(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電池連結構造体が、第一の板状部と、前記第一の板状部の幅方向の両端部に一体に結合し、前記第一の板状部の両面に対して略垂直方向に延びる第二の板状部とを有した電池保護部材を備え、
前記第一の板状部に前記扁平状電池を載置したものであることを特徴とする請求項1記載の電池パック
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電池パックを構成する単位電池100を示す図である。この単位電池100としては、リチウムイオンが負極と正極とを移動することにより充放電が行われるリチウムイオン二次電池が用いられる。
また、本発明の単位電池100は、その形状が扁平であるので扁平状電池とも称す。
単位電池本体部110は、複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層された積層電極体、および電解液(いずれも図示しない)が、平面視で矩形のフィルム状外装材内に収容された構造となっている。そして、単位電池本体部110の上端部111からは、正極引出タブ120及び負極引出タブ130が引き出されている。
【0012】
正極引出タブ120及び負極引出タブ130は、いずれも平面状で、フィルム状外装材内において、それぞれ、シート状正極、シート状負極と直接またはリード体などを介して接続されている。フィルム状外装材は、電池内側となる面に熱融着樹脂層を有し、電池外側となる面に保護フィルムを積層したアルミニウム箔等の金属箔に積層したフィルム状外装材が用いられる。
具体的には、アルミニウム箔の外面側に位置する面には、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の強度、および耐熱性を有する部材を、内面側には、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱融着性が良好な材料をそれぞれ積層したものを用いることができる。
【0013】
フィルム状外装材によって、正極および負極をセパレータを介して積層した電池要素、および電解液を、内部に収容した状態でフィルム状外装材の周囲すなわち、上端部111、下端部112、2つの側端部113が熱融着されることで、その内部が密閉されている。
上記のような単位電池100においては、正極引出タブ120の材質としてはアルミニウムまたはアルミニウム合金が、また、負極引出タブ130の材質としては、ニッケル、ニッケルメッキをした銅、ニッケル−銅クラッドが一般的に用いられている。本実施形態においては、アルミニウム製の正極引出タブ120が、また、ニッケル製の負極引出タブ130がそれぞれ用いられている。
【0014】
本発明に係る電池パックを構成する上では、単位電池100の正極性の引出タブと、この単位電池100に隣り合う単位電池100の負極性の引出タブとを、ボルトナットによって機械的に締め付けることで固着し、電気接続を行う。ここで、単位電池100のアルミニウム製の正極引出タブ120と、ニッケル製の負極引出タブとを機械的に固着させる構成では、電位差の問題により所定の年月が経過した後の導電性が劣化する可能性がある。そこで、本発明に係る電池パックにおいては、単位電池100の正極性の引出タブと、この単位電池100に隣り合う負極性の引出タブとを機械的に固着する箇所においては、ニッケル製部材同士が接触するようにして、引出タブ同士を連結した。
このための構成について説明する。
図1に示すように、電池パックを構成する上では、単位電池100におけるアルミニウム製の正極引出タブ120は上端部111から長さaとされ、ニッケル製の負極引出タブ130は上端部111から長さb(b>a)とされる。次に、長さaのアルミニウム製の正極引出タブ120に対しては、上端部111からの長さがbとなるように、ニッケル製のタブ部材125が超音波溶着によって接合され、継ぎ足される(
図2、
図3参照)。単位電池100同士を直列接続するために、正極性の引出タブとしてのタブ部材125には穴127が設けられ、負極引出タブ130には穴137が設けられる。なお、以下、タブ部材125が接合されて形成された引出タブ全体を、正極引出タブ120と称することもある。
後述するように、本発明に係る電池パックにおいては、複数の単位電池100を電気接続する上では、ニッケル製部材同士(タブ部材125、負極引出タブ130)が接触するようにして、異なる極性の引出タブ同士を連結するので、隣り合う単位電池同士の電気接続部は、同種の金属材料による電気接続となり、電位差の問題がなく、年月の経過による導電性の劣化が発生することがほとんどなくなる。
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る電池パックにおいて、複数の単位電池100の正極性の引出タブと負極性の引出タブとを電気接続する上で用いられるホルダ部材200について説明する。
図4はホルダ部材200を説明する図であり、
図4(A)は第1の主面側からホルダ部材200を見た図であり、
図4(B)は第2の主面側からホルダ部材200を見た図であり、
図4(C)は
図4(A)のX−X’断面を示す図であり、
図4(D)はホルダ部材200を側面から見た図である。
ホルダ部材200は、第1面210と、この第1面210と表裏の関係にある第2面250が形成されてなるABS樹脂などの合成樹脂製の部材である。ホルダ部材200の第1面210の第1列211には、
図4(A)でみて、上から下に引出タブ挿通穴215が並んで形成されている。同じく、第1面210の第2列212側にも、上から下に引出タブ挿通穴215が並んで形成されている。ホルダ部材200に単位電池100を取り付けられる際には、この第1面210側に設けられた引出タブ挿通穴215が利用される。引出タブ挿通穴215は、第1面210側から第2面250側に貫通する穴で、単位電池100の引出タブを挿通可能な穴である。
【0016】
図4(A)で見て、第1列211及び第2列212の上側、下側には、引出タブ案内リブ203が設けられている。また、第1列211側の引出タブ案内リブ203に挟まれるようにして引出タブ引回部213が、また、第2列212側の引出タブ案内リブ203に挟まれるようにして引出タブ引回凹部214が設けられている。
第1列211側においては、引出タブ案内リブ203による規制に基づいて、直列接続される複数の単位電池100のうちの端部側の単位電池100の引出タブが、第1面210側から第2面250側に、引出タブ引回部213を通るようにして、案内されるようになっている。
また、第2列212側においては、引出タブ案内リブ203による規制に基づいて、直列接続される複数の単位電池100のうちの端部側の単位電池100の引出タブが、第1面210側から第2面250側に、引出タブ引回凹部214を通るようにして、案内されるようになっている。
【0017】
直列接続される複数の単位電池100のうち、端部側にない単位電池100の引出タブは、引出タブ挿通穴215に挿通するようにして、ホルダ部材200に取り付けられる。この引出タブ挿通穴215の上下(
図4(A)で見て)には、これを上下から挟むような引出タブガイド突状部220が設けられている。この引出タブガイド突状部220は、頂部221とこれに連なる2つのテーパー側面222とにより概略構成されており、単位電池100の引出タブを引出タブ挿通穴215に挿通させようとする際には、2つのテーパー側面222で挟まれる空間が徐々に狭くなるようになっており、単位電池100のホルダ部材200への取り付けが容易となっている。このため、複数の単位電池100を直列に接続する際の作業効率が向上し、生産性を高めることができる。
【0018】
ホルダ部材200の第2面250においては、基板300が取り付けられるようになっている。この基板300上で、隣り合う単位電池100の引出タブ同士が折り重ねられて、連結され、導通が図られる。隣り合う単位電池100の引出タブ同士を連結する際には、ボルトナットによる機械的な固着によるが、このためのナット256を収容するためのナット収容部255が第2面250側の第1列211側に6個、第2列212側に5個設けられている。また、第2面250側においては、基板300上に形成される単位電池100の引出タブ連結部間、或いは、引出タブ連結部と引出タブとの間の絶縁を確保するための仕切り片260が、第1列211側に3箇所、第2列212側に2箇所設けられている。
位置合わせ用突起部263は、基板300をホルダ部材200に取り付ける際の位置合わせに用いられる突起で、第1列211側及び第2列212側のそれぞれに1つずつ配されている。また、上記の位置合わせ用突起部263を用いて、基板300をホルダ部材200に取り付けた後に、基板300とホルダ部材200とを固着するために利用されるネジ穴270が、第1列211側及び第2列212側のそれぞれに1つずつ設けられている。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係る電池パックにおいて、複数の単位電池100の引出タブ同士の連結部が形成される基板300の構成について説明する。
図5は本発明の実施形態に係る電池パックで単位電池100の直列接続の利用される基板300の斜視図である。
主としてガラスエポキシなどを基材として構成されてなる基板300はホルダ部材200の第2面250側に取り付けられて利用されるものであり、基板300の外周形状は、ホルダ部材200の第2面250側の外周形状に略一致するようになっている。基板300の外周の2箇所には、ホルダ部材200の引出タブ引回凹部214に対応するように引出タブ引回切欠部314が形成されている。
また、基板300には、ホルダ部材200の引出タブ挿通穴215に対応するように、引出タブ引出穴315が設けられている。また、基板300には、ホルダ部材200の仕切り片260に対応するように、仕切り片引出穴317が設けられている。また、基板300には、ホルダ部材200の引出タブ挿通穴215と仕切り片260の双方に対応するような、引出タブ・仕切り片引出穴316が設けられている。これらの穴は、いずれも基板300の一方の主面から、他方の主面に貫通する穴であり、単位電池100の引出タブや、仕切り片260などが挿通可能に構成されるものである。
単位電池100の引出タブが、ボルトナットで基板300に固着される箇所には、薄膜電極部320a、薄膜電極部320b、薄膜電極部320cが設けられている。
【0020】
薄膜電極部320aは、基板300上に固着されている金属製の正極端子用電極座金321と導通が図られており、薄膜電極部320cは基板300上に固着されている金属製の負極端子用電極座金322と導通が図られている。正極端子用電極座金321及び負極端子用電極座金322には、直列接続される単位電池100の端部の引出タブが接続されることとなるので、正極端子用電極座金321及び負極端子用電極座金322は電池パックとしての電力の充放電のための端子として利用されることとなる。
また、薄膜電極部320bは、コネクタ340の不図示の端子部と導通が図られており、個々の単位電池100のモニタを行うための電位が、コネクタ340を介して測定できるようになっている。なお、コネクタ340は、単位電池100の温度を測定する温度測定センサ(不図示)からの信号を取り出せるように構成することもできる。
【0021】
また、薄膜電極部320a、薄膜電極部320b、薄膜電極部320cのそれぞれには、単位電池100の引出タブの固着に利用される引出タブ接続ボルト257が挿通される引出タブ接続ネジ穴325が設けられている。薄膜電極部320a及び薄膜電極部320cにおいては、直列接続される単位電池100のうち端部の単位電池100の引出タブが1枚固着されるようになっている。一方、薄膜電極部320bは、隣り合う単位電池100の引出タブが折り重ねられるようにして2枚固着されるようになっている。
基板300には、ホルダ部材200の第2面250側に設けられている位置合わせ用突起部263に対応する位置合わせ穴328が2つ形成されており、2つの位置合わせ用突起部263を、位置合わせ穴328に貫通させることにより、簡便にホルダ部材200と基板300とを固着する際の位置合わせが行えるようになっており、生産性向上に寄与している。また、基板300に形成されている基板固着ネジ穴329は、ホルダ部材200と基板300とを固着するために利用される基板固着ネジ271を挿通する穴である。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る電池パックにおいて、複数の単位電池100を直列接続し電池連結構造体500としたときに、これを保護するための電池保護部材400について説明する。
図6は本発明の実施形態に係る電池パックを構成する電池保護部材400を説明する図であり、
図6(A)は単位電池100の主面が貼着される第一の板状部410を臨むように電池保護部材400を見た図であり、
図6(B)は
図6(A)の上側から電池保護部材400を見た図である。
電池保護部材400は、単位電池100を載置する際に、載置された単位電池100間に介挿されるようにして利用されるものであり、単位電池100を載置する際に、載置された単位電池100間に介挿されるようにして利用されるものである。
電池保護部材400は、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂で形成することができる。こういった材料を用いることで、電池保護部材400を軽量かつ安価に実現できる。
また、電池保護部材400は、金属製部材、良熱伝導性材料粒子を分散した合成樹脂製部材製でも形成することができる。こういった材料を用いることで、電池保護部材400を熱伝導性が良好であってかつ軽量に実現できる。
具体的には、金属製部材が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅から選ばれるいずれかであり、良熱伝導性材料粒子が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナのいずれかである。
合成樹脂材料としては、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂を挙げることができ、これらに良熱伝導性材料粒子を分散した材料を挙げることができる。
これらのなかでも、アルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。
アルミニウム、アルミニウム合金等の場合には、表面をアルマイトを処理して絶縁層をしたり、絶縁性皮膜を形成することが好ましい。これによって、万一保護部材に電圧の印加部が接触しても問題の発生を防止することができる。
電池保護部材400の第一の板状部410は、単位電池100と、これと直列接続される単位電池100との間に挟まれる部材である。一方、第一の板状部410の両端部からは、第一の板状部410に垂直な方向に第二の板状部440が延在するように設けられている。したがい、
図6(B)に示すように、電池保護部材400は断面がH字状の部材となる。
また、第一の板状部410には、最も深い切り欠き部である第1切欠部421と、この第1切欠部421の両サイドに配され、第1切欠部421に次いで深い切り欠き部である第2切欠部422と、第2切欠部422の両側に配された最も浅い切り欠き部である第3切欠部423とからなる切欠部420が構成されている。
【0023】
次に、以上のような各部材から、単位電池100を連結してなる電池連結構造体500を製造する手順について
図7乃至
図17に基づいて説明する。
図7乃至
図17は本発明の実施形態に係る電池パックを構成する電池連結構造体500の製造工程を説明する図である。
まず、
図7に示す工程においては、ホルダ部材200の第2面250に設けられている全てのナット収容部255に対してナット256を装着する。ナット収容部255の内周は、ナット収容部255にナット256が内嵌されると、ナット256が簡単には外れない程度の寸法とされている。
続く
図8に示す工程では、ホルダ部材200の位置合わせ用突起部263を、基板300の位置合わせ穴328に挿通させることで、ホルダ部材200と基板300との位置合わせを行う。続いて、2つの基板固着ネジ271を、基板固着ネジ穴329に挿通させて、ネジ穴270にネジ留めすることで、ホルダ部材200と基板300とを固着する。なお、基板固着ネジ穴329としては、様々な種類のネジを利用することができるが、タッピング用のネジを用いることで、製造時の作業効率が向上する。
【0024】
次の
図9に示す工程では、ホルダ部材200の第1面210に単位電池100を配し、単位電池100の負極引出タブ130を、引出タブ引回凹部214を利用して基板300の薄膜電極部320bに接触するようにして折り曲げる。また、単位電池100の正極引出タブ120を、引出タブ引回部213を利用して、基板300の薄膜電極部320aに接触するようにして折り曲げ、引出タブ接続ボルト257を正極引出タブ120の穴127・引出タブ接続ネジ穴325に挿通し、引出タブ接続ボルト257と、ナット収容部255に収容されているナット256とを螺着させる。これにより、第1番目の単位電池100の取り付けが完了する。
【0025】
次の
図10に示す工程では、ホルダ部材200の第1面210側での作業となる。この工程では、図示するように、単位電池100の上主面に2条の両面接着テープ460を貼着する。この両面接着テープ460は、ホルダ部材200に第1番目に取り付けられる単位電池100と、ホルダ部材200に第2番目に取り付けられる単位電池100と間の固着を行うために用いられるものである。両面接着テープ460を単位電池100の主面に、図示するように2条設けるのは、2つの両面接着テープ460の中間に、後述するスペーサーを配して生産性を上げるようにしているからである。
【0026】
続く
図11に示す工程においては、両面接着テープ460の厚さ分以上のスペーサー(不図示)を、第1番目に取り付けられた単位電池100の上に配した上で、さらに、このスペーサー上を滑らせるようにして、第2番目の単位電池100の2つの引出タブを引出タブ挿通穴215に挿通するようにしている。2つの引出タブ挿通穴215の上下には、前述したように引出タブガイド突状部220が配されており、さらに、引出タブガイド突状部220にテーパー側面222が設けられているため、上下の引出タブガイド突状部220に挟まれる空間は徐々に狭くなるようになっている。これにより、単位電池の引出タブをホルダ部材200の引出タブ挿通穴215に簡単に導くことができるようになっている。
【0027】
ここで、ホルダ部材200に対して第1番目に取り付けられる単位電池100の正極引出タブ120は第1列211側に、負極引出タブ130は第2列212側になるように配されるが、ホルダ部材200に対して第2番目に取り付けられる単位電池100の正極引出タブ120は第2列212側に、負極引出タブ130は第1列211側になるように配される。以下、単位電池100を順次載置する上では、奇数番目に取り付けられる単位電池100の正極引出タブ120は第1列211側に、負極引出タブ130は第2列212側になるように配され、偶数番目に取り付けられる単位電池100の正極引出タブ120は第2列212側に、負極引出タブ130は第1列211側になるように配される。このように、載置方向において、隣り合う単位電池100の引出タブの向きが異なるように配されているため、基板300側では、載置方向斜めの接続を行う必要がない。
第2番目の単位電池100の上端部111がホルダ部材200の第1面210に突き当てられるまで押し込まれたことを確認した上で、次の基板300側の作業に移行する。
【0028】
続く
図12に示す工程においては、第2番目に取り付けられた単位電池100の正極引出タブ120は図示下側に折り曲げられ、第1番目に取り付けられた単位電池100の負極130と重ねられる。このようにされた上で、引出タブ接続ボルト257を、各引出タブの穴・引出タブ接続ネジ穴325に挿通し、引出タブ接続ボルト257とナット256とを螺着させて、薄膜電極部320b上に第1番目に取り付けられた単位電池100の負極引出タブ130と、第2番目に取り付けられた単位電池100の正極引出タブ120との連結部を形成し、電気接続を完了する。
一方、第2番目に取り付けられた単位電池100の負極引出タブ130は図で示す上側に折り曲げられ、第3番目に取り付けられた単位電池100の正極引出タブ120との連結の準備を行う。
【0029】
次の
図13に示す工程においては、第2番目の単位電池100を取り付けた場合と同様の要領で、スペーサーを用いて、電池保護部材400を取り付ける。第2番目の単位電池100の上面と、電池保護部材400の下面とは2条の両面接着テープ460によって貼着される。さらに、図示するように、電池保護部材400の上面に2条の両面接着テープ460を貼着する。この両面接着テープ460によって、電池保護部材400と、ホルダ部材200に第3番目に取り付けられる単位電池100との間の固着を行う。
【0030】
図14は、これまで説明した方法と同様の方法によって、第3番目の単位電池100から第8番目の単位電池100を、ホルダ部材200・基板300に順次取り付けた状態を示している。基板300側においては、単位電池100がひとつずつ取り付けられる度毎に、引出タブを折り重ねて、引出タブ接続ボルト257を利用して、隣り合う単位電池100の引出タブを連結し、電気接続を行っている。
【0031】
次の
図15に示す工程においては、第8番目の単位電池100を取り付けた後に、さらに、電池保護部材400を取り付けた状態を示している。このように、本実施形態に係る電池連結構造体500においては、二つの電池保護部材400が配されており、電池保護部材によって保護された二つの電池保護部材ブロック450が形成されて、各単位電池100を外的な衝撃などから保護するようになっている。
また、単位電池100は、第一の板状部420からの第二の板状部440の高さ方向の上端部を越えて載置している。このように、第二の板状部440の上端部を越えて単位電池を載置することによって、単位電池の周囲からの放熱が良好にすることができる。
上記の第二の板状部の上端部を越えて載置する電池は、図上で上部または下部のいずれか、あるいは両者の電池保護部材400に載置することができる。
【0032】
図16は、電池保護部材400の第一の板状部420上に、さらに第9番目の単位電池100と、第10番目の単位電池100を、ホルダ部材200・基板300に取り付けた状態を示している。
第10番目の単位電池100の負極引出タブ130については、引出タブ引回部213を利用して、基板300薄膜電極部(図示せず)に固着する。これにより、第1番乃至第10番目までの単位電池100の各引出タブが、基板300上で連結されて、10個の単位電池100の直列接続が完了して二つの電池保護部材ブロック450を備えた電池連結構造体500が完成する。
また、この図で示す電池連結構造体500は、電池保護部材の側面の第二の板状部440の第一の板状部420面からの高さ方向の上端部を越えて単位電池100が載置されており、一部の単位電池は、側面が第二の板状部400によって覆われていない。
したがって、載置した単位電池100には、上下の電池保護部材400の第二の板状部440の間からも周囲の空気が流通することになり単位電池100の放熱特性が向上する。
【0033】
フィルム状外装材で外装された単位電池100は、周囲に熱融着部を有しており、側端部113は折り曲げておらず、その側端部113は、電池保護部材400の第二の板状部440の内面に接触する大きさを有しているので、電池保護部材400上で正確な位置決めを行うとともに第一の板状部上に円滑に載置することができる。
また、フィルム状外装材は、柔軟であるものの熱融着部は、他の部分に比べて硬度が高い部分が形成されているので、側端部113からの加わる力には十分な耐力を有しているので、振動、衝撃等を受け止めることが可能となる。
【0034】
図17は、
図16で示した電池連結構造体を基板側から見た図である。
直列接続された10個の単位電池100への充放電は、基板300に取り付けられた正極端子用電極座金321及び負極端子用電極座金322を利用して行われる。正極端子用電極座金321には端子部材331が、また、負極端子用電極座金322には端子部材332が取り付けられている。
【0035】
以上のように、本発明に係る電池パックによれば、複数の単位電池100の正極性の引出タブと負極性の引出タブとを、ホルダ部材200の引出タブ挿通穴215に挿通する作業を行い、複数の単位電池100の互いに異なる極性の引出タブ同士を基板300上で連結するように構成するので、電池バックを製造する上での作業効率が高く、生産性が向上する。
また、複数の単位電池100の互いに異なる極性の引出タブ同士を引出タブ接続ボルト257とナット256により基板300上で連結するように構成されているので、複数の単位電池100同士を簡単に電気接続することができ、電池バックを製造する上での作業効率が高くなり、生産性が向上する。
【0036】
次に、以上のように構成される電池連結構造体500を用いて、本発明に係る電池パックを構成する工程について、
図18乃至
図25を参照して説明する。
図18に示す工程では、電池連結構造体500を収容するための第1ケース体600に対して、第1ケース体600に設けられている放電端子取付凹部611及び充電端子取付凹部612を利用して、放電端子613及び充電端子614をネジ留めする。
【0037】
図19に示す工程では、第1ケース体600の第2収容部602に第1緩衝部材621を、また、回路収容部603に第2緩衝部材622を接着剤などで取り付ける。
本発明の電池パックは、
図18,19に示すように、電池パックの底部の水抜き穴682とともに、上部区画部680に水抜き穴681を設けている。
電池パックは、屋外で使用されるので、雨等が浸入したり、電池パック内部の単位電池、保護回路基板部の発熱と冷却によって外部から浸入した水分の結露等が生じる。
本発明では、底部の水抜き穴682のみではなく、水分による影響を受ける可能性がある保護回路基板を装着する区画のような上部区画部680にも水抜き穴681を設けることによって電池パック内部から速やかに水分を排出できるので、水分による悪影響を回避することができる。
【0038】
図20に示す工程では、第2ケース体660の第2収容部662に第3緩衝部材663を接着剤などで取り付ける。
図21及び
図22に示す工程は、電池連結構造体500に対して、緩衝材を取り付ける工程が行われる。本発明に係る電池パックにおいては、第1の電池連結構造体500、及び、第2の電池連結構造体500の2つの構造体が電池パックに収容される構成となっている。
図21の工程においては、第1の電池連結構造体500に対して、端部の単位電池100に肉厚の第4緩衝部材504が取り付けられ、全ての電池保護部材の第二の板状部に、第4緩衝部材504より薄い第5緩衝部材505が取り付けられる。第4緩衝部材504・第5緩衝部材505を各部に取り付ける際には接着剤などが利用される。
一方、
図22の工程においては、第2の電池連結構造体500に対して、端部の単位電池100に第4緩衝部材504が取り付けられ、一方側の電池保護部材の第二の板状部にのみ、第5緩衝部材505が取り付けられる。先ほど同様、第4緩衝部材504・第5緩衝部材505を各部に取り付ける際には接着剤などが利用される。
【0039】
図23に示す工程においては、放電端子613及び充電端子614と保護回路基板700とが結線されると共に、第1ケース体600の回路収容部603に保護回路基板700がネジ止めされる。
【0040】
図24に示す工程においては、第1ケース体600の第1収容部601に第1の電池連結構造体500Aを、また、第2収容部602に第2の電池連結構造体500Bがそれぞれ収容される。
本発明の電池保護回路基板700は、背の高いFET等の回路部品は、粘度、硬度、チクソトロピー性が大きく、電池回路保護回路基板面に流れ落ちることなく所定の厚みの皮膜を形成する塗布材料を用いて皮膜を形成する。
一方、その他の背の低い回路部品については、粘度、硬度、チクソトロピー性が小さな塗膜形成材料によって皮膜を形成することができる。
両者ともにシリコーン系の接着性材料を用いることができる。両者ともにシリコーン系接着性材料とすることによって、物性の異なる両者の界面も密な皮膜野形成が可能となる。 一例を挙げれば、背の高い回路部品には、アクリル変性シリコーン樹脂を主成分とするセメダインSX720W(粘度45Pa・s23℃)を用いることができ、背の低い回路部品の塗布には、香港シンウエイ化工有限公司製のSINWE500(粘度0.6Pa・s25℃)を挙げることができる。
【0041】
本発明の電池保護回路基板700ではまた、回路基板面上で被覆が必要な部分のうち、背の高いFET等の回路部品が搭載された部分は硬化前粘度が大きい硬化性樹脂で被覆し、他の部分は硬化前粘度が小さい硬化性樹脂で被覆するとしてもよい。このようにすることで、不要な被膜形成材料を削減できる。なお、硬化前粘度が大きい硬化性樹脂の被覆を設ける部品は、回路基板面上で最も背の高い回路部品を含む部分とすることもできる。
また、特に電動自転車で使用される電池パックの電池保護回路基板700に用いる硬化性樹脂としては、室温(例えば25℃近傍)での硬化前粘度が20〜90Pa・sの範囲と0.3〜1.0Pa・sの範囲の2種類の水と反応して硬性するシリコーン系接着材料が好適である。こういった接着材料を用いることで、電動自転車向けの電池パックの保護回路基板700で用いる大きさの回路部品を好適に被覆できる。
【0042】
緩衝部材を取り付けた第1の電池連結構造体500Aは、第1収容部601に対してクリアランスが正CPを第1収容部601の底面に平行にして、クリアランスが負CMを第1収容部601の底面と垂直方向に配置して収容する。
また、緩衝部材を取り付けた第2の電池連結構造体500Bについても、第2収容部602に対してクリアランスが正CPを第1収容部601の底面に平行にして、クリアランスが負CMを第2収容部602の底面と垂直方向に配置して収容する。
なお、クリアランスが正であるとは、収容部の大きさに対して、緩衝部材間の外面の距離が1.5mm〜2mm小さいことを意味する。また、クリアランスが負であるとは、収容部の大きさに対して、緩衝部材間の外面の距離が3mm〜4mm大きいことを意味する。
緩衝部材を取り付けた第1の電池連結構造体500Aと緩衝部材を取り付けた第2の電池連結構造体500Bは、それぞれ保護回路基板700と配線長が等しいリード線によって結線されるので、配線を短くすることが可能となるとともに、保護回路基板とそれぞれの電池連結構造体との間のインピーダンスを等しくすることができる。
その結果、二つの電池連結構造体を並列に接続した場合には電池のエネルギーを効率的に取り出すことが可能となる。
【0043】
また、第1収容部601に収容される第1の電池連結構造体の扁平状電池の載置面は第1収容部の底面601Uと平行である。一方、第2の電池連結構造体の扁平状電池の載置面は第2収容部の底面602Uに対して直交している。第1収容部の底面601Uと、第2収容部の底面602Uは平行であるので、第1、および第2電池連結構造体のそれぞれの扁平状電池の載置面は、直交する。
【0044】
つまり、電池パックを自転車に装着した場合に下方に位置する第2収容部602には、電池連結構造体の外形線で構成される略直方体の最も短い間隔の面、すなわちこの図では、電池連結構造体の扁平状電池の載置面と直交する面を第2収容部602の底面に対して平行に配置する。
一方、第1収容部601の底面に対しては、電池連結構造体の扁平状電池の載置面を平行に配置して、第1の電池連結構造体および第2電池連結構造体の扁平状電池の扁平状電池の載置面を直交するように配置して、同一形状、構造の電池連結構造体を、厚みが厚い第1収容部601と、厚みが薄い第2収容部602に装着する。
【0045】
図25に示す工程において、第1ケース体600と第2ケース体660とがネジ止めされる。
この工程において、第1ケース体600上に第2ケース体を載置して、緩衝部材を取り付けた電池連結構造体のクリアランスが負である方向を押圧してネジ止めすることで、振動、衝撃によって電池連結構造体が移動することはない本発明に係る電池パックが完成する。
【0046】
図26は、本発明の電池パックを装着した電動自転車を説明する図である。
電動自転車1は、フレーム2に、本発明の電池パック4を装着しており、電動自転車の駆動機構3に対して電力を供給している。
電池パック4は、
図24で説明したように、同一形状の電池連結構造体を収容する構造が異なる二つの収容部を有しており、
図24の第1収容部601に対応する厚みが厚い電池パック上部41は、サドル5と後輪の間の空間に位置しているので、自転車乗車時には足等が接触することはない。
また、
図24の第1収容部602に対応する厚みが薄い電池パック下部42は、シートポスト6と後輪の間の空間に位置しているが、第1収容部は、厚みが薄いのでペダル7を回転させてもペダルや足が接触することはない。
また、本発明の電池パック4は、路面からの振動、衝撃を受けるフレーム2に直接装着しているが、電池パック4内には、振動、衝撃の対策が施されているので、安定した作動が実現できる。