(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773351
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/20 20060101AFI20150813BHJP
H01M 8/02 20060101ALI20150813BHJP
H01M 8/04 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
H01M8/20
H01M8/02 H
H01M8/04 L
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2009-500940(P2009-500940)
(86)(22)【出願日】2007年3月23日
(65)【公表番号】特表2009-530784(P2009-530784A)
(43)【公表日】2009年8月27日
(86)【国際出願番号】GB2007050151
(87)【国際公開番号】WO2007110663
(87)【国際公開日】20071004
【審査請求日】2009年10月2日
【審判番号】不服2014-6888(P2014-6888/J1)
【審判請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】0605878.8
(32)【優先日】2006年3月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508284492
【氏名又は名称】エイカル エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリース、アンドリュー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ポッター、アンドリュー、ロバート
【合議体】
【審判長】
木村 孔一
【審判官】
池渕 立
【審判官】
松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4396687(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M8/00-8/02
H01M8/08-8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン選択性高分子電解質膜で分離されたアノードとカソード;電池のアノード領域への燃料の供給手段;電池のカソード領域への酸化剤の供給手段;アノードとカソードの間の電気回路の提供手段;カソードと流体連通して流れる非揮発性カソード溶液であって、電池の作動で、カソードで少なくとも部分的に還元され、カソードでのこの様な還元の後、酸化剤との反応で少なくとも部分的に再生されるポリオキソメタレートを含み、少なくとも0.1M(0.1×103mol/m3)の前記ポリオキソメタレートを含む前記カソード溶液;を含む酸化還元型燃料電池であって、
前記ポリオキソメタレートが下記式で表させる酸化還元型燃料電池:
Xa[ZbMcOd]
(ここで、
Xは、少なくとも一の水素、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びそれらの2以上の組合せから選択される少なくとも一の他の物質を含み;
Zは、B、P、S、As、Si、Ge、Ni、Rh、Sn、Al、Cu、I、Br、F、Fe、Co、Cr、Zn、Te、Mn及びSe、並びにそれらの2以上の組合せから選択され;
Mは、Mo、W、V、Nb、Ta、Mn、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、Rh、Ru、Tl、Al、Ga、In、並びに第一、第二、及び第三遷移金属系及びランタノイド系から選択される他の金属、並びにそれらの2以上の組合せから選択される金属であり;
aは、[McOd]アニオンを電荷バランスさせるために必要なXの数であり;
bは0から20であり;
cは1から40であり;及び
dは1から180である。)
【請求項2】
bが0から2である請求項1に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項3】
cが5から20である請求項1又は2に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項4】
dが30から70である請求項1−3のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項5】
Mがバナジウム、モリブデン、及びそれらの組合せから選択させる請求項1−4のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項6】
Zがリンである請求項1−5のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項7】
Xが水素とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属イオンとの組合せを含む請求項1−6のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項8】
前記ポリオキソメタレート中に中心金属として2−4のバナジウム金属を含有する請求項1−7のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項9】
前記ポリオキソメタレートがH3Na2PMo10V2O40を含む請求項8に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項10】
前記ポリオキソメタレートがH3Na2PMo9V3O40を含む請求項8に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項11】
前記ポリオキソメタレートがH3Na4PMo8V4O40を含む請求項8に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項12】
前記カソード溶液が少なくとも一の付随的酸化還元種を含む請求項1−11のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項13】
前記付随的酸化還元種が、結紮された遷移金属錯体、請求項1で使用されるポリオキソメタレートとは異なるポリオキソメタレート種、及びそれらの組合せから選択される請求項12に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項14】
前記遷移金属錯体中の単数又は複数の遷移金属が、酸化状態II−Vのマンガン、I−IVの鉄、I−IIIの銅、I−IIIのコバルト、I−IIIのニッケル、(II−VII)クロム、II−IVのチタン、IV−VIのタングステン、II−Vのバナジウム、及びII−VIのモリブデンから選択される請求項13に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項15】
前記カソード溶液が、いかなる付随的酸化還元種も含まない請求項1−11のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【請求項16】
前記カソード溶液中の前記ポリオキソメタレートの濃度が0.15M(0.15×103mol/m3)を超える請求項1−15のいずれか一項に記載の酸化還元型燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池、特に、電子部品用及び携帯用電子部品用のマイクロ燃料電池、並びに、自動車産業及び固定用途用のもっと大型の燃料電池にも用途がある、間接型又は酸化還元型燃料電池に関する。本発明は、この様な燃料電池において使用するある種のカソード溶液(catholyte solution)にも関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の実用化が真剣に考慮されるようになったのは極く近年だが、燃料電池は、自動車用及び携帯用電子技術等の携帯用途に対して、非常に長年の間、既知であった。その最も簡単な形態において、燃料電池は、燃料と酸化剤を(単数又は複数の)反応産出物に変換して、その工程中に電気と熱を産出する電気化学的エネルギー変換装置である。この様な電池の一例では、燃料として水素を、及び酸化剤として空気又は酸素を使用し、並びに、反応の産出物は水である。これらの気体は、それぞれ、2つの電極の間を、帯電した粒子を運ぶ固体又は液体電解質によって分離された、触媒作用がある拡散型の電極中に供給される。間接型又は酸化還元型燃料電池において、酸化剤(及び/又は燃料の場合がある)は電極で直接反応するのではなく、酸化還元対の還元形(燃料に対しては酸化形)と反応して、それを酸化し、この酸化された種がカソードに供給される。
【0003】
様々な電解質に特徴がある、幾つかの型の燃料電池がある。液体電解質アルカリ電解質燃料電池は、電解質がCO
2を溶かし、定期的に交換する必要があるという、本来的な難点を持つ。プロトン導電性固体電池膜を伴う高分子電解質又はPEM型電池は酸性であり、この問題を回避している。しかしながら、酸素還元反応の電極触媒作用が比較的粗末なため、この系から、理論的最高レベルに迫る出力を得るのは、実際には困難であることが証明されている。また、高価な貴金属電極触媒が、しばしば使用される。
【0004】
米国特許第3152013号は、カチオン選択性透過膜、気体透過性触媒電極、及び第二電極を含み、膜が電極間に配置され、かつ気体透過性電極とのみ電気的に接触している気体燃料電池を開示する。第二電極及び膜と接触してカソード液(catholyte)が提供され、カソード液は、その中に酸化剤対を包含する。透過性電極に燃料気体を供給するための手段、及び還元された酸化剤物質を酸化するために、カソード液気体酸化剤を供給するための手段が提供される。好ましいカソード液及び酸化還元対はHBr/KBr/Br
2である。酸素還元用の好ましい触媒として、窒素酸化物が開示されているが、空気を酸化剤として使用すると有害な窒素酸化物種の換気が必要であり、酸化剤として純粋酸素が必要であったという因果関係を伴う。
【0005】
電気化学的燃料電池に関して広く認識された問題は、規定された条件下における所定の電極反応の理論的電位は計算できるが、決して完全には到達できないことである。系の不完全さは、必然的に電位の損失をもたらし、任意の所定の反応から得られる理論的電位より幾分低いレベルにする。この様な不完全さを低減させる従前の試みは、カソード液中で酸化−還元反応を受けるカソード液添加物の選択を包含する。例えば、米国特許第3294588号は、この能力のあるキノン及び染料の使用を開示する。試みられている別の酸化還元対は、バナジウム酸塩/バナジル対であり、米国特許第3279949に開示されている。
【0006】
米国特許第3540933号によると、カソード液とアノード液(anolyte)の両方に同じ電解質溶液を使用することにより、電気化学的燃料電池において一定の利点が実現できた。この文献は、電解質中の任意の他の酸化還元対を別として、0.8V以下の平衡電位を伴う、二つより多い酸化還元対を含有する液体電解質の使用を開示する。
【0007】
電解質溶液における異なる酸化還元対の酸化還元電位の適合は、米国特許第3360401号でも考察されている。これは、中間電子輸送種を使用して、燃料電池からの電気エネルギーの流れ速度を増大させることに関連する。
【0008】
幾つかの型のプロトン交換膜燃料電池が存在する。例えば、米国特許第4396687号には、再生可能なアノード液及びカソード溶液を含む燃料電池が開示されている。アノード溶液は、アノード溶液を水素に曝露することにより、酸化状態から還元状態へ還元されるものである。米国特許第4396687号によると、好ましいアノード溶液は、触媒の存在下、タングストケイ酸(H
4SiW
12O
40)又はタングストリン酸(H
3PW
12O
40)である。
【0009】
米国特許第4396687号における好ましいカソード溶液は、カソード溶液を酸素に直接曝露することにより、還元状態から酸化状態へ再酸化されるものである。米国特許第4396687号のカソード液は、VOSO
4の溶液を含む媒介成分を包含する。この媒介体は、V
(V)の酸化状態からV
(IV)に還元される電子受容体として作用する。このカソード液は、媒介体をその酸化状態、(VO
2)
2SO
4に再生させる触媒も包含する。米国特許第4396687号のカソード液中に存在する触媒はポリオキソメタレート(POM)溶液、即ちH
5PMo
12V
2O
40である。
【0010】
米国特許第4396687号に加えて、オキソメタレート触媒を使用する数多くの他の試みがなされてきた。例えば、米国特許第5298343号には、固体金属触媒、オキソメタレート、及びモリブデン酸等の金属酸を含むカソード系が開示されている。
【0011】
また、WO96/31912号は、電気貯蔵装置に埋め込まれたポリオキソメタレートの使用を記載する。炭素電極材料と併せてポリオキソメタレートの酸化還元の性質を用いて一時的に電子を貯蔵する。
【0012】
米国特許公開第2005/0112055号は、電気化学的に水から酸素を発生させる触媒用途の、ポリオキソメタレートの使用を記載する。英国特許第1176633号は、固体モリブデン酸化物アノード触媒を記載する。
【0013】
米国特許公開第2006/0024539号は、反応器と、対応する、金属含有触媒を覆うポリオキソメタレート化合物と遷移金属化合物を使用して室温で選択的にCOを酸化することによる、燃料電池を使用する電気エネルギーの産出方法を開示する。
【0014】
欧州特許第0228168号は、活性炭上へのポリオキソメタレート化合物の吸着に起因して電荷貯蔵容量が改良されていると言われる、活性炭電極を開示する。
【0015】
従来技術の燃料電池は、全て、以下の不利益の一以上を被っている。
【0016】
それらは非効率的である;それらは高価、及び/又は組立てが高価である;それらは高価な、及び/又は環境に優しくない物質を使用する;それらは不十分な、及び/又は十分には維持できない電流密度及び/又は電池電位を生み出す;それらは構造が大きすぎる;それらは作動温度が高すぎる;それらは望まれない副生成物、及び/又は汚染物質、及び/又は有害物質を産出する;それらは自動車用及び携帯用電子機器等の携帯用途において、実用的、商品的効用を見出していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、一以上の上述の不利益を克服する、又は改善することである。本発明の更なる目的は、酸化還元型燃料電池において使用する、改良されたカソード溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、イオン選択性高分子電解質膜で分離されたアノード及びカソード;電池のアノード領域への燃料の供給手段;電池のカソード領域への酸化剤の供給手段;アノードとカソードの間の電気回路の提供手段;カソードと流体連通して流れる少なくとも一の非揮発性カソード液成分を含むカソード溶液であって、前記カソード溶液は、電池の作動においてカソードで少なくとも部分的に還元され、及び、カソードでのこの様な還元の後、酸化剤との反応によって少なくとも部分的に再生されるポリオキソメタレート酸化還元対を含み、前記カソード溶液はポリオキソメタレートを少なくとも約0.075M含む;を含む酸化還元型燃料電池を提供する。
【0019】
本発明に従って、この様な酸化還元型燃料電池用のカソード溶液であって、ポリオキソメタレートを少なくとも約0.075M含む溶液も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ポリオキソメタレートは、以下の式により表されてよい:
X
a[Z
bM
cO
d]
ここで、
Xは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びそれらの2以上の組合せから選択され;
Zは、B、P、S、As、Si、Ge、Ni、Rh、Sn、Al、Cu、I、Br、F、Fe、Co、Cr、Zn、H
2、Te、Mn及びSe、並びにそれらの2以上の組合せから選択され;
Mは、Mo、W、V、Nb、Ta、Mn、Fe、Co、Cr、Ni、Zn、Rh、Ru、Tl、Al、Ga、In、並びに第一、第二、及び第三遷移金属系及びランタナイド系から選択される他の金属、並びにそれらの2以上の組合せから選択される金属であり;
aは、[M
cO
d]アニオンを電荷バランスさせるために必要なXの数であり;
bは0から20であり;
cは1から40であり;及び
dは1から180である。
【0021】
bに関する好ましい範囲は0から15、より好ましくは0から10、更により好ましくは0から5、なお更により好ましくは0から3、そして最も好ましくは0から2である。
【0022】
cに関する好ましい範囲は5から20、より好ましくは10から18、最も好ましくは12である。
【0023】
dに関する好ましい範囲は30から70、より好ましくは34から62、最も好ましくは34から40である。
【0024】
バナジウム及びモリブデン、並びにそれらの組合せは、Mに関して特に好ましい。
【0025】
リンはZに関して特に好ましい。
【0026】
水素とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の組合せは、Xに関して特に好ましい。この様な好ましい組合せの一つは水素とナトリウムである。
【0027】
ポリオキソメタレートの具体例は、モリブドリン酸、H
3PMo
12O
40、及びモリブドバナドリン酸、H
5PMo
10V
2O
40を包含する。
【0028】
本発明の好ましい態様において、ポリオキソメタレートはバナジウムを、より好ましくはバナジウム及びモリブデンを含む。好ましくは、ポリオキソメタレートは、2から4のバナジウム中心を含む。斯くして、特に好ましいポリオキソメタレートは、H
3Na
2PMo
10V
2O
40、H
3Na
3PMo
9V
3O
40、又はH
3Na
4PMo
8V
4O
40、及び中間組成の化合物を包含する。また、これらの、又は他のポリオキソメタレート触媒の混合物も予見される。この態様に関して、好ましくは、少なくとも一のXは水素である。しかしながら、全てではないXが水素であることも好ましい。より好ましくは、Xの少なくとも二つは水素ではない。好ましいXは、少なくとも一の水素、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びそれらの2以上の組合せから選択される少なくとも一の他の物質を含む。
【0029】
カソード溶液中のポリオキソメタレートの濃度は、好ましくは少なくとも約0.08M、より好ましくは少なくとも約0.1M、更により好ましくは少なくとも約0.125M、そして最も好ましくは少なくとも約0.15Mである。
【0030】
本発明の一の好ましい態様において、イオン選択性PEMは、他のカチオンに対してプロトンを優先して選択するカチオン選択性膜である。
【0031】
カチオン選択性高分子電解質膜は、任意の適切な膜から形成されてよいが、好ましくは、カチオン交換能を持つ高分子基板を含む。適切な例は、フッ素樹脂型イオン交換樹脂、及び非フッ素樹脂型イオン交換樹脂である。フッ素樹脂型イオン交換樹脂は、パーフルオロカルボン酸樹脂、パーフルオロ硫酸樹脂等を包含する。パーフルオロカルボン酸樹脂が好ましく、例えば、「Nafion」(デュポン社)、「Flemion」(アサヒガラス社)、「Aciplex」(アサヒカセイ社)等がある。非フッ素樹脂型イオン交換樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、スチレン−ジビニルベンゼンイオン交換樹脂等、並びに、それらの金属塩を包含する。好ましい非フッ素樹脂型イオン交換樹脂は、ポリアルキレンオキサイド−アルカリ金属塩錯体を包含する。これらは、例えば、塩素酸リチウム、又は別のアルカリ金属塩の存在下、エチレンオキサイドオリゴマーを重合させることにより得ることができる。別の例は、フェノールスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸、スルホン化トリフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレンモノマーに基づくスルホン化共重合体、放射グラフト化膜を包含する。非フッ素化膜は、スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)、ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキサイド)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(2,6−ジフェニルエノール);酸ドープ−ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリイミド;スチレン/エチレン−ブタジエン/スチレン−トリブロックコポリマー;部分スルホン化ポリアリーレンエーテルスルホン;部分スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);及び、ポリベンジルスルホン酸シロキサン(PBSS)を包含する。
【0032】
場合によっては、イオン選択性高分子電解質膜が二重膜を含むことが望ましい。二重膜は、もし在るなら、一般的に第一のカチオン選択性膜と、第二のアニオン選択性膜を含むであろう。この場合、二重膜は、隣接する反対電荷選択性膜の対を含んでよい。例えば、二重膜は、随意に間隙を伴って隣り合って置かれてよい、少なくとも二つの別個の膜を含んでよい。間隙は、あるとしても、本発明の酸化還元電池において、好ましくは最小のサイズに保たれる。二重膜は、本発明の酸化還元型燃料電池における使用で、アノード液と、カソード液の間のpH落下に起因する電位を維持することにより、電池の電位を最高にするために使用されてよい。理論に制限はされないが、この膜系においてこの電位が保たれるために、この系のある時点で、プロトンが主要な電荷輸送媒体でなければならない。単一のカチオン選択性膜は、膜中で、カソード溶液に由来する他のカチオンが自由に動くため、これを同程度に達成することはできないであろう。
【0033】
この場合、カチオン選択性膜は二重膜のカソード側に設置されてよく、アニオン選択性膜は二重膜のアノード側に設置されてよい。この場合、カチオン選択性膜は、電池の作動中、プロトンがアノード側からカソード側へ膜を通り抜けるように構成される。アニオン選択性膜は、カチオン性物質がカソード側からアノード側へ通り抜けることを実質的に阻止するように構成される。しかし、この場合、アニオン性物質はアニオン選択性膜のカソード側からそのアノード側へ通り抜けてよく、その結果、それらは、逆方向に膜を通り抜けるプロトンと結合できる。好ましくは、アニオン選択性膜は水酸イオンに対して選択性であり、それ故、プロトンと結合すると、産出物として水を生み出す。
【0034】
本発明の第二の態様において、カチオン選択性膜は二重膜のアノード側に設置され、アニオン選択性膜は二重膜のカソード側に設置される。この場合、カチオン選択性膜は、電池の作動中、プロトンがアノード側からカソード側へ膜を通り抜けるように構成される。この場合、アニオンはカソード側から二重膜の隙間の空間へと通ることができ、プロトンはアノード側から通るであろう。この場合、この様なプロトン及びアニオン性物質を二重膜の隙間の空間から流し出す手段を備えることが望ましいであろう。この様な手段は、膜を直接通してこの様な流し出しを可能にする、カチオン選択性膜中の一以上の打抜き穴を含んでよい。別法は、流し出された物質を、隙間の空間からその膜のカソード側へ、カチオン選択性膜の周りを流すために提供されてよい。
【0035】
本発明の別の側面に従い、
a)プロトン交換膜に隣接して置かれたアノードでH
+イオンを形成させる段階;
b)酸化状態にある酸化還元対を伴う本発明のカソード液を、プロトン交換膜の反対側に隣接して置かれたカソードに供給する段階;及び
c)触媒を、膜を通り抜けるH
+イオンと同時にカソードと接触させる際に、還元させて電荷をバランスさせる段階、
を含むプロトン交換膜燃料電池の操作方法が提供される。
【0036】
好ましい態様において、カソード液は、カソード液貯蔵槽から提供される。
【0037】
上記第四の側面の方法は、
d)カソード液を、カソードから再酸化区域に通し、触媒を再酸化させる段階、
を更に含んでよい。
【0038】
特に好ましい態様において、上記側面の方法は、
e)カソード液を、再酸化区域からカソード液貯蔵槽に通過させる段階、
を含む。
【0039】
この態様において、電池は循環型であり、カソード中の触媒は、交換する必要無しで、繰り返し酸化され、還元されることができる。
【0040】
本発明の燃料電池は、LPG、LNG、ガソリン、又は低分子量アルコール等の市販の燃料前駆体を、蒸気改質反応によって燃料気体(例えば水素)に転換する様に形作られた改質装置を含んでよい。そして、電池は、改質された燃料気体をアノード室に供給する様に形作られた燃料気体供給装置を含んでよい。
【0041】
電池の用途によっては、燃料、例えば水素を加湿する様に形作られた燃料加湿器を備えることが望ましいであろう。そして、電池は、アノード室に加湿された燃料を提供する様に形作られた燃料供給装置を含んでよい。
【0042】
電力を負荷する様に形作られた電気負荷装置も、本発明の燃料電池と関連して提供されてよい。
【0043】
好ましい燃料は、LPGLNG又はガソリンはもとより、水素、金属水素化物(例えば、水素化ホウ素、これは燃料自身として、又は水素の提供者として作用し得る)、アンモニア、低分子量アルコール、アルデヒド及びカルボン酸、糖及び生物燃料を包含する。
【0044】
好ましい酸化剤は、空気、酸素、及び過酸化物を包含する。
【0045】
本発明の酸化還元型燃料電池におけるアノードは、例えば、水素気体アノード又は直接メタノールアノード;エタノール、プロパノール、ジプロピレングリコール等の他の低分子量アルコール;エチレングリコール;また、これらと蟻酸、エタン酸等の酸種から形成されるアルデヒド、であってよい。また、アノードは、生物燃料電池型の系で形成されてよい。この場合、バクテリア種が燃料を消費して、電極で酸化される媒介体を産出するか、あるいは、バクテリア自身が電極に吸着されて、アノードに直接電子を提供する。
【0046】
本発明の酸化還元型燃料電池のカソードは、カソード物質として、炭素、金、白金、ニッケル、金属酸化物種を含んでよい。しかしながら、高価なカソード物質を避けることが好ましく、それ故、好ましいカソード物質は、炭素、ニッケル、及び金属酸化物を包含する。カソードに対して好ましい一つの物質は、網状ガラス質炭素、又は炭素フェルト等の炭素繊維系電極である。もう一つは、発泡ニッケルである。カソード物質は、粒状カソード物質の微細分散物から構築されてよい。粒状分散物は適切な接着剤によって、又はプロトン伝導性高分子物質によって一緒に保たれる。カソードは、カソード表面へカソード溶液の最大の流れを作り出すように設計される。斯くして、それは、成形した流量調整弁、又は三次元電極から成ってよく;液体流は、流れごとの配置で管理されてよく、電極に隣接した液体流路が在る、又は三次元電極の場合は、液体は電極を通り抜けて流れるように強いられる。電極の表面も電極触媒であることが意図されているが、電極表面に堆積させた粒子の形状で電極触媒を接着させることが有益であろう。
【0047】
電池の作動においてカソード室中の溶液中を流れる酸化還元対は、本発明において、以下の式に従い(Spは酸化還元対種である)カソード室中の酸素の還元用触媒として使用される。
O
2+4Sp
red+4H
+ → 2H
2O+4Sp
ox
【0048】
本発明の燃料電池で利用されるポリオキソメタレート酸化還元対、及び任意の他の付随的酸化還元対は、非揮発性でなければならず、及び、好ましくは水性溶媒に可溶である。好ましい酸化還元対は、燃料電池の電気回路に有用な電流を生じさせるために有効な速度で酸化剤と反応しなければならず、及び、水が、反応の究極的な最終産出物であるように、酸化剤と反応しなければならない。
【0049】
本発明の燃料電池は、カソード溶液中に少なくとも約0.1Mのポリオキソメタレート種の存在を必要とする。しかしながら、環境によっては、カソード溶液中に、ポリオキソメタレート種に加えて、他の酸化還元対を包含させることも可能である。この様な付随的酸化還元対の適切な例は、結紮された遷移金属錯体、及び他のポリオキソメタレート種を包含して、多数存在する。この様な錯体を形成できる適切な遷移金属の具体例は、酸化状態II−Vのマンガン、I−IVの鉄、I−IIIの銅、I−IIIのコバルト、I−IIIのニッケル、(II−VII)クロム、II−IVのチタン、IV−VIのタングステン、II−Vのバナジウム、及びII−VIのモリブデンを包含する。配位子は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン化物、リンを含有できる。配位子は、Fe/EDTA及びMn/EDTA、NTA、2−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸を包含するキレート錯体、、又はシアン化物等の非キレート錯体であってよい。
【0050】
しかしながら、場合によっては、本発明のカソード溶液において、如何なる媒介体の存在も避け、(一又はそれを超える)ポリオキソメタレート物質のみの酸化還元挙動を当てにすることが好ましいかもしれない。
【0051】
本発明の燃料電池は、カソード室において、燃料電池の作動中に酸化剤の還元を触媒する酸化還元対で、直接的に作動してよい。しかしながら、場合によっては、及びいずれかの酸化還元対では、カソード室に、触媒作用がある媒介体を組込むことが必要、及び/又は望ましいかもしれない。
【0052】
さて、本発明の態様を図解する以下の図面を参照して、本発明の種々の側面を更に詳しく説明する。
【0053】
図1を参照して、カソード3からアノード(図示せず)を分離する高分子電解質膜2を含む、本発明に従う燃料電池1のカソード側が示されている。カソード3は、この図において網目状炭素を含み、それ故、多孔性である。しかしながら、白金等の、他のカソード物質を使用してよい。高分子電解質膜2は、カチオン選択性Nafion112膜を含み、電池の作動において、アノード室で燃料(この場合水素)の(随意に、触媒作用による)酸化によって発生したプロトンが、これを通り抜ける。燃料気体の酸化によってアノードで発生した電子は電気回路(図示せず)中を流れ、カソード3に戻る。燃料気体(この場合水素)はアノード室(図示せず)の燃料気体通路に供給され、一方、酸化剤(この場合空気)はカソード気体反応室5の酸化剤注入口4に供給される。カソード気体反応室5(触媒再酸化区域)は排気孔6を備え、それを通して、燃料電池反応の副生成物(例えば、水と熱)を放出できる。
【0054】
ポリオキソメタレート酸化還元触媒の酸化形を含むカソード溶液は、電池の作動において、カソード液貯蔵槽7からカソード注入口導管8中へと供給される。カソード液は、膜2に隣接して設置された、網目状炭素カソード3中へと通る。カソード液がカソード3を通り抜けるにつれて、ポリオキソメタレート触媒は還元され、そして、次いで、カソード放出口導管9を介してカソード気体反応室5に戻る。
【0055】
本発明のカソード液の有利な組成に起因して、触媒の再酸化は非常に速やかに起こり、これは、従来技術のカソード液を使用する場合より、燃料電池が、より高く保持できる電流を産出することを可能にする。
【0056】
従来技術のカソード液に対する、本発明のカソード液の改良された性能を強調する比較試験を、以下の例に述べる通り実施した。
【実施例】
【0057】
実施例1
本発明に係る2つのカソード溶液を調製した。第一の、H
3Na
2PMo
10V
2O
40(INV1)は二個のバナジウム原子を包含し、第二の、H
3Na
2PMo
9V
3O
40(INV2)は三個のバナジウム原子を包含した。
【0058】
また、米国特許第4396687号の開示に基づき、二つのカソード溶液を調製した。第一のPA1は、媒介体、即ち0.8M硫酸バナジウム(IV)と、二個のバナジウム原子を包含する触媒、即ち0.055MのH
5PMo
12V
2O
40を含んでいた。PA1を通して、2時間、酸素を発泡させ、媒介体中のバナジウムを+5酸化状態に酸化した。
【0059】
第二のPA2は、触媒が、二個だけの代わりに、三個のバナジウム原子を包含するH
5PMo
9V
3O
40であったことを除いて、PA1と全く同じやり方で調製した。
【0060】
これら4つのカソード液の性能を、酸化還元再生式カソードと水素アノードを使用して比較した。E−TEK(デノラ(De Nora)、ドイツ)由来の白金化気体拡散層、125mmNafion(登録商標)膜(DuPont)を用いたイオンパワー社(Ion Power Inc)由来の1/2MEAを伴う、市販のアノードを使用した。システム間の直接の比較を可能にするため、同一の水素及び酸素の流速を使用した。カソード液と電池の温度も、全ての測定に対して同じ温度に維持した。
【0061】
カソードとして、網目状ガラス質炭素(RVC)電極を使用した。カソード溶液を、溶液を通して酸素の気泡が送られ、再酸化が起こることができる加熱された貯蔵槽に通る前に、この電極を通してポンプで送った。合計の液体容積は500cm
3であった。カソードを、
図2に示した様に組立てた。膜組立部を、次いで、カソード組立部の上に置き、アノード配列部(カソード配列部に類似する)を、膜の他の側に置いて、電池を完成した。
【0062】
電池に対して種々の負荷をかけることにより、十分な再生速度を達成して無限に電池の作動を維持しながら、電池から引き出せる最大の電流を樹立することができた。最大電流密度を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
INV1及びINV2が、従来技術のカソード液よりずっと高い作動電流を保持できることが明らかに見てとれる。
【0065】
図2は、INV1及びINV2が、従来技術のカソード液と同程度の電池電圧及び電流密度を維持することを示す。INV2の電池作動電圧は従来技術のカソード液より幾分低いが、INV2(及びINV1)が達成できる迅速な再酸化速度に起因して、本発明のカソード液は、電池から引き出すことができる、保持可能な電流範囲を大幅に増大させる。
【0066】
図3は、更に、本発明に従う燃料電池が、比較例に対して、電池の作動中の電流密度を、長時間にわたり、改良された範囲に維持できることを実証する。
【0067】
実施例2 ポリオキソメタレートの濃度の効果
使用した電池は全ての実験で同じであり、100ppi RVC カソードと共にイオンパワーNafion 115 MEAを利用し、75℃で作動させた。
【0068】
本発明に係る、濃度が異なるポリオキソメタレート系の電気化学的性能を試験した。ポリオキソメタレートカソード液は、H
3Na
3PMo
9V
3O
40(V
3ポリオキソメタレート)、及びH
3Na
4PMo
8V
4O
40(V
4ポリオキソメタレート)であった。
図4及び5に、それぞれ、V
3及びV
4の電流−電圧曲線を示す。V
3及びV
4ポリオキソメタレートの両者に対して、濃度0.2Mを超えるときの性能に、殆ど差は見出せない。しかしながら、両方のポリオキソメタレートは、濃度0.1Mで顕著に低い性能を示す。本発明に係るカソード溶液におけるPOM濃度の有効な下限は、異なるポリオキソメタレート系に対して異なる可能性があるが、0.075Mが、本発明に係るカソード溶液におけるPOM濃度の下限を表すと考えられる。
【0069】
実施例3 バナジウム含量が異なるポリオキソメタレート
このデータは、バナジウム含量が異なる本発明に係るポリオキソメタレートの、電気化学的及び再生性能の比較を示す。使用したポリオキソメタレートは、以下の通りであった。
H
3Na
2V
2ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
2PMo
10V
2O
40
H
3Na
3V
3ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
3PMo
9V
3O
40
H
3Na
4V
4ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
4PMo
8V
4O
40
H
3Na
5V
5ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
5PMo
7V
5O
40
【0070】
使用した電池は、全ての実験で同じであり、100ppi RVC カソードと共にイオンパワーNafion 115 MEAを利用し、75℃で作動させた。空気を、1000ml/分の流速で使用して、カソード液を再生させた。
【0071】
図6に、上記ポリオキソメタレート系の電流−電圧曲線を示す。ポリオキソメタレートの電気化学的性能は、V
2ポリオキソメタレートが最強の性能を表し、V
2→V
5の順に並ぶことが見てとれる。
【0072】
各電池ポリオキソメタレート系について、0.0194オームの抵抗を通して電池を放電させた。保持された電流密度を記録し、ポリオキソメタレート系の再生特性を検査した。良く機能するポリオキソメタレート系は一定の高い電流を保持できるはずである。試験の間、V
5ポリオキソメタレートは、使用中に析出を始めたことが観察された。この析出は、その後進行し、流れ系を塞いだ。明らかに、これは、この特定のV
5系を、これら用途の使用に対して不適切にする。
【0073】
残る三つの系の性能データを
図7に示す。明らかに判る通り、V
3及びV
4の系は、両者とも、試験の間中、定常電流を維持できた。V
2ポリオキソメタレート系は、直ぐに低下し始め、ポリオキソメタレートの過度の還元を防ぐため、早期に実験を中断した。
【0074】
実施例5 酸性型のカソード液
ナトリウムイオンをプロトンにイオン交換して、酸性化された型のV
3及びV
4ポリオキソメタレートを調製した。交換には、少し過剰のイオン交換樹脂(Dowex−50)を使用して、全てのNa
+イオンをH
+イオンに交換することを目指した。イオン交換を確実に有効なレベルにするため、この手順を二回行った。イオン交換のレベルを決定するために、交換されたポリオキソメタレートをNaOHで滴定して、ポリオキソメタレート溶液の中和に要するナトリウムを決定した。全てプロトン化された型のV
2ポリオキソメタレートを、構成成分であるバナジウム及びモリブデン酸化物から直接合成した。全てナトリウム型のV
4ポリオキソメタレートを、炭酸ナトリウムと共に、バナジウム及びモリブデン酸化物から直接合成した。
【0075】
使用した、種々のポリオキソメタレートカソード液は以下の通りであった。
H
3Na
2V
2ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
2PMo
10V
2O
40
H
5V
2ポリオキソメタレート:0.3M H
5PMo
10V
2O
40
H
3Na
3V
3ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
3PMo
9V
3O
40
H
4.5Na
1.5V
3ポリオキソメタレート:0.3M H
4.5Na
1.5PMo
9V
3O
40
H
3Na
4V
4ポリオキソメタレート:0.3M H
3Na
4PMo
8V
4O
40
H
5Na
2V
4ポリオキソメタレート:0.3M H
5Na
2PMo
8V
4O
40
Na
7V
4ポリオキソメタレート:0.3M Na
7PMo
8V
4O
40
【0076】
実験の他の組と同様に、電池は、100ppi RVC カソードと共にイオンパワーNafion 115 MEAを利用し、75℃で作動させた。
【0077】
図8に示した電流−電圧曲線は、ポリオキソメタレートイオン当たりプロトンが三個のポリオキソメタレートと、酸度が増加したものとの間の、電気化学的性能差を示す。H
5V
2ポリオキソメタレートに関する電流−電圧データは、他のデータと直接比較はできない。このデータは新たに合成されたポリオキソメタレートから得たが、全ての他のデータは、予め還元して、その最高酸化レベルまで(これは、新たに合成されたポリオキソメタレートのそれより常に低い)再酸化しなおしたポリオキソメタレートから得たためである。これをH
5V
2ポリオキソメタレートについて実行することは、全く再酸化されないため、不可能であった。
【0078】
図9から、V
3及びV
4両ポリオキソメタレートに関して、プロトン濃度がより高い型は、より高いNa
+含量を伴うポリオキソメタレートほど高い電流密度を維持しないことが見て取れる。酸性化されたV
4ポリオキソメタレートは、(より低い)定常電流をまさに維持し、酸性化されたV
3ポリオキソメタレートは、定常状態点に向かって進んでいるように見える。酸性化されていない、及び、混合イオンではないV
2ポリオキソメタレートは、この電流密度を保持できないが、混合イオンV
2ポリオキソメタレートは、開回路に戻ったとき、再生することができた。
【0079】
図10は、負荷を0.0033Ωに減らし、H
5.5Na
1.5V
4ポリオキソメタレート:0.3M H
5.5Na
1.5PMo
8V
4O
40と比較して、H
5Na
2V
4ポリオキソメタレート:0.3M H
5Na
2PMo
8V
4O
40に対してより高い電流を得た以外は、
図9と同様の条件下のデータを示す。前者の系は、上記の手順を使用して五回イオン交換を行うことにより調製した。
図10の条件下で、酸含量がより高いポリオキソメタレートポリマーは、利用できる電流を減らしながら、より低い速度で、空気で再生する。
【0080】
これらのバナジウムポリオキソメタレートにおいて、過剰に増大したプロトン含量は、特に対イオンがプロトンだけの場合、空気からの酸素とのより遅い再生反応に起因して性能をより低下させ得ること、及び、実際に、完全にプロトン対イオンのV
2ポリオキソメタレートは再生速度が極端に遅いことが明らかである。
【0081】
図11の「Na7ポリオキソメタレート」のグラフは、Na
4H
3V
4ポリオキソメタレートと比較した、全ナトリウム(Na
7)V
4ポリオキソメタレートの電流/電圧特性を示す。全ナトリウム型の電気化学的性能は混合対イオンポリオキソメタレートのそれより劣り、本発明の燃料電池における使用を幾分不適切にしていることが見て取れる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】本発明に従う燃料電池のカソード区画の模式図である。
【
図2】本発明の燃料電池と従来技術のそれらとの、若干の比較試験の結果を示す。
【
図3】本発明に従う燃料電池で達成できる、時間経過に対する電流密度の安定性を実証する更なる比較データを示す。
【
図4】本発明に係るV
3カソード液系における、ポリオキソメタレート濃度の増加の効果を実証するデータを示す。
【
図5】本発明に係るV
4カソード液系における、ポリオキソメタレート濃度の増加の効果を実証するデータを示す。
【
図6】バナジウム含量が異なるポリオキソメタレートを伴う、本発明に係るカソード液に対する電流−電圧曲線を示す。
【
図7】
図6からの、より良く作動するの3つ系に対する、更なる性能データを示す。
【
図8】酸含量が異なるポリオキソメタレートを伴う、本発明に係るカソード溶液の間の、電気化学的性能の差を示す。
【
図9】
図8のカソード溶液に対する更なる性能データを示す。
【
図10】酸含量が異なる、V
4ポリオキソメタレートカソード溶液に対する更なる性能データを示す。
【
図11】Na
4H
3V
4ポリオキソメタレートと比較した、全ナトリウム(Na
7)V
4ポリオキソメタレートの電流/電圧特性を示す。