(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低出力から徐々に出力を上げて,パイロット噴射弁からの燃料噴霧に加えて、メイン噴射弁からも予混合気を投入し始める中間出力の状態では,燃焼器に流入する空気温度がまだ十分高くないため,メイン予混合気の安定な燃焼のためには,パイロット火炎によるメイン予混合気の保炎作用が重要になる.特許文献1の装置では、パイロット燃焼領域とメイン燃焼領域とが大きく離れているので、上記のような中間出力時に、パイロット火炎によるメイン予混合気の保炎作用が小さく,メイン噴射弁の燃焼効率が低下する。そのため、ガスタービンの出力が十分に上昇して,燃焼器に流入する空気の温度が高く,メイン予混合気単独でも安定に燃焼する場合にのみ,メイン噴射弁に燃料を供給することが可能になり,それ以下の出力時には、パイロット噴射弁のみを用いることになる.よって、パイロット燃焼領域とメイン燃焼領域が大きく離れていて、パイロット火炎によるメイン予混合気の保炎作用が小さい場合には、メイン噴射弁での予混合燃焼を用いた低NOx化を行えるガスタービンの作動領域が狭まることになる.
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、パイロット燃焼領域とメイン燃焼領域とを大きく離すことなく、低出力時におけるパイロット噴射弁の燃焼効率や着火性・保炎性を向上させることのできる燃料噴射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃料噴射装置は、燃焼室内に第1燃焼領域を形成するように燃料を噴霧するパイロット噴射弁と、前記パイロット噴射弁を囲むようにこのパイロット噴射弁と同軸状に設けられ、前記燃焼室内に第2燃焼領域を形成するように燃料と空気の混合気を供給するメイン噴射弁とを備え、前記パイロット噴射弁は、中心軸上で軸方向に直進する空気ジェットを噴出させる中心ノズルと、その径方向外側に位置して、流入する空気に前記パイロット噴射弁の軸心回りの旋回を与える内側スワーラと、前記中心ノズルと内側スワーラの間から、中心ノズル内の空気流に燃料を噴射するパイロット燃料噴射部とを有する。
【0009】
この構成によれば、パイロット燃料噴射部から噴射される燃料は、径方向外側に拡散することなく、中心軸上を直進する空気ジェットと共に、燃焼室内の中心軸付近へ直進し、多くの燃料が燃料噴射装置の下流軸心付近、つまり第1燃焼領域の中央部に集まる。これにより、メイン噴射弁が運転していない低出力時において、外側のメイン空気流がパイロット燃料噴霧と干渉するのを防いで、低出力時におけるパイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、さらに、前記内側スワーラの径方向外側に、下流側に向かうにつれて空気通路が広くなるディフューザ型の外側スワーラを備えることが好ましい。コンセントリック型燃料噴射弁の出口直後の空気流では、主にメイン噴射弁から出る空気の強い旋回のため軸心付近が負圧になり、半径方向内向きの圧力勾配と外向きの遠心力がつりあう。しかし、メイン噴射弁から出た強い旋回空気流は、下流に流れるに従って拡大し減衰して旋回が弱くなるため、軸心付近の圧力は下流に行くに従って次第に回復する。よって、燃料噴射装置下流の中心軸上では、下流の方が上流より圧力が高い逆圧力勾配が生じ、中心軸上で下流から上流へと逆流する再循環領域が形成される。この再循環領域には、パイロット燃料噴霧が比較的長い時間滞留するため、その存在は,パイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性向上に大きく寄与する。
【0011】
一方、パイロット燃料噴射部軸心付近に、軸方向に直進する空気ジェットを噴出させる中心ノズルを設置すると、中心ノズルから噴出した空気ジェットの運動量が大きい場合には、再循環領域は、中心軸付近が下流側へ凹んだ形状となり、パイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性を低下させる場合がある。そのような場合にも、上記構成のように、内側スワーラの径方向外側に前記外側スワーラが設置されていれば,外側スワーラ出口における空気速度が通常のスワーラより遅くなるので、再循環領域は外側スワーラの出口付近で上流側に拡大し,パイロット噴射弁の火炎が安定するから、パイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性の低下を防ぐことができる。
【0012】
前記外側スワーラは、流入する空気に前記内側スワーラよりも強い旋回速度成分を付与するスワーラベーンにより形成されていることが好ましい。この構成によれば、外側スワーラを通過する旋回流の方が、より径方向外側に広がるので、それより内側を流れる内側スワーラの旋回流との干渉が小さくなり、両者が適切に径方向外側に広がることによって、安定した広い再循環領域を確保することができる。これにより、燃焼室内に、パイロット噴霧が気化して燃焼できる安定した広い領域が確保されるので、パイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性が向上する。
【0013】
本発明において、前記パイロット噴射弁とメイン噴射弁との間を区画する環状の隔壁を有し、前記隔壁の内径面は、その出口端の近傍に設けられて下流に向かって拡径するパイロットフレア部と、このパイロットフレア部の上流側に設けられて下流に向かって縮径するパイロット縮径部とを有することが好ましい。この構成によれば、メイン噴射弁の空気流路を内側縮径部でいったんパイロット噴射弁に近づけた後、出口端の近傍の内側フレア部で末広がり形状とすることで,パイロット噴射弁の出口端の下流近傍では、メイン噴射弁から噴射された燃料と空気の予混合気が第1燃焼領域に近接し、パイロット火炎によるメイン予混合気の保炎作用が強くなるため、中間出力時におけるメイン噴射弁の燃焼効率が高く維持される。
【0014】
また、前記メイン噴射弁の空気流路外周面は、その出口端に向かって末広がりの形状であることが好ましい。この構成によれば、メイン噴射弁からの空気が径方向外側に広がるので、上記再循環領域を径方向外側に適度に広げることができ、これによってパイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性が向上する。
【0015】
本発明において、前記パイロット噴射弁と前記メイン噴射弁との間を区画する環状の隔壁を有し、前記隔壁の内周面の出口端から下流方向への仮想延長内周面と、前記隔壁の外周面の出口端から下流方向への仮想延長外周面とが、下流方向に向かって互いに平行もしくは末広がりとなっていることが好ましい。この構成によれば、メイン噴射弁が運転されていない低出力時において、燃料噴射装置の出口端よりも下流では、メイン噴射弁からの空気流が常にパイロット噴射弁からの空気流より外側に位置するため、メイン空気流とパイロット噴射弁の燃焼領域との干渉が抑制され、パイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性が向上する。
【0016】
本発明において、前記パイロット噴射弁の出口端が、前記メイン噴射弁の出口端と同一またはこれよりも上流側に位置していることが好ましく、前記両出口端の軸方向距離Wと、前記メイン噴射弁の出口端の内径Dmとの比W/Dmが0.25以下であることが好ましい。この構成によれば、パイロット噴射弁の出口付近で早期にメイン噴射弁から噴出した燃料と空気の予混合気が第1燃焼領域に触れるので、中間出力時には、メイン噴射弁の予混合気がより上流から燃焼し始めることにより、燃焼効率が向上する。
【0017】
本発明において、前記パイロット噴射弁と前記メイン噴射弁との間を区画する環状の隔壁を有し、前記隔壁の出口端の径方向幅Tと、前記パイロット噴射弁の出口端の内径Dpとの比T/Dpが0.05〜0.15であることが好ましい。この構成によれば、隔壁が十分小さい(薄い)ので、中間出力時にメイン噴射弁から噴出する燃料と空気の予混合気が第1燃焼領域に触れやすくなることにより、メイン予混合気が第1燃焼領域のパイロット火炎により保炎されやすくなり、メイン噴射弁の燃焼効率を向上せさることができる。
【0018】
本発明において、前記パイロット燃料噴射部は、燃料を環状の膜状に噴射するプレフィルマ型であることが好ましい。この構成によれば、燃料に対する空気のせん断面積が大きくなり、燃料の微粒化が促進され、その結果、低出力時における低NOx化を実現できる。また、これに代えて、前記パイロット燃料噴射部は、周方向の複数個所から中心ノズル内の空気流に向けて燃料を噴射するプレーンジェット型とすることもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の燃料噴射装置によれば、パイロット燃料噴射部から噴射される燃料は、径方向外側に拡散することなく、中心軸上を直進する空気ジェットと共に、燃焼室内の中心軸付近へ直進し、燃焼室の再循環領域内へ噴霧される。これにより、多くの燃料を燃料噴射装置の後方の軸心付近、つまり再循環領域の中央部に集めることができる。これにより、パイロット燃焼領域とメイン燃焼領域とを大きく離して中間出力における燃焼効率を低下させることなく、パイロット燃料噴霧とメイン空気流が干渉するのを防いで、低出力時におけるパイロット噴射弁の燃焼効率および着火性・保炎性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る燃料噴射装置2を備えたガスタービンエンジンの燃焼器1を示している。この燃焼器1は、ガスタービンエンジンの図示しない圧縮機から供給される圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、その燃焼により発生する高温・高圧の燃焼ガスをタービンに送ってタービンを駆動するものである。
【0022】
燃焼器1はアニュラ型であり、エンジン回転軸心Cと同軸状に配置された、環状のアウタケーシング5とその内側の環状のインナケーシング7とにより、環状の内部空間を有する燃焼器ハウジング3を構成している。この燃焼器ハウジング3の環状の内部空間には、環状の燃焼器ライナ9が燃焼器ハウジング3と同軸状に配置されている。燃焼器ライナ9は、環状のアウタライナ11の内側に環状のインナライナ13が同軸状に配置されており、内部に環状の燃焼室4を形成している。この燃焼器ライナ9の頂壁に、燃焼室4内に燃料を噴射する複数の燃料噴射装置2が、エンジン回転軸心Cと同軸状に、つまり燃焼器ライナ9の周方向に、等間隔に配設されている。各燃料噴射装置2は、パイロット噴射弁6と、このパイロット噴射弁6の外周を囲むようにパイロット噴射弁6の軸心C1と同軸状に設けられて混合気を生成するメイン噴射弁8とを備えており、燃焼器ハウジング3に締結部材19によって取り付けられたステム部27により燃焼器ハウジング3に支持されている。アウタケーシング5およびアウタライナ11を貫通して、着火を行うための点火栓IGが、燃焼器ライナ9の径方向を向き、かつ先端が燃料噴射装置2に近接する配置で設けられている。
【0023】
燃焼器ハウジング3の環状の内部空間には、圧縮機から送給される圧縮空気CAが空気取入管21を介して導入され、この導入された圧縮空気CAは、燃料噴射装置2に供給されるとともに、燃焼器ライナ9のアウタライナ11およびインナライナ13にそれぞれ複数形成された空気導入口23から燃焼室4内に供給される。ステム部27は燃料配管ユニットUを形成しており、この燃料配管ユニットUは、パイロット噴射弁6に燃料を供給する第1燃料供給系統F1と、メイン噴射弁8に燃料を供給する第2燃料供給系統F2とを備えている。
【0024】
燃料噴射装置2の後部は、その外周部に設けたフランジ25Aと支持体25Bとを介して、アウタライナ11に一体形成されたアウタサポート29に支持され、アウタライナ11がライナ固定ピンPでアウタケーシング5に支持されている。アウタサポート29は、燃料噴射弁2の径方向内側に突出し、アウタサポート29の内側に嵌め込まれたヒートシールド17により、燃焼室4の高温から保護されている。燃焼器ライナ9の下流端部にはタービンの第1段ノズルTNが接続される。
【0025】
図2は
図1の燃料噴射装置2を詳細に示した縦断面図である。燃料噴射装置2の中央部に設けられたパイロット噴射弁6は、軸心C1上に配置された中心体10と、これと同軸状でステム部27と一体に設けられてパイロット噴射弁6の本体を形成する内側筒状体12と、内側筒状体12の外方で内側筒状体12と同軸状に配置された外側円筒状体14と、外側円筒状体14の外方で外側円筒状体14と同軸状に配置された環状の隔壁であるインナシュラウド15とを有している。このインナシュラウド15は、パイロット噴射弁6とメイン噴射弁8とを区画している。インナシュラウド15の内周面の下流部にはベンチュリーノズル状のパイロット外周ノズル18が形成されている。
図3に示すように、ステム部27は、パイロット外周ノズル18が形成された部分を除いて、後述する内側スワーラ30の内径よりも小さい幅を持つ細長い形状である。
【0026】
図2に示すパイロット噴射弁6の内側筒状体12は、第1燃料供給系統F1の燃料配管U(
図1)と接続された基部19(
図1)により、支持されている。内側筒状体12の内側には、中心体10を内側筒状体12に支持するストラット28が固定され、中心体10と内側筒状体12の間に、中心軸C1と同心状の内側空気流路を形成する環状の中心ノズル20が形成されている。中心体10は、中心ノズル20内流れが下流に行くに従って加速するよう、ストラット28より下流で徐々に径が大きくなっている。内側筒状体12の下流部における内部に、第1燃料供給系統F1に連通する環状のパイロット燃料流路22が形成されている。内側筒状体12と外側円筒状体14との間に外側空気流路24が形成され、外側円筒状体14とインナシュラウド15との間に追加空気流路26が配設されている。
【0027】
外側空気流路24および追加空気流路26の上流には、パイロット噴射弁6の軸心C1回りの旋回を与える内側スワーラ30、および内側スワーラ30よりも強い旋回を与えるディフューザ型の外側スワーラ32がそれぞれ配設されている。すなわち、2つのスワーラ30、32は旋回方向が同じで、軸心C1を含む平面に対する固定羽根の出口取付角度である旋回角度は、外側スワーラ32の方が大きく設定されている。このように、パイロット噴射弁6は、外側空気流路24、追加空気流路26と、中心体10、ストラット28、および、2つのスワーラ30、32を含んでいる。中心ノズル20から噴出する空気流である空気ジェットは、中心ノズル出口では旋回角度10°未満に保つことが好ましい。また、燃料噴射装置の上流の空気状態が安定している場合、および、加工上の制約がある場合などには、内側筒状体12の内側形状を工夫することにより、中心体20とストラット28を省略することも考慮できる。内側スワーラ30の出口旋回角度は例えば30°であり、好ましくは20〜50°である。外側スワーラ32の出口旋回角度は例えば50°であり、好ましくは40〜60°である。
【0028】
外側スワーラ32は、
図4(a)に示すように、各ベーン(羽根)の入口角(前縁の軸方向に対する角度)θiが出口角(後縁の軸方向に対する角度)θeよりも大きく設定されて、下流側に向かって空気通路が広くなる、すなわち、流れに垂直な方向の空気通路の有効断面積が広くなるように、周方向に滑らかに湾曲した複数のディフューザベーン32aを有している。また、
図4(b)に示すように、外側スワーラ32を、下流に進むほどベーン高さ(通路の径方向の高さ)が大きくなって通路が広くなる複数のディフューザベーン32bで構成することもできる。なお、外側スワーラ32は、入口から出口まで流れに垂直な方向の空気通路断面積が一定または狭まる複数のベーンを有する通常のスワーラとしてもよい。
【0029】
図2のパイロット燃料流路22は、内側筒状体12に形成されて、中心ノズル20と外側空気流路24との間に位置しており、第1燃料供給系統F1からの燃料をその下流端に形成されたパイロット燃料噴射部22aから中心ノズル側に噴射させる。パイロット燃料噴射部22aは燃料を環状の膜状に噴射する環状の開口を持つプレフィルマ型である。内側筒状体12におけるパイロット燃料流路22よりも外周部分16と外側円筒状体14は、下流部16b、14bが下流へ向かって先細りの形状となっており、これにより、パイロット燃料流路22および外側空気流路24が前記下流部16b、14bで内側空気流路20に向かって径方向内側に偏向している。内側筒状体12の外周部分16および外側円筒状体14のそれぞれの下流端16a、14aは中心ノズル20の出口付近の下流側に位置している。すなわち、パイロット燃料流路22の下流端であるパイロット燃料噴射部22aと外側空気流路24の出口端24aが中心ノズル20の出口20a付近に臨んでいる。
【0030】
インナシュラウド(隔壁)15における外側スワーラ32よりも下流部の内周面によってパイロット外周ノズル18が形成されている。このパイロット外周ノズル18は、その出口端18aの近傍に設けられて下流に向かって拡径するパイロットフレア部18bと、このパイロットフレア部18bの上流側に設けられて下流に向かって縮径するパイロット縮径部18cとを有している。すなわち、パイロットフレア部18bとパイロット縮径部18cとの境界である絞り部18dで、パイロット外周ノズル18の内径が最小となる。このように、パイロット外周ノズル18は、下流に向かって一旦絞られた後、末広がりとなる形状をしている。パイロットフレア部18bは軸心C1の方向に対して傾斜角度θ1で傾斜している。本実施形態では、傾斜角度θ1は20°であり、15〜30°が好ましい。この範囲であれば、後述する第1燃焼領域であるパイロット燃焼領域A1を径方向外方に適切に広げて高い燃焼効率を維持できる。
【0031】
内側筒状体12の外周部分16の下流端16aと外側円筒状体14の下流端部14aは、パイロット外周ノズル18の絞り部18dよりも若干上流側の位置に設けられている。上述のように、外側円筒状体14の下流部14bは下流へ向かって先細りの形状となっているが、この先細り形状に合致するように、パイロット外周ノズル18が、下流に向かって一旦絞られたパイロット縮径部18cを有している。これにより、追加空気流路26の通路面積が外側円筒状体14の下流部14bの径方向外側で急激に大きくならないので、外側円筒状体14の外周面での空気流の剥離が抑制され、外側円筒状体14の外周面が燃焼室4内の燃焼ガスによって焼損するのを防止できる。
【0032】
パイロット噴射弁6を通過した空気は、中心ノズル20を通過する空気ジェットを除いて、旋回により外周側へと拡散する。燃料噴射装置2の出口直後の空気流では、主にメイン噴射弁8から出る空気の強い旋回のため、軸心C1付近が負圧になり、半径方向内向きの圧力勾配と外向きの遠心力がつりあう。しかし、メイン噴射弁8から出た強い旋回空気流は、下流に流れるに従って拡大し、減衰して旋回が弱くなるため、軸心C1付近の圧力は下流に行くに従って次第に回復する。よって、燃料噴射装置2下流の中心軸C1上では、下流の方が上流より圧力が高い逆圧力勾配が生じ、中心軸C1上で下流から上流へと逆流する再循環領域X(
図1)が形成される。
【0033】
一方、パイロット燃料噴射部22aは中心ノズル20内を通過する空気中に燃料Fを噴射する。中心ノズル20から出る空気ジェットは、軸方向下流に向かってほぼ直進し、再循環領域X内で周囲の空気と混合して消滅する。それに伴って、噴霧状の燃料は再循環領域Xの中心部に到達し、再循環領域X内で気化して燃焼し、パイロット燃焼領域A1を形成する。中心ノズル20を出た空気ジェットの運動量が大きい場合には、その空気ジェットが再循環領域X内に突入して消滅する過程で、再循環領域Xに凹部Xaが形成される場合がある。
【0034】
パイロット噴射弁6を通過した空気は、パイロットフレア部18bに沿って旋回しながら径方向外方に広がる。これにより、パイロット噴射弁6からの空気による再循環領域X(
図1)を、径方向外方へ適度に広げることができる。パイロット噴射弁6から、この適度に広がった再循環領域Xに燃料を噴射して、パイロット燃焼領域A1(
図6)が形成されるので、低出力時においても、高い燃焼効率が維持される。
【0035】
図2に戻って、パイロット噴射弁6の外周に嵌め込まれたメイン噴射弁8について説明する。このメイン噴射弁8は、インナシュラウド15の径方向外方で同軸状に配置されてステム部27と一体に形成されたリング部34と、このリング部34の軸方向下流側に配置されたアウタシュラウド36とを有している。インナシュラウド15とリング部34との間には、空気を燃料噴射装置2の軸方向の主成分を持つ流速で取り入れる、すなわち軸心C1を含む
図2の縦断面における流速の軸方向成分が径方向成分よりも大きい状態で取り入れる流入路である環状の第1空気流路38が形成され、リング部34とアウタシュラウド36との間には、空気を燃料噴射装置2の径方向の主成分を持つ流速で取り入れる、すなわち軸心C1を含む
図2の縦断面における流速の径方向成分が軸方向成分よりも大きい状態で取り入れる流入路である環状の第2空気流路42が形成されている。すなわち、リング部34の下流端面が第2空気流路42の一側壁を形成し、アウタシュラウド36の内周面37の上流部が第2空気流路42の他側壁を形成している。第1空気流路38と第2空気流路42の間は、リング部34によって区画されている。
【0036】
第1空気流路38は、後述するメイン内側スワーラ46の入口からリング部34の内周後端縁34aまで延びており、第2空気流路42は、後述するメイン外側スワーラ48の入口からリング部34の内周後端縁34aまで延びている。また、第1空気流路38と第2空気流路42の下流には、それら2つの流路から流入する流れが合流する予混合室58が、アウタシュラウド36とインナシュラウド15の間に形成されている。メイン通路56は、上記の第1空気流路38、第2空気流路42、および、予混合室58の3つの部分により構成されている。
【0037】
第1空気流路38と第2空気流路42を区画するリング部34の内部には、第2燃料供給系統F2につながる環状のメイン燃料噴射部40が形成されている。メイン噴射弁8には、低出力時には燃料が供給されず、中間出力および高出力時にのみ第2燃料供給系統F2から燃料が供給される。メイン燃料噴射部40は第2空気流路42のみに燃料を噴射する。噴射された燃料は、メイン外側スワーラ48からの空気流およびメイン内側スワーラ46からの空気流と予混合室58で混合して予混合気となり、燃焼室4内に供給されて燃焼することにより、
図6に示す予混合燃焼領域A2が形成される。
【0038】
図7に示すように、メイン噴射弁8に燃料が供給されない低出力時には、スワーラ46、48を通過したメイン空気流Eは予混合室58を通って燃焼室4に供給される。
【0039】
図2に示すアウタシュラウド36の内周面37の下流部はメイン噴射弁8のメイン出口フレア43を形成している。メイン出口フレア43は、径方向内方に最も膨出した、上流端である基端部43aから下流端である出口端43bに向かって末広がりとなっている。つまり、メイン噴射弁8の空気流路であるメイン通路56の外周面が、その出口端に向かって末広がりとなっている。メイン出口フレア43の出口端43b付近は軸心C1に対して傾斜角度θ2で傾斜している。これにより、
図7に示すように、メイン空気流Eを径方向外側へ広げて、低出力時にその内側のパイロット燃焼領域A1と大きく干渉するのを防止している。
図2に示すメイン出口フレア43の傾斜角度θ2は約35°であり、20〜50°が好ましい。この範囲であれば、パイロット燃焼領域A1との干渉を抑制しながら、再循環流域Xを径方向外方に十分に広げて保炎性を向上させることができる。
【0040】
図5に明示するように、第2空気流路42は下流に進むにつれて燃焼室4に向かうように滑らかに湾曲し、第2空気流路42の出口を出た空気CA2と第1空気流路38の出口を出た空気CA1とは、予混合室58の合流点Jにおいて交差角αで合流している。交差角αは、第1空気流路38の出口を出た空気CA1と第2空気流路42の出口を出た空気CA2の合流時に大きな空気流の乱れを発生させるために、40〜80°の範囲が好ましい。
【0041】
メイン燃料噴射部40には、第2空気流路42における第1空気流路38との合流点Jよりも上流側に、軸方向の上流側(
図5の左側)から下流側(
図5の右側)に向けて第2空気流路42内に燃料を噴射する複数のメイン燃料噴射孔44が、周方向に等間隔に配置されている。メイン燃料噴射孔44は不等間隔であってもよい。メイン燃料噴射孔44は、第2空気流路42の軸方向上流側の壁面に開口しており、プレーンジェット方式で燃料を噴射し、好ましくは周方向に5個以上設けられる。メイン燃料噴射孔44付近では、第2空気流路42の空気の流れと、メイン燃料噴射孔44から噴射される燃料の流れとのなす角度βがほぼ90°となっている。角度βは、空気流による燃料の微粒化を促進するために、70〜90°であることが好ましい。
【0042】
第2空気流路42内の空気流CA2に向かってメイン燃料噴射孔44から燃料を噴射して生成された空気/燃料混合気は、第1空気流路38内を軸方向に向かって流れる空気CA1に合流するが、角度をもって合流する際の空気乱れにより空気と燃料との混合がさらに促進される。合流後の空気/燃料混合気は、予混合室58でさらに混合の後、燃焼室4へ噴霧される。
【0043】
ここで、第1空気流路38を流れる空気CA1の流量Q1と、第2空気流路42を流れる空気CA2の流量Q2の比Q1/Q2は、3/7〜7/3が好ましい。流量比がこの範囲を超えて偏ると、燃料と空気が混合しにくくなり、NOxが十分に抑制できない可能性があるうえ、高温高圧状態での逆火や自己着火による壁面の損傷の可能性が高まる。
【0044】
第1空気流路38の入口には、第1旋回手段である前記メイン内側スワーラ46が装着され、第2空気流路42には、第2旋回手段である前記メイン外側スワーラ48が装着されている。メイン外側スワーラ48は、メイン噴射弁8の軸方向に並ぶスワール部である第1スワーラ50および第2スワーラ52により形成されている。メイン燃料噴射孔44に近い第1スワーラ50は、それを通過した空気が、概ね半径方向内側へ単純に直進するように旋回羽根が設定され、メイン燃料噴射孔44から遠い第2スワーラ52は、それを通過した空気に軸心回りの旋回を与えるよう旋回羽根が設定されている。
【0045】
メイン燃料噴射孔44から出る燃料流量が少なく、噴射孔での燃料の運動量が小さい中間出力では、噴射した燃料の大半は、噴射孔44から近い第1スワーラ50を通過した径方向内向きの流れ内にしか到達せず、第2スワーラ52の旋回によって径方向に拡散されることなく、径方向内側へ向かい、メイン流路56の径方向内側に偏った燃料と空気の混合気を形成する。
【0046】
一方、メイン燃料噴射孔44から出る燃料流量が多く、噴射孔での燃料の運動量が大きい高出力の時には、噴射された燃料の一部は、中間出力時と同様に径方向内向きの空気流と共に径方向内側へ向かうが、残りの燃料は、第2スワーラ52を通過する旋回流に達し、その旋回流と共に半径方向外側へ向かう混合気を形成する。その結果、高出力時には、メイン通路56全体にわたって均一な混合気が形成される。
【0047】
メイン外側スワーラ48は、単一のスワーラであってもよく、その場合、その固定羽根における最もメイン燃料噴射孔44に近い部分を通過する空気は、概ね半径方向内側に直進し、メイン燃料噴射孔44から離れるに従って旋回成分が強くなるようにねじられた形状の旋回羽根を用いる。なお、第1スワーラ50または第2スワーラ52はそれぞれ、軸方向に並ぶ複数のスワーラを含むスワーラ群によって形成してもよい。
【0048】
図2に示す第1空気流路38の内周面54の出口端54aの近傍には、下流に向かって拡径するメイン内側フレア部54bが形成され、このメイン内側フレア部54bの上流側には、下流に向かって縮径するメイン内側縮径部54cが形成されている。第1空気流路38の内周面54の出口端54aは、メイン噴射ノズル43の基端部43aよりも若干下流側に位置している。
【0049】
図7に示すように、インナシュラウド15の内周面の出口端18aから下流方向へ延長した仮想延長内周面VP1と、インナシュラウド15の外周面を出口端54aから下流方向へ延長した仮想延長外周面VP2とが、下流方向に向かって末広がりとなっている。仮想延長内周面VP1と仮想延長外周面VP2とは互いに平行であってもよく、言い換えれば、両面VP1、VP2が、パイロット外周ノズル18よりも下流で交わらなければよい。
【0050】
インナシュラウド15の出口端面15aの径方向の厚さは薄く設定されている。
図8に示すように、インナシュラウド15の出口端面15aの径方向幅Tである、インナシュラウド15の内周面の出口端18aと外周面の出口端54aとの距離Tと、パイロット外周ノズル18の出口端18aの内径Dpとの比T/Dpは、0.02〜0.12の範囲であることが好ましい。この比T/Dpが0.02未満であると、
図7のメイン空気流Eとパイロット燃焼領域A1とが接近しすぎて干渉が強くなり、低出力時におけるパイロット噴射弁6の燃焼効率や着火性・保炎性が低下する。反対に、0.15を超えると、
図6のパイロット燃焼領域A1と第2燃焼領域である予混合燃焼領域A2とが径方向に大きく離れて、中間出力時におけるメイン噴射弁8のパイロット火炎からの保炎効果が弱まり、燃焼効率が低下する。
【0051】
図8のパイロット外周ノズル18の出口端18aは、メイン出口フレア43の出口端43bよりも上流側に位置している。具体的には、両出口端18a、43bの軸方向距離Wと、メイン出口フレア43の出口端43bの内径Dmとの比W/Dmは0.25以下が好ましく、0.1〜0.25の範囲であればさらに好ましい。この比W/Dmが0.1未満の時には、パイロット火炎からの保炎効果が弱まり、燃焼効率の向上効果が若干減少する。ただし、燃焼効率が十分高い場合は、パイロット外周ノズル18の出口端18aとメイン出口フレア43の出口端43bをそろえることもできる。また、比W/Dmを0.25より大きくしても、上記保炎効果の向上は限定的である。
【0052】
上記構成において、ガスタービンの低出力時には、
図2の第1燃料供給系統F1から燃料噴射装置2の内側のパイロット噴射弁6にのみ燃料が供給される。パイロット噴射弁6を通過した空気は、中心ノズル20を通過した空気を除いて、旋回により外周側へと拡散する。パイロット燃料噴射部22aは中心ノズル20内の空気中に燃料Fを噴射する。中心ノズル20を出た空気ジェットは、軸方向下流に向かってほぼ直進し、再循環領域X内で周囲の空気と混合して消滅する。それに伴って、大半の噴霧状の燃料は、再循環領域Xの中心部に到達し、再循環領域X内で気化して燃焼する。このように、燃料Fの外周側への拡散によるメイン空気流との干渉が抑制されるので、低出力時におけるパイロット噴射弁6の燃焼効率、および、着火性・保炎性を向上させることができる。
【0053】
また、
図7に示すインナシュラウド15の内周面の出口端18aから下流方向への仮想延長内周面VP1と、インナシュラウド15外周面の出口端54aから下流方向への仮想延長外周面VP2とが、下流方向に向かって末広がりとなっているので、メイン空気流Eがパイロット燃焼領域A1に干渉するのを抑制でき、低出力時におけるパイロット噴射弁6の着火性・保炎性および燃焼効率がさらに改善される。
【0054】
内側スワーラ30の径方向外側に配置された外側スワーラ32は、下流側に向かうにつれて空気通路が広くなるディフューザベーン32a(
図4)で構成されている。上記のとおり、パイロット燃料噴射弁6の軸心C1付近に中心ノズル20を設置すると、中心ノズル20を出た空気ジェットの運動量が大きい場合には、再循環領域Xが、
図8に示すように、中心軸C1付近が下流側へ凹んだ形状となり、パイロット噴射弁6の燃焼効率、および、着火性・保炎性を低下させる場合がある。そのような場合にも、内側スワーラ30の径方向外側に、ディフューザ型の外側スワーラ32が設置されていれば、外側スワーラ32出口における空気速度が通常のスワーラより遅くなるので、再循環領域が、破線X1で示すように、外側スワーラ32の出口付近で上流側に拡大し、パイロット噴射弁6の火炎が安定するから、パイロット噴射弁6の燃焼効率および着火性・保炎性の低下を防ぐことができる。
【0055】
さらに、
図7のパイロット噴射弁6の内側スワーラ30よりも強い旋回速度成分を付与する外側スワーラ32の旋回流Sにより、逆流域を径方向外方に適度に広げることができる。
【0056】
パイロット燃料噴射部22は、燃料を環状の膜状に噴射するプレフィルマ型であるので、燃料に対する空気のせん断面積が大きくなり、燃料の微粒化が促進され、その結果、低出力時における低NOx化を実現できる。
【0057】
中間出力および高出力時には、パイロット噴射弁6とメイン噴射弁8の両方に燃料が供給される。
図5に示すように、メイン噴射弁8では、第2空気流路42に燃料Fが噴射されて径方向の主成分を持つ空気CA2と燃料Fが混合された後に、この空気/燃料混合気M1が、予混合室58で第1空気流路38を流れる軸方向の主成分を持つ空気CA1と角度を持って向かう形で合流して、さらに燃料と空気の混合が促進されるから、比較的短い距離で空気と燃料とが十分混合され、低NOx化できる。また、燃料は第2空気流路42にのみ噴射されるので、燃料流路やその冷却構造を簡略化できる。
【0058】
図2のメイン燃料噴射部40は、第1空気流路38と第2空気流路42とを区画する部分Kから第2空気流路に向かって燃料Fを噴射しているので、メイン燃料の燃料噴射時の運動量が小さい中間出力では、その運動量が大きい高出力の場合と比べて、噴射した燃料が噴射孔44から近い所までしか到達せず、第2空気流路42の空気流中のメイン燃料噴射部40に近い位置に主に噴射される。そのため、第2空気流路42の流れが第1空気流路38の流れと合流することで軸方向に転向して燃焼室4に噴射される際には、燃料噴霧が、高出力時と比べて径方向内側に偏る。つまり、中間出力時には、高出力時よりも、メイン燃料噴霧が燃焼状態の安定している
図6のパイロット燃焼領域A1により近づく結果、燃焼時にパイロット燃焼領域A1の火炎による保炎効果を受け易くなり、燃焼効率が向上する。また、第1空気流路38と第2空気流路42とを区画する部分Kは、一般に空間を広く確保できる場合が多いので、コーキング防止用の冷却構造のような、メイン燃料噴射部40内の構造の空間的な配置が容易になる。
【0059】
第1空気流路38の入口にはメイン内側スワーラ46が、第2空気流路42の入口にはメイン外側スワーラ48がそれぞれ装着されている。メイン外側スワーラ48のうち、メイン燃料噴射孔44に近い第1スワーラ50により、
図9に示すように、第2空気流路におけるメイン燃料噴射孔44の近傍には、空気流が概ね半径方向内側へ直進する領域Mが形成される一方、メイン燃料噴射孔44から離れた位置には、第2スワーラ52によって径方向外側に向かう旋回領域が形成される。燃料流量が少なく燃料噴射速度が遅い中間出力時には、メイン燃料噴射孔44から噴射された燃料Fの大部分は、第2スワーラ52による強い旋回流にまで達することなく、第1スワーラ50による半径方向内側に直進する流れ内に留まって半径方向内側へ向かうので、メイン通路56の内側に偏った混合気Y1が形成される。その結果、パイロット燃焼領域A1(
図6)に近い位置に比較的濃い混合気Y1が噴出され、パイロット燃焼領域A1による保炎効果によって中間出力時の燃焼効率がさらに向上する。
【0060】
燃料流量が多く燃料噴射速度が速い高出力時には、
図10に示すように、メイン燃料噴射孔44から噴射された燃料Fの一部は、第1スワーラ50による半径方向内側に直進する流れ内に留まって半径方向内側へ向かう混合気Y1を形成する。一方、残りの燃料は第2スワーラ52から出た旋回流に乗って半径方向外側へ向かう混合気Y2を形成する。その結果、高出力時には、メイン空気通路56全体にわたって均一な混合気Y2が形成され、低NOx化できる。このように、簡単な構造により、出力条件に適した燃料分布が実現され、所望の性能を得ることができる。
【0061】
図6に示すように、パイロット外周ノズル18の出口端18aが、メイン出口フレア43の出口端43bよりも上流側に位置しているので、パイロット外周ノズル18の出口付近で早期に、メイン通路56の予混合気M2が、パイロット燃焼領域A1に触れるので、中間出力時の燃焼効率がさらに向上する。
【0062】
図8に示すように、パイロット外周ノズル18の出口端18aおよびメイン出口フレア43の出口端43bとの軸方向距離Wと、メイン出口フレア43の出口端43bの内径Dmとの比W/Dmを0.25以下とすれば、パイロット外周ノズル18の出口端18a付近という早いタイミングで、メインの予混合気が、パイロット燃焼領域A1(
図6)に触れるため、中間出力時のパイロット火炎によるメイン噴射弁8の保炎効果が大きくなり、燃焼効率がさらに向上する。
【0063】
パイロット噴射弁6とメイン噴射弁8との間を区画する環状のインナシュラウド15の出口端面15aの径方向幅Tと、パイロット外周ノズル18の出口端18aの内径Dpとの比T/Dpが0.02〜0.15であるから、メイン予混合気が、パイロット外周ノズル18の出口端18aの下流近傍という早いタイミングで、パイロット燃焼領域に触れるので、中間出力時の燃焼効率をさらに向上させることができる。
【0064】
図6に示すように、メイン噴射弁8の第1空気流路38の内径面54は、内側縮径部54cで一旦パイロット噴射弁6に近づけた後、出口端54aの近傍の内側フレア部54bで末広がり形状とすることで、パイロット外周ノズル18の出口端18aの下流近傍では、パイロット燃焼領域A1にメイン噴射弁8の予混合気が触れやすくなって、中間出力時における燃焼効率を高く維持できる。一方、低出力時にはメイン噴射弁8の第1空気流路38の内径面54の出口端54aよりも下流では、末広がりの内側フレア部54bによって、メイン噴射弁8を通過した空気を径方向外方へ十分拡散させ、パイロット噴射弁6のパイロット燃焼領域A1との干渉を抑制して、低出力での高い燃焼効率を維持できる。
【0065】
さらに、メイン噴射弁8のメイン出口フレア43は、その出口端に向かって末広がりの形状であるから、メイン噴射弁8からの空気が径方向外方に広がるので、パイロット噴射弁6からの空気との干渉を避けながら、再循環領域Xを径方向外方に適度に広げることができるので、低出力時においても高い燃焼効率が得られる。
【0066】
また、第1空気流路38を流れる空気の流量Q1と、第2空気流路42を流れる空気の流量Q2の比Q1/Q2が、3/7〜7/3の範囲内であるから、流量比が偏ることがなくなる結果、局所的に燃料の濃度が濃くなることがない。このため、燃焼時の火炎温度を低く抑えられて、NOxの発生を抑制できる上に、高温高圧状態での逆火や自己着火による壁面の損傷も避けることができる。
【0067】
上記実施形態では、
図2に示したパイロット燃料噴射部22aは燃料を環状の膜状に噴射するプレフィルマ型であったが、これに限定されず、例えば
図11に示すようにプレーンジェット方式のパイロット燃料噴射部22bとしてもよい。このパイロット燃料噴射部22bでは、径方向内側に向けて燃料Fを噴射する小孔が、周方向に等間隔で複数設けられており、これによって、周方向の複数個所から径方向に向けて燃料Fが中心ノズル20内に供給される。
【0068】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。