(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器の一例である画像形成装置1を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
《発明の実施形態》
−全体構成−
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の一例である画像形成装置1を示している。この画像形成装置1は、いわゆるレーザプリンターであって、用紙Pにトナー画像を形成するための画像形成部2を有している。尚、以下の説明において、「右側」、「左側」はそれぞれ、画像形成装置1の右側、左側(
図1の右側、左側)を意味し、「前側」、「後側」はそれぞれ、画像形成装置1の前側、後側(
図1の紙面に垂直な方向の手前側、奥側)を意味するものとする。また、「上流側」、「下流側」は、用紙Pの搬送方向の上流側、下流側を意味するものとする。
【0021】
画像形成装置1は全体が筐体3により覆われている。上記画像形成部2は筐体3内における上下方向の中間部に設けられている。画像形成部2は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色の感光体ドラム4と、各感光体ドラム4の表面にレーザ光を照射して静電画像を形成するスキャナ5とを有している。画像形成部2は、各感光体ドラム4の表面に形成した静電画像を現像器6にて現像後、転写ベルト7及び転写ローラー33aを介して用紙Pに転写する。そうして用紙Pに転写されたトナー画像は、後述の定着ローラー対34にて加熱されて用紙Pに定着される。尚、
図1中の符号10は、現像器6にトナーを供給するトナー供給部である。また、符号11は、各感光体ドラム4の感光面をクリーニングするクリーニングローラーである。
【0022】
上記画像形成部2の下側には、用紙Pが収容された給紙カセット12が設けられている。筐体3の右側壁には、ユーザが用紙Pを手差しでセットするための手差しトレイ13が設けられている。筐体3内における画像形成部2の右側には、用紙Pを搬送するための用紙搬送部14が設けられている。筐体3の上部には、用紙搬送部14にて搬送された用紙Pを装置1外に排出するための排紙口15が形成されている。筐体3の上面には、排紙口15から排出された用紙Pを受け止めるための排紙トレイ16が形成されている。
【0023】
上記用紙搬送部14は、略上下方向に延びる第1及び第2搬送経路20,21を有している。
【0024】
第1搬送経路20は、給紙カセット12又は手差しトレイ13から供給された用紙Pを搬送するための経路である。第1搬送経路20の上端は、筐体3の上部に形成された排紙口15に接続されている。第1搬送経路20の下端は二手に分岐しており、一方の分岐経路20aは給紙カセット12へと延び、他方の分岐経路20bは手差しトレイ13へと延びている。
【0025】
第2搬送経路21は、用紙Pの両面印刷を行う際に、排紙ローラー対35によりスイッチバックされた片面印刷済みの用紙Pを第1搬送経路20に戻すための経路である。第2搬送経路21は、第1搬送経路20の上端部から分岐して下方へと延びた後、第1搬送経路20の下端部に接続されている。
【0026】
第1搬送経路20には、給紙ローラー対30、中間ローラー対31、レジストローラー対32、転写ローラー対33、定着ローラー対34、及び排紙ローラー対35が上流側から下流側に向かってこの順に設けられている。第2搬送経路21には、用紙搬送方向に沿って3つの両面印刷ローラー対36が設けられている。また、各搬送経路20,21には、図示しないが用紙Pを検出するための用紙検出センサーが設けられている。各ローラー対30〜36は、用紙Pを挟持して上流側から下流側へと搬送する。各ローラー対30〜36は、駆動装置100により駆動される。駆動装置100の詳細は後述する。
【0027】
次に、上記画像形成装置1の動作を簡単に説明する。上記給紙カセット12にセットされた用紙Pは、送りローラー37及び給紙ローラー対30によって第1搬送経路20に送り出され、その後、中間ローラー対31によりレジストローラー対32へと搬送される。レジストローラー対32では、用紙Pのスキュー補正が行われる。レジストローラー対32から排出された用紙Pは、転写ローラー対33の転写ローラー33aと転写ベルト7との間に導入される。これにより、用紙Pには、転写ベルト7上のトナー画像が転写される。その後、転写ローラー33aと転写ベルト7との間から排出された用紙Pは、定着ローラー対34へと搬送される。定着ローラー対34では、両ローラー34a,34b間に形成された定着ニップにてトナーを溶融して用紙に定着させる。こうして、用紙Pにはトナー画像が印刷される。定着ローラー対34から排出された用紙Pは、排紙ローラー対35によって排紙口15へと導かれて排紙トレイ16に排出される。尚、手差しトレイ13から用紙を供給する場合にも同様の手順で印刷が行われる。
【0028】
また、両面印刷を行う場合には、定着ローラー対34から排出された用紙Pは、排紙ローラー対35によってスイッチバックされて第2搬送経路21へと送り出され、その後、3つの両面搬送ローラー対36によって下流側へと搬送されて第1搬送経路20に戻されて、裏面の印刷が行われる。
【0029】
−駆動装置の構成−
次に、各搬送経路20,21に設けられた各ローラー対30〜36を駆動するための駆動装置100について説明する。この駆動装置100は、
図1〜
図3に示すように、筐体3の後側壁30aに取付けられた駆動ユニット40を含んでいる。駆動ユニット40は、給紙ローラー対30を駆動するための給紙ローラーギヤ41と、中間ローラー対31を駆動するための中間ローラーギヤ42と、レジストローラー対32を駆動するためのレジストローラーギヤ43と、両面印刷ローラー対36を駆動するための両面印刷ローラーギヤ44とを駆動するためのものである。
【0030】
図3は、駆動ユニット40の内部構造を示している。駆動ユニット40は、駆動源であるモーター59の他に、レジストローラークラッチ60a、中間ローラークラッチ60b、給紙ローラークラッチ60c及び両面印刷ローラークラッチ60dを有している。図中の破線は、モーター59からクラッチ60a〜60dを経由して出力される動力の伝達経路を示している。モーター59及びクラッチ60a〜60dは、1つのケース58内に収容されてユニット化されている。ケース58は、その厚さ方向において一側ケース部58aと他側ケース部58bとに2分割されている(
図2参照)。
【0031】
上記各クラッチ60a〜60dは、電磁力を利用して動力の伝達/遮断を切替える電磁クラッチ60により構成されている。この電磁クラッチ60は、
図4に示すように、入力ギヤ70と、入力ギヤ70にバネ部材71を介して回転一体に連結された環状のアーマチュア72と、アーマチュア72と同軸に並ぶローター73と、ローター73と回転一体に連結された出力軸74と、アーマチュア72をローター73に吸着させる磁力を発生するための励磁コイル75とを有している。アーマチュア72及びローター73は共に金属材料で構成されている。
【0032】
入力ギヤ70は、出力軸74の一端部に滑りブッシュ79を介して回動可能に支持されている。入力ギヤ70の一側面70jは、滑りブッシュ79のフランジ部に当接している。滑りブッシュ79は、止め輪76により軸方向の移動が規制されている。
【0033】
出力軸74の他端部には、被駆動体90としての給紙ローラーギヤ41や、中間ローラーギヤ42、レジストローラーギヤ43、又は両面印刷ローラーギヤ44が連結固定される。被駆動体90は、ワッシャ77及びボルト78により軸方向の移動が規制されている。
【0034】
バネ部材71は、軸方向から見て環状をなす皿ばねにより構成されている。バネ部材71の内周縁部は入力ギヤ70の他側面70kに固定されている。バネ部材71の外周縁部は、アーマチュア72の一側面72jに固定されている。アーマチュア72の外周縁部の他側面72kには、摩擦係合部72fが設けられている。
【0035】
ローター73は、小径部80と、小径部80の一端部から径方向の外側に延びる大径部81とを有している。大径部81は、環状且つ平板状に形成されている。大径部81の外周縁部の一側面81jには摩擦係合部73fが設けられている。小径部80は、出力軸74に対してスプライン嵌合により回転一体に連結されている。小径部80は、止め輪82と軸受83の内輪とによって挟まれて、出力軸74に対する軸方向の相対移動が規制されている。軸受83の内輪は、出力軸74に回転一体に嵌合されている。軸受83の外輪は、ヨーク86の内周面に嵌合されている。ヨーク86の一端部は、有底円筒状のクラッチケース87の底壁部に接続されている。
【0036】
上記励磁コイル75は、クラッチケース87の周壁部とヨーク86との間の環状空間Sに配置されている。励磁コイル75は、後述のコントローラー50により通電/非通電が制御される。
【0037】
以上のように構成された電磁クラッチ60では、励磁コイル75が通電されると、アーマチュア72がバネ部材71の付勢力に抗してローター73側へと移動し、アーマチュア72の摩擦係合部72fがローター73の摩擦係合部73fに連結される。これにより、入力ギヤ70からの動力が、バネ部材71、アーマチュア72及びローター73を介して、出力軸74に伝達可能となる。一方、励磁コイル75が非通電にされると、アーマチュア72がバネ部材71の付勢力によりローター73から離間されるので、入力ギヤ70から出力軸74への動力伝達は遮断される。尚、以下の説明において、クラッチ60a〜60dの連結状態とは、アーマチュア72とローター73とが連結された状態(
図4の状態)を意味し、クラッチ60a〜60dの遮断状態とは、アーマチュア72とローター73との連結が遮断された状態を意味する。
【0038】
図3を参照して、上記レジストローラークラッチ60aの入力ギヤ70aは、アイドルギヤ91、アイドルギヤ92、アイドルギヤ93及びピニオンギヤ94を介してモーター59の出力軸61に連結されている。レジストローラークラッチ60aの出力軸74aは、レジストローラーギヤ43に回転一体に連結されている。
【0039】
上記中間ローラークラッチ60bの入力ギヤ70bは、アイドルギヤ94、アイドルギヤ95、アイドルギヤ93及びピニオンギヤ94を介してモーター59の出力軸61に連結されている。中間ローラークラッチ60bの出力軸74bは、中間ローラーギヤ42に回転一体に連結されている。
【0040】
上記給紙ローラークラッチ60cの入力ギヤ70cは、アイドルギヤ96、アイドルギヤ95、アイドルギヤ93及びピニオンギヤ94を介してモーター59の出力軸61に連結されている。給紙ローラークラッチ60cの出力軸74cは、給紙ローラーギヤ41に回転一体に連結されている。
【0041】
上記両面印刷ローラークラッチ60dの入力ギヤ70dは、アイドルギヤ91、アイドルギヤ92、アイドルギヤ93及びピニオンギヤ94を介してモーター59の出力軸61に連結されている。両面印刷ローラークラッチ60dの出力軸74dは、両面印刷ローラーギヤ44に回転一体に連結されている。
【0042】
ところで、上記各クラッチ60a〜60dは、上述の如く、連結状態において、アーマチュア72の摩擦係合部72fとローター73の摩擦係合部73fとを摩擦結合させる。このとき、例えば、この摩擦係合部72f,73fに錆が付着していると、アーマチュア72の摩擦係合部72fとローター73の摩擦係合部73fとが、この錆に起因して固着する場合がある。この固着力が大きいと、コントローラー50によって励磁コイル75を通電から非通電に切替えたとしても、アーマチュア72とローター73とが固着したまま離間せず、クラッチ60a〜60dを連結状態から非連結状態に切り替えることができなくなる場合がある。この結果、用紙Pのジャムが発生するなどして、ジャムに対応するためのユーザの作業負担が増加するという問題がある。
【0043】
この問題は、クラッチ60a〜60dの連結状態において、被駆動体90から出力軸74を介してアーマチュア72とローター73との結合部に作用する負荷トルクが小さいほど生じ易い。すなわち、この負荷トルクが小さいと、励磁コイル75を通電から非通電に切り替えたときに、アーマチュア72とローター73との結合部に作用するせん断トルクも小さくなる。よって、アーマチュア72とローターとの固着を解消させるだけのせん断トルクを得ることができず、アーマチュア72とローターとが固着したまま離間不能になり易い。
【0044】
そこで、本実施形態では、各クラッチ60a〜60dのそれぞれについてこの負荷トルクを測定することで、最も固着が生じ易いクラッチ60a〜60dを予め特定して、このクラッチ60a〜60dの固着を防止するべく、コントローラー50により後述のクラッチ遮断制御を実行するようにした。
【0045】
本実施形態における上記負荷トルクの測定結果は次の通りである。すなわち、上記中間ローラークラッチ60bの負荷トルクをL1、両面印刷ローラークラッチ60dの負荷トルクをL2、給紙ローラークラッチ60cの負荷トルクをL3、レジストローラークラッチ60aの負荷トルクをL4とすると、L1<L2<L3<L4であった。したがって、本実施形態におけるクラッチ遮断制御では、最も固着が生じ易い(負荷トルクが最も小さい)中間ローラークラッチ60bの固着解消を目的としている。クラッチ遮断制御の詳細については後述する。
【0046】
−コントローラーの構成−
上記各クラッチ60a〜60d及びモーター59は、コントローラー50(
図5参照)により作動制御される。コントローラー50は、例えば、CPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータにより構成される。
【0047】
コントローラー50は、モーターの作動制御を行うモーター制御部51と、クラッチ60a〜60dの作動制御を行うクラッチ制御部52とを含んでいる。コントローラー50には、受付部53、電源スイッチ54、用紙検出センサー55などが接続されている。コントローラー50はこれら受付部53及び用紙検出センサー55からの信号に基づいて、各クラッチ60a〜60d及びモーター59の作動制御を行う。
【0048】
受付部53は、操作パネルや端末装置からユーザの要求を受け付ける。受付部53は、ユーザからの印刷開始要求を受け付けたときには、その要求があったことを示す要求信号を、印刷画像情報や印刷枚数情報と共にコントローラー50へと出力する。
【0049】
電源スイッチ54は、画像形成装置1の電源をオン又はオフするためのスイッチである。電源スイッチ54は、ユーザによりオン/オフ操作可能に構成されていて、オン操作又はオフ操作に対応する信号をコントローラー50へと出力する。
【0050】
用紙検出センサー55は、各ローラー対30〜36の上流側近傍にそれぞれ設けられた反射型フォトカプラセンサー(
図1では図示省略)からなる。用紙検出センサー55は、用紙を検出すると検出信号をコントローラー50へと出力する。
【0051】
モーター制御部51は、モーター59に電気的に接続されている。モーター制御部51は、モーター59に対して必要に応じて作動信号又は停止信号を出力する。モーター制御部51は、電源スイッチ54からの信号を基に、該スイッチ54がオン操作されたと判定した場合には、モーター59に対して作動信号を出力することで、モーター59を予め設定した設定速度で回転させる一方、該スイッチ54がオフ操作されたと判定した場合には、モーター59に対して停止信号を出力することで、モーター59の停止処理を開始する。
【0052】
クラッチ制御部52は、各クラッチ60a〜60dの励磁コイル75に通電可能に接続されている。そして、クラッチ制御部52は、各クラッチ60a〜60dの励磁コイル75の通電/非通電を制御することにより、各クラッチ60a〜60dを連結状態と遮断状態とに選択的に切り替える。
【0053】
クラッチ制御部52は、電源スイッチ54からの信号を基に、該スイッチ54がオン操作されたと判定した場合において、画像の印刷開始要求があったときには、クラッチ60a〜60dの通常作動制御を開始する。この通常作動制御では、先ず、用紙検出センサー55からの信号を基に、用紙Pの搬送経路20,21上の位置を算出し、次いで、算出した用紙の搬送位置に基づいて、複数のローラー対30〜36のうち駆動するべきローラー対を決定し、決定したローラー対に対応するクラッチ60a〜60dを連結状態に制御する一方、その他のクラッチ60a〜60dを遮断状態に制御する。
【0054】
クラッチ制御部52は、電源スイッチ54からの信号を基に、画像形成装置1の電源がオン状態にあると判定した場合において、画像の印刷処理が終了した後は、全てのクラッチ60a〜60dを遮断状態にするべく、全てのクラッチ60a〜60dの励磁コイル75を非通電にする。
【0055】
クラッチ制御部52は、電源スイッチ54からの信号を基に、該スイッチ54がオンからオフに切り替わったと判定した場合には、モーター制御部51がモーター59に停止信号を出力した後に、各クラッチ60a〜60dの遮断制御を開始する。
【0056】
この遮断制御では、先ず、中間ローラークラッチ60bのみを遮断状態として、他のクラッチ(レジストローラークラッチ60a、給紙ローラークラッチ60c及び両面印刷ローラークラッチ60d)を連結状態とし、該制御開始時点から所定時間が経過した後に、全てのクラッチ60a〜60dを遮断状態にするよう、各クラッチ60a〜60dの励磁コイル75の通電/非通電を制御する。
【0057】
次に、コントローラー50におけるモーター制御及びクラッチ制御の詳細を、
図6のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0058】
ステップS1では、モーター制御部51及びクラッチ制御部52において、電源スイッチ54からの信号を基に、電源スイッチ54がオン操作されたか否かを判定する。そして、この判定がNOである場合には本ステップS1の処理を再度実行する一方、YESである場合にはステップS2に進む。
【0059】
ステップS2では、モーター制御部51よりモーター59に対して作動信号を出力する。
【0060】
ステップS3では、モーター制御部51及びクラッチ制御部52において、受付部53からの情報を基に印刷開始要求が有ったか否かを判定する。そして、この判定がNOである場合には本ステップS3の処理を再度実行する一方、YESである場合にはステップS4に進む。
【0061】
ステップS4では、クラッチ制御部52において、用紙検出センサー55からの情報を基に、各クラッチ60a〜60dの通常作動制御を開始する。
【0062】
ステップS5では、モーター制御部51及びクラッチ制御部52において、受付部53からの印刷画像情報及び印刷枚数情報を基に、印刷処理が終了したか否かを判定する。そして、この判定がNOである場合には本ステップS5の判定を再度行う一方、YESである場合にはステップS6に進む。
【0063】
ステップS6では、クラッチ制御部52により各クラッチ60a〜60dの励磁コイル75の通電をオフにする。
【0064】
ステップS7では、モーター制御部51及びクラッチ制御部52において、電源スイッチ54からの信号を基に、電源スイッチ54がオン操作されたか否かを判定する。そして、この判定がNOである場合にはステップS3に戻る一方、YESである場合にはステップS8に進む。
【0065】
ステップS8では、モーター制御部51よりモーター59に対して停止信号を出力する。
【0066】
ステップS9では、クラッチ制御部52によって、中間ローラークラッチ60b(一部のクラッチ)の励磁コイル75を非通電にする一方、給紙ローラークラッチ60c、レジストローラークラッチ60a、両面印刷ローラークラッチ60d(他のクラッチ)の励磁コイル75を通電させる。
【0067】
ステップS10では、ステップS8の処理を実行してから所定時間が経過したか否かを判定し、この判定がNOである場合には、本ステップ10の処理を再度実行する一方、YESである場合にはステップS11に進む。この所定時間は、モーター59が停止するのに必要な停止時間よりも長いことが好ましい。
【0068】
ステップS11では、クラッチ制御部52により全てのクラッチ60a〜60dの励磁コイル75を非通電にし、しかる後にエンドに進む。
【0069】
以上の如く上記実施形態では、上記クラッチ制御部52は、モーター制御部51がモーター59に停止信号を出力して(ステップS8の処理を実行して)、モーターを運転状態から停止させる際には、4つの電磁クラッチ60a〜60dのうち中間ローラークラッチ60bのみを遮断状態とし、且つ、他の電磁クラッチ60a,60c,60dを連結状態とするべく、各電磁クラッチ60a〜60dの励磁コイル75の通電/非通電を制御する(ステップ9の処理を実行する)。
【0070】
これによれば、モーター制御部51がモーター59を停止させる際に、全ての電磁クラッチを同時に遮断状態にする場合に比べて、上記他の電磁クラッチ60a,60c,60dを連結状態とした分だけ、モーター59の出力軸61に作用する負荷トルクを増加させて、モーター59の停止加速度Aを増加させることができる(
図7参照)。ここで、停止加速度Aは、回転速度Nのモーター59を停止させるまでの停止時間をΔTとした場合、A=N/ΔTとして求まる値である。
【0071】
そうして、モーター59の停止に際して、モーター59の停止加速度Aを増加させることで、中間ローラークラッチ60bのアーマチュア72に作用する慣性力を増加させることができる。よって、この慣性力により、中間ローラークラッチ60bのアーマチュア72とローター73との固着を解消して両者が離間不能になるのを防止することができる。延いては、中間ローラー対31が意図せず作動して、用紙Pのジャムが発生したり駆動ユニット40が破損したりするのを防止することができる。
【0072】
また、上記中間ローラークラッチ60bは、4つの電磁クラッチ60a〜60dのうち、上記連結状態において被駆動体90から出力軸74を介してローター73とアーマチュア72との連結部に作用する負荷トルクが最も小さい電磁クラッチである。したがって、4つの電磁クラッチ60a〜60dのうち中間ローラークラッチ60bが最も固着を生じ易いクラッチであると言える。上記実施形態では、この最も固着が生じ易い中間ローラークラッチ60bの固着を確実に解消することができる。
【0073】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、駆動装置100を画像形成装置1に適用した例を示したが、これに限ったものではなく、例えば、パチンコ遊技機の駆動系に適用してもよい
。
【0074】
また、駆動ユニット40に収容されるクラッチ60a〜60dの数も4つに限ったものではなく、例えば、2つ又は3つでもよいし、5つ以上であってもよいことは言うまでもない。
【0075】
上記実施形態では、4つのクラッチ60a〜60dとモーター59とを一つのケース58に収容してユニット化しているが、必ずしもユニット化する必要はない。
【0076】
上記実施形態では、各クラッチ60a〜60dは、励磁コイル75の通電により連結状態になる一方、励磁コイル75が非通電になると遮断状態になるように構成されているが、これに限ったものではなく、その逆であってもよい。すなわち、各クラッチ60a〜60dは、励磁コイル75の通電により遮断状態になる一方、励磁コイル75が非通電になると連結状態になるように構成されていてもよい。