(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エネルギーを使用する使用機器、及び/又は設備を有した建物におけるエネルギー使用状況の合理性を判定するアプリケーションプログラムを実行するエネルギー管理支援装置において、
前記建物のエネルギーフローにおける少なくとも供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性の判定のために用いるべき管理データの集合である管理データ群を定義した管理データ群情報を記憶する手段と、
管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備と、前記管理データ群情報の定義とに基づいて、当該管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性の判定に用いる管理データが設定される手段と、
前記管理対象の建物に設けられた計測ポイントから前記管理データの定量化に設定された計測データの計測値が入力される手段と、を備え、
前記アプリケーションプログラムは、
前記管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備に基づいてエネルギー使用状況が合理的であるとする基準値が前記管理データごとに設定され、
前記管理対象の建物のエネルギーフローにおける少なくとも前記供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性を、前記管理データの前記計測データの計測値と、当該管理データの基準値とに基づいて判定し、
これらの判定結果に基づく前記管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性を判定し、
前記基準値は、
前記管理対象の建物の前記使用機器、及び/又は前記設備の構成と、当該管理対象の建物の規模、および用途とに基づいて設定されている、
ことを特徴とするエネルギー管理支援装置。
前記計測ポイントは、前記管理対象の建物に既設のエネルギー管理システムが備える複数のポイントであり、これらの計測ポイントから入力される計測データの中から前記管理データの前記計測データを前記アプリケーションプログラムに引き渡す手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2記載の方法を用いて建物のエネルギー管理を行う場合、建物の規模や用途、建物に備えられたエネルギー使用機器等の構成に基づいて、上述のエネルギーの供給量等に関するデータ等の管理データを選定する必要がある。しかしながら、建物の規模や用途、建物に備えられたエネルギー使用機器等は、建物によって千差万別である。このため、管理データを適切に選定する作業は専門家の高度な知識と経験を要し、ユーザがこの様な管理データを選定するのは困難であった。また、選定された管理データに対応する計測データをそれぞれ所定の計測頻度で確実に計測を行うには、管理の手間を要する。また、現在、エネルギー管理に利用することのできるソフトウェアが一部開発されている。しかしながら、建物に導入されているビル管理システム(上記BEMS)によって、そのビル管理システムが取得している計測データの種類は異なり、また、計測データを記録管理するための各計測データの項目名、各計測データの分類、項目の配列、各計測データの単位等も異なっている。また、ビル管理システムが取得する計測データ群の中には、エネルギー管理に不要なデータも多く含まれる一方、エネルギー管理に必要なデータが不足している場合もある。このため、ユーザがソフトウェアを利用するには、まず、必要な管理データを整備する必要があった。整備作業では、まず、既存のビル管理システム等により取得された大量の計測データ群の中から必要なデータを抽出し、必要な形態に計算加工する必要がある。また、不足しているデータを取得する必要もある。以上の様に、建物のエネルギー使用を合理的に管理するためには、専門家の支援を仰ぐ必要があり、管理データの選定作業や計測管理、管理データの整備作業等、エネルギー管理に係る作業も煩雑であるため、エネルギー管理の運用を非効率なものとしていた。一方、効率よく運用を行うには、各建物のビル管理システムや計測データの管理状況に応じてソフトウェアを個別に設計する必要があり、コストを要するものとなっていた。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがエネルギー使用の合理性を効率よく管理することができるとともに、エネルギー管理の導入及び/又は運用を容易にし、これによりエネルギー管理の導入を推進することのできるエネルギー管理支援装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、エネルギーを使用する使用機器、及び/又は設備を有した建物におけるエネルギー使用状況の合理性を判定するアプリケーションプログラムを実行するエネルギー管理支援装置において、
前記建物のエネルギーフローにおける少なくとも供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性の判定のために用いるべき管理データの集合である管理データ群を定義した管理データ群情報を記憶する手段と、管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備と、前記管理データ群情報の定義とに基づいて、当該管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性の判定に用いる管理データが設定される手段と、前記管理対象の建物に設けられた計測ポイントから前記管理データ
の定量化に設定された計測データ
の計測値が入力される手段と、を備え、前記アプリケーションプログラムは、前記管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備に基づいてエネルギー使用状況が合理的であるとする基準値が前記管理データごとに設定され、
前記管理対象の建物のエネルギーフローにおける少なくとも前記供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性を、
前記管理データ
の前記計測データ
の計測値と、当該管理データの基準値とに基づいて判定
し、これらの判定結果に基づく前記管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性を判定し、前記基準値は、前記管理対象の建物の前記使用機器、及び/又は前記設備の構成と、当該管理対象の建物の規模、および用途とに基づいて設定されている、ことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、前記計測ポイントは、前記管理対象の建物に既設のエネルギー管理システムが備える複数のポイントであり、これらの計測ポイントから入力される計測データの中から前記管理データの
前記計測データを前記アプリケーションプログラムに引き渡す手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、前記管理データ群情報には、前記管理データのデータフォーマットが規定され、前記管理データに設定された計測データを、前記管理データ群情報に規定された前記データフォーマットに変換して前記アプリケーションプログラムに引き渡すことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、前記管理データ群情報には、建物のライフサイクルの段階ごとに、
前記エネルギーフロー
における管理項目が定義され、前記管理項目のそれぞれには、当該管理項目の評価に使用すべきパラ−メタが前記管理データとして定義され、前記アプリケーションプログラムは、前記エネルギー使用状況の合理性を、前記ライフサイクル
ごとに判定することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、前記管理データ群情報の前記管理項目には、前記建物が備える使用機器、及び/又は設備ごとにエネルギー使用状況の合理性を
判定するための管理種別が定義され、前記管理種別には、当該管理種別の評価に使用すべきパラ−メタが前記管理データとして定義され、前記アプリケーションプログラムは、前記エネルギー使用状況の合理性を、前記管理種別ごとに判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、前記管理データ群情報の前記管理種別には、前記管理種別
の定量化に必要な管理データを規定した直接管理項目と、前記直接管理項目に規定された管理データの
定量化に必要なパラメータ、及び考慮すべきパラメータ
を規定した間接管理項目と、が定義されていることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、
前記管理対象の建物のエネルギーフローにおける少なくとも前記供給、変換、及び需要の各々についてのエネルギー使用状況の合理性の判定結果に基づいて、
前記管理対象の建物のエネルギー使用状況が合理性を有するように、前記管理対象の建物が備える使用機器、及び/又は設備を制御する手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記エネルギー管理支援装置において、管理対象の建物に対して設定された管理指針に基づいて前記管理データの
前記計測データの計測を要求する手段と、前記管理指針に基づいて、前記管理対象の建物が備える使用機器、及び/又は設備の保守時期を報知する手段と、前記管理指針に基づいて、前記管理対象の建物が備える使用機器、及び/又は設備の新設又は改修を報知する手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、エネルギーを使用する使用機器、及び/又は設備を有した建物におけるエネルギー使用状況の合理性を判定するアプリケーションプログラムを実行するコンピューターを、
前記建物のエネルギーフローにおける少なくとも供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性の判定のために用いるべき管理データの集合である管理データ群を定義した管理データ群情報を記憶する手段、管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備と、前記管理データ群情報の定義とに基づいて、当該管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性の判定に用いる管理データが設定される手段、前記管理対象の建物に設けられた計測ポイントから前記管理データ
の定量化に設定された計測データ
の計測値が入力される手段、前記アプリケーションプログラムに、前記管理対象の建物が有する前記使用機器、及び/又は前記設備に基づいてエネルギー使用状況が合理的であるとする基準値が前記管理データごとに設定され、
前記建物のエネルギーフローにおける少なくとも前記供給、変換、及び需要の各々についてエネルギー使用状況の合理性を、前記管理データ
の前記計測データ
の計測値と、当該管理データの基準値とに基づいて判定し
、これらの判定結果に基づく前記管理対象の建物のエネルギー使用状況の合理性を判定させる手段として機能させ
、前記基準値は、前記管理対象の建物の前記使用機器、及び/又は前記設備の構成と、当該管理対象の建物の規模、および用途とに基づいて設定されている、ことを特徴とするプログラム。
【0016】
また本発明は、上記プログラムにおいて、前記コンピューターを、
前記管理対象の建物のエネルギーフローにおける少なくとも前記供給、変換、及び需要の各々についてのエネルギー使用状況の合理性の判定結果に基づいて、
前記管理対象の建物のエネルギー使用状況が合理性を有するように、前記管理対象の建物が備える使用機器、及び/又は設備を制御する手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザがエネルギー使用の合理性を効率よく管理することができるとともに、エネルギー管理の導入及び/又は運用を容易にし、これによりエネルギー管理の導入を推進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。<第1実施形態>
図1に示すエネルギー管理支援システム100は、エネルギーを使用する工場や事業場、商業ビル等(以下、「建物」という。)において、エネルギーを使用する事業者等(以下、「ユーザ」という。)がエネルギー管理に関する所定の管理指針を設定する際の支援をし、また、この管理指針に基づくエネルギー管理の実施を支援するための各種のサービスをユーザに提供するシステムである。ここで、上記管理指針はユーザが建物におけるエネルギー管理を行う際に管理すべき事項を示すもので、建物におけるエネルギー使用の合理化を図り、また省エネルギー化を達するために管理すべき重要事項を規定したマニュアルといえる。本実施の形態において、管理指針は、エネルギー使用の合理化に関する日本の法律(以下、「省エネ法」という。)に基づいて定められた判断基準に従い、管理標準の思想に基づいて「管理」、「計測・記録」、「保守・点検」、「新設/改修時の措置」に関する事項が盛り込まれるものとする。
【0020】
次に、エネルギー管理支援システム100の構成を説明する。
図1に示す様に、エネルギー管理支援システム100は、上記エネルギー管理支援装置1を備え、エネルギー管理支援装置1は、エネルギー管理支援OS部2と、アプリケーション部3とを有する。また、エネルギー管理支援システム100は、キーボード等により構成されユーザからの各種情報入力が行われる入力装置4と、液晶ディスプレイ等により構成され各種表示を行う表示装置5と、建物に設定された各種の計測ポイントからエネルギー管理に関連する計測データを取得する計測システム6と、各種のエネルギー使用機器に設けられ、これらエネルギー使用機器でのエネルギー使用に関する情報をモニタリングするモニタリング機器8と、各種のエネルギー管理に関連する計測データを入力するための計測データ入力部7とを供え、これらはエネルギー管理支援装置1に接続されている。また、ユーザが備える熱源機器を制御するための熱源機器制御装置(図示略)に対して、最適運転を行うように制御する最適運転コントローラ9が接続されている。計測システム6、モニタリング機器8及び計測データ入力部7は、それぞれが単独で計測データ入力手段を構成し、エネルギー管理支援システム100は、少なくとも1つ以上を備えればよい。また上記計測システム6には既設のBEMSを利用することができる。
【0021】
図1に示すエネルギー管理支援装置1の機能的構成は、ハードウェア資源としてのコンピュータシステムと、ソフトウェア資源としての各種のプログラム等との協動により実現される。具体的には、コンピュータシステムにCD−ROM等の記録媒体に記録された、本発明に係るエネルギー管理支援用のプログラムや、エネルギー管理に利用することのできる各種のアプリケーションプログラム(ソフトウェア)を読み込ませることで、ハードディスクドライブにこれらのプログラムがインストールされる。そして、コンピュータシステムにこれらのプログラムを実行させることで、
図2に示すエネルギー管理支援OS部2や、アプリケーション部3の各機能が実現される。
【0022】
まず、エネルギー管理支援OS部2の説明に先立って、アプリケーション部3について説明する。アプリケーション部3は、エネルギー管理支援OS部2の制御の下で動作する。
図1に示す例では、アプリケーション部3は、エネルギー合理性判定部31と、法対応書類作成部32と、エネルギー需要解析部33と、省エネ対策指針作成部34と、最適運転指針作成部35と、最適設計処理部36と、機器台帳作成部37とを備えている。これらは、コンピュータシステムに読み込ませた各アプリケーションプログラムに対応している。また、エネルギー合理性判定部31、法対応書類作成部32、エネルギー需要解析部33、省エネ対策指針作成部34は、それぞれが任意の管理データを利用するのではなく、後述するデータ管理部22の管理データ群情報で定義されている管理データ群のうち任意の管理データ群を利用して処理するように設計されている。換言すれば、管理データ群情報で定義されている管理データ群を利用するようにアプリケーションプログラムを設計することで、係る管理データ群の計測データはエネルギー管理支援OS部2から取得できることから、これらの計測データを例えば既設のBEMS等から取得するインターフェースを組み込む必要がなくアプリケーションプログラム開発が容易となる。更に、エネルギー管理に推奨する管理データ群が予め管理データ群情報により定義されているため、アプリケーションプログラム提供者は、アプリエーションプログラムの設計が容易となる。
【0023】
エネルギー合理性判定部31は、ユーザのエネルギー管理の対象とする建物のエネルギー使用状態や設備機器の稼動状態をグラフ等により可視化し、エネルギー使用の合理性を判定する処理等を行う機能を有する。また、エネルギー消費に密接に影響する変数の選択や、エネルギー消費原単位を外気温度等の影響因子を考慮して評価する処理等を行う機能を有する。
【0024】
法対応書類作成部32は、ユーザが定義したエネルギー管理の対象(例えばエネルギーの管理指針に組み込んだ管理の対象)に応じて、省エネ法で要求される管理標準を自動的に作成したり、省エネ法で要求される定期報告書を作成する機能を有する。
【0025】
エネルギー需要解析部33は、エネルギー管理の対象とする建物の年間エネルギー需要を予測したり、需要の属性ごとに類型化し、年間のエネルギー消費シミュレーションや熱源システムの最適運用方法の解析、設計、運用解析等の基本データとして用いるためのデータを生成する機能を有する。このエネルギー需要解析部33により生成されたエネルギー需要解析データは、最適運転指針作成部35、最適設計処理部36において利用される。
【0026】
省エネ対策指針作成部34は、エネルギー管理を導入することによる省エネ対策の実施効果、概算費用、削減量算定等の費用対効果に関する情報をユーザに提示する機能を有する。最適運転指針作成部35は、例えば熱源設備のエネルギー消費量や二酸化炭素ガス排出量を最小に近づけるための運転解析シミュレーションを行い、ユーザに最適運転指針を提示する機能を有する。最適設計処理部36は、エネルギー需要解析データ等を利用して、建物の熱源設備等の最適設計を行う機能を有する。機器台帳作成部37は、エネルギー設備機器の台帳整備を行う機能を有する。但し、以上説明したアプリケーション部3が備える各機能部は一例であって、当該実施の形態に示した例に限定されるものではない。
【0027】
次に、エネルギー管理支援OS部2の構成を説明する。エネルギー管理支援OS部2は、エネルギー管理支援装置1のハードウェア、ソフトウェアの動作全体を総合的に管理、制御する機能を有する。またエネルギー管理支援OS部2は、計測システム6、モニタリング機器8及び計測データ入力部7から入力される計測データを、アプリケーション部3の各アプリケーションプログラムの要求に応じて引き渡す機能を有する。すなわち、アプリケーション部3の各アプリケーションプログラムは、建物の既設のBEMS等から直接的に計測データを取得する機能を備える必要がなく、エネルギー管理支援OS部2に要求するだけで計測データを取得し処理を実行することができる。このように各アプリケーションプログラムは、建物に既設の設備状況に影響を受けることなく処理を実行し機能を発揮できる点で、これらアプリケーションプログラムからみれば、エネルギー管理支援OS部2が所謂OS(Operating System)のように機能する。
【0028】
エネルギー管理支援OS部2が備える機能的構成として、アプリケーション用インターフェース部21と、アプリケーション部3で各種処理を実行する際に利用される管理データを管理するデータ管理部22と、管理データを格納するエネルギー管理データベース23と、予め設定された管理指針に基づいてエネルギー管理を運用する管理指針運用部24とを備えている。当該管理指針は、建物のエネルギー管理者等が入力装置4を用いて管理指針運用部24に設定される。
【0029】
アプリケーション用インターフェース部21は、エネルギー管理支援OS部2と、アプリケーション部3とを接続するための接続インターフェースである。アプリケーション部3の各アプリケーションプログラムは、アプリケーション用インターフェース部21を通じてエネルギー管理支援OS部2から管理データ(計測データ)を取得する。
【0030】
データ管理部22は、エネルギー管理において管理されるべき管理データ群を定義した管理データ群情報を記憶する管理データ群情報記憶部22bと、標準フォーマット変換部22aとを備えている。データ管理部22は、管理データ群情報記憶部22bに記憶された管理データ群情報に基づいて、管理データの入出力を管理する機能を有する。ここで、管理データ群情報において定義される管理データ群には、少なくともエネルギー使用状況の判断に要する情報を得るためのデータを含む。また、これらの管理データは、エネルギー使用状況の判断に直接的に関連するデータと、間接的に関連するデータとを含む。また、管理データ群情報は、エネルギー管理の対象の建物を任意としたときでも、各建物の適切なエネルギー管理を可能にするために管理されるべき管理データを定義したものである。すなわち、ユーザが自己の管理対象とする建物のエネルギー管理を行う際には、管理するデータを、管理データ群情報で定義されている管理データから選定することで、省エネルギー化、及び/又は、エネルギー使用状況の合理性判断のために適切なエネルギー管理を行うことができる。なお、管理データ群情報で定義した管理データ群は、それら全ての管理データを管理しなければ省エネルギー化やエネルギー使用状況の合理性判断が不可能であるというものではない。すなわち、管理データ群情報は、設備等が異なる任意の建物の適切なエネルギー管理に対応し得る最大限の管理データのセットを定義したものとである。管理データの定義は、多数の建物のエネルギー使用の合理化を達成した経験を持つ熟練度の高いエネルギー管理従事者の当該経験や知見、知識を反映して規定される。したがって、ユーザが管理指針を策定する際に、この管理データ群情報に定義された管理データ群の中から、ユーザの管理対象に応じて、管理データを選定することにより、熟練度が低いユーザでも管理対象のエネルギー使用状況を適切に把握することができ、エネルギー使用状況の判断を適切に行うことができる。
【0031】
管理データ群情報は、エネルギー管理に要するこれらの管理データの種類を定義するとともに、各管理データをエネルギー管理データベース23に記録管理(記憶)する際の各管理データの項目名、各管理データの分類、各管理データの配列、各管理データの単位、有効桁数等についても定義する。また、管理データ群情報は、エネルギー管理データを記憶装置との間で入出力する際の型式や配列、格納位置等の書式に関する情報を含めてもよい。データ管理部22は、この管理データ群情報に基づいて、アプリケーション部3と、エネルギー管理データベース23との間のエネルギー管理データの入出力の管理を行う。以下において、管理データ群情報において定義された各管理データをエネルギー管理データベース23に記録管理(記憶)する際の各管理データの項目名、各管理データの分類、各管理データの配列、各管理データの単位、有効桁数等、管理データを管理データベースに格納するために必要な情報を総称して「標準フォーマット」という。そしてアプリケーションプログラム提供者は、アプリケーション部3の各アプリケーションプログラムを、この標準フォーマットに規定された形式で管理データを利用するように設計することで、既設のBEMS等が取得する計測データの形式に捕らわれることなく所望の管理データをエネルギー管理支援OS部2から取得して利用することができる。
【0032】
データ管理部22には、上述したモニタリング機器8、計測データ入力部7が図示しないインターフェースを介して接続されており、これらから種々の計測データが入力される。また、データ管理部22には、計測システム6から後述する計測管理部25を介して種々の計測データが入力される。上記計測データ入力部7には、建物に既設のBEMSが計測した計測データを入力してもよい。データ管理部22に入力された種々の計測データは、管理データ群情報に基づいて、エネルギー管理データベース23に管理データとして格納される。このとき、データ管理部22に、標準フォーマットと異なるフォーマットで記録管理(記憶)された計測データが入力された場合、データ管理部22は、標準フォーマット変換部22aにおいて、入力された計測データのフォーマットを標準フォーマットに変換して、エネルギー管理データベース23に格納する。この様に、データ管理部22に入力された計測データは、データ管理部22により、管理データ群情報に基づいてエネルギー管理データベース23に管理データとして格納されるので、アプリケーション部3からは、エネルギー管理データベース23に格納された管理データを管理データ群情報に基づいて参照可能とすることができる。なお、標準フォーマット変換処理については後述する。
【0033】
次に、
図2〜
図7を参照して、管理データ群情報において定義される管理データ群について説明する。本実施の形態では、管理データ群情報では、建物のライフサイクルの各段階毎に、エネルギーフロー(エネルギーの流れ)に沿って管理項目を定義し、各管理項目毎に管理データを分類して定義している。管理項目は、建物のライフサイクルの各段階において、建物のエネルギー使用状況の合理性判断に用いて最適な項目であり、各管理項目には、その項目の評価値の導出に使用すべきパラメータが管理データとして定義されている。
図2に、管理データ群情報において定義される管理項目の一例を示す。
図2に示すように、本実施の形態では、建物のライフサイクルが「設計」、「運用」、「改修」の3段階に分けて定義される。段階ごとに、合理的と推定すべきエネルギー使用状況が異なるためである。各段階には、それぞれ「エネルギー供給量」、「エネルギー変換効率」、「エネルギー搬送効率」及び「エネルギー需要量」が管理項目として定義されている。
【0034】
管理項目「エネルギー供給量」に分類される管理データ群は、建物におけるエネルギー供給量を管理するためのデータを含む。具体的には、建物の設計/改修段階においてこの管理項目に分類される管理データは、エネルギー供給量という側面から、エネルギー使用状況の判断においてエネルギー供給形態を最適化するための情報を得るためのデータを含む。また、建物の運用段階において、この管理項目に分類される管理データはエネルギー供給量という側面からエネルギー使用状況の判断において、エネルギー使用の合理性判定を行う際に必要な情報を得るためのデータを含む。
【0035】
また、管理項目「エネルギー搬送効率」に分類される管理データ群は、建物のエネルギー搬送システムにおけるエネルギー搬送効率を管理するためのデータを含む。具体的には、建物の設計/改修段階においてこの管理項目に分類される管理データは、エネルギー搬送効率という側面から、エネルギー使用状況の判断においてエネルギー搬送システムの構成を最適化するための情報を得るためのデータを含む。また、建物の運用段階において、この管理項目に分類される管理データはエネルギー搬送効率という側面からエネルギー使用状況の判断において、エネルギー使用の合理性判定を行う際に必要な情報を得るためのデータを含む。
【0036】
また、管理項目「エネルギー変換効率」に分類される管理データ群は、建物のエネルギー変換システムにおけるエネルギー変換効率を管理するためのデータを含む。具体的には、建物の設計/改修段階においてこの管理項目に分類される管理データは、エネルギー変換効率という側面から、エネルギー使用状況の判断において、エネルギー変換システムの構成を最適化するための情報を得るためのデータを含む。また、建物の運用段階において、この管理項目に分類される管理データは、エネルギー変換効率という側面からエネルギー使用状況の判断において、エネルギー使用の合理性判定を行う際に必要な情報を得るためのデータを含む。
【0037】
また、管理項目「エネルギー需要量」に分類される管理データ群は、建物のエネルギー需要量を管理するためのデータを含む。建物の設計/改修段階においてこの管理項目に分類される管理データは、エネルギー使用状況の判断において建物におけるエネルギーの需要量を建物環境を維持するために必要最小限に最適化するための情報を得るためのデータを含む。また、建物の運用段階において、この管理項目に分類される管理データは、エネルギー需要という側面からエネルギー使用状況の判断において、エネルギー使用の合理性判定を行う際に必要な情報を得るためのデータを含む。
【0038】
図2に示す様に、建物のライフサイクルの各段階毎にエネルギーフローに沿って管理項目を設定し、管理データ群をこれらの管理項目に分類することで、各管理項目におけるエネルギー使用に関する最適化を図り、あるいは、エネルギー使用状況の合理性判定を可能にすることができる。従って、管理データ群情報を参照してエネルギー管理を実行すれば、建物のライフサイクルを通じて、建物のエネルギー使用の合理性を判断して合理化を推進し、エネルギー使用の最適化を図ることができる。
【0039】
以下、
図3〜
図8を参照して、各管理項目に分類される管理データ群の具体例を説明する。
図3は、建物のライフサイクルが「設計/改修」段階にあるときに各管理項目に分類される管理データ群の一例を示したものである。
図3に示す例では、管理項目「エネルギー供給量」D11の管理に要する管理データとして、「エネルギー種類」に関する管理データD11a、「エネルギー契約」に関する管理データD11b、「自然エネルギーの利用」に関する管理データD11cが定義されている。また、管理項目「エネルギー変換効率」D12を管理する際に必要な管理データとして、「高効率機器」に関するデータD12a、「高効率システム」に関するデータD12bが定義されている。
【0040】
また、管理項目「エネルギー搬送効率」D13の管理に要する管理データとして、
図3に示す例では、管理項目「エネルギー変換効率」D12と同様に、「高効率機器」に関するデータD13a、「高効率システム」に関するデータD13bが定義されている。管理項目「エネルギー需要量」D14の管理に要する管理データとして、図示例では、「需要想定」に関するデータD14a、「高効率機器」に関するデータD14b、「省エネ建築」に関するデータD14cが定義されている。建物の設計/改修段階において、以上に挙げたデータ群を管理データ群として定義し、この管理データ群情報に定義された管理データ群を参照して、各管理項目の評価値が求められる。各管理項目の評価値に基づいて、建物の設計/改修時にエネルギー供給形態の最適化を図るとともに、エネルギー使用機器、設備等の構成を最適化し、建物におけるエネルギーの需要量を建物環境を維持するために必要最小限に最適化することができ、建物の運用時におけるエネルギー使用の合理化を図ることができる。
【0041】
次に、
図4〜
図7に、建物のライフサイクルが「運用」段階における各管理項目に分類される管理データ群の一例を示す。
図4〜
図7に示す様に、建物の「運用」段階では、各管理項目において更に管理データを分類するための管理種別を設け、各管理種別においてエネルギー使用の合理性判定に要する情報を得るための管理データを分類して定義している。また、各管理種別に分類される管理データは、更に、直接管理項目と間接管理項目とに分類される。管理種別は、建物のエネルギー使用の合理性の判断に用いて最適な上記管理項目を、建物全体、或いは建物が備えるエネルギー使用設備やエネルギー使用機器ごとに判断可能に細分化したものである。直接管理項目は、管理種別の算出に必要なパラメータたる管理データを規定したものであり、間接管理項目は直接管理項目のパラメータを算出するに必要なパラメータ(ファクター)に加え、直接管理項目のパラメータ算出時に考慮すべき事が推奨されるパラメータ(ファクター)を管理データとして規定したものである。すなわち、直接管理項目に分類される管理データは、各管理種別におけるエネルギー使用の合理性判定に直接的に関連する管理データであり、また、間接管理項目に分類される管理データは、各管理種別においてエネルギー使用の合理性判定に間接的に関連する管理データである、と言える。間接管理項目の管理データには、計測システム6、モニタリング機器8及び計測データ入力部7のいずれかから入力される計測データ、或いは、建物自体で決まる所定値(例えば延べ床面積など)が用いられる。なお、間接管理項目に分類される管理データには、エネルギー使用の合理性に影響を与える個別要因に関する情報を得るための管理データおよびエネルギー使用の合理性を確保するための調整項目に関する情報を得るための管理データ等が含まれる。このように、本実施形態では、管理種別ごとに直接管理項目のみならず、当該直接管理項目の算出に用いられる間接管理項目の各管理データも併せて管理しているため、直接管理項目の数値結果に影響を与える個々のファクターの状況を把握することができ、直接項目の結果を細かく分析する際に有効に役立てることができる。
【0042】
図4に示す様に、管理項目「エネルギー供給」には、管理種別として、「一次エネルギー供給量」D21、「一次エネルギー供給パターン」D22、「エネルギー種類別供給量」D23、「エネルギー種別供給パターン」D24、「用途別エネルギー供給量」D25、「熱回収」D26が定義されている。また、管理種別「一次エネルギー供給量」D21に関しては、直接管理項目に分類される管理データとして「一次エネルギー原単位」に関する管理データD21aが定義され、間接管理項目に分類される管理データ群として「月別一次エネルギー使用量」に関する管理データD21b、「建物の延べ床面積」に関する管理データD21c、「生産量」に関する管理データD21dが定義されている。他の管理種別についても同様に、
図4に示す様に、直接管理項目に分類される管理データ(若しくは管理データ群)と、間接管理項目に分類される管理データ群が定義されている。
【0043】
次に、
図5を参照して管理項目「エネルギー変換効率」について説明する。ここで、エネルギー変換効率を管理して、建物全体におけるエネルギー使用を合理化するには、例えば空調システム全体等の、建物におけるエネルギー変換システム全体のエネルギー変換効率を管理する必要があるとともに、エネルギー変換システムを構成する個々のエネルギー使用設備やエネルギー使用機器のエネルギー変換効率を管理する必要がある。ここでは、
図5を参照して、エネルギー変換システムを管理するための管理データを説明する。
図5に、各管理項目に分類される管理データを示したものである。当該管理項目では、管理種別をユーティリティ設備(U/T)と、その他工場等に設置される装置とに分類して定義している。ユーティリティ設備に関して、図示例では「発電機効率」D31、「空調熱源機の効率」D32、「蓄熱効率」D33、「個別空調熱源機の効率」D34、「冷暖房効率」D35、「加湿効率」D36、「給湯・蒸気熱源機効率」D37、「変圧器の効率」D38、「照明効率」D39、「熱交換効率」D40、「熱回収効率」D41を管理種別として定義している。また、その他工場等に設置される装置に関して、図示例では「加熱効率」D42、「冷却効率」D43を管理種別として定義している。
【0044】
また、各管理種別には、管理項目「エネルギー供給」と同様に、直接管理項目に分類される管理データ群と、間接管理項目に分類される管理データ群とを定義している。また、管理項目「エネルギー変換効率」では、上述の様に、「発電機効率」D31、「空調熱源機の効率」D32等の「効率」を管理種別としているため、直接管理項目に分類される管理データは、更に、入力エネルギーに関する管理データと、出力エネルギーに関する管理データとに分類されている。また、図示は省略したが、ユーティリティ設備に関して、冷暖房効率や、加湿効率を維持あるいは改善するためには、熱交換器や熱交換コイルの定期的な保守が必要となる。このため、管理種別「冷暖房効率」D35については、間接管理項目に分類される管理データとして、「熱交換器状態」の保守に関するデータを含めることが好ましい。また、管理種別「加湿効率」D36については、間接管理項目に分類される管理データとして、「熱交換コイル」の保守に関するデータを含めることが好ましい。また、管理データ群情報では、エネルギー変換システムを構成する個々のエネルギー使用設備やエネルギー使用機器の変換効率を管理するための管理データが
図5と略同様に定義される。但し、個々の設備や機器の変換効率を管理するために不要なデータ(例えば、図示例では運転台数等)は除かれる。
【0045】
次に、
図6を参照して、管理項目「エネルギー搬送効率」について説明する。エネルギー搬送効率についても、エネルギー変換効率と同様に、建物全体におけるエネルギー使用を合理化するには、建物におけるエネルギー搬送システム全体のエネルギー搬送効率を管理する必要があるとともに、エネルギー搬送システムを構成する個々のポンプやファン等のエネルギー搬送効率を管理する必要がある。
図6は、建物におけるエネルギー搬送システムを管理するために、各管理項目に分類される管理データを示したものであり、図示は省略したが、ポンプ等の個別構成要素についても管理データが定義される。
図6に示す様に、当該管理項目では、管理種別として、「ポンプの搬送効率」D51、「ファンの搬送効率」D52、「送電効率」D53、「断熱効率」D54を定義している。また、各管理種別に対して、他の管理項目と同様に、直接管理項目に関する管理データ群と、間接管理項目に関する管理データ群とが定義されており、ここでは図示に代えて説明を省略する。また、エネルギーの搬送に関して、搬送効率の維持あるいは改善するためには、搬送経路の断熱保温状態を定期的に保守又は点検する必要がある。搬送効率に関して、間接管理項目に分類される管理データとして、「断熱保温」の保守又は点検に関するデータを含めることが好ましい。
【0046】
次に、
図7を参照して、管理項目「エネルギー需要」について説明する。
図7に示す様に、当該管理項目では、管理種別として、「空調需要量」D61、「給湯需要量」D62、「換気需要」D63、「一般コンセント需要量」D64、「照明」D65、「一般動力需要量」D66、「装置・機器」D67を定義している。また、各管理種別に対して、他の管理項目と同様に、直接管理項目に関する管理データと、間接管理項目に関する管理データが定義されている。各管理項目に定義されるデータの詳細は、図示に代えて説明を省略する。
【0047】
建物の運用段階において、以上挙げたデータ群を管理データ群として定義し、この管理データ群情報に定義された管理データ群を参照して、建物の運用時にエネルギー使用を管理することで、各管理項目毎にエネルギー使用状況の合理性判定を行うことができる。
【0048】
また、いずれかの管理項目においてエネルギー使用状況の合理性に欠くと判定された場合には、各管理種別毎にエネルギー使用状況の合理性判定を行うことで、エネルギー使用状況の合理性に欠く管理種別を判定することができる。さらに、エネルギー使用状況の合理性に欠くと判定された管理種別において、間接管理項目に分類される管理データに基づいて、エネルギー使用を合理化するための個別要因や調整項目を検出することができ、有効な省エネルギー対策を行うことができる。
【0049】
本実施形態において、エネルギー使用状況の合理性判定は、アプリケーション部3のエネルギー合理性判定部31によって行われる。このエネルギー合理性判定部31には、
図1に示すように、エネルギー使用状況の合理性判定のための基準値データ80が格納されており、この基準値データ80と、各管理項目或いは管理種別の値との対比に基づいて合理性判定が行われる。ここで、基準値データ80には、管理項目或いは管理種別、直接管理項目、及び、間接管理項目のそれぞれの管理データごとの基準値が含まれている。各基準値は、対応する項目において、エネルギー使用状況が合理的であると推定できる閾値であり、建物の規模やエネルギー使用機器の種別、数、使用状況、季節等によって、管理対象の建物ごとに個別に設定される。この設定は、例えば建物のエネルギー管理の知識を有する者によって行われる。このように直接管理項目、及び、間接管理項目のそれぞれの管理データごとに基準値を設定する構成とすることで、直接管理項目及び間接項目のそれぞれの管理データの中から、例えば基準値を下まわっている項目を抽出するといったことが簡単にでき、合理的なエネルギー使用の観点から改善すべき項目を簡単に把握することができる。
【0050】
また、管理データ群情報において定義される管理データ群は、任意の建物においてエネルギー管理を実施する上で、選択候補となる管理データの群を定義したものである。従って、ユーザは、管理データ群情報において定義された管理データの中から、ユーザのエネルギー管理の対象とする建物の規模や用途、エネルギー供給システム、エネルギー変換システム、エネルギー搬送システム、エネルギー需要設備の構成に応じて、ユーザがエネルギー管理を実施するとときに必要な管理データを選定することができる。このため、従来の様に、ユーザは、高度な知識と経験を有する専門家の支援を仰ぐことなく、このエネルギー管理支援装置1を利用することにより、エネルギー管理において、エネルギー使用状況の合理性判定に要する情報を得るためのデータを含む管理データを適切に選定することができ、エネルギー使用を合理的に管理することができる。
【0051】
次に、管理指針運用部24について説明する。管理指針運用部24は、計測管理部25と、保守管理部26と、設計管理部27と、ジョブ管理部28とを備えている。これらは、ユーザがエネルギー管理を運用するために予め設定した管理指針に従って、エネルギー管理の運用を支援する機能を有する。
【0052】
本実施の形態では、管理指針に盛り込まれた事項のうち、計測管理部25は、「計測・記録」に関する管理項目の運用を支援する機能を有する。同様に、保守管理部26は、ユーザが設定した管理指針に盛り込まれた事項のうち、「保守・点検」に関する管理項目の運用を支援する機能を有し、設計管理部27は、「新設/改修時の措置」に関する管理項目の運用を支援する機能を有する。また、ジョブ管理部28は、各管理項目の管理を実施する上で利用することのできるアプリケーション部3の各部31〜37を、各部の処理の種類に応じて規定されるスケジュールで各部を起動して処理を実行させる機能を有する。
【0053】
但し、管理指針において「計測・記録」に関する管理項目では、管理データ群情報において定義された管理データ群に基づいて計測項目が選定され、各計測項目の計測条件等が記載事項に含まれる。また、「保守・点検」に関する管理項目では、管理データ群情報において定義された管理データ群のうち、保守に関する管理データに基づいて保守項目が選定され、各保守項目の保守時期が記載事項に含まれる。
【0054】
まず、管理指針運用部24のうち、計測管理部25について説明する。計測管理部25は、管理指針に盛り込まれた「計測・記録」に関する管理項目を運用するための計測管理情報を記憶する計測管理情報記憶部25aを備え、この計測管理情報に基づいて、上記管理指針の「計測・記録」に関する管理項目の運用を支援する。計測管理情報は、管理指針に盛り込まれた「計測・記録」に関する事項のうち、各管理項目において計測が必要な計測データの種類(計測項目)と、各計測データの計測方法及び計測頻度、各計測データを計測又は取得するための計測機器の種類(計測システム6、モニタリング機器8、その他の計測機器等)等の計測条件が定められる。但し、各計測データは、管理データ群情報において定義された管理データ群のうち、いずれかの管理データに対応する。
【0055】
計測管理部25は、計測管理情報に基づいて、計測管理情報において定められた計測項目に対応する計測データを、各計測データの種類に応じて定められた計測条件で計測が行われるように、計測システム6、計測データ入力部7及びモニタリング機器8に対して計測要求信号を送出する機能を有している。また、この計測要求信号に応じて、計測システム6、計測データ入力部7及びモニタリング機器8から計測データが入力された場合、これをデータ管理部22に出力する。データ管理部22では、上述したように、計測データを管理データ群情報に基づいて、エネルギー管理データベース23に標準フォーマットに従って格納する。なお、計測データ入力部7及びモニタリング機器8は、計測管理部25から計測要求を受けた場合に限らず、例えばユーザが手動で計測データをエネルギー管理支援OS部2に入力するために、データ管理部22に直接的に計測データを入力する機能も備える。また、計測管理部25は、計測管理情報において定められた計測項目のうち、上記の計測システム6では取得することのできない計測データについては、計測データの種類に応じて、当該計測データの計測時期となる都度、表示装置5にユーザに計測を促す表示を行わせる様に、表示要求信号を送る機能も有している。この様に、計測管理部25によれば、計測管理情報に基づいて、計測システム6に対して、計測データが所定の計測条件で計測されるように計測要求信号を送り、計測システム6により計測が行われない計測データに関しては表示装置5に計測を促す表示を行わせるように表示要求信号を送る機能を有しているため、ユーザがエネルギー管理を実施する際に、計測に係る管理を半自動化することができ、計測の手間を省力し、エネルギー管理を効率よく運用させることができる。また、計測を確実に行うことができる。
【0056】
次に、保守管理部26について説明する。保守管理部26は、ユーザがエネルギー管理を実施する際に、上記管理指針に盛り込まれた「保守・点検」に関する事項の運用をするための保守管理情報を記憶する保守管理情報記憶部26aを備え、この保守管理情報に基づいて、管理指針に盛り込まれた「保守・点検」に関する事項の運用を支援する機能を有する。管理指針では、「保守・点検」に関する事項として、エネルギー管理を実施する上で、エネルギーの使用を合理的に管理するために保守又は点検が必要な保守項目又は点検項目、各保守項目の保守頻度又は各点検項目の点検頻度、保守方法又は点検方法などを定める。保守管理部26は、管理指針に定められたこれらの保守項目又は点検項目、各保守頻度又は各点検頻度、各保守方法又は点検方法等を定めた保守管理情報を保有し、この保守管理情報に従って、各保守項目又は各点検項目が、所定の保守頻度又は点検頻度で、所定の保守方法又は点検方法で保守又は点検が行われるように、いずれかの保守項目又は点検項目の保守時期が到来した場合、ユーザに対して当該保守項目又は点検項目の保守又は点検が必要であることを報知するように保守報知要求信号又は点検報知要求信号を表示装置5(保守報知手段)に送出する機能を有する。
【0057】
この様に、保守管理部26によれば、保守管理情報に基づいて、表示装置5等を介してユーザに保守要求又は点検要求を報知し、保守・点検面におけるユーザのエネルギー管理を支援することができる。このため、ユーザがエネルギー管理を実施する際に、保守又は点検の時期を管理する手間を省力することができ、エネルギー管理を効率よく運用することができる。また保守又は点検の漏れを防ぐことができ、保守の履行を確実にすることができ、エネルギー使用の合理化を図ることができる。また、入力装置4を介して、保守状態又は点検状態に関するデータが入力された場合、これをデータ管理部22に出力する機能を有している。これにより、データ管理部22では、上述したように間接管理項目に該当するデータとして保守又は点検に関するデータを管理することができ、合理性判定等に利用することができる。
【0058】
次に、設計管理部27について説明する。設計管理部27は、ユーザがエネルギー管理を実施する際に、管理指針に盛り込まれた「新設/改修時の措置」に関する事項の運用を支援する機能を有する。管理指針では、「新設/改修時の措置」に関する事項として、エネルギー管理を実施する上で、新設/改修時に設備構成等の検討を行う項目や、検討方法、頻度、時期などを定める。設計管理部27は、エネルギー管理を実施する上で、新設/改修時に設備構成等の検討を行う項目や、検討方法、頻度、時期などを定めた設計管理情報を記憶する設計管理情報記憶部27aを備え、この設計管理情報に基づいて、表示装置5等に、設備構成等の検討時期が到来したことを表示するなどして、管理指針の運用を支援する。また、入力装置4等を介して入力された設備設計等に関する入力データを、ジョブ管理部28を介して最適設計処理部36や機器台帳作成部37等に出力する。
【0059】
次に、ジョブ管理部28について説明する。ジョブ管理部28は、ユーザがエネルギー管理を運用するときに利用するアプリケーションプログラムの種類と、各アプリケーションプログラムの処理の種類(内容)に応じて規定される起動時期(スケジュール)とを定めた起動管理情報を保有する起動管理情報記憶部28aを備え、この起動管理情報に基づいて、アプリケーション部3が実行する処理の内容に応じて各部31〜37の起動を管理し、各部31〜37で実行される各種のジョブを管理する機能を有する。この様に、ジョブ管理部28によれば、アプリケーション部3の各部が実行する処理の種類に応じて規定されるスケジュールで起動するので、ユーザ側ではソフトウェアを起動させる必要がなくエネルギー管理に要する手間を低減することができ、エネルギー管理を効率的に運用することができる。但し、上記管理指針運用部24により実行される計測管理処理、保守管理処理、起動管理処理を含むエネルギー管理運用支援処理は後述する。
【0060】
次に、
図8〜
図11を参照して、フォーマット変換処理について説明する。まず、データ管理部22に計測データファイルが入力されると、データ管理部22はこれを図示しない記憶装置の計測データ格納領域に格納する(ステップS1)。次に、計測データ格納領域に格納された計測データファイルのフィルタリング処理を実行する(ステップS2)。フィルタリング処理の実行に際して、パターンデータベース10に格納されたパターンデータ情報が利用される。ここで、パターンデータ情報について説明する。管理データ群情報で定義される管理データは、各管理データ毎に所定の項目名、所定の分類、所定の配列、所定の単位等の標準フォーマットで管理される。一方、既存のモニタリング機器8、ビル管理システム等において管理される計測データは、計測又は取得されたモニタリング機器8、ビル管理システムによって異なる項目名、異なる分類、異なる配列、異なる単位等の異なるフォーマットで管理されている場合が多い。パターンデータ情報では、管理データ群情報において定義した管理データに対応する計測データを抽出するために、既存機器等で計測又は取得された計測データが取りえるパターンをリスト化した情報である。但し、パターンデータ情報では、フィルタリング処理を行うためのフィルタ情報として、第一のフィルタ情報としての管理データに対応する計測データが取り得る差分数値に関する情報と、第二のフィルタ情報として管理データに対応する計測データが取り得る数値範囲に関する情報と、第三のフィルタ情報として管理データに対応する計測データが取り得る単位に関する情報を有している。また、パターンデータ情報は、これらのフィルタ情報を用いて抽出された計測データが管理データと対応するか否かを判定するために用いるキーワード情報を有している。
【0061】
フィルタリング処理が終了すると、次に、データ管理部22は、抽出した計測データ群を記憶装置のフィルタリング済み計測データ記憶領域に格納する(S3)。そして、フィルタリング済み計測データ記憶領域に格納された計測データ群の個々の計測データに対して、パターンデータベース情報に含まれるキーワード情報を用いて、パターンマッチング処理を行う(ステップS4)。パターンマッチング処理において、キーマッチした計測データがあると(ステップS5:Y)、この計測データのフォーマットを、標準フォーマットに変換するフォーマット変換処理を実行し(ステップS6)、標準フォーマットに変換された計測データを所定の格納位置に格納する(ステップS7)。フィルタリングされた計測データ群の全てについてフォーマット変換処理が終了すると(ステップS8:Y)、処理を終了する。
【0062】
次に、
図9を参照して、フィルタリング処理について説明する。フィルタリング処理では、まず、フィルタリング済み計測データ格納領域に、計測データが格納されているか否かを確認する(ステップS11)。フィルタリング済み計測データ格納領域に、計測データが格納されている場合(ステップS11:Y)、これを読み出して(ステップS12)、第1フィルタ情報としての差分数値に関する情報を用いて、フィルタリング処理を実行する(ステップS13)。第1フィルタリング処理では、計測データの計測値と計測データの計測値との差分を求め、求めた結果を第一フィルタ情報としての差分数値に関する情報と照合する(ステップS14)。次に、第2フィルタ情報としての数値範囲に関する情報を用いて第2フィルタリング処理を実行する(ステップS15)。第2フィルタリング処理では、計測データの計測値を第2フィルタ情報としての数値範囲に関する情報と照合する。次に、計測データの単位を第3フィルタ情報としての単位に関する情報と照合する。計測データと、第1フィルタ情報〜第3フィルタ情報との照合の結果、対象とする計測データが管理データに対応する可能性のある場合、有効データであると判定して(ステップS16:Y)、計測データにマッチング候補となる計測機器の機器番号に関する情報を付加して、機器番号が付加された計測データを記憶装置のフィルタリング済み計測データ格納領域に出力する(ステップS17)。これらの処理を記憶装置の計測データ一時格納領域に格納された計測データについて全て終了すると、
図8に示すパターンマッチング処理(ステップS4)に移行する。
【0063】
次に、
図10を参照して、パターンマッチング処理を説明する。パターンマッチング処理では、まず、記憶装置のフィルタリング済み計測データ格納領域に格納された計測データを読み出す(ステップS21)。次に、
図9に示すステップS17において、計測データに付加された機器番号に基づいて、パターンデータ情報から機器番号に対応するキーワード情報を取得する(ステップS22)。キーワード情報と、計測データの計測ポイント名に関する情報とを照合し(ステップS23)、
図8に示すステップS5に戻り、計測データの計測ポイント名に関する情報と、パターンデータ情報から読み出したキーワード情報とが一致するまでこの処理を繰り返す。
【0064】
次に、
図11を参照して、フォーマット変換処理について説明する。
図8に示すステップS5において、キーワード情報が一致した計測データについて、マッチング確定処理を実施する。マッチング確定処理では、マッチングが確定したことを示す確定フラグを計測データに付加する(ステップS31)。次に、計測データに付加された機器番号情報に基づいて、管理データ群情報に定義された管理データの標準フォーマットに変換して(ステップS33)、標準フォーマットに変換された計測データをエネルギー管理データベース23出力し(ステップS34)、この計測データが管理データとして、エネルギー管理データベース23に格納される(ステップS7)。標準フォーマット変換処理では、
図8〜
図11に示すフローチャートに従って処理を繰り返し、
図9に示すステップS11において、記憶装置の計測データ一時格納領域に格納された計測データがないと判定された場合、当該処理を終了する。
【0065】
次に、
図12および
図13を参照してエネルギー管理運用支援処理について説明する。まず、管理指針運用部24は、予め設定された管理指針に基づいて、上述した起動管理情報、計測管理情報、保守管理情報を含む管理指針情報を図示しない記憶装置に格納する(ステップS31)。
【0066】
管理指針情報を格納すると(ステップS41)、次に、管理指針運用部24は、管理指針を運用するための運用テーブルを初期化する(ステップS42)。ここで、運用テーブルとは、起動管理情報、計測管理情報、保守管理情報に基づいて運用を管理する項目(計測項目、保守項目、起動管理するアプリケーションプログラムの種類等)と、各項目を実行するための時期(計測時期、保守時期、起動時期等)とを対応付けたものであり、管理し新情報に基づいて運用管理を行う必要のある項目にフラグを設定する。ついで、管理指針運用情報の確認処理を行い(ステップS43)、管理指針運用情報に基づいて、所定のアプリケーションプログラムの起動フラグがONに設定されている場合(ステップS44:Y)、ジョブ管理部28により、起動フラグがONに設定されたアプリケーションプログラムを起動させるように、アプリケーション部3に対して制御信号を送る(ステップS45)。次に、計測要求フラグがONに設定されているか否かを判定し(ステップS46)、計測要求フラグがONに設定されている場合、計測管理部25は、計測システム6に対して計測要求信号を送る(ステップS47)。ここで、計測システム6により計測が行われない計測データに関しては表示装置5に計測を促す表示を行う。そして、保守要求フラグがONに設定されているか否かを判定し(ステップS48)、保守要求フラグがONに設定されている場合(ステップS48:Y)、ユーザに対して保守要求(又は点検要求)を促す表示を表示装置5に行わせ、入力装置4を介してユーザから終了指示の入力があるまで(ステップS50:Y)、上記処理を繰り返し行う。
【0067】
次に、
図13を参照して、管理指針運用情報確認処理について説明する。管理指針運用情報確認処理において、管理指針運用部24は、まず、システムの日付を読み込む(ステップS51)。次に、管理マトリックスを読み込み(ステップS52)、管理マトリックスに基づいてプログラムの起動時期にあるか否かを判定し(ステップS53)、プログラムの起動時期にあると判定した場合(ステップS53:Y)、起動時期にあるプログラム名と、対応する起動フラグを管理マトリックスに設定する(ステップS54)。次に、計測の実施時期にあるか否かを判定し(ステップS55)、計測の実施時期にあると判定した場合(ステップS55:Y)、計測の実施時期にある計測項目名と、対応する計測フラグを管理マトリックスに設定する(ステップS56)。ついで、保守の実施時期にあるか否かを判定し(ステップS57)、保守の実施時期にあると判定した場合(ステップS57:Y)、保守の実施時期にある保守項目名と、対応する保守要求フラグを管理マトリックスに設定する(ステップS58)。以上の様に、管理指針に基づいて、管理指針運用情報が作成され、プログラムの起動管理、計測管理、保守管理が行われる。
【0068】
上記実施の形態によれば、管理データ群情報には、エネルギー管理において管理されるべき、少なくともエネルギー使用状況の合理性判定に要する情報を得るためのデータを定義しているので、ソフトウェアの開発者は、上記管理データ群情報を参照してエネルギー管理のための処理機能を備えたソフトウェア(アプリケーションプログラム)を容易に設計することができ、ユーザが利用できるソフトウェアを多様化することができる。また、管理データ群情報には、エネルギー管理において管理されるべき、エネルギー使用状況の合理性判定に要する情報を得るためのデータや、エネルギー使用設備やエネルギー使用機器等の構成を最適化するための情報を得るためのデータを含む管理データを定義しているので、管理データ群情報を参照することにより、エネルギー管理において管理すべきデータを整備することができる。従って、ユーザがエネルギー管理をするときに、高度な知識や経験を有する専門家が介在しなくとも、管理データを適切に選定することができ、ソフトウェアを利用して、エネルギー使用を合理的に、かつ、効率よく行うことができる。また、エネルギー管理の導入及び運用を容易にし、これによりエネルギー管理の導入を推進し、エネルギー使用の合理化を図ることができる。
【0069】
また、管理データ群情報において定義される管理データは、エネルギー使用状況の合理性判定に直接的に関連するデータと、エネルギー使用の合理性に間接的に関連するデータとを含むので、エネルギー使用状況の合理性判定を複合的に行うことができ、これによりエネルギー使用を合理的に管理することができる。さらに、管理データ群情報において定義される管理データは、建物のライフサイクルの各段階毎に、エネルギー供給面、エネルギー搬送効率面、エネルギー変換効率面、エネルギー需要面から、エネルギー使用状況の合理性判定に要する情報を得るためのデータに分類されているので、建物のライフサイクルの各段階毎に、エネルギー供給面、エネルギー搬送効率面、エネルギー変換効率面、エネルギー需要面から、エネルギー使用状況の合理性判定を行うことができ、建物のエネルギー使用の実態を正確に把握することができ、建物のエネルギー使用の合理化を図ることができる。
【0070】
<第2実施形態>
個人商店やコンビニエンスストア、家庭等の商業ビルや工場に比べて規模が小さな建物においては、通常、BEMS等のエネルギー管理用の設備は配備されておらず、また、エネルギー管理の専門の知識を有したエネルギー管理専任者は居ない。すなわち、このような建物においては、誰かがエネルギー管理支援装置1のエネルギー合理性判定部31を操作して、建物のエネルギー使用状況の合理性を判定し、また、その判定結果に基づいて、エネルギー使用機器の使用状況を改善する、といった作業を行うことは現実的でない。そこで、本実施形態では、エネルギー管理の専門の知識を有した者が居ない比較的小規模な建物のエネルギー管理に適したエネルギー管理支援システムについて説明する。
【0071】
図14は、本実施形態に係るエネルギー管理支援システム200の機能的構成を示す図である。なお、同図において、第1実施形態で説明したものについては同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態のエネルギー管理支援システム200では、エネルギー管理支援装置1Aのエネルギー管理支援OS部2Aが組込アプリケーション部83を備える点で、第1実施形態と構成を異にする。組込アプリケーション部83は、エネルギー管理に要する各種のアプリケーションプログラム82を導入してアプリケーション部3に組み込まずとも、建物のエネルギー使用状況の合理性判定、及び、合理性判定結果に基づくエネルギー使用機器の使用状況改善を実現するものである。
【0072】
具体的には、組込アプリケーション部83には、エネルギー合理性判定部31Aと、合理化運転コントローラ84とが設けられている。エネルギー合理性判定部31Aは、第1実施形態で説明したエネルギー合理性判定部31と同様の機能を有する。すなわち、エネルギー合理性判定部31Aは、基準値データ80と、管理データ群情報記憶部22bで定義されている各管理項目或いは管理種別の値との対比に基づいて合理性判定を行う。またエネルギー合理性判定部31Aは、ジョブ管理部28によって所定期間ごとに起動される。ここで、管理項目或いは管理種別、直接管理項目及び間接管理項目のうちのどの項目を管理するかは建物の規模や状況、エネルギー使用機器86の種類や数等を踏まえて使用者が適切なものを入力装置4で選択可能に構成されている。また、使用者によって選択されたエネルギー使用機器86の計測データはモニタリング機器8から入力されている。エネルギー使用機器86としては、例えば空気調和装置や照明装置等が挙げられる。合理化運転コントローラ84は、エネルギー合理性判定部31Aの基準値データ80を目標値として、制御対象のエネルギー使用機器86をフィードバック制御する機能を有し、エネルギー合理性判定部31Aの判定結果に基づいて、合理的でないと判定された管理項目或いは管理種別が改善するように、エネルギー使用機器86を自動でフィードバック制御する。
【0073】
このように本実施形態によれば、エネルギー管理支援装置1Aのエネルギー管理支援OS部2Aが組込アプリケーション部83を備え、この組込アプリケーション部83が、エネルギー合理性判定部31Aと、合理化運転コントローラ84とを有する構成としたため、エネルギー管理の専門の知識を有した者が居ない比較的小規模な建物であっても、当該建物のエネルギーの使用状況の合理性を判定し、改善することができる。
【0074】
なお、本実施形態において、第1実施形態と同様に、アプリケーションプログラムを別途に導入することで、アプリケーション部3に、エネルギー合理性判定部31を持たせてもよく、また、計測データを、計測データ入力部7や計測システム6から入力してもよい。
【0075】
なお、上述した第1及び第2実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。例えば、本発明に係る管理データ群情報は、エネルギー管理において管理されるべきデータの群を定義するものであり、少なくともエネルギー使用状況の判断に要する情報を得るためのデータを含む管理データを定義したものであれば、
図2〜
図7に示す例に限定されるものではないのは勿論である。図示例したものの他に、管理されるべきデータを含めてよいのは勿論である。例えば、ビルのセキュリティ管理のための情報や、ビルの設備の運転制御や各室の状態監視等のための情報のうち、エネルギー管理に利用できる情報があれば、それを管理データとして定義してもよい。
【0076】
また、上記第1実施形態では、管理指針は予め設定されているものとして説明したが、エネルギー管理支援装置1を用いて、管理指針を作成してもよいのは勿論である。この場合、例えば、以下の様にして、エネルギー管理支援装置1に管理指針作成処理を行わせることができる。管理指針作成処理に際して、エネルギー管理支援装置1は、表示装置5にユーザのエネルギー管理の対象とする建物の用途や規模を選択するための選択候補や、建物に備えられるエネルギー供給システムや、エネルギー変換システム、エネルギー搬送システム、エネルギー需要設備等の構成を選択するための選択候補を表示させる。ユーザから、入力装置4を介して、建物に応じた所定の選択候補が選択されると、次に、各選択候補に予め対応付けられた管理項目情報に基づいて、ユーザの選択候補に応じた管理項目を選定する。そして、表示装置5に選定した管理項目とともに、各管理項目に予め対応付けられた記載事項を表示する。ユーザは表示内容を確認し、必要に応じて、入力装置4を介して記載事項に修正を加えることで、ユーザがエネルギー管理を実施する際の管理指針を設定することができる。また、ユーザが管理指針を設定してもよいし、エネルギー管理士等の専門家が当該エネルギー管理支援装置1を利用して、ユーザのために管理指針の設定作業を行ってもよいのは勿論である。
【0077】
また、例えば、
図15に示す様に、上記第1及び第2実施形態において、エネルギー管理支援装置1、1Aとユーザ端末20とをインターネット等の通信ネットワークNを介して接続し、エネルギー管理を実施するユーザに、エネルギー管理支援OS部2、2Aの有する機能やアプリケーション部3の有する機能を利用可能とするためのASP(Application Service Provider)を提供するASP部11を設けてもよい。この場合、エネルギー管理支援装置1を用いて、ユーザ端末20を介してユーザにエネルギー管理の導入や運用を遠隔支援することができる。さらに、上記第1及び第2実施形態では、アプリケーション部3、3Aと、エネルギー管理支援OS部2、2Aとを一つのコンピュータシステムで実現した例を示したが、アプリケーション部3、3Aと、エネルギー管理支援OS部2、2Aとをそれぞれ異なるコンピュータシステムを用いて構成してもよい。
【0078】
また上記第1及び第2実施形態において、エネルギー合理性判定部31、31Aが備える基準値データ80を、エネルギー管理支援OS部2、2Aの管理データ群情報記憶部22bに予め持たせておく構成としてもよい。この構成において、ユーザが基準値データ80を入力装置4等で適宜に変更可能にすることが好ましい。