【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決する手段の内、本発明の主たる構成は、
外殻を形成する合成樹脂製の外層と、この外層と剥離自在に積層され内圧の減少による減容変形が自在に構成された内袋を形成する合成樹脂製の内層を有するブロー成形容器において、
外層の所定の位置に、外層と内層との層間に外部の空気を導入するための通気孔を形成し、
この通気孔を避けた位置に、外層と内層とを全高さ範囲に亘り接着層により接着固定した縦帯状の接着帯により、内層の外層からの剥離の進行を規制する規制帯を形成、配設し、
規制帯の縦方向に沿った複数の所定高さ位置に、この規制帯の少なくとも左右中央部を除いた左右の所定位置から、規制帯の左右の端部の方向に向けて一対の凹部を横溝状に形成し、
規制帯を透して内部の視認が可能に構成し、
また、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する、と云うものである。
【0008】
上記構成によれば、後述するように左右一対の接着帯とその間に位置する非接着帯から、あるいは1本の接着帯から等により形成することができるが、いずれにしても規制帯では内層の外層からの剥離の進行が規制され、注出容器の容器本体として使用した場合、内容液の注出の進行、すなわち内容液の残量に拘わらず、内層が外層に積層した状態が維持される。
【0009】
そして、上記構成はこの規制帯を、内容液の性状を視認するための窓として利用しようとしたものであり、内層は規制帯により縦方向の収縮が制限されるため、その減容変形は周方向での収縮に限定され、その結果、内容液の残量に拘わらず、縦帯状に形成される規制帯では内容液が上下方向に偏在することがなく、内容液を視認してその性状を十分確認することが可能となる。
【0010】
また、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成することにより、内層の不規則な減容変形状態や内容液の偏在を隠すことができ、使用途中の段階でも容器全体を見栄えの良い状態に維持することができる。
ここで、規制帯を透して内容液の視認が可能な構成とするため、少なくとも規制帯の領域では外層と内層は透明性あるいは半透明性を有するものとする。
また、規制帯の幅は、容器の形状や、内容液の注出性や、規制帯を透しての内部の視認性等を考慮して適宜に決めることができる設計事項である。
【0011】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、左右一対の接着帯と、この一対の接着帯の間に位置する非接着帯により規制帯を形成する、と云うものである。
【0012】
規制帯は1本の接着帯により形成することもできるが、上記構成のように左右一対の接着帯とその間に位置する非接着帯から構成することもができる。
接着帯を構成する接着層には比較的高価な接着性の合成樹脂を使用するため、規制帯の幅を広めにする場合には、規制帯を上記構成とすることにより材料コストを低減することができる。
また、規制帯の幅を広めにする場合には、接着帯は接着層が積層され厚肉となると共に、外層と内層が接着層で固定され一体となるため、スクイズタイプの注出容器ではスクイズ変形性が損なわれるので、この点からも規制帯を左右一対の接着帯で形成する方が有利である。
【0013】
なお、複数の規制帯を形成する場合には、少なくとも1本の規制帯を透して内部の視認が可能な構成とすればよく、上記構成のように2本の規制帯を形成する場合には、外観デザイン、内部の視認性、さらには成形性を考慮しながら、2本の規制帯について視認が可能な構成とすることもできるし、一方の規制帯については視認が可能な構成とし、他方については視認が不能な構成とすることもできる。
【0014】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、容器の中心軸に対して略軸対称の位置に一対の規制帯を形成、配設する、と云うものである。
【0015】
規制帯の配設本数や配設位置は、容器の形状、内容液の性状、成形性等により適宜決めることができ、配設本数としては1本、2本、3本等が現実的であるが、内層の減容変形の制御性を考慮すると、一般的には上記構成のように容器の中心軸に対して略軸対称の位置に一対の規制帯を形成、配設することが好ましい。
ここで、上記構成のように規制帯を軸対称の位置に一対配設する場合でも、必ずしも正確に軸対称である必要はなく、容器の形状によっては軸対称の位置から若干ずらした位置に配設する方が有利な場合もあり、この観点から上記構成では、「容器の中心軸に対して略軸対称の位置に・・・」と云うように「略」と云う用語を付加して使用している。
【0016】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に、外層に不透明層を積層する、と云うものである。
【0017】
上記構成は、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成するための具体的な手段に係るものであり、外層に着色層を積層する、ラベルを貼着積層する、不透明な塗膜を積層する等の手段を採用することができる。
勿論、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成する手段は、上記した外層に不透明層を積層する方法に限定されるものではなく、
共押出して積層パリソンを成形する際、押出ダイの外層を形成する管状流路内にマスターバッチで着色した溶融樹脂を供給すると共に、規制帯部分に成形される位置に無着色の同材質の溶融樹脂を供給して軸方向に縦帯状の透明領域が形成された外層を有する積層パリソンを成形し、この積層パリソンをブロー成形することにより、規制帯を透して内部の視認が可能に構成し、規制帯を除いた領域からは内部の視認が不能に構成した本発明のブロー成形容器を得ることができる。
【0018】
本発明のさらに他の構成は、上記外層に不透明層を積層する構成において、規制帯の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層に同材質で着色不透明な着色層を積層する、と云うものである。
【0019】
上記構成は、外層に不透明層を積層するための、具体的な構成要件の一つである。なお、この着色層は積層パリソンの共押出し成形時に同時に外層に積層することができ、容器の全高さ範囲に亘って、容易に積層することが可能である。
【0020】
本発明のさらに他の構成は、上記外層に不透明層を積層する構成において、規制帯の少なくとも左右中央部を除いた全周に亘る領域で、外層に着色不透明なラベルを貼着積層する、というものである。
【0021】
上記構成も、外層に不透明層を積層するための、具体的な構成要件の一つである。
ここで、前述した外層に同材質で着色不透明な着色層を積層する構成も含めて、規制帯の左右端部近傍についても着色層やラベルで覆うことにより、規制帯の左右端部に位置する接着層による段差等を隠して見栄えのよいものとすることができ、このような観点も含めて、上記構成では、「規制帯の少なくとも左右中央部を除いた領域」と云うようにしている。
また、必ずしも、規制帯を除いた全領域から内部が視認できないようにする必要はなく、例えば容器の肩部から胴部に懸けての周壁から視認できないようしたり、あるいは胴部の周壁からだけ視認できないようにする等、容器の形状、不透明層を積層するための方法、そして使用目的に応じて、視認不能とする領域を適宜決めることができ、ラベルを貼着積層する場合には、たとえば胴部の周壁からだけ視認できないようにするのが現実的である。
【0022】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、外層をスクイズ変形可能で、復元自在な可撓性を有するものとする、と云うものである。
【0023】
上記構成は、逆止弁を備えた注出キャップを組み合わせたスクイズタイプの注出容器の容器本体として使用するための構成である。
【0024】
本発明
の上記主たる構成において、規制帯の縦方向に沿った複数の所定高さ位置に、この規制帯の少なくとも左右中央部を除いた左右の所定位置から、規制帯の左右の端部の方向に向けて一対の凹部を横溝状に形成する、と云うものである。
【0025】
ここで、本発明の容器では、規制帯により内層の外層からの剥離の進行を規制し、内容液の残量が少なくなった場合にも、規制帯の近傍で容器の縦方向に流路を確保すると共に、この規制帯を、内容液の性状を視認するための窓として利用しようとしたものである。
ただし、内容液の注出に伴う内層の減容変形の態様によっては規制帯の近傍の流路が部分的に塞がり、内容液の性状を視認するための窓としての機能が低下してしまう恐れ、さらには窓に内容液が偏在してしまい容器の見栄えが低下する恐れがある。
【0026】
上記構成は、このような規制帯の近傍での流路の部分的な塞がりに係る問題を解消するためのものであり、規制帯の少なくとも左右中央部は残して、その左右に一対の凹部を横溝状に形成することにより、
平断面でみると、左右に形成した凹部の間の領域(すなわち、少なくとも左右中央部を含む領域)では、胴部の周壁を外側に膨出状に屈曲するようにして凸部が残存形成されることになる。
【0027】
そして、内容液の注出の進行に伴い内層の減容変形が進行しても内層の変形の進行を、この凸部の左右基端部、すなわち左右の凹部の周壁で止めることができ、残量が少なくなった場合にも、この凸部により内容液の縦方向の流路を確実に確保することができ、窓としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
【0028】
また、上記のように規制帯における内容液の視認用の窓としての機能を十分に発揮させるために凹部を横溝状に形成したり、あるいは容器の面剛性を高めるために周溝を形成すると、凹部や周溝により内周壁に形成される凹凸(段部)により残存した内容液のスムーズな流動が妨げられ、内容液を最後まで使い切ることが難しくなると云う恐れがあるが、
上記構成によれば規制帯の少なくとも左右中央部に相当する位置では、容器の胴部の全高さ範囲に亘って、その内周面に凹凸のない縦帯状の平坦領域が残存形成されるため、この縦帯状の平坦領域により内容液をスムーズに流動させることができ、内容液が少なくなった状態でも注出操作をスムーズに実施することができると共に、内容液を略最後まで使い切ることが可能となる。
【0029】
ここで、縦方向の流路を確実に確保できると云う観点からは、縦方向に複数配設する凹部間の間隔をなるべく小さくする、すなわち規制帯の縦方向に沿ってより多数の凹部を形成することが望ましいが、この凹部の断面形状、延設長さ、左右の凹部の配設間隔、規制帯の縦方向に沿った配設数等の凹部の配設態様は、流路の確保と云う観点の他にも容器の剛性や座屈強度、外観、成形性等を考慮しながら適宜選択するものである。
【0030】
本発明のさらに他の構成は、上記構成において、凹部を、規制帯の左右の所定位置に挟まれる領域を除く領域に、周状に延設する構成とする、と云うものである。
【0031】
上記構成は凹部の延設態様の具体例に係るものであり、上記構成に拠れば、規制帯の左右の所定位置に挟まれる領域を除く領域に周設される凹部により、周溝に近い機能が発揮され、周壁の面剛性を高くすることが可能となる。