特許第5773448号(P5773448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エゼレロン ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000002
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000003
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000004
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000005
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000006
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000007
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000008
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000009
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000010
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000011
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000012
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000013
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000014
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000015
  • 特許5773448-酸化物−セラミックの高温管状燃料電池 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773448
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】酸化物−セラミックの高温管状燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20060101AFI20150813BHJP
   H01M 8/12 20060101ALI20150813BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20150813BHJP
   H01M 8/24 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01M8/02 E
   H01M8/12
   H01M8/02 R
   H01M4/86 T
   H01M8/24 E
   H01M8/02 Y
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-512259(P2012-512259)
(86)(22)【出願日】2010年5月28日
(65)【公表番号】特表2012-528426(P2012-528426A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】EP2010003276
(87)【国際公開番号】WO2010136214
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年5月27日
(31)【優先権主張番号】102009023798.4
(32)【優先日】2009年5月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511284236
【氏名又は名称】エゼレロン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キューン、サスチャ
(72)【発明者】
【氏名】ブチンガー、ガーハード
(72)【発明者】
【氏名】クレイン、カトリン
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−282128(JP,A)
【文献】 特開2000−182635(JP,A)
【文献】 特開2005−174722(JP,A)
【文献】 特開平06−243879(JP,A)
【文献】 特開平03−238760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 4/86
H01M 8/12
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの端部において開口しているガスチャネルを1以上備える酸化物−セラミックの高温管状燃料電池であって、
前記燃料電池は、少なくとも部分的に、前記ガスチャネルの周囲を取り囲むように設けられている基板を備え、
前記基板は、前記ガスチャネルの長手軸の方向で見た場合に、管状で、前記長手軸の方向の両端が開口し、断面が円錐状にテーパー形状となっており、
前記基板は、前記燃料電池のアノードを構成しており、または、
前記基板は、前記燃料電池の電解質を構成しており、または、
前記基板は、前記燃料電池のカソードを構成している酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項2】
回転対称なガスチャネルを1つのみ備え、
前記基板は、少なくとも部分的に、前記回転対称なガスチャネルの周囲を外周に沿って回転対称に取り囲むように設けられている請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項3】
少なくとも1つの円錐形状のガスチャネルを備える請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項4】
前記ガスチャネルの周囲を囲み、円錐形状の外形を有する基板、または、少なくとも部分的に少なくとも1つのガスチャネルの周囲を取り囲むように設けられると共に、円錐形状のテーパー形状を持つ少なくとも1つの基板部分を備える請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項5】
前記燃料電池が前記基板に一体化している雌ネジまたは雄ネジを有する
請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項6】
導電性を持ち、積層体の電流放電部と前記燃料電池との間の接触面を拡大することによって前記積層体の電流放電部と前記燃料電池との間の電気接触を増加させるので、前記電気接触に対応する境界抵抗を低減する請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項7】
前記基板は、前記燃料電池の電極として形成されており、
前記基板の材料または前記基板が形成している前記電極に対応するカウンタ電極の材料は、金属、金属合金、セラミック材料もしくは少なくとも1つの金属あるいは1つの金属合金と少なくとも1つのセラミック材料との混合物を含む請求項1に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項8】
前記金属のうち少なくとも1つは、第5族、第6族、第7族、または第8族の遷移元素の金属であり、
および、
前記セラミック材料は、蛍石構造またはペロブスカイト構造を持つイオン伝導性材料および電子伝導性材料を含む請求項に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項9】
セラミック材料は、ドープされた酸化ジルコニウムまたはドープされた酸化セリウムまたはドープされた酸化ビスマスの群から選択されるセラミック材料を含み、
および、
前記燃料電池の導電担体は、Mn、W、Co、Al、Ni、Fe、Cr、Mo、Re、Ti、Zr、Ru、Ta、Nb、BまたはCをベースとする鋼または超合金を含む請求項に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【請求項10】
前記セラミック材料は、ペロブスカイトの化合物群またはドープされた鉄酸塩またはドープされたマンガン酸塩およびドープされたコバルト酸塩またはドープされたクロム酸塩またはドープされたニッケル酸塩の群から選択される少なくとも1つのイオン伝導性化合物または電子伝導性化合物を含み、
または、
前記セラミック材料は、上記の化合物のうち1つと、ドープされた酸化ジルコニウムまたはドープされた酸化セリウムまたはドープされた酸化ビスマスとの組み合わせを含む請求項に記載の酸化物−セラミックの高温管状燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温固体酸化物燃料電池に関する。特に、回転対称な高温固体酸化物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高温固体酸化物燃料電池という概念は既に登場しており、以下の技術文献に記載されている(「燃料電池ハンドブック(Fuel Cell Handbook)第7版、イージー・アンド・ジー・サービシーズ(EG&G Services,Inc.)、米国エネルギー省、化石エネルギー局、国立エネルギー技術研究所、ウェストバージニア州モーガンタウン、2004年11月」、「燃料電池の基礎ハンドブック、技術および応用、ウォルフ・ヴィールスティッチ(Wolf Vielstich)、ヒューバート・エー・ガスタイガー(Hubert A Gasteiger)、アーノルド・ラム(Arnold Lamm)、2003年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Ltd.)」。燃料電池の構造としては、管状、平面状、および、一体型がある。管状構造の特別な例として、微小管状構造と呼ばれる構造があり、温度勾配が大きくなるにしたがって非常に高い安定性を示すこと、および、それに従って高速循環性能が実現されることを特徴とする。さらに、表面対体積比が高くなるので容積電力密度が改善される(高温固体酸化物燃料電池:その基礎、構造および応用、エス・シー・シンハル(S.C.Singhal)他、ISBN1856173879、エルスビエ(Elsevier)Ltd.、2003年、オックスフォード)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、公知の電池の概念から始まって、電気接触部分、機械的安定性およびガス拡散を改善すること、ならびに、燃料電池をリアクタに一体化しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の燃料電池システムによって実現される。本発明に係る燃料電池システムのその他の有利な実施形態については、従属請求項から明らかになる。
【0005】
以下に記載する各実施形態のそれぞれの特徴は、この点において、本発明の枠組みの中で互いに実現可能でもある。つまり、例示したものと全く同じように特徴を組み合わせて実施する必要はない。
【0006】
本発明は、ガスチャネル、および/または、当該ガスチャネルの周囲を燃料電池のガスチャネルの長さ方向に沿って取り囲む基板を、ガスチャネルの断面が変化するように構成することを基本的な考えとする。このような構成とすることによって、断面が変化しない場合とは対照的に、電気接続、ガス拡散および機械的安定性の改善が可能になると同時に、損失が低減され、後に積層体に取り付けやすくなる。積層体では、リアクタユニットを形成するべく各燃料電池側面で電気およびガスを接触させる。
【0007】
このため、本発明に係る酸化物−セラミックの高温燃料電池は、少なくとも1つの端部で開口している1以上のガスチャネルと、少なくとも部分的に、好ましくは完全にガスチャネルの周囲を取り囲む基板とを備え、ガスチャネルおよび/または当該ガスチャネルの周囲を取り囲む基板は、ガスチャネルの長手軸方向から見た場合に、断面が変化し、好ましくは、断面が円錐状にテーパー状となる。
【0008】
本発明に係る燃料電池はこのため、燃料電池の長さ方向に断面が変化するという点において形状が改善されるという特徴を持つ。具体的には、本発明に係る回転対称の高温固体酸化物燃料電池は、燃料電池の基板の長さ方向に沿って断面が変化しており、燃料電池のガス拡散、導電性および機械的強度が改善される。
【0009】
さらに、本発明に係る燃料電池の有利な変形例によれば、構造の改善点については詳細に後述するが、高温固体酸化物燃料電池が積層体へと組み込み易くなり、特に、各燃料電池を封止しやすくする。
【0010】
このように取り付けが簡単になるような構造上の特徴としては、後述するように、ネジ山、突起部または穴部が考えられる。
【0011】
雌ネジまたは雄ネジを採用することによって、本発明に応じて形状を一致させて接続することが可能となるので、燃料電池と積層体との間の接続箇所の封止が簡単になると共に、ネジが導電材料を含む場合に燃料電池から積層体への結合部で発生する損失を最小限に抑えられる。
【0012】
積層体に対する締め付け接続および/または差し込み接続を実現するために適切な突起部もまた、締め付け接続も結合箇所が正確に係合するという特徴を持つので、本発明に応じて組み込み方式を改善し得る。
【0013】
本発明で実現され得る別の可能性としては、積層体への接着接続、ハンダ接続、および/または、溶接接続を簡略化するのに適切な突起部である。例えば、端部を対応させ、基板を拡張し、接着剤を受け入れるためのリング、例えば、封止部に装着されて溶融時にハンダと接触するAgのリングを備えさせることによって実現され得る。
【0014】
本発明に係る穴部は、正確に係合させつつAgリング等の封止材料を導入することが可能であるという利点を持ち、当該リングは任意で燃料電池のハンダ上に保持したまま積層体内に入れることが可能であるために所定位置で失敗することなく封止することが可能となるので、燃料電池と積層体との間の接続部を封止し易くする。
【0015】
本発明に係る、燃料電池と積層体との間の封止および接触を改善するための別の構造上の特徴は、積層体のうち対応する形状を持つ部分に組み込むことが適切な突起部である。
【0016】
本発明に係る構造上の特徴、つまり、例示した突起部、ネジ山および/または穴部が導電性である場合には、燃料電池と積層体の電流放電部(例えば、接触プレート)との間の接触面を大きくすることによって電気接触はさらに改善されるので、境界抵抗が低下する。
【0017】
上述したような構造上の特徴を同一材料で形成した基板を生成することは、特に、接合箇所および当該接合箇所で発生する封止ミス、剥がれ等の問題を避ける上で有益である。基板および、任意で、上述した構造上の特徴は、金属、セラミックおよび/または金属およびセラミックの混合物(例えば、サーメット)を材料とするとしてよい。例えば、金属、特にニッケルと、少なくとも一種類のイオン伝導性および/または電子伝導性を持つセラミック材料とを材料とするサーメット等は、アノード材料として適切な材料であってよい。ここでは、セラミック材料の例として、ドープされている酸化ジルコニウム(例えば、イットリウムおよび/あるいはサマリウムおよび/あるいはスカンジウムでドープされている)ならびに/またはドープされているセロキサイド(例えば、ガドリニウムおよび/あるいはスカンジウムでドープされている)が挙げられる。別の金属、特に、銅、コバルトおよび/またはその他の遷移金属および/または金属合金を含めることも可能である。
【0018】
また、カソード材料としても適切であるとしてよい。この場合、以下に挙げる化合物を特に利用可能である。鉄酸ランタンストロンチウムコバルト(LSCF)等の鉄酸塩、マンガン酸ランタンストロンチウム(LSM)およびマンガン酸ランタンカルシウム(LCM)等のマンガン酸塩、ニッケル酸塩および/またはコバルト酸塩(例えばLSC)が利用可能である。ペロブスカイト型の化合物が特に好ましい。金属、特に、Crofer22APU(X1CrTiLa22)等の高温合金を、導電担体である基板の材料として、このため、構造上の特徴の材料としても考えることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、請求項12に応じて実現される。このような構成では、気密コーティングを持つガスチャネルによって、導入されたガスを基板の終端まで強制的に流すことが確実に可能となり、その後に基板全体からガス/排ガスを排出することも確実に可能となる。気密コーティングは、ガスチャネルの側壁に設けられている。セラミック層であることが好ましい。電解質材料を材料とすることが好ましい。尚、ガスチャネルは、他の実施形態(以下を参照)のように配置される。相違点は、基板が一端で閉じている点のみである。ガス透過率の空隙率は、10%と90%との間となり、25%から50%の間であることが好ましく、空隙の直径は0.5μmと100μmとの間であることが好ましい。
【0020】
本発明のその他の重要な特徴および利点は、従属項で実現されると共に、図面および対応する図面の説明で実現される。
【0021】
上記の特徴および以下で説明する特徴は、所与の組み合わせでのみ利用出来るのではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせでも利用可能であり、または、組み合わせることなく単独でも利用可能であると理解されたい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は以下で説明する図1から図15に図示しており、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図5図4の実施形態の変形例を示す図である。
図6図4の実施形態の変形例を示す図である。
図7図1の実施形態の変形例を示す図である。
図8図3の実施形態の変形例を示す図である。
図9図3の実施形態の変形例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る高温燃料電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態例1>
図1は、管状基板(1)(燃料電池のアノードとして形成されているが、カソードを形成するとしてもよい)が円錐形状のガスチャネル(2)を被覆している構成の高温燃料電池の、ガスチャネルの長手軸(点線)に沿った断面を示す概略図である。ガスチャネルは、燃料電池の一端から他端に向かうにつれて1度の角度でテーパー形状となっており、ガスチャネルの直径は一端において1000μmで、他端では500μmとなっている。
【0025】
このように円錐形状のテーパー形状とすることによって、ガス拡散が改善され、電極の厚い側でのオーミック損失が低減される。
【0026】
<実施形態例2>
図2は、本発明に係る別の高温燃料電池の対応する断面を示す図である。当該実施形態例の燃料電池は、円錐形状のテーパー形状の基板(1)(テーパー角度は5度)と、テーパー形状ではなく円筒形状である管状ガスチャネル(2)とを備える。この構成によると、三相界面(TPB)が大きくなるので、燃料電池の性能が改善される。
【0027】
<実施形態例3>
図3は、実施形態例2に対応する管状の高温燃料電池の対応する断面を示す図である。しかし、当該実施形態例に係る燃料電池は、内部電極として機能する円錐形状の基板(1)と、ガスチャネル(2)と、さらに、内側電極および電解質(3)に応じた内部円錐形状部分を持つ外側電極(4)とを備える。このため、同図に示す燃料電池の外周面は、円筒に対応する。このような構成によると、三相界面(TPB)が非常に大きくなるので、燃料電池の性能が改善される。
【0028】
<実施形態例4>
図4は、両端で開口しており、ガスチャネルの長手軸(点線)に沿って一端から他端へと向かう間に直径が2段階で急激に減少している高温燃料電池の対応する断面を示す図である。当該実施形態例では、基板は、内側電極を構成しており、電解質(3)でコーティングされている。これに適合したカウンタ電極(4)は、外形を円筒形状とし、電解質上のうち内側電極とは反対側に(外側に)設けられる。基板(1)内のガスチャネル(2)は、テーパー形状ではなく円筒形状である。さらに、別のガスチャネル(5)を、燃料電池の長手軸またはガスチャネル(2)の長手軸に沿って、カウンタ電極(4)内に設ける。カウンタ電極(4)の厚みを階段状に増加させると共に、カウンタ電極よりも内側電極を突出させることによって、電気接続性および取り付け時の封止性が改善される。
【0029】
図5および図6は、図4に示した高温燃料電池の変形例を示す図である。当該変形例では、カウンタ電極(4)が薄くなっており、電極(1、4)の一方または両方について追加で電極コンタクト部(6)を設けている。
【0030】
カウンタ電極は、薄層(100nmから1mm)として形成される。電極コンタクト部は、電極の周囲に配設されているリングおよび当該リングから延伸しているワイヤを含む。
【0031】
図7は、図1に図示した高温燃料電池の変形例を示す図である。基板(1)内に円錐形状のガスチャネル(2)が設けられており、燃料電池の端部においてネジ山(7)が切られている。ネジ山(7)が切られている端部に向かうにつれて、ガスチャネルの幅が広くなっている。この変形例によると、積層体への組み込み方法が改善され、気密性が向上する。また、電気接触性が改善される。
【0032】
ネジ山は、いずれの場合でも、基板の終端および/または始端に配設されており、ガスチャネルの一部の周囲を取り囲んでおり、積層体または接続部材の対応部分に係合するように形成されている。
【0033】
図8および図9は、図3に示す高温燃料電池の変形例を示す図である。円錐形状の部材(1)に、ガスチャネル(2)、電解質(3)、および、適合した外側電極(4)が設けられている。いずれの変形例でも、両電極のネジ山(7)をさらに、燃料電池の両端に設けている。
【0034】
図10および図11は、積層体への組み込みを改善するように構成されている基板またはベアリング構造(1)の別の有益な実施形態を示す断面図である。当該実施形態例では、基板は、ベアリング構造、電解質、または、電極であってよい。
【0035】
図12は、端部が閉じている管状の高温燃料電池を示す断面図である。当該実施形態例によると、ガス供給は、基板(1)内の孔(8)を介して行われる。当該孔(8)は、内部をガスが流れ、内側に漏れ防止層(9)が設けられている。このような構成によって、積層体への組み込みおよびガス封止が改善される。
【0036】
図13は、図12と同様に、端部が閉じている管状の高温燃料電池を示す断面図である。当該実施形態ではさらに、孔隙率が高いガスチャネル(5)を設けてガスの逆流を保証している。
【0037】
図14は、一端が閉じている円錐形状の基板(1)と、電解質(3)と、形状が適合しているカウンタ電極(4)と、漏れ防止コーティングが内側に設けられているガス供給用の孔(8)と、両電極用の追加のガスチャネル(5)とを備えるSOFCを示す断面図である。
【0038】
図15は、基板の直径が階段状に減少すると共に一端で閉じており、漏れ防止コーティングが設けられている吸気口(10)と、電解質(3)と、形状が適合しているカウンタ電極(4)と、追加のガスチャネル(5)とを備えるSOFCを示す断面図である。
【0039】
当該実施形態例の基本的な特徴は、基板が一端で閉じていることに加えて、内側ガスチャネルに漏れ防止コーティングが設けられていることと、この内側層の端部に孔を設けて基板内への吸気を確実に行うこととが挙げられる。なお、本発明は、下記の項目に示される構成により実施されてもよい。
[項目1]
少なくとも1つの端部において開口しているガスチャネル(2)を1以上備える酸化物−セラミックの高温燃料電池であって、
前記燃料電池は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、前記ガスチャネルの周囲を取り囲むように設けられている基板(1)を備え、
前記ガスチャネルおよび/または前記ガスチャネルの周囲を取り囲むように設けられている前記基板は、断面が変化し、好ましくは、前記ガスチャネルの長手軸の方向で見た場合に、断面が円錐形状にテーパー形状となっている酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目2]
前記基板(1)は、前記燃料電池のアノードを構成している項目1に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目3]
前記基板(1)は、前記燃料電池の電解質を構成している項目1に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目4]
前記基板(1)は、前記燃料電池のカソードを構成している項目1に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目5]
前記基板(1)は、前記燃料電池のうち、アノードの一部ではなく、且つ、カソードの一部ではない、放電構造を構成しており、および/または、前記アノードの一部ではなく、且つ、前記カソードの一部ではなく、且つ、電解質の一部ではないベアリング構造を構成しており、
前記放電構造および/または前記ベアリング構造は、壁厚の範囲が100μmから3000μmであることが好ましく、特に100μmから1000μmであることが好ましく、および/または、長さの範囲が10mmから1000mmであることが好ましく、特に30mmから100mmであることが好ましい項目1に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目6]
回転対称なガスチャネルを1つのみ備え、
前記基板は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、前記回転対称なガスチャネルの周囲を外周に沿って回転対称に取り囲むように設けられている項目1から項目5のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目7]
少なくとも1つの円錐形状のガスチャネルを備える項目1から項目6のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目8]
円錐形状の基板、または、少なくとも部分的に少なくとも1つのガスチャネルの周囲を取り囲むように設けられると共に、円錐形状のテーパー形状を持つ少なくとも1つの基板部分を備える項目1から項目7のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目9]
前記基板部分または前記基板は、前記ガスチャネルの長手軸の方向において少なくとも1つの段、好ましくは2つ以上の段を有し、前記段において、前記基板部分または前記基板の直径が、前記ガスチャネルの長手軸と垂直な方向に急激に変化する項目8に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目10]
前記基板部分または前記基板の中央の直径は、前記ガスチャネルの長手軸の方向において、互いに離間している少なくとも2つの連続した段において、急激に減少する項目9に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目11]
前記基板に一体化している雌ネジまたは雄ネジとして、および/または、前記基板の突起部として、および/または、前記燃料電池を含む積層体への締め付け接続および/または差し込み接続を形成するのに適切なように、および/または、前記積層体への接着接続、ハンダ接続または溶接接続を形成するのに適切なように、および/または、前記積層体の対応形状部分に組み込まれるのに適切なように、
および/または、
導電性を持ち、前記積層体の電流放電部と前記燃料電池との間の接触面を拡大することによって前記積層体の電流放電部と前記燃料電池との間の電気接触を増加させるので、前記電気接触に対応する境界抵抗を低減するのに適切であるように、
および/または
前記燃料電池とリアクタとの間の接続の漏れ防止構成を簡略化するのに適切であることが好ましい、前記基板と一体的に形成されている穴部として、
作成、形成、および/または、配置されている少なくとも1つの構造上の特徴部分を備え、
前記構造上の特徴部分は、前記燃料電池のうち、アノードの一部、電解質の一部、カソードの一部、放電の一部、および/または、ベアリング構造部分の一部として形成されることが好ましい項目1から項目10のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目12]
一の端部において開口しており、反対側に位置する端部では閉じている1以上のガスチャネルと、
内側にコーティングが施されているガス供給部として、および/または、多孔質部材として形成されるのが好ましい少なくとも1つのガス供給部と
を備える項目1から項目11のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目13]
前記基板は、前記燃料電池の電極として形成されており、
前記基板の材料および/または前記基板が形成している前記電極に対応するカウンタ電極の材料は、アノード材料として適切な材料であり、および/または、アノード側の固体酸化物燃料電池の電流導体として適切な材料であり、
および/または、
金属、金属合金、セラミック材料、または、少なくとも1つの金属あるいは1つの金属合金と少なくとも1つのセラミック材料との混合物を含むか、または、材料とする項目1から項目12のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目14]
前記金属のうち少なくとも1つは、第5族、第6族、第7族、第8族の遷移元素の金属であるか、または、第1遷移元素であることが好ましく、特にニッケル、銅、鉄、コバルト、モリブデンまたはクロム、または、貴金属、特に、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムまたは金であることが好ましく、
および/または、
前記セラミック材料は、蛍石構造またはペロブスカイト構造を持つイオン伝導性材料および/または電子伝導性材料を含むか、または、材料とし、前記セラミック材料は、好ましくは、ドープされた酸化ジルコニウムおよび/またはドープされた酸化セリウムおよび/またはドープされた酸化ビスマスおよび/またはドープされた没食子酸塩の群から選択されるセラミック材料を含むか、または材料とし、
および/または、
前記燃料電池の導電担体は、鋼または超合金を含むか、または、材料とし、Mn、W、Co、Al、Ni、Fe、Cr、Mo、Re、Ti、Zr、Ru、Ta、Nb、Bおよび/またはCをベースとすることが有益である項目13に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目15]
前記基板の材料は、カソード材料を含み、および/または、材料とし、および/または、カソード側の固体酸化物燃料電池の電流導体として形成されており、および/または、セラミック材料を含み、および/または、材料とし、および/または、金属を含み、および/または、材料とする項目1から項目14のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目16]
前記金属は、前記燃料電池の動作条件および製造条件での酸化において安定した金属および/または合金であり、
および/または、
前記金属は、貴金属、特に、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムまたは金、および/または、Mn、W、Co、Al、Ni、Fe、Cr、Mo、Re、Ti、Zr、Ru、Ta、Nb、Bおよび/またはCをベースとすることが有益である高温合金、特に、高温鋼または超合金を含み、
および/または、
前記セラミック材料は、ペロブスカイトの化合物群および/またはドープされた鉄酸塩および/またはドープされたマンガン酸塩および/またはドープされたコバルト酸塩および/またはドープされたクロム酸塩および/またはドープされたニッケル酸塩の群から選択されるのが好ましい少なくとも1つのイオン伝導性化合物および/または電子伝導性化合物を含むか、または、材料とし、
および/または、
前記セラミック材料は、上記の化合物のうち1つと、ドープされた酸化ジルコニウムおよび/またはドープされた酸化セリウムおよび/またはドープされた酸化ビスマスおよび/またはドープされた没食子酸塩との組み合わせを含む項目15に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目17]
前記基板の材料は、導電担体材料として適切な材料であり、高温合金を含むことが有益である項目1から項目16のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目18]
前記基板は、アノードまたはカソードとして形成されており、
前記基板のカウンタ電極であるカソードまたはアノードは、項目1から項目17のうちいずれか一項に記載したように同様に大型の基板として形成されている項目1から項目17のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目19]
前記基板および/または前記カウンタ電極は、射出成形を用いて形成されている項目1から項目18のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目20]
前記基板および/または前記カウンタ電極は、消失模型鋳造を用いて、または、型で製造されている項目1から項目19のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
[項目21]
前記基板および/または前記カウンタ電極は、押し出し成形を用いて形成されている項目1から項目20のうちいずれか一項に記載の酸化物−セラミックの高温燃料電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15