特許第5773362号(P5773362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773362
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20150813BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20150813BHJP
   H02K 21/12 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H02J15/00 A
   H02K7/18 A
   H02K21/12 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-236368(P2011-236368)
(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公開番号】特開2013-98999(P2013-98999A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(72)【発明者】
【氏名】田代 晋久
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−262058(JP,A)
【文献】 特開平8−177856(JP,A)
【文献】 特開2001−54269(JP,A)
【文献】 特開2004−211707(JP,A)
【文献】 特開2005−48829(JP,A)
【文献】 特開2005−180311(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0082158(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 15/00
H02K 7/18
H02K 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形のスペーサ部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した磁界発生モジュールと、コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、
前記磁界発生モジュールは、軸線の回りに回転自在に支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回転させ、
前記コイル部材は、前記磁界発生モジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置として、前記スペーサ部材に近接する位置と、前記スペーサ部材から離隔した退避位置との間において移動可能に設けられていることを特徴とするエネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記電力回収モジュールは、前記コイル部材により回収された電気エネルギーを利用する負荷を備えることを特徴とする請求項1記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
前記電力回収モジュールは、前記磁界発生モジュールが発生する磁界の周波数に合わせて、前記コイル部材のインピーダンスと前記負荷のインピーダンスとを整合する機能を備えることを特徴とする請求項2記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
前記磁界発生モジュールは、前記駆動部との連繋を遮断可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
前記磁界発生モジュールは全体として円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、環境によって大きく変動する利用可能なエネルギーを、可能な限り有効に運動エネルギーとして貯蔵し、必要に応じて磁気エネルギーを媒体として非接触給電できるエネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エナジーハーベスティングとは、身の回りの光や振動、熱などを電力として回収して利用する技術をいう。
この技術は、利用可能な量に限りのある化石燃料と異なり、無尽蔵に存在する自然エネルギーを利用可能なため、次世代のエネルギー源として近年注目されており、IDTechExによると、エナジーハーベスティング技術の市場は、2020年には$4.4b(2010年では$605m)に急成長すると予測されている。
一方、エナジーハーベスティング技術では、太陽光などの自然エネルギーを用いるため、周囲の天候等によって回収できるエネルギー量が大きく変動するという課題がある。このため、エナジーハーベスティング技術を用いて安定した電力を供給するためには、併せてエネルギー貯蔵技術についても議論される必要がある。
【0003】
一般的なエネルギー貯蔵技術として、キャパシタに電気エネルギーを蓄える方式が挙げられる。これは必要な設備が簡便であり、また安価であることからこれまでに広く普及している(特許文献1、2)。また、高効率なエネルギー貯蔵技術としては、超伝導を用いて電気を磁気エネルギーとして貯蔵するSMES(超導磁気エネルギー貯蔵)が挙げられる(特許文献3、4)。また、エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵する方式としては、フライホイールが挙げられる。この技術では、エネルギーを回転エネルギーとして貯蔵するため、装置の構成をコンパクトにすることが可能である。また、このエネルギーを、電気エネルギーとして取り出す場合には、装置に発電機を直結しておき、磁気を介してエネルギーを取り出すフライホイールバッテリーという手法が一般的である(特許文献5、6)。
本発明者はこれまで、磁気を用いた装置開発について発明を行っている(特許7、8、9)。エネルギーを電気として取り出す場合、エネルギーを貯蔵する媒体にはキャパシタに代表されるように電界(電気)エネルギーは利用しやすい。一方、絶縁破壊を起こす電界強度が存在するため、体積当たりに貯蔵可能なエネルギー量は磁気に比べてはるかに小さい。磁気もエネルギー源の一つと考えた場合、その利用可能なエネルギーは磁界振幅の大きさに依存する。永久磁石を用いて大きな磁界振幅を利用する方法の一つとして、複数の永久磁石を対向配置(互いに反対の磁極が対抗するように直列に組み合わせて配置)して構成した同軸上の磁石部材により、永久磁石のギャップ周辺において径方向に大きな磁界を発生可能な手法が知られている。これを応用し、磁石部材の周囲を囲む複数のコイルを軸方向に並べたコイル部材を備えたリニアモータ装置が知られている(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−145143号公報
【特許文献2】特開2011−119440号公報
【特許文献3】特開2005−341754号公報
【特許文献4】特開2008−237018号公報
【特許文献5】特開2005−048829号公報
【特許文献6】特開2005−180311号公報
【特許文献7】特開2004−179550号公報
【特許文献8】特開2005−093452号公報
【特許文献9】特開2009−300392号公報
【特許文献10】特開平10−313566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的なキャパシタは、充放電を繰り返すことにより劣化することや、時間によって自己放電してしまい、長時間の蓄電ができない等の問題がある。また、SMESは、超伝導の状態を維持するために、冷媒を用意する必要があり、また、超伝導コイルは電気の入出力の際に交流損失が発生するため、システム維持に大きなコストが必要となり、大型システムでないと実用的に成立しないという問題がある。また、フライホイールバッテリーは、システムの構成上、発電機を直結させる必要があることから、数kW以上の大電力を扱うのには適しているが、小さな電力を扱うのが困難であるという問題がある。
【0006】
本出願は、上記課題を解決するためになされたものであり、低コストであり、かつ小さな電力をロスなく貯蔵、放電することが可能なエネルギー貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエネルギー貯蔵装置は、一対あるいは複数対の永久磁石を、同極どうしを対向させるとともに軟磁性材からなる歯車形のスペーサ部材を永久磁石の端面間に介在させて、永久磁石とスペーサ部材とを一体形成した磁界発生モジュールと、コイル部材を有する電力回収モジュールとを備え、前記磁界発生モジュールは、軸線の回りに回転自在に支持され、貯蔵したいエネルギー源を用いて駆動部を介して回転させ、前記コイル部材は、前記磁界発生モジュールから発生する交流磁界と鎖交する配置として、前記スペーサ部材に近接する位置と、前記スペーサ部材から離隔した退避位置との間において移動可能に設けられていることを特徴とする。
なお、複数対の永久磁石とは、スペーサ部材を複数個備える場合で、スペーサ部材ごとに永久磁石が対向配置されているという意味である。また、磁界発生モジュールは直接的に駆動部に連繋して設ける場合と、間接的に連繋して設けられる場合がある。
本発明は、永久磁石を対向配置することにより、中心軸に対して径方向に大きな磁界を発生させることが可能であること、スペーサ部材の形状により周囲の径方向磁界の大きさに変動を持たせることが可能であること、磁界発生モジュールを回転させることで回転中心軸に対して径方向に交流磁界を発生可能であること、磁界空間中に回転中心軸から径方向から近づけたコイル部材を置くことにより高い電力密度で高効率にエネルギーを回収することが可能になるとの知見に基づく。すなわち、自然エネルギーなどを利用して、軸線の回りで回転する回転体として駆動される磁界発生モジュールの回転エネルギーを、コイル部材を介して電気エネルギーとして回収して利用する。なお、コイル部材としては適宜ターン数の空心コイルが好適に使用できる。
【0008】
本発明に係るエネルギー貯蔵装置は、二つのモジュールから構成される。第一のモジュールは磁界発生モジュールであり、軸線方向に着磁された永久磁石を対向配置し、その間に歯車形状に加工した軟磁性材からなるスペーサ部材を挟みこむことで、径方向磁界の分布に強弱を持たせた構造を有する。
回転エネルギーを回収するという発想は、水力、風力発電に代表される技術で古くから行われているが、通常、こうした技術は、発電した電力をすぐに系統へ送るか蓄電池に貯めるという手法をとるため、水量、風量が小さい場合には極めて効率が悪いか回転エネルギーを得ることができない。この点、本出願に係る第一のモジュールによれば、理論上空気抵抗と軸受の損失のみで回転エネルギーとして蓄えておくことができ、必要な時に磁界発生モジュール対して非接触でエネルギーを取り出すことが可能になる。
【0009】
第二のモジュールは電力回収モジュールであり、コイル部材を備える。このモジュールによれば、渦電流による発熱や電力損失を受けにくい低周波磁界を利用することが可能である。この第二のモジュールでは、電力の回収にコイル部材(空心コイル)を用いるため、磁界振幅の2乗に比例する電力を回収することが可能になる。第一のモジュールを回転させることで周囲に変動磁界を発生し、第二のモジュールにより非接触で磁界のエネルギーを回収することが可能になる。
【0010】
電力回収モジュールとしてコイル部材に負荷を接続することにより、コイル部材により回収された電気エネルギーを負荷に供給できる。
【0011】
磁界発生モジュールは、この磁界発生モジュールを軸線の回りに回転駆動する駆動部に連繋する構成とする。駆動部のエネルギー源として風力や水力等の自然エネルギーを利用することにより、自然エネルギーを有効活用することができる。
【0012】
前記一対の永久磁石に円柱磁石あるいは円筒磁石を使用し、磁界発生モジュール全体を円柱状とし、中心に軸を設けて中心の回りに自由回転可能にすることにより効率的に回転エネルギーを保持することができる。永久磁石の大きさは限定されるものではなく、多角柱状、多角筒状とすることもできる。回転体としての慣性を大きくするために錘をつけることも可能である。
【0013】
本出願に係るエネルギー貯蔵装置は、磁石と磁性材料、コイルから構成されるため、安価であり、構成が容易である。また、磁界発生モジュールは3600rpm以下といった低速回転で利用することを想定しており、渦電流損が小さく、少ない電力ロスで使用することが可能である。また、コイル部材のインピーダンスと負荷のインピーダンスを整合することにより、共振現象を利用できれば、最大電力供給の定理より最適な電気エネルギーの供給が可能である。
【0014】
なお、低周波磁界を利用することで、生体への影響が懸念される(ICNIRP2010による生体への電磁界ガイドライン値は200μT)が、磁界発生モジュールが発生する磁界は、距離が離れると2つのダイポール磁気モーメントと仮定できるため、距離の3乗で反比例して減衰する。そのため適宜距離を離すことで、生体への磁界曝露の基準を解決できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエネルギー貯蔵装置によれば、低コストかつ電力ロスの少ない高効率なエネルギー貯蔵、回収を行うことが可能なエネルギー貯蔵装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エネルギー貯蔵装置の構成を示す模式図である。
図2】磁界発生モジュールの組み立て斜視図である。
図3】同極を対向して永久磁石を配置した際の磁界を示す説明図である。
図4】エネルギー貯蔵装置の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(エネルギー貯蔵装置の構成)
図1は、本発明に係るエネルギー貯蔵装置の構成例を示す。本実施形態のエネルギー貯蔵装置は、磁界発生モジュール10と、電力回収モジュール40とを主要な構成とする。
磁界発生モジュール10は、歯車状に形成した軟磁性材からなるスペーサ部材12と、同極を対向してスペーサ部材12を端面間に挟む配置(対向配置)に設けた永久磁石14、15とを備える。磁界発生モジュール10は、永久磁石14、15の端面にスペーサ部材を介してさらに永久磁石を対向配置して組み立てることもできる。
【0018】
(磁界発生モジュール)
図2に磁界発生モジュール10の組み立て斜視図を示す。永久磁石14、15は、ともに、同一寸法の円筒形に形成したもので軸線方向に着磁されている。図示例では、永久磁石14、15はN極を対向させて配置しているが、S極を対向させて配置してもよい。永久磁石14、15を円筒形としているのは磁界発生モジュールを回転支持する非磁性の回転中心軸11を中心に配置するためである。永久磁石14、15を単に円柱形として軸を設けることも可能である。
スペーサ部材12は、周方向に均等に4個の歯部12aを形成したもので、隣接する歯部12aの中間は凹部12bとなっている。スペーサ部材12の、歯部12aの外径は永久磁石14、15の外径と同一である。
スペーサ部材12と永久磁石14、15との中心を一致させ、永久磁石14、15によりスペーサ部材12を厚さ方向に挟む配置として一体化することにより、全体として円柱体状の磁界発生モジュール10が得られる。
【0019】
図3は、同極を対向させて永久磁石14、15を配置した場合に、永久磁石の端面間で、径方向に強い磁束密度の磁界が発生することを示している。ネオジウム磁石といった強力な永久磁石を対向配置させて配置することで、1T程度の磁束密度を発生させることは容易に可能である。
スペーサ部材12を歯車状としているのは、対向配置とした永久磁石14、15の同極間において径方向に発生する磁界の分布を、周方向に強弱が生じるようにするためである。スペーサ部材12の歯部12aを形成した部位における磁束密度は、凹部12bにおける磁束密度よりも強くなり、これによって周方向の磁界強度が周期的に変化する。
【0020】
スペーサ部材12は、永久磁石14、15の同極間の磁界の分布が周方向に周期的に変化するようにするものであるから、歯部12aの個数は複数(2個以上)であればよく、歯数が限定されるものではない。また、歯部12aの形状も限定されない。スペーサ部材12は永久磁石14、15の同極間に生じる磁界を効率的に外部に導出する作用をなす。したがって、スペーサ部材12には軟磁性材を用いればよい。スペーサ部材12には、安価で飽和磁束密度の高い電磁軟鉄等の磁性材料が好適に用いられる。
【0021】
(支持部)
本発明に係るエネルギー貯蔵装置においては、全体形状を円柱体状とした磁界発生モジュール10を回転自在に支持し、磁界発生モジュール10に加えられた外力をフライホイールのように回転エネルギーとして貯蔵する。
図1において、破線のブロックによって示した支持部20および21は磁界発生モジュール10を回転軸50a、50bの回りに回転自在に支持する支持部である。支持部20、21は磁界発生モジュール10を中間に配し、支持部材52により相互に連結して固定化されている。回転体を支持する構造(軸受)には、機械的な軸受構造、流体を用いるもの、磁気を利用するもの等、さまざまな構造が知られている。支持部20および21は、磁界発生モジュール10の回転エネルギーのロスをできるだけ抑えて支持する構成とすればよい。
なお、支持部20あるいは支持部21の一方のみを用いて磁界発生モジュール10を回転自在に支持する構成とすることもできる。支持部20および21の両者に磁気軸受を利用する場合には理論上安定動作が行えないため、アクティブ制御を行う必要がある。
【0022】
(駆動部)
図1に示すように、磁界発生モジュール10は磁界発生モジュール10を軸線の回りで回転駆動する駆動部30に連繋して設けられる。駆動部30に利用できるエネルギー源としては、水力、風力、波力といった自然エネルギーが考えられる。駆動部30は風力によって回転駆動されるローターのようにエネルギー源の作用により直接的に駆動されるものであってもよいし、エネルギ―を一度電気エネルギーに変換し、ギアやモータ―を用いて間接的に駆動する構成としても良い。駆動源とこれらの自然エネルギーの作用を磁界発生モジュール10に、直接的あるいは間接的に連繋することにより磁界発生モジュール10を回転駆動することができ、磁界発生モジュール10に加えられた駆動力(エネルギー)は磁界発生モジュール10の回転エネルギーとして貯蔵される。また、磁界発生モジュール10と駆動部30との連結を遮断可能とし、適時に駆動部30と磁気発生モジュール10とを連繋して駆動部30による回転力が磁界発生モジュール10に作用するようにしてもよい。もちろん、駆動部30のエネルギー源は自然エネルギーに限るものではなく、人工的なエネルギーを利用することも可能である。
図1において、駆動部30を破線のブロックとして示したのは、駆動部30のエネルギー源や駆動機構が限定されるものではないことを意図している。
【0023】
(電力回収モジュール)
電力回収モジュール40は、磁界発生モジュール10の回転エネルギーとして蓄えられているエネルギーを回収する手段である。電力回収モジュール40にはコイル部材を用いる。コイル部材は磁界発生モジュール10と相互作用して誘導起電力を発生させ、負荷に電流を流す。これによって磁界発生モジュール10の回転エネルギーを電気エネルギーとして回収する作用をなす。なお,磁界発生モジュールが発生する磁界の周波数に合わせて電力回収モジュールのインピーダンス整合をすることで、共振現象が利用できる。すなわち、最大電力供給の定理により,最適な電気エネルギーを負荷に供給可能である。
図1に示す電力回収モジュール40は、コイル部材として1ターンの空心コイル42を使用する例であるが、複数ターンの空心コイルを使用してもよい。
空心コイル42は磁界発生モジュール10のスペーサ部材12の外面に近接する位置(図のA位置)、すなわちエネルギーを回収する位置と、磁界発生モジュール10の作用を受けない退避位置(図のB位置)との間を移動可能である。回収位置に空心コイル42を位置させる際は、磁界発生モジュール10のスペーサ部材12による磁界と鎖交する配置とする。
【0024】
図1では、空心コイル42の退避位置を近接位置(回収位置)から磁界発生モジュール10の回転中心軸に対し径方向に遠ざけて示しているが、空心コイル42の退避位置は磁界発生モジュール10の作用を受けない位置であれば任意の位置でよい。
空心コイル42を近接位置(回収位置)と退避位置との間で移動させる移動手段としては何らかの外力を利用して移動させる方法が利用できる。手動によって空心コイル42を移動させることも可能である。
【0025】
空心コイル42には負荷44を接続する。この負荷44は空心コイル42によって回収された電力を利用して動作させる機器の意である。負荷44としてキャパシタ等の電気エネルギーを貯蔵する機器を使用することも可能であるが、磁界発生モジュール10自体がエネルギーを貯蔵する作用を有しているから、回収した電気エネルギーを利用する装置とするのがよい。
【0026】
(エネルギー貯蔵装置の作用)
図4は、本実施形態のエネルギー貯蔵装置の作用を示している。
前述したように、磁界発生モジュール10では、スペーサ部材12を介して、周方向に強弱に分布する磁界(図の矢印)が発生するから、駆動部30の作用により磁界発生モジュール10が回転すると、回収位置で鎖交配置した電力回収モジュール40である空心コイル42に交流の誘導起電力が発生し負荷44に電流を流す。すなわちこの空心コイル42は磁界エネルギーを電気エネルギーに変換し負荷44に供給する。
【0027】
空心コイル42は回収位置と退避位置との間で移動可能であるから、電力を回収して利用する際に空心コイル42を回収位置に移動させてエネルギーを回収し、電力を利用しない際には退避位置に置いておけばよい。
空心コイル42を回収位置に移動させて磁界発生モジュール10からエネルギーを回収する作用は、磁界発生モジュール10の回転エネルギーを電気エネルギーとして回収することに他ならない。したがって、駆動部30によるエネルギーの補充がなされないと、磁界発生モジュール10は減速する。
本エネルギー貯蔵装置では、磁界発生モジュール10からエネルギーを回収する際にのみ、空心コイル42を回収位置に移動させてエネルギーを取り出すから、駆動部30によりエネルギーを補充しながら、もっとも効率的にエネルギーを回収する構成となっている。
【0028】
駆動部30の駆動源として自然エネルギーを利用する場合には、磁界発生モジュール10には回転エネルギーが永続的に補充されるから、電力回収モジュール40を介してエネルギーを取り出すことが可能である。一方、自然エネルギーは利用可能なエネルギー供給量が変動するため、エネルギーを供給するはずの駆動部30がエネルギーを消費してしまう場合がある。磁界発生モジュール10に安定的にエネルギーを供給するため、複数の自然エネルギー源を用いることが好適である。また、磁界発生モジュール10の回転数と駆動部30に供給されるエネルギーを監視するセンサを配置し、その情報を元に駆動部30と磁界発生モジュール10との連結を遮断して駆動部30でのエネルギー消費を避ける。
磁界発生モジュール10と電力回収モジュール40を組み合わせてエネルギーを回収するエネルギー貯蔵装置には、いろいろなエネルギー源を利用することが可能であり、複数台のエネルギー貯蔵装置をシステム的に組み合わせて制御しながら利用することが可能である。このように、複合的なエネルギー回収システムを構築することによって、より安定的に、かつ効率的にエネルギーを回収することが可能になる。
【0029】
本発明に係るエネルギー貯蔵装置は、磁界発生モジュール10の回転速度としては3600rpm(60Hz)程度を上限として想定している。このような低速回転でのエネルギー回収は、空心コイル42を用いてエネルギーを回収する際に渦電流ロスを抑えて効率的にエネルギーを回収できるという利点がある。
エネルギー貯蔵装置は、電力回収モジュール40として空心コイル42を使用し、磁界発生モジュール10は永久磁石を組み合わせて構成するという簡易な構成からなり、配線や電池交換が不要であるといったことから、自然エネルギーのような微小なエネルギーを回収する装置として好適に利用することができる。また,災害時等は,手動により駆動部30を介して磁界発生モジュール10を回転させ,回転エネルギーを蓄え,必要に応じて手動により電力回収モジュール40を用いることで電気エネルギーを得ることもできる。
【0030】
自然エネルギーの活用はこれからの未来に必須な技術であるが、利用可能な自然エネルギーは環境によって大きく変動する。例えば太陽電池の回収可能な体積当たりの電力密度は直射日光の下で15,000μW/cm3、曇りの日の条件下で150μW/cm3、室内では6 μW/cm3程度といった代表値が知られている。本発明はこうした変動の激しい利用可能なエネルギーを、可能な限り有効に運動エネルギーとして貯蔵し、体積当たりのエネルギー密度が高い磁気を媒体として非接触で電力としてエネルギーを伝送するエネルギー貯蔵装置の提案である。
【符号の説明】
【0031】
10 磁界発生モジュール
12 スペーサ部材
12a 歯部
12b 凹部
14、15 永久磁石
20,21 支持部
22 永久磁石(第2の永久磁石)
23 永久磁石(第3の永久磁石)
30 駆動部
40 電力回収モジュール
42 空心コイル
44 負荷
50a、50b 回転軸
52 支持部材
図1
図2
図3
図4