(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部品は、複数の部品の集合体である部品群のうちの1つであり、前記部品群は、前記積層体の内部において、前記第1樹脂層の同一表面に接して配列されている、請求項1から5のいずれかに記載の樹脂多層基板。
前記部品は、複数の部品の集合体である部品群のうちの1つであり、前記部品群は、前記積層体の内部において、前記第1樹脂層の上面に接しかつ前記第2樹脂層の下面に接するように配列されている、請求項1から5のいずれかに記載の樹脂多層基板。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の断面図である。
【
図2】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の変形例の断面図である。
【
図3】本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板の第1の例の断面図である。
【
図4】本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板の第2の例の断面図である。
【
図5】本発明に基づく実施の形態3における樹脂多層基板の断面図である。
【
図6】本発明に基づく実施の形態3における樹脂多層基板の変形例の断面図である。
【
図7】本発明に基づく実施の形態4における樹脂多層基板の断面図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態5における樹脂多層基板の断面図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートである。
【
図10】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図11】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図12】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第3の工程の説明図である。
【
図13】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第4の工程の説明図である。
【
図14】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第5の工程の説明図である。
【
図15】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第6の工程の説明図である。
【
図16】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の第7の工程の説明図である。
【
図17】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の変形例の説明図である。
【
図18】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の好ましい第1の例のフローチャートである。
【
図19】本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法の好ましい第2の例のフローチャートである。
【
図20】本発明に基づく実施の形態7における樹脂多層基板の製造方法の説明図である。
【
図21】本発明に基づく実施の形態8における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートである。
【
図22】本発明に基づく実施の形態8における樹脂多層基板の製造方法の説明図である。
【
図23】本発明に基づく実施の形態9における樹脂多層基板の断面図である。
【
図24】本発明に基づく実施の形態10における樹脂多層基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
(構成)
図1を参照して、本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板101について説明する。
【0014】
本実施の形態における樹脂多層基板101は、第1樹脂層2aを含む複数の樹脂層2が積層されることによって形成された積層体1と、積層体1の内部に配置された部品3と、部品3に電気的に接続される接続導体6とを備える。複数の樹脂層2の各々は、熱可塑性樹脂層である。第1樹脂層2aは、部品3の一方の側方から部品3の上側または下側を通って部品3の他方の側方に達するように延在している。
【0015】
第1樹脂層2aは、積層体1を構成する複数の樹脂層2のうちの1つである。接続導体6は導体パターン7に接続されている。各部品3は直方体の外形を有し、両端部にそれぞれ電極を備える。部品3の両端部の電極はそれぞれ接続導体6に電気的に接続されている。ただし、部品3の形態はあくまで一例であり、部品の外形や部品における電極の配置はこれに限らない。
図1では、部品3が2個配置されている例を示したが、部品の個数や配置はこれに限らない。部品3は、1個であっても複数個であってもよい。以下の実施の形態においても同様である。
【0016】
積層体1の最下面には外部電極18が設けられている。外部電極18は基本的には導体パターン7と同等の金属膜が外部に露出したものである。外部電極18には適宜めっき膜が形成されていてもよい。
図1では、最下面のみに外部電極が設けられた例を示したが、外部電極は、積層体1の最上面に設けられていてもよく、最上面および最下面の両方に設けられていてもよい。
【0017】
第1樹脂層2aは元々平坦な樹脂層2であり、部品3と組み合わせて積層することにより部品3の形状にならって変形した結果、
図1に示す形状になったものである。
【0018】
図1においては、部品3の側面下端付近で第1樹脂層2aが折れ曲がる箇所では、部品3の側面下端付近に微小な空隙9が生じている。熱圧着工程を経て作製される樹脂多層基板101の最終状態としてこのような空隙9があってもよい。ただし、熱圧着工程を経ることによってこのような空隙9が完全に埋まって消滅してもよい。空隙9をなくすことができるならば、その方が好ましい。
【0019】
図1においては、部品3の側面上端付近で第1樹脂層2aが折れ曲がる箇所の周辺においては空隙を何も描いていないが、これは、積層直後には空隙があったとしても、熱圧着工程時に周辺の樹脂層2の断面から始まる樹脂流動によって空隙が埋まったからである。ただし、この箇所においても空隙が残っていてもよい。ただし、熱圧着工程を経ることによってこのような空隙をなくすことができれば、その方が好ましい。
【0020】
(作用・効果)
一般的に、樹脂シートの表面は、樹脂の分子の配向状態が他の部分と異なるので、樹脂シートの表層部は他の部分に比べて相対的に硬くなっている。したがって、樹脂シートは、積層体を一体化するための熱圧着のような高温高圧の条件にさらされた場合、主面からよりも相対的に断面からの方が樹脂流れが生じやすい。
【0021】
本実施の形態における樹脂多層基板101は、複数の樹脂層2を積層することで構成された積層体1を備えている。樹脂層2は元々、別々の樹脂シートとして成形されたものであるので、個別の樹脂層2に注目すれば、熱圧着時には、樹脂層2の上下面よりも断面の方が樹脂流れを生じやすい。部品3の側面に対向する位置に樹脂層2の断面が露出している場合、その断面から樹脂流れが生じて部品3を押し流すおそれがあるが、本実施の形態では、部品3の周辺では、第1樹脂層2aが、部品3の一方の側方から部品3の上側または下側を通って部品3の他方の側方に達するように延在しているので、従来ならば部品3の側面に向けて樹脂層2の断面が露出していた部分のうち少なくとも一部、好ましくは全部において、樹脂層2の断面ではなく上下面が露出するように構成することができる。したがって、部品3を側方に押すような直接的な樹脂流れの発生を抑制することができる。本実施の形態では、そのような樹脂流れが抑えられるので、熱圧着工程で生じる樹脂流れによって引き起こされる部品3と接続導体6との間の接続不良という問題を低減することができる。その結果、部品と接続導体との間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本実施の形態において例示した樹脂多層基板101は、第1樹脂層2aが部品3の一方の側方から部品3の上側を通って部品3の他方の側方に達するように延在している構成であったが、本実施の形態としては、このような構成に限らない。たとえば
図2に示す樹脂多層基板102のように、第1樹脂層2aが部品3の一方の側方から部品3の下側を通って部品3の他方の側方に達するように延在している構成であってもよい。樹脂多層基板102においては、部品3の側面上端付近に空隙9がある。この空隙9については、
図2では残存しているように描いているが、熱圧着工程によって完全に無くすことができるならばその方が好ましい。
図1、
図2に示したこのような空隙に関する事情は、以下の図においても同様である。
【0023】
本実施の形態では、部品3と接続導体6との間の接続は、第1樹脂層2aが平坦な状態で行なうことができるので、部品3の実装が容易となる。従来技術において行なわれていたように、予めキャビティを設けてキャビティの内部に部品を配置するようにして接続導体との接続を行なおうとする場合は、部品のサイズが小さくなるにつれてキャビティが微小となり、部品の配置が難しくなるという問題や、キャビティの底面が盛り上がることによって、部品を実装しようとした際に部品が跳ね返されて実装不良を起こすという、いわゆるバウンド現象が起こるという問題があったが、本実施の形態では、樹脂層の平坦な上面に対して部品3を表面実装することができるので、部品のサイズが小さくても実装が容易であり、バウンド現象のおそれもなくなる。
【0024】
本実施の形態では、部品3間の距離が狭い場合にも、第1樹脂層の厚みを薄くすることにより対応可能である。部品同士を隔てる壁構造を予め正確に形成する必要がなくなる。樹脂層としては、たとえば厚み12μmのものも一般的に調達可能であるので、そのような薄い樹脂層を用いることによって部品3間の距離が狭い場合にも十分対応可能であり、壁構造を形成するよりも容易である。したがって、狭ギャップ化への対応も容易となる。本実施の形態によれば、基板の端に近い位置でも部品の配置が可能であるので、部品搭載可能領域が広くなり、設計の自由度が高くなる。
【0025】
(実施の形態2)
(構成)
図3、
図4を参照して、本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板103,104について説明する。
【0026】
本発明としては、
図3に示す樹脂多層基板103や
図4に示す樹脂多層基板104のような構成であってもよい。樹脂多層基板103,104では、同一高さに配置された複数の部品3に対して、第1樹脂層2aが個々の部品3ごとに、部品3の一方の側方から部品3の上側または下側を通って部品3の他方の側方へと延在するのではなく、複数の部品3の集合体に対して一括して、部品3の集合体の一方の側方から部品3の集合体の上側または下側を通って部品3の集合体の他方の側方へと延在している。複数の部品3の相互間には、第1樹脂層2aではない樹脂層2が1層または複数層重なった状態で配置されている。
【0027】
樹脂多層基板103,104においては、部品3は、複数の部品3の集合体である部品群のうちの1つであり、前記部品群は、積層体1の内部において、第1樹脂層2aの同一表面に接して配列されている。
【0028】
(作用・効果)
本実施の形態の場合、部品3の側面に対して樹脂層2の断面が近接して露出する部分があるので、この断面からの樹脂流れが生じるおそれがあるという意味で、樹脂多層基板101,102に比べて効果が劣るが、従来ならば部品3の側面に向けて樹脂層2の断面が露出していた部分のうち少なくとも一部において、樹脂層2の断面ではなく上面または下面が露出しているので、部品3を側方に押すような樹脂流れの発生を抑制することができる。したがって、熱圧着工程で生じる樹脂流れによって引き起こされる部品と接続導体との間の接続不良という問題を低減することに一定の効果を得ることはできる。
【0029】
(実施の形態3)
(構成)
図5を参照して、本発明に基づく実施の形態3における樹脂多層基板105について説明する。樹脂多層基板105は、基本的な構成は実施の形態1で説明した樹脂多層基板と共通するが、以下の点で実施の形態1とは異なる。
【0030】
樹脂多層基板105においては、第1樹脂層2aは、部品3の下側を通っており、複数の樹脂層2は、部品3の一方の側方から部品3の上側を通って部品3の他方の側方に達するように延在する第2樹脂層2bを含む。
【0031】
本実施の形態では、部品3は、下側から覆う第1樹脂層2aと上側から覆う第2樹脂層2bとによって挟み込まれている。部品3の側方においては、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとが互いに直接接している。断面図で見ると、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとは、部品3の一方の側方から下と上とに分岐して部品3の下面と上面とをそれぞれ覆った後に、部品3の他方の側方において再び互いに直接接している。
【0032】
樹脂多層基板105においては、部品3は、複数の部品3の集合体である部品群のうちの1つであり、前記部品群は、積層体1の内部において、第1樹脂層2aの上面に接しかつ第2樹脂層2bの下面に接するように配列されている。
【0033】
(作用・効果)
本実施の形態では、部品3は、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとによって挟み込まれているので、従来ならば部品3の側面に向けて樹脂層2の断面が露出していた部分のうち少なくとも一部、好ましくは全部において、樹脂層2の断面ではなく上下面が露出するように構成することができる。したがって、部品3を側方に押すような樹脂流れを抑制することができる。よって、本実施の形態においても、熱圧着工程で生じる樹脂流れによって引き起こされる部品と接続導体との間の接続不良という問題を低減することができる。本実施の形態では上下2つの樹脂層を用いて部品を包み込むような構成となっているので、上下のうち一方の樹脂層のみを用いて部品を包み込む構成であった実施の形態1に比べて、部品の厚みが大きいものにも対応しやすい。
【0034】
本実施の形態における樹脂多層基板105から読み取れる好ましい構成についてさらに説明する。本実施の形態で示したように、複数の樹脂層2は、第2樹脂層2bより上側に第3樹脂層2cを含み、第3樹脂層2cは、部品3の投影領域に対応する領域に、第3樹脂層2cより下側にあるいずれかの樹脂層2の少なくとも一部を収容するための開口部8cを有することが好ましい。この構成を採用することにより、第3樹脂層2cの開口部8cによって第3樹脂層2cより下側にある樹脂層2が収容されるので、積層体1全体の平坦度を向上させることができる。
図5に示した例では、第2樹脂層2bの一部が第3樹脂層2cの開口部8cに収容されている。
【0035】
第3樹脂層2cは第2樹脂層2bの上側に隣接していることが好ましい。この構成を採用することにより、第2樹脂層2bの一部は第2樹脂層2bのすぐ上側に隣接する第3樹脂層2cの開口部8cに収容されるので、第2樹脂層2bが部品3を迂回することによって生じる段差を吸収することができる。
【0036】
複数の樹脂層2は、第1樹脂層2aより下側に第4樹脂層2dを含み、第4樹脂層2dは、部品3の投影領域に対応する領域に、第4樹脂層2dより上側にあるいずれかの樹脂層2の少なくとも一部を収容するための開口部8dを有することが好ましい。この構成を採用することにより、第4樹脂層2dの開口部8dによって第4樹脂層2dより上側にある樹脂層2が収容されるので、積層体1全体の平坦度を向上させることができる。
図5に示した例では、第1樹脂層2aの一部が第4樹脂層2dの開口部8dに収容されている。
【0037】
第4樹脂層2dは第1樹脂層2aの下側に隣接していることが好ましい。この構成を採用することにより、第1樹脂層2aの一部は第1樹脂層2aのすぐ下側に隣接する第4樹脂層2dの開口部8dに収容されるので、第1樹脂層2aが部品3を迂回することによって生じる段差を吸収することができる。
【0038】
図5に示した樹脂多層基板105では、部品3に対して下側から接続導体6が接続されていたが、接続導体6は部品3に対して上側から接続されるものであってもよい。また、上側か下側かのいずれか一方からのみ接続されるものとは限らず、たとえば
図6に示す樹脂多層基板106のように、部品3に対して下側からも上側からも接続されるように接続導体6が配置されていてもよい。
【0039】
(実施の形態4)
(構成)
図7を参照して、本発明に基づく実施の形態4における樹脂多層基板107について説明する。樹脂多層基板107においては、2つの樹脂層2が部品3の下側に迂回し、2つの樹脂層2が部品3の上側に迂回するようにして、部品3を包み込んでいる。部品3は厚みが大きなものであるが、このように上下2層ずつの樹脂層2で包み込むことによって、部品3の側面に対して樹脂層2の断面が露出することなく、部品3を包み込むことができている。このように部品3の下側または上側において複数の樹脂層が積層した状態のまま迂回するような構成であってもよい。
【0040】
部品を迂回する樹脂層を収容する開口部は、部品に直接接する第1樹脂層2aまたは第2樹脂層2bに隣接する樹脂層だけでなく、さらに遠い位置の樹脂層にも設けられている。開口部のサイズは部品に直接接する樹脂層を収容する部分では大きく設定し、部品に直接接する樹脂層から遠い層にいくにつれて小さく設定してもよい。
【0041】
(作用・効果)
本実施の形態のような構成を採用することにより、厚み方向の寸法が大きな部品を容易に包み込むことができる。
【0042】
(実施の形態5)
(構成)
実施の形態4からさらに部品3の厚み方向の寸法が大きくなった場合、
図8に示すような構成も考えられる。
図8を参照して、本発明に基づく実施の形態5における樹脂多層基板108について説明する。
【0043】
樹脂多層基板108は、基本的構成では
図7に示した樹脂多層基板107と共通するが、以下の点で異なる。樹脂多層基板108においては、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとの間に、部品3を取り囲むように配置された樹脂層である1以上の中間樹脂層2iを備える。中間樹脂層2iは、積層体1を構成する樹脂層2のうちの1つであり、部品3に対応する開口部が設けられたものである。部品3は中間樹脂層2iの開口部を貫通するように配置されているので、中間樹脂層2iは部品3を取り囲むように延在している。
図8では中間樹脂層2iとして1層のみを表示しているが、これは一例に過ぎず、中間樹脂層2iは2層以上重ねて配置されていてもよい。
【0044】
(作用・効果)
本実施の形態では、厚み方向の寸法が大きい部品3についても、中間樹脂層2iの数を調整することによって、対応することができる。
【0045】
(実施の形態6)
(製造方法)
図9〜
図16を参照して、本発明に基づく実施の形態6における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートを
図9に示す。
【0046】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態2〜5のいずれかで説明した樹脂多層基板を得るためのものである。この樹脂多層基板の製造方法は、平坦な上面を有する第1樹脂層2aを配置する工程S1と、第1樹脂層2aの上面に部品3を配置する工程S2と、前記部品を覆うように第1樹脂層2aより上側に、平坦な下面を有する第2樹脂層2bを積み重ねる工程S3と、熱圧着することによって、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bが部品3の形状に合わせて変形して部品3を封止する、熱圧着工程S10とを含む。工程S1と工程S2はこの順で行なってもよいが、逆の順に行なってもよい。ここでは、
図5に示した樹脂多層基板105を作製する場合を例にとって説明する。
【0047】
まず、
図10に示すように片面に金属箔17が形成された樹脂シート12を用意する。この樹脂シート12の金属箔17をパターニングすることによって、
図11に示すように導体パターン7を形成する。さらに、レーザ加工などにより所望の位置に貫通孔を設け、この貫通孔に導体ペーストを充填することにより、接続導体6を形成する。このようにして、
図12に示すような樹脂層を用意する。
図12では、
図11に示したものに比べて上下を逆にして表示している。なお、ここで説明した順序はあくまで一例であり、これに限らない。接続導体6を先に形成してから導体パターン7を形成してもよい。
【0048】
工程S2を行なうことによって、たとえば
図13に示す構造体を得る。この構造体に含まれる樹脂層2は第1樹脂層2aとなる。
【0049】
図14に示すように、下側の樹脂層2を適宜積層した上に
図13に示した構造体を配置する。これは第1樹脂層2aを配置する工程であるので、工程S1に相当する。第1樹脂層2aより下側の樹脂層2の存在は必須ではないが、第1樹脂層2aより下側に樹脂層2が1層以上積層されることが好ましい。
【0050】
図15に示すように、工程S3として、平坦な下面を有する第2樹脂層2bを積み重ねる。さらに上側の樹脂層2を適宜積層する。全体としては、たとえば
図16に示すように各層を積み重ねたこととなる。
図16では、説明の便宜のため、
図15で積み重ねて表示していた部分も分解して表示している。次に熱圧着工程S10を行なう。すなわち、
図16に矢印91,92で示すように、上下方向に圧力をかけながら加熱する。あるいは、加熱しながら圧力をかける。これによって、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bが部品3の形状に合わせて変形し、部品3が封止される。その結果、
図5に示した樹脂多層基板105が得られる。
【0051】
(作用・効果)
本実施の形態では、熱圧着工程時に部品3を側方に押すような樹脂流れが発生することを抑制することができる。本実施の形態では、そのような樹脂流れが生じにくいので、熱圧着工程で生じる樹脂流れによって引き起こされる部品3と接続導体6との間の接続不良という問題を低減することができ、部品3と接続導体6との間の電気的接続の信頼性が向上した樹脂多層基板を得ることができる。
【0052】
図16では、第1樹脂層2aの上面に部品3が搭載されている以外は、全ての樹脂層2がばらばらの状態で、積み重ねて熱圧着工程を行なう様子が示されていたが、
図17に示すように部品3を挟み込む2つの樹脂層2のみを先に貼り合わせて一体化しておいてもよい。第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとが直接貼り合わせられており、両者の間に部品3が封止されている。この状態の構造体を先に作製しておけば、部品3が確実に保持され、樹脂層2によって保護された状態となるので、好ましい。この状態の構造体を予め作製しておくことにより、作業中に部品3が脱落するリスクも低減することができるので、扱いやすい。なお、この状態の構造体では、上面および下面の部品3に対応する位置に凸部10a,10bが生じており、表面が平坦ではない。しかし、
図17に示すように、第3樹脂層2c、第4樹脂層2dなどを適宜含む他の樹脂層2と合わせて積層し、熱圧着工程を行なうことにより、凸部10a,10bは他の樹脂層2の開口部8d,8cにそれぞれ収まり、全体として平坦度の高い積層体1を得ることができる。
【0053】
なお、ここで説明した製造方法の好ましい形態について以下説明する。
まず、本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法の好ましい第1の例のフローチャートを
図18に示す。好ましい第1の例としての樹脂多層基板の製造方法は、樹脂多層基板105のような樹脂多層基板を得るための樹脂多層基板の製造方法であって、平坦な上面を有する第1樹脂層2aを配置する工程S1と、第1樹脂層2aの上面に部品3を配置する工程S2と、部品3を覆うように第1樹脂層2aより上側に、平坦な下面を有する第2樹脂層2bを積み重ねる工程S3と、部品3に対応する領域に開口部8cを予め設けた第3樹脂層2cを、第2の樹脂層2bより上側に積み重ねる工程S4と、熱圧着することによって、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bが部品3の形状に合わせて変形して部品3を封止し、第3樹脂層2cの開口部8cに第3樹脂層2cより下側のいずれかの樹脂層2の少なくとも一部が嵌入する、熱圧着工程S11とを含む。工程S1と工程S2はこの順で行なってもよいが、逆の順に行なってもよい。
図16は、工程S11の様子を示しているともいえる。熱圧着工程S11は、
図9に示した熱圧着工程S10に比べて、第3樹脂層2cの開口部8cに第3樹脂層2cより下側のいずれかの樹脂層2の少なくとも一部が嵌入するということが必須となっている点で異なる。ただし、熱圧着工程S10ではこのような嵌入が生じないと限定する趣旨ではない。樹脂多層基板の製造方法を
図18に示したように実施することによって、第3樹脂層2cの開口部8cによって第3樹脂層2cより下側にある樹脂層2が収容されるので、積層体1全体の平坦度を向上させることができ、平坦度の優れた樹脂多層基板を得ることができる。
【0054】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法の好ましい第2の例のフローチャートを
図19に示す。好ましい第2の例としての樹脂多層基板の製造方法は、樹脂多層基板105のような樹脂多層基板を得るための樹脂多層基板の製造方法であって、部品3に対応する領域に開口部8dを予め設けた第4樹脂層2dを配置する工程S5と、第4樹脂層2dより上側に、平坦な上面を有する第1樹脂層2aを積み重ねる工程S6と、第1樹脂層2aの上面に部品3を配置する工程S2と、部品3を覆うように第1樹脂層2aより上側に、平坦な下面を有する第2樹脂層2bを積み重ねる工程S3と、熱圧着することによって、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bが部品3の形状に合わせて変形して部品3を封止し、第4樹脂層2dの開口部8dに第4樹脂層2dより上側のいずれかの樹脂層2の少なくとも一部が嵌入する、熱圧着工程S12とを含む。工程S6と工程S2はこの順で行なってもよいが、逆の順に行なってもよい。工程S2、工程S5、工程S6の順に行なってもよい。
図16は、熱圧着工程S12の様子を示しているともいえる。熱圧着工程S12は、
図9に示した熱圧着工程S10に比べて、第4樹脂層2dの開口部8dに第4樹脂層2dより上側のいずれかの樹脂層2の少なくとも一部が嵌入するということが必須となっている点で異なる。ただし、熱圧着工程S10ではこのような嵌入が生じないと限定する趣旨ではない。
【0055】
(実施の形態7)
(製造方法)
図20を参照して、本発明に基づく実施の形態7における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態4で説明した樹脂多層基板107を得るためのものである。
【0056】
図20に示すように、部品3を挟み込むいくつかの樹脂層2のみが先に貼り合わせられている。この構造体の中には、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとが含まれている。第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとが互いに直接貼り合わせられており、両者の間に部品3が封止されている。第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとをさらに外側から挟み込むように他の樹脂層2も重ねられて接合されている。
【0057】
(作用・効果)
本実施の形態で示したように、部品3を封止する構造体を先に作製しておけば、部品3が確実に保持され、樹脂層2によって保護された状態となるので、好ましい。この状態の構造体を予め作製しておくことにより、作業中に部品3が脱落するリスクも低減することができるので、扱いやすい。この構造体を含めてさらに他の樹脂層と合わせて
図20に示すように積層し、熱圧着工程を行なうことにより、全体として平坦度の高い積層体1を得ることができる。
【0058】
ここでは、先に部品3を封止する構造体を作製する例を示したが、全ての樹脂層2がばらばらの状態で積み重ねて熱圧着することによっても、実施の形態4で説明した樹脂多層基板107を得ることはできる。
【0059】
(実施の形態8)
(製造方法)
図21〜
図22を参照して、本発明に基づく実施の形態8における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートを
図21に示す。
【0060】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態5で説明した樹脂多層基板108を得るためのものである。この樹脂多層基板の製造方法は、平坦な上面を有する第1樹脂層2aを配置する工程S1と、第1樹脂層S1の上面に部品3を配置する工程S2と、第1樹脂層2aより上側で部品3を取り囲むように1以上の中間樹脂層2iを積み重ねる工程S7と、部品3を覆うように中間樹脂層2iより上側に、平坦な下面を有する第2樹脂層2bを積み重ねる工程S8と、熱圧着することによって、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bが前記部品の形状に合わせて変形して中間樹脂層2iと組み合わさることによって部品3を封止する、熱圧着工程S13とを含む。全体としては、
図22に示すように積み重ねて熱圧着することとなる。この樹脂多層基板の製造方法により、実施の形態5で
図8を参照して説明した樹脂多層基板108を得ることができる。
【0061】
(作用・効果)
本実施の形態では、従来ならば部品3の側面に向けて樹脂層2の断面が露出していた部分のうち少なくとも一部において、樹脂層2の断面ではなく上下面が露出するように構成することができる。したがって、部品3を側方に押すような樹脂流れの発生を抑制することができる。
【0062】
本実施の形態では、第1樹脂層2aと第2樹脂層2bとの間において中間樹脂層2iを積み重ねることとしているので、厚み方向の寸法が大きい部品3についても、十分に対応することができる。
【0063】
図22では各樹脂層2がばらばらの状態で積み重ねる様子を表示したが、
図20を参照して説明したように、部品3を挟み込むいくつかの樹脂層2を先に貼り合わせて構造体を予め作製してから全体の積層を行なうこととしてもよい。
【0064】
(実施の形態9)
(構成)
図23を参照して、本発明に基づく実施の形態9における樹脂多層基板109について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板109は、基本的な構成は実施の形態1で説明した樹脂多層基板101と共通するが、以下の点で異なる。
【0065】
樹脂多層基板101では、第1樹脂層2aより上側にも他の樹脂層2が積み重ねられた形となっており、最上面は平坦となっていたが、本実施の形態では、第1樹脂層2aより上側には他の樹脂層が積み重ねられておらず、第1樹脂層2aがそのまま最上面となっている。したがって、第1樹脂層2aが部品3の外形に沿って変形したことによって生じている凹凸が外形にある程度表れている。
【0066】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1で説明したのと同様の効果を得ることができる。最上面を平坦にする必要がない場合は、本実施の形態で示した構成が有効である。本実施の形態では、上側に追加的な樹脂層2を積み重ねる工程を省くことができる。
【0067】
実施の形態5で示した樹脂多層基板108についても、同様に、上側および下側にある樹脂層を省いた構成も考えられる。すなわち、樹脂多層基板108の変形例として、最上面および最下面に凹凸を有する形状としてもよい。
【0068】
実施の形態2で示した樹脂多層基板103,104についても、同様に、上側または下側にある追加的な樹脂層を省いた構成も考えられる。すなわち、樹脂多層基板103の変形例として、最上面に凹凸を有する形状としてもよい。樹脂多層基板104の変形例として、最下面に凹凸を有する形状としてもよい。
【0069】
(実施の形態10)
(構成)
図24を参照して、本発明に基づく実施の形態10における樹脂多層基板110について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板110は、基本的な構成は実施の形態4で説明した樹脂多層基板107と共通するが、以下の点で異なる。
【0070】
樹脂多層基板107では、部品3の外形に沿って変形した樹脂層2の上側および下側にそれぞれ他の樹脂層をさらに重ねることによって、最上面および最下面は平坦となっていたが、本実施の形態では、部品3の外形に沿って変形した樹脂層2がそのまま最上面および最下面となっている。したがって、樹脂多層基板110は、最上面および最下面に凹凸を有する形状となっている。ただし、最上面および最下面となる樹脂層は、第1樹脂層2aまたは第2樹脂層2bとは限らない。
図24に示した例では、第1樹脂層2aおよび第2樹脂層2bではなく、上下面それぞれにさらにもう1層重ねた樹脂層2が最上面および最下面を構成している。
図24に示したのはあくまで一例であって、第1樹脂層2aが最下面となる構成であってもよい。第2樹脂層2bが最上面となる構成であってもよい。
【0071】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態4で説明したのと同様の効果を得ることができる。最上面および最下面を平坦にする必要がない場合は、本実施の形態で示した構成が有効である。本実施の形態では、上側および下側に追加的な樹脂層2を積み重ねる工程を省くことができる。
【0072】
実施の形態5で示した樹脂多層基板108についても、同様に、上側および下側にある樹脂層を省いた構成も考えられる。すなわち、樹脂多層基板108の変形例として、最上面および最下面に凹凸を有する形状としてもよい。
【0073】
実施の形態3で示した樹脂多層基板105,106についても、同様である。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。