(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入光面としての端面、その反対側の先端部、光出射面としての外側面、その反対側の光出射面としての内側面、両側面を含み、かつ、前記入光面から前記先端部に向かうにつれ前記外側面と前記内側面との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズと、
前記入光面に対向して配置され、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記外側面又は前記内側面から出射する光を放射する光源と、
を備えており、
前記導光レンズは、前記両側面のうち一方の側面側から見て湾曲しており、前記内側面のうち前記入光面側の領域から出射した光が前記内側面のうち前記先端部側の領域から再度前記導光レンズ内に入光しこれを透過して外側面から出射するように湾曲していることを特徴とする灯具。
入光面としての端面、その反対側の先端部、光出射面としての外側面、その反対側の光出射面としての内側面、両側面を含み、かつ、前記入光面から前記先端部に向かうにつれ前記外側面と前記内側面との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズと、
前記入光面に対向して配置され、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記外側面又は前記内側面から出射する光を放射する光源と、
を備えており、
前記導光レンズは、前記両側面のうち一方の側面側から見て湾曲しており、前記外側面及び前記内側面が鉛直面となるように縦置きに配置されるとともに、前記外側面から出射する光のMax光度の方向が車両前後方向に延びる灯具光軸に一致するように配置されていることを特徴とする灯具。
前記外側面は、前記両側面のうち一方の側面側から見て、灯具光軸の外側において前記灯具光軸に徐々に近づくように前記灯具光軸に沿って延び、前記灯具光軸を通過した後、前記灯具光軸の内側において前記灯具光軸から徐々に離れるように延びて前記先端部に達する凸曲面とされ、
前記内側面は、前記一方の側面側から見て、前記灯具光軸の内側において前記先端部に向かうにつれ徐々に前記外側面との間の間隔が小さくなるように前記外側面に沿って延びて前記先端部に達する凹曲面とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の灯具。
前記導光レンズの外側面又は内側面には、当該外側面又は内側面から出射する光を制御するためのレンズカットが施されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の灯具。
前記導光レンズの両側面はそれぞれ、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記両側面に入射した光を前記導光レンズの幅方向に集光する光として反射する形状とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の灯具。
前記導光レンズの両側面はそれぞれ、前記外側面から見た前記導光レンズの外形が、放物線、楕円弧、台形又はこれらに近い形状であることを特徴とする請求項7に記載の灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の特許文献1に記載の車両用信号灯具300においては、反射面320は、略回転放物面の反射面であり、求められる配光パターンとの関係で、ある程度の奥行き寸法W及び高さ寸法H(
図29参照)が必要であるため、車両用信号灯具300の薄型化、小型化が困難である、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来の車両用信号灯具と比べ、薄型かつ小型の灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、入光面としての端面、その反対側の先端部、光出射面としての外側面、その反対側の光出射面としての内側面、両側面を含み、かつ、前記入光面から前記先端部に向かうにつれ前記外側面と前記内側面との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズと、前記入光面に対向して配置され、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記外側面又は前記内側面から出射する光を放射する光源と、を備えており、前記導光レンズは、前記両側面のうち一方の側面側から見て湾曲して
おり、前記内側面のうち前記入光面側の領域から出射した光が前記内側面のうち前記先端部側の領域から再度前記導光レンズ内に入光しこれを透過して外側面から出射するように湾曲していることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、入光面から先端部に向かうにつれ外側面と内側面との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズの作用により、従来の車両用信号灯具と比べ、薄型かつ小型の灯具(例えば、車両用灯具)を構成することが可能となる。
【0008】
また、請求項1に記載の発明によれば、湾曲した導光レンズ(外側面及び内側面)の作用により、外側面から出射する光束が、内側面から出射する光束に比べ、大幅に増加する灯具を構成することが可能となる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明によれば、湾曲した導光レンズ(外側面及び内側面)の作用により、まったく新しい光り方をする新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
また、請求項1に記載の発明によれば、再度導光レンズ内に入光しこれを透過して外側面から出射する光は、導光レンズがプリズムとして作用することで、灯具光軸寄りに屈折して外側面から出射する。これにより、外側面から出射する光の量がさらに増加する。
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、外側面から出射する光束が、内側面から出射する光束に比べ、さらに増加する灯具を構成することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、入光面としての端面、その反対側の先端部、光出射面としての外側面、その反対側の光出射面としての内側面、両側面を含み、かつ、前記入光面から前記先端部に向かうにつれ前記外側面と前記内側面との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズと、前記入光面に対向して配置され、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記外側面又は前記内側面から出射する光を放射する光源と、を備えており、前記導光レンズは、前記両側面のうち一方の側面側から見て湾曲して
おり、前記外側面及び前記内側面が鉛直面となるように縦置きに配置されるとともに、前記外側面から出射する光のMax光度の方向が車両前後方向に延びる灯具光軸に一致するように配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、灯具光軸に対して左右方向に略満遍なく出射する指向特性を実現することが可能で、なおかつ、左右の割れが無く(すなわち、光度が顕著に低下している部分が無く)、中心部が明るい自動車用ランプに適した配光パターンを形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0010】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記外側面は、前記両側面のうち一方の側面側から見て、灯具光軸の外側において前記灯具光軸に徐々に近づくように前記灯具光軸に沿って延び、前記灯具光軸を通過した後、前記灯具光軸の内側において前記灯具光軸から徐々に離れるように延びて前記先端部に達する凸曲面とされ、前記内側面は、前記一方の側面側から見て、前記灯具光軸の内側において前記先端部に向かうにつれ徐々に前記外側面との間の間隔が小さくなるように前記外側面に沿って延びて前記先端部に達する凹曲面とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明によれば、凸曲面である外側面の作用により、外側面が平面である場合と比べ、外側面に入射する光源からの光の量が増加する。また、凸曲面である外側面の作用により、外側面が平面である場合と比べ、外側面に入射する光の入射角が小さくなる。これにより、全反射せずに外側面から出射する光の量が増加する。
【0012】
また、凹曲面である内側面の作用により、内側面が平面である場合と比べ、光源から見て内側面の影となる部分が増えるため、内側面に入射する光の量が減少する。また、凹曲面である内側面の作用により、内側面が平面である場合と比べ、内側面に入射する光の入射角が大きくなり、全反射しやすくなるため、内側面から出射する光の量が減少する。このように、内側面から出射する光の量が減少する分、外側面から出射する光の量がさらに増加する。
【0013】
以上のように、請求項
3に記載の発明によれば、外側面から出射する光束が、内側面から出射する光束に比べ、大幅に増加する灯具を構成することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記導光レンズは、前記先端部が前記入光面に対して25度以上湾曲していることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、先端部が入光面に対して25度以上湾曲した導光レンズ(外側面及び内側面)の作用により、外側面から出射する光束が、内側面から出射する光束に比べ、大幅に増加する灯具を構成することが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記導光レンズの外側面又は内側面には、当該外側面又は内側面から出射する光を制御するためのレンズカットが施されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、内側面又は外側面に施されたレンズカットの作用により、配光の拡がりが調整されるため、レンズカットが施されていない場合と比べ、配光ムラ、輝度ムラが低減した配光パターンを形成することが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記レンズカットは、配光ムラ、輝度ムラ、指向特性を調整するためのローレット又は微細プリズムであることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、内側面又は外側面に施されたローレット又は微細プリズムの作用により、配光の拡がりが調整されるため、ローレット又は微細プリズムが施されていない場合と比べ、配光ムラ、輝度ムラが低減した配光パターンを形成することが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記導光レンズの両側面はそれぞれ、前記入光面から前記導光レンズ内に入光し前記両側面に入射した光を前記導光レンズの幅方向に集光する光として反射する形状とされていることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、導光レンズの両側面の作用により、導光レンズの幅方向に集光した配光パターン(例えば、仮想鉛直スクリーン上に法規が求める上下幅の配光パターン)を形成することが可能な灯具を構成することが可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記導光レンズの両側面はそれぞれ、前記外側面から見た前記導光レンズの外形が、放物線、楕円弧、台形又はこれらに近い形状であることを特徴とする。
【0026】
請求項8は、導光レンズの両側面の例示である。請求項8に記載の発明によれば、導光レンズの両側面の作用により、導光レンズの幅方向に集光した配光パターン(例えば、仮想鉛直スクリーン上に法規が求める上下幅の配光パターン)を形成することが可能な灯具を構成することが可能となる。
【0029】
請求項
9に記載の発明は、請求項
2に記載の発明において、前記導光レンズは、車両用灯具ユニットから照射される光が透過するように前記車両用灯具ユニットの前方に配置されていることを特徴とする。
【0030】
請求項
9に記載の発明によれば、車両用灯具ユニットの前方に導光レンズが配置された新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、従来の車両用信号灯具と比べ、薄型かつ小型の灯具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】車両前部の左側に配置された装飾部材であるエクステンション200及び当該エクステンション200に装着された灯具100の斜視図である。
【
図2】(a)は第1実施形態の灯具100の斜視図、
図2(b)は平面図、
図2(c)は側面図、
図2(d)は正面図である。
【
図3】灯具100の横断面図(光路図含む)である。
【
図4】入光面33から導光レンズ30内に入射したLED光源10からの光の光路図(平面視)である。
【
図5】(a)入光面33から導光レンズ30内に入射したLED光源10からの光のうちRay1の光路図、(b)入光面33から導光レンズ30内に入射したLED光源10からの光のうちRay2の光路図である。
【
図6】導光レンズ30の光出射面31から出射した光が屈折して上下方向に拡散することを説明するための側面図である。
【
図7】
図6に示した導光レンズ30から出射した光により形成される配光パターンP0の例である。
【
図8】側面35、36の焦点Fについて説明するための側面図である。
【
図9】導光レンズ30の入光面33から導光レンズ30内に入射し側面35、36で上下方向に集光されたLED光源10からの光の光路図(側面視)である。
【
図10】
図8に示した側面35、36を持つ導光レンズ30から出射した光により形成される配光パターンP1の例である。
【
図11】(a)第2実施形態の灯具100Aの平面図、(b)側面図、(c)正面図である。
【
図12】(a)湾曲していない導光レンズ30を用いた灯具の斜視図、(b)側面図、(c)平面図、(d)正面図である。
【
図13】(a)は、先端部34が入光面33に対して湾曲していない導光レンズ30(光出射面31、32)から出射する光の光線追跡図、(b)は
図13(a)の円内の拡大図である。
【
図14】湾曲していない導光レンズ30(光出射面31、32)から出射する光により仮想鉛直スクリーン(導光レンズ30の前方約25mに配置されている)上に形成される配光パターンP2の例である。
【
図15】(a)、(b)外側面31Aが凸面である場合、外側面31Aが平面である場合と比べ、外側面31Aに入射する光の入射角が小さくなることを説明するための図である。
【
図16】(a)、(b)内側面32Aが凹面である場合、内側面32Aが平面である場合と比べ、内側面32Aに入射する光の入射角が大きくなることを説明するための図である。
【
図17】第2実施形態の灯具100Aの外側面31A側から見た斜視図である。
【
図18】第2実施形態の灯具100Aの内側面32A側から見た斜視図である。
【
図19】(a)は、先端部34が入光面33の法線Xに対してβ=約25度湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)から出射する光の光線追跡図、(b)は
図19(a)の円内の拡大図である。
【
図20】湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)から出射する光により仮想鉛直スクリーン(導光レンズ30Aの前方約25mに配置されている)上に形成される配光パターンP3の例である。
【
図21】(a)は内側面32Aから出射する光により形成される配光パターンP4(等光度線図)の例、(b)は外側面31Aから出射する光により形成される配光パターンP5(等光度線図)の例である。
【
図22】第3実施形態の導光レンズ30Bの内側面32B側から見た斜視図である。
【
図23】(a)内側面32BにレンズカットLCが施された導光レンズ30Bの横断面図、(b)外側面31BにレンズカットLCが施された導光レンズ30Bの横断面図である。
【
図24】
図23(a)に示すようにレンズカットLCが内側面32Bに施された導光レンズ30B(外側面31B及び内側面32B)から出射する光により仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンP6の例である。
【
図25】
図23(b)に示すようにレンズカットLCが外側面31Bに施された導光レンズ30B(外側面31B及び内側面32B)から出射する光により仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンP7の例である。
【
図26】(a)レンズカットLCが施された内側面32Bから出射する光により形成される配光パターンP8(等光度線図)の例、(b)レンズカットLCが施されていない外側面31Bから出射する光により形成される配光パターンP9(等光度線図)の例である。
【
図27】(a)レンズカットLCが施されていない内側面32Bから出射する光により形成される配光パターンP10(等光度線図)の例、(b)レンズカットLCが施された外側面31Bから出射する光により形成される配光パターンP11(等光度線図)の例である。
【
図28】灯具100A、100Bの設置例について説明するための図である。
【
図29】従来の車両用信号灯具300の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態である灯具100について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
本実施形態の灯具100は、例えば、車両前部の左右両側にそれぞれ配置された装飾部材であるエクステンション200(プロジェクターユニットとアウターレンズ外周との隙間を隠す造形物)等に装着され、車両用信号灯具(DRL(デイタイムランニングランプ)、ポジションランプ、コーナリングランプ、フロント/リア/サイド・ターンシグナルランプ、ストップランプ、ハイマウントストップランプ、テールランプ等)として用いられる。
【0035】
図1は、車両前部の左側に配置された装飾部材であるエクステンション200及び当該エクステンション200に装着された灯具100の斜視図である。
【0036】
図2(a)は灯具100の斜視図、
図2(b)は平面図、
図2(c)は側面図、
図2(d)は正面図である。
【0037】
図2(a)〜
図2(d)に示すように、灯具100は、LED光源10、反射面20、導光レンズ30等を備えている。
【0038】
[LED光源10]
LED光源10は、白色LED光源、橙色LED光源、赤色LED光源である。例えば、灯具100がデイタイムランニングランプ、ポジションランプである場合には白色LED光源が用いられる。また、灯具100がターンシグナルランプである場合には橙色LED光源が用いられる。また、灯具100がストップランプである場合には赤色LED光源が用いられる。以上のように、灯具100の機能に応じて適切な色のLED光源10が用いられる。なお、レンズに着色して光色を変更してもよい。
【0039】
LED光源10は、導光レンズ30の端面(入光面33)に対向して配置されており、導光レンズ30の入光面33から導光レンズ30内に入射し表面(光出射面31)から出射する光を放射する。
【0040】
[反射面20]
反射面20は、例えば、アルミ蒸着や銀蒸着が施された高反射率シートである。反射面20は、導光レンズ30の裏面32から出射した光を反射して再び導光レンズ30内に戻すため、導光レンズ30の裏面32側に接するように配置されている(
図2(b)参照)。
【0041】
[導光レンズ30]
導光レンズ30は、入光面としての端面33(以下、入光面33と称す)、その反対側の先端部34、光出射面としての表面31(以下、光出射面31と称す)、その反対側の裏面32、両側面35、36を含み、かつ、入光面33から先端部34に向かうにつれ光出射面31と裏面32との間の厚みが薄くなる楔形状(プリズム形状)の導光レンズ(導光板)である。導光レンズ30は、アクリル、ポリカーボネイト又はシクロオレフィンポリマー等の透明樹脂により成形されている。
【0042】
導光レンズ30は、導光レンズ30内に入光し導光レンズ30の光出射面31から出射するLED光源10からの光が仮想鉛直スクリーン(車両前方約25mに配置されている)上に法規(例えば、ECE等の配光規格)が求める配光パターンを形成するように、光出射面31及び裏面32が鉛直面となり、かつ、灯具光軸AX0に対し左右方向に傾斜した姿勢で配置されている(
図2(a)〜
図2(d)参照)。
【0043】
光出射面31と裏面32はいずれも平面(鉛直面)である。
【0044】
両側面35、36はそれぞれ、入光面33から導光レンズ30内に入光し両側面35、36に入射した光を導光レンズ30の幅方向(
図2(c)中上下方向)に集光する光として反射する形状(例えば、光出射面31側から見た導光レンズ30の外形が、放物線、楕円弧、台形又はこれらに近い形状(概ねこれらの形状に対応して一部異なる部分があるような形状))とされている(
図2(c)参照)。なお、両側面35、36をこの形状とした技術的意義については後に詳述する。
【0045】
[左右方向の配光制御方法(楔形)の説明]
次に、導光レンズ30の光出射面31から左右方向に配光制御された光が出射する仕組みについて説明する。
【0046】
図3は、灯具100の横断面図である。
図3を用いて導光レンズ30の入光面33における光の進み方について説明する。
【0047】
通常、LED光源10から放射された光の多くはランバーシアン(光の強さが、発光面の見かけの面積に比例した強度分布の拡散光)に近い。LED光源10から放射された光(拡散光)は、入光面33から導光レンズ30内に入射(入光)した場合、入光面33の法線Xに対して臨界角内となるように屈折する。
図3中、角度θ1は、導光レンズ30内に入射した光の入光面33の法線Xに対する角度を示している。上述した導光レンズ30の材料の屈折率は1.5〜1.6程度であるため、臨界角は約40度となる。従って、入光面33が平面の場合、角度θ1は、すべて±40度の範囲となる。一般的な導光レンズは、表面と裏面が平行であり、入光面が導光レンズ(表面と裏面)に対して直角である。このため、入光面から一般的な導光レンズ内に入射した光は、表面と裏面との間で全反射を繰り返す。
【0048】
これに対して本実施形態の導光レンズ30はその断面が
図4に示すように楔形である。このため、入光面33から導光レンズ30内に入射した入射光は、光出射面31及び裏面32で全反射を繰り返すうちに徐々に光出射面31に対する入射角が小さくなる。そして、臨界角より小さくなった時点で光出射面31から外に出射する。
【0049】
図4中、入射光aは表側に臨界角付近の角度で導光レンズ30内に入射した光である。
図4中、入光面33は導光レンズ30に対して直角ではなく、灯具光軸AX0に対して垂直な面である。このため、入射光aは光出射面31に対して臨界角より小さい入射角となり、全反射せずに出射光aとなる。
【0050】
一方、裏側に臨界角付近の角度で入射した入射光bは、導光レンズ30の裏面32に対する入射角が臨界角より大きいので全反射される。このとき、導光レンズ30が楔形をしているため、光線の向きが光出射面31に対して入射角がやや小さくなる方向に反射される。このため、光出射面31に対する入射角が臨界角以内となり、出射光bとなる。
【0051】
入射光bより内側を向いた入射光c、dは一回の全反射では臨界角内にならないので、表裏面31、32で全反射を繰り返し、光出射面31に対する入射角が臨界角より小さくなった時点で、光出射面31より出射する。
【0052】
また、楔形にすることにより導光レンズ30の先端部から出る光が無くなり、ほとんどの光が光出射面31側から出射するという効果もある。
【0053】
図4では、入光面33が灯具光軸AX0に対して垂直な例で説明したが、入光面33が導光レンズ30に対して垂直でもよい。この場合、入射光aが初回から光出射面31から出射するのではなく、全反射を繰り返して導光レンズ30から外に出射する。この点以外、入光面33が灯具光軸AX0に対して垂直な場合と同様である。
【0054】
また、
図5(a)に示すように、光出射面31への入射角が先に臨界角より小さくなって光出射面31から出射する光線Ray1と、
図5(b)に示すように、光出射面31への入射角より導光レンズ30の裏面32へ入射角の方が先に臨界角より小さくなり、導光レンズ30の裏面32から出射する光線Ray2とがある。光線Ray2は、反射面20で反射されて再び導光レンズ30内に戻され、光出射面31から出射する。
【0055】
[上下方向の配光制御方法(放物柱)の説明]
次に、導光レンズ30の光出射面31から出射する光を上下方向に集光する方法について説明する。
【0056】
上記のように導光レンズ30の断面を楔形にしただけでは、
図6に示すように、導光レンズ30の光出射面31から出射した光が屈折して上下方向に拡散するため、
図7に示すように、上下方向に広がった縦長の配光パターンP0が形成される。この配光パターンP0は、配光規格(例えば、ECE)が求めるよりも大きく上下方向に広がるため、光利用効率が悪い。
【0057】
本実施形態では、配光規格が求める程度に上下方向に集光した配光パターンを形成するために、
図8に示すように、導光レンズ30の側面35、36は、LED光源10から放射されて入光面33から導光レンズ30内に入光した光線群の延長線の交点C付近に焦点Fが設定された放物線Paを含む面、例えば、当該放物線Paを導光レンズ表面若しくは裏面に対して面直方向に引き延ばした放物柱面とされている。
【0058】
これにより、導光レンズ30の側面35、36で全反射された光が灯具光軸AX0寄りに集光されるため(
図9参照)、
図10に示すように、
図7に比べて大幅に上下方向に集光した配光パターンP1を形成することが可能となる。なお、導光レンズ30の側面35、36は、第1焦点が上記交点C付近に設定され、第2焦点が仮想鉛直スクリーン上に設定された楕円弧を含む面、例えば、当該楕円弧を導光レンズ表面若しくは裏面に対して面直方向に引き延ばした面であってもよい。これによっても、
図7に比べて大幅に上下方向に集光した配光パターンを形成することが可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の灯具100によれば、入光面33から先端部34に向かうにつれ光出射面31と裏面32との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズ30の作用により、従来の車両用信号灯具と比べ、薄型かつ小型の車両用灯具を構成することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の灯具100によれば、導光レンズ30の両側面35、36の作用により、仮想鉛直スクリーン上に法規が求める上下幅(又は左右幅)の配光パターンP1(
図10参照)を形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態の灯具100によれば、
図1に示すように、複数の灯具ユニット間の隙間を覆う装飾部材としてのエクステンション200の段差部に装着(配置)することで、まったく新しい光り方をする新規見栄えの車両用灯具を提供することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の灯具100によれば、
図1に示すように、導光レンズをエクステンションの造形面(例えば、段差部)に装着することで、当該造形面(例えば、段差部)が車両用信号灯具として機能する新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の灯具100によれば、
図1に示すように、入光面33から先端部34に向かうにつれ光出射面31と裏面32との間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズ30がエクステンション200に装着された新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。
【0064】
なお、光出射面31と裏面32とのなす角度θ2(
図5(a)、
図5(b)参照)が大きくなるほど、左右の拡がりが大きくなる。光源10の大きさや配置によって光度分布が変わるが、頂角θ2は10°以下が好ましい。DRLやストップランプでは、通常左右40°(片側20°)程度の拡がりを求められているためである。なお、本実施形態では、頂角θ2=3.5°を採用している。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態である灯具100Aについて、図面を参照しながら説明する。
【0066】
図11(a)は第2実施形態の灯具100Aの平面図、
図11(b)は側面図、
図11(c)は正面図である。
【0067】
本実施形態の灯具100Aは、
図11(a)〜
図11(c)に示すように、反射面20を備えていない点、及び、導光レンズ30(光出射面31及び光出射面32)が、両側面35、36のうち一方の側面側から見て湾曲している点以外、第1実施形態の灯具100と同様である。以下、本実施形態の導光レンズ30、光出射面31、光出射面32をそれぞれ、導光レンズ30A、外側面31A、内側面32Aと称する。その他の構成については、第1実施形態と同様の符号を付す。
【0068】
以下、湾曲した導光レンズ30Aの技術的意義について湾曲していない導光レンズ30と対比しながら説明する。
【0069】
図12(a)は湾曲していない導光レンズ30を用いた灯具の斜視図、
図12(b)は側面図、
図12(c)は平面図、
図12(d)正面図である。
【0070】
図12(a)〜
図12(d)に示すように、湾曲していない導光レンズ30の場合、当該導光レンズ30の光出射面31、32から出射する光は、左右対称に出射する指向特性となる(
図12(c)、
図13(a)、
図13(b)参照)。
【0071】
図14は、湾曲していない導光レンズ30(光出射面31、32)から出射する光により仮想鉛直スクリーン(導光レンズ30の前方約25mに配置されている)上に形成される配光パターンP2の例である。
【0072】
図14を参照すると、配光パターンP2は、あたかも左右に割れたように自動車用ランプとして最も明るさが求められる中心部(
図14の左右方向の0[°]付近)がその外側よりも暗くなっており、自動車ランプ用の配光パターンとして適していないことが分かる。
【0073】
この左右の割れを防止(又は低減)し、中心部が明るい自動車用ランプに適した配光パターンを形成するために、本実施形態では、両側面35、36のうち一方の側面側から見て湾曲した導光レンズ30A(
図11(a)参照)を用いている。
【0074】
図11(a)に示すように、導光レンズ30Aの外側面31Aは、両側面35、36のうち一方の側面35側から見て、灯具光軸AX0の外側において灯具光軸AX0に徐々に近づくように灯具光軸AX0(灯具における最大光度の向き。設計上の光学中心)に沿って延び、灯具光軸AX0を通過した後、灯具光軸AX0の内側において灯具光軸AX0から徐々に離れるように延びて先端部34に達する凸曲面とされている。
【0075】
一方、導光レンズ30Aの内側面32Aは、両側面35、36のうち一方の側面35側から見て、灯具光軸AX0の内側において先端部34に向かうにつれ徐々に外側面31Aとの間の間隔が小さくなるように外側面31Aに沿って延びて先端部34に達する凹曲面とされている。
【0076】
次に、上記構成の導光レンズ30Aにおいて外側面31Aから出射する光の量が増加する理由、すなわち、導光レンズ30Aを湾曲させたことの効果について説明する。
【0077】
上記のように外側面31Aが凸曲面である場合、外側面31Aが平面である場合と比べ、外側面31Aに入射するLED光源10からの光の量が増加する。また、
図15(a)、
図15(b)に示すように、外側面31Aが凸曲面である場合、外側面31Aが平面である場合と比べ、外側面31Aに入射する光RayAの入射角θ3が小さくなる。これにより、全反射せずに外側面31Aから出射する光の量が増加する。
【0078】
一方、内側面32Aが凹曲面である場合、内側面32Aが平面である場合と比べ、LED光源10から見て内側面32Aの影となる部分が増えるため、内側面32Aに入射する光の量が減少する。また、
図16(a)、
図16(b)に示すように、内側面32Aが凹曲面である場合、内側面32Aが平面である場合と比べ、内側面32Aに入射する光RayBの入射角θ4が大きくなり、全反射しやすくなるため、内側面32Aから出射する光の量が減少する。このように、内側面32Aから出射する光の量が減少する分、外側面31Aから出射する光の量がさらに増加する。
【0079】
さらに、上記のように湾曲した導光レンズ30Aを用いると、
図11(a)、
図17、
図18、
図19(b)に示すように、内側面32Aのうち入光面33側の領域から出射した光RayC(比較的大きな出射角で出射した光)が内側面32Aのうち先端部34側の領域から再度導光レンズ30(先端部34付近)内に入光しこれを透過して外側面31Aから出射する。この再度導光レンズ30(先端部34付近)に入光しこれを透過して外側面31Aから出射する光RayCは、導光レンズ30(先端部34付近)がプリズムとして作用することで、導光レンズ30の頂角θ2の半分程度、灯具光軸AX0寄りに屈折して外側面31Aから出射する(レンズ屈折率が1.5前後の場合)。これにより、外側面31Aから出射する光の量がさらに増加する。
【0080】
以上のように、湾曲した導光レンズ30Aを用いることで、外側面31Aから出射する光束が、内側面32Aから出射する光束に比べ、増加する灯具を構成することが可能となる。
【0081】
上記構成の導光レンズ30Aを含む灯具100Aを車両用信号灯具として用いる場合、当該灯具100Aは、外側面31A及び内側面32Aが鉛直面となるように縦置きに(
図11(b)、
図17参照)、なおかつ、外側面31Aから出射する光のMax光度の方向が車両前後方向に延びる灯具光軸AX0に一致するように外側に傾けて(例えば、約10度外側に傾けて)配置される(
図11(b)参照)。このように灯具100Aを配置した場合、外側面31A及び内側面32Aから出射する光は、
図19(a)、
図19(b)に示すように、外側面31Aから出射する光線が増えて、内側面32Aから出射する光線が減り、全体として左右方向に略満遍なく出射する指向特性となる。
【0082】
図20は、先端部34が入光面33に対して約45度(入光面33の法線Xと先端部34とのなす角度β。
図11(a)参照)湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)から出射する光により仮想鉛直スクリーン(導光レンズ30Aの前方約25mに配置されている)上に形成される配光パターンP3の例である。
【0083】
図20を参照すると、湾曲した導光レンズ30Aから出射する光により形成される配光パターンP3は、湾曲していない導光レンズ30から出射する光により形成される配光パターンP2(
図14参照)と比べ、左右の割れが無く(すなわち、光度が顕著に低下している部分が無く)、中心部が明るい配光パターン、すなわち、自動車用ランプに適した配光パターンとなることが分かる。
【0084】
次に、外側面31Aから出射する光束が、内側面32Aから出射する光束に比べ、どの程度増加するかについて検討する。
【0085】
図21(a)は内側面32Aから出射する光により形成される配光パターンP4(等光度線図)の例、
図21(b)は外側面31Aから出射する光により形成される配光パターンP5(等光度線図)の例である。
【0086】
本願の発明者は、シミュレーションの結果、LED光源10の光束を100[lm]とした場合、内側面32Aから出射する光(
図21(a)の配光パターンP4を形成する光束)が28.79[lm]、外側面31Aから出射する光(
図21(b)の配光パターンP5を形成する光束)が48.17[lm]となること、すなわち、外側面31Aから、内側面32Aの約1.6倍の光束が出射することを確認した。これは、湾曲した導光レンズ30Aによる効果である。
【0087】
次に、導光レンズ30Aをどの程度湾曲させると上記効果が現れるのかについて検討する。
【0088】
図13(b)は、先端部34が入光面33に対して湾曲していない導光レンズ30(光出射面31、32)から出射する光の光線追跡図である。
図19(b)は、先端部34が入光面33の法線Xに対してβ=約25度湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)から出射する光の光線追跡図である。
【0089】
図13(b)、
図19(b)を参照すると、湾曲していない導光レンズ30では光軸AX0方向の光線が少ないが、湾曲した導光レンズ30Aでは全体として光軸AX0に対して左右方向に略満遍なく光線が分布することが分かる。
【0090】
本願の発明者は、シミュレーションの結果、導光レンズ30Aの長さによって異なるが、約25度(入光面33の法線Xと先端部34とのなす角度β。
図11(a)参照)湾曲した導光レンズ30Aから上記効果が現れ始め、約45度(入光面33の法線Xと先端部34とのなす角度β。
図11(a)参照)湾曲した導光レンズ30Aで上記効果が十分現れることを確認した。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の灯具100Aによれば、入光面33から先端部34に向かうにつれ外側面31Aと内側面32Aとの間の厚みが薄くなる楔形状の導光レンズ30Aの作用により、従来の車両用信号灯具と比べ、薄型かつ小型の車両用灯具を構成することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態の灯具100Aによれば、湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)の作用により、外側面31Aから出射する光束が、内側面32Aから出射する光束に比べ、大幅に増加する灯具を構成することが可能となる。自動車用ランプは光軸AX0方向(配光パターンの左右0度、上下0度方向)に高い光度が要求されていること、及び、外側面31Aから出射する光が光軸AX0方向に照射されることから、外側面31Aから出射する光が多いほど、車両用灯具として好ましい。
【0093】
また、本実施形態の灯具100Aによれば、湾曲した導光レンズ30A(外側面31A及び内側面32A)の作用により、まったく新しい光り方をする新規見栄えの灯具を提供することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態の灯具100Aによれば、灯具100Aを、外側面31A及び内側面32Aが鉛直面となるように縦置きに配置するとともに(
図11(b)、
図17参照)、外側面31Aから出射する光のMax光度の方向が車両前後方向に延びる灯具光軸AX0に一致するように外側に傾けて(例えば、導光レンズ30Aの入光面33の法線Xを角度α(例えば約10度)外側に傾けて。
図11(a)参照)配置することにより、次の効果を奏することが可能となる。すなわち、灯具光軸AX0に対して左右方向に略満遍なく出射する指向特性を実現することが可能で(
図19(a)及び
図19(b)参照)、なおかつ、
図14に示した配光パターンP2と比べ、左右の割れが無く(すなわち、光度が顕著に低下している部分が無く)、中心部が明るい自動車用ランプに適した配光パターンP3を形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる(
図20参照)。
【0095】
また、本実施形態の灯具100Aによれば、導光レンズ30Aの両側面35、36の作用により、仮想鉛直スクリーン上に法規が求める上下幅(又は左右幅)の配光パターンP3(
図20参照)を形成することが可能な車両用灯具を構成することが可能となる。
【0096】
なお、外側面31Aと内側面32Aとのなす角度θ2(
図11参照)が大きくなるほど、左右の拡がりが大きくなる。光源10の大きさや配置によって光度分布が変わるが、頂角θ2は10°以下が好ましい。DRLやストップランプでは、通常左右40°(片側20°)程度の拡がりを求められているためである。なお、本実施形態では、頂角θ2=3.5°を採用している。
【0097】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態である灯具100Bについて、図面を参照しながら説明する。
【0098】
本実施形態の灯具100Bは、
図22に示すように、内側面32B又は外側面31Bに当該内側面32B又は外側面31Bから出射する光を制御するためのレンズカットLCが施されている点以外、第2実施形態の灯具100Aと同様である。以下、本実施形態の導光レンズ30、光出射面31、光出射面32をそれぞれ、導光レンズ30B、外側面31B、内側面32Bと称する。その他の構成については、第1実施形態及び第2実施形態と同様の符号を付す。
【0099】
レンズカットLCは、上下方向に延びる凹凸(
図22参照)、例えば、
図23(a)、
図23(b)に示すように、横断面に凹曲線C1、凸曲線C2が交互に現れる波形の凹凸(ローレットとも称する)である。なお、
図23(a)、
図23(b)に示したレンズカットLC(凹凸C1、C2)は分かりやすくするために誇張して描いてあるが、実際のレンズカットLC(凹凸C1、C2)のサイズ(山の高さ)はこれより小さくてもよい。
【0100】
まず、内側面32BにレンズカットLCを施した場合(
図23(a)参照)について説明する。
【0101】
図24は、
図23(a)に示すようにレンズカットLCが内側面32Bに施された導光レンズ30B(外側面31B及び内側面32B)から出射する光により仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンP6の例である。
【0102】
図24を参照すると、配光パターンP6は、
図20に示した配光パターンP3(レンズカットLCが施されていない場合)と比べ、中心(水平方向0[°])付近で配光ムラ、輝度ムラが低減しており、自動車用ランプに適した配光パターンとなることが分かる。これは、レンズカットLCの作用により、配光の拡がりが調整されたためである。
【0103】
次に、外側面31BにレンズカットLCを施した場合(
図23(b)参照)について説明する。
【0104】
図25は、
図23(b)に示すようにレンズカットLCが外側面31Bに施された導光レンズ30B(外側面31B及び内側面32B)から出射する光により仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンP7の例である。
【0105】
図25を参照すると、配光パターンP7は、
図20に示した配光パターンP3(レンズカットLCが施されていない場合)と比べ、配光ムラ、輝度ムラが低減しており、自動車用ランプに適した配光パターンとなることが分かる。これは、レンズカットLCの作用により、配光の拡がりが調整されたためである。
【0106】
次に、レンズカットLCを、内側面32B又は外側面31Bのいずれに施すのが好ましいかについて検討する。
【0107】
まず、内側面32BにレンズカットLCを施した場合に(
図23(a)参照)、外側面31Bから出射する光束が、内側面32Bから出射する光束に比べ、どの程度増加するかについて検討する。
【0108】
図26(a)は、レンズカットLCが施された内側面32Bから出射する光により形成される配光パターンP8(等光度線図)の例、
図26(b)はレンズカットLCが施されていない外側面31Bから出射する光により形成される配光パターンP9(等光度線図)の例である。
【0109】
本願の発明者は、シミュレーションの結果、LED光源10の光束を100[lm]とした場合、レンズカットLCが施された内側面32Bから出射する光(
図26(a)の配光パターンP8を形成する光束)が29.21[lm]、外側面31Bから出射する光(配光パターンP9を形成する光束)が47.68[lm]となること、すなわち、外側面31Bから、内側面32Bの約1.63倍の光束が出射することを確認した。
【0110】
次に、外側面31BにレンズカットLCを施した場合に(
図23(b)参照)、外側面31Bから出射する光束が、内側面32Bから出射する光束に比べ、どの程度増加するかについて検討する。
【0111】
図27(a)は、レンズカットLCが施されていない内側面32Bから出射する光により形成される配光パターンP10(等光度線図)の例、
図27(b)はレンズカットLCが施された外側面31Bから出射する光により形成される配光パターンP11(等光度線図)の例である。
【0112】
本願の発明者は、シミュレーションの結果、LED光源10の光束を100[lm]とした場合、レンズカットLCが施されていない内側面32Bから出射する光(配光パターンP10を形成する光束)が34.08[lm]、外側面31Bから出射する光(配光パターンP11を形成する光束)が42.74[lm]となること、すなわち、外側面31Bから、内側面32Bの約1.25倍の光束が出射することを確認した。
【0113】
以上から、レンズカットLCを外側面31Bに施すより、内側面32Bに施した方が、外側面31Bから出射する光の量が増加すること(及び、中心光度も増加すること)が分かる。このことから、灯具100Bを車両用灯具として用いる場合には、レンズカットLCを外側面31Bより内側面32Bに施した方がより好ましいことが分かる。
【0114】
以上説明したように、本実施形態の灯具100Bによれば、第2実施形態で説明した効果に加え、さらに以下の効果を奏する。
【0115】
すなわち、内側面32B又は外側面31Bに施されたレンズカットLCの作用により、配光の拡がりが調整されるため、
図20に示した配光パターンP3(レンズカットLCが施されていない場合)と比べ、配光ムラ、輝度ムラが低減した自動車用ランプに適した配光パターンP6、P7を形成することが可能となる(
図24、
図25参照)。
【0116】
なお、本実施形態ではレンズカットLCが横断面に凹曲線C1、凸曲線C2が交互に現れる波形の凹凸である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バックライト等で用いられている微小プリズムをレンズカットLCとして用いてもよい。微小プリズムを用い、その角度やピッチを調整することで輝度ムラを減らすことが可能となる。また、配光パターンの制御だけでなく、見た目を美しくする効果を期待できる。
【0117】
[灯具100A、100Bの設置例]
次に、灯具100A、100Bの設置例について説明する。
【0118】
図28は、DRL/ポジションランプとして機能する灯具100A(又は灯具100B)を、車両用灯具ユニット40から照射される光が透過するように当該車両用灯具ユニット40の前方に配置した例である。このようにすれば、車両用灯具ユニット40の前方に導光レンズ30A(又は導光レンズ30B)が配置された新規見栄えの車両用灯具を構成することが可能となる。なお、導光レンズ30Aは反射面20を備えておらず透明であるため、車両用灯具ユニット40からの光は、導光レンズ30Aで遮られることなくこれを透過して前方に照射される。
【0119】
車両用灯具ユニット40は、例えば、ハロゲン電球等の光源41や当該光源41からの光を走行ビームとして反射して前方を照射するように構成された反射面42(例えば、自由曲面)を含むリフレクタ型の光学ユニットである。
【0120】
車両用灯具ユニット40から照射された光は、導光レンズ30A(例えば、楔形断面やレンズカット)の作用によりにより左右方向に広げられる。しかしながら、反射面42のうち下方部は中央部に比べ、左右に拡がった配光を形成するために使われる。したがって、導光レンズ30Aの影響を考慮して反射面42を設計することで、導光レンズ30Aの影響を受けることなく(又はほとんど受けることなく)走行ビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
【0121】
また、灯具100A(又は灯具100B)を、天井等に氷柱のようにぶら下げ、一般照明用灯具として用いることも可能である。あるいは、灯具100A(又は灯具100B)を、遊技機等の装置に組み込み、特殊照明用灯具として用いることも可能である。
【0122】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。