(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮空気から窒素を吸着して濃縮酸素を生成する吸着筒を二つ設けた医療用の酸素発生装置が知られている。この種の酸素発生装置では、二つの吸着筒を交互に使用して圧縮空気から濃縮酸素を長時間連続して生成することができるように、一方の吸着筒で窒素を吸着する間に、他方の吸着筒から窒素を除去して再生する。このように、二つの吸着筒を切り換えて交互に使用する際に、それらに繋がる流路の圧力を速やかに均一にすべく、均圧弁が設けられている。なお、一方の吸着筒で窒素を吸着する間に他方の吸着筒を再生する際には、該一方の吸着筒で生成された濃縮酸素の一部を、均圧弁をバイパスする通路に形成されたオリフィスを介して、該他方の吸着筒に供給するようにしている。
【0003】
そして、均圧弁の構成としては、濃縮酸素の生成に使用する吸着筒を一方から他方に切り換える場合と、他方から一方に切り換える場合とで、流体が流れる方向が逆になることを考慮した上で、いずれの場合でも一定の流量となるようにするため、マニホールドブロックに同一構造の2個の電磁弁を設け、対称性をもたせるものがあった。
【0004】
しかしながら、前記のように、2個の電磁弁を備えるマニホールドタイプの均圧弁では、装置が大型化することが避けられず、また、マニホールドブロックに形成する流路も複雑となり、その結果、酸素発生装置全体として高価にならざるを得ないという問題が指摘されている。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている酸素発生装置用の均圧弁が提案されている。この均圧弁は、電磁弁を1個にした場合に生じる問題、すなわち、流体の流れる方向によって流量が相違するという問題に対処するため、高い流体圧に抗して弁を開ける場合は、その流体圧に必要な電流及び通電時間を実測した上で弁体吸着時の電流を設定することによって、弁体の吸着力を増大させ、弁体吸着後は、吸着保持に必要な可及的に小さい所定の電流を流すようにしたものである。これにより、小型の電磁弁であっても弁体の吸着時のみ大電流を流して大きな吸着力を得ることができ、1個の電磁弁に対して双方向から流体が流れる場合に、いずれの方向であっても、その流体圧力に影響されることなく流量が一定となるように、弁の開閉を制御することが可能になるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1のような均圧弁では、電磁弁は1個で済むものの、弁体を吸着するための大電流とその吸着保持のための小電流を流すべく電磁弁の開閉を制御するために特別な制御回路を必要とし、そのため装置が高価になるとともに制御動作が複雑となる不都合がある。
【0008】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、単一の電磁弁部を備えた構成でありながら、流体が流れる方向によって流量に差が生じないようにし、しかも、弁体の吸着とその吸着保持のための電流を制御する特別な制御回路を必要とせず、また、制御も簡単な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電磁弁は、双方向に流体が流れる流路に配置される電磁弁であって、第1ポートと第2ポートが形成された電磁弁取付部及び単一の電磁弁部からなり、第1ポートと電磁弁部の弁体との間に第1流量安定化オリフィスが設けられるとともに、第2ポートと弁体との間に第2流量安定化オリフィスが設けられ、第1流量安定化オリフィス及び第2流量安定化オリフィスをバイパスするバイパス流路に
バイパスオリフィスが設けられることを特徴とする。
【0010】
上記の電磁弁によれば、第1ポートから第2ポートに向かって流体が流れる場合と、第2ポートから第1ポートに向かって流体が流れる場合とで、弁体の近傍における流体の流れ方が異なっても、第1流量安定化オリフィス及び第2流量安定化オリフィスのうち特に下流側に存在する流量安定化オリフィスによって流量が支配される。このため、第1ポートから第2ポートに向かって流体が流れる場合と、第2ポートから第1ポートに向かって流体が流れる場合とで、流量に差が生じない構成とすることができる。
【0011】
また、上記の電磁弁は、第1ポートと第2ポートが形成された電磁弁取付部及び単一の電磁弁部からなるので、マニホールド構造を必要とせず、小型化を図ることができる。さらに、電磁弁部を制御するための特別な制御回路も必要としない。
【0012】
上記の電磁弁において、第1流量安定化オリフィスに繋がる第1通路及び第2流量安定化オリフィスに繋がる第2通路が電磁弁取付部に形成され、第1通路及び第2通路の一方の開口端に弁体が着座可能な着座部が形成されてもよい。さらに、一方の開口端は円形状であり、第1通路及び第2通路の他方の開口端は、一方の開口端の周囲を囲む円環状であってもよい。これによれば、流路に対する弁体の配置構成を簡単なものとすることができる。
【0013】
また、第1ポートと第2ポートは、電磁弁取付部に形成されたボアの両端に設けられ、第1流量安定化オリフィス及び第2流量安定化オリフィスは、ボアに設けられた隔壁の一方の面とボアの内壁面とで画成される通路からなり、バイパス流路は隔壁の一方の面とは反対側に設けられてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、ボアに設けられた隔壁の一方の面とボアの内壁面とで画成される通路によって、第1流量安定化オリフィス及び第2流量安定化オリフィスを構成することができるとともに、隔壁の一方の面とは反対側に第1流量安定化オリフィス及び第2流量安定化オリフィスをバイパスするバイパス流路を構成することができる。このため、第1流量安定化オリフィス、第2流量安定化オリフィス及び
バイパスオリフィスを、第1ポートと第2ポートが形成された電磁弁取付部内にコンパクトに配置することができる。
【0015】
さらに、
バイパスオリフィスは、バイパス流路の長手方向の略中央に設けられ、バイパス流路の断面積は、長手方向の各端部から
バイパスオリフィス寄りの所定位置までは一定で、該所定位置から
バイパスオリフィスに向かって次第に小さくなっていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、
バイパスオリフィスを含むバイパス流路における流体の流れを円滑に層流化することができる。
【0017】
また、電磁弁取付部は樹脂で成形されるのが好ましい。この場合、隔壁を含めて電磁弁取付部を樹脂で成形するので、第1流量安定化オリフィス、第2流量安定化オリフィス及び
バイパスオリフィスを別部品としたり、切削加工で形成する必要がなく、安価なコストで製造できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電磁弁によれば、流体が流れる方向によって流量に差が生じない構成とすることができ、しかも、マニホールド構造を必要とせず、小型化を図ることができ、さらに、特別な制御回路も必要としない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電磁弁について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
本発明の実施形態に係る電磁弁10は、
図1及び
図2に示すもので、例えば、後述する酸素濃縮装置80に使用される。
【0022】
前記電磁弁10は、樹脂製の電磁弁取付部12と単一の電磁弁部14からなる。電磁弁取付部12は、
図2に示すように、略直方体形状のボディ16と、ボディ16の対向する側面からそれぞれ外方へと延在する第1管体18及び第2管体20とを含む。電磁弁取付部12は、第1管体18及び第2管体20の軸線方向に延びるボア22を有し、第1管体18と第2管体20の内部には流路24が形成される。したがって、第1管体18と第2管体20の開口端部は、それぞれ第1ポート26、第2ポート28として機能する。
【0023】
第1ポート26から第2ポート28に至る流路24の電磁弁部14の直下に、流路24の長手方向に延びる第1隔壁30が設けられ、第1隔壁30の長手方向略中央から第1隔壁30に対して略垂直に延びて第2隔壁32が立設される。すなわち、第1隔壁30の
図1における上方側で流路24を二分するように、第2隔壁32を挟んで、第1ポート26寄りに第1流量安定化オリフィス34が、また、第2ポート28寄りに第2流量安定化オリフィス36が略対称形状にそれぞれ形成される。
【0024】
第2流量安定化オリフィス36は、第2隔壁32により屈曲して上方へと立ち上がり、断面円形状の第2通路40として後述する底部空間46に連通する。一方、第1流量安定化オリフィス34は、第2隔壁32により屈曲して上方へと立ち上がるとともに第2通路40の外側を囲むようにして傾斜しながら環状に拡がり、これを第1通路38として底部空間46に連通する。
図1に示すように、第2通路40の底部空間46に連通する開口端は、後述する弁体66の着座部68の存在によって、第1通路38の開口端よりも若干上方に位置している。
【0025】
第1隔壁30の
図1における下方側に、第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36をバイパスするバイパス流路42が形成され、バイパス流路42の長手方向略中央に
バイパスオリフィス44が設けられている。
図1及び
図2から諒解されるように、バイパス流路42は、第1隔壁30の長手方向の各端部から
バイパスオリフィス44寄りの所定位置までの領域では、半円柱状の空間を有し、該所定位置から
バイパスオリフィス44に至るまでの領域では流路面積の狭い円錐状の空間を有する。すなわち、バイパス流路42の断面積は、バイパス流路42の長手方向の各端部から
バイパスオリフィス44寄りの所定位置までは略一定で、該所定位置から
バイパスオリフィス44に向かうにつれて次第に小さくなり、
バイパスオリフィス44の位置で最も小さくなっている。
【0026】
図1及び
図2に示すようにボディ16は、上端部の環状空間から底部空間46に至る途上に環状の段差部48が形成されている。中央に大径の孔部が形成されたシール部材50が段差部48に着座する。
【0027】
電磁弁部14は、直方体状のハウジング52及び円筒ケーシング54を含む。ハウジング52は、内部に電磁コイル56、ボビン57、固定鉄心58等を収容し、下端部がボディ16の環状の上端部に着座して、図示しないボルト等の手段によりボディ16に固定される。円筒ケーシング54は、固定鉄心58に当接してボビン57の内側に配置され、軸方向に移動可能な可動鉄心62を収容する。円筒ケーシング54は、下側のみ開口してその開口端部にフランジ60が形成されるハット形状を有する。ハウジング52をボディ16に固定すると、シール部材50がフランジ60とボディ16の段差部48との間で挟持される。円筒ケーシング54の天井面と可動鉄心62との間には可動鉄心62を下方に付勢するコイルスプリング64が設けられる。
【0028】
図1に示すように、可動鉄心62の下端部に弁体66が固定される。肉厚なディスク状の弁体66は、弾性材からなり、その下面は、第2通路40の開口端に形成された着座部68を覆うように直径が定められた円形状の膨出部として形成される。
【0029】
弁体66は、固定具70を介して可動鉄心62に固着される。固定具70は、前記円形状の膨出部を囲繞する環状板部72を備え、環状板部72は、シール部材50の下面に接するようにして内方へと屈曲し、次いで上方へと脚部74を延在させる金属製の環状体である。上方へと立ち上がる脚部74は、シール部材50の大径の孔部と弁体66の外周縁との間の隙間を通り、可動鉄心62の下端部近傍に至る。可動鉄心62の下端部近傍には、周回する係止溝76が形成されており、係止溝76に脚部74の内方へと突出する係止部78が係合する。
【0030】
本実施形態に係る電磁弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
【0031】
第1ポート26の流体圧力が第2ポート28の流体圧力より大きいとき、電磁コイル56に通電して弁体66を開位置に向けて駆動すると、流体は第1ポート26から第2ポート28に向かって流れる。すなわち、第1ポート26から流入した流体は、第1流量安定化オリフィス34を通過して圧力が低下した後、第1通路38から底部空間46に入り、着座部68の近傍で方向を変えて底部空間46の略中央に位置する第2通路40を通り、さらに第2流量安定化オリフィス36を通過して、第2ポート28から流出する。このとき、弁体66の近傍において流れの向きが変わるなど乱れが生じるが、その後通過する第2流量安定化オリフィス36による絞り効果が大きく、第1ポート26から第2ポート28に向かって流れる流体の流量は、第2流量安定化オリフィス36によって支配される。
【0032】
一方、第2ポート28の流体圧力が第1ポート26の流体圧力より大きいとき、電磁コイル56に通電して弁体66を開位置に向けて駆動すると、流体は第2ポート28から第1ポート26に向かって流れる。すなわち、第2ポート28から流入した流体は、第2流量安定化オリフィス36を通過して圧力が低下した後、第2通路40を通り、弁体66に衝突して周囲に広がりながら底部空間46に入る。そして、第1通路38を通った後、第1流量安定化オリフィス34を通過し、第1ポート26から流出する。このとき、弁体66の近傍において流体が弁体66に衝突するなど乱れが生じるが、その後通過する第1流量安定化オリフィス34による絞り効果が大きく、第2ポート28から第1ポート26に向かって流れる流体の流量は、第1流量安定化オリフィス34によって支配される。
【0033】
このように、流体が第1ポート26から第2ポート28に向かって流れる場合と、流体が第2ポート28から第1ポート26に向かって流れる場合とで、流体が弁体66の近傍を通過する際の流れ方が異なっても、流量は対称形状に形成された第1流量安定化オリフィス34または第2流量安定化オリフィス36によって決まるので、流量に差が生じない。
【0034】
なお、底部空間46に臨む流体は、シール部材50の大径の孔部と弁体66の外周縁との間の隙間を通り、さらに可動鉄心62の上方側に回り込んで圧力を及ぼす。そして、流体が第1ポート26から第2ポート28に向かって流れる場合は、底部空間46から第2通路40に入るときに流速が増加するとともに圧力が低下する一方、流体が第2ポート28から第1ポート26に向かって流れる場合は、第2通路40から底部空間46に入るときに流速が減少するとともに圧力が増大する。このため、流体が第1ポート26から第2ポート28に向かって流れる場合と、流体が第2ポート28から第1ポート26に向かって流れる場合とで、可動鉄心62に加わる力が異なり、弁体66の位置も変化する。しかしながら、いずれの場合も、下流側で流量を支配する第1流量安定化オリフィス34または第2流量安定化オリフィス36が設けられているので、従来必要とされた制御回路を必要としないのである。
【0035】
本実施形態に係る電磁弁10を酸素濃縮装置80に適用した例を、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0036】
酸素濃縮装置80は、コンプレッサ82、第1吸着筒84、第2吸着筒86及びタンク88を備え、第1吸着筒84と第2吸着筒86を交互に使用して、コンプレッサ82で生成した圧縮空気から窒素を吸着し、酸素濃度を高くしてタンク88に貯蔵する。第1吸着筒84及び第2吸着筒86には、窒素吸着材としてゼオライトが内蔵されている。
【0037】
コンプレッサ82と第1吸着筒84を繋ぐ流路には開閉弁SV1が設けられ、第1吸着筒84と排気口90を繋ぐ流路には開閉弁SV2が設けられている。開閉弁SV1は、ON状態のとき(通電時)、コンプレッサ82と第1吸着筒84との間で流体が自由に通過することを可能にし、OFF状態のとき(非通電時)、コンプレッサ82から第1吸着筒84に向かう流体の流れを遮断する。開閉弁SV2は、ON状態のとき、第1吸着筒84と排気口90との間で流体が自由に通過することを可能にし、OFF状態のとき、第1吸着筒84から排気口90に向かう流体の流れを遮断する。
【0038】
コンプレッサ82と第2吸着筒86を繋ぐ流路には開閉弁SV3が設けられ、第2吸着筒86と排気口90を繋ぐ流路には開閉弁SV4が設けられている。開閉弁SV3は、ON状態のとき、コンプレッサ82と第2吸着筒86との間で流体が自由に通過することを可能にし、OFF状態のとき、コンプレッサ82から第2吸着筒86に向かう流体の流れを遮断する。開閉弁SV4は、ON状態のとき、第2吸着筒86と排気口90との間で流体が自由に通過することを可能にし、OFF状態のとき、第2吸着筒86から排気口90に向かう流体の流れを遮断する。
【0039】
第1吸着筒84とタンク88を繋ぐ流路には、第1吸着筒84からタンク88に向かう流体の流れのみを許容する逆止弁92が設けられ、第2吸着筒86とタンク88を繋ぐ流路には、第2吸着筒86からタンク88に向かう流体の流れのみを許容する逆止弁94が設けられている。
【0040】
そして、第1吸着筒84と第2吸着筒86を下流側で繋ぐ流路に、本実施形態の電磁弁10が設けられる。第1ポート26が第1吸着筒84に繋がり、かつ、第2ポート28が第2吸着筒86に繋がるように、電磁弁10が配置される。なお、図
3においては、便宜上、電磁弁10を簡略形式の回路要素で表示しており、第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36についてはその表示を省略している。
【0041】
酸素濃縮装置80が作動しているときは、以下の第1工程から第6工程までが繰り返される。なお、第1工程は、第6工程から第1工程に戻る際の動作を含むものであり、第6工程において、電磁弁部14の電磁コイル56に通電がされているため、第1工程において、電磁弁部14の電磁コイル56への通電を停止することとしている。
【0042】
(第1工程)
開閉弁SV1及び開閉弁SV4をON状態とし、電磁弁部14の電磁コイル56への通電を停止する(時刻t1)。開閉弁SV2及び開閉弁SV3はOFF状態にある。このとき、電磁弁10における第1通路38と第2通路40の連通が遮断されているので、第1吸着筒84に繋がる第1ポート26と第2吸着筒86に繋がる第2ポート28は、
バイパスオリフィス44が設けられたバイパス流路42のみによって連絡されている。
【0043】
コンプレッサ82からの圧縮空気は、開閉弁SV1を介して第1吸着筒84に送られ、第1吸着筒84において図示しないゼオライトの作用で窒素が吸着される。第1吸着筒84で生成された濃縮酸素は、その大部分がタンク88に送られるとともに、その一部、すなわち、電磁弁10の
バイパスオリフィス44による限定された流量に相当する分が第2吸着筒86に送られ、第2吸着筒86のゼオライトを清浄化するのに使われた後、開閉弁SV4を介して排気口90から排気される。第1工程が所定時間経過すると、第1吸着筒84のゼオライトが窒素吸着の限界を迎える。
【0044】
(第2工程)
そこで、電磁弁部14の電磁コイル56に通電する(時刻t2)。すると、可動鉄心62が軸方向に変位して弁体66が着座部68から離れ、圧力の高い第1ポート26から流入した流体が圧力の低い第2ポート28に向かって流れる。第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36を通過する流体の流量は、
バイパスオリフィス44を通過する流体の流量よりもはるかに大きく、第2工程では、第1吸着筒84から第2吸着筒86に向けて濃縮酸素が急速に流れる。
【0045】
(第3工程)
その後、開閉弁SV1及び開閉弁SV4をOFF状態とする(時刻t3)。これにより、第1吸着筒84の圧力と第2吸着筒86の圧力が略等しくなる。
【0046】
(第4工程)
次に、開閉弁SV2及び開閉弁SV3をON状態にするとともに、電磁弁部14の電磁コイル56への通電を停止する(時刻t4)。すると、電磁弁10における第1通路38と第2通路40の連通が遮断されるので、第1吸着筒84に繋がる第1ポート26と第2吸着筒86に繋がる第2ポート28は、
バイパスオリフィス44が設けられたバイパス流路42のみによって連絡される。
【0047】
コンプレッサ82からの圧縮空気は、開閉弁SV3を介して第2吸着筒86に送られ、第2吸着筒86において図示しないゼオライトの作用で窒素が吸着される。第2吸着筒86で生成された濃縮酸素は、その大部分がタンク88に送られるとともに、その一部、すなわち、電磁弁10の
バイパスオリフィス44による限定された流量に相当する分が第1吸着筒84に送られ、第1吸着筒84のゼオライトを清浄化するのに使われた後、開閉弁SV2を介して排気口90から排気される。第4工程が所定時間経過すると、第2吸着筒86のゼオライトが窒素吸着の限界を迎える。
【0048】
(第5工程)
そこで、電磁弁部14の電磁コイル56に通電する(時刻t5)。すると、可動鉄心62が軸方向に変位して弁体66が着座部68から離れ、圧力の高い第2ポート28から流入した流体が圧力の低い第1ポート26に向かって流れる。第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36を通過する流体の流量は、
バイパスオリフィス44を通過する流体の流量よりもはるかに大きく、第5工程では、第2吸着筒86から第1吸着筒84に向けて濃縮酸素が急速に流れる。
【0049】
(第6工程)
その後、開閉弁SV2及び開閉弁SV3をOFF状態とする(時刻t6)。これにより、第1吸着筒84の圧力と第2吸着筒86の圧力が略等しくなる。
【0050】
本実施形態に係る電磁弁10によれば、第1ポート26から第2ポート28に向かって流体が流れる場合と、第2ポート28から第1ポート26に向かって流体が流れる場合とで、弁体66の近傍における流体の流れ方が異なっても、対称形状に形成された第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36のうち特に下流側に存在する流量安定化オリフィスによって流量が支配される。このため、第1ポート26から第2ポート28に向かって流体が流れる場合と、第2ポート28から第1ポート26に向かって流体が流れる場合とで、流量に差が生じない。
【0051】
また、第1ポート26と第2ポート28が形成された電磁弁取付部12及び単一の電磁弁部14からなるので、マニホールド構造を必要とせず、小型化を図ることができる。さらに、特別な制御回路も必要としない。
【0052】
さらに、第1流量安定化オリフィス34に繋がる第1通路38及び第2流量安定化オリフィス36に繋がる第2通路40が電磁弁取付部12に形成され、第2通路40の円形状の開口端に弁体66が着座可能な着座部68が形成されている。しかも、第1通路38開口端は、第2通路40の開口端の周囲を囲む円環状であるので、流路に対する弁体66の配置構成を簡単なものとすることができる。
【0053】
さらにまた、ボア22に設けられた第1隔壁30の一方の面とボア22の内壁面とで画成される通路によって、第1流量安定化オリフィス34及び第2流量安定化オリフィス36を構成するとともに、第1隔壁30の一方の面とは反対側にバイパス流路42が設けられている。このため、第1流量安定化オリフィス34、第2流量安定化オリフィス36及び
バイパスオリフィス44を、第1ポート26と第2ポート28が形成された電磁弁取付部12内にコンパクトに配置することができる。
【0054】
また、
バイパスオリフィス44は、バイパス流路42の長手方向の略中央に設けられ、バイパス流路42は、長手方向の各端部から
バイパスオリフィス44寄りの所定位置までは断面積が一定で、該所定位置から
バイパスオリフィス44に向かって断面積が次第に小さくなっているので、
バイパスオリフィス44を含むバイパス流路42における流体の流れを円滑に層流化することができる。
【0055】
さらに、第1隔壁30及び第2隔壁32を含めて電磁弁取付部12は樹脂で成形されるので、第1流量安定化オリフィス34、第2流量安定化オリフィス36及び
バイパスオリフィス44を別部品としたり、切削加工で形成する必要がなく、安価なコストで製造できる。
【0056】
本発明に係る電磁弁は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。