まれる臭気を吸着することにより、空気から臭気が取り除かれる。
尚、「空気から臭気が取り除かれる」とは、空気から完全に臭気が無くなる状態のみならず、空気の脱臭エレメント62を通過する前の状態から臭気が減少した状態も含む。
ここで、上記のように空気清浄機Aを運転し続けることにより、脱臭エレメント62には、吸着した臭気が蓄積されていくことになり、吸着した臭気が増えるに従って、脱臭エレメント62の脱臭能力が低下していく。
【0061】
次に、塵埃と臭気が取り除かれた空気は、脱臭エレメント62から更に後方に流れ、前ケース20の仕切板23に開口する後開口24を通過して、この後開口24に対向して配置されている送風ファン44へと流れる。
送風ファン44へと流れる空気は、送風ファン44の軸方向前方から周囲を羽44aに囲まれたファン開口44dの内部へと流下し、送風ファン44の上方を含む送風ファン44の径方向へと送風ファン44の外部に吐き出される。
【0062】
送風ファン44から吐き出された空気は、後ケース40に仕切板45により導かれ、ルーバー46を通過する際に風向が整えられ、空気吹出口42から空気清浄機Aの上方向に向けて、空気清浄機Aの内部から清浄空気として吹き出される。
このように通風路Rは、空気吸込口11から水平方向に空気清浄機本体の後部へと繋がり、この後部で上方へと向きを変えて空気吹出口42へと至る風路である。
【0063】
つまり、通風路Rは、空気の流れを基準に見ると、脱臭エレメント62の上流側に、プレフィルター13やHEPAフィルター12などの塵埃濾過フィルターが配置され、脱臭エレメント62の下流側で、空気の流れの向きを上方に屈曲して変える位置である屈曲部が形成されている。この屈曲部に送風ファン44であるシロッコファンが位置している。
このシロッコファンは、ファンの回転軸方向から空気を取り込み、ファンの径方向へと取り込んだ空気を吐き出すので、室内空気を本体ケースCの前面から後方への直線的な流れを作り出すと共に、吹出口42に向けて効率よく風の向きを変えることができる。
【0064】
尚、脱臭エレメント62,プレフィルター13,HEPAフィルター12,送風ファン44の開口44dの前面は、通風路Rを流れる空気の向きに対して、垂直な向きに配置されている。
これにより、脱臭エレメントまで空気の流れがまっすぐで、各フィルター面に垂直に空気が当たるので空気の流れがよい構成となっている。
【0065】
ここで、開口65aの位置は、本体ケースCの正面の上下方向の中央に位置し、本体ケースCの正面視における投影面積Xと、開口65aの正面視における面積Yとの関係が、
Y≧0.6X
となるように構成されている。
【0066】
次に、以上のように、空気清浄運転(脱臭運転)したことにより、多くの臭気を吸着して脱臭性能が低下した脱臭エレメント62の脱臭性能を回復させるための動作(再生動作)について説明する。
制御部47は、所定のタイミング、例えば、運転開始又は前回行った脱臭エレメント62の脱臭性能回復動作からの累積運転時間が所定の時間を超えた場合、次のように脱臭性能回復動作を行う。
【0067】
送風ファン44が停止している状態、つまり、空気清浄機Aが空気清浄運転を終えた後、又は、空気清浄運転を行っていない状態において、制御部47はヒーターユニット63aに対して通電を行うことで、ヒーターユニット63aを発熱させ、ヒーターユニット63aと対向している脱臭エレメント62の部位を所定の温度まで上昇させて、所定の時間加熱する。
この脱臭エレメント62の加熱温度及び加熱時間は、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去させるのに十分な温度と時間である。
【0068】
尚、脱臭エレメント62の加熱される部位は、前面側が熱の放射率を向上させる塗装が施されている蓋体63dに覆われ、後面側が加熱ユニット63(ヒーターユニット63a)に覆われるので、ヒーターユニット63aから生ずる熱と、蓋体63dから放射される熱により、効率よく脱臭エレメント62を加熱することができる。
また、脱臭エレメント62は、ヒーターユニット63aと蓋体63dに挟まれて位置しているので、これら部材から放射される熱が、脱臭エレメント62の近傍に留まりやすく、より効率よく脱臭エレメント62を加熱することができる。
【0069】
次に、上記のように、加熱ユニット63と対向する部位の脱臭性能回復動作が終了すると、制御部47は脱臭ユニット62を回転させる駆動手段64を動作させて、脱臭ユニット62を所定の角度だけ回転させる。
この動作により、加熱ユニット63と対向していた脱臭エレメント62の加熱処理が終了した部位が、加熱エレメント63に対して回転方向にずれる。
【0070】
上記のような工程は制御部47により、次のような処理ステップを含む制御プログラムを用いて、各部を制御する。
まず、発光部71から受光部72への光が角度板62dで遮られた状態(前回の脱臭エレメントの再生工程が終了した状態)において、駆動手段64を駆動させて脱臭エレメント62を所定の方向へ回転させる。
【0071】
次に、脱臭エレメント62と共に回転する角度板62dが、次に発光部71から受光部72への光を遮ったことを制御部47が検知したとき、制御部47は駆動手段64を停止して、脱臭エレメント62の回転を停止する。
つまり、脱臭エレメント62が回転駆動されることで、初期の状態において受光部72への光を遮っていた角度板62dの脱臭エレメント62の回転方向とは逆側の隣にある角度板62dが、発光部71から受光部72への光を遮ることで、脱臭エレメント62は、所定の角度だけ回転して、停止した状態となる。
【0072】
次に、制御部47は、脱臭エレメント62が停止した状態において、加熱ユニット63を所定時間通電することにより、脱臭エレメント62と加熱ユニット63が対向している部位を加熱して、脱臭エレメント62の脱臭能力の回復を行う。
尚、上記の制御プログラムは、脱臭エレメントの位置変更手段である駆動手段を所定時間動作させても、再度、発光部からの光が角度板で遮られなければ、駆動手段の動作を停止して、所定のエラー表示を行う処理ステップを含んでもよい。
以上により、加熱処理が完了している脱臭ユニット62の部位が、加熱ユニット63と蓋体63dに挟まれた位置から外れると共に、新たに臭気を多く吸着した脱臭エレメント62の部位が、加熱ユニット63と蓋体63dに挟まれた部位に位置し、加熱されることにより脱臭能力が回復されることとなる。
【0073】
尚、脱臭ユニット62を回転させる開角θの角度は、扇形状であるヒーターユニット63aの加熱部63fの開角と同じか、又は、この開角より小さい角度がよい。つまり、隣り合う角度板と脱臭エレメント62の中心がなす角が、扇形状であるヒーターユニット63aの加熱部63fの開角と同じか、又は、この開角より小さい角度がよい。
このように回転角度を設定することで、脱臭ユニット62が1周回転する内に、脱臭ユニット62のいずれの部位も、加熱部63fの前に留まり加熱処理されることになる。
また、脱臭ユニット62を動かすタイミングは、加熱処理の後、直ぐに行ってもよく、また、次に行う空気清浄運転の直前に行ってもよい。
【0074】
以上のように空気清浄機Aの各部を構成することにより、次のような効果を得ることができる。
本実施の形態のように、脱臭エレメント62と、この脱臭エレメント62を局部的に加熱する加熱ユニット63との相対的位置関係を変更可能に構成することにより、加熱ユニット63を小型化することができる。
この加熱ユニット63の小型化のメリットは、例えば、脱臭エレメント62の全域を確実に加熱処理できるように、脱臭エレメント62の全域に対面するような、大型のヒーターを配置する必要がなく、構造の簡略化やコスト低減を可能とする。
【0075】
また、加熱ユニット63と脱臭エレメント62の相対的位置関係を変更可能であるので、脱臭エレメント62の全域を脱臭するにあたり、脱臭エレメント62と加熱ユニット63の対向する部位を変更すればよく、加熱ユニット63は脱臭エレメント62の全域を覆う必要がない。
つまり、常に脱臭エレメント62が加熱ユニット63と対向する部位は、限られた部分で済むことから、加熱ユニット63が脱臭エレメント62を流れる空気の流れの妨げを最小限ですむ。これにより、脱臭エレメント62に対して、より多くの空気を流すことが可能であり、より多くの臭気を一度に空気中から取り除くことができる。
【0076】
更に、脱臭エレメント62と加熱ユニット63の相対的位置関係を変更できるので、脱臭エレメント62の各部位に対して、確実に加熱ユニット63を対向させて加熱することが可能である。
これにより、脱臭エレメント62の各部位間の加熱ムラを少なくでき、脱臭エレメント62の脱臭能力を効率よく回復することが可能である。
特に、脱臭エレメント62を円盤型に形成し、この脱臭エレメント62の中心を空気清浄機本体の左右方向の中心と一致させて、脱臭エレメント62を本体に対して回転自在に設けたので、本体の左右方向の寸法を最大限利用して脱臭エレメント62を最大限大きくすることができ、より大きな脱臭エレメントの脱臭面積を確保することができる。
【0077】
更に、空気清浄機Aの吸込口11は本体の前面に形成され、吹出口42は本体の側面、天面、又は背面のいずれかに形成されている。
このように構成することにより、臭気の発生源に対して、大きく開口する吸込口11を対向しやすいので、より速く臭気を吸込み、室内空気から臭気を除去することができる。
また、吹出口11が本体の側面、天面、又は背面のいずれかに形成されるので、臭気の発生源に清浄された空気が流れ難く、臭気の拡散を防止することができる。
【0078】
更に、脱臭エレメント62は、本体ケースCに回転可能に支持され、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の表面に近接して本体ケースCに固定されている。
これにより、ヒーターユニット63a発熱する部位である加熱ユニット63が本体ケースCの内部を動かないことから、発熱させるための電源を供給する配線の取り回しや高温の部位が本体ケースCの内部で位置を変えることによる本体ケースC内部の広範囲にわたる熱対策を考慮する必要がない。
また、脱臭エレメント62が回転することで、加熱ユニット63と対向する面を変えるので、1つの方向にだけ脱臭エレメント62を動かすだけで、ムラ無く脱臭エレメント62の全面を加熱ユニット63に対向させることができる。
【0079】
更に、空気清浄機内部の固定側となる中央支持体に発光部71と受光部からなる光センサー70を設け、駆動手段により回転される脱臭エレメントに発光部71から受光部72への光を遮る角度板62dを所定の間隔で脱臭エレメントの中心を基準に環状に並べて設けたので、制御部は受光部72の光の検出の有無を検知することで、脱臭エレメント62の回転した角度を検知することができる。
これにより、脱臭エレメント62と対向する加熱ユニット63の大きさに応じて脱臭エレメント62の回転を制御することができるので、脱臭エレメント62の脱臭力を回復させる為の加熱処理のタイミングに応じて、脱臭エレメント62の加熱処理すべき領域に対して適切に加熱ユニット63を対向させることができる。
特に、角度板の脱臭エレメントの中心を基準とした配置間隔を加熱板の開角と同じか、これより小さい角度で設ければ、加熱板の開角と同じかそれ以下の回転角度で脱臭エレメントを回転制御できるので、むらなく加熱板と脱臭エレメントを対向させることが可能となる。これにより、脱臭エレメントの全面を途切れ目無く加熱処理することができる。
【0080】
更に、制御部47が用いる制御プログラムは、まず、発光部71から受光部72への光が角度板62dで遮られた状態において、駆動手段64を駆動させて脱臭エレメント62を所定の方向へ回転させる。次に、脱臭エレメント62と共に回転する角度板62dが、次に発光部71から受光部72への光を遮ったことを制御部47が検知したとき、制御部47は駆動手段64を停止して、脱臭エレメント62の回転を停止する。
つまり、脱臭エレメント62が回転駆動されることで、初期の状態において受光部72への光を遮っていた角度板62dの脱臭エレメント62の回転方向とは逆側の隣にある角度板62dが、発光部71から受光部72への光を遮る。これにより、脱臭エレメント62は、所定の角度だけ回転して停止した状態となる。
【0081】
次に、制御部47は、脱臭エレメント62が停止した状態において、加熱ユニット63を所定時間通電することにより、脱臭エレメント62と加熱ユニット63が対向している部位を加熱して、脱臭エレメント62の脱臭能力の回復を行う。
このように、脱臭エレメント62の加熱制御を行うので、脱臭エレメント62の加熱処理の対象となる部位を適切に加熱ユニット63に対向させて、加熱処理がなされない部位を出すことなく、加熱処理を行うことができる。
【0082】
また、この制御プログラムは、脱臭エレメント62の位置変更手段である駆動手段64を所定時間動作させても、再度、発光部71からの光が角度板で遮られなければ、駆動手段64の動作を停止して、所定のエラー表示を行う処理ステップを含んでもよい。
このような制御プログラムとすることにより、制御部47は位置変更手段を動作させても脱臭エレメント62が動作しなかった場合を認識できるため、エラーの表示や運転の停止などの適切な対応を行うことが可能となる。
【0083】
次に、脱臭エレメント62の形状は円板形状であるので、脱臭エレメント62の回転軸方向から見た面積に対して、脱臭エレメント62が回転する回転領域を最小にすることができる。
つまり、本体ケースCの内部の脱臭エレメント62の配置領域を小さくすることができる。
【0084】
また、脱臭エレメント62は回転することで加熱ユニット63と対向する面を変えることから、脱臭エレメント62の形状が円板形状であれば、加熱ユニット63のヒーターユニット63aは、脱臭エレメント62の直径方向の大きさが、少なくとも脱臭エレメント62の回転半径と同じか、これより小さいもので、脱臭エレメント62の多くの領域を加熱することが可能である。
【0085】
更に、脱臭エレメント62の形状が円板形状であるので、上記の効果を実現する構成を有しながらも、円形状は矩形の開口である本体ケースCの開口面積に対して、最も大きな領域を形成することが可能であることから、脱臭を可能とする領域をより大きく形成することができる。
これにより、より多くの空気が脱臭エレメント62を通って流れることができるので、脱臭力を維持しながら風量を大きくすることができる。
【0086】
次に、脱臭エレメント62には、アンモニアの分解機能がある触媒を表面に塗布又は含浸させている。これにより、ペット臭や病院や介護施設や介護現場などにおける介護臭をすばやく脱臭することが可能な空気清浄機を構成することが可能となる。
特に本実施の形態であれば、短時間の間に、より多くの空気から臭気を取り除くことができるので、病院や介護施設など多くの人が利用する場所における介護などの臭いのトラブルを迅速に解決することが可能である。
【0087】
次に、送風手段である送風ファンは通風路内部に位置し、脱臭エレメント62は、通風路Rの中で送風ファン44の上流側に位置し、送風ファン44と脱臭エレメント62の間に、加熱ユニット63が位置している。
このように構成されているので、脱臭エレメント62と送風ファン44の開口44dの周囲で生じる圧損(空気の流れの損失)を低減するために設けられたスペースを、加熱ユニット63の配置位置として用いることができる。
【0088】
次に、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62に対向する側が開口し、所定の内部空間を有するケース63bと、このケース63b内部空間に位置し開口を通じて熱を放射する電気ヒーターユニット63aとを備え、ヒーターユニット63aは、所定時間通電された場合、脱臭エレメント62の対向した部分を所定温度まで上昇させることができる加熱能力に設定してある。これにより、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去することが可能である。
また、上記のケース63bの形状は扇形となっている。これにより、脱臭エレメント62を覆う面積を必要最小限とすることができる。尚、扇形の開角は、脱臭エレメント62を回転させる際の1回の回転角度を目安に構成されている。
【0089】
次に、制御部47には、位置変更手段である駆動手段64を所定のタイミングで駆動して、脱臭エレメント62を回転させる制御プログラムを内蔵している。
これにより、脱臭エレメント62を加熱する際に、制御部47により自動的に脱臭エレメント62の脱臭すべき部位を加熱ユニット63に対向することができる。
【0090】
また、上記の制御プログラムは、駆動手段64を所定のタイミングで駆動して脱臭エレメントを所定の回転角度だけ回転した後停止させ、その停止状態で加熱ユニットを所定時間通電する処理ステップを有する。
これにより、脱臭エレメント62の回転から加熱に至る一連の動作を制御部47により自動的に行うことができる。
【0091】
次に、通風路Rには、脱臭エレメント62より上流側に塵埃濾過フィルター12,13が設置されており、本体ケースCの前面には、通気性を有する枠体である前パネル10が着脱可能に取り付けられ、この枠体を本体ケースCから取り外した状態で、塵埃濾過フィルターを本体ケースC前方に取り出すことが可能な構成である。
このように構成することにより、本体ケースCの前側から塵埃濾過フィルターを着脱することができるので、大きめな塵埃が付着しやすい塵埃濾過フィルターのメンテナンス性を向上することができる。
【0092】
次に、通風路Rは、脱臭エレメント62の下流側で上方に屈曲していると共に、この屈曲部に送風ファン44を配置し、この送風ファン44は、水平方向に伸びる回転軸を中心に回転し、本体ケースCの正面側から導入した空気を上方へも送り出す多翼式ファンである。
このような多翼式ファン(シロッコファン)は、ファンの回転軸方向から空気を取り込み、ファンの径方向へと取り込んだ空気を吐き出すので、室内空気を本体ケースCの前面から後方への直線的な流れを作り出すと共に、吹出口42に向けて効率よく風の向きを変えることができる。
【0093】
次に、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の回転中心より下側に位置するように本体に取付けられている。
このように、ヒーターユニット63aなどを有するある程度重量がある加熱ユニットを低い位置に配置することで、空気清浄機Aの重心を低くすることができる。これにより、床面に安定して設置することができる空気清浄機Aを構成することができる。
【0094】
この他に、開口65aの位置は、本体ケースCの正面の上下方向の中央に位置し、本体ケースCの正面視における投影面積Aと、吸込口の正面視における面積Bとの関係が、
「B≧0.6A」
となるように構成されている。
この関係は、本体ケースCの正面視の面積に対して、開口65a吸込口が室内空気を最大限取り込める関係であり、より室内空気を多く取り込み脱臭エレメント62へ流すことが可能な空気清浄機を構成することができる。
次に、以上のように構成された空気清浄機Aは、
図15〜
図17のように構成することで移動可能となっている。
以下詳述すると、本実施の形態に係る空気清浄機Aは、外郭を
なす本体ケースCと、この本体ケースCに設けられる脱臭部60などの各種機能部品により構成されている。
この本体ケースCは、樹脂により形成されており、前パネル10と前ケース20と後ケース40などの複数の部品により構成され、正面及び側面の平面形状が、縦長方形の外殻形状をなしている。
【0095】
そして、本体ケースCの底部には、4つの車輪90が設けられている。4つの車輪は、前ケース20の底部に2個、後ケース40の底部に2個ずつ設けられ、本体ケースCを前側から見て、本体ケースCの中心に左右対称となるようにそれぞれ左右に1つずつ配置されている。
【0096】
また、前ケース20を構成するフレーム21の上辺の上部の後側には、使用者が空気清浄機Aを移動する際に把持するハンドル91が設けられている。
このハンドル91は、その握り部91aの中心軸が本体ケースCの天面中央で、かつ左右方向を向くように設置されている。ハンドル91の本体ケースCに対する前後方向に位置は、加熱ユニット63と送風ファン44の間に位置している。また、握り部91aの床面からの高さLは、700mm以下の範囲に位置するように構成されている。
このように各部が配置された状態において、車輪90は少なくとも握り部91aの長手方向に回転自在となるように構成されている。
【0097】
以上のように、ハンドル91の握り部91aの長手方向に車輪が回転自在となるように本体ケースCに設けられることで、大型な空気清浄機Aであっても容易に押し引きすることが可能となる。
特に、ハンドル91の本体ケースCの前後位置が、加熱ユニット63と送風ファン44の間に位置していることから、重量密度が大きい部位の略中間位置にハンドル91が位置する。これにより、ハンドル91を握って空気清浄機を押し引きするときに、重量のバランスが比較的取れた位置を支点に空気清浄機Aを動かすことができる。
従って、使用者が運びやすい空気清浄機Aとすることができる。
【0098】
また、本実施の形態の空気清浄機Aは、ハンドル91の握り部91aの床面からの高さLが700mm以下となるように構成されている。
このように構成されているので、日本人の成人の指節点高(人が床面に立った状態で、床面から中指指節点までの垂直距離)の平均は、男性が約695mm、女性が約632mm、全体が約662mmであることから、性別に関係なく、使用者が大きくかがむことなく、握りやすいハンドル91の高さとなっている。
【0099】
更に、本実施の形態の空気清浄機Aの奥行きSは、約300mmとなっている。
このように構成されているので、日本人の成人の肩幅の平均は、男性が約426mm、女性が約394mm、全体が約409mmであることから、性別に関係なく、空気清浄機Aを側方より押し引きする際に、人の肩幅内に納まる。
これにより、空気清浄機Aは、狭い通路や場所においても、移動を容易に行うことができる。
【0100】
更に、一般家庭の廊下幅が約850mm〜900mmであることから、空気清浄機Aを横に向けて廊下においた場合、約550mm〜600mmのスペースを確保することができる。
従って、空気清浄機Aを一般家庭の廊下に設置しても、人や物が十分に通るだけのスペースを確保することができる。
【0101】
更に、介護施設の廊下幅が約1800mm以上あることから、空気清浄機Aを横に向けて廊下においた場合、約1500mmのスペースを確保することができる。
従って、空気清浄機Aを介護施設の廊下に設置しても、人や物が十分に通るだけのスペースを確保することができる。
また、一般的に用いられる車椅子は幅が約700mmであることから、介護施設の廊下に空気清浄機Aが設置されていても、車椅子同士のすれ違いが可能である。