特許第5773472号(P5773472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5773472
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】位置指示器及び位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   G06F3/03 400A
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-520747(P2015-520747)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(86)【国際出願番号】JP2015051467
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-16311(P2014-16311)
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 広幸
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−129929(JP,A)
【文献】 特開2010−117943(JP,A)
【文献】 特開2010−129920(JP,A)
【文献】 特開2011−216512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
H01G 5/00,7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
略棒状に形成され、一端が前記筐体の外側に突出して前記筐体に収納された芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により容量が変化するコンデンサと、からなり、
前記コンデンサは、
第1の面部及び該第1の面部に対向する第2の面部を有する誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に配置された第1の導体と、
前記誘電体の前記第1の導体に接続され、前記第1の導体と共に前記コンデンサの第1の電極を構成する第1の端子部と、
前記誘電体の第2の面部に配置された第2の導体と、
前記第2の面部に対向して配置される導電部材と、
前記第2の導体と前記導電部材と共に前記コンデンサの第2の電極を構成する第2の端子部と、
前記導電部材を、前記誘電体の前記第2の面部から離隔する状態に付勢するための弾性部材と
を備え、
前記外力により、前記弾性部材の偏倚力に抗して前記導電部材が前記誘電体の前記第2の面部の前記第2の導体に接触し、接触時には前記コンデンサの容量が、前記導電部材と前記第2の導体との接触面積よりも大きい、前記第1の導体と前記第2の導体との対向面積に応じた所定の容量に変化する
ことを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記外力に応じた信号を送信する回路を備え、
前記第1の端子部と、前記第2の端子部とが、前記回路に接続されてなる位置指示器。
【請求項3】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記コンデンサは、
前記導電部材が、前記第2の導体をはみ出して前記誘電体の前記第2の面部と接触する面積に応じて、前記外力の変化に応じた容量を有するものとなることを特徴とする位置指示器。
【請求項4】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第2の導体は、前記第1の導体よりも小さな面積であることを特徴とする位置指示器。
【請求項5】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記導電部材は、前記第2の面部に対向する側に膨出する曲面部を備え、当該曲面部の先端から第2の面部と徐々に接触する構成とされており、
前記第2の導体は、前記第2の面部において前記導電部材の曲面部の先端が接触する位置に設けられることを特徴とする位置指示器。
【請求項6】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記第2の面部の前記導電部材と対向する面は鏡面加工されていることを特徴とする位置指示器。
【請求項7】
請求項1に記載の位置指示器であって、
前記コンデンサは、
前記導電部材と前記第2の導体とが接触した直後においては、前記第1の導体と前記第2の導体との面積に応じた所定容量を有するものとなり、
前記導電部材が、前記第2の導体をはみ出して前記誘電体の第2の面部に接触する面積に応じて、外力の変化に応じた容量を有するものとなることを特徴とする位置指示器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の位置指示器であって、
前記第2の導体は、中心位置が前記誘電体の第2の面部の中心位置と一致するように設けられることを特徴とする位置指示器。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の位置指示器であって、
前記第2の導体は、中心位置が前記誘電体の前記第2の面部の中心から偏心した位置となる形状とされることを特徴とする位置指示器。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の位置指示器であって、
前記コンデンサを回路素子の一部とする共振回路を備え、電磁誘導方式の位置検出装置に対して用いられる位置指示器。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の位置指示器であって、
前記芯体は導電性材料により形成され、使用者と前記芯体とが電気的に接続可能にされることにより、静電方式の位置検出装置に対して用いられる位置指示器。
【請求項12】
筐体と、略棒状に形成され、一端が前記筐体の外側に突出して前記筐体に収納された芯体と、前記芯体を介して加わる外力により容量が変化するコンデンサと、からなり、前記コンデンサは、第1の面部及び該第1の面部に対向する第2の面部を有する誘電体と、前記誘電体の前記第1の面部に配置された第1の導体と、前記誘電体の前記第1の導体に接続され、前記第1の導体と共に前記コンデンサの第1の電極を構成する第1の端子部と、前記誘電体の第2の面部に配置された第2の導体と、前記第2の面部に対向して配置される導電部材と、前記第2の導体と前記導電部材と共に前記コンデンサの第2の電極を構成する第2の端子部と、前記導電部材を、前記誘電体の前記第2の面部から離隔する状態に付勢するための弾性部材とを備え、前記外力により、前記弾性部材の偏倚力に抗して前記導電部材が前記誘電体の前記第2の面部の前記第2の導体に接触し、接触時には前記第1の導体と前記第2の導体との対向面積に応じた所定の容量に変化する位置指示器により指示された指示位置を検出する位置検出装置であって、
前記位置指示器からの信号を受信する受信回路と、該信号から前記容量の変化を前記位置指示器に加わる外力の変化として検出する検出回路を有する
ことを特徴とする位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筆圧を検出する機能を備えたペン型の位置指示器及び位置指示器を備えて構成される位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの情報処理装置の入力デバイスとして、座標入力装置が用いられている。座標入力装置は、例えば、ペン型の位置指示器と、この位置指示器を用いてポインティング操作や文字、図形などの入力を行う入力面を有する位置検出装置から構成される。例えば、パーソナルコンピュータと座標入力装置とを利用してデザインや設計を行う場合には、入力する線の太さも様々に変えたい場合がある。この場合、位置指示器において、使用者により加えられた圧力(筆圧)を検出し、これを位置検出装置に伝達することにより、使用者の筆圧に応じた情報の入力が可能となる。位置指示器における使用者により加えられた筆圧の検出には、従来から特許文献1に記載されている可変容量コンデンサが用いられている。
【0003】
図8は、特許文献1に開示されている可変容量コンデンサ100の概略構成を示すものである。可変容量コンデンサ100は、略円盤状の誘電体101と、誘電体の一方の面(第1の面)101aに取り付けられた第1の電極102と、誘電体101の他方の面(第2の面)101b側に、リング状のスペーサ104を介して配設された可撓性を有する第2の電極103とを有する。第1の電極102には第1の端子108が接続され、第2の電極103には第2の端子109が接続されている。第2の電極103の誘電体101と対向する面とは反対側の面側には、弾性体105を介して位置指示器のペン先に連なる棒状の芯体300が配設されている。
【0004】
このような構成を有する可変容量コンデンサ100において、ペン先に使用者の筆圧が加わらない状態(初期状態)では、誘電体101の第2の面101bと第2の電極103がスペーサ104によって離隔された状態が維持される(図8(A))。このため、誘電体101の第2の面101bと第2の電極103との間にはスペーサ104の厚み分の空気層600が形成される。このときの第1の端子108と第2の端子109間の電気容量は、誘電体101が有する電気容量と非誘電率1.0の空気層600が有する電気容量の直列合成容量となり、かなり小さなものとなる。
【0005】
これに対して、ペン先に使用者の筆圧が加わると、それに応じて芯体300が誘電体101側に変位するため、第2の電極103が誘電体101側に湾曲して近づく。この場合、空気層600の電気容量はその厚みに反比例して大きくなり、第1の端子108と第2の端子109間の電気容量は大きくなる。その後、図8(B)に示すように、第2の電極103が誘電体101の第2の面101bに接触すると、第1の端子108と第2の端子109間の電気容量は、誘電体101の他方の面101bと第2の電極103との接触面積に比例して増加する。従って、第1の端子108と第2の端子109間の電気容量の変化を検出することで、芯体300に連なるペン先に加わる圧力(筆圧)が検出できる。
【0006】
このように位置指示器においては、誘電体の一方の面(第1の面)には第1の電極を取り付け、他方の面(第2の面)側には対向して第2の電極を配置し、筆圧に応じて芯体により第2の電極を誘電体の第2の面に押し当てて可変容量コンデンサを構成する。この場合、誘電体の第2の面と、これに筆圧に応じて押し当てられる第2の電極との接触面積に応じて変化する当該コンデンサの電気容量の変化によって筆圧を検出可能にしている。
【0007】
位置指示器の筆圧検出用の可変容量コンデンサについては、構成の簡略化や筆圧検出の高感度化などを目的として種々の改良が行われている。図9図12は、位置指示器の筆圧検出用の改良された可変容量コンデンサについて説明するための図である。例えば、特許文献2には、図9(A)に示す可変容量コンデンサ100Aが開示されている。可変容量コンデンサ100Aは、誘電体101の第1の面101aには第1の電極102を取り付け、第1の電極102には第1の端子108を接続する。誘電体の第2の面101bには先端が円形に形成された部分を有する線状の第2の電極103を取り付け、この第2の電極103には第2の端子を接続する。
【0008】
更に、誘電体101の第2の面101bに対向するようにペン先に連なる芯体300を配設するが、この芯体300は、ペン先とは反対側の端部に例えばドーム状の導電ゴム部300aを備えたものである。従って、導電ゴム部300aが誘電体101の第2の面101bに接触したときには、導電ゴム部300aもまた第2の電極として機能する。この例の可変容量コンデンサ100Aは、誘電体101の第2の面101bには既に第2の電極103が取り付けられているので、初期容量C0を有する。
【0009】
位置指示器のペン先に使用者による筆圧が加わると、ペン先に連なる芯体300のペン先とは反対側の端部に設けられている導電ゴム部300aが、誘電体101側に移動する。このようにして導電ゴム部300aが誘電体101の第2の面に取り付けられた第2の電極103に接し、更に潰れて誘電体101の第2の面との接触面積が大きくなることで、第1の電極102と第2の電極103との間の電気容量が変化し、これに応じて筆圧の検出ができる。
【0010】
可変容量コンデンサ100Aの場合には、図9(B)の筆圧検出特性に示すように、筆圧を加えていない状態でも初期容量C0を有することにより、軽くペン先に力を加えることにより筆圧の検出が可能となる。しかし、誘電体101の第2の面101bに取り付けられている第2の電極103の機能により立ち上がりをよくしているため、筆圧を正確に検出できる範囲は、図9(B)に示した点線の上側の範囲となり、筆圧の解像度が低くなる。
【0011】
特許文献3には、図10(A)に示す可変容量コンデンサ100Bが開示されている。可変容量コンデンサ100Bは、誘電体101の第1の面101aには第1の電極102を取り付け、この第1の電極102には第1の端子108を接続する。更に、誘電体101の第2の面101bに対向するようにペン先に連なる芯体300を配設する。この芯体300は、ペン先とは反対側の端部に例えばドーム状の導電ゴム部300bを備えたものであり、当該導電ゴム部300bには、第2の端子109を接続する。従って、導電ゴム部300bが誘電体101の第2の面101bに接触したときに初めて、導電ゴム部300bが第2の電極として機能し、可変容量コンデンサを構成する。
【0012】
そして、位置指示器のペン先に使用者による筆圧が加わると、ペン先に連なる芯体300のペン先とは反対側の端部に設けられている導電ゴム部300bが、誘電体101側に移動する。この後、導電ゴム部300bが誘電体101の第2の面に接して潰れ、誘電体101の第2の面との接触面積が大きくなることで、第1の電極102と第2の電極103間の電気容量が変化し、これに応じて筆圧の検出ができる。可変容量コンデンサ100Bの場合には、誘電体101の第2の面101bと第2の電極としての導電ゴム部300bとの接触面積に応じて電気容量が変化する。このため、可変容量コンデンサ100Bを用いることにより、図10(B)の筆圧検出特性に示しように、軽い筆圧から重い筆圧に至るまで広範囲に筆圧を正確に検出できる。
【0013】
しかしながら、図9(B)と図10(B)との筆圧検出特性を比較すると分かるように、可変容量コンデンサ100Bの場合には、可変容量コンデンサ100Aに比べて立ち上がりの傾きが小さくなる。使用者により圧力が加えられた場合にのみ筆圧を検出するためには、確実に筆圧が加えられていると判別できる所定の筆圧検出スレショルドまで可変容量コンデンサ100Bの電気容量を上げなければならない。しかし、図10(B)に示すように、筆圧検出特性の傾きが小さい。このため、筆圧検出スレショルドまで可変容量コンデンサ100Bの電気容量が大きくなるまでに所定量の荷重(筆圧)を掛けなければならないので、図9(A)に示した可変容量コンデンサ100Aに比べて立ち上がり感度が低下する(鈍くなる)。
【0014】
このため、図11(A)に示すように、先端を平坦にして、ある程度の面積を持たせるようにした導電ゴム部300cを芯体300のペン先とは反対側の端部に設けることが考えられる。可変容量コンデンサ100Cは、導電ゴム部300c以外の各部は図10(A)に示した可変容量コンデンサBと同様に構成されたものである。可変容量コンデンサ100Cの場合には、誘電体101の第2の面101bと導電ゴム部300cとが接触した場合に、最初から所定の面積で接触する。
【0015】
このため、可変容量コンデンサ100Cの場合には、図11(B)の筆圧検出特性に示すように立ち上がりが早い特性とすることができる。しかしながら、可変容量コンデンサ100Cの場合、導電ゴム部300cの先端部を平坦にすることにより立ち上がりをよくしているため、筆圧を正確に検出できる範囲は、図11(B)に示した点線の上側の範囲となる。従って、図11(A)に示した可変容量コンデンサ100Cもまた、図9(A)に示した可変容量コンデンサ100Aの場合と同様に、筆圧の解像度は低くなる。
【0016】
また、図11(A)に示した可変容量コンデンサ100Cの場合には、上述したように、導電ゴム部300cのペン先とは反対側の端部の先端を平坦にしている。このため、導電ゴム部300cの取り付け状態などの影響を受けて、可変容量コンデンサ100Cを搭載した位置指示器ごとに導電ゴム部300cと誘電体101の第2の面部との接触の仕方が異なる。従って、図11(B)において、3つの筆圧検出特性で示したように、当該可変容量コンデンサ100Cが搭載された位置指示器ごとに、筆圧検出特性の立ち上がり率にばらつきが生じてしまう場合があった。
【0017】
このことは、当該可変容量コンデンサ100Cが搭載された同じ位置指示器においても発生する可能性がある。すなわち、使用時の位置指示器の傾け方などの影響を受けて、導電ゴム部300cと誘電体101の第2の面部101bとの接触の仕方が異なることがある場合には、立ち上がり率にばらつきが生じることになる。この場合には、同じ位置指示器であっても、使用ごとに書き味にばらつきが生じる可能性がある。
【0018】
特許文献4には、図12(A)に示す可変容量コンデンサ100Dが開示されている。可変容量コンデンサ100Dは、誘電体101の第1の面101aには第1の電極102を取り付け、この第1の電極102には第1の端子108を接続する。誘電体101の第2の面101b側に、図示しないがリング状のスペーサを介して可撓性を有し、中心から放射状に延伸した延伸部を有する第2の電極103aを配置し、第2の電極103aには第2の端子109を接続する。第2の電極103aは、いわゆるリボン形状を有している。第2の電極103の誘電体101と対向する面とは反対側の面側には、図示しないが弾性体を介して位置指示器のペン先に連なる棒状の芯体300を配設する。
【0019】
すなわち、図12(A)に示した可変容量コンデンサ100Dは、第2の電極103aの形状が異なるだけで、図8を用いて説明した可変容量コンデンサ100と同様の構成を有する。可変容量コンデンサ100Dの場合には、第2の電極の形状に応じて、例えば、図12(B)の筆圧検出特性に示すように、筆圧検出特性の傾きを調整できる。
【0020】
すなわち、第2の電極103aの中心から放射状に延伸した延伸部の面積を小さくすれば傾きを小さくでき、当該延伸部分の面積を大きくすれば傾きを大きくできる。これによって、いわゆる書き味が変えられる。しかし、筆圧検出特性の傾きを小さくすれば、筆圧の解像度は高くなるが、筆圧の検出感度は鈍くなる。逆に、筆圧検出特性の傾きを大きくすれば、筆圧の検出感度が鋭くなるが、筆圧の解像度は低くなる。
【0021】
このように、位置指示器において、使用者の筆圧を検出するための可変容量コンデンサについては、使用者の満足度を高めるために種々の改良がなされているが、筆圧の検出感度と筆圧の解像度との関係は、いわゆるトレードオフの関係にある。また、図11を用いて説明したように、その構成上、立ち上がり率にばらつき生じる場合があるといった不都合を内在するものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許第3150685号公報
【特許文献2】特開2010−117943号公報
【特許文献3】特開2010−129920号公報
【特許文献4】特開2011−216512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
近年、タブレット型PC(Personal Computer)やスマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末が広く用いられるようになってきている。タブレット型PCや高機能携帯電話端末などの携帯端末は、比較的に表示画面の大きなLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置と種々のタッチセンサからなるタッチパネルを備えており、ペン型の位置指示器を用いた入力も行われる。このような携帯端末においてペン型の位置指示器を用いて入力する場合にも筆圧に応じた入力を行えるようにすることが望まれる。
【0024】
携帯端末を利用する場合、通常は一方の手で保持している携帯端末に対して、他方の手に持った位置指示器を使って入力操作を行うため、軽いタッチで入力が行えるようにする必要がある。このため、位置指示器において筆圧検出のために用いる可変容量コンデンサは、図9図11を用いて説明した立ち上がり感度の良いものを用いることが考えられる。しかし、図9図11を用いて説明した可変容量コンデンサ100A、100Cの場合には、立ち上がりを良くするように構成したことに起因して、筆圧の解像度が低くなる。また、図11を用いて説明した可変容量コンデンサ100Cの場合には、筆圧検出特性の立ち上がり率にばらつきが生じる可能性があるといった問題を生じる場合もある。
【0025】
携帯端末でも検出される筆圧の解像度はできるだけ高いことが望まれる。また、筆圧検出特性の立ち上がり率にばらつきを生じさせることなく、いつでも同じ書き味を提供できることも望まれる。このため、図10を用いて説明した筆圧の解像度が高く、筆圧検出特性の立ち上がり率にばらつきを生じさせることのない可変容量コンデンサ100Bを用いることも考えられる。しかし、図10を用いて説明した可変容量コンデンサ100Bは、上述もしたように、図9図10に示した可変容量コンデンサ100A、100Cに比べて立ち上がりの感度(反応)が鈍い。このため、立ち上がりの感度を上げようとすれば、携帯端末の使用者が位置指示器に対して初めから一定以上の筆圧を加えなければならなくなるが、この場合には手に持つ携帯端末が不安定となり入力がし難くなる場合があると考えられる。
【0026】
以上のことに鑑み、この発明は、可変容量コンデンサを用いて筆圧の検出を可能にした位置指示器において、筆圧検出時の立ち上がり特性と筆圧の解像度との両方を改善し、携帯端末に対して用いて好適な位置指示器を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の位置指示器は、
筐体と、
略棒状に形成され、一端が前記筐体の外側に突出して前記筐体に収納された芯体と、
前記芯体を介して加わる外力により容量が変化するコンデンサと、からなり、
前記コンデンサは、
第1の面部及び該第1の面部に対向する第2の面部を有する誘電体と、
前記誘電体の前記第1の面部に配置された第1の導体と、
前記誘電体の前記第1の導体に接続され、前記第1の導体と共に前記コンデンサの第1の電極を構成する第1の端子部と、
前記誘電体の第2の面部に配置された第2の導体と、
前記第2の面部に対向して配置される導電部材と、
前記第2の導体と前記導電部材と共に前記コンデンサの第2の電極を構成する第2の端子部と、
前記導電部材を、前記誘電体の前記第2の面部から離隔する状態に付勢するための弾性部材と
を備え、
前記外力により、前記弾性部材の偏倚力に抗して前記導電部材が前記誘電体の前記第2の面部の前記第2の導体に接触し、接触時には前記コンデンサの容量が、前記導電部材と前記第2の導体との接触面積よりも大きい、前記第1の導体と前記第2の導体との対向面積に応じた所定の容量に変化する
ことを特徴とする。
【0028】
この請求項1に記載の発明の位置指示器によれば、筐体とペン先に連なる芯体と芯体を介して加わる外力により電気容量が変化するコンデンサを有する。コンデンサは、対向する第1、第2の面部を有する誘電体を備え、誘電体の第1の面部には、第1の導体が配設され、第1の導体には第1の端子部が接続されて第1の電極部を構成する。誘電体の第2の面部には第2の導体が配設される。また、誘電体の第2の面部に対向して導電部材が配設され、この導電部材には第2の端子部が接続されて第2の電極部を構成する。導電部材は、弾性部材により、誘電体の第2の面部から離隔する状態に付勢される。
【0029】
芯体に外力が加えられることで、導電部材は誘電体の第2の面部に向って移動し、導電部材が誘電体の第2の面部の第2の導体に接触すると、接触時にはコンデンサの容量が、導電部材と第2の導体との接触面積よりも大きい、第1の導体と第2の導体との対向面積に応じた所定の容量に瞬時に変化する。すなわち、導電部材と第2の導体とがごく僅かに接触しただけで、コンデンサの容量が、第1の導体と第2の導体との対向面積に応じた所定の容量に急激に変化する。
【0030】
これにより、コンデンサの立ち上がりの感度を向上させることができる。また、芯体に加えられる外力に応じて、導電部材と誘電体の第2の面部との当接面積が変化し、これに対応してコンデンサの容量も変化させることができる。従って、外力に応じてコンデンサの容量も適切に変化させることができ、筆圧の解像度も向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明の位置指示器によれば、コンデンサを用いて筆圧の検出を可能にした位置指示器において、筆圧検出時の立ち上がり特性と筆圧の解像度との両方を改善し、携帯端末に対して用いて好適な位置指示器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明による位置指示器の実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による位置指示器の実施形態と、当該位置指示器と共に使用する位置検出装置を備える電子機器の例を示す図である。
図3】この発明による位置指示器の実施形態の要部の分解斜視図である。
図4】誘電体71の第2の面部71bに導体部材71cが取り付けられた構成等を説明するための図である。
図5】導体部材71cの取り付け位置と形状のバリエーションの一例を説明するための図である。
図6】位置指示器の構成例を説明するための図である。
図7】位置指示器の他の構成例を説明するための図である。
図8】従来の可変容量コンデンサの一例を説明するための図である。
図9】従来の可変容量コンデンサの一例を説明するための図である。
図10】従来の可変容量コンデンサの一例を説明するための図である。
図11】従来の可変容量コンデンサの一例を説明するための図である。
図12】従来の可変容量コンデンサの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】

以下、図を参照しながら、この発明による位置指示器の実施形態について説明する。
【0034】
図1図3は、この発明による位置指示器の実施形態の構成例を説明するための図である。図2は、この実施形態の位置指示器1を用いる電子機器200の一例を示すものである。この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの下部(裏側)に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
【0035】
この例の電子機器200の筐体は、ペン形状の位置指示器1を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている位置指示器1を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dで位置指示操作を行う。
【0036】
電子機器200においては、表示画面200D上で、ペン形状の位置指示器1により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏側に設けられた位置検出装置202が、位置指示器1の信号を受信回路(図示はしていない)で受信し、更に位置指示器1で操作された位置及び筆圧として検出回路(図示していない)で検出し、位置指示器1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
【0037】
図1は、この実施形態の位置指示器1の全体の概要を示すものである。図1(A)は、説明のために、位置指示器1のケース2(筐体)のケース本体2aのみを破断して、その内部を示したものである。また、図1(B)は、この実施形態の位置指示器1を、芯体4側から軸芯方向に見た図である。
【0038】
図1(A)に示すように、位置指示器1は、軸芯方向に細長であって、一方が閉じられた有底の円筒状の筐体を構成するケース2を備える。このケース2は、例えば樹脂などからなるもので、内部に中空部を有する円筒形状のケース本体2aと、このケース本体2aと結合されるケースキャップ2bとにより構成されている。ケース本体2aの中空部内には、基板ホルダー3に、略棒状の芯体4と、コイル5が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア6とが結合されて収納される。フェライトコア6は、この例では、円柱状形状を備える。
【0039】
基板ホルダー3は、例えば樹脂により構成され、ケース本体2aの中空部内に収納されたときに、位置指示器1の軸芯方向となる長手方向に、感圧用部品ホルダー部3aと、プリント基板載置台部3bとが連続するように構成されている。感圧用部品ホルダー部3aには、感圧用部品(筆圧検出用の複数個の部品)7が収納され、プリント基板載置台部3bには、プリント基板8が載置され、保持される。以下、説明の簡単のため、感圧用部品ホルダー部3aは、ホルダー部3aと略称する。ホルダー部3aは、基板ホルダー3において、最も芯体4側に形成されており、このホルダー部3aに芯体4及びフェライトコア6が結合される。
【0040】
また、図3(B)は、基板ホルダー3と芯体4及びフェライトコア6とが結合した状態を示す図である。また、図3(A)は、基板ホルダー3のホルダー部3a及び感圧用部品7を説明するための分解斜視図である。また、図3(C)は、図3(A)におけるA−A線断面図であり、これは、基板ホルダー3のホルダー部3aの縦断面図である。また、図3(D)は、図3(A)に示した誘電体71の面とは反対側の面を示す図である。
【0041】
図3(B)に示すように、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bには、プリント基板8が載置される。プリント基板8は、ケース本体2aの内径よりも狭い幅を有し、長手方向に所定の長さを有する細長の矩形形状とされている。プリント基板載置台部3bの基板載置平面の長手方向の長さは、プリント基板8の長手方向の長さとほぼ等しい、あるいは、僅かに大きい長さとされている。また、プリント基板載置台部3bの基板載置平面の幅方向の長さは、プリント基板8の幅よりも若干大きく選定されている。
【0042】
図示は省略するが、コイル5の一端及び他端は、基板ホルダー3とケース本体2aとの間の隙間を利用してプリント基板8まで延長されており、このプリント基板8に形成されている導電パターンに、例えば半田付けされる。図3(B)の例では、基板ホルダー3の長手方向の一部に切り欠き部31が形成されて、プリント基板8の基板面8aとは反対側の裏面側において、コイル5の一端及び他端が半田付けされ、スルーホールを介して基板面8aの導体パターンに接続される。
【0043】
このプリント基板8には、押下されたときにオンとなり、押下を停止するとオフに戻るプッシュスイッチ(サイドスイッチ)11が設けられていると共に、コイル5と共振回路を構成するコンデンサ12,13が設けられている。コンデンサ12は、この例では、静電容量の調整が可能なトリマーコンデンサである。更に、プリント基板8には、この第1の実施形態では、IC14が設けられていると共に、図示を省略するその他の回路部品及び導体パターンが形成される。
【0044】
そして、この例では、位置指示器1のケース本体2aの側周面の、サイドスイッチ11に対応する位置には貫通孔15(図2参照)が穿かれており、サイドスイッチ11の押下操作子16が、この貫通孔15を通じて当該サイドスイッチ11を押下することができるように露呈するようにされている。この場合、押下操作子16によるサイドスイッチ11の押下操作に対しては、位置検出装置202を備える電子機器2側で所定の機能が割り当て設定される。例えば、この例の電子機器2においては、押下操作子16によるサイドスイッチ11の押下操作は、マウスなどのポインティングデバイスにおけるクリック操作と同様の操作として割り当て設定が可能である。
【0045】
共振回路の一部を構成するコンデンサ12,13、また、IC14は、この例ではチップ部品としてプリント基板8に配設される。そして、この実施形態では、トリマーコンデンサ12の静電容量が調整されることで、共振回路の共振周波数が調整される。
【0046】
この例の場合、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bの長手方向の両端部には、プリント基板8の長手方向の両端部において当該プリント基板8の厚さ方向を挟むことで、プリント基板8をプリント基板載置台部3bに係止させる係止部32,33が形成されている。図1に示すように、プリント基板載置台部3bに載置されて係止部32,33により係止されている状態では、プリント基板8は、ケース本体2aの内壁面とは接触せずにケース本体2aとは離間している状態となっている。
【0047】
なお、基板ホルダー3のホルダー部3aのうちの後述する開口部35を除く部分の大部分と、プリント基板載置台部3bの裏側部分及び基板ホルダー3とケースキャップ2bとの結合部3cとは、ケース本体2aの内壁に接触することで、基板ホルダー3が、ケース本体2aの中空部内で軸芯方向と直交する方向にがたつかないように構成されている。
【0048】
そして、基板ホルダー3のホルダー部3aには、図1図3(A)に示すような複数個の部品からなる感圧用部品7が収納される。このようにホルダー部3aに感圧用部品7が収納されることで、筆圧検出用モジュールが構成される。この筆圧検出用モジュールに、芯体4の芯体本体42が結合されることで、芯体4の突出部材41に印加される筆圧が筆圧検出用モジュールの感圧用部品7で検出される。この筆圧検出用モジュールの感圧用部品7の構成及び感圧用部品7のホルダー部3aへの収納については、後で詳述する。
【0049】
なお、基板ホルダー3においては、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の、開口部35とは軸芯位置を介して対向する側及びプリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面とは反対側には、軸芯方向に沿う方向の平面3pn(図3(A)参照)が形成されている。この場合、詳細な図示は省略するが、この平面3pnは、ホルダー部3aまたは、ホルダー部3aからプリント基板載置台部3bに亘って軸芯方向に沿う方向において、面一の平面となっている。
【0050】
基板ホルダー3は、この平面3pnにより、所定の作業台平面上において、転がることなく、安定した状態で載置される。そして、基板ホルダー3が当該作業台平面上に載置された状態では、ホルダー部3aの開口部35は、前記所定の作業台平面に対して直交する方向の開口となると共に、プリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面は、前記所定の作業台平面に平行な面となる。したがって、作業台平面上に載置された基板ホルダー3のホルダー部3aに、感圧用部品7を、開口部35を通じて収納する作業を確実に行うことができると共に、プリント基板載置台部3bの載置平面に、プリント基板8を確実に載置して、係止させるようにすることができる。
【0051】
図3(B)に示すように、この例では、基板ホルダー3は、プリント基板載置台部3bの長手方向のホルダー部3aとは反対側の端部の結合部3cにおいてケースキャップ2bと結合されており、ケースキャップ2bと基板ホルダー3とは一体のものとして扱うことができるように構成されている。
【0052】
したがって、この例においては、後述するように、基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bにプリント基板8を載置して固定し、また、ホルダー部3aに感圧用部品7を収納すると共に、コイル5が巻回されたフェライトコア6及び芯体4を基板ホルダー3に結合させたものを、一つのモジュール部品として扱うことができる。そして、そのモジュール部品を、ケース本体2aの中空部内に収納させることで、位置指示器1を完成させることができる。このとき、基板ホルダー3は、ホルダー部3aの軸芯方向の中心線位置が、筒状のケース本体2aの軸芯方向の中心線位置と一致するような状態で、ケース本体2a内に係止されるように、ケースキャップ2bに結合されている。
【0053】
図1(A)に示すように、ケース本体2aの軸芯方向の一端側がペン形状の位置指示器1のペン先側とされており、このケース本体2aのペン先側には、貫通孔21(開口)を備える。
【0054】
芯体4は、この例では、ケース本体2aの貫通孔21から外部に突出する突出部材(ペン先部材)41と芯体本体42とで構成されている。芯体4は、突出部材41が操作面に当接して使用される場合の摩擦に対する耐性を考慮して、ポリアセタール樹脂(ジュラコン)等の合成樹脂製とされている。
【0055】
芯体本体42は、突出部材41の径よりも小径の円柱形の棒状体である。そして、この例では、フェライトコア6には、その軸芯方向に、芯体本体42の径よりも大きい内径の貫通孔6aが形成されている。芯体4の芯体本体42は、フェライトコア6の貫通孔6aを挿通して、後述するように、感圧用部品7を構成する複数個の部品の一つに結合するように構成されている。
【0056】
また、フェライトコア6は、その軸芯方向の一端側(芯体4の突出部材41側とは反対側)が、この例では、弾性を有する材料、例えばシリコンゴムからなる落下対策用部材9を介して、基板ホルダー3のホルダー部3aと結合される。
【0057】
そして、図3(B)に示した基板ホルダー3と芯体4及びコイル5が巻回されたフェライトコア6とを結合して一体としたモジュール部品を、ケース本体2aの中空部内に挿入して、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合させたときには、図1(A)に示すように、フェライトコア6の軸芯方向の他端側は、ケース本体2aの貫通孔21に形成されている段部22と衝合する。これにより、コイル5が巻回されたフェライトコア6は、シリコンゴムからなる落下対策用部材9を介して基板ホルダー3のホルダー部3aと、ケース本体2aの段部22との間で固定される。
【0058】
[筆圧検出用モジュールの構成例]
次に、筆圧検出用モジュールを構成する基板ホルダー3のホルダー部3a及び感圧用部品7、さらに、感圧用部品7のホルダー部3aへの収納について、以下に説明する。この例の筆圧検出用モジュールは、冒頭で特許文献1〜特許文献4を用いて説明したものと同様に、芯体に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。
【0059】
この例の感圧用部品7は、図3(A)に示すように、誘電体71と、端子部材72と、保持部材73と、導電部材74と、弾性部材75との複数個の部品からなる。図3(A)に示すように、端子部材72が配設される側の誘電体71の面が誘電体71の第1の面部71aとなり、導電部材74と弾性部材75が配設される側の誘電体71の面が誘電体71の第2の面部71bとなる。
【0060】
誘電体71の第1の面部71aには、図3(D)に示すように、そのほぼ全面に渡って導体部材71cが配置される。また、図3(A)に示したように、誘電体の第2の面部71bには、導体部材71dが配置される。そして、導体部材71cと端子部材72とで、感圧用部品7で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材74と弾性部材75とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
【0061】
一方、基板ホルダー3のホルダー部3aは、図3(A)に示すように、中空部を備える筒状体34により構成され、感圧用部品7を、その中空部内において軸芯方向に並べて収納する構成とされている。
【0062】
上記のような複数個の部品からなる感圧用部品7のうち、筒状体34からなるホルダー部3a内で、軸芯方向に移動しない部品である誘電体71と、端子部材72は、図3(A)に示すように、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の一部に形成された軸芯方向に直交する方向を開口とする開口部35を通じて、当該筒状体34の軸芯方向に直交する、プリント基板8の基板面8aに垂直な方向から挿入されて収納される。
【0063】
図3に示すように、開口部35は、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の、プリント基板載置台部3b側の端部に形成される。この開口部35は、軸芯方向に直交する方向の開口であって、かつ、プリント基板載置台部3bに載置されたプリント基板8の基板面8aに垂直な方向を開口とする開口部である。この開口部35は、軸芯方向に所定の長さd1(図3(C)参照)を有し、軸芯方向に直交する方向に所定の長さd2(図示は省略)を有する。
【0064】
長さd1は、誘電体71と端子部材72とを軸芯方向に重ねたときの軸芯方向の長さ(厚さ)よりも大きく選定されている。長さd2は、誘電体71と端子部材72のうちの、軸芯方向に直交する方向の長さが大きい方の当該長さよりも若干大きく選定されている。このように長さd1及びd2の寸法を選定することで、軸芯方向に重ねた誘電体71と端子部材72とを、開口部35を通じて、ホルダー部3a内に収納することができるようにしている。
【0065】
また、ホルダー部3aを構成する筒状体34は、内径がd3(図3(C)参照)とされると共に、その軸芯方向の芯体4側は開口36aとされている。この軸芯方向の芯体4側に開口36aを有する部分36では、側周面には開口を有さない。この実施形態では、筒状体34の側周面の開口部35の軸芯方向に直交する方向の長さd2は、筒状体34の内径d3と等しく選定されているが、後述する凹溝39の部分では、この凹溝39の深さ分だけ大きく選定されている。
【0066】
そして、ホルダー部3aを構成する筒状体34のプリント基板載置台部3b側は、壁部37により閉塞されている。この壁部37には、プリント基板載置台部3b側に突出するようにして、前述した係止部32が形成されている。開口部35は、この壁部37を外部に露呈するように形成されている。すなわち、開口部35は、筒状体34の側周面において、壁部37から軸芯方向に前記長さd1の開口が形成されるように穿かれている。
【0067】
そして、筒状体34の側周面の壁部37との連結部には、軸芯方向に、端子部材72の厚さより若干大きい所定の幅を有するスリット38a、38bが形成されている。そして、筒状体34の内壁には、このスリット38a,38bと軸芯方向に隣り合う位置において、筒状体34の開口部35が形成されている部分の内径d2よりも大きい内径の凹溝39(図3(C)参照)が形成されている。
【0068】
誘電体71は、凹溝39に嵌合する外形を有し、凹溝39の軸芯方向の幅に対応した厚さを有する板状体の構成とされている。したがって、誘電体71は、開口部35を通じて筒状体34の凹溝39に挿入して嵌合させることができ、嵌合状態では、誘電体71は、凹溝39により筒状体34内で軸芯方向には移動しないようにされる。なお、この実施形態においては、後述するように、誘電体71は、導電部材74により押圧偏倚されて壁部37側に押し付けられるので、この凹溝39は、設けなくてもよい。
【0069】
また、端子部材72は、筒状体34のスリット38a及び38bの軸芯方向の幅よりも若干小さい厚さを有すると共に、筒状体34の内径d3に対応する外径を有する円板状の導電部材、例えば導電性金属の板状体で構成される。そして、この端子部材72は、図3(A)に示すように、筒状体34のスリット38a,38bに嵌合する張り出し部72a,72bを備える。したがって、端子部材72は、開口部35を通じて筒状体34の壁部37に接するように挿入することができ、その挿入により、張り出し部72a,72bが、筒状体34のスリット38a,38bに嵌合して、軸芯方向には移動しないように筒状体34に係止される。
【0070】
また、端子部材72の誘電体71側の板面の中央部には、誘電体71側に膨出する膨出部72cが形成されている。この膨出部72cは、誘電体71と端子部材72とが筒状体34内に収納されたときに、誘電体71と端子部材72とを確実に接触させる役割を果たす。
【0071】
この端子部材72は、容量可変コンデンサの第1の電極の役割を果たすもので、ホルダー部3a内に収納されたときにこの端子部材72の開口部35側の上端となる端面からは、筒状体34の壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aのランド部8bに半田付け接続されるリード部72dが形成されている。
【0072】
さらに、端子部材72には、ホルダー部3a内に収納されたときに、開口部35側の上端となる端面のほぼ中央に、リード部72dとは反対側に突出するL字状突起72eが形成されている。誘電体71と端子部材72とがホルダー部3a内に収納されたときに、この端子部材72のL字状突起72eにより、誘電体71の開口側端部が押さえられるようにされる。端子部材72のリード部72dが、プリント基板8の基板面8aのランド部8bに半田付け接続されて固定されたときには、誘電体71は、このL字状突起72eにより、開口部35から離脱することが無い。
【0073】
保持部材73は、その軸芯方向の芯体4側となる側に、芯体4の芯体本体42を圧入嵌合させる凹穴73bが設けられている円柱状形状部73aと、凹穴73b側とは軸芯方向の反対側に、導電部材74を嵌合する凹穴73dが設けられているリング状突部73cとを備えている。この場合において、凹穴73bの中心線(軸芯位置)と、凹穴73dの中心線(軸芯位置)とが、1本の直線上に存在するように、これら凹穴73b及び凹穴73dが形成されている。
【0074】
保持部材73の円柱状形状部73aの外径(周方向の一部)は、筒状体34の内径d2より若干小さく選定されている。また、保持部材73のリング状突部73cの外径は、円柱状形状部73aの外径よりも小さく、かつ、後述する弾性部材75を構成するコイルバネの内径よりも小さく選定されている。この場合、リング状突部73cと円柱状形状部73aとの間で段部を構成するようにされる。この段部は、後述する弾性部材75としてのバネの端部を係止させるためのものである。
【0075】
そして、この実施形態では、円柱状形状部73a及びリング状突部73cには、凹穴73b及び凹穴73dを横断するようにスリット73e及び73fが形成されている。このスリット73e及び73fの存在により、円柱状形状部73a及びリング状突部73cは、軸芯方向に直交する方向に弾性偏倚可能に構成されている。そして、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面には、円柱状形状部73aの軸芯位置を挟んで対向する位置に、係合突部73g及び73hが形成されている。
【0076】
一方、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面には、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面に形成されている係合突部73g及び73hが係合する係合孔34a及び34b(図3(C)参照)が形成されている。
【0077】
この係合孔34a及び34bの軸芯方向の長さd4(図3(C)参照)は、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面に形成されている係合突部73g及び73hの軸芯方向の長さよりも長くされている。これにより、保持部材73は、筒状体34の中空部内に収納されて、係合突部73g及び73hが係合孔34a及び34bに係合されている状態においても、筒状体34の中空部内を、その軸芯方向に移動可能とされている。なお、長さd4は、後述するように、筒状体34の中空部内に感圧用部品7の全てが収納された状態で、導電部材74が、軸芯方向に移動して誘電体71に衝合し、さらに弾性変形することができるような値に選定されている。
【0078】
次に、導電部材74は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされており、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴムにより構成される。この導電部材74は、外径が保持部材73のリング状突部73cの外径に等しい円柱状部からなる径大部74aと、外径がリング状突部73cの凹穴73dの径にほぼ等しい円柱状部からなる径小部74bを備える。径大部74a及び径小部74bの中心線位置は、同一とされる。
【0079】
径大部74aの径小部74bとは反対側の端面は、図示しないが、砲弾型(ドーム状)に膨出する曲面部を有するように構成されている。そして、芯体4に使用者による筆圧が加わることにより、導電部材74が誘電体71側に移動していく場合を考える。この場合、当該導電部材74が、誘電体71の対向する面と接触する場合に、導電部材74の砲弾型に膨出する曲面部の先端から誘電体71の面と徐々に接触面積が大きくなるように接触して行くようにされる。さらに、導電部材74の径小部74bの高さは、保持部材73のリング状突部73cに形成されている凹穴73dの深さにほぼ等しく選定されている。
【0080】
また、弾性部材75は、例えば導電性を有するコイルバネで構成され、弾性を有する巻回部75aと、この巻回部75aの一端部に端子片75bを有し、巻回部75aの他端部に接続部75cを有している。弾性部材75を構成するコイルバネの巻回部75aは、その巻回部75a内に、導電部材74を接触することなく収納することができる径であって、かつ、保持部材73の円柱状形状部73aの径よりも小さい径とされる。
【0081】
弾性部材75の接続部75cは、保持部材73のリング状突部73cのスリット部からリング状突部73cに形成されている凹穴73dの底部に挿入するようにされる。したがって導電部材74の径小部74bが保持部材73のリング状突部73cに圧入嵌合されたときには、導電部材74の径小部74bの端面が、導電性を有する弾性部材75の接続部75cと接触して、電気的に接続される状態となる。
【0082】
そして、弾性部材75の端子片75bは、誘電体71、端子部材72及び壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aの導電パターンに、半田付け接続されるように構成されている。
【0083】
[感圧用部品7のホルダー部3aへの収納方法]
まず、作業台平面上に、基板ホルダー3を、平面3pnが作業台平面を向くようにして載置する。この状態では、基板ホルダー3は、開口部35の開口が作業台平面に対して直交する上方に向くと共に、プリント基板載置台部3bのプリント基板の載置平面が作業台平面に平行になるように位置決めされて、作業台平面上に係止される。
【0084】
次に、感圧用部品7のうちの誘電体71及び端子部材72を、開口部35を通じて、ホルダー部3aを構成する筒状体34の中空部内に収納する。このとき、端子部材72のL字状突起72eにより、筒状体34の中空部内に収納された誘電体71の開口側端部を押さえるようにする状態で、誘電体71及び端子部材72を筒状体34の中空部内に収納する。また、このとき、誘電体71は、筒状体34の内壁に形成されている凹溝39内に収納すると共に、端子部材72の張り出し部72a及び72bを、ホルダー部3aのスリット38a及び38bに嵌合するようにする。
【0085】
次に、この例においては、保持部材73のリング状突部73cの凹穴73dに導電部材74の径小部74bを圧入嵌合させると共、弾性部材75の巻回部75aを、リング状突部73c及び導電部材74の周囲に持ち来たすように配する。このとき、弾性部材75の接続部75cは、導電部材74の径小部74bの上端面とリング状突部73cの凹穴73dの底部との間に挟持させて、弾性部材75の接続部75cと導電部材74とを電気的に接続させる。
【0086】
次に、この保持部材73と導電部材74と弾性部材75のコイルバネとを組み合わせたものを、導電部材74側から、筒状体34の開口36aを通じて、軸芯方向に筒状体34の中空部内に挿入する。そして、保持部材73の円柱状形状部73aに形成されている係合突部73g及び73hが、筒状体34の側周面に形成されている係合孔34a及び34bに嵌合するまで、軸芯方向に挿入する。このとき、保持部材73の円柱状形状部73aは、係合突起73g及び73hの存在にもかかわらず、スリット73eが形成されていることにより、軸芯方向に直交する方向に弾性的に変形して筒状体34の中空部内に挿入される。
【0087】
保持部材73の円柱状形状部73aに形成されている係合突部73g及び73hが、ホルダー部3aの筒状体34の側周面に形成されている係合孔34a及び34bに嵌合する状態になると、弾性部材75の軸芯方向の偏倚力にかかわらず、保持部材73は、ホルダー部3aの筒状体34の開口36aから離脱することなく、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に係止する。また、この状態では、弾性部材75の軸芯方向の偏倚力により、誘電体71及び端子部材72が壁部37側に押し付けられる。これにより、誘電体71及び端子部材72が、筒状体34の開口部35から離脱してしまうことが防止される。
【0088】
すなわち、筒状体34に形成されている係合孔34a及び34bと、保持部材73の円柱状形状部73aの係合突起73g及び73hとの係合と、導電部材74の偏倚力とにより、感圧用部品7の一部を構成する誘電体71と端子部材72とが、軸芯方向に直交する方向に変位することを阻止する係止手段が形成される。
【0089】
次に、以上のようにして、感圧用部品7を構成する複数個の部品の全体を、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に収納させて係止させた状態において、端子部材72のリード部72dを、プリント基板8のランド部8bに半田付けすると共に、弾性部材75としてのコイルバネの端子片75bを、プリント基板8に半田付けする。
【0090】
この端子部材72のリード部72d及び弾性部材75の端子片75bのプリント基板8への半田付け固定により、端子部材72がホルダー部3aの開口部35を通じて離脱してしまうことを、より確実に、阻止することができる。そして、この例においては、端子部材72のL字状突起72eにより、ホルダー部3aの筒状体34の中空部内に収納された誘電体71の開口側端部が押さえられているので、誘電体71のホルダー部3aの筒状体34の開口部35からの離脱が、この端子部材72のプリント基板8への半田付け固定により、より確実に阻止される。
【0091】
一方、導電部材74が嵌合された保持部材73は、係合突部73g及び73hが筒状体34の係合孔34a及び34bに係合されて、軸芯方向の芯体4側への移動が阻止されている状態であるが、筒状体34の中空部内で軸芯方向の誘電体71側に移動可能となっている。そして、筆圧が印加されていないときには、弾性部材75の偏倚力により、導電部材74と誘電体71との間に空隙が生じる状態となっている。
【0092】
以上のようにして感圧用部品7を、ホルダー部3aを構成する筒状体34内に収納した後、筒状体34の開口36aには、図3(B)に示すように、落下対策用部材9を圧入嵌合する。この落下対策用部材9は、軸芯方向に芯体4の芯体本体42を挿通する貫通孔を有すると共に、筒状体34の開口36a側の部分36の内径にほぼ等しい、あるいは若干小さい外径の円柱状部を備える。そして、落下対策用部材9は、その円柱状部を、筒状体34の開口36a側の部分36内に圧入嵌合することで、ホルダー部3aに結合する。
【0093】
また、落下対策用部材9には、軸芯方向において、円柱状部の反対側に、フェライトコア6の外径に内径がほぼ等しい凹部が形成されている。フェライトコア6は、その芯体4の突出部材41側とは反対側の端部が、この落下対策用部材9の凹部内に圧入嵌合されることで、基板ホルダー3のホルダー部3aに、落下対策用部材9を介して結合する。
【0094】
前述したように、落下対策用部材9は、弾性を有する材料、例えばシリコンゴムで構成されている。このため、この落下対策用部材9を介してフェライトコア6が基板ホルダー3のホルダー部3aに結合されることにより、もしも、位置指示器1を落下させて大きな加速度がフェライトコア6とホルダー部3aとの間の結合部にかかったとしても、フェライトコア6が損傷してしまうことを防止できる。
【0095】
次に、以上のように基板ホルダー3にフェライトコア6を結合した状態において、芯体4の芯体本体42を、フェライトコア6の貫通孔6aに挿通させる。そして、芯体4の芯体本体42の端部を、ホルダー部3aに収納されている保持部材73の円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合する。この場合に、芯体4を円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合させた状態においても、芯体4の芯体本体42は、フェライトコア6の芯体4の突出部材41側にも露呈する状態とされていて、芯体4の突出部材41に印加される圧力(筆圧)によって、芯体4が、弾性部材75の偏倚力に抗して、軸芯方向にケースキャップ2b側に変位可能とされている。
【0096】
以上のようにして、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bにプリント基板8が載置され、ホルダー部3aに感圧用部品7が収納され、さらに、ホルダー部3aにフェライトコア6が結合されると共に、芯体4が結合されることで、図3(B)に示したような、モジュール部品が形成される。
【0097】
次に、このモジュール部品を、芯体4の突出部材41がケース本体2aの貫通孔21から外部に突出するようにして、ケース本体2aの中空部内に挿入する。そして、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合することで、位置指示器1が完成となる。
【0098】
この位置指示器1において、芯体4の突出部材41に圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体4は、軸芯方向にケース本体2a内の方向に変位する。そして、この芯体4の変位により、芯体本体42が結合されているホルダー部3a内の保持部材73が弾性部材75の弾性偏倚力に抗して、誘電体71側に変位する。その結果、保持部材73に嵌合されている導電部材74が、誘電体71側に変位し、導電部材74と誘電体71との間の距離、さらには、導電部材74と誘電体71との接触面積が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。
【0099】
これにより、第1の電極を構成する端子部材72と、第2の電極を構成する導電部材74との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、位置指示器1から位置検出装置202に伝達されることで、位置検出装置202では、位置指示器1の芯体4に印加される筆圧を検出する。 そして、この実施の形態の位置指示器1において重要な特徴は、図3(A)に示したように、第2の電極を構成する導電部材74と弾性部材75に対向する側の誘電体71の面(第2の面部71b)に導体部材71dが取り付けられている点にある。図4は、誘電体71の第2の面部71bに導体部材71dが取り付けられた構成等を説明するための図である。上述もしたように、導電部材74と弾性部材75とが第2の電極を構成するのであるが、導電部材74と対向する側の誘電体71の第2の面部71bには、図3(A)に示し、また、図4(A)にも拡大して示すように、導体部材71dが取り付けられている。
【0100】
この実施の形態において、図4(A)に示したように、誘電体71の第2の面部71bには、例えば、円形状の導体部材71dが、誘電体71の第2の面部71bの中心Pと導体部材71dの中心P0を一致させるようにして設けられている。そして、端子部として機能する弾性部材75が接続された導電部材74が、誘電体71の第2の面部71bに取り付けられている導体部材71dと接触した場合には、この導体部材71dもまた第2の電極として機能する。
【0101】
誘電体71の第2の面部71bに取り付けられた導体部材71dは、所定の面積を有しているので、導電部材74が接触することにより、導体部材71cと端子板72とからなる第1の電極と共にコンデンサを構成する。コンデンサの電気容量は、対向する電極の面積と電極間の距離と誘電体の誘電率により決まる。一方、上述もしたように、導電部材74の径大部74aの径小部74bとは反対側の端面は、砲弾型に膨出する曲面部を有するように構成されている。
【0102】
このため、導電部材74の砲弾型曲面の先端が、導体部材71dに接触すると、即座に第1の電極を構成する導体部材71cと第2の電極となった導体部材71dとにより構成されるコンデンサが機能し、当該コンデンサの電気容量が所定値まで急上昇する。この後、誘電体71の導体部材71dが取り付けられている第2の面部71bと導電部材74との接触面積に応じて、誘電体71と、これを挟む導体部材71cと、導電部材74とで構成される可変容量コンデンサの電気容量が変化する。
【0103】
この場合、導電部材74の砲弾型曲面の先端の僅かな部分が、導体部材71dに接触しただけであるにもかかわらず、第1の電極を構成する導体部材71cと第2の電極となった導体部材71dとにより構成されるコンデンサが機能する。そして、当該コンデンサの電気容量が、導電部材74と導体部材71dとの当該接触面積よりも大きい、導電部材71cと導電部材71dとの対向面積に応じた所定値まで急上昇する。この後、誘電体71の導体部材71dが取り付けられている第2の面部71bと導電部材74との接触面積に応じて、誘電体71と、これを挟む導体部材71cと、導電部材74とで構成される可変容量コンデンサの電気容量が変化する。
【0104】
すなわち、この実施の形態の位置指示器1において、可変容量コンデンサの構成とされた感圧用部品7は、図4(B)に筆圧検出特性を示したように、筆圧検出時の立ち上がりが素早く、その後の筆圧の検出も比較的に広い範囲(広いレンジ)で検出ができる。換言すれば、感圧用部品7は、筆圧検出時の立ち上がり特性と筆圧の解像度との両方を改善し、携帯端末に対して用いて好適な位置指示器を実現できる。
【0105】
このように、筆圧検出時の立ち上がり特性と筆圧の解像度との両方が良好な位置指示器1は、高機能携帯電話端末やタブレット型PCなどのタッチパネルを備え、使用者が手に持って使用される種々の携帯機器に用いて好適なものとなる。
【0106】
[その他の構成上の特徴]
上述した実施の形態の位置指示器1においては、導電部材74の周囲に端子部として機能すると共に、弾性部材としても機能する弾性部材75が設けられている。この弾性部材75は、端子部として機能するだけでなく、芯体4をケース2の内部から芯体の中心軸に沿って外側に付勢する機能をも担っている。この弾性部材75の機能により、使用者によって芯体に筆圧が加えられた場合にのみ、芯体がケース2の内部に移動し、導電部材74が誘電体71の第2の面部71bに押し当てられるようにされる。
【0107】
また、上述した実施の形態の位置指示器1においては、誘電体71の第1の面部71aに配設された第1の導体である導体部材71cと端子部材72とで第1の電極を構成する。そして、誘電体71の第2の面部71bに配設される第2の導体である導体部材71dの面積は、誘電体71の第1の面部71aに配設された導体部材71cの面積に比べて小さくなるようにされている。第2の導体である導体部材71dの面積が、第1の導体である71cの面積に近づくに従って、筆圧を表現するためのダイナミックレンジが狭くなり、結果として筆圧の解像度が低くなってしまうためである。
【0108】
このため、導体部材71dの面積は、例えば、誘電体71及び導体部材71cと共に構成する可変容量コンデンサにおいて、初期の電気容量が筆圧検出のための所定の筆圧検出スレショルド値を少し超える程度となるように決められる。もちろん、導体部材71dの面積は、所定の特性となるように、種々の面積とすることが可能である。しかし、最低条件として、誘電体71の第1の面部71aに配設された導体部材71cの面積に比べて小さくなるようにされる。このように、導体部材71dは、可変容量コンデンサの構成とされた感圧用部品7の初期の電気容量の形成に寄与する。
【0109】
また、上述もしたように、第2の導体である導体部材71dを介在させずに誘電体71の第2の面部71bと導電部材74との接触面積に応じて、筆圧の変化を検出することが可能となるようにされる。すなわち、導電部材74が導体部材71dからはみ出して、誘電体71の第2の面部71bと接触する部分の面積に応じて、筆圧の変化が検出可能となる。従って、導体部材71cの面積を適切に定めることによって、筆圧の検出レンジも適切に確保できる。
【0110】
また、誘電体71の第2の面部71bの導電部材74と対向する面は鏡面加工されている。これにより、誘電体71の第2の面部71bと導電部材74との密接度を増し、誘電体71を導体部材71cと導電部材74とで挟んで構成する可変容量コンデンサの電気容量を適切に確保することができる。
【0111】
また、誘電体71を導体部材71cと導電部材74とで挟んで構成する可変容量コンデンサは、以下のような特徴を有する。すなわち、導電部材74と誘電体71の第2の面部71bに取り付けられた導体部材71dとが接触した直後においては、導体部材71c(第1の導体)と導体部材71d(第2の導体)との面積に応じた所定容量を有するものとなる。
【0112】
そして、筆圧が更に加えられ、導電部材74が誘電体71の第2の面部71bに押し当てられて行くと、導電部材74は導体部材71dをはみ出して誘電体71の第2の面部71bと接触する。この導電部材74が導体部材71dをはみ出して誘電体71の第2の面部71bと接触する面積が変わると、誘電体71を導体部材71cと導電部材74とで挟んで構成する可変容量コンデンサの電気容量も変わる。従って可変容量コンデンサの変化する電気容量が筆圧の変化に応じたものとなり筆圧の検出ができる。
【0113】
[変形例]
上述した実施の形態では、図3(A)、図4(A)を用いて説明したように、導体部材71dは、円形状のものとし、誘電体71の第2の面部71bの中心Pと導体部材71dの中心P0を一致させるようにして第2の面部71bに配置するようにした。しかし、これに限るものではない。導体部材71cは、円形に限らず、楕円形、扇型、多角形状など、様々な形状とすることができ、面積を有する構成とすれば、どのような形状であってもよい。
【0114】
図5は、導体部材71dの配置位置と形状のバリエーションの一例を説明するための図である。導体部材71dを誘電体71の第2の面部71bに取り付ける場合には、両者の中心を一致させる必要はない。例えば、図5(A)に示すように、誘電体71の第2の面部71bの中心Pと、導体部材71dの中心P0とをずらすようにしてもよい。図5(A)に示した例の場合には、立ち上がり特性を良くすると共に、導体部材71dをはみ出して誘電体71の第2の面部71bと導電部材74が接触する面積を接触直後より大きく取ることができるので、筆圧のダイナミックレンジを広げることができる。
【0115】
また、誘電体71の第2の面部71bに配設する導体部材71dは、図5(B)、(C)、(D)に示すように、誘電体71の第2の面部71bの中心付近には、導電部材74の先端部分と接触する突出部71tを設け、この突出部71tの一方の先端に広がりを持った面積部分を有する本体部71hを設けた形状としてもよい。このようにした場合には、誘電体71を、導体部材71cと導体部材71d及び導電部材74とで挟んで構成する可変容量コンデンサの初期の電気容量を大きくすることができる。したがって、筆圧検出時の立ち上がりレベルを更に大きくすることができる。しかし、本体部71hの面積を大きくしすぎると、筆圧のダイナミックレンジを狭めることにもなるので、適切な大きさにする必要がある。
【0116】
また、図5に示したように、導電部材74の先端が接触する位置に、導体部材71cの一部が掛かっていればよいので、導体部材71cを取り付ける(配置する)位置は、適宜の位置とすることができる。
【0117】
また、導電部材74が導体部材71dをはみ出して誘電体71の第2の面部71bと接触する面積は、例えば、図5(B)において、円形SXで示した部分が、導電部材74の接触範囲であるとすると、円形SXの内部に横点線を付して示した部分となる。すなわち、導体部材71dを挟まずに、導電部材74と誘電体71の第2の面部71bとが接触する部分が、導電部材74が導体部材71dをはみ出して誘電体71の第2の面部71bと接触する部分となる。
【0118】
このように、図5(A)〜(D)に示した導体部材71dの変形例は、導体部材71dの中心位置(重心)が、誘電体71の第2の面部71cの中心から偏心した位置となる形状とされたものである。ここで、導体部材71dの中心位置は、導体部材71dの各部に働いている重力の作用と等価な合力が作用するはずの点を意味する。従って、図5(A)に示すように、正円形の導電部材71dの中心位置(重心)は、当該正円形の導電部材71dの中心P0に一致する。また、図5(B)、(C)、(D)の導電部材71dの場合には、突出部71tと本体部71hを有するものであり、その中心位置は、本体部71h内に位置することになる。
【0119】
そして、図5(A)〜(D)に示した導体部材71dの変形例のいずれもが、導電部材74の曲面部の先端が導体部材71dと接触した直後から、導電部材74の曲面部が導電部材71dを介さずに、誘電体71の第2の面部71cと直接に接触できるようになっている。そして、芯体4にかかる筆圧が大きくなるに従って、導電部材74の曲面部が導電部材71dを介さずに、誘電体71の第2の面部71cと直接に接触する面積を大きく取ることができるようにされている。
【0120】
なお、導体部材71cと導体部材71dとは、銀や銅などの金属やカーボンなどが用いられ、蒸着、熔着、接着、圧着などの種々の方法により誘電体71に対して取り付けられる。もちろん、導体部材71c、71d及び端子部材72、弾性部材75等は、金属、カーボン、導電ゴムなど、その部材ごとに適切な種々の導体材料を用いて構成することが可能である。
【0121】
また、上述した実施の形態では、位置指示器1は、電磁誘導方式の位置検出装置202にし対して位置指示を行うものとして説明したが、これに限るものではない。静電容量方式(表面型(Surface Capacitive Type)、投影型(Project Capacitive Type))のセンサを備えた位置検出装置に対する位置指示器にもこの発明を適用できる。また、電磁授受方式(EMR(登録商標)、Electromagnetic Resonance)方式のセンサを備えた位置検出装置に対する位置指示器にもこの発明を適用できる。
【0122】
[位置指示器1の構成例]
図6は、位置指示器1の回路構成の例を説明するための図である。図6(A)は、静電容量方式のセンサを備えた位置検出装置に対して用いられる位置指示器の構成例を示している。図6(A)に示すように、この例の位置指示器は、IC401に対して電源回路402と、上述した実施の形態の感圧用部品7中に構成された可変容量コンデンサに相当する可変容量コンデンサ403と、いずれも導電材料で形成された芯体404と、筐体405を備える。この例の場合、例えば、充電端子を通じて供給される電力が、電源回路402が内蔵するバッテリに蓄積され、このバッテリからIC401に対して駆動電源を供給するようになっている。
【0123】
そして、使用者の手が触れる筐体405及び芯体404を通じて使用者と電気的に接続し、静電容量方式のセンサとの接触位置に静電容量の変化を生じさせることができる構成になっている。また、IC401は、筆圧に応じて変化する可変容量コンデンサ403の容量に基づいて、筆圧を通知する例えば8ビットのデジタル信号を形成し、これを芯体404を通じて送信可能になっている。
【0124】
これに対して、図6(B)は、電磁誘導授受方式のセンサを備えた位置検出装置に対して用いられる位置指示器の構成例を示している。図6(B)において、IC401、電源回路402、可変容量コンデンサ403は、図6(A)に示したものと同様のものである。但し、電源回路402に対しては、電磁誘導授受方式のセンサを備えた位置検出装置からの電磁誘導信号を受信することにより得られるエネルギーを供給して、駆動電源を形成し、これを利用する構成とすることができる。
【0125】
図6(B)に示した位置指示器は、インダクタンス素子としてのコイル411とコンデンサ412とにより共振回路410を構成している。そして、図6(B)に示したように、直列に接続されたコンデンサ413とスイッチ414とが、共振回路410に対して並列に接続されている。スイッチ414は、IC401によりオン/オフ制御される。
【0126】
共振回路410によって、電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置から送出された電磁誘導信号が受信され、これが共振回路410に蓄積されて、当該位置検出装置に送り返すようにされる。このようにして位置指示器から送り返される信号が、位置検出装置の位置指示器近傍のセンサコイルにより受信され、位置指示器による指示位置が検出される。
【0127】
IC401には、上述もしたように、筆圧を検出するための可変容量コンデンサ403が接続されており、筆圧に応じた容量の変化を検出できる。すなわち、IC401は、可変容量コンデンサ403の容量値から位置指示器のペン先に印加された筆圧を検出する。そして、検出した筆圧を例えば8ビットのデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、IC401がスイッチ414をオン/オフ制御することで、位置指示器から電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置に送信され、当該位置検出装置において検出される。
【0128】
図7は、電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置に対する位置指示器の他の構成例と、電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置の構成例を説明するための図である。図7に示すように、この例の位置指示器は、コントローラ460に対して電源回路461と、コイル462とコンデンサ463で構成される共振回路470と、この共振回路470に対して並列に設けられた筆圧検出のための可変容量コンデンサ464とを備えている。可変容量コンデンサ464が、上述した実施の形態の感圧用部品7中に構成された可変容量コンデンサに相当する。また、電源回路461は、図6に示した電源回路402と同様のものである。更に、直列に接続されたコンデンサ465とスイッチ466が、共振回路470と、可変容量コンデンサ464に対して、並列に接続されている。
【0129】
この例の位置指示器は、コントローラ460の制御により、共振回路470を通じて指示位置を示す信号を返信する期間と、可変容量コンデンサ464で検出される筆圧に応じた信号を返信する期間とを切り替える。これにより、電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置において、指示位置の検出と筆圧の検出とが可能にされる。図6(B)に示した構成の位置指示器が、デジタル方式で筆圧を通知するものであるのに対して、図7に示した構成の位置指示器は、アナログ方式で筆圧の通知が可能なものである。
【0130】
電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置500は、センサ部501と、位置検出回路502と、筆圧検出回路503とを備える。センサ部501は、位置指示器からの信号を受信する受信回路として機能する。位置検出回路502は、センサ部501からの検出出力に基づいて、位置指示器により指示されたセンサ部上の座標位置(X,Y)を検出する。筆圧検出部503は、センサ部501からの検出出力に基づいて、位置指示器の可変容量コンデンサの容量の変化を位置指示器に加わる外力の変化(筆圧)として検出する。このように、位置検出装置500は、位置指示器により指示されたセンサ部上の指示位置と、位置指示器に加わる筆圧(外力)との検出が可能なものである。
【0131】
なお、静電方式のセンサを備えた位置検出装置についても、指示位置の検出方式に違いがあるものの、図7に示した電磁授受方式のセンサを備えた位置検出装置と同様に構成可能である。すなわち、位置検出装置は、位置指示器による指示位置の検出機能を備えると共に、位置指示器からの筆圧に応じた信号を受信する受信回路と、この受信回路で受信した信号から位置指示器に加わった外力(筆圧)を検出する検出回路を備える構成を備えればよい。
【0132】
[その他]
なお、上述した実施の形態の説明からも明らかであるように、請求項1の位置指示器における筐体、芯体、可変容量コンデンサの各機能は、実施の形態の位置指示器1のケース2、芯体4、感圧用部品7が実現している。また、請求項1における可変容量コンデンサの誘電体の機能は、位置指示器1の誘電体71が実現し、第1の導体と端子部からなる第1の電極部は、導体部材71cと端子部材72が実現している。同可変容量コンデンサの第2の導体の機能は、導体部材71dが実現し、同可変容量コンデンサの導電部材は、位置指示器1の導電部材74が実現し、同可変容量コンデンサの弾性部材の機能は、位置指示器1の弾性部材75が実現している。
【符号の説明】
【0133】
1…位置指示器、2a…ケース本体、2b…ケースキャップ、3…基板ホルダー、3a…感圧用部品ホルダー部、3b…プリント基板載置台部、4…芯体、5…コイル、6…フェライトコア、7…感圧用部品、71…誘電体、71a…第1の面部、71b…第2の面部、71c…導体部材(第1の導体)、71d…導体部材(第2の導体)、72…端子部材、74…導電部材、75…弾性部材、8…プリント基板、9…落下対策用部材、35…開口部
【要約】
可変容量コンデンサを用い、筆圧検出時の立ち上がり特性と筆圧の解像度との両方を改善し、携帯端末に対して用いて好適な位置指示器を実現する。可変容量コンデンサは、対向する第1の面部(71a)、第2の面部(71b)を有する誘電体(71)を備え、誘電体(71)の第1の面部(71a)には、導体部材(71c)が配設され、これが第1の電極部として機能する。誘電体(71)の第2の面部(71b)には導体部材(71d)を配設する。端子部として機能する弾性部材(75)が接続された導電部材(74)が、導体部材(71d)に対向して配設され、導電部材(74)と導体部材(71d)とが接することにより第2の電極を形成する。
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