(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773416
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20150813BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
H05K1/18 Q
H05K1/02 C
H05K1/02 N
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-97652(P2011-97652)
(22)【出願日】2011年4月25日
(65)【公開番号】特開2012-230980(P2012-230980A)
(43)【公開日】2012年11月22日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099830
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 征生
(72)【発明者】
【氏名】小関 淳一
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−209642(JP,A)
【文献】
特開2001−168235(JP,A)
【文献】
特開平05−166876(JP,A)
【文献】
特開平02−202047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 1/02
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波系モジュールあるいは高周波系ユニットを構成する複数の電気部品がハンダ付けで実装される回路基板であって、
前記回路基板の表面から一定の深さを有し、前記電気部品の底部が載置可能な電気部品実装面を有する有底の段差凹部を前記電気部品ごとに備え、
前記各段差凹部は、対応する前記電気部品を当該段差凹部の前記電気部品実装面に載置して、前記回路基板のグランドに直接接続された状態で、当該電気部品のリード端子を水平状態に保ちながら前記回路基板の表面にハンダ付けできる深さに設定されていて、グランド側信号の流れを高周波信号の流れと一致させる構成になされていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
高周波系モジュールあるいは高周波系ユニットを構成する複数の電気部品がハンダ付けで実装される回路基板であって、
前記回路基板の表面から一定の深さを有して端面から切り欠かれ、前記電気部品の底部が載置可能な電気部品実装面を有する有底の段差凹部を前記電気部品ごとに備え、
前記各段差凹部は、対応する前記電気部品を当該段差凹部の前記電気部品実装面に載置して、前記回路基板のグランドに直接接続された状態で、当該電気部品のリード端子を水平状態に保ちながら前記回路基板の表面にハンダ付けできる深さに設定されていて、グランド側信号の流れを高周波信号の流れと一致させる構成になされていることを特徴とする回路基板。
【請求項3】
前記電気部品は、表面実装電気部品以外の電気部品であることを特徴とする請求項1又は2記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路基板に係り、詳しくは、高周波系モジュールあるいは高周波系ユニットを構成する電気部品の実装に用いて好適な回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば
図3に示すように、高周波系モジュールに使用する電気部品が実装される回路基板1がある。回路基板1はケース2に固定されており、回路基板1にはリード端子3を介して電気部品4が実装されている。電気部品4のように、高周波系モジュールに使用する電気部品のうち表面実装以外の電気部品は、電気部品4の底面側に台座5を挿入したりすることで回路基板1の表面と電気部品4のリード端子3との高さを合わせて、電気部品4をケース2に取り付けている。
ここで、
図4に矢印で示すように、
図3に示す構成におけるグランド(以下GND)側信号の流れの経路は「回路基板1→ケース2→電気部品4」となり、高周波信号の流れの経路「回路基板1→電気部品4」とは異なっている。
【0003】
また、
図5に示すように、回路基板1の表面と電気部品4のリード端子3との高さを合わせるため、回路基板1が固定されるケース6に、電気部品4の実装部分だけ高くするための段差部7を設ける構成もある。この場合も、
図6に示すように、GND側信号の流れの経路は高周波信号の流れの経路とは異なっている。
【0004】
上記した高周波系モジュール用の回路基板においては、高周波信号の乱れを抑えるために、実装された電気部品のリード端子付近に高周波信号の乱れを抑えるための調整用のパターンが設けられている。そして、高周波系モジュールごとに高周波信号の乱れを抑えるための調整を実施する必要がある。
【0005】
他方、回路基板に電気部品を実装する技術としては、特許文献1に記載の半導体装置が知られている。この半導体装置は、回路基板のサーマルビアホールを設けた位置にCPUを実装し、回路基板のCPU実装面と反対側に配置された下パネルとの間に、半流動性の高熱伝導性材料を充填したものである。
また、回路基板に電気部品を実装する別の技術としては、特許文献2に記載のハイブリッドモジュールが知られている。このハイブリッドモジュールは、親回路基板に対向する主面に凹部を形成し、凹部内に発熱性の回路電気部品を実装し、回路基板を親回路基板に実装したときに、回路電気部品が親回路基板に直接或いは放熱部材を介して当接するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−055459号公報
【特許文献2】特開平11−220225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、高周波系モジュールに使用する電気部品のうち表面実装以外の電気部品4については、回路基板1の表面と電気部品4のリード端子3との高さを合わせるため、台座5を挿入したり、電気部品実装部分だけ高くするための段差部7を加工したりすることで、ケース2に取り付けている。
そのため、ケース2(ケース6)を通して回路基板1のGNDと電気部品4のGNDが接続されており、GND側信号の流れの経路は「回路基板1→ケース2→電気部品4」となり、高周波信号の流れの経路「回路基板1→電気部品4」とは異なっている。その結果、高周波信号の乱れが発生するという問題があった。
さらに、
図3に示したように電気部品4の底面側とケース2との間に台座5を挿入した場合は、部品点数の増加につながるという問題があった。
さらに、
図5に示したようにケース6に電気部品実装部分だけ高くするための段差部7を設けた場合は、ケース6の加工が複雑化するという問題があった。
【0008】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、グランド側信号の流れを高周波信号の流れと一致させることで、高周波信号の乱れを抑えることができる回路基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、
高周波系モジュールあるいは高周波系ユニットを構成する複数の電気部品がハンダ付けで実装される回路基板に係り、前記回路基板の表面から一定の深さを有し、前記電気部品の底部が載置可能な電気部品実装面を有する
有底の段差
凹部を
前記電気部品ごとに備え、
前記各段差凹部は、対応する前記電気部品を当該段差凹部の前記電気部品実装面に載置して、前記回路基板のグランドに直接接続された状態で、当該電気部品のリード端子を水平状態に保ちながら前記回路基板の表面にハンダ付けできる深さに設定されていて、グランド側信号の流れを高周波信号の流れと一致させる構成になされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の構成によれば、回路基板に段差
凹部を設け、リード端子を回路基板の表面に実装し、電気部品を段差
凹部に実装する。これにより、電気部品のリード端子部分の接続箇所でのグランドの不連続が無くなり、表面実装電気部品以外の電気部品でも回路基板上で同一グランドとなるため、信号の乱れを抑えることができる。
また、従来のように電気部品とケースの間に台座を設けることが不要となるため、部品点数を削減できる。また、従来のようにケースに電気部品実装部分だけ高くするための段差部を設けることが不要となるため、従来の複雑な加工を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施形態である高周波系モジュール用の回路基板の構成および電気部品の実装状態を示す断面図である。
【
図3】関連技術による高周波系モジュール用の回路基板の構成および電気部品の実装状態を示す断面図である。
【
図5】別の関連技術による高周波系モジュール用の回路基板の構成および電気部品の実装状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
回路基板の表面から一定の深さを有し、電気部品の底部が載置可能な電気部品実装面を有する段差
凹部
(以下、段差部という)を備え、前記電気部品が有するリード端子を前記回路基板の前記表面に実装するとともに、前記電気部品の前記底部を前記段差部の前記電気部品実装面に実装することで、前記回路基板のグランドに直接接続することで、高周波系モジュールに適用して好適な、この発明の回路基板を実現した。
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の実施形態である高周波系モジュール用の回路基板の構成および電気部品の実装状態を示す断面図である。また、
図2は、
図1の一部を拡大して示す断面図である。
この実施形態の高周波系モジュール用の回路基板は、たとえばサーキュレータや電界効果トランジスタ(FET)など、表面実装電気部品以外の複数の電気部品が直接実装されるものである。
まず、高周波系モジュール用の回路基板の構成について説明する。
図1に示すように、回路基板11は、ケース12に固定されている。回路基板11には、リード端子13を介して電気部品14が実装されている。
図1では回路基板11の一部を図示するとともに、実装対象の電気部品として電気部品14のみを図示しており、他の電気部品の図示は省略する。
【0014】
回路基板11には、該回路基板11の表面から一定の深さを有し、電気部品14の底部が載置可能な大きさの電気部品実装面を有する段差部15が設けられている。回路基板11の段差部15は、実装対象の電気部品ごとに設けられている。
図1では電気部品14に対応する段差部15のみを図示しており、他の段差部の図示は省略する。電気部品14は、その底部が回路基板11の段差部15の電気部品実装面に実装されることにより、回路基板11のグランド(以下GND)に直接接続される。
電気部品14のリード端子13がハンダ付けされる回路基板11の表面(パターン面)は、回路基板11の段差部15の電気部品実装面に対して高さaの位置となるように設定されている。換言すれば、回路基板11の段差部15の深さは、電気部品14を段差部15の電気部品実装面に載置した状態において、電気部品14のリード端子13を水平状態にして回路基板11の表面にハンダ付けすることが可能な寸法に設定されている。
【0015】
この発明では回路基板の段差部を次のように定義している。上記したように、回路基板の段差部は、実装対象電気部品を段差部の電気部品実装面に載置した状態で実装対象電気部品のリード端子を水平状態にして回路基板表面にハンダ付け可能な深さを有するものであり、以下の構造を含むものとする。
すなわち、段差部の構造としては、実装対象電気部品の周囲の全部が回路基板の切断面(垂直面)に囲まれた凹部構造、実装対象電気部品の周囲の一部が回路基板の切断面(垂直面)に囲まれた切り欠き構造を含むものとする。凹部構造の段差部は、回路基板の水平方向において該回路基板の端面側よりも内側に設けられる。これに対して、切り欠き構造の段差部は、回路基板の水平方向において該回路基板の端面側を含んで設けられることになる。
【0016】
次に、高周波系モジュール用の回路基板11に電気部品14を実装した構成における作用について説明する。上記したように、電気部品14のリード端子13がハンダ付けされる回路基板11の表面は、回路基板11の段差部15の電気部品実装面に対して高さaの位置となるように設定されている。
電気部品14のリード端子13は、回路基板11の表面に対してハンダ付けされる。そのため、回路基板11の段差部15は、電気部品14を回路基板11の段差部15の電気部品実装面に載置した状態で電気部品14のリード端子13を水平状態にして回路基板11の表面にハンダ付け可能な深さに設定されている。
すなわち、電気部品14のリード端子13の高さと回路基板11の表面の高さとが同じになるように、回路基板11の段差部15の電気部品実装面を回路基板11の表面から一定の深さを有する位置に設定している。
図1に示す状態で電気部品14のリード端子13を回路基板11の表面にハンダ付けすることにより、電気部品14を回路基板11に直接実装することができる。
【0017】
上記したように高周波系モジュール用の回路基板11に、該回路基板11の表面から一定の深さを有する段差部15を設け、回路基板11に段差部15を介して電気部品14を実装することで、
図2に矢印で示すように、GND側信号の流れが回路基板11→電気部品14となり、高周波信号の流れと一致させることができる。
【0018】
この実施形態によれば、実装対象の電気部品のリード端子13の高さと回路基板11の表面の高さとを合わせるために、回路基板11に段差部15を設けるとともに、段差部15の深さを、電気部品14を段差部15に載置した状態で電気部品14のリード端子13を水平状態にして回路基板11の表面にハンダ付け可能な寸法に設定する。これにより、回路基板11に電気部品を直接実装することができる。
【0019】
その結果、ケース12に実装される電気部品のGNDと回路基板11に実装される電気部品のGNDが回路基板上で同一となり、電気部品のリード端子部分の接続箇所でのGNDの不連続が無くなり、表面実装電気部品以外の電気部品でも回路基板上で同一GNDとなる。その結果、高周波信号の乱れを抑えることができる。
また、従来のように、電気部品のリード端子と回路基板表面との高さを合わせるために電気部品とケースの間に台座を設けることが不要となるため、部品点数を削減することができる。
また、従来のように、電気部品のリード端子と回路基板表面との高さを合わせるためにケースに電気部品実装部分だけ高くするための段差部を設けることが不要となるため、従来の複雑な加工を削減することができる。
さらに、すべての電気部品を回路基板に直接実装することが可能となるため、回路基板の下側にケースが無くても回路基板の信号入力部に入力信号を加えることで、電気部品の電気的動作の確認が可能となる。
【0020】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあってもこの発明に含まれる。
たとえば、上記したように、回路基板に設ける段差部の構造としては、回路基板の水平方向において該回路基板の端面側よりも内側に設けられる凹部構造、回路基板の水平方向において該回路基板の端面側を含んで設けられる切り欠き構造のいずれでも良い。また、上述の実施形態では、この発明の回路基板を、高周波系モジュールに用いる場合について述べたが、これに限定するものではなく、高周波系以外にも必要に応じて適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明の回路基板は、高周波系モジュールの分野に限らず、高周波系ユニットの分野、表面実装電気部品とリード端子を有する電気部品とを混在させて実装する分野など、各種の分野に適用できる。また、この発明の回路基板を用いた高周波系モジュールあるいは高周波系ユニットが搭載される対象としては、たとえばレーダ装置などがある。
【符号の説明】
【0022】
11 回路基板
12 ケース
13 リード端子
14 電気部品
15 段差部