(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段が、前記担当範囲設定処理として、前記仮定した複数の区分けパターンのうち、前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記予定累積搬送作業量の差の絶対値が、最小値又は前記最小値以上で前記最小値に設定値を加えた最大値以下の範囲に含まれる前記区分けパターンを選択する請求項1に記載の物品搬送設備。
前記制御手段が、前記担当範囲設定処理として、前記仮定した複数の区分けパターンのうち、前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記予定累積搬送作業量の和が最小値又は前記最小値以上で前記最小値に設定値を加えた最大値以下の範囲に含まれる前記区分けパターンを選択する請求項1に記載の物品搬送設備。
前記制御手段が、前記搬送要求に係る搬送作業のうち一部が完了した設定タイミングにおいて、前記担当範囲設定処理を行なう再設定処理を実行自在に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように搬送担当範囲を搬送指令の発生頻度に基づいて設定すると、各物品搬送装置が担当する搬送作業の数を所望の分担形態とすることができるものの、複数の搬送指令に係る搬送作業の内容によっては各物品搬送装置が担当する搬送作業の内容が所望の分担形態とならない場合がある。
【0005】
説明を加えると、複数の搬送指令の夫々に基づく搬送作業の内容は、各搬送指令に係る搬送先となる支持部の位置によって異なるものであるため、例えば、搬送作業に伴う走行移動量を各搬送装置で均衡するような分担形態で搬送担当範囲を設定したい場合に、各物品搬送装置が担当する搬送指令の数が同じでも、ある物品搬送装置が担当する複数の搬送指令の夫々の搬送距離が長い搬送作業である場合は、当該特定の物品搬送装置だけ、搬送作業量が極端に多くなるという場合が発生し得る。
【0006】
このように、従来のように、搬送担当範囲を搬送指令の発生頻度に基づいて設定したのでは、複数の物品搬送装置にて分担して物品を搬送する場合に、適切に所望の分担形態とすることができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の物品搬送装置にて分担して物品を搬送するべく搬送担当範囲を設定する場合に、搬送作業の内容をも勘案した所望の分担形態に適切に設定することができる物品搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る物品搬送設備は、物品を支持自在な支持部が複数並べて設けられ、前記複数の支持部の並び方向に沿って移動して、搬送元から前記支持部を搬送先として物品を搬送するべく物品搬送作業を行う物品搬送装置が複数設けられ、前記複数の物品搬送装置の作動を制御する制御手段が設けられ、前記制御手段が、
複数の物品についての搬送要求が発生した場合に、前記搬送要求に係る複数の物品についての搬送先となる前
記支持部
が前記複数の物品搬送装置と同数の
搬送担当範囲のいずれかに属する形態で前記複数の支持部を前記複数の搬送担当範囲に区分けし、
かつ、前記複数の搬送担当範囲の並び順と前記複数の物品搬送装置の並び順とが対応する形態で前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記搬送担当範囲を設定する
、担当範囲設定処理を実行するように構成され、且つ、前記担当範囲設定処理にて設定された各搬送担当範囲に属する前記支持部への物品搬送作業を前記複数の物品搬送装置の夫々に担当させる形態で、前記複数の支持部に物品を搬送するべく、前記複数の物品搬送装置の作動を制御するように構成されたものであって、
その第1特徴構成は、前記制御手段が、
前記搬送要求が発生した場合に、前記担当範囲設定処理として、前記搬送元から前記搬送要求に係る複数の物品を搬送するための搬送作業量を、前記複数の物品搬送装置の夫々につい
て取得し、前記搬送担当範囲の区分けパターンとして仮定される複数の区分けパターン毎に、前記区分けパターンに基づく前記搬送担当範囲に属する支持部を搬送先とする物品の全てを搬送するための予定累積搬送作業量を前記物品搬送装置毎に算出し、前記区分けパターンの夫々についての前記複数の物品搬送装置の夫々の前記予定累積搬送作業量に基づいて、仮定される複数の前記区分けパターンのうちから、1つの前記区分けパターンを選択し、選択した前記区分けパターンに基づいて、複数の物品搬送装置の夫々についての前記搬送担当範囲を設定するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、制御手段は、複数の物品についての搬送要求が発生すると、搬送元から搬送要求に係る複数の物品を搬送するための搬送作業量を、複数の物品搬送装置の夫々について搬送要求に係る物品毎に取得し、搬送担当範囲の区分けパターンとして仮定される複数の区分けパターン毎に、当該区分けパターンに基づく搬送担当範囲に属する支持部を搬送先とする物品についての搬送作業量を物品搬送装置毎に累積した予定累積搬送作業量を算出する。搬送担当範囲の区分態様は設備のハード構成や運用条件などに従った区分け条件の制限の下で区分けすることができるため、この区分け条件の下で複数の区分けパターンが仮定できる。制御手段は、区分け条件の下で仮定される複数の区分けパターンの夫々についての複数の物品搬送装置の夫々の予定累積搬送作業量に基づいて、仮定される複数の区分けパターンのうちから1つの区分けパターンを選択し、選択した区分けパターンに基づいて、複数の物品搬送装置の夫々についての搬送担当範囲を設定することになる。そのため、仮定される複数の区分けパターンのうちから、複数の物品搬送装置の夫々の予定累積搬送作業量に基づいて適切な区分けパターンを選択し、その選択した区分けパターンに基づいて複数の物品搬送装置の夫々についての搬送担当範囲を設定することができるものとなる。
【0010】
説明を加えると、制御手段は、仮定される複数の区分けパターンのそれぞれについて、当該区分けパターンにて搬送担当範囲を設定した場合に、各搬送担当範囲を担当する各物品搬送装置毎に、搬送要求に係る複数の搬送対象の物品のうち当該搬送担当範囲を搬送先とする物品を搬送元から搬送するための予定累積搬送作業量を算出し、仮定される複数の区分けパターン毎に、複数の物品搬送装置の夫々の予定累積搬送作業量を評価することで、搬送要求に係る複数の物品の搬送を実際に処理させたときの物品搬送装置の搬送内容を加味して、複数の物品搬送装置の夫々についての搬送担当範囲を設定することができる。
上記搬送作業量としては、例えば、物品搬送装置が搬送要求に係る物品を搬送元から搬送先まで搬送するために要する搬送時間や、搬送元から搬送先までの搬送距離が考えられる。搬送時間や搬送距離は、物品搬送装置が実際に物品を搬送する実荷状態での搬送作動についてのもののみならず、搬送対象の物品を受け取るまで又は搬送元へ復帰するまでの空荷状態の搬送作動についてのものを含めてもよい。
このように、物品搬送装置が物品を搬送する作業数、つまり、搬送指令数でなく、搬送指令に従って搬送先まで物品を搬送するための搬送作業量に基づき搬送担当範囲を設定することで、搬送要求における複数の搬送対象の物品についての各搬送指令に対して物品搬送装置の搬送作業の内容に基づく重み付けができるものとなる。したがって、複数の搬送指令に係る搬送作業の内容にばらつきがあっても、各物品搬送装置が担当する搬送作業の内容を所望の分担形態とすることが適切に行える。
【0011】
要するに、第1特徴構成によれば、複数の物品搬送装置にて分担して物品を搬送するべく搬送担当範囲を設定する場合に、搬送作業の内容をも勘案した所望の分担形態に適切に設定することができるものとなる。
【0012】
本発明に係る物品搬送設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記担当範囲設定処理として、前記仮定した複数の区分けパターンのうち、前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記予定累積搬送作業量の差の絶対値が、最小値又は前記最小値
以上で前記最小値に設定値を加えた最大値以下の範囲に含まれる前記区分けパターンを選択する点にある。
【0013】
すなわち、仮定した複数の区分けパターンのうち、複数の物品搬送装置の夫々についての予定累積搬送作業量の差の絶対値が、最小値又はその最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンを選択するものであるから、複数の物品搬送装置夫々の予定累積搬送作業量の差が小さい状態となるように、つまり、複数の物品搬送装置夫々の予定累積搬送作業量が極力均衡した状態となるように区分けパターンを選択することができる。
このように複数の物品搬送装置夫々の予定累積搬送作業量を均衡させることができるので、複数の物品搬送装置の作業量の不均衡に伴う、例えば、特定の物品搬送装置だけ老朽化が進むといった不都合の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る物品搬送設備の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記担当範囲設定処理として、前記最小値
以上で前記最大値以下の範囲に含まれる区分けパターンのうち、前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記予定累積搬送作業量の和が最小となるように前記区分けパターンを選択する点にある。
【0015】
すなわち、搬送作業を行わせるためには物品搬送装置を作動させるためのエネルギー(例えば電力等)を消費することになる。複数の物品搬送装置の夫々についての予定累積搬送作業量の和が小さいと、予定累積搬送作業量の和が大きい場合と較べて、複数の物品搬送装置を作動させるためのエネルギーが小さくて済むことになる。そこで、予定累積搬送作業量の差の絶対値が最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンのうち、複数の物品搬送装置の夫々についての予定累積搬送作業量の和が最小となる区分けパターンを選択すれば、上記のように複数の物品搬送装置の作業量の不均衡に伴う不都合の発生を抑制しながらも、複数の物品搬送装置を作動させるためのエネルギーを抑制することができる。
【0016】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、複数の物品搬送装置を作動させるためのエネルギーを抑制することができる。
【0017】
本発明に係る物品搬送設備の第4特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記担当範囲設定処理として、前記仮定した複数の区分けパターンのうち、前記複数の物品搬送装置の夫々についての前記予定累積搬送作業量の和が最小値又は前記最小値
以上で前記最小値に設定値を加えた最大値以下の範囲に含まれる前記区分けパターンを選択する点にある。
【0018】
すなわち、搬送作業を行わせるに当たっては、物品搬送装置を作動させるためのエネルギー(例えば電力等)を消費することになる。複数の物品搬送装置の夫々についての予定累積搬送作業量の和が小さいと、予定累積搬送作業量の和が大きい場合と較べて、複数の物品搬送装置を作動させるためのエネルギーが小さくて済むことになる。
【0019】
従って、第4特徴構成によれば、複数の物品搬送装置の夫々についての予定累積搬送作業量の和が最小値又はその最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンを選択することにより、搬送要求に係る複数の物品を搬送するために複数の物品搬送装置を作動させる場合に消費されるエネルギーを抑制することが可能な物品搬送設備を提供することができる。
【0020】
本発明に係る物品搬送設備の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記搬送元が、前記複数の物品搬送装置の夫々について各別に設けられている点にある。
【0021】
すなわち、搬送元が、複数の物品搬送装置の夫々について各別に設けられているものであるから、夫々の物品搬送装置は夫々各別に物品を供給されるものとなる。したがって、搬送元での物品の移載のタイミングが重なって他の物品搬送車の作業待ちのために搬送元での物品の移載が行えないために作業効率が低下するといったような事態の発生を防止することができる。したがって、物品搬送装置の作業効率を向上させることが可能となる。
また、複数の物品搬送装置の夫々について各別に設けられる搬送元を、夫々の物品搬送装置の搬送担当範囲に属する位置に設けることにより、夫々の物品搬送装置が物品を搬送すべく搬送元から搬送先としての支持部まで移動するに当たって、移動すべき距離を極力小さくすることが可能となり、物品搬送装置の作業効率を向上させることが可能となる。
【0022】
要するに、第5特徴構成によれば、物品搬送装置の作業効率を向上させることが可能な物品搬送設備を提供することができる。
【0023】
本発明に係る物品搬送設備の第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記制御手段が、前記搬送要求に係る搬送作業のうち一部が完了した設定タイミングにおいて、前記担当範囲設定処理を行なう再設定処理を実行自在に構成されている点にある。
【0024】
すなわち、担当範囲設定処理にて搬送担当範囲が設定されて、その搬送担当範囲に基づいて、搬送要求に係る複数の物品の搬送作業が複数の物品搬送装置にて順次処理されるが、時間の経過とともに、担当範囲設定処理により設定された当初の搬送担当範囲のまま搬送作業を継続すると、搬送担当範囲を設定した当初に実現しようとしていた所望の分担形態が崩れてきている場合がある。例えば、担当範囲設定処理によって、複数の物品搬送装置毎に搬送作業量を均衡させるべく搬送担当範囲を設定したとしても、搬送要求に係る搬送作業のうち一部が完了した時点において、例えば、その時点までに、搬送要求が追加で発生したり、搬送先の下流側の処理が滞るなどして、複数の物品搬送装置の夫々が担当すべき搬送作業の均衡が崩れる場合がある。
このような場合、再設定処理を実行して再度担当範囲設定処理を行うことによって、搬送要求に係る搬送作業のうち一部が完了した時点を起点として、残る搬送作業について担当範囲設定処理を行い、搬送作業の内容をも勘案した所望の分担形態にするべく、搬送担当範囲を修正することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
本発明に係る物品搬送設備の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る物品搬送設備をピッキング設備への物品の補充に適用した場合の概略平面図である。物品供給コンベヤCは、図示しない自動倉庫から取り出された物品Bを、複数のピッキングステーションSを並設したピッキング作業域に搬送するように構成されている。
ピッキングステーションSの夫々は、
図2に示すように、ピッキング作業対象の物品Bとしての供給ケースをピッキング作業者に供給する供給棚部20を備えている。
【0027】
供給棚部20の夫々は、支柱21にて支持される収納棚22を左右方向に3つ並べて設け、且つ、上下方向に4つ離間して設けた流動棚にて構成されている。収納棚22は、その一端側にスタッカークレーンSTによって搬送された供給ケースが移載される移載箇所を備えている。移載箇所に移載された供給ケースは、ピッキング作業者を行うピッキング作業箇所が設けられる他端側に向けて移送される。収納棚22は、その長手方向に複数の供給ケースを並べて載置することが可能に構成され、ピッキング完了等により1つの供給ケースが空になると、その供給ケースを撤去することによって、引き続き新たな供給ケースが供給されるようになっている。
本実施形態においては、収納棚22が支持部に相当し、その一端側から物品Bとしての供給ケースが収納される。また、収納棚22の他端側には、スタッカークレーンSTによって供給ケースを補充する物品補充要求するための補充要求ボタンDbが設けられている。
したがって、物品Bを支持自在な支持部が上下及び左右に複数並べて設けられることとなる。
【0028】
図1に示すように、物品を搬送元から搬送先としての支持部に搬送するスタッカークレーンSTとして、2台のスタッカークレーンST1、ST2が設けられている。これら2台のスタッカークレーンST1、ST2は、同一の走行案内レールRに案内される状態で走行移動する走行台車10を備えている。
また、走行台車10上にはマスト12が立設され、昇降台13がマスト12に案内されて昇降移動自在に設けられ、昇降台13に、物品Bを自己と移載対象箇所との間で移載自在な移載装置14が設けられている。
すなわち、複数の支持部の並び方向に沿って移動して、搬送元から支持部を搬送先として物品を搬送するべく物品搬送作業を行う複数のスタッカークレーンSTが設けられている。
【0029】
また、
図1及び
図2に示すように、物品供給コンベヤCは、供給棚部20における最上段の収納棚22よりも上方に配設され、搬送対象の物品Bを、上記2台のスタッカークレーンST1、ST2に対応する搬送元としての物品供給箇所M1及びM2に搬送するようになっている。なお、物品供給コンベヤCは、幹線部分C1、並びに、幹線部分C1から分岐して物品供給箇所M1に物品を供給する支線部分C2、及び、幹線部分C1から分岐して物品供給箇所M2に物品を供給する支線部分C3から構成されている。
つまり、搬送元が、複数のスタッカークレーンSTの夫々について各別に設けられている。また、複数のピッキングステーションS間に亘って、物品Bからピッキングされた対象品目を集品する集品ケースBSを搬送自在な集品コンベヤVが設けられている。
【0030】
図3に示すように、上述の2台のスタッカークレーンST(スタッカークレーンST1及びスタッカークレーンST2)、物品供給コンベヤC、及び、集品コンベヤVの作動を制御する制御手段Hが設けられている。
【0031】
制御手段Hは、例えば演算装置と記憶部とを備えた汎用コンピュータにて構成され、スタッカークレーンSTの作動を制御するクレーンコントローラH1及び物品供給コンベヤCと集品コンベヤVとの作動を制御するコンベヤコントローラH2を備えている。本実施形態においてクレーンコントローラH1及びコンベヤコントローラH2は、夫々上記コンピュータにて実行されるプログラムとして構成している。また、補充要求ボタンDbの夫々によって入力される補充要求情報は、補充先の支持部を示す情報として制御手段Hに入力される。
また、図示はしないが、スタッカークレーンST夫々には走行台車10の走行位置を検出する走行位置センサ、及び、昇降台13の昇降位置を検出する昇降位置センサが設けられており、これら走行位置センサ及び昇降位置センサの検出情報がクレーンコントローラH1に入力されるようになっており、また、クレーンコントローラH1は、上位コントローラからの搬送指令並びに上記走行位置センサ及び昇降位置センサの検出情報に基づいて、物品Bを搬送元から搬送先まで搬送するようにスタッカークレーンST夫々の作動を制御する。
【0032】
さらに、制御手段Hには、後述する担当範囲設定処理の実行を指令する再設定指令手段Dが接続されている。再設定指令手段Dは、例えば、制御手段Hに接続されるコンソールに再設定指令ボタンとして設けてもよいし、グラフィック画面上で再設定指令を指令するアイコンやボタンとして設けられ、マウスのクリックによって指令されるように構成してもよい。
【0033】
また、制御手段Hは、複数の支持部を、2つのスタッカークレーンSTと同数の、つまり2つの搬送担当範囲に区分けし、それら2つの搬送担当範囲の並び順とスタッカークレーンSTの並び順とが対応する形態で2つのスタッカークレーンSTの夫々についての搬送担当範囲を設定する担当範囲設定処理を実行するように構成されている。
つまり、2台のスタッカークレーンST1、ST2は、同一の走行案内レールR上を走行移動するものであるため、スタッカークレーンST1、ST2が相互に干渉しないように走行を制御する必要がある。このため、本実施形態においては、制御手段Hは、複数の支持部を担当範囲設定処理によって2つの搬送担当範囲に区分けし、各搬送担当範囲に属する支持部への物品搬送作業を、スタッカークレーンST1、ST2の夫々に担当させる形態で、複数の支持部に物品を搬送するべく、スタッカークレーンST1、ST2の作動を制御するようにしている。
本実施形態では、搬送担当範囲の区分態様は、3つの収納棚22を備えるピッキングステーションSの境界にて区切られた範囲(
図1に示すZ1〜Z20までの範囲)を区分け条件として、この区分け条件の下で複数の区分けパターンが仮定できる。
【0034】
制御手段Hは、複数の物品Bについての搬送要求が発生した場合に、担当範囲設定処理を実行するように構成されている。
本実施形態では、当日1日分の搬送作業に係る複数の搬送指令を上位コンピュータがバッチ処理により生成して、一括して要求した場合に、担当範囲設定処理を実行する。
【0035】
担当範囲設定処理による搬送担当範囲の設定方法を、
図4及び
図5のフローチャートに基づいて説明する。
図4に示すように、搬送元から搬送要求に係る複数の物品を搬送するための搬送作業量としての搬送作業時間を、スタッカークレーンST1、ST2の夫々について搬送要求に係る物品毎に取得する(#31、#32)。
本実施形態では、仮定される区分けパターンとして、
図6に示すように、P1〜P19に示す搬送先毎の境界のいずれかにて区分けされた19個のパターンが仮定される。以下の説明においては、説明の便宜上、この境界P1〜P19を区分けパターン名とする。そして、区分けパターンP1〜P19の全てについて、当該区分けパターンに基づく搬送担当範囲に属する支持部を搬送先とする搬送要求に係る物品についての搬送作業時間を、物品搬送装置毎に(つまり、スタッカークレーンST1、ST2毎に)累積した予定累積搬送作業量としての予定累積搬送作業時間を算出する(#33、#34)。
【0036】
なお、上記搬送作業時間は、搬送元、つまり物品供給箇所M1又はM2と、搬送先である支持部との距離とスタッカークレーンSTとの間で物品Bを搬送するために要する時間であり、
図7に示すように、予め学習運転で測定したデータとして制御手段Hに記憶されている。
【0037】
そして、区分けパターンP1〜P19の夫々について、スタッカークレーンST1、ST2の予定累積搬送作業時間に基づいて、仮定される複数の区分けパターンP1〜P19のうちから区分けパターンを1つ選択し、その選択した区分けパターンに基づいて、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての搬送担当範囲を設定するパターン決定処理を実行する(#35)。
【0038】
#35のパターン決定処理は、具体的には、
図5のフローチャートに示すように、複数の区分けパターンP1〜P19が存在すると仮定し、それら区分けパターンP1〜P19のうち、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の差の絶対値Qdが最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンPnを抽出し(#41、#42)、その内から、さらに、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の和Qsが最小となる区分けパターンPkを抽出する。
【0039】
そして、区分けパターンPkが区分けパターンPnに含まれていれば(#44:Yes)、区分けパターンとして当該Pkを選択し(#45)、区分けパターンPkが区分けパターンPnに含まれていなければ(#44:No)、区分けパターンとして、Pnのうち予定累積搬送作業時間の和Qsが小となる側の端部に相当する区分けパターンを選択する(#46)。
【0040】
この選択方法について、
図8のグラフに基づいて説明する。
すなわち、
図8(a)に示すように、区分けパターンP1〜P19について、スタッカークレーンST1、ST2の夫々につき、搬送時間を算出する。この表では、夫々の支持部に対して各1回ずつ搬送が発生すると仮定している。
このとき、予定累積搬送作業時間の差の絶対値Qdが最も小さいのは、区分けパターンP10の場合の0秒である。また、
設定許容条件を、例えば最小値から30秒の範囲までと仮定すると、P9(20秒)及びP11(20秒)が含まれることになる。従って、設定許容条件となる区分けパターンPnとして、P9(20秒)、P10(0秒)、P11(20秒)の3つが選択される。
【0041】
次に、
図8(b)を参照すると、予定累積搬送作業時間の和Qsが最も小さいものは、P8(104秒)及びP9(104秒)であることが分かる。したがって、予定累積搬送作業時間の和Qsが最小となる区分けパターンPkとして、P8及びP9を選択する。
そして、区分けパターンとしては、上記PnとPkとの論理積として、P9を選択する。これにより、スタッカークレーンST1及びST2の間の負荷が均衡し、且つ、それらの消費エネルギーが小さい区分けパターンを選択することができる。
【0042】
なお、予定累積搬送作業時間の和Qsに基づく区分けパターンPkを選択するに当たり、
設定許容条件として、例えば最小値から5%大きな値までを含む、と設定すること等ができる。この場合、最小値104秒より5%大きな値は109.2秒であるため、この条件に合致する区分けパターンPkはP7(108秒)、P8(104秒)、P9(104秒)、P10(108秒)の4つとなる。そして、区分けパターンとしては、上記PnとPkとの論理積として、P9又はP10を選択することができる。このとき、P9とP10とのいずれを選択するかについては任意である。
【0043】
次に、物品搬送設備の制御フローを、
図9のフローチャートに基づいて説明する。
制御手段Hは、複数の搬送対象の物品Bについての搬送要求が発生した場合(例えば、当日の搬送作業に係る1日分の搬送作業がバッチ処理として要求された場合等:#11)に、
図5にて説明した担当範囲設定処理を実行する(#12)。
担当範囲設定処理により、搬送担当範囲が決定されると、搬送要求に伴う搬送作業を開始する作業実行モードに移行する(#13)。
【0044】
作業実行モードにおいては、補充要求ボタンDbが押されたことにより、支持部への補充要求が検知されると(#14)、当該補充要求された支持部を搬送担当範囲とするスタッカークレーンSTを選択し、物品供給箇所M1、M2のうちそのスタッカークレーンSTの搬送元を物品供給コンベヤCの搬送目的箇所に設定する。そして、補充要求された支持部がスタッカークレーンST1の搬送担当範囲に属していれば、物品を物品供給箇所M1に供給すべく、幹線部分C1及び支線部分C2にて物品Bを搬送するように物品供給コンベヤCの作動を制御し、補充要求された支持部がスタッカークレーンST2の搬送担当範囲に属していれば、物品を物品供給箇所M2に供給すべく、幹線部分C1及び支線部分C3にて物品Bを搬送するように物品供給コンベヤCの作動を制御する。そして、当該スタッカークレーンSTは、補充要求された支持部に対して物品Bを搬送する(#15、#16、#17)。
【0045】
作業実行モードにおいては、搬送要求を処理すべく搬送作業が実行されることになるが、2つのスタッカークレーンST1、ST2の搬送担当範囲に属する支持部に対応するピッキングステーションSにおける作業進捗に偏りが発生したことや、作業実行モードの開始以降にスタッカークレーンST1、ST2の夫々に対して不均衡な量の搬送作業が追加されたこと等により、2つのスタッカークレーンST1、ST2について、ある時点以降に実行すべき搬送作業に係る予定累積搬送作業時間に不均衡が生じることがある。このような場合においては、再設定指令手段Dによって再設定指令を指令する(#18:Yes)ことになる。再設定指令が指令されると、#12に戻り、担当範囲設定処理が再び行われるとともに、設定された搬送担当範囲に基づいて作業実行モードが開始される(#13)。
すなわち、制御手段Hは、搬送要求に係る搬送作業のうち一部が完了した設定タイミングにおいて、担当範囲設定処理を行なう再設定処理を実行自在に構成されている。
【0046】
再設定指令手段Dによる再設定指令が指令されない場合(#18:Yes)には、制御手段Hは、搬送要求に伴う搬送作業が完了したかを判別し(#19)、完了していれば(#19:Yes)一連の処理を終了する。また、#11にて搬送要求が無かった場合(#11:No)の場合にも、一連の処理を終了する。つまり、搬送要求に伴う全ての搬送作業が完了している、又は発生していないため、次の搬送要求を受け付ける待ち状態となる。また、搬送要求に伴う搬送作業が完了していなければ(#19:No)、#14に戻って、補充要求の発生を待つことになる。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、この第2実施形態は、第1実施形態において、担当範囲設定処理におけるパターン決定処理が異なるのみであるため、第1実施形態と重複する構成については説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0048】
第2実施形態のパターン決定処理は、について、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の和Qsを算出し(#51)、それら複数の区分けパターンP1〜P19のうち、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の和が最小値、又は最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンPkを選択する(#52)。
【0049】
この処理の具体例を、
図8(b)を参照して説明する。
すなわち、区分けパターンP1〜P19について、スタッカークレーンST1、ST2の夫々につき、搬送時間を算出する。この表では、夫々の支持部に対して各1回ずつ搬送が発生すると仮定している。
このとき、予定累積搬送作業時間の和Qsが最も小さいのは、区分けパターンP8及びP9の場合の104秒である。従って、区分けパターンPkとして、P8又はP9のいずれかを選択できることになる。尚、区分けパターンPkが複数存在する場合にいずれの区分けパターンを選択するかについては任意であるが、例えば、予定累積搬送作業時間の和Qsの分布が最小値に対して非対称である場合には、その増加の度合いが小さい方に存在する区分けパターンを選択すること等が考えられる。
【0050】
また、
設定許容条件として、例えば最小値から5%大きな値までを含む、と設定すること等が考えられる。この場合、最小値104秒より5%大きな値は109.2秒であるため、この条件に合致する区分けパターンPkとしてP7(108秒)、P8(104秒)、P9(104秒)、P10(108秒)の4つのうちのいずれかを選択できることになる。このとき、複数の区分けパターンPkのうちいずれの区分けパターンを選択するかについても上述したように任意である。
【0051】
このようにして、予定累積搬送作業時間の和Qsが仮定される他の区分けパターンよりも小さい区分けパターンを選択することで、2台のスタッカークレーンST1、ST2のトータルの走行距離を短くし、作動に要するエネルギーを抑制することができるものとなる。
【0052】
〔別実施形態〕
次に、本発明の別実施形態を説明する。
(1)上記第1及び第2実施形態では、搬送作業量として、搬送元から搬送要求に係る複数の物品を搬送するためにかかる搬送作業時間を取得し、予定累積搬送作業量を、上記搬送作業時間を物品搬送装置毎に累積した予定累積搬送作業時間として算出する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、搬送作業量として、搬送元から搬送要求に係る複数の物品を搬送するためにスタッカークレーンSTが移動する搬送作業距離を取得し、予定累積搬送作業量を、上記搬送作業距離を物品搬送装置毎に累積した予定累積搬送作業距離として算出するように構成してもよい。
【0053】
(2)上記第1及び第2実施形態では、支持部としての収納棚22に対応して物品Bとしての供給ケースの補充を要求するための補充要求ボタンDbを設け、補充要求ボタンDbの押下による物品Bの補充要求が発生したときに、当該支持部を搬送担当範囲とするスタッカークレーンSTによって搬送元から当該支持部に物品Bを搬送する構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば供給ケースを撤去して補充が必要になったことを在荷センサやカメラ等で検知し、その情報に基づいて、補充が必要になった支持部を搬送担当範囲に含むスタッカークレーンSTを作動させる構成としてもよい。
【0054】
(3)上記第1及び第2実施形態では、左右方向及び上下方向に複数並べて設けた流動棚の収納棚22夫々を支持部とする構成としたが、このような構成に代えて、物品Bとしての供給ケースを1つのみ載置可能な支持部としての物品載置台を、上下方向には並べない状態で、左右方向に沿って並べて設ける構成としてもよい。この場合、その1つの供給ケースからの荷の取出しを完了して供給ケースが空になったときに、当該空になった供給ケースに代えて新たな供給ケースを供給すべく物品搬送装置を作動させる構成とする。
【0055】
(4)上記第1及び第2実施形態では、スタッカークレーンST1、ST2の夫々について搬送元を各別に設ける(つまり、スタッカークレーンST1の搬送元として物品供給箇所M1を設け、スタッカークレーンST2の搬送元として物品供給箇所M2を設ける)構成を例示したが、このような構成に代えて、スタッカークレーンST1、ST2に対して単一の搬送元を設ける構成としてもよいし、スタッカークレーンST1、ST2の夫々について2以上の搬送元を設ける構成としてもよい。
【0056】
特に、スタッカークレーンST1、ST2の夫々について2以上の搬送元を設ける構成とする場合、物品供給コンベヤCに、支持部について設定される複数の範囲(例えば、搬送担当範囲の最小単位としての範囲Z1〜Z20)に対応する状態で複数の移載箇所を設け、支持部について設定される複数の範囲に基づいて、その範囲に対応する移載箇所を搬送元とするように物品供給コンベヤCの作動を制御することにより、搬送元から搬送先までの搬送作業量を小さくすることができる。
【0057】
(5)上記第1及び第2実施形態では、クレーンコントローラH1及びコンベヤコントローラH2は、制御手段Hを構成するコンピュータにて実行されるプログラムとして構成したが、このような構成に限定されるものではなく、クレーンコントローラH1とコンベヤコントローラH2とをそれぞれ異なるコンピュータにて実行し、それら複数のコンピュータをネットワークにて接続するように構成してもよい。また、クレーンコントローラH1及びコンベヤコントローラH2の夫々は、汎用コンピュータにて実行する以外に、ロジックIC等を組み合せたコントローラハードウェア等の専用装置として構成してもよい。
【0058】
(6)上記第1及び第2実施形態では、搬送作業時間を、予め学習運転で測定したデータとして制御手段Hに記憶する構成を例示したが、このような構成に代えて、搬送元である物品供給箇所M1又はM2と搬送先である支持部との距離、及び、スタッカークレーンSTが物品供給箇所M1又はM2と支持部との間で物品Bを搬送するために要する時間を人為的に測定し、その測定結果を人為的に制御手段Hに対して入力するように構成してもよい。また、搬送作業時間学習運転で測定したデータとして制御手段Hに記憶し、必要に応じて搬送作業時間を人為的に修正することが可能であるように構成してもよい。
【0059】
(7)上記第1及び第2実施形態では、物品搬送装置としてスタッカークレーンSTを備える構成を例示したが、物品搬送装置はスタッカークレーンに限定されるものでは無く、例えば、自走式の搬送台車や、天井吊下げ式の搬送装置等を用いてもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、上流側搬送装置として物品供給コンベヤを備える構成を例示したが、上流側搬送装置についても、物品供給コンベヤに限定されるものではなく、上記同様自走式の搬送台車や、天井吊下げ式の搬送装置等を用いてもよい。
【0060】
(8)上記第1及び第2実施形態では、複数の搬送対象の物品Bについての搬送要求として、例えば、当日1日分の搬送作業がバッチ処理として要求された場合に担当範囲設定処理を実行する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、制御手段Hが物品Bについての搬送予約を逐次受け付けるように構成し、搬送作業が未実行の物品Bが設定数を超えると、その設定数の物品Bについての(つまり残作業としてスタックされている)搬送作業に係る物品Bについての搬送要求が発生したものとして、担当範囲設定処理を実行するように構成してもよい。
【0061】
(9)上記第1実施形態では、仮定した複数の区分けパターンP1〜P19のうち、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の差の絶対値Qdが最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンPnを抽出し、その内から、さらに、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の和Qsが最小となる区分けパターンPkを抽出するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、仮定した複数の区分けパターンP1〜P19のうち、スタッカークレーンST1、ST2の夫々についての予定累積搬送作業時間の差の絶対値Qdが最小値を含む設定許容条件となる区分けパターンPnを抽出するのみの構成としてもよい。この場合、複数の区分けパターンPnが抽出されたときには、その内の任意の区分けパターンを区分けパターンとして選択してもよい。
【0062】
(10)上記第1及び第2実施形態では、予定累積搬送作業時間の和Qsに基づく区分けパターンPkを選択するに当たり、複数の区分けパターンが選択可能な場合には、その内いずれを選択するかは任意としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、予定累積搬送作業時間の和Qsの分布が最小値に対して非対称である場合には、その増加の度合いが小さい方に存在する区分けパターンを選択するように構成すること等が考えられる。