【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者は上記の目的を達成するために
図6に示したボイル槽で鋭意検討したところ、麺帯で短時間茹で、麺線群に細断し、麺線で再び茹でて茹で上げる際に、切歯カスリによる麺線の交互分配が維持できれば、隣り合う麺線の切断面が再接着することなく、食感と角立ちとストレート感に優れた麺線が製出できることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
すなわち、本発明の課題解決手段1は、(1)麺の生地を麺帯に成形する麺帯成形工程と、(2)該麺帯を広げられた状態で熱水中に潜行させる麺帯アルファ化工程と、(3)該麺帯を角形麺用切歯に挿入し麺線に細断する麺線成形工程と、(4)該麺線を切歯カスリによって交互複数列に分散供給する麺線分配工程と、(5)該麺線を交互複数列の状態で熱水中に投入して茹で上げる麺線茹で上げ工程、の(1)から(5)の工程を、その順で備えることを特徴とする麺類の連続茹で上げ方法に関する。
【0017】
本発明における麺の生地とは、一種又は二種以上の穀粉又は穀粉と澱粉を主原料として加水混練したものであれば、小麦蛋白をつなぎとするものに限定されず、湯捏ねした蕎麦生地のように糊化澱粉や原料の結着成分をつなぎにする生地を含む。
【0018】
生地の混練は、減圧度40キロパスカル以上、望ましくは減圧度60キロパスカル以上の減圧下で混練し脱気すると、(2)麺帯アルファ化工程で麺帯の定着性が高まり都合良い。
【0019】
(1)麺帯成形工程は、連続茹で上げ方法に適用する為、該生地を麺線に適する厚さの長尺状の麺帯に成形して連続供給できる手段であれば、麺用圧延ロールによって段階的に帯状成形しても、押出し機により帯状に吐出成形しても、それらの組合せでもいずれでも良い。
【0020】
(2)麺帯アルファ化工程は、本願発明の特徴を代表する工程で、麺帯を広げ茹ることによって行う。広げられた麺帯は平らな形で熱凝固しその形状は記憶されると共に、弾力が向上する。そして(3)麺線成形工程では、刃の付いていない通常の角形切歯で押し切る原理で細断しても、麺線はその弾力故に押し潰されることなく鋭利な切り口となって角立ちに優れ、その後、個カゴ茹でしても麺帯の平らな形状は麺線のストレート形状として維持されるという効果を奏する。
【0021】
なお、切歯は、角形の麺線に細断できれば刃溝の形状は問わないが、熱凝固した麺帯は未加熱の麺帯に比べ硬い為、薄刃の構成による切歯にすれば麺帯端部を食い込み易い為、麺帯の左右が均等に挿入され真直ぐ細断される点で適している。(
図6の6a参照)なお、麺帯アルファ化工程を経た麺帯は、熱水から一度出して切歯に挿入しても熱水中で切歯に挿入してもいずれでも良い。
【0022】
(4)麺線分配工程では、切歯で細断された麺線を切歯ローラの裏側に取り付けたカスリによって少なくとも交互2列に分配され、麺線1本1本がバラバラに分散した状態で供給するもので、全ての麺線が少なくとも麺線一本分の隙間を保って熱水中に製出されることで、(5)麺線茹で上げ工程で切断面の再接着を防いで麺線を茹で上げることができる。(
図5参照)
【0023】
そして、(2)麺帯アルファ化工程から(5)麺線茹で上げ工程を連続して行えば麺を冷ますこともないから、食感を低下させることがない。
【0024】
しかしながら、長尺状の全ての麺線を麺線一本分の隙間を保って熱水中に投入し続けることは、長尺状の麺線に常時適度な緩みを保つ必要があって、緩め過ぎると麺線は浮遊混乱し管理を難しくする場合があった。
【0025】
そこで、本発明の課題解決の手段2は、前記(5)麺線茹で上げ工程迄に、麺帯又は麺線を定寸カットすると共に、前記(5)麺線茹で上げ工程が該麺線を個カゴ内で茹で上げることを特徴とする課題解決手段1に記載の麺類の連続茹で上げ方法に関する。
【0026】
課題解決の手段2で(5)麺線茹で上げ工程の前迄に、麺帯又は麺線を定寸カットするねらいは、(3)麺線分配工程で前後に交互分配された麺線が進行方向に引っ張られた際に前側1列に揃って再接着する、不具合を防止する点にある。故に、定寸カットするタイミングは(2)麺帯アルファ化工程の前後、(4)麺線分配工程の後のいずれでも良いが、望ましくは(2)麺帯アルファ化工程の前後が良い。
【0027】
なお、カット方法は、一定速度で連続製出される麺帯を一定の時間間隔でカットすれば良く、麺帯又は麺線の進行方向に板刃を回転して対向するまな板部材との間に麺帯又は麺線を挟んで切断する方法が、装置構造が簡単にできて良い。
【0028】
そして、課題解決手段2の中で、(2)麺帯アルファ化工程の前のタイミングで麺帯を定寸カットして予め金網ベルトに平らに展開してから熱水に潜行させると、金網ベルト上での定着性が思いがけずに良好であるために、熱水中の移行から切歯への安定挿入が人の手を介すことなく可能となった。
【0029】
すなわち、本発明の課題解決手段3は、前記(1)麺帯成形工程と前記(2)麺帯アルファ化工程の間に、該麺帯をメッシュのコンベアベルト上に平らに広げる麺帯展開工程を備えると共に該麺帯を定寸カットし、前記(2)麺帯アルファ化工程が該麺帯をメッシュのコンベアベルト上で熱水中に入れて潜行させることを特徴とする課題解決の手段2に記載の麺類の連続茹で上げ方法に関する。
【0030】
課題解決の手段3の特徴は、課題解決の手段2のなかでも、成形された生麺帯を、定寸カットすると共にメッシュのコンベアベルト上に広げて熱水中に沈めることに限定した。
【0031】
麺帯展開工程は、麺帯の重なりがないようにメッシュのコンベアベルト上に平らに広げ、熱水中の麺帯アルファ化に備える工程で、麺帯カットは麺帯展開工程の前後どちらでも良い。ただし、一度折り重なった麺帯を剥がして広げるのは不合理だから、麺帯成形工程と麺帯カットと麺帯展開工程は連続一体的に行うのが良い。一例を
図2に示す。
【0032】
課題解決の手段3の麺帯アルファ化工程に適したメッシュのコンベアベルトは、通水性と茹で麺装置に必要な耐久性を備えるものであれば、金属でもプラスチック樹脂でも繊維素材でもいずれでも良く、中でも金網ベルトに代表される螺旋が組み込まれたベルト構造が水切れの点で優れていて良い。
【0033】
金網ベルトに展開され、熱水に入った麺帯は、まず水濡れにより金網ベルトの凸部に密着する。凸部の接着面積は極狭小でもアルファ化して接着し、一定時間接着が維持される作用により、熱水中でも麺帯は金網ベルト上に定着し、挟持機構を要さずに切歯挿入への強制移送が可能になるという効果を奏する。
【0034】
なお、熱水中の麺帯を折り曲げ等で大きく歪ませると、熱凝固により柔軟性を失った麺帯は、コンベアベルトの凸部接着が剥がれる場合があるから、熱水中のメッシュベルトはなるべく水平かつ平らに水面付近に構成し、麺帯に無用な浮遊スペースを与えないようにするのが良い。(
図3の2c3i参照)
【0035】
また、切歯ロールの周速をコンベアベルトより高速に回転させれば、麺線はカット単位の間隔を容易に取ることができ、更に、バルブやダンパーの開閉のタイミングを調整することで、カット単位の麺線を水槽の熱水と共に全量茹でカゴに投入することができる。(
図1のcde、
図3の3f参照)
【0036】
又、課題解決手段4は、前記(2)麺帯アルファ化工程においてコンベアベルト両側外に沸き上げる水流を発生させる課題解決手段3に記載の連続茹で上げ方法に関する。
【0037】
麺帯アルファ化工程において、麺帯の両側外の底部に熱源を設ければ、両側外側に沸き上がる水流が発生して中央のベルト面付近で沈み込み、麺帯をベルト面に押し付ける作用により麺帯の定着性を高める効果がある。(
図3、4の3e参照)
【0038】
又、課題解決手段5は、前記(4)麺線分配工程を熱水中で行うことを特徴とする課題解決手段1〜4に記載の連続茹で上げ方法に関する。
【0039】
麺線群を熱水中で分散供給するには、切歯のカスリ部分に熱水シャワーをかけて濯がれる状態にするか、カスリ部分を熱水中に設け麺線分配工程を熱水中で行えば良い。(
図5の5a,5c参照)
【0040】
麺帯アルファ化工程を経た麺帯内部は澱粉が断水糊化状態にあって、細断によって露出した切断面は極めて接着し易い状態にある。麺線分配工程を熱水中で行えばそのような切断面を確実に水濡れ状態にする作用があり、その結果、麺線の再接着を防ぐという効果を奏する。また、切歯カスリ部の麺線や細断生地の付着堆積が最小限に抑えられ、切歯のカスリ部分を清浄に維持することができる。
【0041】
又、課題解決手段6は、前記(2)麺帯α化工程において熱水に潜行させる時間が5秒〜60秒で、前記(1)麺帯成形工程で調製された麺帯の厚みが1mm〜2.5mmである課題解決手段1〜5に記載の連続茹で上げ方法に関する。
【0042】
麺帯α化工程に必要な熱水潜行時間は5〜60秒、望ましくは10〜30秒、麺帯の厚みは1〜2.5mmに限定することで、茹で溶出を顕著に抑制して角立ちに優れ、コンベアベルト上の定着性もとりわけ優れて良い。茹で上げの主体が麺線で行われる為、麺帯で目標水分まで茹で上げた麺線(麺帯茹で)のように食感の低下はない。更に、麺帯アルファ化工程から澱粉の糊化温度を保って麺線茹で上げ工程に至ることで、澱粉成分の冷却による食感の低下をも防ぐことができる。
【0043】
又、課題解決手段7は、麺類が日本そばである課題解決手段1〜6に記載の連続茹で上げ方法に関する。本発明には、麺線の角立ちやストレート感を価値と認識され、茹で処理によって本来の美味しさが得られる麺種に適し、例えば、日本そば、ひやむぎ、ラーメン、きしめん、パスタ、焼きそば等に適するが、中でも日本そばは、生の麺線で茹でる場合に組織が煮崩れし易く、角部が落ちやすい。ところが、日本そばの組織の脆さも麺帯でのアルファ化により強化され麺線の角部は煮崩れし難いから、日本そばはとりわけ本発明に適している。
【0044】
又、課題解決手段8は、麺類が冷凍麺である課題解決手段1〜7に記載の連続茹で上げ方法に関する。冷凍麺は製品製造時の品質再現性が高い特性があって、喫食時に角立ちの再現性も優れるから、冷凍麺はとりわけ本発明に適している。