【実施例1】
【0047】
図1を参照すると、本発明の実施例1による文書印刷システムは、機密を要する文書データの印刷と、機密を要する印刷文書のコピーを実行するものである。
【0048】
特に、文書印刷システムは、機密文書印刷制御ビューア110と、プリンタ複合機210と、データベース群310とを有している。
【0049】
機密文書印刷制御ビューア110は、機密定義情報付加部111により、印刷要求および印刷要求者のユーザIDと共に入力される、文書コンテンツを含むオリジナル文書データに対して、固有の文書データIDを付加して文書データd10として出力する。これと共に、機密文書印刷制御ビューア110は、印刷文書における機密を要する領域を示す機密領域と、機密領域毎の機密の度合いを示す機密種別とを、文書データIDに対応付けて更新可能にデータベース群310に記憶させる。
【0050】
プリンタ複合機210は、ユーザ認証部212と、加工処理決定部213と、プリンタ部214とを有している。
【0051】
ユーザ認証部212は、機密文書印刷制御ビューア110から印刷要求と共に転送された印刷要求者のユーザIDに基づいて、印刷要求者の権限レベルを決定する。ユーザ認証部212はまた、機密文書印刷制御ビューア110からユーザIDと共に転送された印刷要求者の印刷要求に応じて、印刷文書に固有の印刷文書IDを、文書データIDに対応付けてデータベース群310に記憶させる。ユーザ認証部212はさらに、機密文書印刷制御ビューア110から入力された文書データd10に付加されている文書データIDに基づいて、文書データd10の機密領域および機密種別をデータベース群310から取得する。
【0052】
加工処理決定部213は、決定された印刷要求者の権限レベルと、取得した機密領域および機密種別とに基づいて、機密を要する領域に対する秘匿加工内容を示す加工種別を決定する。
【0053】
プリンタ部214は、決定された加工種別が示す秘匿加工が機密を要する領域に対して施されると共に印刷文書IDがタグの形態で埋め込まれるように(印刷文書IDタグD22)、文書データd10に応じた印刷文書D20を印刷する。尚、プリンタ部214は、加工処理決定部213で決定された加工種別に基づいて加工処理を施した印刷データの生成を行う印刷データ生成部214aと、印刷データからプリントアウトするための画像データを生成するラスタライザ214bとを含んでいる。
【0054】
尚、本発明において、印刷文書IDが印刷物に埋め込まれるとは、視覚的に情報が判別不可能な状態で印刷されることを云う。ただし、所謂バーコード等、汎用の機器を用いることで比較的容易に情報を判別可能なものではないことが好ましい。具体的には、印刷文書IDは、例えば、フィンガープリント方式または地紋方式で印刷文書に埋め込まれる。
【0055】
さらに、プリンタ複合機210は、コピー要求およびコピー要求者のユーザIDの入力と共にあてがわれた、印刷文書ID(印刷文書IDタグD12)が埋め込まれた印刷文書D10を読み取ることにより、印刷文書IDが付加された文書データとしてユーザ認証部212に出力するスキャナ部211をさらに有している。
【0056】
プリンタ複合機210のユーザ認証部212は、スキャナ部211から入力された文書データに付加されている印刷文書IDに基づいて、これに対応付けられた文書データIDをデータベース群310から取得する。ユーザ認証部212はまた、コピー要求と共に入力されたコピー要求者のユーザIDに基づいて、コピー要求者の権限レベルを決定し、ユーザIDと共に入力されたコピー要求者のコピー要求に応じて、印刷文書IDを、取得した文書データIDに対応付けてデータベース群310に更新的に記憶させる。ユーザ認証部212はさらに、取得した文書データIDに基づいて、スキャナ部211から出力された文書データの機密領域および機密種別をデータベース群310から取得する。
【0057】
プリンタ複合機210の加工処理決定部213は、決定されたコピー要求者の権限レベルと、取得した機密領域および機密種別とに基づいて、加工種別を決定する。
【0058】
プリンタ複合機210のプリンタ部214は、決定された加工種別が示す秘匿加工が機密を要する領域に対して施されると共に印刷文書IDが埋め込まれるように、スキャナ部211から出力された文書データに応じたコピー印刷文書を印刷する。
【0059】
さらに
図2(a)〜(c)を参照すると、データベース群310は、印刷文書テーブル311と、機密種別テーブル312と、ユーザデータベース313とを含んでいる。
【0060】
図2(a)に示されるように、印刷文書テーブル311は、文書データIDと、機密領域と、機密種別と、印刷文書IDとを対応付けて更新可能に記憶する。尚、機密領域としては、文書における表、グラフ、文書段落等のオブジェクト単位ではなく、文書における座標指定「x1,y1−x2,y2」とすることにより、複数の機密領域が重なっていても、各領域に異なる加工種別を設定することができるようになる。
【0061】
図2(b)に示されるように、機密種別テーブル312は、機密種別と、権限レベルと、加工種別とを対応付けて更新可能に記憶する。
【0062】
図2(c)に示されるように、ユーザデータベース313は、ユーザIDと、権限レベルとを対応付けて更新可能に記憶する。
【0063】
次に、
図1、
図2(a)〜(c)、ならびに
図3(a)および(b)を参照して、本文書印刷システムの動作(本発明による文書印刷方法)について説明する。
【0064】
[文書データの印刷]
(1)まず、機密文書印刷制御ビューア110により、印刷要求および印刷要求者「部長N」のユーザIDと共に入力される、文書コンテンツを含むオリジナル文書データに対して固有の文書データID「001」を付加して文書データd10として出力する。これと共に、機密文書印刷制御ビューア110により、印刷文書における機密を要する領域を示す機密領域「x1,y1−x2,y2」と、機密領域毎の機密の度合いを示す機密種別「予算データ」とを、文書データID「001」に対応付けてデータベース群310の印刷文書テーブル311(
図2(a))に記憶させる。
【0065】
(2)次いで、プリンタ複合機210のユーザ認証部212により、機密文書印刷制御ビューア110から印刷要求と共に転送された印刷要求者「部長N」のユーザIDに基づいて、データベース群310のユーザデータベース313(
図2(c))を参照して、印刷要求者「部長N」の権限レベル「事業部長レベル」を決定する。
【0066】
(3)これと共に、ユーザ認証部212により、機密文書印刷制御ビューア110からユーザIDと共に転送された印刷要求者「部長N」の印刷要求に応じて、印刷文書に固有の印刷文書ID「PRINTERA-00001」を、文書データID「001」に対応付けてデータベース群310の印刷文書テーブル311に記憶させる。
【0067】
(4)さらに、プリンタ複合機210のユーザ認証部212により、機密文書印刷制御ビューア110から入力された文書データd10に付加されている文書データID「001」に基づいて、文書データd10の機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」をデータベース群310の印刷文書テーブル311から取得する。
【0068】
(5)次に、加工処理決定部213により、データベース群310の印刷文書テーブル311機密種別テーブル312(
図2(b))を参照して、決定された印刷要求者「部長N」の権限レベル「事業部長レベル」と、取得した機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」とに基づいて、機密を要する領域に対する秘匿加工内容を示す加工種別「可視印刷」を決定する。
【0069】
(6)そして、プリンタ部214により、決定された加工種別「可視印刷」が示す秘匿加工(可視印刷)が機密を要する領域に対して施されると共に印刷文書ID「PRINTERA-00001」(印刷文書IDタグD22)が埋め込まれるように、文書データd10に応じた印刷文書D20を印刷する。
【0070】
[印刷文書のコピー(事業部長レベル)]
(1)まず、プリンタ複合機210のスキャナ部211により、コピー要求およびコピー要求者「部長N」のユーザIDの入力と共にあてがわれた、印刷文書ID「PRINTERA-00001」(印刷文書IDタグD12)が埋め込まれた印刷文書D10を読み取ることにより、印刷文書ID「PRINTERA-00001」が付加された文書データとしてユーザ認証部212に出力する。
【0071】
(2)ユーザ認証部212により、スキャナ部211から入力された文書データに付加されている印刷文書ID「PRINTERA-00001」に基づいて、これに対応付けられた文書データID「001」をデータベース群310の印刷文書テーブル311(
図2(a))から取得する。
【0072】
(3)次いで、ユーザ認証部212により、コピー要求と共に入力されたコピー要求者「部長N」のユーザIDに基づいて、データベース群310のユーザデータベース313(
図2(c))を参照して、コピー要求者「部長N」の権限レベル「事業部長レベル」を決定する。
【0073】
(4)これと共に、ユーザ認証部212により、ユーザIDと共に入力されたコピー要求者「部長N」のコピー要求に応じて、印刷文書ID「PRINTERA-00001」を、取得した文書データID「001」に対応付けてデータベース群310の印刷文書テーブル311に記憶させる。
【0074】
(5)さらに、プリンタ複合機210のユーザ認証部212により、取得した文書データID「001」に基づいて、スキャナ部から出力された文書データの機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」をデータベース群310の印刷文書テーブル311から取得する。
【0075】
(6)次に、加工処理決定部213により、データベース群310の印刷文書テーブル311機密種別テーブル312(
図2(b))を参照して、決定されたコピー要求者「部長N」の権限レベル「事業部長レベル」と、取得した機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」とに基づいて、加工種別「可視印刷」を決定する。
【0076】
(7)そして、プリンタ部214により、決定された加工種別「可視印刷」が示す秘匿加工が機密を要する領域に対して施されると共に印刷文書ID「PRINTERA-00001」(印刷文書IDタグD22)が埋め込まれるように、スキャナ部から出力された文書データに応じたコピー印刷文書D20を印刷する(
図3(a))。
【0077】
[印刷文書のコピー(主任・担当レベル)]
(1)まず、プリンタ複合機210のスキャナ部211により、コピー要求およびコピー要求者「担当C」のユーザIDの入力と共にあてがわれた、印刷文書ID「PRINTERA-00001」(印刷文書IDタグD12)が埋め込まれた印刷文書D10を読み取ることにより、印刷文書ID「PRINTERA-00001」が付加された文書データとしてユーザ認証部212に出力する。
【0078】
(2)ユーザ認証部212により、スキャナ部211から入力された文書データに付加されている印刷文書ID「PRINTERA-00001」に基づいて、これに対応付けられた文書データID「001」をデータベース群310の印刷文書テーブル311(
図2(a))から取得する。
【0079】
(3)次いで、ユーザ認証部212により、コピー要求と共に入力されたコピー要求者「担当C」のユーザIDに基づいて、データベース群310のユーザデータベース313(
図2(c))を参照して、コピー要求者「担当C」の権限レベル「主任・担当レベル」を決定する。
【0080】
(4)これと共に、ユーザ認証部212により、ユーザIDと共に入力されたコピー要求者「担当C」のコピー要求に応じて、印刷文書ID「PRINTERA-00001」を、取得した文書データID「001」に対応付けてデータベース群310の印刷文書テーブル311に記憶させる。
【0081】
(5)さらに、プリンタ複合機210のユーザ認証部212により、取得した文書データID「001」に基づいて、スキャナ部から出力された文書データの機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」をデータベース群310の印刷文書テーブル311から取得する。
【0082】
(6)次に、加工処理決定部213により、データベース群310の印刷文書テーブル311機密種別テーブル312(
図2(b))を参照して、決定されたコピー要求者「担当C」の権限レベル「主任・担当レベル」と、取得した機密領域「x1,y1−x2,y2」および機密種別「予算データ」とに基づいて、加工種別「黒塗り印刷」を決定する。
【0083】
(7)そして、プリンタ部214により、決定された加工種別「黒塗り印刷」が示す秘匿加工が機密を要する領域に対して施されると共に印刷文書ID「PRINTERA-00001」(印刷文書IDタグD22’)が埋め込まれるように、スキャナ部から出力された文書データに応じたコピー印刷文書D20’を印刷する(
図3(b))。