(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判別手段は、前記算出手段が求めた応答時間と前記設定手段が求めた前記閾値とを比較することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコミュニケーション支援システム。
前記判別手段は、前記算出手段が求めた前記応答時間が、前記設定手段が求めた前記閾値よりも大きい場合に、前記ユーザの状態を低応答状態と判別し、前記算出手段が求めた前記応答時間が、前記設定手段が求めた前記閾値よりも小さい場合に、前記ユーザの状態を高応答状態と判別することを特徴とする請求項5に記載のコミュニケーション支援システム。
前記リスト生成手段は、前記ユーザが興味を有する情報の種類を表す識別情報を取得し、取得した前記識別情報を関連付けて前記リストを生成することを特徴とする請求項8に記載のコミュニケーション支援システム。
前記設定手段は、前記応答時間の分布を近似する2つの関数の交点を前記閾値として求めることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のコミュニケーション支援システム。
前記設定手段は、前記応答時間の分布内で、最も応答時間の早い点を通る近似関数と最も応答時間の遅い点を通る近似関数とを求め、求めた二つの近似関数の交点を前記閾値として求めることを特徴とする請求項11に記載のコミュニケーション支援システム。
コミュニケーションを取っているユーザの間で通信された情報の、発信者、受信者および発信した時刻の情報を含むコミュニケーション情報を取得する情報取得ステップと、
前記コミュニケーション情報から前記ユーザの応答時間を求める算出ステップと、
前記応答時間の頻度分布から、前記ユーザの状態を判別する閾値を求める設定ステップと、
前記応答時間から前記閾値を基に、前記ユーザの状態を判別する判別ステップと、
前記ユーザが情報を発信してから、前記判別ステップで判別された前記ユーザの状態に応じた所定の時間が経過した場合、前記ユーザに情報発信、返信または再送信を促進または抑制する情報を選択して通知する通知ステップと、
を備えることを特徴とするコミュニケーション支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1に示すように、実施の形態1のコミュニケーション支援システム1は、コミュニケーション情報登録部11、記憶部12、応答時間計算部13、閾値設定部14、現在状態判定部15および通知部16を備える。コミュニケーション支援システム1は、応答時間の閾値を基に、ユーザの現在の状態を判別する。なお、以下の説明では、例えばメールサーバ5等の管理サーバがコミュニケーション支援システム1を備える場合を想定して説明する。
【0021】
コミュニケーション支援システム1は、例えば、移動体通信ネットワーク7を介してユーザA、ユーザBと接続し、メールサーバ5を介してユーザ間のコミュニケーション情報を受信する。ユーザA、ユーザBは、実際には、ユーザが保持又は使用する端末装置等であるが、理解を容易にするためにユーザA、ユーザBとする。ユーザA、ユーザBは、移動体通信ネットワーク7を介して相互に通信する。メールサーバ5は、ユーザ間のメールを中継する管理サーバであり、各ユーザの通信情報の送受信をする。なお、コミュニケーション支援システム1は複数のユーザと接続しても良い。また、コミュニケーション支援システム1は、内部にメールサーバ5を備えていても良い。
【0022】
コミュニケーション情報登録部11は、ユーザ間で通信された情報から、発信者、受信者および情報を発信した時刻および相互関係の情報を含む、コミュニケーション情報を抽出し、抽出したコミュニケーション情報を記憶部12に記憶する。コミュニケーション情報登録部11は、情報の送受信が発生するごとに随時、コミュニケーション情報を記憶部12に記録する。コミュニケーション情報は、例えば電子メールのログデータである。
【0023】
なお、発信者または受信者の情報は、発信者または受信者をそれぞれ識別できる情報であれば任意であり、例えば電話番号や電子メールアドレスである。また、相互関係の情報は、例えば、受信した(または送信した)情報の返信であること、または、受信した情報を転送したことを示す情報である。相互関係の情報は、メッセージに付随する送受信経路情報や、タイトルの“Re”または“Fw”などによって、発信または受信した情報に明示されている場合がある。また、コミュニケーション情報登録部11は、送受信した情報の内容を比較することで、相互関係の情報を抽出することもできる。また、コミュニケーション情報には、送受信された情報のトピックを表す語句が含まれる場合がある。
【0024】
具体的には、例えば、ユーザAがユーザBに電子メールを返信した場合、コミュニケーション情報登録部11は、ユーザAの情報、ユーザBの情報、ユーザAが電子メールを送信した時刻、ユーザBからの電子メールの返信であることを示す相互関係の情報を、コミュニケーション情報として記憶部12に記憶する。
【0025】
記憶部12は、上述のコミュニケーション情報や、後述する各情報やリストを記憶する。
【0026】
応答時間計算部13は、記憶部12に記憶されたコミュニケーション情報に基づいて、送受信された情報について、受信者の応答時間を求める。本実施形態では、応答時間は、情報を受信してから、応答するまでの時間である。また、本実施形態では、応答とは、受信した情報に返信すること、または、受信した情報を転送することをいう。応答時間計算部13は、コミュニケーション情報から求めた応答時間を、ユーザごとに記憶部12に記憶する。
【0027】
具体的には、
図2に示すようにユーザAとユーザBが通信した場合について説明する。ユーザAからユーザBに向かう矢印はユーザAがユーザBにメッセージを発信したことを意味し、ユーザBからユーザAに向かう矢印はユーザBがユーザAにメッセージを発信したことを意味する。ResB,A,1、ResB,A,2は、ユーザBがユーザAから受信したメッセージに対して応答するまでの時間である。ResA,B,1、ResA,B,2は、ユーザAがユーザBから受信したメッセージに対して応答するまでの時間である。応答時間計算部13は、コミュニケーション情報を基にResB,A,1、ResB,A,2を求めてユーザBに関連付けて記憶部12に記憶し、また、ResA,B,1、ResA,B,2を求めてユーザAに関連付けて記憶する。
【0028】
なお、応答時間計算部13は、任意の方法で応答時間を計測する。例えば、応答時間計算部13は、ユーザの端末が稼働している間だけ、すなわち、端末がネットワークに接続している時間だけを計測しても良く、ユーザの端末が稼動していない間、すなわち、端末の電源がオフ状態になっている時間を差し引いた時間を応答時間としても良い。
【0029】
図1に戻り、閾値設定部14は、応答時間計算部13が求めた応答時間の頻度分布からユーザの状態を判別するための閾値を求める。本実施形態において、ユーザの状態の判別とは、応答が早い(応答時間が短い)状態と、応答が遅い(応答時間が長い)状態のいずれであるかを判別することをいう。
【0030】
ところで、我々は日常生活において、応答性の高いモードと低いモードを知らず知らずのうちに使い分けており、この使い分けが応答時間の違いに現れる。例えば、ユーザは通常、年度末等の多忙である期間においては応答時間が遅くなるが、休日等の閑暇である期間においては応答時間が早くなる傾向がある。そこで、本実施形態では、閾値設定部14は長時間にわたって応答時間計算部13が蓄積した応答時間の頻度分布を2つの異なる関数で近似し、その交点を求め、それを閾値として設定する。例として電子メールのログデータを基に閾値を求める方法を以下に説明する。
【0031】
図3に示すように、応答時間の頻度分布は、電子メールのやり取りにおける応答時間の分布のヒストグラムから、二つの指数関数で近似することができる。一方の指数関数は、応答時間の最も短い点を通る近似関数であり、他方の指数関数は、応答時間の最も長い点を通る近似関数である。なお、この場合、縦軸(電子メール数)は対数目盛なので、指数関数は直線で表される。閾値は、このように近似関数を求めることで、二つの近似関数の交点として求めることができる。なお、閾値は、すべてのユーザ(ノード)に関する応答時間の頻度分布から、全ユーザに共通で設定することができる。また、閾値は、ユーザごとの応答時間の頻度分布から、ユーザごとに設定することもできる。さらに、閾値は、情報のトピックの分類ごとに応答時間の頻度分布を生成して、トピックの分類ごとに設定することもできる。
【0032】
上述のように閾値を設定することで、コミュニケーション支援システム1は、応答時間が閾値より長い場合は、応答性の低いモードであり、応答時間が閾値より短い場合は、応答性の高いモードであるとユーザの現在の状態を判別することができる。本実施形態では、理解を容易にするために、応答性の低いモードの状態を低応答状態、応答性の高いモードの状態を高応答状態という。
【0033】
なお、本実施形態では上述のように閾値を求めるが、これに限られず、閾値の設定方法は任意である。例えば、閾値を求めるための応答時間の頻度分布は、返信を要求または期待するメールに限っても良いし、所定の割合の返信メールを受信するまでの時間を閾値として設定しても良い。具体的には、例えば、閾値は送信したメールのうち90%以上のメールが返信されるまでの時間とすることができる。この場合、閾値は所定の時間の平均をとって設定する。また、この場合、90%以上のメールが返信されるまでの時間を高応答状態の閾値、70%以上のメールが返信されるまでの時間を中応答状態、50%以上のメールが返信されるまでの時間を低応答状態とし、3つの状態でユーザを判別しても良く、同様にユーザの状態を10レベルに分類して判別しても良い。
【0034】
図1に戻り、現在状態判定部15は、現在の時刻に近い範囲で、すなわち、直近の過去のユーザの応答時間の履歴から、閾値設定部14が求めた閾値を基に、ユーザの現在の状態が低応答状態であるか高応答状態であるかを判別する。
図3に示すように、閾値設定部14が二つの近似関数の交点を閾値として設定すると、現在状態判定部15は、ユーザが閾値よりも速い応答特性を持つ(応答時間が短い)場合には高応答状態(H)、ユーザが閾値よりも遅い応答特性を持つ(応答時間が長い)場合には低応答状態(L)として、ユーザの状態を判別する。
【0035】
このとき、現在状態判定部15は、判別に使うデータの数(例えば電子メール10通分の履歴)もしくは時間(例えば1週間分の履歴)をウィンドウサイズとしたスライディングウィンドウ方式を用い、時系列的にユーザ間の応答時間が推移している様子を記憶部12に記憶する。現在状態判定部15は、複数(例えばウィンドウ数N=5)のウィンドウを統合して判断し、ユーザの通常の状態(通常状態)と、現状を判別した値(現在状態)とを記憶する。
【0036】
また、現在状態判定部15がユーザの通常の状態(低応答状態または高応答状態)を判別する場合、判別方法は任意である。例えば、全ユーザの閾値と、そのユーザの過去の応答時間の平均とを比較して判別しても良く、ユーザをそれぞれ応答時間の平均値別にグルーピングし、グループごとに通常状態を定義しても良い。この場合、ユーザの通常の状態とは、ユーザの平均的な状態を意味する。
【0037】
なお、ユーザごとに閾値が設定されている場合、現在状態判定部15は各ユーザの閾値を基にそのユーザの状態を判別する。また、トピックの分類ごとに閾値が設定されている場合、現在状態判定部15は、トピックの分類ごとに応答時間からユーザの状態を判別してもよい。
【0038】
具体的には、現在状態判定部15は、
図4に示すようにユーザの状態を判別する。ユーザAとユーザBはともに通常状態が高応答状態(H)である。また、応答時間から求めた閾値はともに60分である。この場合、ユーザAは、直近の5つのスライディングウィンドウ区間(N〜N−4)の応答時間の平均が閾値(60分)以下なので、現在状態は高応答状態(H)であると判別される。また、ユーザBは、直近の5つのスライディングウィンドウ区間(N〜N−4)の応答時間の平均が閾値(60分)以上なので、現在状態は低応答状態(L)であると判別される。すなわち、ユーザの現在の状態とは、ユーザの過去の履歴から求めたユーザの応答の傾向ともいえる。
【0039】
図1に戻り、通知部16は、各ユーザの現在の状態をユーザに通知する。実際に情報発信・応答・再発信するか否かの判断は、ユーザにゆだねられる。通知部16は、ユーザに対して、情報発信・応答・再発信を行うべきではないかという推奨、または、再発信などを行うべきではないという抑制の情報を生成して通知してもよい。
【0040】
具体的には、通知部16は、あるユーザに、応答(返信)を忘れているのでは無いか、といった旨の通知をすることもでき、あるユーザに、相手ユーザの現在の状況(低応答状態)を通知し、応答(返信)が来ない理由を推測して通知することもできる。
【0041】
このような構成にすることで、コミュニケーション支援システム1は、メールサーバなどの管理サーバを利用するすべてのユーザの状態を判別することができる。コミュニケーション支援システム1は、各ユーザにそれぞれの相手ユーザの現在の状態を通知することもできる。
【0042】
次に、以上のような構成のコミュニケーション支援システム1が各ユーザの現在の状態を判別する際の動作の一例について説明する。なお、コミュニケーション情報登録部11は、情報を受信するごとに随時コミュニケーション情報を記憶部12に記録しているものとする。コミュニケーション支援システム1は、任意のタイミングで
図5に示すユーザ状態判定処理を開始する。コミュニケーション支援システム1は、例えばタイマに起因して処理を開始しても良く、保守者または使用者の操作に起因して処理を開始しても良い。
【0043】
コミュニケーション支援システム1がユーザ状態判定処理を開始すると、応答時間計算部13は、コミュニケーション情報登録部11が記憶部12に記憶したコミュニケーション情報を基に、応答時間を求めて記憶部12に蓄積する(ステップS101)。このとき、応答時間計算部13は、ユーザごとに分類して記憶しても良く、トピックに分類して記憶しても良い。
【0044】
次に、閾値設定部14は、応答時間計算部13が蓄積した応答時間を基に応答時間の頻度分布を求め、この分布を基に閾値を求める(ステップS102)。上述の説明の通り、閾値設定部14は、ここでは2つの近似関数の交点を閾値とする。
【0045】
次に、現在状態判定部15は、現在の状態を判別していないユーザを選択する(ステップS103)。現在状態判定部15は、選択したユーザの過去の応答時間の平均値を求める(ステップS104)。このとき、現在状態判定部15は、予め設定されているウィンドウサイズ分の平均値を求める。例えば、現在状態判定部15は、ウィンドウサイズ5個分の応答時間の平均値、すなわち、過去の応答時間の履歴5個分の平均値を求める。
【0046】
現在状態判定部15は、求めた応答時間の平均値と、閾値設定部14が求めた閾値を比較し(ステップS105)、応答時間の平均値が閾値よりも下回っている場合(ステップS105;Yes)、そのユーザの現在の状態を高応答状態として記憶し(ステップS106)、応答時間の平均値が閾値よりも上回っている場合(ステップS105;No)、そのユーザの現在の状態を低応答状態として記憶する(ステップS107)。
【0047】
現在状態判定部15は、全てのユーザの現在の状態の判別が完了したか否かを判別し(ステップS108)、完了していない場合はステップS103に戻り再度未判別のユーザを選択し、完了した場合は処理を終了する。
【0048】
なお、現在状態判定部15は、現在の状態と同時に通常の状態を判別しても良い。この場合、現在状態判定部15は、予め設定されている値に従ってユーザの過去の応答時間の履歴から平均値を求め、閾値を基にユーザの通常状態を判別する。
【0049】
コミュニケーション支援システム1は、上述のようにユーザの現在の状態を判別することで、ユーザの現在の状態に基づいて、様々なコミュニケーション支援処理を実施することが可能となる。以下において、ユーザの現在の状態を基に行うコミュニケーション支援システム1の動作の一例について説明する。
【0050】
ここでは、コミュニケーション支援システム1が、ユーザの現在の状態に基づいてユーザに応答推奨通知を行う際の動作について説明する。コミュニケーション支援システム1は、ユーザから任意の情報を受信すると、
図6に示すコミュニケーション支援処理を開始する。なお、コミュニケーション支援システム1は、同時に複数のコミュニケーション支援処理を並列に実行することも可能である。
【0051】
まず、コミュニケーション支援システム1は、ユーザから新たな情報を受信すると(ステップS111)、その受信情報を記憶部12に記憶し、また、応答の有無を記憶する(ステップS112)。ユーザが受信情報に対して応答済みである場合(ステップS113;Yes)、コミュニケーション支援システム1は、処理を終了する。ユーザが受信情報に対して未応答である場合には(ステップS113;No)、コミュニケーション支援システム1は、ユーザの現状を考慮して通常応答遅延時間(例えば8時間)を設定する(ステップS114)。なお、通常応答遅延時間とは、応答が遅延しているか否かを判別するための閾値である。通常応答遅延時間は、例えば、ユーザの現在の状態が低応答状態である場合、長い時間(10時間等)が設定され、ユーザの現在の状態が高応答状態である場合、短い時間(30分等)が設定される。
【0052】
さらに、コミュニケーション支援システム1は、情報を受信してからの経過時間が、通常応答遅延時間を上回るまで(ステップS115;No)、一定時間(例えば5分)待って(ステップS117)、その時間間隔ごとに応答済みかどうか判別する(ステップS118)。経過時間が通常応答遅延時間を上回っても未応答である場合に(ステップS118;No、ステップS115;Yes)、コミュニケーション支援システム1は応答推奨通知をユーザに提示し(ステップS116)、処理を終了する。コミュニケーション支援システム1は、通常応答遅延時間を経過する前に応答があれば(ステップS118;Yes)、処理を終了する。
【0053】
具体的には、例えば、
図7に示すように通常応答遅延時間を設定した場合、Friend−2への返信メールの経過時間が通常応答遅延時間を超えているため、コミュニケーション支援システム1はFriend−2に対して応答推奨を行う。コミュニケーション支援システム1は、応答推奨通知をユーザに通知後、コミュニケーション支援処理を終了してもよいし、複数回応答推奨通知を通知するようにしてもよい。また、コミュニケーション支援システム1は、応答推奨通知提示後のユーザの行動により学習を行い、次回の通知の際に参考にしてもよい。例えば、一度の応答推奨通知で応答するユーザに対しては一度のみ通知し、複数回応答推奨通知しなければ応答しないユーザに対しては複数回通知するようにしても良い。
【0054】
以上説明したように、実施の形態1のコミュニケーション支援システム1によれば、ユーザの応答時間の頻度分布から設定した閾値によって、ユーザの状態を適切に判別することができる。そして、判別した相手ユーザの状態を表示またはユーザに通知することによって、コミュニケーションを円滑にするよう支援することができる。
【0055】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、例えばメールサーバ等の管理サーバがコミュニケーション支援システム1を備える場合を想定して説明したが、これに限られず、例えば携帯端末等の端末装置がコミュニケーション支援システム1を備えることも可能である。すなわち、
図1に示すユーザA、ユーザBは、それぞれコミュニケーション支援システム1の機能を備えていても良い。
【0056】
なお、この構成を採用した場合でも、返信の応答時間は、送受信の両側で観測することができる。すなわち、
図2に示すように、ResB,A,1、ResB,A,2は、ユーザAの端末でも観測することができ、ResA,B,1、ResA,B,2は、ユーザBの端末でも観測することができる。したがって、ユーザAの端末では、ユーザA自身の応答時間と、ユーザAが通信している相手の、ユーザAとの通信に関する応答時間を求めることができる。
【0057】
また、ユーザA、Bの端末はそれぞれのユーザの状態を判別し、互いの状態を交換し合うことも可能である。例えば、ユーザAがユーザBからのメールの返信を待っている状況を、
図4を参照して説明する。ユーザBの応答時間から判別された、ユーザBが低応答状態(L)であるという情報から、ユーザAはユーザBに対して、再送要求を出さず、ある一定期間(例えば2日)待つことができる。あるいは、ユーザAは、ユーザBが通常モードに戻るのを待って(例えば5時間後)、返信がなければメッセージを再送することもできる。
【0058】
また、コミュニケーション支援システム1を備える端末装置は、その端末のユーザがコミュニケーションを取っている相手ユーザの状態を判別して、その端末に表示するもできる。
【0059】
以上説明したように、端末装置がコミュニケーション支援システム1を備えた場合でも、メールサーバ等の管理サーバがコミュニケーション支援システム1を備えた場合と同等の効果を得ることができる。
【0060】
また、トピックごとに応答時間や閾値を求めた場合でも、基本的な動作は実施の形態1で説明した通りであり、ユーザごと、または全ユーザ共通で応答時間や閾値を求めた場合と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(実施の形態2)
図8に示すように、実施の形態2のコミュニケーション支援システム2は、実施の形態1の通知部16に代えて、情報交換部23を備え、ある端末のユーザの状態を判別して、その相手ユーザにユーザの状態を通知する。なお、以下の説明において、コミュニケーション支援システム2は、実施の形態1と異なり、例えば携帯電話等の端末装置に備えられる場合を想定して説明する。
【0062】
また、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。すなわち、コミュニケーション情報登録部11、記憶部12および応答時間計算部13は、実施の形態1と同様に動作する。
【0063】
コミュニケーション支援システム2は、例えば、移動体通信ネットワーク7を介してユーザ、メールサーバ5と接続している。ユーザは、ユーザが保持又は使用する端末装置であり、コミュニケーション支援システム2と相互に通信する。なお、コミュニケーション支援システム2は複数のユーザと接続しても良い。
【0064】
閾値設定部21は、自ユーザの応答時間の頻度分布から、高応答状態と低応答状態を判別する閾値を求める。実施の形態1での説明と同様に、応答時間の頻度分布を生成し、二つの近似関数の交点を閾値として設定する。閾値は、情報のトピックの分類ごとに設定してもよい。
【0065】
現在状態判定部22は、自ユーザの直近の応答時間から、そのユーザの現在の状態を判別する。なお、ユーザの状態の判別方法は、実施の形態1での説明と同様である。
【0066】
情報交換部23は、現在状態判定部22で判別した自ユーザの現在の状態を、ユーザが普段、または現在コミュニケーションを取っている相手ユーザに対して送信する。例えば、情報交換部23は、自ユーザの状態を表す情報を含むメッセージを生成し、自ユーザから相手ユーザへの電子メールとして、相手ユーザに送信する。
【0067】
なお、自ユーザが普段コミュニケーションを取っている相手ユーザは、自ユーザの通信履歴等から求めることができ、これらのユーザの情報は記憶部12に記憶される。また、相手ユーザに通知する手法は電子メールに限られず任意であり、相手ユーザが認識可能な形態であればショートメール等でも良い。
【0068】
次に、実施の形態2のコミュニケーション支援システム2の動作の一例について説明する。ここでは、コミュニケーション支援システム2が自ユーザの現在の状態を判別し、相手ユーザに判別した状態を通知する際の動作について説明する。なお、コミュニケーション支援システム2は、同時に複数のコミュニケーション支援処理を並列に実行することも可能である。
【0069】
コミュニケーション支援システム2は、任意のタイミングで
図9に示す情報交換処理を開始する。コミュニケーション支援システム2は、例えば、タイマに起因して処理を開始しても良く、保守者または使用者の操作に起因して処理を開始しても良い。
【0070】
コミュニケーション支援システム2が情報交換処理を開始すると、応答時間計算部13は、コミュニケーション情報登録部11が記憶部12に記憶したコミュニケーション情報を基に、応答時間を求めて記憶部12に蓄積する(ステップS201)。このとき、応答時間計算部13は、自ユーザの応答時間のみを求めるが、他ユーザの応答時間も求めて良い。
【0071】
次に、閾値設定部21は、応答時間計算部13が蓄積した応答時間を基に自ユーザの応答時間の頻度分布を求め、この分布を基に閾値を求める(ステップS202)。実施の形態1と同様に、閾値設定部21はここでは2つの近似関数の交点を閾値とする。
【0072】
次に、現在状態判定部22は、自ユーザの過去の応答時間の平均値を求める(ステップS203)。このとき、現在状態判定部22は、予め設定されているウィンドウサイズ分の平均値を求める。例えば、現在状態判定部22は、ウィンドウサイズ5個分の応答時間の平均値、すなわち、過去の応答時間の履歴5個分の平均値を求める。
【0073】
現在状態判定部22は、求めた応答時間の平均値と、閾値設定部21が求めた閾値を比較し(ステップS204)、応答時間の平均値が閾値よりも下回っている場合(ステップS204;Yes)、自ユーザの現在の状態を高応答状態として記憶し(ステップS205)、応答時間の平均値が閾値よりも上回っている場合(ステップS204;No)、自ユーザの現在の状態を低応答状態として記憶する(ステップS206)。
【0074】
次に、情報交換部23は、現在状態判定部22が判別した自ユーザの現在の状態を、予め記憶されている他のユーザに通知し(ステップS207)、処理を終了する。なお、情報交換部23は、二度目以降の相手ユーザへの通知は制限し、一度相手ユーザへ現在の状態を通知したらある程度の期間(例えば、1日)相手ユーザに通知しないようにしても良い。
【0075】
このように、応答時間から判別した自ユーザの状態を、他のユーザに通知することにより、相手ユーザは当該ユーザがメールの返信を忘れているのか、忙しくて返信できない状況にあるのかを知ることができ、メールの送信・返信を行うべきかどうかを判断することができる。
【0076】
具体的には、例えば、
図10に示すようにそれぞれの端末装置が自ユーザの状態を判別した場合、Friend−1、Friend−3ともに、通常状態では応答性が高く、メールの返信を行っていない時間は同じ70分である。しかし、過去5回分のメールについて着目した場合に、Friend−3は応答性が低くなっていることから、低応答状態(L)であると判別できる。Friend−2がFriend−1、Friend−3とコミュニケーションを取っている場合、Friend−1、Friend−3から現在の状態が通知されることで、Friend−2のユーザは、Friend−1へメールを再送し、Friend−3については返信を待つ、といった判断をすることが可能となる。
【0077】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2では、例えば携帯端末等の端末装置がコミュニケーション支援システム2を備える場合を想定して説明したが、これに限られず、例えばメールサーバ等の管理サーバがコミュニケーション支援システム2を備えることも可能である。
【0078】
この構成を採用した場合、コミュニケーション支援システム2は、
図10を参照すると、例えばFriend−1、Friend−3とコミュニケーションを行っているFriend−2に対して、Friend−1への再送推奨を行い、Friend−3には再送推奨を行わないといった制御が可能である。
【0079】
また、この構成を採用した場合、コミュニケーション支援システム2は、システムを利用する全ユーザの状態を判別することができる。このため、各ユーザの状態に従った制御が可能となる。
【0080】
また、この構成を採用した場合、実施の形態1と同様の効果に加え、実施の形態2と同様の効果も得ることができる。
【0081】
(実施の形態3)
図11に示すように、実施の形態3のコミュニケーション支援システム3は、実施の形態1の構成に加え、応答時間計算部13と閾値設定部14およびリスト生成部33を含むノードリスト生成部32を備える。コミュニケーション支援システム3は、各端末のユーザの状態をノードリストとして生成し、リスト化した各ユーザの状態に基づいて各通知を行う。なお、以下の説明において、コミュニケーション支援システム3は、例えばメールサーバ等の管理サーバに備えられる場合を想定して説明する。
【0082】
また、以下の説明において、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。すなわち、記憶部12、応答時間計算部13、閾値設定部14、および通知部16は、実施の形態1と同様に動作する。
【0083】
コミュニケーション情報登録部31は、例えば、メールサーバに登録されたすべてのユーザの間で通信されるメッセージについて、コミュニケーション情報を抽出し、記憶部12に記憶する。
【0084】
ノードリスト生成部32は、応答時間計算部13と閾値設定部14及び後述するリスト生成部33から構成され、コミュニケーション情報登録部31が記憶部12に記憶したコミュニケーション情報から、コミュニケーションを取っているユーザのリストをノードリストとして生成する。
【0085】
応答時間計算部13と閾値設定部14は、上述の通り実施の形態1と同様に動作するが、本実施形態では、閾値設定部14はユーザごとに閾値を求める。
【0086】
リスト生成部33は閾値設定部14が求めたユーザごとの閾値をノードリストに設定する。
【0087】
現在状態判定部34は、ユーザごとの直近の応答時間から、各ユーザの状態を判別し、判別した状態をそのユーザに対応するノードリストに設定する。なお、ユーザの状態の判別方法は実施の形態1で説明した方法と同様である。現在状態判定部34は、各ユーザの状態を、現状を推測した値(現在状態)として記憶する。これらの情報を統合して、現在状態判定部15は、
図12に示すように、リスト生成部33が生成したノードリストに、ユーザ(ノード)ごとに判別した状態を設定する。なお、ノードリストは、複数ウィンドウ分のユーザの状態を蓄積しても良く、過去のユーザの状態は蓄積しなくても良い。
【0088】
通知部16は、このようにして生成されたノードリストを基に、実施の形態1での説明と同様に、各ユーザに対してコミュニケーションを取っている相手ユーザの状態を通知する。
【0089】
次に、以上のような構成のコミュニケーション支援システム3が各ユーザの現在の状態を判別する際の動作の一例について説明する。なお、コミュニケーション情報登録部31は、情報を受信するごとに随時コミュニケーション情報を記憶部12に記憶しているものとする。コミュニケーション支援システム3は、任意のタイミングで
図13に示すユーザ状態判定処理を開始する。コミュニケーション支援システム3は、例えばタイマに起因して処理を開始しても良く、保守者または使用者の操作に起因して処理を開始しても良い。
【0090】
コミュニケーション支援システム3が現在状態判定処理を開始すると、応答時間計算部13は、コミュニケーション情報登録部31が記憶部12に記憶したコミュニケーション情報を基に、ユーザごとに応答時間を求めて記憶部12に蓄積する(ステップS301)。
【0091】
次に、閾値設定部14は、応答時間計算部13が蓄積した応答時間を基にユーザごとに応答時間の頻度分布を求め、この分布を基にユーザごとの閾値を求める(ステップS302)。上述の説明の通り、閾値設定部14は2つの近似関数の交点を閾値とする。
【0092】
次に、リスト生成部33は、ノードリストを生成する(ステップS303)。なお、ノードリストは、予め設定されたウィンドウサイズ分生成されても良い。
【0093】
次に、現在状態判定部34は、現在の状態を判別していないユーザを選択する(ステップS304)。現在状態判定部34は、選択したユーザの過去の応答時間の平均値を求める(ステップS305)。このとき、現在状態判定部34は、予め設定されているウィンドウサイズ分の平均値を求める。例えば、現在状態判定部34は、ウィンドウサイズ5個分の応答時間の平均値、すなわち、過去の応答時間の履歴5個分の平均値を求める。
【0094】
現在状態判定部34は、求めた応答時間の平均値と、閾値設定部14が求めた閾値を比較し(ステップS306)、応答時間の平均値が閾値よりも下回っている場合(ステップS306;Yes)、そのユーザの現在の状態を高応答状態としてノードリストに関連付けて記憶し(ステップS307)、応答時間の平均値が閾値よりも上回っている場合(ステップS306;No)、そのユーザの現在の状態を低応答状態としてノードリストに関連付けて記憶する(ステップS308)。
【0095】
現在状態判定部34は、全てのユーザの現在の状態の判別が完了したか否かを判別し(ステップS309)、完了していない場合はステップS304に戻り再度未判別のユーザを選択し、完了した場合は処理を終了する。
【0096】
なお、現在状態判定部34は、現在の状態と同時に通常の状態を判別しても良い。この場合、現在状態判定部34は、予め設定されている値に従ってユーザの過去の応答時間の履歴から平均値を求め、閾値を基にユーザの通常状態を判別する。
【0097】
コミュニケーション支援システム3は、上述のようにノードリストを生成しユーザの現在の状態を判別することで、生成したノードリストに基づいて、様々なコミュニケーション支援処理を実施することが可能となる。以下において、ノードリストを基に行うコミュニケーション支援システム3の動作の一例について説明する。
【0098】
なお、ここではすでにノードリストにユーザごとの閾値が設定されているものとする。ここでは、コミュニケーション支援システム3がユーザに応答推奨を通知する際の動作について説明する。また、コミュニケーション支援システム3は、同時に複数のコミュニケーション支援処理を並列に実行することも可能である。
【0099】
コミュニケーション支援システム3は、ユーザから任意の情報を受信すると、
図14に示すコミュニケーション支援処理を開始する。
【0100】
まず、コミュニケーション支援システム3は、ユーザから新たな情報を受信すると(ステップS311)、その受信情報を記憶部12に記録し、また、応答の有無を記憶する(ステップS312)。ユーザが受信情報に対して応答済みである場合(ステップS313;Yes)、コミュニケーション支援システム3は、処理を終了する。ユーザが受信情報に対して未応答である場合には(ステップS313;No)、ノードリストから当該ノード(ユーザ)に対する普段の応答時間(リスト上の通常状態の値)と閾値を参照して(ステップS314)、通常応答遅延時間を設定する(ステップS315)。なお、ここでは通常応答遅延時間は
図15に示すように設定される。
【0101】
次に、コミュニケーション支援システム3は、情報を受信してからの経過時間が、通常応答遅延時間を上回るまで(ステップS316;No)、一定時間(例えば5分)待って(ステップS318)、その時間間隔ごとに応答済みかどうか判別する(ステップS319)。経過時間が通常応答遅延時間を上回っても未応答である場合に(ステップS319;No、ステップS316;Yes)、コミュニケーション支援システム3は応答推奨通知をユーザに提示し(ステップS317)、処理を終了する。コミュニケーション支援システム3は、通常応答遅延時間を経過する前に応答があれば(ステップS319;Yes)、処理を終了する。
【0102】
なお、コミュニケーション支援システム3は、応答推奨通知をユーザに通知後は、コミュニケーション支援処理を終了してもよいし、複数回応答推奨通知を通知するようにしてもよい。また、コミュニケーション支援システム3は、応答推奨通知提示後のユーザの行動により学習を行い、次回の通知の際に参考にしてもよい。例えば、一度の応答推奨通知で応答するユーザに対しては一度のみ通知し、複数回応答推奨通知しなければ応答しないユーザに対しては複数回通知するようにしても良い。
【0103】
また、予めノードリストのユーザごとに優先度を設定しておき、設定した優先度を基にユーザに応答推奨通知をするか否かを判別しても良い。また、予めノードリストのユーザごとに応答推奨通知の閾値を設定し、相手ユーザごとの閾値を基に応答推奨通知をするか否かを判別しても良い。
【0104】
次に、メール再送処理について説明する。各ノードからの応答時間についても、ユーザが持つコミュニケーションログから同様に計算できることから、メールの再送に関しても、同様のメカニズムでユーザに推奨することができる。以下において、メールの再送を推奨する動作の一例について説明する。なお、以下の説明において、上述の説明における処理と同一処理である場合は、同一符号を付し、説明を省略する。
【0105】
図16に示すように、コミュニケーション支援システム3はコミュニケーション支援処理を開始し、情報を受信してからの経過時間が通常応答遅延時間を上回るまで(ステップS316;No)、一定時間(例えば5分)待って(ステップS318)、その時間間隔ごとに応答済みかどうか判別する(ステップS319)。経過時間が通常応答遅延時間を上回っても未応答である場合に(ステップS319;No、ステップS316;Yes)、コミュニケーション支援システム3は、再送推奨通知をユーザに提示し(ステップS321)、処理を終了する。
【0106】
コミュニケーション支援システム3は、再送推奨通知をユーザに通知後、コミュニケーション支援処理を終了してもよいし、複数回再送推奨通知を行うようにしてもよい。また、コミュニケーション支援システム3は、再送推奨通知提示後のユーザの行動により学習を行い、次回の通知の際に参考にしてもよい。例えば、一度の再送推奨通知で再送するユーザに対しては一度のみ通知し、複数回再送推奨通知しなければ再送しないユーザに対しては複数回通知するようにしても良い。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態3のコミュニケーション支援システム3によれば、ユーザの応答時間の頻度分布から設定した閾値によって、ユーザの状態を適切に判別することができる。そして、判別した相手ユーザの状態を表示またはユーザに通知することによって、コミュニケーションを円滑にするよう支援することができる。
【0108】
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3では、例えばメールサーバ等の管理サーバがコミュニケーション支援システム3を備える場合を想定して説明したが、これに限られず、例えば携帯端末等の端末装置がコミュニケーション支援システム3を備えることも可能である。すなわち、
図11に示すユーザA、ユーザBは、それぞれコミュニケーション支援システム3の機能を備えていても良い。
【0109】
この構成を採用した場合、コミュニケーション支援システム3は自装置が記憶しているユーザのみのノードリストを生成することができる。これによって、ユーザは、ノードリストを参照して、相手ユーザの現在の状態を把握し、相手ユーザとコミュニケーションを取るべきか否かを容易に判断することができる。
【0110】
また、この構成を採用した場合でも、管理サーバがコミュニケーション支援システム3を備えた場合と同等の効果を得ることができる。
【0111】
ところで、ユーザが情報を転送するまでの時間(転送時間)は、返信するまでの時間(返信時間)と同等とみなすことができる。例えば、ユーザがメッセージを他のユーザに転送する場合、ユーザは、一般的に
図17に示すようなシーケンスでメッセージを転送する。FwB,C,1は、ユーザBが受信したメッセージをユーザCに転送するまでの時間である。FwC,A,1は、ユーザCがユーザBからメッセージを受信してから、受信したメッセージをユーザAに転送するまでの時間である。FwA,B,1は、ユーザAがユーザCから受信したメッセージをユーザBに転送するまでの時間である。各ユーザの転送の応答時間は、メールサーバ等の管理サーバ側で観測することができる。
【0112】
電子メールの返信時間および転送時間を解析すると、
図18に示すような分布となる。なお、この分布は、エンロン社メールデータセット(いわゆるエンロン・コーパス)を用いて解析した、Subject(件名)にRe:(返信)を含むものとFw:(転送)を含むものの返信時間・転送時間の分布である。この分布図から、応答時間と転送時間は同等とみなすことができるといえる。そこで、本発明によれば、受信メールから測定された応答時間を転送時間とみなし、人づての情報伝達が望ましい状況下で、情報伝達を最速に行うためには誰に情報を送ればよいかを推奨することが可能である。例えば、コミュニケーション支援システムが各ユーザの端末が転送したことのある相手ユーザを記憶しておき、目的のユーザに情報を転送してもらうのに、そのユーザに転送したことのあるユーザの中から、現在の状態が高応答状態のユーザを選択して情報を送信すれば、目的のユーザに早く伝達されることが期待できる。
【0113】
この構成を採用する場合、
図19に示すように、コミュニケーション支援システム3Bは、実施の形態3のコミュニケーション支援システム3の構成に加え、さらに送付先抽出部35と転送ユーザ選択部36を備えれば良い。送付先抽出部35は、ユーザが情報を発信(送信、転送等)する際に送付先のユーザ(端末)を抽出し、記憶部12に記憶する。転送ユーザ選択部36は、過去に送付したことのあるユーザの中から現在の状態が高応答状態のユーザを選択する。
【0114】
さらに、ノードリストにユーザが興味を有する情報の種類、または、ユーザが転送した情報の種類を表す識別情報を付加しておいて、伝達する情報の種類に当てはまるユーザを選択すれば、より早く情報が伝達されることが期待できる。
【0115】
例えば、
図20に示すように、通常状態、現在状態、過去5回分のメールの応答、およびコンテンツを含むようなノードリストを用意する。例えば仕事に関する情報を早く他の人に伝達してもらうためには、現在状態がHで、コンテンツにWorkを含むFriend−1へメールを送ることを推奨することが可能である。
【0116】
次に、コミュニケーション支援システム1、2、3、3Bのハードウェア構成の一例について説明する。コミュニケーション支援システム1、2、3、3Bは、
図21に示すように、制御部41、主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45および送受信部46を備える。主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45および送受信部46はいずれも内部バス40を介して制御部41に接続されている。
【0117】
制御部41はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部43に記憶されている制御プログラム49に従って、コミュニケーション支援システム1の各処理を実行する。
【0118】
主記憶部42はRAM(Random−Access Memory)等から構成され、外部記憶部43に記憶されている制御プログラム49をロードし、さらに制御部41の作業領域としても用いられる。
【0119】
外部記憶部43は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random−Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、上述の処理を制御部41に行わせるための制御プログラム49を予め記憶し、また、制御部41の指示に従って、制御プログラム49が記憶するデータを制御部41に供給し、制御部41から供給されたデータを記憶する。
【0120】
操作部44はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス40に接続するインタフェース装置から構成されている。操作部44を介して、ユーザから情報の送信、返信または転送の指示の入力を受け付ける。また、ユーザの属性、興味の対象などの入力を受け付ける。
【0121】
表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)などから構成され、ユーザの状態を判別する閾値やユーザの状態を表示する。
【0122】
送受信部46は、通信装置、およびそれと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部46は、他のユーザ端末またはメールサーバなどからメッセージを受信し、ユーザが発信するメッセージを他のユーザ端末またはメールサーバへ送信する。
【0123】
図1、
図8、
図11または
図19に示すコミュニケーション情報登録部11、記憶部12、応答時間計算部13、閾値設定部14、リスト生成部33、現在状態判定部15、通知部16、情報交換部23、送付先抽出部35および転送ユーザ選択部36の処理は、制御プログラム49が、制御部41、主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45および送受信部46などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0124】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0125】
制御部41、主記憶部42、外部記憶部43、送受信部46などから構成されるコミュニケーション支援システム1、2、3、3Bのための処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するコミュニケーション支援システム1、2、3、3Bを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでコミュニケーション支援システム1、2、3、3Bを構成してもよい。
【0126】
また、コミュニケーション支援システム1、2、3、3Bの機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0127】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板 (BBS:Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0128】
上記実施形態の一部又は全ては、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0129】
(付記1)
コミュニケーションを取っているユーザの間で通信された情報の、発信者、受信者および発信した時刻の情報を含むコミュニケーション情報を取得する情報取得手段と、
前記コミュニケーション情報から前記ユーザの応答時間を求める算出手段と、
前記応答時間の頻度分布から、前記ユーザの状態を判別する閾値を求める設定手段と、
前記応答時間から前記閾値を基に、前記ユーザの状態を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とするコミュニケーション支援システム。
【0130】
(付記2)
前記判別手段で判別したユーザの状態に応じて情報発信、返信または再送信を促進または抑制する情報を選択して表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする付記1に記載のコミュニケーション支援システム。
【0131】
(付記3)
前記算出手段は、前記コミュニケーション支援システムが通信を行っている相手端末のユーザの応答時間を求め、
前記判別手段は、前記相手端末のユーザの状態を判別する、
ことを特徴とする付記1または2に記載のコミュニケーション支援システム。
【0132】
(付記4)
前記判別手段は、前記コミュニケーション支援システムを操作するユーザである自ユーザの応答時間から、該自ユーザの状態を判別し、
前記コミュニケーション支援システムが通信を行っている相手端末に、前記自ユーザの状態を送信する状態通知手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記1ないし3のいずれか1つに記載のコミュニケーション支援システム。
【0133】
(付記5)
前記判別手段は、前記算出手段が求めた応答時間と前記設定手段が求めた前記閾値とを比較することを特徴とする付記1ないし4のいずれか1つに記載のコミュニケーション支援システム。
【0134】
(付記6)
前記判別手段は、前記算出手段が求めた前記応答時間が、前記設定手段が求めた前記閾値よりも大きい場合に、前記ユーザの状態を低応答状態と判別し、前記算出手段が求めた前記応答時間が、前記設定手段が求めた前記閾値よりも小さい場合に、前記ユーザの状態を高応答状態と判別することを特徴とする付記5に記載のコミュニケーション支援システム。
【0135】
(付記7)
前記算出手段は、所定の個数分の応答時間の履歴を蓄積し、該応答時間の履歴の平均値から応答時間を求め、
前記判別手段は、前記平均値である応答時間を基に前記ユーザの状態を判別することを特徴とする付記1ないし6のいずれか1つに記載のコミュニケーション支援システム。
【0136】
(付記8)
ユーザごとのリストを生成するリスト生成手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記ユーザごとに前記応答時間を求め、
前記設定手段は、前記ユーザごとに前記閾値を求め、
前記判別手段は、前記ユーザごとに該ユーザの状態を判別し、判別した該ユーザの状態を前記リストに更新することを特徴とする付記1に記載のコミュニケーション支援システム。
【0137】
(付記9)
前記リスト生成手段は、前記ユーザが興味を有する情報の種類を表す識別情報を取得し、取得した前記識別情報を関連付けて前記リストを生成することを特徴とする付記8に記載のコミュニケーション支援システム。
【0138】
(付記10)
前記コミュニケーション情報から情報の発信者ごとに、通信された情報の受信者の識別情報である送付先を抽出する送付先抽出手段と、
転送される情報を受信する受信者の識別情報である転送先を取得する転送先取得手段と、
前記転送先を情報送付先に含む発信者の中から、高応答状態のユーザを選択する推奨送信先選択手段と、
を備えることを特徴とする付記1ないし9のいずれか1つに記載のコミュニケーション支援システム。
【0139】
(付記11)
前記設定手段は、前記応答時間の分布を近似する2つの関数の交点を前記閾値として求めることを特徴とする付記1ないし10のいずれか1つに記載のコミュニケーション支援システム。
【0140】
(付記12)
前記設定手段は、前記応答時間の分布内で、最も応答時間の早い点を通る近似関数と最も応答時間の遅い点を通る近似関数とを求め、求めた二つの近似関数の交点を前記閾値として求めることを特徴とする付記11に記載のコミュニケーション支援システム。
【0141】
(付記13)
前記応答時間の分布を近似する2つの関数は、指数関数であることを特徴とする付記11に記載のコミュニケーション支援システム。
【0142】
(付記14)
コミュニケーションを取っているユーザの間で通信された情報の、発信者、受信者および発信した時刻の情報を含むコミュニケーション情報を取得する情報取得ステップと、
前記コミュニケーション情報から前記ユーザの応答時間を求める算出ステップと、
前記応答時間の頻度分布から、前記ユーザの状態を判別する閾値を求める設定ステップと、
前記応答時間から前記閾値を基に、前記ユーザの状態を判別する判別ステップと、
を備えることを特徴とするコミュニケーション支援方法。
【0143】
(付記15)
コンピュータに、
コミュニケーションを取っているユーザの間で通信された情報の、発信者、受信者および発信した時刻の情報を含むコミュニケーション情報を取得する情報取得ステップと、
前記コミュニケーション情報から前記ユーザの応答時間を求める算出ステップと、
前記応答時間の頻度分布から、前記ユーザの状態を判別する閾値を求める設定ステップと、
前記応答時間から前記閾値を基に、前記ユーザの状態を判別する判別ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0144】
なお、本発明は、本発明の広義の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0145】
なお、本出願は、2010年1月4日に出願された、日本国特許出願2010−000267号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2010−000267号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。