特許第5773110号(P5773110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5773110酸化マグネシウム粒子、酸化マグネシウム粒子の製造方法、樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた成形体、接着剤若しくはグリース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773110
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】酸化マグネシウム粒子、酸化マグネシウム粒子の製造方法、樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた成形体、接着剤若しくはグリース
(51)【国際特許分類】
   C01F 5/06 20060101AFI20150813BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20150813BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20150813BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20150813BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20150813BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20150813BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20150813BHJP
   C10M 163/00 20060101ALI20150813BHJP
   C10M 125/10 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   C01F5/06
   C08K3/22
   C08L63/00 C
   C08L101/00
   C09C1/36
   C09C3/06
   C09J163/00
   C10M163/00
   C10M125/10
   H01L23/36 D
【請求項の数】12
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-518216(P2015-518216)
(86)(22)【出願日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】JP2014062977
(87)【国際公開番号】WO2014188959
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-110236(P2013-110236)
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 聡
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 晴信
(72)【発明者】
【氏名】河田 拓海
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−315515(JP,A)
【文献】 特開2007−22902(JP,A)
【文献】 特開昭62−18441(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/040593(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/099378(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 5/00 − 5/42
C08K 3/22
C08L 63/00
C08L 101/00
C09C 1/36
C09C 3/06
C09J 163/00
C10M 125/10
C10M 163/00
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET比表面積が0.1〜17m/gであり、α線量が0.005c/cm・Hr以下であり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と前記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(1)式で表わされることを特徴とする酸化マグネシウム粒子。
y≧−960x+33000・・・(1)
【請求項2】
前記ブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と前記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(2)式で表わされる請求項1に記載の酸化マグネシウム粒子。
y≧−1500x+55000・・・(2)
【請求項3】
BET比表面積は、0.1〜5m/gである請求項1又は2に記載の酸化マグネシウム粒子。
【請求項4】
マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中に、含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を投入してα線発生物質を前記チタン化合物に吸着させる第1工程と、
第1工程を経た前記チタン化合物を含む水溶液を濾過し、前記α線発生物質が吸着したチタン化合物を分離、除去する第2工程と、
第2工程を経た水溶液にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を添加する第3工程と、
前記アルカリ金属水酸化物及び/又は前記アルカリ金属炭酸塩の添加により析出した化合物を濾過により分離した後、焼成する第4工程と
を含むことを特徴とする酸化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項5】
前記チタン化合物は、400℃で加熱した際の減量が16質量%以下であり、BET比表面積が150〜250m/gであり、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が10〜50の範囲内にある請求項4に記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程における水溶液のpHは、6〜7の範囲内にある請求項4又は5に記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項7】
前記第4工程における焼成温度は、900〜1500℃である請求項4〜6のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項8】
アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムである請求項4〜7のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子を含有する樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂組成物中に含まれる樹脂がエポキシ樹脂である請求項9に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の樹脂組成物を用いた成型体又は接着剤。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれかに記載の酸化マグネシウム粒子を含有するグリース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化マグネシウム粒子、酸化マグネシウム粒子の製造方法、樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた成形体、接着剤若しくはグリースに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化マグネシウム粒子は、軽量であり、耐熱性、熱伝導性、電気絶縁性に優れており、耐熱材料、放熱用フィラーとして有用である。なかでも、樹脂等に添加することにより樹脂製品の熱伝導率を改善する放熱用フィラーとしての特性に優れており、成型体、接着剤のフィラーとして用いられるとともに、グリース等のフィラーとしても用いられている。
【0003】
これら酸化マグネシウムを含む成型体、接着剤、グリース等は、半導体素子等の電子部品を搭載するためのプリント基板、電子部品、電子部品が搭載されたプリント基板等の電子装置を製造するための接着剤、電子部品の放熱性を高めるために電子部品等に塗布するグリース等として使用されている。
【0004】
熱伝導率が高い酸化マグネシウムが用いられた電子部品やプリント基板等では、放熱特性が向上するため、電子部品から熱が発生しても電子部品の温度が上昇しすぎるのを防止することができ、電子部品の故障や電子部品等に用いられた樹脂の劣化等を防止することができる。
【0005】
このような酸化マグネシウム粒子に関し、特許文献1には、樹脂への高充填性を確保し、放熱性を高めるため、酢酸塩を所定割合で含有する水酸化マグネシウムを調製して所定温度で焼成することにより、一次粒子が球状のものを製造することが開示されている。
また、特許文献2には、(メジアン径)/(比表面積から求められる比表面積径)が3以下、D90/D10が4以下の粒度分布がシャープで粒子の凝集度合いが制御された酸化マグネシウムが提案されている。特許文献3には、酸化マグネシウムが樹脂組成物、グリース等のフィラーとして用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−7215号公報
【特許文献2】特開2011−20870号公報
【特許文献3】特開2011−21069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年の電子部品の高集積度化に伴い、成型体、接着剤、グリース等が用いられた電子部品では、酸化マグネシウムに含まれるα線発生物質から発生するα線に起因して、メモリーにソフトエラーが発生したり、電子部品の制御にエラーが発生することがあり、問題となっている。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、熱伝導率が高く、放熱フィラーとしての特性に優れるとともに、α線量が低いためメモリーのソフトエラー等を防止することができる酸化マグネシウム粒子、該酸化マグネシウム粒子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記酸化マグネシウム粒子が用いられ、放熱フィラーとしての特性に優れるとともに、メモリーのソフトエラー等を防止することができる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた成形体若しくは接着剤、及び、酸化マグネシウム粒子を含有するグリースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、α線量が0.005c/cm・Hr以下であり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(1)式で表わされることを特徴とする酸化マグネシウム粒子に関する。
y≧−960x+33000・・・(1)
【0010】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、好ましくは、上記ブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(2)式で表わされる。
y≧−1500x+55000・・・(2)
【0011】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、好ましくは、BET比表面積が0.1〜5m/gである。
【0012】
本発明は、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中に、含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を投入してα線発生物質を上記チタン化合物に吸着させる第1工程と、第1工程を経た上記チタン化合物を含む水溶液を濾過し、上記α線発生物質が吸着したチタン化合物を分離、除去する第2工程と、第2工程を経た水溶液にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を添加する第3工程と、上記アルカリ金属水酸化物及び/又は上記アルカリ金属炭酸塩の添加により析出した化合物を濾過により分離した後、焼成する第4工程とを含むことを特徴とする酸化マグネシウム粒子の製造方法に関する。
【0013】
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、好ましくは、上記チタン化合物が、400℃で加熱した際の減量が16質量%以下であり、BET比表面積が150〜250m/gであり、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が10〜50の範囲内にある。
【0014】
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、好ましくは、上記第1工程における水溶液のpHが、6〜7の範囲内にある。
また、本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、好ましくは、第4工程における焼成温度が、900〜1500℃である。
また、本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、好ましくは、アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムである。
【0015】
本発明は、上述の酸化マグネシウム粒子を含有する樹脂組成物に関する。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、前記樹脂組成物に含まれる樹脂として、エポキシ樹脂が使用される。
【0017】
また、本発明は、上述の樹脂組成物を用いた成型体又は接着剤に関する。さらに、本発明は、上述の酸化マグネシウム粒子を含有するグリースに関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、成型体、接着剤、グリース等のフィラーとして用いられるが、α線量が0.005c/cm・Hr以下と低いため、これらの成型体、接着剤、グリース等が使用された電子部品や電子部品を搭載した電子装置では、α線に起因するメモリーのソフトエラーや、電子部品の制御エラーが発生するのを防止することができる。
【0019】
また、上記酸化マグネシウムは、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、所定のブラッグ角におけるピーク強度yとBET比表面積xとの関係が(1)式で表わされ、結晶性に優れ、熱伝導率が高いので、上記酸化マグネシウム粒子を含む成型体、接着剤、グリース等が使用された電子部品や電子部品を搭載した電子装置は、放熱特性に優れる。
【0020】
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、α線発生物質を含水酸化チタンを含むチタン化合物に吸着させた後、含水酸化チタンを含むチタン化合物を濾過する工程を含んでいるので、比較的簡単な操作によりα線量が0.005c/cm・Hr以下の酸化マグネシウム粒子を得ることができ、得られた酸化マグネシウム粒子は、α線量が低く、熱伝導率が高く、放熱特性に優れ、放熱フィラーとして有用である。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、上記の熱伝導性に優れた酸化マグネシウム粒子を含んでいるので、熱伝導率が高く、放熱特性に優れ、α線量が低い。
また、本発明の成型体、接着剤は、熱伝導性に優れた樹脂組成物を含んでおり、本発明のグリースも、同様に、上記の熱伝導性に優れた酸化マグネシウム粒子を含んでいるので、これらの成型体、接着剤、グリースは、熱伝導率が高く、放熱特性に優れ、α線量が低い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の(1)式及び(2)式で示されているX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)とBET比表面積x(m/g)との関係を示すグラフである。
図2図2は、本発明の実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の酸化マグネシウム粒子及び酸化マグネシウム粒子の製造方法について説明する。
本発明の酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、α線量が0.005c/cm・Hr以下であり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(1)式で表わされることを特徴とする。
y≧−960x+33000・・・(1)
【0024】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、α線量が0.005c/cm・Hr以下である。
α線量が0.005c/cm・Hrを超えると、酸化マグネシウム粒子等を含有したプリント基板等の成型体を使用した際、搭載された電子部品のフラッシュ・メモリにソフトエラー等が発生したり、電子部品に制御エラーが発生することがある。
【0025】
このソフトエラー等は、樹脂中に含まれるU、Th等のα線発生物質に起因していると考えられ、これらのα線発生物質は、主に酸化マグネシウム粒子等のフィラーに含まれていると考えられる。このため、酸化マグネシウム粒子中のα線発生物質(U、Th等)を取り除く必要があるが、本発明の酸化マグネシウム粒子は、上記α線発生物質を除去する処理がなされており、α線量が0.005c/cm・Hr以下であるので、この酸化マグネシウム粒子を使用してプリント基板等を作製した際、フラッシュ・メモリ等でのソフトエラーの発生を低下させる。
酸化マグネシウム粒子のα線量は、0.003c/cm・Hr以下が好ましい。
【0026】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(1)式で表わされる。
y≧−960x+33000・・・(1)
【0027】
本発明の酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が0.1〜17m/gであるので、(1)式を考慮したブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、BET比表面積が0.1m/gの場合、32904cps以上であり、BET比表面積が17m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は16680cps以上である。
【0028】
ちなみに、BET比表面積が5m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、28200cps以上であり、BET比表面積が10m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、23400cps以上であり、BET比表面積が15m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、18600cps以上である。
【0029】
比表面積とは、ある物体の単位質量あたりの表面積のことをいう。BET比表面積とは、比表面積の測定方法の一つであるBET法により得られた比表面積のことをいう。BET法は、窒素(N)などの気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から表面積を測定する気体吸着法である。具体的には、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式によって、単分子吸着量VMを求めることにより、比表面積を定める。
【0030】
図1は、(1)式及び(2)式で示されているX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)とBET比表面積x(m/g)との関係を示すグラフである。
図1において、直線Aは、下記(3)式を示しており、(1)式で示されているX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、BET比表面積xが0.1〜17m/gの範囲内で、直線Aを含め、直線Aより上の領域となる。
y=−960x+33000・・・(3)(ただし、0.1≦x≦17)
【0031】
樹脂組成物に添加される酸化マグネシウム粒子に要求される特性の一つとして、BET比表面積が挙げられるが、所定の比表面積の範囲では、酸化マグネシウム粒子の結晶性と比表面積との間に一定の関係が観察されるため、本発明では、それを考慮に入れて酸化マグネシウム粒子の結晶性を定めたものである。すなわち、比表面積が大きくなるにつれて結晶性は低下していくが、本発明の酸化マグネシウムのピーク強度は、(3)式を含め、(3)式より上の範囲((1)式で表わされる範囲)にあり、高い結晶性を示す。
X線回折スペクトルのピーク強度y(cps)が(1)式で示される範囲より下であると、結晶性が低くなるため、熱伝導性が低下し、この酸化マグネシウムが用いられた樹脂組成物の放熱特性が低下する。
【0032】
上記(1)式で示される関係を有する酸化マグネシウム粒子は、図1に示すように、BET比表面積が0.1〜17m/gの範囲内で、X線回折スペクトルのピーク強度が大きく、高い結晶性を有するため、熱伝導率も高く、放熱用フィラーとして適している。ただし、X線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、通常、100000cps程度以下である。
【0033】
上記ブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係は、下記の(2)式で表わされるものであることが好ましい。
y≧−1500x+55000・・・(2)
【0034】
(2)式を考慮したブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、BET比表面積が0.1m/gの場合、54850cps以上であり、BET比表面積が17m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は29500cps以上である。
【0035】
ちなみに、BET比表面積が5m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、47500cps以上であり、BET比表面積が10m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、40000cps以上であり、BET比表面積が15m/gの場合の上記条件でのX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、32500cps以上である。
図1においては、(2)式で表わされるX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)とBET比表面積x(m/g)との関係は、直線Bを含め、直線Bより上の領域となる。なお、直線Bは、下記の(4)式を示している。ただし、この場合も、X線回折スペクトルのピーク強度y(cps)は、通常、100000cps程度以下である。
y=−1500x+55000・・・(4)(ただし、0.1≦x≦17)
【0036】
上記(2)式で示される関係を有する酸化マグネシウム粒子は、図1に示すように、BET比表面積が0.1〜17m/gの範囲内で、X線回折スペクトルのピーク強度がより大きく、より高い結晶性を有するため、熱伝導率も高く、放熱用フィラーとして最適である。
また、BET比表面積は、0.1〜5m/gであることが好ましい。このような0.1〜5m/gの比表面積を有する酸化マグネシウム粒子は、上記した酸化マグネシウム粒子のなかで、さらに高い結晶性を示し、高い熱伝導率を有するからである。
【0037】
ちなみに、(1)式の関係を有する酸化マグネシウム粒子をEEA(エチレンーエチルアクリレート共重合)樹脂中に86重量%含有する樹脂組成物は、熱伝導率が1.2〜3.5W/m・Kであり、(2)式の関係を有する酸化マグネシウム粒子をEEA(エチレンーエチルアクリレート共重合)樹脂中に86重量%含有する樹脂組成物は、熱伝導率が2.1〜3.5W/m・Kであり、(2)式の関係を有するとともに、BET比表面積が0.1〜5m/gの酸化マグネシウムをEEA(エチレンーエチルアクリレート共重合)樹脂中に86重量%含有する樹脂組成物は、2.7〜3.7W/m・Kと高い熱伝導性を示す。
【0038】
また、(1)式の関係を有する酸化マグネシウム粒子をエポキシ樹脂中に83重量%含有する樹脂組成物は、熱伝導率が1.0〜3.5W/m・Kであり、(2)式の関係を有する酸化マグネシウム粒子をエポキシ樹脂中に83重量%含有する樹脂組成物は、熱伝導率が2.0〜3.5W/m・Kであり、(2)式の関係を有するとともに、BET比表面積が0.1〜5m/gの酸化マグネシウムをエポキシ樹脂中に83重量%含有する樹脂組成物は、2.5〜3.5W/m・Kと高い熱伝導性を示す。
なお、上記熱伝導率は、JIS A 1412−1〜JIS A 1412−3に準拠した方法により測定することができる。
【0039】
このような特性を有する酸化マグネシウム粒子は、平均粒子径が0.1〜12.0μmであり、その純度は、99.5質量%以上であることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法について説明する。
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法は、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中に、含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を投入してα線発生物質を上記チタン化合物に吸着させる第1工程と、第1工程を経た上記チタン化合物を含む水溶液を濾過し、上記α線発生物質が吸着したチタン化合物を分離、除去する第2工程と、第2工程を経た水溶液にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を添加する第3工程と、上記アルカリ金属水酸化物及び/又は上記アルカリ金属炭酸塩の添加により析出した化合物を濾過により分離した後、焼成する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0041】
本発明の酸化マグネシウム粒子の製造方法では、まず、第1工程において、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中に、含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を投入してα線発生物質を上記チタン化合物に吸着させる。
【0042】
マグネシウム化合物としては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。水溶液が好ましいが、水溶液中にアルコール類等水と混和する有機溶媒が含まれていても良い。マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中のマグネシウム化合物の濃度は、1〜8mol/Lが好ましい。
【0043】
本発明では、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液中に、含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を投入する。
含水酸化チタンは、メタチタン酸とも呼ばれ、一般的には、硫酸法と言われる方法により製造される。この製造方法では、チタン鉱石、イルメナイト鉱(FeTiO)、天然ルチル(TiO)等の化合物を濃硫酸中で加熱し溶解し、硫酸チタン(Ti(SO)の溶液を得た後、この溶液を加熱、加水分解することにより、粒子状の含水酸化チタンを得る。純粋な含水酸化チタンを得ることは難しく、通常、酸化チタンと水酸化チタン等の副製生物が含まれる。製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0044】
上記チタン化合物は、400℃で加熱した際の減量が16質量%以下であり、BET比表面積が150〜250m/gであり、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が10〜50の範囲内にあることが好ましい。
含水酸化チタンを含むチタン化合物が上記のような特性を有する場合には、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液に投入して撹拌することにより、α線発生物質を良好に吸着するため、良好にα線発生物質を除去することができる。
【0045】
上記チタン化合物中には含水酸化チタンの他、吸着能力を低下させない程度に、酸化チタンや水酸化チタンが含有されていても良い。
【0046】
上記チタン化合物のBET比表面積が150m/g未満であると、比表面積が小さすぎるためU、Th等を充分に吸着することができず、一方、上記チタン化合物のBET比表面積が250m/gを超えると、比表面積が大きすぎるため、粒子が小さくなりすぎ、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液と上記チタン化合物との分離が難しくなる。
【0047】
また、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が10未満であり、結晶性が低いと、マグネシウム化合物を溶解させた水溶液と上記チタン化合物との分離が難しくなり、一方、上記バックグランドの最低強度(cps)に対するピーク強度(cps)の比が50を超え、比表面積が小さすぎると、上記チタン化合物は、U、Th等のα線発生物質を充分に吸着することができない。
【0048】
また、このときのpHは、6〜7であることが好ましく、このpH範囲に調整するため、酸性又はアルカリ性化合物やその水溶液を添加してもよい。
上記pHが6未満であると、上記チタン化合物によるα線発生物質の吸着が充分とならず、一方、上記pHが7を超えると、水酸化マグネシウムが析出し易くなるので、好ましくない。
【0049】
上記チタン化合物を添加した後、混合水溶液に含まれたα線発生物質であるU、Th等を上記チタン化合物に吸着させるため、撹拌を行う。この際の混合液の温度は、15〜35℃であることが好ましく、撹拌の時間は、15〜30時間が好ましい。
撹拌時間が15時間未満では、α線発生物質であるU、Th等を充分に吸着することができず、一方、撹拌時間が30時間を超えても、α線発生物質であるU、Th等の吸着量は余り増加せず、経済的に不利となる。
【0050】
第1工程において、マグネシウム化合物を溶解させ、上記チタン化合物にマグネシウム化合物に含まれていたα線発生物質であるU、Th等を充分吸着させた後、第2工程において、上記チタン化合物を含む水溶液を濾過し、上記α線発生物質が吸着した上記チタン化合物を分離、除去する。
上記濾過を行って濾別することにより、α線発生物質であるU、Th等が除去されたマグネシウム化合物を含む水溶液を得る。
【0051】
上記濾過工程により、上記チタン化合物及びα線発生物質であるU、Th等を含むケーキが残るので、このケーキに塩酸等の酸を含む水溶液を添加して混合液とする。この後、再び濾過して上記チタン化合物に吸着していたU、Th等を分離し、水洗することにより、上記チタン化合物を再生することができる。再生されたチタン化合物は、再度、第1工程でα線発生物質を吸着するために使用することができる。
【0052】
次に、第3工程では、第2工程を経たマグネシウム化合物を含む水溶液にアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を添加して反応を行う。
【0053】
アルカリ金属水酸化物を添加することにより、水酸化マグネシウムが析出する。一方、アルカリ金属炭酸塩を添加することにより、塩基性炭酸マグネシウムが析出する。
以下では、塩基性炭酸マグネシウムを析出させる場合と水酸化マグネシウムを析出させる場合とに分けて説明する。
【0054】
まず、上記反応により塩基性炭酸マグネシウムを析出させる場合について説明する。
使用するアルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられるが、炭酸ナトリウムが好ましい。
【0055】
この第3工程においては、アルカリ金属炭酸塩をそのまま又は水に溶かして水溶液とした後、第2工程を経た水溶液に添加する。
このときのアルカリ金属炭酸塩の水溶液の濃度は、1〜5mol/Lが好ましい。
【0056】
結晶性に優れた酸化マグネシウムを得るためには、添加時の温度は、15〜35℃が好ましい。
【0057】
次に、第4工程では、上記アルカリ金属炭酸塩の添加により析出した塩基性炭酸マグネシウムを濾過により分離した後、焼成する。
【0058】
まず、析出した塩基性炭酸マグネシウムは、濾過を行った後、例えば、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗して副生成物であるアルカリ金属化合物を取り除き、100〜150℃で乾燥させる。この乾燥の際、スプレイドライ法により乾燥を行ってもよい。
【0059】
また、濾過により得られた塩基性炭酸マグネシウムに純水等の水を添加してスラリーとし、このスラリーに塩化マグネシウムの水溶液を添加し、塩化マグネシウムを含む混合スラリーとした後、得られた塩化マグネシウムを含む混合スラリーをスプレイドライ法等の乾燥方法を用いて乾燥し、900〜1500℃で1〜10時間焼成することにより、酸化マグネシウム粒子を得てもよい。
焼成温度が900℃未満では、塩基性炭酸マグネシウムが酸化マグネシウムに完全に転換されていないことがあり、一方、焼成温度が1500℃を超えると、焼結が進行し、粒子が大きくなり易いため、好ましくない。
【0060】
この塩化マグネシウムは、焼成の際、酸化マグネシウムの粒子成長助剤となる。
上記スプレイドライは、公知の装置を用いて公知方法により行うことができる。
【0061】
添加する塩化マグネシウム水溶液に関し、添加する塩化マグネシウムがα線発生物質を含んでいたのでは、α線の発生量を低減させることができないので、この塩化マグネシウムに対しても含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を用いて処理を行い、α線発生量物質を除去しておいてもよい。
【0062】
この後、焼成後の酸化マグネシウム粒子に対し、アルコール又は純水を用いて洗浄を行って不純物を除去し、濾過、乾燥することにより、酸化マグネシウム粒子を得ることができる。
【0063】
製造された酸化マグネシウム粒子は、必要により、エアミル等を用いて粉砕を行うことにより、粒径を調製することができる。
得られた酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、α線量が0.005c/cm・Hr以下であり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(2)式で表わされる粒子であることが好ましい。
y≧−1500x+55000・・・(2)
【0064】
また、上記酸化マグネシウム粒子は、その平均粒径が0.1〜12.0μmであることが好ましい。
【0065】
次に、上記反応により水酸化マグネシウムを析出させる場合について説明する。
使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0066】
この第3工程においては、アルカリ金属水酸化物をそのまま又は水に溶かして水溶液とした後、第2工程を経た水溶液に添加する。
このときのアルカリ金属水酸化物の水溶液の濃度は、15〜25mol/Lが好ましい。
【0067】
結晶性に優れた酸化マグネシウムを得るためには、添加時の温度は、15〜30℃が好ましい。
【0068】
次に、上記アルカリ金属水酸化物の添加により析出した水酸化マグネシウムを濾過により分離した後、焼成する。
【0069】
まず、析出した水酸化マグネシウムは、濾過を行った後、例えば、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗して副生成物であるアルカリ金属化合物を取り除き、100〜150℃で乾燥させる。この乾燥の際、スプレイドライ法により乾燥を行ってもよい。
【0070】
また、得られた水酸化マグネシウムに純水等の水を添加してスラリーとし、このスラリーに塩化マグネシウムの水溶液を添加し、塩化マグネシウムを含む混合スラリーとした後、得られた塩化マグネシウムを含む混合スラリーをスプレイドライ法等の乾燥方法を用いて乾燥し、900〜1500℃で1〜10時間焼成することにより、酸化マグネシウム粒子を得てもよい。
焼成温度が900℃未満では、水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムに完全に転換されていないことがあり、一方、焼成温度が1500℃を超えると、焼結が進行し、粒子が大きくなり易いため、好ましくない。
【0071】
この塩化マグネシウムは、焼成の際、酸化マグネシウムの粒子成長助剤となる。
上記スプレイドライは、公知の装置を用いて公知方法により行うことができる。
【0072】
添加する塩化マグネシウムは、塩基性炭酸マグネシウム粉末を製造する場合と同様、α線発生量物質を除去しておいてもよい。
【0073】
得られた酸化マグネシウム粒子の洗浄方法、粉砕方法等は、アルカリ金属炭酸塩を用いて反応を行った場合と同様である。
【0074】
得られた酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が0.1〜17m/gであり、α線量が0.005c/cm・Hr以下であり、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ)42.80〜43.00°でのピーク強度y(cps)と上記BET比表面積x(m/g)との関係が下記の(1)式で表わされることが好ましい。
y≧−960x+33000・・・(1)
【0075】
また、上記酸化マグネシウム粒子は、その平均粒径が0.1〜12.0μmであることが好ましい。
本発明では、第3工程において、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩の両方を添加してもよい。その場合には、水酸化マグネシウム及び塩基性炭酸マグネシウムの両方が析出するが、焼成によりいずれも酸化マグネシウムとなる。
【0076】
本願発明の酸化マグネシウムは、樹脂に添加することにより、放熱性、伝熱性に優れた樹脂組成物となる。
この場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、その例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙られる。
【0077】
本発明では、本発明の酸化マグネシウムを含む樹脂組成物が成型体又は接着剤として用いられる。また、本発明の酸化マグネシウムは、グリースにも用いられる。このような成型体、接着剤、及び、グリースもそれぞれ本発明の一つである。
【0078】
本発明の成型体に用いられる樹脂としては、上記した種類の樹脂が挙げられ、これらの樹脂からなる成型体は、本発明の酸化マグネシウムを含有している。成型体中の酸化マグネシウムの含有量は、10〜90重量%が好ましい。
上記酸化マグネシウムを含む成型体は、上記樹脂の粉末と酸化マグネシウムとを混合し、種々の成型法を用いて成型することにより得られる。
【0079】
本願発明の酸化マグネシウムは、その他の成分を併用して樹脂組成物にすることもできる。併用することができるその他の成分としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等の酸化マグネシウム以外の放熱性フィラー、界面活性剤等が挙げられる。
【0080】
本発明の成型体は、例えば、種々の自動車用部品、プリント基板、ヒートシンク等の電気電子部品などに好適に使用することができる。また、上記成型体は、種々の電気電子素子、電気電子装置を収容する容器としても好適に使用することができる。
これらの成型体は、放熱特性に優れるので、電子部品等に起因する発熱が発生しても、良好に放熱し、電子部品、電子装置等の温度が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0081】
本発明で用いる接着剤としては、例えば、フェノール樹脂系接着剤、α−オレフィン樹脂接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン接着剤、アクリル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、天然ゴム系接着剤等が挙げられる。
【0082】
本発明の接着剤は、例えば、種々の自動車用部品、プリント基板、ヒートシンク等の電気電子部品などの接着剤として好適に使用することができる。
本発明の接着剤中の酸化マグネシウムの配合量は、目的とする接着剤の熱伝導率に合わせて任意に決定する事ができる。酸化マグネシウムの放熱性能を充分に発現させるためには、接着剤の全量に対して10〜90重量%の酸化マグネシウムを含有する事が好ましい。
【0083】
これらの接着剤に本発明の酸化マグネシウムを添加することにより、放熱特性に優れた接着剤となり、これらの接着剤が用いられた電子部品、電子装置等は、電子部品等に起因して熱が発生しても、発熱体から放熱体や金属等に効率よく熱を伝導することができるので、電子部品、電子装置の温度が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0084】
本発明のグリース中の酸化マグネシウムの配合量は、目的とする熱伝導率に合わせて任意に決定する事ができる。酸化マグネシウムの放熱性能を充分に発現させるためには、グリース中の全量に対して10〜90体積%の酸化マグネシウムを含有する事が好ましい。
【0085】
本願発明の酸化マグネシウムは、その他の成分を併用してグリースにすることもできる。併用することができるその他の成分としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等の酸化マグネシウム以外の放熱性フィラー、界面活性剤等が挙げられる。
【0086】
グリースの基油としては、鉱油、合成油、シリコーンオイル、フッ素系炭化水素油等の各種油性材料を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。合成油としては特に炭化水素油がよい。合成油としてα−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、トリメリット酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテルなどが使用できる。
【0087】
本発明のグリースは、必要に応じて界面活性剤を含有するものであってもよい。上記界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が好ましい。非イオン系界面活性剤の配合により、高熱伝導率化を図り、ちょう度を好適に制御することができる。
【0088】
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエチレンジアミン、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエリトリットモノ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステルが挙げられる。
【0089】
本発明のグリースは、発熱体や放熱体に塗布することによって使用される。発熱体としては、例えば、一般の電源;電源用パワートランジスタ、パワーモジュール、サーミスタ、熱電対、温度センサなどの電子機器;LSI、CPU等の集積回路素子などの発熱性電子部品などが挙げられる。放熱体としては、例えば、ヒートスプレッダ、ヒートシンク等の放熱部品;ヒートパイプ、放熱板などが挙げられる。塗布は、例えば、スクリーンプリントによって行うことができる。スクリーンプリントは、例えば、メタルマスクもしくはスクリーンメッシュを用いて行うことができる。本発明のグリースを発熱体及び放熱体の間に介在させて塗布することにより、上記発熱体から上記放熱体へ効率よく熱を伝導させることができるので、上記発熱体から効果的に熱を取り除くことができる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1)
[塩化マグネシウム水溶液からα線発生物質を取り除く工程]
3リットルビーカーに、396g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1000mlと、200g/Lに調製した含水酸化チタン(堺化学工業社製)を主成分とするチタン化合物のスラリー 570mlと純水 500mlとを混合・撹拌し、pH6〜7になるように水酸化ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液を添加、その後25℃で24時間撹拌した後、濾過により含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物とα線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液(濾液)を濾別した。
なお含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を400℃で加熱した際の減量は14.0質量%であり、BET比表面積が224m/gであり、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が19.3であった。
【0091】
[α線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液を中和し塩基性炭酸マグネシウムを製造する工程]
濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を撹拌させながら、135g/Lに調製した炭酸ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液 1000mlを16.67ml/分の速度で1時間投入し、塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を形成した。この塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗し、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。
この白色粉末をICP発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 SPS 3100−24HV)で分析した結果、Mg含有率は20.2wt%で、X線回折パターンは、塩基性炭酸マグネシウム(Mg(CO(OH)(HO))に帰属するピークがメインであった。
【0092】
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
上記方法により得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1000℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.9wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.886℃のピーク強度が35004cpsであり、BET比表面積が15.2m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0093】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA(エチレン―エチルアクリレートコポリマー)樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度、蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−110で測定したところ2.41W/mKであった。
【0094】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン(登録商標)棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.2W/mKであった。
【0095】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、下記の方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0096】
各種物性の測定方法
[BET比表面積の測定]
BET比表面積は、試料を窒素雰囲気中、200℃で40分間熱処理し、マイクロメリティクス社製GEMINI VII2390を用いて測定した。
【0097】
[X線回折の測定]
(株)リガク社製粉末X線回折装置RINT−TTRIIIを用い、X線源はCuKα線、電圧50kV、電流300mAに設定し、試料回転速度90.000rpm、発散スリット1.00mm、発散縦制限スリット10mm、散乱スリット開放、受光スリット開放、走査モードFT、計数時間0.5秒、ステップ幅0.0400°、走査軸2θ/θ、走査範囲10.0000〜70.0000°、θオフセット0.0000°、積算回数1の条件でX線回折の測定を行った。
【0098】
[α線量の測定]
住化分析センター社製低レベルα線測定装置LACS−4000Mを用い、印加電圧1.90kV、計数ガスPR−10ガス(Ar:90%、CH:10%)100ml/min、試料面積1000cm、全計数時間99時間、計数効率80%の条件で測定した。
【0099】
(実施例2)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1100℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.888°のピーク強度が55696cpsで、BET比表面積が3.61m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0100】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に、上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.68W/mKであった。
【0101】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.33W/mKであった。
【0102】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0103】
(実施例3)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1250℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.890°のピーク強度が58294cpsで、BET比表面積が1.69m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0104】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ2.97W/mKであった。
【0105】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.64W/mKであった。
【0106】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0107】
(実施例4)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が60593cpsで、BET比表面積が0.92m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0108】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ3.05W/mKであった。
【0109】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.8W/mKであった。
【0110】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0111】
(実施例5)
実施例1で得られた濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を撹拌させながら、135g/Lに調製した炭酸ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1000mlを16.67ml/分の速度で1時間投入し、塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗した後、濾過した沈殿物を再度スラリー化させた。そのスラリーに実施例1で得られた濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を10ml添加し、15分間撹拌させた後、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は20.1wt%で、X線回折パターンは、塩基性炭酸マグネシウム(Mg(CO(OH)(HO))に帰属するピークがメインであった。
【0112】
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.892°のピーク強度が62791cpsで、BET比表面積が0.18m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0113】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、3.32W/mKであった。
【0114】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ3.02W/mKであった。
【0115】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0116】
(比較例1)
[塩化マグネシウム水溶液を中和し炭酸マグネシウムを作製する工程]
200g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1980mlを撹拌させながら、135g/Lに調製した炭酸ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1000mlを16.67ml/分の速度で1時間投入し、塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗し、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は20.2wt%で、X線回折パターンは、塩基性炭酸マグネシウム(Mg(CO(OH)(HO))に帰属するピークがメインであった。
【0117】
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1000℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.9wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.887°のピーク強度が30491cpsで、BET比表面積が14.5m/gで、α線量が0.012±0.001c/cm/hであった。
【0118】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.74W/mKであった。
【0119】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.65W/mKであった。
【0120】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0121】
(比較例2)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1100℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.8wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が39629cpsで、BET比表面積が3.71m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0122】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.78W/mKであった。
【0123】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.68W/mKであった。
【0124】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0125】
(比較例3)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1250℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.888°のピーク強度が44394cpsで、BET比表面積が1.75m/gで、α線量が0.012±0.001c/cm/hであった。
【0126】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.90W/mKであった。
【0127】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.84W/mKであった。
【0128】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0129】
(比較例4)
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例1の方法と同様の方法により、塩基性炭酸マグネシウムを製造し、得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.8wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.891°のピーク強度が48693cpsで、BET比表面積が0.95m/gで、α線量が0.012±0.001c/cm/hであった。
【0130】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.93W/mKであった。
【0131】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.85W/mKであった。
【0132】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0133】
(比較例5)
200g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1980mlを撹拌させながら、135g/Lに調製した炭酸ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1000mlを16.67ml/分の速度で1時間投入し、塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗した後、再度スラリー化させる。そのスラリーに実施例1で得られた濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を10ml添加、15分間撹拌させた後、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は20.3wt%で、X線回折パターンは、塩基性炭酸マグネシウム(Mg(CO(OH)(HO))に帰属するピークがメインであった。
【0134】
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.8wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が50998cpsで、BET比表面積が0.20m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0135】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、2.31W/mKであった。
【0136】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ2.21W/mKであった。
【0137】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0138】
(実施例6)
[α線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液を中和し、水酸化マグネシウムを製造する工程]
実施例1と同様の方法により、塩化マグネシウム水溶液からα線発生物質を取り除く工程を行い、得られた濾液(α線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液)を撹拌させながら、725g/Lに調製した水酸化ナトリウム水溶液 485mlを8.08ml/分の速度で1時間投入し、水酸化マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗し、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は41.7wt%で、X線回折パターンは、水酸化マグネシウムに帰属するピークがメインであった。
【0139】
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1000℃で焼成することにより白色の粉末が得られる。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.8wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.885°のピーク強度が22095cpsで、BET比表面積が13.2m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0140】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.36W/mKであった。
【0141】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.29W/mKであった。
【0142】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0143】
(実施例7)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例6の方法と同様の方法により、水酸化マグネシウムを製造し、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1100℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.887°のピーク強度が29976cpsで、BET比表面積が3.59m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった
【0144】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.39W/mKであった。
【0145】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.33W/mKであった。
【0146】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0147】
(実施例8)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例6の方法と同様の方法により、水酸化マグネシウムを製造し、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1250℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.886°のピーク強度が34781cpsで、BET比表面積が1.73m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0148】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.59W/mKであった。
【0149】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.57W/mKであった。
【0150】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0151】
(実施例9)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
実施例6の方法と同様の方法により、水酸化マグネシウムを製造し、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が36293cpsで、BET比表面積が0.81m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0152】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.61W/mKであった。
【0153】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.58W/mKであった。
【0154】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0155】
(実施例10)
実施例1で得られた濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を撹拌させながら、725g/Lに調製した水酸化ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液 485mlを8.08ml/分の速度で1時間で投入し、水酸化マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗した後、再度スラリー化させた。そのスラリーに実施例1で得られた濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を10ml添加、15分間撹拌させた後、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は41.6wt%で、X線回折パターンは、水酸化マグネシウムに帰属するピークがメインであった。
【0156】
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が37595cpsで、BET比表面積が0.17m/gで、α線量が0.001±0.001c/cm/hであった。
【0157】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.95W/mKであった。
【0158】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.9W/mKであった。
【0159】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0160】
(比較例6)
[塩化マグネシウム水溶液を中和し水酸化マグネシウムを作製する工程]
200g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1980mlを撹拌させながら、725g/Lに調製した水酸化ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液 485mlを8.08ml/分の速度で1時間で投入し、水酸化マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗し、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は41.7wt%で、X線回折パターンは、水酸化マグネシウムに帰属するピークがメインであった。
【0161】
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1000℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.8wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.879°のピーク強度が17291cpsで、BET比表面積が14.7m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0162】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、0.89W/mKであった。
【0163】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ0.88W/mKであった。
【0164】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0165】
(比較例7)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例6と同様の方法により、塩化マグネシウム水溶液を中和し水酸化マグネシウムを作製する工程を行い、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1100℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.889°のピーク強度が20034cpsで、BET比表面積が3.65m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0166】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、0.92W/mKであった。
【0167】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ0.9W/mKであった。
【0168】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0169】
(比較例8)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例6と同様の方法により、塩化マグネシウム水溶液を中和し水酸化マグネシウムを作製する工程を行い、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1250℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.885°のピーク強度が25855cpsで、BET比表面積が1.76m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0170】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、0.99W/mKであった。
【0171】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ0.95W/mKであった。
【0172】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0173】
(比較例9)
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
比較例6と同様の方法により、塩化マグネシウム水溶液を中和し水酸化マグネシウムを作製する工程を行い、得られた水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.886°のピーク強度が27192cpsで、BET比表面積が0.89m/gで、α線量が0.011±0.001c/cm/hであった。
【0174】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.03W/mKであった。
【0175】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.03W/mKであった。
【0176】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0177】
(比較例10)
200g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1980mlを撹拌させながら、725g/Lに調製した水酸化ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液 485mlを8.08ml/分の速度で1時間投入し、水酸化マグネシウムの沈殿を作製した。これを濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗した後、再度スラリー化させた。そのスラリーに実施例1で得られた濾液(α線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液)を10ml添加、15分間撹拌させた後、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMg含有率は41.8wt%で、X線回折パターンは、水酸化マグネシウムに帰属するピークがメインであった。
【0178】
[水酸化マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
水酸化マグネシウムを主成分とする白色粉末を1400℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.6wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.887°のピーク強度が28396cpsで、BET比表面積が0.19m/gで、α線量が0.012±0.001c/cm/hであった。
【0179】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)を10.0g投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製HC−110で測定したところ、1.51W/mKであった。
【0180】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.5W/mKであった。
【0181】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0182】
(参考例1)
[塩化マグネシウム水溶液からα線発生物質を取り除く工程]
3リットルビーカーに、396g/Lに調製した塩化マグネシウム(和光純薬製試薬一級)水溶液1000mlと、200g/Lに調製した含水酸化チタン(堺化学工業社製)を主成分とするチタン化合物のスラリー 570mlと純水 500mlとを混合・撹拌し、pH5になるように水酸化ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液を添加、その後25℃で24時間撹拌した後、濾過により含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物とα線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液(濾液)を濾別した。
なお含水酸化チタンを主成分とするチタン化合物を400℃で加熱した際の減量は14.0質量%であり、BET比表面積が224m/gであり、X線回折スペクトルにおいて、バックグランドの最低強度(cps)に対するブラッグ角(2θ)25.20〜25.60°におけるピーク強度(cps)の比が19.3であった。
【0183】
[α線発生物質を取り除いた塩化マグネシウム水溶液を中和し炭酸マグネシウムを製造する工程]
濾液(α線発生物質を除去した塩化マグネシウム水溶液)を撹拌させながら、135g/Lに調製した炭酸ナトリウム(和光純薬製試薬一級)水溶液 1000mlを16.67ml/分の速度で1時間投入し、塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を形成した。この塩基性炭酸マグネシウムの沈殿を濾過し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗し、130℃で2時間乾燥することにより白色粉末が得られた。
この白色粉末をICP発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:SPS 3100−24HV)で分析した結果、Mg含有率は20.0wt%で、X線回折パターンは、塩基性炭酸マグネシウム(Mg(CO(OH)(HO))に帰属するピークがメインであった。
【0184】
[塩基性炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムを作製する工程]
上記方法により得られた塩基性炭酸マグネシウムを主成分とする白色粉末を1000℃で焼成することにより白色の粉末が得られた。この白色粉末をICP発光分析装置で分析したMgO純度は99.7wt%で、X線回折パターンは、酸化マグネシウムに帰属するピークがメインで、2θ= 42.888°のピーク強度が30522cpsであり、BET比表面積が14.8m/gで、α線量が0.010±0.001c/cm/hであった。
【0185】
[EEA樹脂成型体の熱伝導率の測定]
LABO PLASTOMILL(東洋精機製作所社製:10C 100)に上記方法により得られた酸化マグネシウム 59.5gとEEA(エチレン―エチルアクリレートコポリマー)樹脂(A−1150 日本ポリエチレン社製)10.0gとを投入後、装置内温度150℃、ローター回転数40rpmで10分間混練し、EEA樹脂組成物を作製した。作製したEEA樹脂組成物を厚み2mm型枠の中央に流し込み、フェロ板で挟み、蒸気プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて150℃で25MPaの圧力を加え、直径50mmの円形にくり貫いた後、直径50mm×厚み2mmの型枠にはめこみ、フェロ板で挟み込み、再度、蒸気プレス機を用いて150℃で25MPaの圧力を加えEEA樹脂成型体を作製した。作製したEEA樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機社製の熱伝導率測定装置HC−110で測定したところ1.81W/mKであった。
【0186】
[エポキシ樹脂成型体の熱伝導率の測定]
エポキシ樹脂(エピコート828 三菱化学製) 6.52gと硬化剤(リカシッド MH−700 新日本理化製) 5.22gと硬化促進剤(N,N-Dimethylbenzylamine 試薬) 0.50gとを軟膏壺に入れ、テフロン棒でよく混ぜた後、上記方法により得られた酸化マグネシウム59.5gを入れ、自転・公転方式スーパーミキサー あわとり練太郎(ARE−250 シンキー社製)にセットし、2000rpmで5分間混練した後、2100rpmで2分間脱泡した。取り出したサンプルを三本ロール(EXAKT 80S EXAKT社製)を用いてロール間幅 10μm、回転数200rpmで10パスし、エポキシ樹脂組成物を作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を直径50mm×厚み2mmの型枠に流し込み、フェロ板で挟み、プレス機(ゴンノ油圧機製作所社製)を用いて常温で25MPaの圧力を10分間加えた後、120℃に設定した乾燥機で12時間保持、硬化させ、エポキシ樹脂成型体を作製した。作製したエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を英弘精機製HC−110で測定したところ1.79W/mKであった。
【0187】
なお、BET比表面積、X線回折の測定、及び、α線量の測定は、実施例1で記載した方法により行った。下記の表1には、上記実施例における焼成温度、X線回折パターンに関し、2θの値とメインピークのピーク強度、BET比表面積、並びに、EEA樹脂成型体及びエポキシ樹脂成型体の熱伝導率を示している。
【0188】
【表1】
【0189】
図2は、実施例及び比較例の結果を示すグラフであり、縦にX線回折スペクトルのピーク強度y(cps)を、横にBET比表面積x(m/g)をとっている。
上記実施例の結果から明らかなように、実施例1〜10で得られた酸化マグネシウムは、比較例1〜10で得られた酸化マグネシウムと比較して、α線量が大きく低減している。
【0190】
また、表1及び図2に記載されているように、実施例1〜10で得られた酸化マグネシウムは、比較例1〜10で得られた酸化マグネシウムと比べて、同じ焼成温度でもピーク強度が高く、EEA樹脂組成物及びエポキシ樹脂組成物の熱伝導率が高くなっている。
図1
図2