【実施例】
【0063】
以下、本発明を、実験例を用いて詳細に説明する。但し、本発明はかかる実験例により何ら制限されるものではない。なお、下記実験例で培養に使用する「RPMI-1640培地」の詳細は、RPMI-1640培地(0.03%グルタミン、10%FBS、100U/mlペニシリン-100μg/mlストレプトマイシン、0.1mM MEM Non-Essential Amino Acids(NEAA)を含む)である。なお、RPMI-1640培地はシグマアルドリッチジャパン株式会社、FBS(ウシ胎児血清)は大日本製薬株式会社、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびNEAAはいずれもインビトロジェン株式会社より購入したものを使用した。なお、下記の実験例でナノバブル水に含まれるナノバブルの粒径の測定は、日機装(株)東村山製作所において、動的光散乱式粒子径・粒度分析計ナノトラックUPA-UT151型(光源:半導体レーザー780nm、検出器:シリコンンフォトダイオード)、日機装(株)製)を用いて実施した。
【0064】
実験例1 酸素ナノバブル水を用いたNK活性の増強
(1)NK活性の測定方法
まず被験者の末梢血からNK細胞を含むPBMCを分取し、これに被験物質を添加して、RPMI-1640培地を用いて、5%CO
2、37℃の条件で20時間培養する。
【0065】
別途、蛍光物質(ユーロピウム:Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞:American Type Culture Collection)を調製し(以下、これを「標識ガン細胞」という)、これを上記で培養したPBMCと混合し、さらにRPMI-1640培地を用いて、5%CO
2、37℃の条件で4時間培養する。このとき、PBMC(E:エフェクター細胞)と標識ガン細胞(T:ターゲット細胞)との混合比率(E/T比)は、40:1とする。
【0066】
次いで、標識ガン細胞から培養液中に遊離した蛍光物質(Eu
3+)の量を、時間分解蛍光測定法(DELFIA Research蛍光光度計:Pharmacia Biotech社製)により測定し、下式から蛍光物質の遊離率(%)を算出する。この遊離率(%)を標識ガン細胞がPBMCで傷害された程度、すなわちNK活性(%)とする。
【0067】
【数4】
【0068】
(2)被験物質の調製
被験物質として、下記の方法で調製した(a)酸素ナノバブル水、(b)有機ゲルマニウム粉末、および(c)ハナビラタケを使用した。これらの被験物質のうち、(b)と(c)は、NK細胞活性作用があると報告されている物質である(特開平10-330207号公報、特開2004-292415号公報参照)。
【0069】
これらの被験物質は事前検査として、第十五改正日本薬局方解説書エンドトキシン試験法(B427-448)に則して比濁法によるエンドトキシン測定(トキシノメーターMT-358使用:和光純薬工業(株)製)、及びガン細胞(K562細胞)に対する傷害活性試験を実施し、被験物質そのものはエンドトキシンを含有しないこと、そしてガン細胞を傷害する作用を有するものでないことを確認した。なお、両試験には、各被験物質をNK活性測定時と同じ濃度になるように調整して使用した。
【0070】
(a)酸素ナノバブル水
酸素ナノバブル水として、(株)NAGA MRE販売の500ml入り酸素ナノバブル水(製品名:ナーガの雫)(賞味期限2008年9月20日)(原水)を使用した。原水を0.22μmフィルターで濾過滅菌し試験に使用した。具体的には、原水と培地とを混合し培養時に原水が6倍希釈されたもの(原水を16.7%含有)を試験濃度「1倍」とし、原水と培地とを混合し培養時に原水が60倍希釈されたもの(原水を1.67%含有)を試験濃度「1/10倍」とした。なお、当該酸素ナノバブル水中に含まれる酸素ナノバブルの粒径を動的光散乱法(検出法:ヘテロダイン法)に基づいて測定したところ(動的光散乱式粒子径・粒度分析計ナノトラックUPA-UT151型、日機装(株)製)、下記に説明する方法で算出される体積平均径(MV)が0.3734μm(標準偏差:SD=0.0784μm)、個数平均径(MN)が0.2995μm(標準偏差:SD=0.1002μm)と、動的光散乱法による個数平均径が300nm未満のナノバブルであることが確認された。
【0071】
なお、上記装置(動的光散乱式粒子径・粒度分析計ナノトラックUPA-UT151型)は、解析法として周波数解析法(FFT-パワースペクトル法)を採用している。すなわち、散乱強度の自己相関関数を高速フーリエ変換したパワースペクトルを求め、このパワースペクトルをログリニアースケール・アルゴリズムで粒度分布に変換する方法である。
【0072】
<体積平均径(MN)および個数平均径(MV)の算出方法>
一つの粉体の集団を仮定する。この中に粒子径の小さな順から、d1、d2、・・・、di、・・・、dkの粒子径(μm)を有する粒子がそれぞれn1、n2、・・・、ni、・・・、nk個あるとする。また粒子1個当たりの体積(μm
3)をv1、v2、・・・、vi、・・・、vkとする。すなわち、個数と粒子径と体積は下記の関係にある。
個数 :n1、n2、・・・、ni、・・・、nk
粒子径:d1、d2、・・・、di、・・・、dk
体積 :v1、v2、・・・、vi、・・・、vk。
【0073】
この場合、体積平均径MV(μm)は、前述する[数2]に記載する式で算出することができる。また、個数平均径MN(μm)は、前述する[数1]に記載する式で算出することができる。また気泡の分布の分布幅の目安となる標準偏差(SD)(体積平均径と個数平均径の各々について)は、前述する[数3]に記載する式で算出することができる。
【0074】
(b)有機ゲルマニウム粉末
有機ゲルマニウム粉末として、(株)浅井ゲルマニウム研究所製のものを使用した。 これをRPMI-1640 培地に懸濁し、室温で1時間撹拌し溶解した。これを0.22μmフィルターで濾過滅菌した後、RPMI-1640 培地で培養時の最終濃度が0.022mg/mlとなるように希釈し、試験に使用した。
【0075】
(c)ハナビラタケ
ハナビラタケとして、(株)ミネターから購入した乾燥粉末製品(ハナビラタケ100:商品名)を使用した。これをRPMI-1640 培地に懸濁し、室温で1時間撹拌し溶解した。これを0.22μmフィルターで濾過滅菌した後、RPMI-1640 培地で培養時の最終濃度が0.022mg/mlとなるように希釈し、試験に使用した。
【0076】
なお、上記有機ゲルマニウム粉末およびハナビラタケの濃度は、標準的なヒト(体重60kg)の血液量を4.5Lとし、1日の服用量100mg が100% 血中に吸収された場合の濃度(0.022 mg/ml)を基準として、培養時の最終濃度がこの濃度になるように調整した。
【0077】
(3)被験物質で処理したPBMCのNK活性測定
上記(1)に記載する方法に従って、上記各種の被験物質で処理したPBMCのNK活性を測定した。具体的には、まず、被験者(60代男性)1名の末梢血(全血採血後、30時間以内に使用)から比重遠心分離法を用いてPBMC層を分離した後、一定濃度(培養時濃度:2×10
6cells/ml)のPBMC溶液を調製した。
【0078】
斯くして調製したPBMC溶液に、IL-2(ヒトリコンビナント:PEPROTECH社製)、OK-432(抗悪性腫瘍剤:ピシバニール、中外製薬(株)製)、または表1に記載する各種の被験物質(表中の濃度(1倍)とその1/10濃度(1/10倍)の2濃度で実施)を添加し、20時間培養した。
【0079】
【表1】
【0080】
20時間培養した後、蛍光物質(Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞)を添加し、さらに4時間培養した。
【0081】
培養後、培養液中に遊離した蛍光物質量を、時間分解蛍光測定法により測定し、その遊離率(%)から傷害されたガン細胞の割合を求め、NK活性(%)を算出した。
【0082】
結果を表2および
図1に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
その結果、表2に示すように、コントロールのNK活性は4.6%であるものの、IL−2添加または抗悪性腫瘍剤(OK-432)添加により、それぞれ31.0%または41.9%となり、IL−2または抗悪性腫瘍剤(OK-432)により、NK活性が誘導・増強されることが確認された(NK活性の増強)。
【0085】
これに対して、酸素ナノバブル水(サンプルD)は7.4%と、IL-2やOK-432よりも低いものの、コントロールと比較してNK活性を1.6倍に誘導・増強していることが確認された。このことから、個数平均径が300nm未満の酸素ナノバブルを含む水(酵素ナノバブル水)には、PBMCのNK活性を誘導・増強させる機能があることが判明した。
【0086】
なお、この実験では、有機ゲルマニウム粉末(サンプルG)およびハナビラタケ(サンプルF)でNK活性の低下が認められた。また有機ゲルマニウムおよびハナビラタケを併用した試験サンプル(サンプルE)はNK活性を若干誘導することが確認された。しかしこれらの被験物質を酸素ナノバブル水と併用した場合(サンプルA、B、C)、酸素ナノバブル水単独の場合(サンプルD)のNK活性と、ほぼ同じか若干増加することが認められた。これから、酸素ナノバブル水は、他のNK活性増強剤と併用することが可能であると考えられる。
【0087】
実験例2 水素ナノバブル水を用いたNK活性増強
酸素ナノバブル水に代えて水素ナノバブル水を用いて実験例1と同様にしてPBMCを処理して、NK活性を測定した。
【0088】
(1)被験物質(水素ナノバブル水)の調製
水素ナノバブル水として、電気分解から得られた、エヌディーアクア株式会社製の水素ナノバブル水(商標名:「真・水素水」、賞味期限2008年12月12日、ロット番号2008.12.12)(原水)を用いた。原水を0.22μmフィルターで濾過滅菌し試験に使用した。具体的には、原水と培地とを混合し培養時に原水が6倍希釈されたもの(原水を16.7%含有)を試験濃度「1倍」とし、原水と培地とを混合し培養時に原水が60倍希釈されたもの(原水を1.67%含有)を試験濃度「1/10倍」とした。ちなみに電気分解によって得られたアルカリイオン水中の水素気泡は3〜200nmであり、水素ナノバブル水には200nm以下の径のバブルが存在することが知られている(“電解アルカリ性水の科学”、ウォーター研究会会報、No.8、p.5(2001))。そこで、当該水素ナノバブル水中に含まれる水素ナノバブルの粒径を、実験例1に記載する方法に従って動的光散乱法に基づいて測定したところ(動的光散乱式粒子径・粒度分析計ナノトラックUPA-UT151型、日機装(株)製)、実験例1で説明する方法で算出される体積平均径(MV)は0.0027μm(標準偏差SD=0.0004μm)、個数平均径(MN)が0.0024μm(標準偏差SD=0.0005μm)と、動的光散乱法による個数平均径が300nm未満(3nm未満)のナノバブルであることが確認された。
【0089】
当該水素ナノバブル水は事前検査として、第十五改正日本薬局方解説書エンドトキシン試験法(B427-448)に則して比濁法によるエンドトキシン測定(トキシノメーターMT-358使用:和光純薬工業(株)製)、及びガン細胞(K562細胞)に対する傷害活性試験を実施し、被験物質そのものにエンドトキシンが含まれておらず、またガン細胞を傷害する作用を有するものでないことを確認した。なお、両試験には、当該水素ナノバブル水をNK活性測定時と同じ濃度になるように調整して使用した。
【0090】
(2)被験物質で処理したPBMCのNK活性測定
実験例1(1)に記載する方法に従って、上記被験物質(水素ナノバブル水)で処理したPBMCのNK活性を測定した。具体的には、まず、被験者2名(50代男性:被験者1、60代男性:被験者2)の末梢血(全血採血後、30時間以内に使用)から比重遠心分離法を用いてPBMC層を分離した後、一定濃度(培養時濃度:2×10
6cells/ml)のPBMC溶液を調製した。
【0091】
斯くして調製したPBMC溶液に、表3に示すように、被験物質としてIL-2(ヒトリコンビナント:PEPROTECH社製)、OK-432(抗悪性腫瘍剤:ピシバニール、中外製薬(株)製)、水素ナノバブル水、または酸素ナノバブル水(実験例1で調製したものと同じ)をそれぞれ添加し、20時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。20時間培養した後、蛍光物質(Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞)を添加し、さらに4時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。
【0092】
培養後、培養液中に遊離した蛍光物質量を、時間分解蛍光測定法により測定し、得られた遊離率(%)から傷害されたガン細胞の割合を求め、NK活性(%)を算出した。
【0093】
【表3】
【0094】
被験者1に関する結果を表4と
図2に、被験者2に関する表5に示す。
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
その結果、表4及び表5に示すように、IL-2やOK-432には及ばないものの、水素ナノバブル水にも、実験例1で確認した酸素ナノバブル水と同様に、NK活性を誘導・増強する作用があること(NK活性増強作用)、また水素ナノバブル水と酸素ナノバブル水とを併用してもそれらのNK活性増強効果は損なわれることなく維持されることが確認された。具体的には、水素ナノバブル水については、コントロールに比べ、被験者1(表4:サンプルA)は1.5倍以上、また被験者2(表5:サンプルA)は1.3倍程度NK活性の上昇が得られた。また、酸素ナノバブル水については、1.4倍以上のNK活性の上昇が得られた(表4:サンプルB)。
【0098】
実験例3 大気ナノバブル水を用いたNK活性の増強
酸素ナノバブル水に代えて大気ナノバブル水を用いて実験例1と同じ方法でPBMCを処理してNK活性を測定した。
【0099】
(1)被験物質(大気ナノバブル水)の調製
大気ナノバブル水として、ジャパンエコール株式会社製の大気ナノバブル水(ロット番号08121602)(原水)を用いた。大気中には窒素が約78%、酸素が約20.9%および二酸化炭素が約0.03%含まれている。なお、大気ナノバブル水の作成にあたり、空気(山梨県忍野村)を「インライン型クリーンフィルター、FCS500シリーズ」(ポリプロピレン+ウレタン製中空糸膜、濾過精度0.01μm、除去効率99.99%のフィルター)(CKD社製)に通して調製した大気を使用した。
【0100】
原水を0.22μmフィルターで濾過滅菌し試験に使用した。具体的には、原水と培地とを混合し培養時に原水が6倍希釈されたもの(原水16.7%含有)を試験濃度「1倍」とし、原水と培地とを混合し培養時に原水が60倍希釈されたもの(原水1.67%含有)を試験濃度「1/10倍」とした。
【0101】
当該大気ナノバブル水中に含まれる大気ナノバブルの粒径を、実験例1に記載する方法に従って動的光散乱法に基づいて測定したところ(動的光散乱式粒子径・粒度分析計ナノトラックUPA-UT151型、日機装(株)製)、実験例1で説明する方法で算出される体積平均径(MV)は0.0019μm(標準偏差SD=0.0003μm)、個数平均径(MN)が0.0018μm(標準偏差SD=0.0003μm)と、動的光散乱法による個数平均径が300nm未満(2nm未満)のナノバブルであることが確認された。
【0102】
当該大気ナノバブル水は事前検査として、第十五改正日本薬局方解説書エンドトキシン試験法(B427-448)に則して比濁法によるエンドトキシン測定(トキシノメーターMT-358使用:和光純薬工業(株)製)、及びガン細胞(K562細胞)に対する傷害活性試験を実施し、大気ナノバブル水そのものにエンドトキシンが含まれておらず、またガン細胞を傷害する作用を有するものでないことを確認した。なお、両試験には、当該大気ナノバブル水をNK活性測定時と同じ濃度になるように調整して使用した。
【0103】
(2)被験物質(大気ナノバブル水)で処理したPBMCのNK活性測定
実験例1(1)に記載する方法に従って、上記被験物質(大気ナノバブル水)で処理したPBMCのNK活性を測定した。具体的には、まず、(健常な男女7名:平均年齢47.3±13.7歳)の末梢血(全血採血後、30時間以内に使用)から比重遠心分離法を用いてPBMC層を分離した後、大気ナノバブル水を65%含む培地を使用して、一定濃度(培養時濃度:2×10
6cells/ml)のPBMC溶液を調製した。
【0104】
斯くして調製したPBMCを20時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。20時間培養した後、蛍光物質(Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞)を添加し、さらに4時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。培養後、培養液中に遊離した蛍光物質量を、時間分解蛍光測定法により測定し、得られた遊離率(%)から傷害されたガン細胞の割合を求め、NK活性(%)を算出した。
【0105】
結果を表6に示す。
【0106】
【表6】
【0107】
これからわかるように、大気ナノバブル水にも、実験例1で確認した酸素ナノバブル水および実験例2で確認した水素ナノバブル水と同様に、NK活性を誘導・増強する作用(NK活性増強作用)があることが確認された。
【0108】
実験例4 IL−2との併用によるNK活性の増強
(1)酸素ナノバブル水および大気ナノバブル水によるNK活性の増強
被験物質として下記のナノバブル水を使用して、実験例1の記載に従ってPBMCを処理して、NK活性(%)を測定した。
【0109】
<被験物質>
A:酸素ナノバブル水(ナーガの雫:(株)NAGA MRE製)、体積平均径(MV):0.3734μm(標準偏差SD=0.0784μm)、個数平均径(MN):0.2995μm(標準偏差SD=0.1002μm)
B:大気ナノバブル水(Lot.08121602、ジャパンエコール(株)製)、体積平均径(MV):0.0019μm(標準偏差SD=0.0003μm)、個数平均径(MN):0.0018μm(標準偏差SD=0.0003μm)
C:酸素ナノバブル水(美粒水:ジャパンエコール(株)製)、体積平均径(MV):0.0015μm(標準偏差SD=0.0002μm)、個数平均径(MN):0.0014μm(標準偏差SD=0.0002μm)。
【0110】
具体的には、上記各種のナノバブル水と精製水を用いて、RPMI-1640培地(pH7.2)(これを「ナノバブル培地」という)を調製し、これを0.22μmフィルターで濾過滅菌した後、試験に使用した。PBMC培養時に使用する各ナノバブル培地中のナノバブル水の含有率は65容量%である。
【0111】
具体的には、まず、被験者7名(健常な男女7名:平均年齢47.3±13.7歳)の末梢血(全血採血後、30時間以内に使用)から比重遠心分離法を用いてPBMC層を分離した後、一定濃度(培養時濃度:2×10
6cells/ml)のPBMC溶液を調製した。
【0112】
斯くして調製したPBMCを、上記の各種ナノバブル培地(ナノバブル培地A〜C)を用いて20時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。20時間培養した後、蛍光物質(Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞)を添加し、さらに4時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。培養後、培養液中に遊離した蛍光物質量を、時間分解蛍光測定法により測定し、得られた遊離率(%)から傷害されたガン細胞の割合を求め、NK活性(%)を算出した。なお、コントロールとして、ナノバブル培地に代えて、ナノバブル水を配合しない培地(RPMI-1640培地(pH7.2))を用いて同様に処理して、NK活性(%)を算出した。
【0113】
その結果、7名のNK活性(%)の平均値(コントロール値)は36.5±15.0(平均±標準偏差)%であり、いずれのナノバブル水(ナノバブル水A〜C)もNK活性を上昇させることが確認された。コントロールのNK活性(コントロール値)を100%とした場合の相対比(%)を
図3に示す。
【0114】
この結果から、個数平均径が300nm未満の微細気泡(酸素、大気)を含むいずれのナノバブル水も、ナノバブル水を含まないコントロールに比べて1.2〜1.3倍、NK活性を増強させることが認められた。
【0115】
(2)IL−2との併用効果
被験物質としてIL−2単独(0〜50ng/ml)、およびIL−2(0〜50ng/ml)と上記ナノバブル水A〜Cとを組み合わせて使用し、実験例1の記載に従ってPBMCを処理して、NK活性を測定した。
【0116】
具体的には上記被験者7名から単離したPBMCを、上記のIL−2(0〜50ng/ml)を含有する培地(RPMI-1640培地(pH7.2))またはIL−2(0〜50ng/ml)を含有する上記各種ナノバブル培地(ナノバブル培地A〜C)を用いて20時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。20時間培養した後、蛍光物質(Eu
3+)で標識したガン細胞(K562細胞)を添加し、さらに4時間培養した(培養条件は、実験例1(1)に記載する方法と同じ)。培養後、培養液中に遊離した蛍光物質量を、時間分解蛍光測定法により測定し、得られた遊離率(%)から傷害されたガン細胞の割合を求め、NK活性(%)を算出した。
【0117】
濃度−反応曲線を
図4に示す。縦軸はNK活性(%)(7名の平均値)、横軸はIL-2の濃度(ng/ml)を示す。この結果から、IL−2単独よりも、IL−2に上記ナノバブル水を併用したほうが、NK活性が増加することが判明した。IL−2は、細胞免疫療法における生体応答調節剤(BRM)として知られている一方で、その副作用も報告されている。本発明のナノバブル水を有効成分とする細胞免疫療法剤によれば、これをIL−2と併用することで、IL−2のNK細胞活性化機能を補足し、その結果IL−2の使用量が低減でき、ひいてはIL−2による副作用を低減させることができると考えられる。