(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉用可動接点に接触する前記開閉用固定接点と前記通電用可動接点に接触する前記通電用固定接点とを設けた固定接点端子に、前記開閉用固定接点と前記通電用固定接点とを仕切る第2スリットを設けるとともに、前記第2スリットに前記遮蔽板を配置したことを特徴する請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の電磁継電器では、部品精度および組立精度のバラツキにより、前記バネ装置33の接点ボタン37,37が前記端子31の接点ボタン34,34に同時に接離せず、一方の接点ボタン37が他方の接点ボタン37よりも早く開閉動作することがある。また、長期間、開閉動作を繰り返すことにより、一方の接点ボタン37が他方の接点ボタン37よりも早く開閉動作することがある。これらにより、例えば、接点ボタン37,37のうち、先に開閉する接点ボタン37から生じた消耗粉が、遅れて開閉する接点ボタン34に付着することにより、接触抵抗が増大して発熱するという問題点がある。
本発明に係る電磁継電器は、前記問題点に鑑み、接点の開閉動作に伴って生じた消耗粉を原因とする発熱を防止できる電磁継電器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電磁継電器は、前記課題を解決すべく、電磁石ユニットの通電に伴って往復移動する操作板を介し、並設した複数の可動接点を、それぞれに対向する並設した複数の固定接点に接離する電磁継電器であって、可動接触片の一端部を巾方向に2分割して形成した分割片に、前記可動接点をそれぞれ設け、複数の前記可動接点のうち、一方の前記可動接点である開閉用可動接点を、一方の前記固定接点である開閉用固定接点に先に接触させるとともに、他方の前記可動接点である通電用可動接点を、他方の前記固定接点である通電用固定接点に遅れて接触させるように配置する一方、2分割された前記分割片の間に形成された第1スリットに、
表裏面のうち、少なくとも前記開閉用可動接点に対向する面に凹凸を形成した遮蔽板を配置することにより、前記遮蔽板が、前記開閉用可動接点および前記開閉用固定接点と、前記通電用可動接点および前記通電用固定接点とが接触状態から開離状態に至るまでの間、前記開閉用可動接点および前記開閉用固定接点と、前記通電用可動接点および前記通電用固定接点とを遮蔽する構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一方の可動接点および固定接点の開閉動作に伴って消耗粉が生じても、前記消耗粉が他方の可動接点および固定接点に飛散,付着することを前記遮蔽板で防止できるので、接触抵抗が増大せず、発熱を防止できる。
【0007】
本発明によれば、前記可動接触片の分割片の間に配置された遮蔽板で、消耗粉が可動接点および固定接点に飛散,付着することを防止できるので、可動接点および固定接点の接触抵抗が増大せず、発熱を防止できる。
【0008】
本発明によれば、開閉用可動接点の開閉動作において生じた消耗粉が、遮蔽板で遮られ、通電用可動接点および通電用固定接点に飛散,付着することがない。このため、通電用可動接点および通電用固定接点の接触抵抗が増大せず、発熱を防止できる。
【0009】
本発明によれば、前記遮蔽板の表面積が増大することにより、接点開閉の際に生じた消耗粉を前記凹凸内に大量に係止できる。このため、絶縁距離を十分に確保でき、絶縁性能を高めることができる。
【0010】
本発明の実施形態としては、前記開閉用可動接点に接触する前記開閉用固定接点と前記通電用可動接点に接触する前記通電用固定接点とを設けた固定接点端子に、前記開閉用固定接点と前記通電用固定接点とを仕切る第2スリットを設けるとともに、前記第2スリットに前記遮蔽板を配置してもよい。
本実施形態によれば、開閉用固定接点と通電用固定接点との間に遮蔽板を正確に位置決めでき、消耗粉の飛散,付着を正確に防止できるので、接触抵抗の増大に伴う接点の発熱を確実に防止できる。
【0011】
本発明の新たな実施形態としては、前記遮蔽板を、複数の前記固定接点を収納するハウジングの挿入孔から挿入してもよい。
本実施形態によれば、前記ハウジングに遮蔽板を後付けできるので、組立性が向上する。
【0012】
本発明の他の実施形態としては、前記遮蔽板を前記操作板に一体形成しておいてもよい。
本実施形態によれば、部品点数,組立工数が減少し、生産性が向上する。
【0013】
本発明の別の実施形態としては、前記遮蔽板を絶縁材で形成しておいてもよい。
本実施形態によれば、絶縁特性がより一層向上する。
【0014】
本発明の異なる実施形態としては、前記凹凸は、複数本の並設した溝部で形成してもよい。
本実施形態によれば、接点開閉の際に生じた消耗粉が並設した複数本の溝部内に係止するので、長期間、消耗粉の飛散,付着を防止でき、絶縁性能を高めることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る電磁継電器の実施形態を、
図1ないし
図16に基づいて説明する。
第1実施形態に係る電磁継電器は、
図1ないし
図8に示すように、大略、ベース10、電磁石ユニット20、固定接点端子30、可動接触片ユニット50をカシメ固定した可動接点端子40、回動操作体60、操作板70、位置規制板80、絶縁性遮蔽板85およびカバー90で構成されている。
【0017】
前記ベース10は平面方形の箱形状を有し、
図2に示すように、その底面から仕切り壁11を突設するとともに、前記仕切り壁11の内向面の上方側に嵌合段部11aを形成してある。また、前記ベース10は、前記仕切り壁11で仕切られた一方の内部空間を形成する側壁に、一対の端子スリット12a,12bを設けてある。さらに、一方の前記内部空間には後述する可動接点端子40の一端部を圧入,固定するための圧入溝13を形成してある。また、前記ベース10は、前記仕切り壁11で仕切られた他方の内部空間に、後述する電磁石ユニット20を位置決めするための位置決め突部14および位置決めリブ(図示せず)を設けてある。前記位置決め突部14および位置決めリブには、その上端面に位置決め孔14aおよび位置決め孔(図示せず)をそれぞれ設けてある。さらに、前記ベース10は、対角線上の隅部に取付孔16,16を設けてあるとともに、前記取付孔16の両側に位置する外側面に係止突起17をそれぞれ設けてある。そして、前記ベース10は前記端子スリット12a,12bを設けた側面に隣接する側面に、後述する絶縁性遮蔽板85を挿通できる挿入孔18を設けてある(
図3)。
【0018】
電磁石ユニット20は、
図2,3に示すように、両端に鍔部21a,21bを有し、かつ、コイル22を巻回したスプール21の貫通孔に鉄芯23を挿通し、突出する両端部に断面略L字形状のヨーク24,25をそれぞれカシメ固定してある。前記鍔部21bの同一辺の縁部に3本のコイル端子26a,26b,26cを圧入,固定してある。そして、
図2に示すように、前記ベース10に前記電磁石ユニット20を前記仕切り壁11、位置決め突部14および位置決めリブ(図示せず)を介して位置決めし、組み付けられる。
【0019】
前記固定接点端子30は、
図2に示すように、その一端部に開閉用固定接点31と通電用固定接点32とをカシメ固定してあるとともに、その他端部を端子部33としてある。前記開閉用固定接点31は、例えば、銀のような導電性に優れた金属材料で形成されている。さらに、前記開閉用固定接点31は、前記固定接点端子30から突出する高さ寸法が前記通電用固定接点32の突出する高さ寸法よりも大きいとともに、前記通電用固定接点32よりも大径である。特に、前記開閉用固定接点31の表面を被覆する銀材の厚さは、前記通電用固定接点32の表面を被覆する銀材の厚さよりも厚い。また、前記固定接点端子30は、前記開閉用固定接点31と前記通電用固定接点32との間に第2スリット34を設けてある。
【0020】
前記可動接点端子40は、その一端部に設けたカシメ突起41(
図4B)を介して前記可動接触片ユニット50の一端部をカシメ固定してあるとともに、その他端部を端子部42としてある。また、前記可動接点端子40は前記端子部42の側面に沿う延長線上に第3スリット43を設けてある。
【0021】
前記可動接触片ユニット50は、
図4に示すように、4枚の第1,第2,第3,第4可動接触片51,52,53,54を積層し、それらの一端部を前記可動接点端子40のカシメ突起41でカシメ固定したものである。そして、前記可動接触片ユニット50は、
図3に示すように、第1スリット50aで巾方向に2分割して形成した第1,第2分割片55,56の自由端部に、開閉用可動接点57および通電用可動接点58をそれぞれカシメ固定してある。
前記開閉用可動接点57は、例えば、銀のような導電性に優れた金属材料で形成されている。また、前記開閉用可動接点57は、前記可動接触片ユニット50から突出する高さ寸法が前記通電用可動接点58の突出する高さ寸法よりも大きいとともに、前記通電用可動接点58よりも大径である。特に、前記開閉用可動接点57の表面を被覆する銀材の厚さは、前記通電用可動接点58の表面を被覆する銀材の厚さよりも厚い。さらに、前記第1,第2分割片55,56はいずれも、その基部に略U字形状に板厚方向に屈曲した屈曲部55a,56aを形成してある。そして、可動接触片ユニット50は、その一端側角部に切り欠き部50bを形成してある。
【0022】
なお、本実施形態では、前記開閉用固定接点31,前記開閉用可動接点57の両方が、前記通電用固定接点32,前記通電用可動接点58よりも突出する高さ寸法がそれぞれ大きい場合を説明した。しかし、必ずしも前述のものに限らず、前記開閉用固定接点31,前記開閉用可動接点57の少なくともいずれか一方が、前記通電用固定接点32,前記通電用可動接点58よりも高さ寸法が大きければよい。
また、前記開閉用固定接点31,前記開閉用可動接点57の両方、および、前記通電用固定接点32,前記通電用可動接点58の両方がそれぞれ同一形状を有していてもよい。
さらに、前記可動接触片ユニット50は少なくとも2枚の可動接触片で形成されていればよいことは勿論である。
【0023】
前記第1可動接触片51は、
図4に示すように、一端側を巾方向に2分割して分割片51a,51bを形成するとともに、前記分割片51a,51bの基部を略U字形状に屈曲した屈曲部51cを形成してある。また、前記第1可動接触片51は、その他端縁部に複数個のカシメ孔51dを並設してあるとともに、その他端角部に切り欠き部51eを形成してある。また、前記分割片51a,51bは、その自由端部のうち、前記開閉用可動接点57および前記通電用可動接点58をそれぞれ設ける領域の周囲に半円形状のスリット51fをそれぞれ設けてある。さらに、前記スリット51fの外側に位置する切り残した領域を曲げ起こすことにより、弾性変形可能な折り曲げ片51gを形成してある。
【0024】
本実施形態によれば、開閉用可動接点57および通電用可動接点58を設けた領域を囲むように略U字形状のスリット51fを設けてあり、前記スリット51fの外側に位置する切り残した領域を曲げ起こして弾性変形可能な折り曲げ片51gとしてある。このため、前記スリット51fおよび前記折り曲げ片51gの形成の仕方によって接圧を調整できる。
なお、前記スリット51fは必ずしも半円形状である必要はなく、少なくとも1本の真直なスリットであってもよい。
【0025】
前記第2可動接触片52は、
図4に示すように、一端部を巾方向に2分割して分割片52a,52bを形成するとともに、前記分割片52a,52bの基部を略U字形状に屈曲した屈曲部52cを形成してある。また、前記第2可動接触片52は、その他端縁部に複数個のカシメ孔52dを並設してあるとともに、その他端角部に切り欠き部52eを形成してある。
【0026】
前記第3可動接触片53は、
図4に示すように、一端側を巾方向に2分割して分割片53a,53bを形成するとともに、前記分割片53a,53bの基部を略U字形状に屈曲した屈曲部53cを形成してある。また、前記第3可動接触片53は、その他端縁部に複数個のカシメ孔53dを並設してあるとともに、その他端角部に切り欠き部53eを形成してある。
【0027】
前記第4可動接触片54は、
図4に示すように、一端側を巾方向に2分割して分割片54a,54bを形成するとともに、前記分割片54a,54bの基部を略U字形状に屈曲した屈曲部54cを形成してある。また、前記第4可動接触片54は、その他端縁部に複数個のカシメ孔54dを並設してあるとともに、その他端角部に切り欠き部54eを形成してあり、残る他端角部に圧入突起54fを突き出し加工で形成してある。
そして、一方の前記分割片54aの先端部には、後述する操作板70の係合腕部72に上下に係合するための一対の位置規制舌片54g,54gを同一方向に折り曲げてある。
さらに、同様に、他方の分割片54bの先端部には、後述する操作板70の係合腕部72を上下から位置決めするための一対の位置規制舌片54h,54hを同一方向に折り曲げてある。一方の前記位置規制舌片54hには、その両端部を曲げ起こすことにより、巾方向の位置規制を行う位置規制リブ54i,54iを形成してある。
【0028】
そして、前記ベース10の圧入溝13に、可動接触片ユニット50をカシメ固定した可動接点端子40の一端部を圧入する場合には、前記ベース10に設けた圧入溝13に前記可動接点端子40の一端部を上方から位置決めして挿入する。このとき、前記圧入溝13の巾寸法よりも、カシメ突起41を含めた前記可動接点端子40の一端部の厚さ寸法が小さいので、削り屑を形成することなく、スムーズに組み付けることができる。特に、前記可動接触片ユニット50の一端側の角部に切り欠き部50bを設けてあるので、圧入作業がより一層容易である。
さらに、前記可動接点端子40の一端部を前記圧入溝13に挿入すると、圧入突起54fを含めた可動接点端子40の厚さ寸法が、前記圧入溝13の巾寸法よりも大きいか、等しいので、大きな抵抗を感じることができる。さらに、前記可動接点端子40を押し込むと、前記可動接点端子40の下端縁部が圧入溝13の内側面に形成した削り代部(図示せず)に食い込み、強固に保持される。
【0029】
前述の実施形態では、可動接触片ユニット50の第4可動接触片54に2個の圧入突起54fを形成した場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも1つあればよく、また、第4可動接触片54の一端部の両側縁部に2個ずつ、計4個の圧入突起54fを形成してもよい。
【0030】
回動操作体60は、
図2および
図3に示すように、図示しない永久磁石を挟持する2枚の第1,第2可動鉄片61,62を一体成形したものであり、その上下面に回動軸部63,64を同一軸心上に突設してある一方、その側面に操作腕部65を突設してある。
そして、前記回動操作体60は、その回動軸部63を前記ベース10の底面に設けた軸受け凹部(図示せず)に嵌合する一方、前記第1,第2可動鉄片61,62の両端を前記電磁石ユニット20の磁極部24a,25aに交互に接離可能に配置する(
図8B)。
【0031】
操作板70は、
図2および
図3に示すように、その一端部に前記回動操作体60の操作腕部65に係合可能な平面方形の係合孔71を設けてある一方、その他端部に係合腕部72を延在して係合スリット73を形成してある。特に、前記係合腕部72には一対の位置規制突起74,74を突設してある。
そして、前記操作板70の係合孔71を前記回動操作体60の操作腕部65に係合する一方、前記係合スリット73に前記可動接触片ユニット50の自由端部を係合する。特に、前記係合腕部72に、第4可動接触片54の分割片54aに設けた一対の位置規制舌片54g,54gを係合するとともに、分割片54bに設けた一対の位置規制舌片54h,54hを係合する。
さらに、前記位置規制舌片54hに形成した位置規制リブ54iが、前記係合腕部72の一対の位置規制突起74,74の間に位置決めされ、可動接触片ユニット50が巾方向に位置ズレを生じないので、動作特性の良い電磁継電器が得られる。
【0032】
位置規制板80は、
図2および
図3に示すように、前記位置決め突部14および前記位置決めリブ(図示せず)に架け渡し可能な平面形状を有している。そして、前記位置規制板80は、その下面の両端部に、前記位置決め突部14の位置決め孔14aおよび前記位置決めリブの位置決め孔(図示せず)にそれぞれ嵌合可能な位置決め突部81,82を突設してある。また、前記位置規制板80は、その中央部に、前記回動操作体60の回動軸部64に嵌合可能な貫通孔83を設けてある。
【0033】
絶縁性遮蔽板85は、
図3に示すように、前記ベース10の挿入孔18から挿入可能な形状を有するとともに、その一端部に位置規制リブ86を一体成形してある。そして、前記ベース10の挿入孔18に前記絶縁性遮蔽板85を挿通することにより、
図6Bに示すように、固定接点端子30の第2スリット34および前記可動接触片ユニット50の第1スリット50aを通過するとともに、可動接点端子40の第3スリット43に到達する。これにより、前記絶縁性遮蔽板85が前記第2スリット34,前記第1スリット50a,前記第3スリット43内に位置し、開閉用固定接点31および開閉用可動接点57と、通電用固定接点32および通電用可動接点58とが前記絶縁性遮蔽板85で仕切られる。
なお、前記絶縁性遮蔽板85は、
図7Bに示すように、その挿通される部分の表裏面のうち、少なくとも前記開閉用固定接点31および前記開閉用可動接点57に対向する片面に複数本の溝部87を並設し、表面積を増大させることにより、絶縁性を高めるようにしてもよい。
【0034】
カバー90は、
図2および
図3に示すように、前記ベース10の開口部を被覆可能な平面形状を有し、その天井面の対向する隅部に貫通孔91aを備えた取付筒部91,91を突設してある。また、前記カバー90は、外周縁部のうち、前記ベース10の前記係止突起17に対応する位置に弾性爪部92をそれぞれ形成してある。さらに、前記カバー90は、その天井面に前記ベース10の仕切り壁11に設けた嵌合段部11aに嵌合する突条93を形成してある。
そして、前述の内部構成部品を組み込んだ前記ベース10に前記カバー90を上方から位置決めする。ついで、前記カバー90の取付筒部91を前記ベース10に設けた取付孔16に嵌合するとともに、前記カバー90の弾性爪部92を前記ベース10の係止突起17に係止することにより、組立作業が完了する。
【0035】
本実施形態によれば、大径の開閉用可動接点57がベース10の開口部側に配置されているので、組立工程における検査および調整がしやすく、生産性が高いという利点がある。
【0036】
次に、本実施形態に係る電磁継電器の動作について説明する。
図8A,8Bは動作途中の状態を示している。このため、最初に、永久磁石の磁力により、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aにそれぞれ吸着した状態から説明を始める。
まず、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aにそれぞれ吸着すると、前記回動操作体60の操作腕部65に係合している操作板70は復帰位置にある。このため、開閉用および通電用可動接点57,58が、開閉用および通電用固定接点31,32から開離している。このとき、開閉用固定接点31と開閉用可動接点57との対向距離は、通電用固定接点32と通電用可動接点58との対向距離よりも短い。
【0037】
そして、前記コイル22に前記永久磁石の磁力を打ち消す方向に電圧を印加して励磁すると、永久磁石の磁力に抗して前記回動操作体60が回動する。このため、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aから開離する。その後、第1可動鉄片61の他端部61bおよび第2可動鉄片62の一端部62aがヨーク25,24の磁極部25a,24aにそれぞれ吸着する。この結果、回動した回動操作体60の操作腕部65が操作板70をスライド移動させ、前記操作板70の係合スリット73の内側面が第1可動接触片51の折り曲げ片51g,51gを同時に押圧する。このため、開閉用可動接点57および通電用可動接点58が可動接点端子40にカシメ固定された部分を中心に回動する。そして、開閉用可動接点57が開閉用固定接点31に先に当接した後(
図6B)、通電用可動接点58が通電用固定接点32に接触する。さらに、操作板70が可動接触片ユニット50の折り曲げ片51gを押し込む。このとき、通電用可動接点58を設けた分割片51bに設けた折り曲げ片51gは、分割片51aに設けた折り曲げ片51gよりも短く、バネ定数が大きい。このため、通電用可動接点58に対する押し込み量が開閉用可動接点57よりも少ないにも拘わらず、開閉用可動接点57および通電用可動接点58が開閉用固定接点31および通電用固定接点32に最終位置において同一の接点圧でそれぞれ圧接する。
ついで、前記コイル22に対する電圧の印加を停止しても、永久磁石の磁力によって前記回動操作体60が、その状態を保持する。
【0038】
さらに、前記永久磁石の磁力を打ち消す方向に磁束が生じるように前記コイル22に電圧を印加すると、前記回動操作体60が逆方向に回動することにより、操作腕部65が操作板70を引き戻し、前記操作板70の係合腕部72が可動接触片ユニット50の自由端部を引き戻し、元の位置に復帰する。
【0039】
本実施形態によれば、開閉用可動接点57と開閉用固定接点31との間にアークが生じても、その材料特性によって損傷しにくいとともに、通電用可動接点58と通電用固定接点32との間にアークが発生することがない。このため、接点摩耗によって接点寿命が短くなることがないとともに、安定した通電特性を有する電磁継電器が得られる。
また、開閉用可動接点57と開閉用固定接点31との間にアークが生じても、絶縁性遮蔽板85が、前記開閉用可動接点57および前記開閉用固定接点31と、通電用固定接点32および通電用可動接点58とを仕切っている。このため、アークの発生に伴って生じた消耗粉が前記通電用固定接点32および前記通電用可動接点58に付着することがなく、接触抵抗が増大せず、発熱しにくい電磁継電器が得られる。
さらに、前記絶縁性遮蔽板85の先端部が可動接点端子40の第3スリット43にまで挿通され、前記絶縁性遮蔽板85は両端支持されているので、位置決め精度が高く、脱落しにくいという利点がある。
【0040】
第2実施形態は、
図9ないし
図16に図示するように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、
図10および
図11に示すように、操作板70に絶縁性遮蔽板85を一体形成した点である。
本実施形態によれば、絶縁性遮蔽板85が操作板70に一体形成されているので、部品点数,組立工数が減少し、生産性が向上するという利点がある。
なお、前記絶縁性遮蔽板85は操作板70に一体形成されるので、ベース10には挿入孔を設けていない。
【0041】
前記操作板70は、
図15Aに図示するように、その一端部に一対の係合腕部75,76を側方に平行に突設することにより、係合スリット73を形成してある。前記係合スリット73,73には可動接触片ユニット50の第1,第2分割片55,56をそれぞれ係合可能としてある。
なお、前記絶縁性遮蔽板85は、
図15Bに示すように、その挿通される部分の表裏面のうち、少なくとも前記開閉用固定接点31に対向する片面に複数本の溝部87を並設し、表面積を増大させることにより、絶縁性を高めるようにしてもよい。
【0042】
また、第2実施形態は、
図10および
図11に示すように、固定接点端子30、可動接点端子40および可動接触片ユニット50に、第1実施形態と同様、前記絶縁性遮蔽板85を挿通するための第2スリット34,第3スリット43,第1スリット50aをそれぞれ設けてある。なお、前記可動接点端子40に後述する前記操作板70を挿通できる貫通孔44を設けることにより、第1実施形態よりも可動接点端子40の機械的強度を高めてある。
【0043】
前記可動接触片ユニット50は、
図12に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様である。
異なる点は、前記第4可動接触片54の一方の前記分割片54aの先端部に、後述する操作板70の係合腕部75に上下から係合するための一対の位置規制舌片54g,54gを同一方向に折り曲げた点である。
また、他の異なる点は、他方の分割片54bの先端部に、後述する操作板70の係合腕部75を上下から位置決めするための一対の位置規制舌片54h,54hを同一方向に折り曲げた点である。
他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分に同一番号を付して説明を省略する。
【0044】
次に、第2実施形態に係る電磁継電器の動作について説明する。
図16A,16Bは動作途中の状態を示している。このため、最初に、永久磁石の磁力により、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aにそれぞれ吸着した状態から説明を始める。
まず、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aにそれぞれ吸着すると、前記回動操作体60の操作腕部65に係合している操作板70は復帰位置にある。このため、開閉用および通電用可動接点57,58が、開閉用および通電用固定接点31,32から開離している。このとき、開閉用固定接点31と開閉用可動接点57との対向距離は、通電用固定接点32と通電用可動接点58との対向距離よりも短い。
【0045】
そして、前記コイル22に前記永久磁石の磁力を打ち消す方向に電圧を印加して励磁すると、永久磁石の磁力に抗して前記回動操作体60が回動する。このため、第1可動鉄片61の一端部61aおよび第2可動鉄片62の他端部62bが、ヨーク24,25の磁極部24a,25aから開離する。その後、第1可動鉄片61の他端部61bおよび第2可動鉄片62の一端部62aがヨーク25,24の磁極部25a,24aにそれぞれ吸着する。この結果、回動した回動操作体60の操作腕部65が操作板70をスライド移動させ、前記操作板70の係合スリット73の内側面が第1可動接触片51の折り曲げ片51g,51gを同時に押圧する。このため、開閉用可動接点57および通電用可動接点58が可動接点端子40にカシメ固定された部分を中心に回動する。そして、背の高い開閉用可動接点57が開閉用固定接点31に先に当接した後(
図16B)、通電用可動接点58が通電用固定接点32に接触する。さらに、操作板70が可動接触片ユニット50の折り曲げ片51gを押し込む。このため、開閉用可動接点57および通電用可動接点58が開閉用固定接点31および通電用固定接点32に所定の接点圧でそれぞれ圧接する。
ついで、前記コイル22に対する電圧の印加を停止しても、永久磁石の磁力によって前記回動操作体60が、その状態を保持する。
【0046】
さらに、前記永久磁石の磁力を打ち消す方向に磁束が生じるように前記コイル22に電圧を印加すると、前記回動操作体60が逆方向に回動することにより、操作腕部65が操作板70を引き戻し、前記操作板70の係合腕部72が可動接触片ユニット50の自由端部を引き戻し、元の位置に復帰する。
【0047】
本実施形態によれば、開閉用可動接点57と開閉用固定接点31との間にアークが生じても、その材料特性によって損傷しにくいとともに、通電用可動接点58と通電用固定接点32との間にアークが発生することがない。このため、接点摩耗によって接点寿命が短くなることがないとともに、安定した通電特性を有する電磁継電器が得られる。
また、開閉用可動接点57と開閉用固定接点31との間にアークが生じても、絶縁性遮蔽板85が、前記開閉用可動接点57および前記開閉用固定接点31と、通電用固定接点32および通電用可動接点58とを仕切っている。このため、アークの発生に伴って生じた消耗粉が前記通電用固定接点32および前記通電用可動接点58に付着することがなく、接触抵抗が増大せず、発熱しにくい電磁継電器が得られるという利点がある。
【解決手段】電磁石ユニットの通電に伴って往復移動する操作板を介し、並設した複数の可動接点を、それぞれに対向する並設した複数の固定接点に接離する電磁継電器である。特に、接離可能に対向する一方の前記可動接点57および前記固定接点31と、接離可能に対向する他方の前記可動接点58および前記固定接点32との間に、遮蔽板85を配置した。