特許第5773451号(P5773451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773451
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】無鉛高温用化合物
(51)【国際特許分類】
   B23K 31/02 20060101AFI20150813BHJP
   B23K 35/22 20060101ALI20150813BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20150813BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20150813BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20150813BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20150813BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20150813BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20150813BHJP
【FI】
   B23K31/02 310F
   B23K35/22 310A
   B23K35/26 310A
   C22C13/00
   H05K3/34 505B
   B23K1/00 330E
   B23K3/06 E
   B23K101:42
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-520948(P2012-520948)
(86)(22)【出願日】2010年7月21日
(65)【公表番号】特表2012-533435(P2012-533435A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2010004447
(87)【国際公開番号】WO2011009597
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2013年3月1日
(31)【優先権主張番号】102009034483.7
(32)【優先日】2009年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511213476
【氏名又は名称】ヘレウス ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ブレーア フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】トロードラー イェルク
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー カール−ハインツ
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/125861(WO,A1)
【文献】 特表2009−504411(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0029666(US,A1)
【文献】 特開2007−268613(JP,A)
【文献】 特表2004−525757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/02
B23K 1/00
B23K 3/06
B23K 35/22
B23K 35/26
C22C 13/00
H05K 3/34
B23K 101/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板への、電子部品の強固に結合された接合のための方法であって、
a)接合するべき第1の表面を有する電子部品および接合するべき第2の表面を有する基板を準備する工程と;
b)ペーストはんだを、接合するべき前記表面のうちの少なくとも1つに付与する工程と;
c)接合するべき前記第1の電子部品表面および接合するべき前記第2の基板表面が、前記ペーストはんだを介して互いに接触するように、前記電子部品および基板を配置する工程と;
d)前記電子部品と前記基板との間に強固に結合された接合を生成するために、工程c)からの構成物をはんだ付けする工程と
を含み、
前記ペーストはんだは、(i)99.9%以上の純度の銅からなる10〜30重量%の銅粒子、(ii)60〜80重量%のスズ−銅合金の粒子、ならびに(iii)3〜30重量%の、はんだフラックスを含有し、
前記銅粒子およびスズ−銅合金から作製された前記粒子の平均粒径は15μm以下であり、
ペーストはんだの付与された層の厚さは少なくとも20μmであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程d)からの前記構成物は、さらなる工程e)において、少なくとも40〜217℃の温度で、1分間〜24時間の範囲の時間、熱処理にかけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は、プリント配線基板、リードフレーム、およびダイレクトボンドカッパー基板からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スズ−銅合金の銅分率は0.3〜5重量%の範囲にある、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ペーストはんだであって、
(i)99.9%以上の純度の銅からなる10〜30重量%の銅粒子と、
(ii)60〜80重量%のスズ−銅合金の粒子と、
(iii)3〜30重量%のはんだフラックスと、
を含み、
前記銅粒子およびスズ−銅合金から作製された前記粒子の平均粒径は15μm以下であることを特徴とする、ペーストはんだ。
【請求項6】
前記スズ−銅合金の銅分率は0.3〜5重量%の範囲にある、請求項5に記載のペーストはんだ。
【請求項7】
電子部品と、基板と、前記電子部品および前記基板を、強固に結合された態様で接合する介在する、請求項5又は6のペーストはんだからなる接触層とを含む構成物であって、前記接触層は、共晶相分率および金属間相分率を含み、前記共晶相分率は、共晶相および金属間相の総重量に対して5〜50重量%の範囲にあることを特徴とする、構成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板への、電子部品の強固に結合された接合のための方法、当該方法で使用されるペーストはんだ、および当該方法で得ることができる構成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスの分野で使用される部品は、通常、絶え間のない周期的な温度変動を特徴とする環境に曝される。これは、接触層(Kontaktschicht)の形成を伴うはんだ付け手順を介して対応する基板に、強固に結合された態様で接合されることが通常であるマイクロチップに特に当てはまる。従って、この接触層が熱疲労に対して十分な安定性を持つことが、使用される製品の品質にとって非常に重要である。
【0003】
この理由から、チップおよび基板を接合するために、85重量%超の高い鉛含有量を有するペーストはんだを使用することが慣用的である。この鉛ベースのペーストはんだは、チップおよび基板の接合に対して、絶え間のない周期的な温度変動を特徴とする環境の中の熱疲労に対する十分な安定性を付与する。
【0004】
欧州連合の指令2002/95/ECによれば、鉛またはいずれかの他の健康に有害な物質を含有する電気デバイスおよび電子デバイスの流通販売を続けることは、2006年7月1日以降は許されない。結果として、無鉛ペーストはんだが、種々の電気用途および電子用途のために開発された。しかしながら、高温用途における使用のためのはんだは、上記指令の規定からの1つの例外である。代替物がないことを考慮すると、鉛の使用は、少なくとも等価な無鉛の代替物が利用可能になるまで、この領域でまだ許容される。従って、目的は、鉛含有接触層を含まない、チップおよび基板から構成される構成物(arrangement)を開発することである。
【0005】
これまでチップおよび基板の強固に結合された接合のための代替物として使用されてきた無鉛ペーストはんだは、はんだ付けフラックスとは別に、スズ、銀および/または銅から主になる金属合金から構成される粒子を有する粉末を通常含有する可融ペーストはんだであって、ここでこの粒子の平均粒径は25〜45μmまたはこれより大きい、可融ペーストはんだである。
【0006】
研究によって、このペーストはんだの使用を介して生成される接触層は、はんだ微細構造からなるだけでなく、非常に耐熱性が高い金属化合物、いわゆる金属間相をも含有するということが示されている。ここで、はんだ微細構造の金属間相および共晶相は、互いに実質的に平行にかつ接合するべきチップおよび基板の表面に実質的に平行に延在し、従ってサンドイッチ構造を形成する。このサンドイッチ構造の異なる相はそれらの熱膨張係数が異なるので、その接触部位は、限定的な熱的および力学的な抵抗性しか示さない。
【0007】
さらに、拡散はんだ付け(Diffusionsloeten)を介してチップおよび基板の強固に結合された接合を生成するための試みがなされてきた。これに関して、低温で溶融するはんだ材料および高温で溶融する金属が、耐熱性が非常に高くかつ力学的に安定な金属間相を形成する。このはんだ材料は、このプロセスで完全に、金属間相へと変換される。
【0008】
特許文献1は、例えば、拡散はんだ付けを介して基板上にチップを取り付けるための方法を開示する。この目的のために、特許文献1によれば、厚さが数マイクロメートルの複数の固体はんだ層が、スパッタリングおよび電気めっきを介して、接合するべき金属表面の上に最初に付与され、このため、固体はんだの堆積物を付与するために2つの熱的工程が必要になる。次いで、その後の拡散はんだ付けによって、金属間相のみを含有する、チップと基板との間の接触層が生成される。これにより、このように生成された接触点に、溶融はんだ付けを介して作製された同じ厚さの接触部位と比べてより大きい強度が与えられる。しかし、他方で、この手段によってさらにより高い強度を達成するために、接触層の厚さを増大させることが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 010 242号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この理由から、基板への、電子部品の強固に結合された接合のための簡便な方法であって、鉛含有ペーストはんだの使用をなくし、かつ絶え間のない周期的な温度変動を特徴とする環境の中での熱疲労に対する十分に高い抵抗性を特徴とする、かつ高い熱伝導率および電気伝導率を特徴とする接触層を導く方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、基板への、電子部品の強固に結合された接合のための方法であって、
a)接合するべき第1の表面を有する電子部品および接合するべき第2の表面を有する基板を準備する工程と;
b)ペーストはんだを、接合するべき表面のうちの少なくとも1つに付与する工程と;
c)接合するべき第1の電子部品表面および接合するべき第2の基板表面が、当該ペーストはんだによって互いに接触するように、当該電子部品および基板を配置する工程と;
d)この電子部品と基板との間に強固に結合された接合を生成するために、工程c)からの構成物をはんだ付けする工程と、
を含み、当該ペーストはんだは、(i)10〜30重量%の銅粒子、(ii)60〜80重量%の、スズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子、ならびに(iii)3〜30重量%の、はんだフラックスを含有し、当該銅粒子ならびにスズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される物質から作製される粒子の平均粒径は15μm以下であり、かつペーストはんだの付与された層の厚さは少なくとも20μmである、方法によって満足される。
【0012】
従って、この方法は、
(i)10〜30重量%の銅粒子と、
(ii)60〜80重量%の、スズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子と、
(iii)3〜30重量%のはんだフラックスと、
を含有し、この銅粒子およびスズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質から作製された粒子の平均粒径は15μm以下である、ペーストはんだの使用を伴う。
【0013】
従って、本発明の範囲は、電子部品と、基板と、電子部品および基板を、強固に結合された態様で接合する介在する接触層とを含む構成物であって、この接触層は共晶相分率および金属間相分率を含み、この共晶相分率は、共晶相および金属間相の総重量に対して5〜50重量%の範囲にある構成物を提供することを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る方法は、基板、電子部品および本発明に係る介在するペーストはんだによって構成される構成物をはんだ付けする過程の中で、当該はんだ付け材料は最初に熱的に凝固し、これによって、形成され最初は共晶相のみからなる中間の接触層を介する基板および電子部品の結合が導かれるという驚くべき知見に基づく。そのすぐ後に、形成される中間の接触層は等温凝固を受け、これには金属間相の形成が伴う。このプロセスでは、共晶相は、金属間相が分散している状態となり、この際、金属間相と留まる接触層との間に形成される相境界は、互いに平行に延在せず、かつ電子部品および基板の表面に平行に延在せず、共晶相分率および金属間相(intermetallischer Phase)分率を有する接触層を形成し、この共晶相分率は、共晶相および金属間相の総重量に対して5〜50重量%の範囲にある。
【0015】
当該接触層の形成は、拡散はんだ付けを介して生成される、金属間相だけを含有する薄い接触層(わずか数ミリメートル厚)、および溶融はんだ付けを介して生成される接触層(これは、接合するべき表面に実質的に平行に延在する共晶相および金属間相の両方を含み、かつ主に共晶相を含有する)の両方と比べて、実質的な強度の上昇を導く。従って、結合するべき対象の表面粗さに伴う問題、拡散はんだ付けにおけるはんだの限定的な付与および反り(はんだ付けプロセスの中での表面のゆがみ)を解消することができ、これは、基板および電子部品のより安定な接合につながる。
【0016】
従って、拡散はんだ付けを介して形成される接触層の典型的な耐熱性を特徴とする接触層を、熱伝導率および電気伝導率が低下することなく、本発明に従って生成することができる。
【0017】
当該安定な接触層の形成のために、当該ペーストはんだの付与された層の十分な厚さを選択することが必須であるということが見出された。この付与された層の厚さがほんの数マイクロメートルである場合、はんだ付けは、直ちに金属間相の形成へとつながり、これにより、後に共晶相が分散することは排除される。これでは、本発明によればもたらされるはずの強度の上昇は達成され得ない。
【0018】
さらに、特定のサイズの特定量の銅粒子が添加される場合にのみ、所望の強度の上昇が達成されるということが明らかになった。1つの特定の理論によって限定されることは望まないが、当該銅粒子に由来する銅が、共晶相が分散している金属間相の形成を伴う、はんだの液相線温度未満までの冷却の間に形成される中間の共晶相の中へと拡散するようである。
【0019】
本発明の範囲において、用語「電子部品」は、電気回路の構成要素(部品)を意味すると理解されるものとする。この電気部品は、例えば、チップ、好ましくはベアチップ(筐体がない半導体チップ)、半導体ダイオード、トランジスタ、レジスタ(抵抗器)またはコンデンサであることができる。
【0020】
本発明の範囲において、用語「基板」は、電子部品が接合される物体(主部)を意味すると理解されるものとする。この基板は、例えば、プリント配線基板、ダイレクトボンドカッパー(direct−bonded cupper)(DBCもしくはDCB)またはリードフレームであることができる。
【0021】
用語「プリント配線基板」は、プリント基板カード、プリント基板またはプリント配線回路の同義語として、本願明細書で使用され、電子部品のためのキャリアを表す。プリント配線基板は、伝導性の接続部(印刷導体)が付着する電気絶縁材料からなる。繊維強化プラスチック材料は、例えば、電気絶縁材料として使用することができる。
【0022】
ダイレクトボンドカッパーは、1つの表面、または互いに平行である最大面積を持つ2つの表面が高温での酸化プロセスを介して銅と結合される、セラミックプレート(例えば、アルミナ、窒化アルミニウムまたは酸化ベリリウムから作製される)を指すために使用される用語である。選択された条件で銅および酸素の共晶混合物が形成され、この共晶混合物は、銅および基板酸化物の両方に接合された状態になる。
【0023】
リードフレームは、チップキャリアおよび接合するリードのみから実質的になるIC(集積回路、マイクロチップ)筐体であると理解されるものとする。用語「リードフレーム」は、用語「接続フレーム」および「チップキャリア」の同義語として本願明細書で使用される。このチップキャリアは、そのベースフレームを構成しかつ金属、例えば銅、銅合金、銅およびフィニッシャー(Finisher)(例えばニッケル、銀または金)の組み合わせ、鉄−ニッケル合金または他のインバー合金から製作される基板を含む。
【0024】
当該電子部品は、当該ペーストはんだを介して生成される接触層によって電子部品を基板の表面を接合するために使用されることが意図されている少なくとも1つの第1の表面を含む。この表面は、より大きい表面の一部であってもよい。
【0025】
当該基板は、少なくとも、当該ペーストはんだを介して生成される接触層によって上記の電子部品の表面に基板を接合するために使用されることが意図されている第2の表面を含む。この表面は、より大きい表面の一部であってもよい。
【0026】
本発明によれば、ペーストはんだを介して生成される接触層によって基板に接合される電子部品の表面は、「接合するべき第1の表面」と呼ばれ、ペーストはんだを介して生成される接触層によって電子部品に接合される基板の表面は、「接合するべき第2の表面」と呼ばれる。
【0027】
慣用的に、メタライゼーション層は、少なくとも、接合するべき第1の電子部品表面にすでに付与されている。また、メタライゼーション層が、少なくとも、接合するべき第2の基板表面にすでに付与されていることが慣用的である。慣用的に、電子部品および基板はともに、少なくとも、接合するべき表面上にメタライゼーション層を含有する。それゆえ、電子部品は、基板の表面上のメタライゼーション層に対向して置かれる表面上にメタライゼーション層を含み、かつこれらのメタライゼーション層が接触層を介して互いに接合されるということが慣用的である。本発明の範囲において、電子部品の中に含有されてもよいメタライゼーション層は、その電子部品の一部分であり、基板の中に含有されてもよいメタライゼーション層はその基板の一部分である。
【0028】
存在する場合、メタライゼーション層は、好ましくは、電子部品の表面のうちの少なくとも1つの、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、例えば、100%の面積を占める。基板上では、メタライゼーション層は、好ましくは、接触層を介して電子部品に接合される表面のうちの、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、例えば、100%の面積を占める。
【0029】
このメタライゼーション層は、好ましくは、はんだ付けすることができる接合部を含有する層である。このメタライゼーション層は、好ましくは、銅、銀、金、スズ、およびパラジウムからなる群から選択される元素を含有する。このメタライゼーション層は、全体が、上記元素、上記元素のはんだ付け可能な化合物または上記元素の混合物もしくは合金からなることもできる。
【0030】
本発明によれば、ペーストはんだは、接合するべき電子部品表面または基板表面のうちの少なくとも1つに付与される。
【0031】
当該ペーストはんだは、(i)10〜30重量%の、銅粒子と、(ii)60〜80重量%の、スズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子と、(iii)3〜30重量%の、はんだフラックスとを含有する。
【0032】
当該ペーストはんだに含有される銅粒子の銅の純度は、好ましくは、少なくとも99.9%(3N)、より好ましくは少なくとも99.99%(4N)である。
【0033】
当該ペーストはんだの銅粒子の分率は、ペーストはんだの重量に対して、10〜30重量%、好ましくは12〜28重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
【0034】
スズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子の分率は、ペーストはんだの重量に対して、60〜80重量%、好ましくは62〜78重量%、より好ましくは65〜75重量%である。
【0035】
当該ペーストはんだがスズ−銅合金の粒子を含有する場合、スズの分率は、好ましくは97〜99.5重量%の範囲に、より好ましくは98〜99.5重量%の範囲にあり、銅分率は、好ましくは0.5〜3重量%の範囲に、より好ましくは0.5〜2重量%の範囲にある。特に好ましい実施形態によれば、このスズ−銅合金は、99.3重量%の、スズおよび0.7重量%の、銅を含む合金である。
【0036】
本発明によれば、ペーストはんだの中に含有される粒子が小さい平均粒径を有することが必須である。十分に小さい平均粒径を有する粒子を含むペーストはんだのみが、電子部品および基板の取り付けのためのはんだ付けの間に最初に共晶相を形成し、次いで金属間相にこの共晶相が分散することを可能にするするためによく適している。
【0037】
当該銅粒子の平均粒径およびスズまたはスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子の平均粒径は、互いに独立であり、15μm以下、好ましくは13μm以下、より好ましくは11μm以下、なおより好ましくは8μm以下である。好ましくは、この平均粒径は、2〜15μmの範囲にあり、より好ましくは2〜13μmの範囲にあり、さらにより好ましくは2〜11μmの範囲にあり、なおさらにより好ましくは2〜8μmの範囲にある。
【0038】
本発明の範囲において、平均粒径は、その粒子のうちの少なくとも90パーセントが、その特定された範囲の粒径を有するということを意味すると理解されるものとする。例えば、平均粒径が15μm以下であるとは、その粒子のうちの少なくとも90パーセントが15μm以下の粒径を有し、その粒子のうちの10パーセント未満が15μmよりも大きい粒径を有するということを意味する。平均粒径が2〜15μmの範囲にあるとは、その粒子のうちの少なくとも90パーセントが2〜15μmの範囲の粒径を有し、その粒子のうちの10パーセント未満が2μm未満または15μmより大きい粒径を有するということを意味する。
【0039】
当該粒子の1パーセント未満が特定の粒径を超えるということが、本発明によれば好ましい可能性がある。当該粒子の1パーセント未満が超える可能性がある粒径は、好ましくは15μm、より好ましくは11μm、さらにより好ましくは8μmである。
【0040】
さらに、当該ペーストはんだが、20μm超、18μm超、15μm超または11μm超の粒径を有する粒子を含有しないことも、本発明によれば好ましい可能性がある。
【0041】
当該銅粒子ならびにスズおよびスズ−銅合金からなる群から選択される少なくとも1つの物質の粒子の形状は、異なることができる。しかしながら、これらの粒子は、形状が球形であることが好ましい。しかしながら、用いられる粒子の少量の分率は、製造面の理由で形状が非球形であってもよいということは、当業者には自明である。しかしながら、存在する粒子のうちの好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%、または100重量%は、形状が球形である。当該ペーストはんだが、5重量%未満の、より好ましくは1重量%未満の、さらにより好ましくは0.1重量%未満の、例えば0重量%の、薄片の形状の粒子を含有するということも好ましい。
【0042】
本発明によれば、当該ペーストはんだは、3〜30重量%の、好ましくは5〜20重量%の、より好ましくは6〜15重量%の、はんだフラックスを含有する。このはんだフラックスは、はんだ付けの間に表面を還元すること(すなわち、脱酸素すること)ができるべきであり、はんだ付けプロセスの前後で酸化物の形成の更新を防止するべきであり、そして外来の物質の介在を減少させるべきである。さらに、このはんだフラックスの添加は、当該液状はんだの表面張力を低下させるべきである。使用することができるはんだフラックスとしては、コロホニー、コロホニーベースの樹脂系、水ベースの樹脂系またはカルボン酸(例えば2〜50個のC原子および2つまでの芳香環を有するカルボン酸、クエン酸、アジピン酸、ケイ皮酸および安息香酸など)、アミン(例えば6〜100個のC原子を有するアミンであり、このアミンは、好ましくは第三級である)、ならびに溶媒(例えば、水およびグリコールもしくはグリセロールなどのポリオールを含めた極性溶媒)に基づく系が挙げられる。
【0043】
さらに、本発明に係るペーストはんだは、例えば、アルコール、脂肪酸(例えば飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸またはエイコサン酸)、ポリシロキサン化合物またはホスフィド化合物などのさらなる成分を含有することができる。
【0044】
本発明に従って用いられるペーストはんだは鉛を含有せず、従って無鉛である。本発明の範囲において、無鉛であるとは、当該ペーストはんだは、技術的な理由でどうしても存在する可能性がある混入した鉛を除いては鉛を含有しないことを意味すると理解されるものとする。従って、無鉛は、ペーストはんだの重量に基づき1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.01重量%未満、特に0重量%の鉛含有量を意味すると理解されるものとする。
【0045】
本発明によれば、電子部品および基板は、はんだ付けを介して、強固に結合された態様で互いに接合される。従って、強固に結合された接合は、接合される相手が原子または分子の力を介して一緒に保持される接合である。これらの接合は、好ましくは、接合する手段を壊さない限りは分離することができない、非分離性の接合である。
【0046】
本発明によれば、基板と、電子部品と、これらの基板と電子部品との間に置かれるペーストはんだ層とからなる構成物がまず形成される。従って、基板および電子部品は、接合するべき第1の基板表面および接合するべき第2の電子部品表面がペーストはんだを介して互いに接触するように配置される。通常、ペーストはんだは、好ましくは、基板(存在する場合)のメタライゼーション層、および電子部品(存在する場合)のメタライゼーション層に接触する。
【0047】
好ましくは、この目的のために、ペーストはんだの層は、まず接合するべき基板表面に、好ましくはメタライゼーション層を含有する基板表面に付与される。この付与は、先行技術により公知の方法のうちのいずれ、例えばスクリーン印刷方法、ステンシル印刷方法または分注技術によって行うことができる。このペーストはんだが基板の表面全体を覆う必要はない。むしろ、このペーストはんだは、基板の表面の一部に、かつ/または選択されたはんだ付け表面のみに付与することもできる。その後、この電子部品の表面は、好ましくはメタライゼーション層を含有する表面は、このように付与されたペーストはんだの上へと置かれる。
【0048】
本発明によれば、ペーストはんだの付与された層の厚さは、少なくとも20μm、より好ましくは少なくとも25μm、さらにより好ましくは少なくとも50μmである。好ましい実施形態によれば、付与された層の厚さは、20〜150μmの範囲にあり、より好ましくは30〜120μmの範囲にあり、特に好ましくは50〜100μmの範囲にある。本発明の範囲において、用語「付与された層の厚さ」は、はんだ付け直前の、基板の表面と接合するべき電子部品との間、好ましくは基板の表面のメタライゼーション層と接合するべき電子部品との間の距離を意味すると理解されるものとする。従って、付与された層の厚さは、実質的に、用いられるペーストはんだの量によって決定される。その後のはんだプロセスの間、電子部品と基板との間の距離は、ペーストはんだの正確な組成にもよるが、著しく、およそ50パーセントも、減少する可能性がある。これは、いくつかの要因の中でもとりわけ、はんだ付けプロセスの間のはんだフラックスの蒸発による。
【0049】
電子部品、基板および介在するペーストはんだによって構成される構成物は最後にはんだ付けされ、これは、電子部品、基板、および介在する接触層によって構成される構成物の形成を伴う。一般的な定義によれば、はんだ付けは、材料の固相線温度に到達することのない、材料の強固に結合された連結およびコーティングのための熱的方法を意味すると理解されるものとする。
【0050】
はんだ付けのために、上記の構成物は、現実のはんだ付け温度に到達するまで均一に加熱されることが好ましい。好ましい実施形態によれば、この加熱は、1秒あたり3℃以下の速度で進行する。
【0051】
好ましくは、このはんだ付け温度は、用いられるはんだの融解温度の約10〜30℃上、より好ましくは約15〜25℃上、さらにより好ましくは18〜22℃上、例えば約20℃上である。別の好ましい実施形態によれば、はんだ付け温度は260℃未満、例えば240〜250℃の範囲にある。
【0052】
はんだ付けのために、温度は、当該ペーストはんだの中に含有されるはんだの液相線温度よりも高い温度に、少なくとも15秒、好ましくは少なくとも20秒、さらにより好ましくは少なくとも30秒の間、保たれる。
【0053】
本発明によれば、はんだ付けされた構成物を当該ペーストはんだの中に含有されるはんだの液相線温度未満まで冷却することは、当該銅粒子に由来する銅が、はんだ付けプロセスの間に生成された共晶のスズ−銅相の中へ拡散することを伴う。前記拡散プロセスは、最終的に、共晶相に分散する金属間相を導き、その結果、それまでに生成された接触の強度の上昇を導く。
【0054】
この効果を増進するために、電子部品、基板およびはんだ付けプロセスの間に得られる介在する接触層によって構成される構成物を、はんだ付けプロセス後の熱処理にかけることが有利である場合がある。熱処理は、構成物をはんだの液相線温度未満の熱で処置することを意味すると理解されるものとする。
【0055】
この熱処理は、好ましくは、40℃を超える温度、例えば40〜217℃の範囲、より好ましくは100〜210℃の範囲、さらにより好ましくは150〜205℃の範囲で進行する。この熱処理は、好ましくは、1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜10時間、さらにより好ましくは20分間〜1時間の継続期間、進行する。熱処理の継続期間は、通常、温度と相関し、熱処理のために使用される温度が低いほど、長い。
【0056】
本発明に係る方法のために、電子部品、基板、および介在する接触層によって構成される構成物の製造のための慣用的な方法になされる高価な改変を必要としないことが特に有利である。特に、本発明に係る方法は、従来のはんだ付けプロセスのために使用される機械装置に関する特定の必要条件を伴わない。本発明に係る方法は、それゆえ、例えば従来の条件でかつ、たとえ機械装置を使用するとしても、既存の機械装置を使用して実施することができる。
【0057】
好ましい実施形態によれば、本発明に係る構成物は、上記の方法によって製造することができるし、または製造される。
【0058】
驚くべきことに、上記の方法は、優れた特性を、電子部品、基板、および本発明に従って生成される介在する接触層によって構成される構成物に付与することが見出された。従って、電子部品および基板を互いに接合する無鉛接触層を提供することは、従来の方法に従って製造される接触層を有する構成物と比べて、信頼性の高まりを伴う。
【0059】
驚くべきことに、これは、金属間相に分散している共晶相である、本発明に従って生成される接触層に基づく。
【0060】
共晶相が金属間相に分散していることによって、基板および電子部品の表面に平行に延在する共晶相と金属間相との間の長い境界領域の形成は、防止される。従って、当該接触層は、異なる熱膨張係数を有する相の広域の境界領域を含まず、このため、強度の上昇を成し遂げることが可能になる。
【0061】
それゆえ、基板、電子部品、および介在する接触層によって構成される本発明に係る構成物は、特に高性能半導体の稼働の間に生じる厳しい周期的な温度変動に耐えることができる。
【0062】
従って、当該構成物は、電子部品、基板およびこの電子部品とこの基板との間に配置される接触層を含み、ここでこの接触層は、共晶相分率および金属間相分率を含み、ここでこの共晶相分率は、共晶相および金属間相の総重量に対して5〜50重量%の範囲にある。
【0063】
当該接触層における金属間相のこの高い分率(残部は共晶相である)は、金属間相が、接合するべき電子部品および基板の表面に、および共晶相に平行であるように配置されないことではなく、むしろ、金属間相が共晶相と混ざることで成し遂げられる。
【0064】
金属間相および共晶相の分率は、例えばエッチングおよび重量測定法を介して決定することができる。この目的のために、試験するべき接触層は、当該構成物から分離され、粉砕され、そして共晶相および金属間相の(からなる)接触層の総重量を決定するために秤量される。その後、2−ニトロフェノールが粉砕された接触層に添加され、この試料は、50℃で1時間保たれる。このディープエッチングの間、共晶相は粉砕された接触層から溶解され、他方で金属間相は不溶性成分として残る。次いで、共晶相の分率は、エッチング前の粉砕された接触層の重量と金属間相の重量との重量差として決定される。
【0065】
本発明に係る構成物の中に含有される接触層は、実質的に互いに平行に配置されておらず、かつ接合するべき電子部品および基板の表面に平行に配置されてはいない共晶相および金属間相を有する。むしろ、この接触層は、好ましくは、金属間相によって取り囲まれた共晶相を含有する。好ましい実施形態によれば、接触層は、金属間相によって完全に取り囲まれている少なくとも1,000μmの体積を有する共晶相の主要部分を含有する。好ましくは、接触層の中のこの主要部分の分率は、少なくとも1体積%、より好ましくは少なくとも3体積%、さらにより好ましくは少なくとも5体積%である。当該接触層の中のこの主要部分の分率は、検鏡試片の分析を介して容易に決定することができる。
【0066】
本発明に係る構成物では、電子部品と基板との距離は、好ましくは8〜50μm、より好ましくは10〜30μm、さらにより好ましくは12〜28μmである。この距離は、接合するべき電子部品および基板の表面間の距離を意味すると理解されるものとし、ここで、存在してもよいメタライゼーション層は、電子部品または基板の一部である。特定された距離は、従って、はんだ付け後の電子部品と基板との間の接触層の厚さに相当する。
【0067】
本発明によれば、はんだ付け条件、特にペーストはんだの付与された層の厚さ、温度および時間、ならびに当てはまる場合には、熱処理条件、特に温度および時間は、上記の接触層が得られるように、上記のはんだ付けプロセスにおいて調整することができる。所望の特性を有する接触層の形成は、対応する検鏡試片の分析を介して容易に突き止めることができる。
【0068】
本発明は、以下の実施例を通して以下でさらに説明されるが、これらは、いかなる方法または形態でも本発明を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【0069】
実施例1:
74重量%の、5〜15μmの範囲にある平均粒径を有するスズ−銅合金(SnCu0.7)の粒子、15重量%の、5μmまでの平均粒径を有する銅粒子、および11重量%の、コロホニーに基づくはんだフラックス系を含有するペーストはんだを調製した。
【0070】
このペーストはんだを、銅から作製されるメタライゼーション層を具えるDCB基板上に、金属鋳型を介して付与した。ペーストはんだの付与された層の厚さは20μmであった。その後、ペーストはんだを具えたこのDCB基板の表面に、約400mmの表面積および銅から作製されるメタライゼーション層を有するベアチップを設けることを、この目的のための専用の機械を使用して行った。この目的のために、ベアチップのメタライゼーション層がペーストはんだを介してDCB基板のメタライゼーション層と接触するようにして、ベアチップをペーストはんだ上に置いた。
【0071】
次いで、DCB基板、ベアチップ、および介在するペーストはんだによって構成される構成物を、はんだ付け加熱炉の中に置き、1秒あたり2.5ケルビンの速度で245℃という温度まで加熱し、そしてはんだ付けのためにこの温度を30秒間維持した。
【0072】
参考例1:
87重量%の、5〜15μmの範囲にある平均粒径を有するスズ−銅合金(SnCu0.7)の粒子、および13重量%の、コロホニーに基づくはんだフラックス系を含有するペーストはんだを調製した。
【0073】
このペーストはんだを、銅から作製されるメタライゼーション層を具えるDCB基板上に、金属鋳型を介して付与した。このペーストはんだの付与された層の厚さは20μmであった。その後、ペーストはんだを具えたこのDCB基板の表面に、約400mmの表面積および銅から作製されるメタライゼーション層を有するベアチップを設けることを、この目的のための専用の機械を使用して行った。この目的のために、ベアチップのメタライゼーション層がペーストはんだを介してDCB基板のメタライゼーション層と接触するようにして、ベアチップをペーストはんだ上に置いた。
【0074】
次いで、DCB基板、ベアチップ、および介在するペーストはんだによって構成される構成物を、はんだ付け加熱炉の中に置き、1秒あたり2.5℃の速度で245℃という温度まで加熱し、そしてはんだ付けのためにこの温度を30秒間維持した。
【0075】
実施例および参考例に従って調製した構成物の安定性を検討する種々の実験において、本発明に従って調製した構成物は、参考例に従って調製した構成物と比べて、より耐熱性があることは明らかであるということが見出された。