特許第5773052号(P5773052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5773052
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20150813BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150813BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20150813BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20150813BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20150813BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20150813BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20150813BHJP
【FI】
   G06F3/12 338
   G06F3/12 322
   H04N1/00 C
   G03G21/00 388
   B41J29/00 Z
   B41J29/38 Z
   B41J29/42 F
   G06F21/31
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-232700(P2014-232700)
(22)【出願日】2014年11月17日
【審査請求日】2014年11月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 友梨
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−143091(JP,A)
【文献】 特開2010−262454(JP,A)
【文献】 特開2014−111353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06F 21/31
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、
自装置を操作するために用いられる画像を表示する表示手段と、
前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記表示手段により表示されている画像を、前記第1のユーザが操作を続けるか、または、前記第2のユーザに操作をさせるかを前記第1のユーザに選択させるための選択画像に切り替える処理を行う処理手段と
を有し、
前記認証手段は、前記選択画像において、前記第1のユーザが操作を続ける選択がされた場合、自装置が提供するサービスの利用を開始するための操作を前記第1のユーザがしたときに当該第1のユーザの認証を解除する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記第1のユーザが前記操作をしたときに当該第1のユーザの認証が解除されると、前記認証手段における前記第2のユーザの認証のための画像を表示する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記選択画像において、前記第2のユーザに操作をさせる選択がされた場合、前記認証手段における前記第2のユーザの認証のための画像を表示する
請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、
前記認証手段によるユーザの認証が解除されると、自装置を節電状態に遷移させる遷移手段と、
前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの認証が解除されてから前記遷移手段が自装置を節電状態に遷移させるまでの時間を延長する処理を行う処理手段と
を有する情報処理装置。
【請求項5】
ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段であって、画像を形成するのに備える処理を予め定められた頻度で行う画像形成手段と、
前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの次に前記認証手段により認証されたユーザの認証が解除されるまで前記処理が行われないように前記画像形成手段を制御する処理を行う処理手段と
を有する情報処理装置。
【請求項6】
ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、
自装置を操作するために用いられる画像を表示する表示手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された記録媒体を排出する排出手段と、
前記検知手段により前記第2のユーザが検知されないと、第1の排出口から前記記録媒体が排出されるように前記排出手段を制御し、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1の排出口に比べて、前記表示手段から離れた位置にある第2の排出口から前記記録媒体が排出されるように前記排出手段を制御する処理を行う処理手段と
を有する情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
ユーザを認証するステップと、
第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、
自装置を操作するために用いられる画像を表示するステップと、
前記第2のユーザが検知されると、表示されている画像を、前記第1のユーザが操作を続けるか、または、前記第2のユーザに操作をさせるかを前記第1のユーザに選択させるための選択画像に切り替えるステップと、
前記選択画像において、前記第1のユーザが操作を続ける選択がされた場合、自装置が提供するサービスの利用を開始するための操作を前記第1のユーザがしたときに当該第1のユーザの認証を解除するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
ユーザを認証するステップと、
第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、
前記ユーザの認証が解除されると、自装置を節電状態に遷移させるステップと、
前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの認証が解除されてから自装置が前記節電状態に遷移するまでの時間を延長するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザを認証するステップと、
第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、
記録媒体に画像を形成する画像形成部が、前記画像を形成するのに備える処理を予め定められた頻度で行うステップと、
前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの次に認証されたユーザの認証が解除されるまで前記処理が行われないように前記画像形成部を制御するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザを認証するステップと、
第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、
自装置を操作するために用いられる画像を表示部に表示するステップと、
記録媒体に画像を形成するステップと、
画像が形成された記録媒体を排出するステップであって、前記第2のユーザが検知されないと、第1の排出口から前記記録媒体を排出し、前記第2のユーザが検知されると、前記第1の排出口に比べて、前記表示部から離れた位置にある第2の排出口から前記記録媒体を排出するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザを検知するためのセンサまたはカメラを情報処理装置に搭載することが知られている。特許文献1には、カメラによりユーザの顔画像を撮影し、当該顔画像に基づいて認証を行うことにより、情報出力装置へのログインを簡便にする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−133847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、情報処理装置により認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、予め定められた処理が行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る情報処理装置は、ユーザを認証する認証手段と、前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、自装置を操作するために用いられる画像を表示する表示手段と、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記表示手段により表示されている画像を、前記第1のユーザが操作を続けるか、または、前記第2のユーザに操作をさせるかを前記第1のユーザに選択させるための選択画像に切り替える処理を行う処理手段とを有し、前記認証手段は、前記選択画像において、前記第1のユーザが操作を続ける選択がされた場合、自装置が提供するサービスの利用を開始するための操作を前記第1のユーザがしたときに当該第1のユーザの認証を解除することを特徴とする。
【0008】
請求項に係る情報処理装置は、請求項に記載の構成において、前記表示手段は、前記第1のユーザが前記操作をしたときに当該第1のユーザの認証が解除されると、前記認証手段における前記第2のユーザの認証のための画像を表示することを特徴とする。
【0009】
請求項に係る情報処理装置は、請求項またはに記載の構成において、前記表示手段は、前記選択画像において、前記第2のユーザに操作をさせる選択がされた場合、前記認証手段における前記第2のユーザの認証のための画像を表示することを特徴とする。
【0010】
請求項に係る情報処理装置は、ユーザを認証する認証手段と、前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、前記認証手段によるユーザの認証が解除されると、自装置を節電状態に遷移させる遷移手段と、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの認証が解除されてから前記遷移手段が自装置を節電状態に遷移させるまでの時間を延長する処理を行う処理手段とを有する。
【0011】
請求項に係る情報処理装置は、ユーザを認証する認証手段と、前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段であって、画像を形成するのに備える処理を予め定められた頻度で行う画像形成手段と、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの次に前記認証手段により認証されたユーザの認証が解除されるまで前記処理が行われないように前記画像形成手段を制御する処理を行う処理手段とを有する。
【0012】
請求項に係る情報処理装置は、ユーザを認証する認証手段と、前記認証手段により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知する検知手段と、自装置を操作するために用いられる画像を表示する表示手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成された記録媒体を排出する排出手段と、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されないと、第1の排出口から前記記録媒体が排出されるように前記排出手段を制御し、前記検知手段により前記第2のユーザが検知されると、前記第1の排出口に比べて、前記表示手段から離れた位置にある第2の排出口から前記記録媒体が排出されるように前記排出手段を制御する処理を行う処理手段とを有する。
【0013】
請求項に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザを認証するステップと、第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、自装置を操作するために用いられる画像を表示するステップと、前記第2のユーザが検知されると、表示されている画像を、前記第1のユーザが操作を続けるか、または、前記第2のユーザに操作をさせるかを前記第1のユーザに選択させるための選択画像に切り替えるステップと、前記選択画像において、前記第1のユーザが操作を続ける選択がされた場合、自装置が提供するサービスの利用を開始するための操作を前記第1のユーザがしたときに当該第1のユーザの認証を解除するステップとを実行させる。
請求項8に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザを認証するステップと、第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、前記ユーザの認証が解除されると、自装置を節電状態に遷移させるステップと、前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの認証が解除されてから自装置が前記節電状態に遷移するまでの時間を延長するステップとを実行させる。
請求項9に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザを認証するステップと、第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、記録媒体に画像を形成する画像形成部が、前記画像を形成するのに備える処理を予め定められた頻度で行うステップと、前記第2のユーザが検知されると、前記第1のユーザの次に認証されたユーザの認証が解除されるまで前記処理が行われないように前記画像形成部を制御するステップとを実行させる。
請求項10に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザを認証するステップと、第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを検知するステップと、自装置を操作するために用いられる画像を表示部に表示するステップと、記録媒体に画像を形成するステップと、画像が形成された記録媒体を排出するステップであって、前記第2のユーザが検知されないと、第1の排出口から前記記録媒体を排出し、前記第2のユーザが検知されると、前記第1の排出口に比べて、前記表示部から離れた位置にある第2の排出口から前記記録媒体を排出するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、4、5、及び6に係る情報処理装置によれば、情報処理装置により認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、予め定められた処理が行われる。
請求項に係る情報処理装置によれば、情報処理装置により認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、一のユーザが操作を続けるか、または、他のユーザに操作させるかを一のユーザに選択させるための画像が表示される。
請求項に係る情報処理装置によれば、サービスの利用を開始するための操作が一のユーザによりされたときに当該一のユーザの認証が解除されない場合に比べて、他のユーザが情報処理装置の利用を速やかに開始することができる。
請求項に係る情報処理装置によれば、一のユーザの認証が解除された後に他のユーザの認証のための画像が表示されない場合に比べて、他のユーザが情報処理装置の利用を速やかに開始することができる。
請求項に係る情報処理装置によれば、他のユーザに操作させる選択がされた後に他のユーザの認証のための画像が表示されない場合に比べて、他のユーザが情報処理装置の利用を速やかに開始することができる。
請求項に係る情報処理装置によれば、一のユーザの認証が解除されてから節電状態に遷移するまでの時間が延長されない場合に比べて、他のユーザが情報処理装置の操作を開始する前に当該情報処理装置が節電状態に遷移する可能性が抑えられる。
請求項に係る情報処理装置によれば、画像を形成するのに備える処理が次のユーザの認証が解除される前に行われる場合に比べて、次のユーザが情報処理装置の利用を速やかに行うことができる。
請求項に係る情報処理装置によれば、情報処理装置により認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、第1の排出口に比べて、表示手段から離れた位置にある第2の排出口から記録媒体が排出される。
請求項7乃至10に係るプログラムによれば、コンピュータにより認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、予め定められた処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図
図3】画像形成装置の動作を示すフローチャート
図4】選択画像を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示したように、画像形成装置1は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、画像読取部105と、画像形成部106と、通信部107と、画像処理部108と、第1センサ109と、第2センサ110と、第3センサ111とを備える情報処理装置である。また、画像形成装置1の各部は、バス112に接続されており、このバス112を介して各種データの授受を行う。
【0017】
制御部101は、画像形成装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体(主記憶装置)とを備える。CPUは、ROMおよび記憶部102に記憶されているプログラムを読み出し、RAMを作業エリアにしてプログラムを実行する。制御部101は、このようにプログラムを実行することにより、用紙(記録媒体の一例)に画像を形成すること、原稿から画像を読み取って画像データを生成すること、通信回線を介して他の装置と通信を行うことなどを実現する。制御部101は、表示部104、画像読取部105、および画像形成部106などの画像形成装置1の各部の動作状態を制御する。画像形成装置1の各部の動作状態は、少なくとも通常状態および節電状態を含む。通常状態は、画像形成装置1の各部に対する電力の供給が節電状態に比べて高い状態である。節電状態は、画像形成装置1の各部に対する電力の供給が通常状態に比べて低い状態である。具体的には、制御部101は、図示せぬ電源から画像形成装置1の各部への電力の供給を、第1センサ109と第2センサ110からの信号に応じて制御することにより、画像形成装置1の各部の動作状態を制御する。
【0018】
記憶部102は、データを記憶する手段である。記憶部102は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶媒体(補助記憶装置)を備え、通信部107で受信したデータや画像形成装置1で生成されたデータなどを記憶する。また、記憶部102は、いわゆるメモリーカードやUSBメモリなどの着脱可能な記憶媒体(リムーバブルメディア)と、その記憶媒体にデータを読み書きする手段とを含んでもよい。記憶部102は、後述する軽減プログラムを記憶する。
【0019】
操作部103は、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作部103は、操作子(スタートボタンおよびログアウトボタンなどの各種ボタン、キーなど)を備え、押下された操作子に応じた制御信号を制御部101に供給する。なお、本実施形態では、操作部103におけるスタートボタンは、後述の通り、画像形成装置1における複写、プリント、スキャン、またはファクシミリ送受信などの各種サービスの利用を開始するために押下される。また、ログアウトボタンは、後述の通り、画像形成装置1によるユーザの認証を解除させるために押下される。
【0020】
表示部104は、情報を表示する手段である。表示部104は、表示装置として例えば液晶ディスプレイを有する。表示部104は、制御部101の制御の下、画像形成装置1を操作するために用いられる画像を表示する。表示部104は、また、表示面に重ねてセンサが設けられており、押圧された位置に応じた制御信号を制御部101に供給するタッチパネルとして機能する。
【0021】
画像読取部105は、原稿を読み取って画像データに変換する手段である。画像読取部105は、原稿を光学的に読み取り、読み取った原稿の画像を表す画像データを生成する画像読取装置を備えている。画像読取部105は、生成した画像データを画像処理部108に供給する。
【0022】
画像形成部106は、用紙に画像を形成する手段である。画像形成部106は、電子写真方式によって用紙にY(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Black)の各色成分のトナー像を形成する画像形成機構(例えば、感光体ドラム、転写ローラ、露光装置など)と、画像が形成された用紙を排出口から排出する排出機構(例えば、搬送ローラなど)とを具備している。なお、画像形成機構は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の記録方式が用いられてもよい。本発明において、画像形成装置1には、複数の排出口が画像形成装置1の異なる位置に設けられている。
【0023】
通信部107は、データを送受信する手段である。通信部107は、図示せぬ通信回線に接続されており、外部装置と通信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0024】
画像処理部108は、画像データに対して画像処理を実行する手段である。ここでいう画像処理とは、例えば、色補正や階調補正である。画像形成装置1においてプリント機能が実行される場合、画像処理部108は、画像処理が施された画像データを画像形成部106に供給する。
【0025】
第1センサ109および第2センサ110は、画像形成装置1の各部の動作状態を遷移させる契機として、人を検出するセンサである。第1センサ109は、節電状態にある画像形成装置1の周囲において人を検知するセンサであって、例えば、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサや、脚などの人の身体を撮影するためのカメラ機能を備えるセンサである。なお、「画像形成装置1の周囲」とは、センサが人を検知することが可能な範囲、または、画像形成装置1から予め定められた距離の範囲をいう。第1センサ109は、人が検知されたことを示す信号を制御部101に出力する。第2センサ110は、画像形成装置1の周囲において人を検知するセンサであって、例えば、脚などの人の身体を撮影するためのカメラ機能を備えるセンサである。第2センサ110は、第1センサ109よりも消費電力が高いセンサであり、消費電力を抑制するため、普段は起動されておらず、第1センサ109により人が検知されると起動される。制御部101は、第2センサ110により人が近づいてきたことが検知されると、画像形成装置1の各部の節電状態を解除する(画像形成装置1の各部の動作状態を節電状態から通常状態に遷移させる)。
【0026】
画像形成装置1における複写、プリント、スキャン、またはファクシミリ送受信などの各種サービスは、ユーザが認証された状態において提供される。ユーザの認証は、画像形成装置1における各種サービスの利用を、権限を有するユーザに限るために行われる。第3センサ111は、ユーザを認証するためのセンサであって、カメラ機能を備えるセンサである。第3センサ111は、カメラ機能により、ユーザを認証するために用いられる画像を撮影する。具体的には、第3センサ111は、ユーザから認証情報を検出するため、例えば、ユーザの顔などの個々人に特有の箇所を撮影する。制御部101は、第3センサ111により撮影された画像から検出された認証情報と、記憶部102に予め記憶された個々人の顔などの特徴を示す情報とを照合することにより、ユーザを認証する。
【0027】
画像形成装置1が複数のユーザにより利用される場合、一のユーザが画像形成装置1を利用しているときに、他のユーザが当該一のユーザの後ろに並ぶことがある。本発明に係る画像形成装置1は、画像形成装置1を利用している一のユーザの後ろに他のユーザが並んでいることを検知し、他のユーザの待ち時間(他のユーザが一のユーザの後ろに並んでから表示部104に表示された画像の操作を開始するまでの時間)を軽減するための予め定められた処理(以下、「待ち時間軽減処理」という)を行う。待ち時間軽減処理の詳細については後述する。
【0028】
図2は、画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、認証手段11と、検知手段12と、処理手段13と、表示手段14と、遷移手段15と、画像形成手段16と、排出手段17とを有する。認証手段11は、画像形成装置1を利用するユーザを認証する。検知手段12は、認証手段11により第1のユーザが認証されているときに、第1のユーザとは異なる第2のユーザを画像形成装置1の周囲において検知する。処理手段13は、検知手段12により第2のユーザが検知されると、待ち時間軽減処理を行う。表示手段14は、画像形成装置1を操作するために用いられる画像(例えば、画像形成装置1の各種サービスを利用するためのメニュー画像などであって、以下、「操作画像」という)を表示する。遷移手段15は、認証手段11によるユーザの認証が解除されると、画像形成装置1の各部の動作状態を節電状態に遷移させる。画像形成手段16は、用紙に画像を形成する。画像形成手段16は、また、画像を形成するのに備える処理(例えば、感光体ドラムのクリーニングなどであって、以下、「セットアップ処理」という)を予め定められた頻度で行う。排出手段17は、画像形成手段16により画像が形成された用紙を排出する。
【0029】
図1において、待ち時間軽減処理を行うための軽減プログラムを実行している制御部101により制御された第3センサ111は、認証手段11の一例である。軽減プログラムを実行している制御部101により制御された第2センサ110は、検知手段12の一例である。軽減プログラムを実行している制御部101は、処理手段13および遷移手段15の一例である。軽減プログラムを実行している制御部101により制御された表示部104は、表示手段14の一例である。画像形成部106は、画像形成手段16および排出手段17の一例である。
【0030】
図3は、画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。図3のフローは、画像形成装置1により一のユーザ(以下、「ユーザU1」という)が認証された状態(すなわち、ユーザU1が画像形成装置1を利用している状態)で開始される。なお、本実施形態では、あるユーザが画像形成装置1に近づいたときに起動された第2センサ110は、当該ユーザが画像形成装置1に認証されて画像形成装置1を利用している間、起動されたままの状態を保っている。これは後述するように、認証されているユーザの位置を追跡するためである。
【0031】
ステップS1において、制御部101は、ユーザU1とは異なるユーザが第2センサ110により検知されたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、第2センサ110を用いてユーザU1の身体(脚など)を継続的に撮影することによりユーザU1を追跡している。制御部101は、追跡されているユーザU1とは異なるユーザの身体が第2センサ110により撮影されると、ユーザU1とは異なるユーザが第2センサ110により検知されたと判断する。ユーザU1とは異なるユーザが検知されたと判断された場合(S1:YES)、制御部101は、処理をステップS2に移行する。ユーザU1とは異なるユーザが検知されていないと判断された場合(S1:NO)、制御部101は、ユーザU1とは異なるユーザが検知されるまで処理を待機する。以下では、第2センサ110により検知された、ユーザU1とは異なるユーザを「ユーザU2」と表現する。
【0032】
ステップS2において、制御部101は、表示部104に表示されている操作画像を、ユーザU1が操作を続けるか、または、ユーザU2に操作をさせるかをユーザU1に選択させるための画像(以下、「選択画像」という)に切り替える。
【0033】
図4は、選択画像を例示する図である。この例で、選択画像C1には、他のユーザがユーザU1の後ろに並んでいることを示すメッセージと、3つの操作ボタンB(操作続行ボタンB1、操作続行ボタンB2、および操作中断ボタンB3)とが含まれている。操作続行ボタンB1および操作続行ボタンB2は、ユーザU1が操作を続けるためのボタンである。操作続行ボタンB1と操作続行ボタンB2とは、操作続行ボタンB1が押下されると、画像形成装置1が提供する各種サービスの利用を開始するための操作(この例では操作部103におけるスタートボタンの押下)がされたことを契機にユーザの認証が解除されるのに対して、操作続行ボタンB2が押下されると、認証を解除させるための操作(この例では操作部103におけるログアウトボタンの押下)がされたことを契機にユーザの認証が解除されるという点において異なる。操作続行ボタンB1が押下された場合には、認証を解除させるための操作が行われることなくユーザU1の認証が解除されるため、操作続行ボタンB2が押下された場合に比べて、ユーザU2が画像形成装置1の利用を速やかに開始することができる。操作中断ボタンB3は、ユーザU1が画像形成装置1の利用を中断し、ユーザU2に画像形成装置1の操作をさせるためのボタンである。ユーザU1は、選択画像C1が表示部104に表示されると、3つの操作ボタンBの中から一の操作ボタンBを選択して押下する。
【0034】
再び図3を参照する。ステップS3において、制御部101は、選択画像C1に含まれる操作ボタンBが押下されたか否かを判断される。操作続行ボタンB1が押下されたと判断された場合、制御部101は、選択画像C1に切り替わる前に表示部104に表示されていた操作画像を再び表示部104に表示させ、処理をステップS4に移行する。操作続行ボタンB2が押下されたと判断された場合、制御部101は、選択画像C1に切り替わる前に表示部104に表示されていた操作画像を再び表示部104に表示させ、処理をステップS5に移行する。操作続行ボタンB1または操作続行ボタンB2が押下されたことにより操作画像が再び表示部104に表示されると、ユーザU1は画像形成装置1の利用を続ける。操作中断ボタンB3が押下されたと判断された場合、制御部101は、ユーザU1の認証を解除し、処理をステップS9に移行する。操作ボタンBが押下されていないと判断された場合(S3:NO)、制御部101は、操作ボタンBが押下されるまで処理を待機する。
【0035】
ステップS4において、制御部101は、スタートボタンが押下されたか否かを判断する。スタートボタンが押下されたと判断された場合(S4:YES)、制御部101は、処理をステップS6に移行する。スタートボタンが押下されていないと判断された場合(S4:NO)、制御部101は、スタートボタンが押下されるまで処理を待機する。
【0036】
ステップS5において、制御部101は、ログアウトボタンが押下されたか否かを判断する。ログアウトボタンが押下されたと判断された場合(S5:YES)、制御部101は、処理をステップS6に移行する。ログアウトボタンが押下されていないと判断された場合(S5:NO)、制御部101は、ログアウトボタンが押下されるまで処理を待機する。
【0037】
ステップS6において、制御部101は、ユーザU1の認証を解除する。ステップS7において、制御部101は、以下の(ア)から(ウ)の3つの処理を行う。
【0038】
(ア)画像形成装置1の各部の動作状態が節電状態に遷移するまでの時間を延長する。
制御部101は、ユーザの認証が解除されてから、予め定められた時間(以下、「節電遷移時間」という)が経過すると、画像形成装置1の各部の動作状態を節電状態に遷移させる。ステップS7において、制御部101は、節電遷移時間を延長する。節電遷移時間が延長されることにより、ユーザU2が画像形成装置1の操作を開始する前に画像形成装置1の各部の動作状態が節電状態に遷移する可能性が抑えられる。これにより、画像形成装置1の各部について節電状態が解除されるのをユーザU2が待つことが防止され、ユーザU2の待ち時間が軽減される。
【0039】
(イ)ユーザU1の次に認証されたユーザの認証が解除されるまでセットアップ処理が行われないようにする。
制御部101は、ユーザU1の次に認証されたユーザの認証が解除されるまでセットアップ処理が行われないように画像形成部106を制御する。これにより、ユーザU2が画像形成装置1の操作を開始する前にセットアップ処理が行われることが防止され、ユーザU2の待ち時間が軽減される。
【0040】
(ウ)用紙が排出される排出口を変更する。
制御部101は、ユーザU2が検知されていないときには、第1の排出口から用紙が排出されるように画像形成部106を制御する。ステップS7において、制御部101は、第1の排出口に比べて、表示部104から離れた位置にある第2の排出口から用紙が排出されるように画像形成部106を制御する。第2の排出口から用紙が排出されると、ユーザU1は排出された用紙を拾うために第2の排出口がある側に移動する。そのため、ユーザU1は表示部104から離れることになり、第1の排出口から用紙が排出された場合に比べて速やかにユーザU2が表示部104に表示された画像の操作を開始することが可能になる。なお、処理(ウ)が行われるときには、第2の排出口から用紙が排出されることを示すメッセージが表示部104に表示されてもよい。
【0041】
ステップS8およびステップS9において、制御部101は、ユーザU2を認証するための画像(以下、「認証画像」という)を表示部104に表示する。上述の通り、画像形成装置1におけるユーザの認証は、ユーザを第3センサ111により撮影することにより行われる。したがって、認証画像には、例えば、撮影を開始させるためのボタン、および、第3センサ111に対して顔を向けることをユーザに促すメッセージなどが含まれる。なお、ステップS8において、認証画像には、利用が開始できることを示すメッセージ(例えば、「すぐに利用を開始できます」というメッセージなど)が含まれていてもよい。ユーザU2が認証されると、制御部101は、メニュー画像を表示部104に表示する。
【0042】
以上の処理により、一のユーザが画像形成装置1を利用しているときに、一のユーザとは異なる他のユーザが画像形成装置1により検知されると、他のユーザの待ち時間を減らすための処理が画像形成装置1において行われる。なお、他のユーザが画像形成装置1により検知されない場合には、表示部104に選択画像は表示されず、一のユーザによる画像形成装置1の利用が継続される。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられてもよい。
【0044】
操作中断ボタンB3が押下された後に表示部104に表示される画像は認証画像に限らない。操作中断ボタンB3が押下された場合、メニュー画像が表示部104に表示されてもよい。この場合、ユーザU2は、ユーザU1のアカウントを用いて画像形成装置1の各種サービスを利用する。
【0045】
画像形成装置1がユーザを認証する方法は、ユーザを撮影する方法に限らない。例えば、ユーザは、操作部103を操作してパスワードを入力することにより、画像形成装置1により認証されてもよい。別の例で、ユーザは、ICカードを図示せぬICカードリーダにかざすことにより、画像形成装置1により認証されてもよい。
【0046】
制御部101は、画像形成装置1の各部の動作状態を個別に制御してもよい。例えば、第2センサ110により人が近づいてきたことが検知されると画像読取部105および画像形成部106の節電状態が解除されることなく、表示部104の節電状態が解除されてもよい。この場合、画像読取部105および画像形成部106の節電状態の解除は、表示部104にメニュー画像が表示された状態で、画像形成装置1の各種機能を利用するための操作が受け付けられた後に行われる。具体例として、ユーザがメニュー画像を操作して、スキャン機能またはファクシミリ機能を利用するための指示が入力されると画像読取部105の節電状態が解除され、プリント機能を利用するための指示が入力されると画像形成部106の節電状態が解除され、複写機能を利用するための指示が入力されると画像読取部105および画像形成部106の節電状態が解除されてもよい。
【0047】
スタートボタンおよびログアウトボタンは、操作部103における物理的なボタンに限らない。スタートボタンおよびログアウトボタンは、表示部104に表示されたタッチパネル式のボタンであってもよい。この場合、スタートボタンおよびログアウトボタンは、表示部104に表示される操作画像に含まれる。
【0048】
待ち時間軽減処理が行われる情報処理装置は、画像形成装置1に限らない。例えば、情報を表示する表示装置および画像処理を実行する画像処理装置などの他の情報処理装置において、待ち時間軽減処理が行われてもよい。
【0049】
画像形成装置1のハードウェア構成は、図1に示した構成に限らない。画像形成装置1は、図3に示した各ステップの処理を実行できれば、どのようなハードウェア構成であってもよい。
【0050】
実施形態において、画像形成装置1によって実行される軽減プログラムは、磁気記憶媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記憶媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記憶媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置、101…制御部、102…記憶部、103…操作部、104…表示部、105…画像読取部、106…画像形成部、107…通信部、108…画像処理部、109…第1センサ、110…第2センサ、111…第3センサ、11…認証手段、12…検知手段、13…処理手段、14…表示手段、15…遷移手段、16…画像形成手段、17…排出手段
【要約】
【課題】情報処理装置により認証されている一のユーザとは異なる他のユーザが検知されたときに、予め定められた処理が行われるようにする
【解決手段】画像形成装置1は、画像形成装置1を利用するユーザを認証する認証手段11と、認証手段11により第1のユーザが認証されているときに、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザを画像形成装置1の周囲において検知する検知手段12と、検知手段12により第2のユーザが検知されると、第2のユーザの待ち時間を軽減するための処理を行う処理手段13とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4