特許第5773324号(P5773324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773324
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】竹伐採機、及び竹伐採方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20150813BHJP
   B27L 11/00 20060101ALI20150813BHJP
   A01G 23/093 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   A01G23/08 Z
   B27L11/00 N
   A01G23/093
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-9133(P2010-9133)
(22)【出願日】2010年1月19日
(65)【公開番号】特開2011-147354(P2011-147354A)
(43)【公開日】2011年8月4日
【審査請求日】2013年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100121304
【弁理士】
【氏名又は名称】杢保 英治
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
(72)【発明者】
【氏名】西岡 守
(72)【発明者】
【氏名】幸田 哲哉
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−201550(JP,A)
【文献】 特開2003−236403(JP,A)
【文献】 特開昭58−081718(JP,A)
【文献】 特開2002−346423(JP,A)
【文献】 実開昭59−086252(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3063136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/08 − 23/093
B27L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を伐採する回転切削機構を備え、
当該回転切削機構は、伐採対象である竹の根本から上方に向う方向に、竹の伐採が可能な速度で回転し、
前記回転切削機構により伐採された竹が、前記回転切削機構の回転により、当該回転切削機構の上方へと移動した後、前記回転切削機構は、前記竹をチップへと加工することが可能な速度で回転するとともに、
チップへの加工時に、伐採された竹を挟持することが可能な少なくとも一対のローラを備える
ことを特徴とする竹伐採機。
【請求項2】
前記一対のローラの一方は固定ローラであり、他のローラは、竹の伐採が終わり、チップ加工に入るときに、前記固定ローラとの間で竹を所定の圧力で挟持するように動く従動ローラである
ことを特徴とする請求項1に記載の竹伐採機。
【請求項3】
前記固定ローラは、
挟持された竹を、前記回転切削機構の側へと付勢する駆動力を発する
ことを特徴とする請求項2に記載の竹伐採機。
【請求項4】
前記ローラは、固定ローラである二つのローラと、竹をチップへと加工する際に前記二つの固定ローラとの間で竹を所定の圧力で挟持する従動ローラとを含み、
前記従動ローラの垂直方向の位置は、前記固定ローラである二つのローラの略中央である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の竹伐採機。
【請求項5】
前記竹伐採機は、さらに、
進行方向前方に竹の取り入れ口が設けられ、竹周囲に伸びた笹枝、葉などを前記回転切削機構へと送り込むように案内するガイド部材を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の竹伐採機。
【請求項6】
前記ガイド部材は、上方から下方に向けて内径が小さくなる形状である
ことを特徴とする請求項5に記載の竹伐採機。
【請求項7】
さらに、前記ガイド部材に設けられた竹の取り入れ口を塞ぐ開閉蓋を備える
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の竹伐採機。
【請求項8】
前記ローラは、
固定ローラと、該固定ローラとの間で竹を所定の圧力で挟持するように動く従動ローラとを備えており、
前記従動ローラが伐採対象である竹側へと動いた際には、前記従動ローラに少し遅れて
前記開閉蓋も閉じられ、前記従動ローラが竹から離れる方向に動く際には、前記従動ロー
ラより少し早く前記開閉蓋を開けるようになされる
ことを特徴とする請求項7に記載の竹伐採機。
【請求項9】
加工された竹チップは、前記回転切削機構を覆うケーシングに取り付けられたパイプを経由して、前記竹伐採機と一体に設けられたチップ収容器に収容される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の竹伐採機。
【請求項10】
前記竹伐採機は、さらに送風機構を備え、
加工された竹チップは、前記送風機構の動作で前記パイプ内に生じた空気圧により、前記ケーシングから前記チップ収容器へと送られる
ことを特徴とする請求項9に記載の竹伐採機。
【請求項11】
竹を伐採する回転切削機構による竹伐採方法であり、
当該回転切削機構は、伐採対象である竹の根本から上方に向う方向に、竹の伐採が可能な速度で回転し、
前記回転切削機構により伐採された竹が、前記回転切削機構の回転により、当該回転切削機構の上方へと移動した後、前記回転切削機構は、前記竹をチップへと加工することが可能な速度で回転するとともに、
チップへの加工時に、伐採された竹を挟持することが可能な少なくとも一対のローラにより加工対象である竹を挟持する
ことを特徴とする竹伐採方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹伐採機、及び竹伐採方法に関し、特に、竹林に群生する竹を伐採するとともに、竹チップに加工する竹伐採機、及び竹伐採方法に関する。
【背景技術】
【0002】
竹は、例えばバイオマス化学材料の原料等として、近年、その有効利用が種々検討され、実用化も進み始めている。しかしながら、現状では、竹の有効利用も、竹を伐採してチップ加工するまでの効率の悪い作業に起因する材料コストが、幅広い用途に普及するための大きなネックとなっている。前記効率の悪い作業の要因の一つが、竹を伐採してチップ加工するまでの小型で使い易い、効率の良い装置が無く、ほとんどを人手に頼っていたことによるものである。竹の伐採、粉砕、チップ化などに適用可能な背景技術として、例えば特許文献1から特許文献4に開示の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314411号公報
【0004】
【特許文献2】特開2001−341105号公報
【0005】
【特許文献3】特開2002−51649号公報
【0006】
【特許文献4】特開2002−346423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現状の竹伐採からチップ加工までの一般的な作業の問題点について説明すると、成長した竹を、チェーンソーなどを使って間伐で伐採する場合は、ほとんどが周囲の竹に引っ掛かって倒れず、この後処理としてチェーンソーを使ってダルマ落としの様に切りながら短くしていくか、人力で竹の引っ掛かりを除去して倒す作業をする必要がある。また、倒された竹を運び易くするために例えば1.5〜2メートルの寸法にチェーンソーなどを使って切断する作業も必要となる。また竹の全高さの上約4割の範囲には枝や笹がついていて、これも運び易くするため人手で手ノコやナタを使って枝打ちする作業も必要となる。更に、運び易い寸法に切断された竹や笹枝は、ほとんどが傾斜地に散乱していて、集材して、竹林近くの平地に設置された粉砕機まで運ぶ作業は重労働である。上記のように竹を伐採した後、粉砕機まで運び出すとすれば、実際にこの作業を竹林で行ってみると、作業負担は非常に大きいものであり、また作業効率も悪いことが分かる。
【0008】
特許文献1の技術では、伐竹、伐木、ツル、雑草等をシュート22にのせる必要があるが、シュート22にのせる前の伐採は人手で行う必要がある。竹林での竹の伐採作業は、作業者にとって最も負担の大きい作業である。
【0009】
特許文献2の技術は、木材を破砕するものではあるけれども、被破砕木材は略水平方向から導入するものであり(特許文献2第0029段落参照)、やはり被破砕木材の伐採は人手での作業を要する。
【0010】
特許文献3の技術は遠隔操作可能な潅木伐採機に関するものであるが、竹を伐採してチップに加工するには、伐採後にチップ加工位置まで運ぶ必要があり、この運搬作業の負担も相当に大きい。
【0011】
特許文献4の技術では、竹木をクランプレバで掴持してカッタで切断した後、粉砕機のある場所へ運び出す作業負担が生じる(特許文献4第0013段落参照)。特許文献4の技術は予想しない場所から突然地上へ伸びる有害竹木を対象とした技術であるが、竹チップへの加工、竹の有効利用のため、特に有害なわけでなく、成長した竹を伐採し、粉砕機まで運び出すとすれば、実際に竹林で行ってみると、周囲の竹が引っかかるなどして、作業負担は非常に大きいものである。
【0012】
本発明は上記の諸点に鑑みてなされたものであって、竹林に群生する竹を容易に伐採することが可能であるとともに、伐採された竹から竹チップを容易に得ることができる竹伐採機を提供することを目的としている。さらに、当該竹チップを得るに際し、竹の笹枝、葉なども併せてチップへ加工することができる竹伐採機を提供することが第2の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題点を解決するために、本発明に係る竹伐採機は、竹を伐採する回転切削機構を備え、当該回転切削機構は、伐採対象である竹の根本から上方に向う方向に、竹の伐採が可能な速度で回転し、前記回転切削機構により伐採された竹が、前記回転切削機構の回転により、当該回転切削機構の上方へと移動した後、前記回転切削機構は、前記竹をチップへと加工することが可能な速度で回転するとともに、チップへの加工時に、伐採された竹を挟持することが可能な少なくとも一対のローラを備えることを特徴としている。
【0014】
本発明においては、回転切削機構を用いて竹を伐採するとともに、伐採後に前記回転切削機構上方に移動した竹を、当該回転切削機構によりチップに加工する。即ち、特許文献4の技術のように、伐採した後に、伐採された竹を粉砕機まで運ぶ必要がない。
【0015】
なお、他に、例えば下記するガイド部材やチップ収容器なども備えた場合には、竹を根元付近で伐採した後に、従来必要な作業であった、倒し、定寸切り、笹枝打ち、集材、運搬の5つの作業を全て省略でき、これは、特許文献1〜4の技術との大きな違いであり、現実の竹林での伐採作業、運搬作業の負担、効率に鑑みると、実用的な効果は極めて大きいものである。
【0016】
ここで、「竹の伐採が可能な速度」と、「竹をチップへと加工することが可能な速度」とは同一の速度とすることができる。
【0017】
本発明の竹伐採機は、クローラ(キャタピラ)で走行することが可能な構成とすれば、操作者は、竹を順次伐採してチップに加工することができ、その作業負担は、従来のものと比較して極めて小さいものとなる。
【0018】
前記一対のローラの一方は固定ローラであり、他のローラは、竹の伐採が終わり、チップ加工に入るときに、前記固定ローラとの間で竹を所定の圧力で挟持するように動く従動ローラである構成とすることができる。「所定の圧力」は、一定でなく変化があって良いが、竹をチップに加工することが可能であり、また、竹を下方に移動できる圧力であることが好ましい。
【0019】
前記固定ローラは、挟持された竹を、前記回転切削機構の側へと付勢する駆動力を発する構成とすれば、竹チップへの加工が円滑になされ、好ましい。なお、固定ローラへの駆動力は、前記クローラと同一のエンジンで付与する構成とすることができるが、別エンジンとしても構わない。
【0020】
前記ローラは、固定ローラである二つのローラと、竹をチップへと加工する際に前記二つの固定ローラとの間で竹を所定の圧力で挟持する一つの従動ローラとを含み、前記従動ローラの垂直方向の位置は、前記二つのローラの略中央である構成とすることが好ましい。
【0021】
前記竹伐採機は、さらに、進行方向前方に竹の取り入れ口が設けられ、竹周囲に伸びた笹枝、葉などを前記回転切削機構へと送り込むように案内するガイド部材を備える構成とすれば、笹枝、葉なども竹本体部分から連続的に、円滑にチップへと加工され、加工の障害となることがない。なお、前記ガイド部材は、上方から下方に向けて内径が小さくなる形状である構成、例えばラッパ状の部材とすることができる。
【0022】
加工された竹チップは、前記回転切削機構を覆うケーシングに取り付けられたパイプを経由して、前記竹伐採機と一体に設けられたチップ収容器に収容される構成とすることが好ましい。具体的な構成の一例として、前記竹伐採機は、さらに送風機構を備え、加工された竹チップは、前記送風機構の動作で前記パイプ内に生じた空気圧により、前記ケーシングから前記チップ収容器へと送られる構成とすることができる。
【0023】
本発明に係る竹伐採方法は、竹を伐採する回転切削機構による竹伐採方法であり、当該回転切削機構は、伐採対象である竹の根本から上方に向う方向に、竹の伐採が可能な速度で回転し、前記回転切削機構により伐採された竹が、前記回転切削機構の回転により、当該回転切削機構の上方へと移動した後、前記回転切削機構は、前記竹をチップへと加工することが可能な速度で回転するとともに、チップへの加工時に、伐採された竹を挟持することが可能な少なくとも一対のローラにより加工対象である竹を挟持することを特徴とする。
【0024】
前記回転切削機構を回転させながら、操作者がレバーでクローラをわずかに前進させることにより前記竹を伐採する方法とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る竹伐採機等によると、竹林に群生する竹を容易に伐採し、引き続いてチップに加工することが可能になり、従来では竹の伐採からチップ加工までの間に必要であった定寸切りなどの手作業での作業負担が大幅に削減できる。特にガイド部材を備えた場合、竹の笹枝、葉なども竹本体と連続的にチップへと加工でき、チップへの加工の障害になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態における竹伐採機の概略構成の一例について説明するための模式図である。
図2】本実施の形態の竹伐採機が竹の伐採を開始する前の様子を表す模式図である。
図3】本実施の形態の竹伐採機が竹の伐採を終え、チップへの加工を行っている様子を表す模式図である。
図4】本実施の形態の竹伐採機において、一本の竹のチップへの加工終了が近づいた頃の様子を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における竹伐採機の概略構成の一例について説明するための模式図である。同図1(a)は、竹伐採機100を上方から見たものであり、図1(b)は、側面から見た模式図である。図1(a)では、操作者900は図示を省略している。
【0028】
図1(b)に示されるように、竹伐採機100は、操作者900が竹伐採機100の移動方向などをコントロールするための保持ハンドル110、操作レバー111、112を備えている。操作レバーは、本実施の形態では2本備えられているが、これに限定されることはなく、1本とすることもできるし、より高機能化を図るような場合には3本以上を備えることもある。
【0029】
竹伐採機100は、2本のクローラ(キャタピラ)120a、120bにより走行可能であり、クローラによる走行は、例えば操作レバー111の操作により動作、停止させることが可能である。もっとも操作レバー111は必須ではなく、操作者900により保持ハンドル110に加えられた力を検出してクローラの動作を制御するような実施形態も可能である。
【0030】
クローラ120a、120bはエンジン130により動作する。竹伐採機100は。竹を伐採し、さらに伐採後の竹をチップに加工する回転切削機構140を備えている。回転切削機構140は、複数枚(例えば40〜50枚)のチップソーを、各々の間に鋼製で、厚さ例えば1mmの円盤状スペーサを介して積層して締め付けられることにより形成できる。チップソーとしては、例えば直径25cm、厚さ3mm、周囲の刃数が10〜80程度のものを用いることができるが、これに限定されることなく、チップソーの回転速度や伐採対象等に応じて適宜選択することが可能である。
【0031】
回転切削機構140は、伐採対象である竹800の根元から上方に向う方向、即ち図1(b)中矢印A方向に回転する。エンジン130により、例えば1分間に1800回転の回転速度で矢印A方向に回転させることにより、竹800を伐採する。回転切削機構140を矢印A方向に回転させながら、例えば操作者900がクローラ120a、120bをわずかに前進させることにより、伐採された竹800は、伐採後に回転切削機構140の上方に移動することになる。図2は、竹伐採機100が竹800の伐採を開始する前の様子を表す模式図である。この時点では、本実施の形態では、従動ローラ160(図1参照)は、図1(a)に示される状態であり、竹800とは接していない。
【0032】
図1(b)に戻り、竹伐採機100は、エンジン130の動力を伝達する伝達部151を介して竹800に対して図中下向き(矢印C方向)に付勢力を働かせる駆動ローラ152及び153を備えている。本実施の形態では駆動ローラを二つ設けたが、駆動ローラは一つでも構わない。三つ以上設ける構成としても良い。
【0033】
回転切削機構140の上方へと移動した竹800は、駆動ローラ152及び153に当接する。本実施の形態では、操作者900が操作レバー112を操作することにより、回動中心部161に取り付けられた従動ローラ160を図1(a)に示された矢印B方向に動かし、駆動ローラ152及び153との間で挟持して伐採後の竹800の水平方向の位置、垂直方向(竹800の軸方向)の方向を略固定するように構成した。
【0034】
このような機能を実現する構成は任意であり、種々の構成が考えられるが、操作者900が操作レバー112を操作したことを検出して、電気的に従動ローラ160を矢印B方向へと動かすとともに、竹800が、従動ローラ160、駆動ローラ152、153に所定の圧力で押圧されるように構成することができる。この「所定の圧力」とは、一定でなく変化があって良いが、竹800をチップに加工することが可能であり、また、竹800を下方に円滑に移動できる圧力であることが好ましい。電気的に従動ローラ160の回動、回転力を制御する構成とすれば、操作レバー112を、図4に示されるような下側から図1(b)に示されるように上側へと操作した場合に、従動ローラ160が図1(a)に示される位置に戻す構成も容易である。
【0035】
なお、従動ローラ160の垂直方向の位置は、駆動ローラ152と153の略中間とすることが好ましい。本実施の形態では操作レバー112の操作により従動ローラ160を動かして、竹800を挟持するようにしたが、操作者900の操作によらず、センサ等を用いて自動的に挟持させるような構成としても良い。
【0036】
図3は、本実施の形態の竹伐採機が竹の伐採を終え、チップへの加工を行っている様子を表す模式図である。駆動ローラ152、153、従動ローラ160により、竹800は略垂直に保たれて、駆動ローラ152、153の駆動力により、竹800が下方から回転切削機構140に押圧され、当該回転切削機構140により順次竹チップに加工される。回転切削機構140におけるチップソーの回転速度は、竹の伐採時とチップへの加工時とで同一としても良いが、異なる回転速度としても良い。回転切削機構140を収容するケーシング141内で加工された竹チップは、送風機180により生じる空気圧によりエアー圧送パイプ170を通り、チップ収容器190内に蓄積される。図1(b)において、符号191は蓄積した竹チップである。
【0037】
図4は、本実施の形態の竹伐採機において、一本の竹のチップへの加工終了が近づいた頃の様子を表す模式図である。本実施の形態では、駆動ローラ152、153、従動ローラ160外部に、ラッパ形状のガイド部材200を備えている。このガイド部材200により、笹枝、葉等801も、竹本体と連続的に、円滑に回転切削機構140へと送り込まれチップに加工されるため、笹枝、葉等801がチップ加工の障害となることがない。もっとも、ガイド部材200は、笹枝、葉等を回転切削機構140に送り込むことができれば良く、ラッパ形状に限定されない。もっとも、その内径は上方から下方に向けて小さくなるようにすることが好ましい。
【0038】
ガイド部材200は、操作者900がレバー112を操作した場合に、従動ローラ160と連続して開閉可能なように構成された開閉蓋201を備えている。本実施の形態では、操作レバー112の操作により、従動ローラ160が竹800側へと動いた際には、従動ローラ160に少し遅れて開閉蓋201も閉じられるように構成している。具体的な構成については、上記従動ローラ160を矢印B方向、及び逆方向に回動させる構成と同様に電気的制御とすることが好ましい。電気的制御とすることにより、操作レバー112の操作により、従動ローラ160が竹800側へと矢印B方向に動いた際には、従動ローラ160に少し遅れて開閉蓋201も矢印D方向に閉じられ、従動ローラ160が竹800から離れる方向に動く際には、従動ローラ160より少し早く開閉蓋201を開けるようにする制御が容易にできる。なお、ガイド部材200、開閉蓋201を設けない極めて簡単な構成で、竹を略垂直方向に保持してのチップ化を行う場合には、従動ローラ160による竹800の押圧を電気的制御で行うことなく、例えば「バネ」や「ワイヤ」を用いた構成とすることもできる。
【0039】
図4に示されるように、広がった笹枝、葉等801がガイド部材200によりしぼむように案内され、笹枝等も竹800本体と同様にチップへと加工される。一本の竹のチップ加工が終了した後は、操作者900による操作レバー112の操作により、開閉蓋201が開き、従動ローラ160が、図1(a)に示す元の位置へと戻る。操作者900は、ハンドル100を操作して、別の竹の伐採、チップ加工へと向うことができる。
【0040】
以上に説明したように、本実施の形態の竹伐採機によれば、竹林に群生する竹を順次容易に伐採することが可能であるとともに、伐採に引き続いて竹チップに加工することが可能である。さらに、ガイド部材200(及び開閉蓋201)を備えることにより、笹枝、葉などもチップへと加工され、笹枝、葉などがチップへの加工の障害となることがない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、竹林に群生する竹の伐採、竹チップへの加工に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 竹伐採機
110 保持ハンドル
111、112 操作レバー
120a、120b クローラ(キャタピラ)
130 エンジン
140 回転切削機構
141 ケーシング
151 伝達部
152、153 駆動ローラ
160 従動ローラ
170 エアー圧送パイプ
180 送風機
190 チップ収容器
191 竹チップ
200 ガイド部材
201 開閉蓋
800 竹
801 笹枝、葉など
900 操作者
図1
図2
図3
図4