【実施例】
【0025】
図1乃至
図12は本発明の一実施例を示すもので、
図1は本発明方法の適用対象である成形天井を室内側から見た正面図、
図2は同成形天井の構成を示す断面図、
図3は同成形天井におけるサンルーフ用開口の周縁端末部を示す説明図、
図4,
図5は同成形天井の成形方法の概要を示す各説明図、
図6は同成形天井のサンルーフ用開口を開設する工程を示す説明図、
図7は本発明方法に使用する端末処理装置の概略構成を示す説明図、
図8は端末処理装置における熱風ノズルの温度範囲域を示す説明図、
図9乃至
図12は本発明に係る端末処理方法の各工程を示す説明図である。
【0026】
図1,
図2において、本発明方法を適用する成形天井の構成について説明する。成形天井10は、保形性並びにルーフパネルに対する取付剛性を備えるとともに、軽量で耐衝撃吸収性能にも優れたウレタン基材20の表面に手触り感並びに外観性能に優れた表皮30を貼付して構成されるとともに、ウレタン基材20の裏面には、擦れ音等の低級音を防止するために裏面不織布31が貼付された積層構造体から構成されている。
【0027】
更に、成形天井10は、ほぼ中央からフロント側にかけて広い占有面積をもつサンルーフ用開口11が略四角形状に開設されており、フロント縁部の左右側には、図示しないサンバイザを収納するサンバイザ収納凹部12が凹設されるとともに、助手席側乗員及び後席乗員用のアシストグリップを収納するアシストグリップ収納凹部13がそれぞれ設けられている。
【0028】
更に詳しくは、成形天井10におけるウレタン基材20としては、本実施例では、半硬質ウレタン21の両面に、ガラス繊維マット22を積層して構成されている。また、表皮30の素材としては、トリコット、ジャージ、モケット、ニット等のクロスシート、あるいは不織布シート、熱可塑性樹脂シートを使用することができる。また、所望ならば、上述した単一シートの裏面にクッション層を裏打ちした積層シート材料を使用することもできる。更に、裏面不織布31としては、耐熱性に優れ、コストも廉価なことから、ポリエステル繊維不織布が好ましい。尚、ウレタン基材20として、本発明で使用する半硬質ウレタン21を得るには、ポリオール成分とイソシアネート成分の組成比を100:150の割合でウレタン結合させれば良い。尚、ポリオール成分とイソシアネート成分の組成比を、例えば、ポリオール成分:イソシアネート成分の組成比を100:50にすれば軟質ウレタンが生成され、ポリオール成分:イソシアネート成分の組成比を100:200に設定すれば硬質ウレタンが生成される。
【0029】
そして、本発明では、ウレタン基材20として、半硬質ウレタン21を使用して、半硬質ウレタン21の
軟化温度域が200〜300℃であることに着目して、端末処理を簡単かつ美麗に行なうことが特徴である。本発明の端末処理として、
図2,
図3に示すように、サンルーフ用開口11の周縁部に巻き込み条片40が設定されており、この巻き込み条片40がウレタン基材20の裏面側に巻き込み固着されている。尚、この巻き込み条片40は、ウレタン基材20、表皮30、裏面不織布31を積層一体化した構成であることから、剛性にも優れ、サンルーフ用開口11周縁の剛性が強化でき、長期使用によっても波打ち変形等が生じることがなく、シャープな形状を長期に亘り確保でき、外観性能を良好に維持することができる。
【0030】
本発明は、この実施例では成形天井10におけるサンルーフ用開口11周縁部における端末処理方法に適用したが、成形天井10の外周縁に適用することもできる。次いで、成形天井10の成形方法について参考までに
図4,
図5を基に説明する。まず、
図4で素材のセット工程、
図5でプレス工程、
図6でトリムカット工程がそれぞれ示されている。図面において、ホットプレス成形用金型50は、プレス上型51とプレス下型52とから構成され、昇降シリンダ53によりプレス上型51が所定ストローク上下動可能に設けられている。そして、
図4に示すように、プレス上下型51,52が型開き状態にある時、ウレタン基材20の素材である半硬質ウレタン21の両面にガラス繊維マット22を積層したものを配置し、その上下面にそれぞれ表皮30、裏面不織布31を積層配置する。尚、ウレタン基材20と表皮30との間並びにウレタン基材20と裏面不織布31との間にはそれぞれ接着性シート(図示せず)が介挿されている。
【0031】
そして、
図5に示すように、昇降シリンダ53によりプレス上型51が所定ストローク下降して、プレス上下型51,52で素材が所要形状に熱圧成形され、ウレタン基材20の表裏面に表皮30、裏面不織布31が一体化される。
【0032】
次いで、ホットプレス成形用金型50が型開きした後、半成形品を型外に取り出し、レーザーカット装置(図示せず)により、製品形状に沿うトリムカット処理を行なうとともに、サンルーフ用開口11についても、カット処理を行なう。そして、
図6に示すように、サンルーフ用開口11の周縁について起立状に設定された巻き込み条片40を
図6中矢印で示す方向に巻き込み処理して、サンルーフ用開口11周縁部の端末処理が実施されるが、この端末処理方法を実施するには、
図7に示す端末処理装置60が使用される。
【0033】
図7において、端末処理装置60は、成形天井10をセットする受け台70と、サンルーフ用開口11周縁に設けられた巻き込み条片40を巻き込み処理する巻き込みユニット80と、巻き込み条片40を加熱軟化させる熱風ノズル90とから大略構成されている。また、好ましくは、熱風ノズル90からの熱風の影響が他の部位への悪影響を遮断するために、受け台70に遮熱板71を付設するのが良い。尚、遮熱板71は駆動シリンダ72により進退操作される。
【0034】
更に詳しくは、巻き込みユニット80については、実際にウレタン基材20の裏面に沿って巻き込み条片40を添わせる巻き込み駒81と、この巻き込み駒81を駆動させる進退動作用シリンダ82、並びに上下動作用シリンダ83とから構成されている。すなわち、進退動作用シリンダ82のピストンロッド82aに巻き込み駒81が支持されており、進退動作用シリンダ82の支持テーブル82bの下面に上下動作用シリンダ83のピストンロッド83aの先端が取り付けられている。
【0035】
従って、進退動作用シリンダ82の駆動により、巻き込み駒81は、前後方向(A矢印方向)にスライド動作するとともに、上下動作用シリンダ83の駆動により、上下方向(B矢印方向)に動作する。また、熱風ノズル90については、熱風の供給源であるブロワ及びヒーターを備えた熱風供給機構(図示せず)と接続しており、熱風ノズル90先端のノズル口90aから最適温度に調整された熱風が吹き付けられる。この熱風ノズル90のノズル口90aから吹きつけられる熱風温度の制御については、
図8に示すように、半硬質ウレタン21の軟化温度が200〜300℃であり、かつ裏面不織布31を構成するポリエステル繊維不織布の溶融温度が260〜400℃であり、両者のラップする温度が260〜300℃であることに着目して、本実施例における熱風温度は260〜300℃に設定されることが必須条件となる。尚、裏面不織布31の素材にポリエステル繊維不織布以外の材質を使用すれば、200〜300℃の範囲内で熱風温度を260℃以下に制御することも可能である。但し、耐熱性、コスト等を考慮すれば、裏面不織布31としてポリエステル繊維不織布を使用して、熱風ノズル90からの熱風温度を260〜300℃に調整するのが実際的である。
【0036】
次いで、
図9乃至
図12に基づいて、成形天井10におけるサンルーフ用開口11周縁部の巻き込み条片40の端末処理方法について詳細に説明する。まず、
図9に示すように、受け台70に成形天井10をセットした後、成形天井10におけるサンルーフ用開口11周縁に設けられた巻き込み条片40に対して熱風ノズル90を近接させてノズル口90aから260〜300℃の温度域に調整された熱風を吹き付ける。この時、遮熱板71により熱風ノズル90からの熱風の影響は、巻き込み条片40に集中してそれ以外の部位には悪影響を及ぼさないようになっている。
【0037】
従って、熱風ノズル90を通じて260〜300℃の温度域の熱風が吹き付けられることで、
図10に示すように、ウレタン基材20の半硬質ウレタン21が軟化するとともに、裏面不織布31が溶融状態となる。この時、半硬質ウレタン21が軟化することにより、以下の巻き込み工程で半硬質ウレタン21の両面に積層したガラス繊維マット22には左右方向(
図10中矢印方向)にズレが生じるため、ガラス繊維マット22に悪影響を及ぼすことがない。
【0038】
そして、巻き込み条片40が加熱処理されれば、熱風ノズル90は上方に退避し、
図11に示すように、巻き込みユニット80における進退動作用シリンダ82が動作して、巻き込み駒81が前進することで、加熱軟化処理された巻き込み条片40は起立位置から所定角度倒れ込む。この時、遮熱板71により巻き込み条片40を支持するようにしても良い。
【0039】
その後、
図12に示すように、巻き込みユニット80における上下動作用シリンダ83の駆動、すなわち、上下動作用シリンダ83の収縮動作により、巻き込み駒81がウレタン基材20の裏面形状に沿ってスライド動作して、巻き込み条片40をウレタン基材20の裏面形状に沿って追随させ、溶融状の裏面不織布31の接着作用で巻き込み条片40を接着固定することで、巻き込み条片40の巻き込み処理が完了する。
【0040】
以上説明した通り、本発明に係る巻き込み条片40の端末処理方法は、巻き込み条片40の裏面側を熱風ノズル90から最適温度(260〜300℃)の熱風を吹き付け、半硬質ウレタン21を加熱軟化処理するとともに、裏面不織布31を溶融させた後、巻き込みユニット80における巻き込み駒81によりウレタン基材20の裏面に沿って巻き込み条片40を巻き込み処理するというものであるから、端末処理に要する工程数を大幅に短縮化できるとともに、周縁部分はウレタン基材20の二重構造となるため剛性が強化され、長期使用によっても波打ち変形等が生じることがなく、シャープな形状を保障でき、外観性能に優れ、かつ端材も発生することがなく、省資源化にも貢献することができる。