(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工具を前記アンカー固定要素に対して動かすステップは、前記工具を前記アンカー固定要素に対して遠位方向に向かって前方に動かすステップを含む、請求項2または3に記載の方法。
前記工具を前記第1のアンカー固定要素部に押付けることによって、前記第1のアンカー固定要素部が前記第2のアンカー固定要素部に押付けられる、請求項14に記載の方法。
前記物体の前記穴は貫通穴であり、前記第1および第2のアンカー固定要素部を前記穴に対して位置決めするステップは、前記第1および第2のアンカー固定要素部を前記穴の中にあるように位置決めするステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
前記第1のアンカー固定要素部の機械的振動によって液化可能な材料、および前記第2のアンカー固定要素部の機械的振動によって液化可能な材料は、熱可塑性材料である、請求項6または7に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、アンカー固定要素(この用語は本明細書中では、物体内に直接的にアンカー固定されるべき接続要素またはいずれかの他の片を指すのに用いられる)をアンカー固定する方法、および従来アンカー固定が不可能または極端に困難であった状況下で物体材料内にアンカー固定されるのに好適な対応するアンカー固定要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面は、機械的振動を利用して建設材料製の物体の開口内にアンカー固定されるのに好適なアンカー固定要素を提供する。アンカー固定要素は、周囲のアンカー固定要素表面と圧縮軸との間の距離の局部的な拡大(圧縮軸に対して直角に測定される)の効果で、選ばれた圧縮軸の方向に圧縮可能である。アンカー固定要素は、圧縮力および機械的振動をアンカー固定要素内に結合するための結合入力面(coupling-in face)と、上記の距離拡大の領域におけるアンカー固定要素表面の少なくとも一部を形成する熱可塑性材料とを備える。物体内にそのようなアンカー固定要素をアンカー固定する方法は、以下のステップを備える:
・物体に開口を設ける;
・圧縮軸が開口軸と本質的に平行して延在するように、開口内にアンカー固定要素を位
置決めする;
・位置決めされたアンカー固定要素内に、結合入力面を介して圧縮力および機械的振動を結合し、それによってアンカー固定要素を圧縮し、距離拡大によって開口の側壁に少なくとも局部的に押付け、それとともに熱可塑性材料を側壁と接触している所で少なくとも部分的に液化し、物体の構造に押込んで、再凝固後に形状嵌合接続を形成する。
【0006】
本発明のさらなる主題は、この方法によってアンカー固定されるべきアンカー固定要素である。
【0007】
本明細書では、「アンカー固定要素」という用語は、建設材料製の物体内にアンカー固定されるように構成されるいずれかの要素を指すのに用いられる。この用語は主に接続要素、すなわち当該物体をさらなる物体に接続するように働く要素を指すのに用いられる。そのような接続要素は、従来のねじ、合わせ釘、釘、鉤などに類似した態様で用いられ得るが、「アンカー固定要素」という用語はまた、そのように物体内にアンカー固定され、さらなる付属物を必要としない要素を指すのにも用いられる。
【0008】
内部にアンカー固定要素がアンカー固定されるべき物体−これも本発明のすべての局面に当てはまる−は、少なくとも部分的に、剛性で多孔質であり、構造化された表面(すなわち、平坦でない当て板、多孔質の開口、もしくはたとえば機械的に作られた同様の構造を有する表面)を備え、および/または液化材料が圧力下で浸透可能な材料からなる。好ましくは、物体は少なくとも部分的に、木材または同様の材料、たとえば木材の切り屑や削り屑からなる材料もしくはこれを含有する複合物から構成される。しかし、材料はまた、厚紙(もしくは板紙)、コンクリート、金属化発泡体、硬質可塑性発泡体、レンガ、石、または建設に好適であって上述の規定と一致するいずれかの他の材料であってもよい。
【0009】
本明細書では、「熱可塑性材料」は、硬表面との接触中に機械的振動によって液化可能な少なくとも1つの熱可塑性構成要素を備える材料を指すのに用いられる。熱可塑性材料はアンカー固定要素の少なくとも一部を構成し、アンカー固定要素全体を形成し得る。熱可塑性物質に加えて、熱可塑性材料はまた、強化用繊維、強化用副木、充填材料などの非熱可塑性構成要素も備え得る。非熱可塑性構成要素は、熱可塑性材料中に均一に分布され得るか、または異なる濃度で存在し得る。アンカー固定要素はさらに、熱可塑性材料のない区域を備え得る。そのような区域は金属、ガラス、セラミック材料製であり得るか、または、非熱可塑性材料もしくは基本的な熱可塑性材料と比較して大幅にさらに高い温度で液化可能な熱可塑性材料製であり得る。
【0010】
機械的振動の機械的周波数−これも本明細書中で説明される本発明のすべての局面に当てはまる−は、しばしば2kHzから200kHzであり、それらの振幅は約10μm、すなわち1μmから100μmである。熱可塑性材料が耐荷力機能を引受けることになっており、上述の接触区域でのみ液化することになっている場合、その弾性係数は0.5GPaより高くあるべきであり、可塑化温度は最大200℃、200℃から300℃、または300℃より高くあるべきである。
【0011】
内部にアンカー固定要素が配置されてその後アンカー固定するための物体の開口−貫通孔であるか止まり孔であるかにかかわらず−は、以下で「ボア」と称される。もちろん、本発明に係るアンカー固定は、その目的のために特定的にあけられた開口ではなく、たとえば物体の自然状態において含まれる開口または何らかの他の理由で作られた開口内で起こってもよい。また、「ボア」という用語の使用も、特定の技術によって作られた開口に限定されず、たとえば打抜き、レーザ切削、または粒子放射線を利用した切削などによって作られた開口、および物体の自然状態において含まれる開口にも及ぶ。
【0012】
本発明の第1の局面に係るほとんどの実施例では、必ずしもそうとは限らないが、圧縮により、圧縮軸に対して直角に外側断面の局部的な拡大が生じる。「外側断面」という用語は、圧縮軸に対して直角に切られた要素の外郭によって囲まれる断面積を指し、すなわち、アンカー固定要素の内部にあり得る空隙の存在は、外側断面の計算時には無視される。多くの場合−必ずしもそうとは限らないが−、外側断面の拡大は、アンカー固定要素本体の凸状のおおい(凸状の外皮)によって囲まれる断面積の拡大を意味する。
【0013】
結合入力面は、有利には少なくとも部分的に平面であり、圧縮軸に対してある角度をなして延在する。この文脈における「圧縮軸に対してある角度をなして」は、「圧縮軸に平行でない」を意味する。圧縮軸に対して垂直の、すなわち直角の結合入力面は特に有利である。圧縮軸と結合入力面との角度は少なくとも45°であり、さらに良くは、少なくとも60°が一般に好まれる。
【0014】
選択される圧縮軸は一般にアンカー固定要素の特定的な軸であり、すなわちアンカー固定要素は、この圧縮軸に沿った圧縮が明確に規定され、制御され、周囲表面と圧縮軸との間の距離の所望の局部的な拡大、すなわち断面積の所望の拡大をもたらすように構成される。特に、所与の(小さい)圧縮力での圧縮軸に沿った圧縮効果は、他の軸に沿ったものより大幅に大きいことがあり得る。さらに、または代替肢として、選ばれた圧縮軸に対してたとえば垂直な軸などの他の軸に沿った圧縮は、たとえば選ばれた軸に対して垂直な断面積の拡大をもたらすことができず、制御された態様で実行できず、および/または過大なエネルギを用いなければ実行できない。いくつかの実施例では、圧縮軸は対称性によって特徴付けられ得、たとえばアンカー固定要素は圧縮軸に関してほぼ回転対称であり得る。
【0015】
「液化した」という用語は、アンカー固定要素の特徴的な寸法より少なくとも1桁分小さい寸法の気孔に加圧下で浸透可能である程度に可塑性である、熱可塑性材料の状態を指す。この意味で、「液化した」は、たとえば最大104mPa・sの比較的高い粘度を有
する際の熱可塑性材料にも当てはまる。
【0016】
第1の局面に係る本発明は、最新技術と比較して新たな道を歩むものである。最新技術は、物体に開口を設け、次に、開口内に−たとえば略ピン形状の−アンカー固定要素を位置決めしてそれに超音波振動を加えることによって開口内にアンカー固定する方法に精通している。この処理の間、アンカー固定要素の熱可塑性材料はアンカー固定要素の周辺表面で液化し得、当てはまる場合には、ボア壁に沿って気孔に浸透し得る。しかし、気孔へのこの「加圧されない」浸透のアンカー固定効果はしばしば、かなり控えめであることがわかっている。最新技術によると、ボアを円錐形状にすることによって横方向の圧力を達成することが可能であるが、これは労力を要する。これに対して、本発明によると、横方向の圧力は、圧縮、およびそれに伴う圧縮軸とアンカー固定要素の周囲表面との間の距離の拡大によって増大する。これによって一方では、周辺のアンカー固定要素表面に発生した摩擦力が増大し、機械的振動によってアンカー固定要素内に結合されたエネルギが正にその領域で、すなわち周辺表面に沿って横方向に、熱可塑性材料の液化を引起す。他方では、横方向の圧力はまた、液化材料をボアの横方向に存在する気孔または他の構造(表面構造、空隙など)に追込み、したがって特に頑丈なアンカー固定をもたらす。
【0017】
したがって、本発明に係るアンカー固定要素では、ボアの横方向の表面に対して圧力を及ぼすことが可能となる。これにより、−たとえば物体が非常に脆性がある、および/もしくは非常に薄いために−ボアの底に圧力を全く加えることができない状況、またはボアが貫通しているために底がない状況でも、アンカー固定要素をアンカー固定することができる。そのような場合、圧縮力を吸収するための付加的な手段を設ける必要がある。そのような手段は以下に詳細に説明される。
【0018】
アンカー固定要素はさまざまな方法で設計され得、アンカー固定要素の圧縮は対応するさまざまな方法で行われる:
・アンカー固定要素は少なくとも2つの別個の構成要素からなり、構成要素はその形状により、圧縮力の効果で互いに対して移動する。移動は、圧縮軸に対して平行でも垂直でもないが圧縮軸に対して傾斜して延在する表面に沿って起こる。アンカー固定要素は、たとえば円錐および/もしくはくさびのシステムとして、または必ずしも熱可塑性材料を備える必要はなく、たとえば熱可塑性材料を備えるアンカー固定要素構成要素の前にボアに入れられるスプレッダ要素を有するシステムとして、設計され得る。断面積の拡大は、アンカー固定要素構成要素の互いに対する移動によって(たとえばくさびシステム)、またはアンカー固定要素構成要素を互いに対して移動させ、同時にそれらを広げることによって(たとえば円錐システム)のいずれか一方で生じる。
【0019】
・アンカー固定要素は、予め定められた破断点または予め定められた液化点を介して連結された少なくとも2つの構成要素からなり、構成要素は、圧縮力および場合によってはさらに機械的振動が加えられると分離する。断面積の必要な拡大は、上記の例で説明されたようにアンカー固定要素構成要素を互いに対して移動させることによって生じる。
【0020】
・圧縮力を妨げる力を及ぼすための別個の要素がボア内に設けられ、この要素は、圧縮軸に対して傾斜した表面区分を備える。圧縮軸とアンカー固定要素の周囲表面との間の距離の必要な局部的な拡大は、アンカー固定要素またはその構成要素を上述の表面に沿って移動させることによって生じ、移動した構成要素は広げられてもよいし広げられなくてもよい。
【0021】
・アンカー固定要素は一片からなり、圧縮力によって拡張可能な区分を備える。アンカー固定要素は、たとえば中空の円錐台、中空のくさび、帽子または管の形状であり、有利には拡張を容易にするためのスロットを備える。圧縮力に対する反力は、圧縮軸に対して垂直な表面によって、または圧縮軸に対して傾斜した表面によって及ぼされ得る。後者の場合、上記3つの実施例のうちの1つとの組合せとなる。
【0022】
・アンカー固定要素は、機械的に脆弱な点(たとえば孔、スロット、壁の厚みが減少した区域など)として、またはヒンジとして設計される少なくとも1つの座屈場所を備える。この局部的な脆弱な区域はアンカー固定工程時に軟化し、脆弱な区域同士の間のアンカー固定要素部分が圧縮力の影響下で互いに向かって傾く。
【0023】
換言すれば、圧縮力は、アンカー固定要素もしくはアンカー固定要素構成要素の移動のみ(たとえばくさびシステム)、または変形と組み合わされた移動(たとえば広げられ得る構成要素を有する複数部分からなるアンカー固定要素)、または変形のみ(たとえば座屈もしくは拡張可能な一片のアンカー固定要素)をもたらし得る。ここにおいて、移動および/または変形は、適切な形状の工具および/または別個の補助要素によって支持され得る。複数部分からなるアンカー固定要素の場合、それに沿って構成要素が互いに対して移動する構成要素表面を、当該表面がアンカー固定時にともに溶接されるように設計すると有利である。変形すべきアンカー固定要素またはアンカー固定要素構成要素の場合、変形によって生じる張力がアンカー固定状況下で分解されると有利である。
【0024】
いずれの実施例においても、アンカー固定要素またはアンカー固定要素構成要素の少なくとも1つは、弾性的に柔軟な、たとえば金属製のコアを備え得、そのようなコアは、メタルシートとして形成され得、圧縮時に径方向に外側に動くことによって物体に食込んで付加的なアンカー固定を提供する端縁を備え得る。
【0025】
「圧縮軸に対して傾斜した」は、圧縮軸に対して90°より小さく0°より大きいある角度をなしていることを意味する。有利には、傾斜表面は、アンカー固定前のアンカー固定要素軸とともに20°から70°の角度を形成する。
【0026】
好ましくは、アンカー固定要素はアンカー固定されると張力がなくなり、すなわち、変形を妨げる力が全くない。これは、熱可塑性材料が柔らかい間に変形が起こり、変形すると再凝固することによって達成される。
【0027】
物理的な理由により、すべての作用力に反力がある。物体のボアが止まり孔である場合、反力は、ボアの底の物体の材料によって及ぼされ得る。しかし、第1の局面に係る(ならびに以下に説明される第2および第3の局面に係る)本発明は、物体が圧縮力を吸収する(もしくは同意語として、反力を及ぼす)ことが不可能である、または望ましくない状況に特に適している。多くの関連する有利な実施例では、工具と対向要素(保持要素)との間に圧縮力がかけられる。対向要素は、対向要素が物体に力を伝達するのではなく、力はたとえばアンカー固定工程を行う装置もしくは人物によって、助手によって、または好適な保持器もしくは他の装置もしくはばね要素などによって及ぼされるような位置に配置および保持される。
【0028】
アンカー固定要素の好ましい実施例は、完全に熱可塑性材料からなる。しかしアンカー固定要素は液化不可能なコアも備え得、たとえばこのコアがいくつかの入れ子式のさやを備える場合、依然として圧縮可能であり得る。
【0029】
本発明の第2の局面は、近位側および遠位側を備える工具を利用して物体内にアンカー固定要素をアンカー固定する方法を提供し、遠位工具側は結合出力面(coupling-out face)を備える。アンカー固定要素は、これを通じて機械的振動がアンカー固定要素内に結
合される結合入力面と、アンカー固定要素表面の少なくとも一部を形成する、機械的エネルギによって液化可能な材料とを備える。工具の結合出力面は、アンカー固定要素の結合入力面に適合されており、力および機械的振動を工具からアンカー固定要素へ伝達することを可能にする。この方法は以下のステップを備える:
・物体にボアを設ける;
・アンカー固定要素の熱可塑性区域が物体の表面と接触するように、物体にアンカー固定要素を位置決めする;
・位置決めされたアンカー固定要素内に、結合入力面を介して力および機械的振動を結合し、それによって液化可能材料の少なくとも一部をボアの壁と接触している所で液化し、物体に押込んで、再凝固後に壁との形状嵌合接続を形成し、力および機械的振動は工具を利用してアンカー固定要素内に結合され、近位工具側は機械的振動が工具内に結合されるように設計され、遠位工具側は、それを通して機械的振動がアンカー固定要素内に結合される結合出力面を備え、工具内に結合される力は引張力(遠位工具側から近位工具側に向かう方向における力)であるか、または反力を及ぼすのに好適な対向要素(保持要素)が設けられ、この反力によって対向要素が引張力下に置かれるかのいずれかである。
【0030】
本発明の第2の局面は、方法を適用するための装置も提供する。この装置は、機械的振動を利用して物体内にアンカー固定されるのに好適なアンカー固定要素と、工具(たとえばソノトロード:sonotrode)とを備える。アンカー固定要素は、それを通して機械的振
動がアンカー固定要素内に結合される結合入力面と、アンカー固定要素表面の少なくとも一部を形成する、機械的エネルギによって液化可能な材料とを備える。アンカー固定要素の結合入力面は、工具の結合出力面に適合されている。工具とアンカー固定要素との間の結合は、引張力に耐えるように設計される。アンカー固定要素は機械的振動および引く力(工具内に引張力を生じさせる)を利用してボア内にアンカー固定され、それによって熱可塑性材料が、物体と接触している所で少なくとも部分的に液化して物体に押込まれて、
再凝固した際に物体との形状嵌合接続を形成する。
【0031】
最新技術では力をアンカー固定要素内に結合するために圧縮力(近位工具側から遠位工具側に向かう方向における)が工具に及ぼされるのに対して、本発明の第2の局面では力をアンカー固定要素内に結合するために引張力が工具に及ぼされる。この非常に単純な対策によって多くの新たな可能性がもたらされ、それらのいくつかが下に概説される;
・接近するのが困難な場所におけるアンカー固定:本発明の第2の局面では、ある状況下で、接近不可能な側からのアンカー固定が実行可能となる。
【0032】
・物体の材料に応力を加えない工程に好都合である:アンカー固定要素に引く力を加え、単純な対向要素−たとえば単純な多孔板−を用いてそれを妨げることによって、物体に作用する実質的にすべての力を除去することができる。
【0033】
・新たに開発されたアンカー固定要素および工具(ソノトロード)の使用の可能性。
たとえば、工具の結合出力面は「後向きに」、すなわち近位工具側に面している。これは、たとえば結合出力面の法線が引張力の方向とほぼ平行して延在している場合である。
【0034】
代替的に、アンカー固定要素は物体のボアを通って引張られ、すなわち、引く力がアンカー固定要素に加えられ、アンカー固定要素をボア内部である程度動かす。
【0035】
特に有利であるのは、本発明の第1の局面と第2の局面との組合せ、すなわち、第1の局面に係る圧縮可能なアンカー固定要素を、作用時に引張力が工具に作用するように設計される第2の局面に係る装置内で用いることである。
【0036】
本発明の第3の局面によると、アンカー固定要素は工具によって拡張され、すなわち、工具をアンカー固定要素内で軸方向に動かし、それによってアンカー固定要素を横方向に局部的に拡張し、それによってアンカー固定要素の横方向の壁を建設材料物体のボアの壁に押付けることによって拡張される。
【0037】
本発明の第3の局面はしたがって、工具を用いて機械的振動を利用して、建設材料製の物体内にアンカー固定要素をアンカー固定する方法を提供する。アンカー固定要素は、軸と、アンカー固定要素の表面の少なくとも一部を形成する、機械的振動によって液化可能な材料とを備え、この方法は以下のステップを備える;
・物体にボアを設ける;
・ボア内にアンカー固定要素を位置決めする;
・近位部および遠端部を有する工具を設ける;
・工具をアンカー固定要素と接触させて位置決めする;
・機械的振動を工具内に結合し、同時に工具を軸方向にアンカー固定要素に対して動かし、工具の一部はアンカー固定要素の内部を動き、それによってアンカー固定要素を拡張し、アンカー固定要素をボアの横方向の壁に少なくとも局部的に押付け、拡張および工具からアンカー固定要素内に結合された機械的振動の影響によって、熱可塑性材料をボアの壁と接触している所で少なくとも部分的液化して液化熱可塑性材料をもたらし、液化材料を建設材料に押込んで、再凝固後に壁との確実な嵌合接続を形成する。これは、本発明の第3の局面は、工具を利用して、熱可塑性材料がアンカー固定要素の周囲領域および有利には軸方向に延在する凹部区域においても液化または可塑化し、径方向に外側に圧迫されるという事実に基づくことを意味する。第1の局面に係る工程と同様に、この工程によっても、物体のボアの横方向の壁における物体構造の染込みによってアンカー固定が達成される。本発明の第1の局面の関連する利点および設計自由度は、本発明の第3の局面にも当てはまる。
【0038】
本発明の第3の局面の好ましい実施例によると、アンカー固定要素は完全に熱可塑性材料からなる。
【0039】
特に有利であるのは、本発明の第2の局面と第3の局面との組合せ、すなわち、力が引張力として工具内に結合される、第3の局面の教示内容に係る工程である。
【0040】
本発明の第3の局面のさらなる実施例によると、アンカー固定要素は工具によって拡張され、したがってボアの横方向の壁に押付けられ、液化材料によってではなく、たとえばかかり(barb)のように作用する表面構造などの他の手段によってこれらの横方向の壁にアンカー固定される。
【0041】
本発明の3つの局面のうちのいずれかの1つの実施例では、工具は、アンカー固定後に取出され得るか、または所定の位置に残り、たとえばアンカー固定時に少なくとも部分的に液化した再凝固材料によってアンカー固定要素に取付けられ得る。後者の場合、工具はアンカー固定後にアンカー固定要素の機能部分として働き得る。工具は、たとえば耐荷力の態様で用いられ得、確実な嵌合接続を形成するための構造(ねじ切り、差込ピン固定具、アイレット、もしくは他の要素が接着、もしくは溶接、もしくははんだ接続され得る構造など)などの、自身にさらなる要素を取付けるための手段、またはそのさらなる要素を物体に圧迫するファスナヘッドもしくは他の隆起を備え得る。
【0042】
工具が所定の位置に残ってアンカー固定要素に取付けられる実施例では、工具(アンカー固定時のソノトロードである)は「ねじ」、「釘」、締結ピン、締結ボルトなどのファスナの機能を有し得るのに対して、アンカー固定要素自体をファスナの一種の「合わせ釘」として見ることができる。さらなる局面に係る本発明はしたがって、建設材料製の物体にファスナを締結する原理を一般に開示しており、この方法は以下のステップを備える:
・熱可塑性材料を備えるアンカー固定要素を物体と接触させる;
・ファスナをアンカー固定要素と接触させる;
・機械的振動をファスナ内に結合し、機械的振動をファスナからアンカー固定要素内に伝え、同時に並進力をファスナ内に結合し、この並進力をアンカー固定要素に対して作用させる;
・機械的振動と力との共同作用により、熱可塑性材料の少なくとも一部が建設材料製の物体と接触して、およびそのボア(ボアは予め作られるか、または機械的振動と力との共同作用によって作られる)内で融解する;
・機械的振動の結合時、アンカー固定要素にファスナを固定する。
【0043】
アンカー固定要素へのファスナの固定は機械的振動と力との共同作用の効果によって、たとえばアンカー固定要素をファスナに溶接することによって、および/またはファスナのかえし状の構造などの他の確実な嵌合接続手段によってなされ得る。ファスナは少なくとも部分的に、金属または硬質プラスチックなどの機械的振動によって液化不可能な材料からなる。
【0044】
このさらなる局面の原理は、好ましくは本発明の上記3つの局面のうちのいずれか1つと組合される。このさらなる原理を3つの局面と組合せることは特に好まれる。なぜなら、3つの局面はすべて、アンカー固定時に工具を(単にアンカー固定要素の近位面に当てる代わりに)アンカー固定要素内に、またはアンカー固定要素を通って延ばす方法を示しているからである。また、本発明の3つの局面(およびそれらの組合せ)は、上述のように、石膏ボート、厚紙のボードなどの特に脆性のある、または脆弱な建設材料物体にアンカー固定要素を取付ける方法を示し、それらは、アンカー固定要素全体が建設材料物体の表面の「下に」(遠位に)残る実施例に特に適している。そのような実施例では、工具/ファスナは、アンカー固定後に任意で上記表面より上に突出し得る。
【0045】
3つの局面のうちのいずれか1つの好ましい実施例は、ばね要素または他の好適な機構によって、アンカー固定時にアンカー固定要素に作用する力を自動的に加える付加的な特徴を備え得る。たとえば、ばね要素は、アンカー固定要素と対向要素(保持要素)との間に明確に規定されたばね力を及ぼすように配置され得る。これは、アンカー固定を成功させるために必要な力を予め定めることができるという利点を有し、アンカー固定処理の成功は、本発明を適用する専門家の能力のみに依存せず、専門家は力を用いる必要がない−多くのアンカー固定要素が配置される場合、本方法はより楽になる。作用力を生じさせるばね要素を用いた変形例は、本発明の第2の局面と組合せると特に有利である。なぜなら、ばねを、建設材料物体表面(または物体表面と接触して配置された対向要素)と、工具の近位部または工具の近端に接続された物体との間に配置することができるため、工具がばね力によって近位側に向かって引張られ、力およびアンカー固定前後の工具の位置の両方が予め規定され得るからである。
【0046】
作用力を自動的に加えることを特徴とする実施例、および力を手動で加える他の実施例では、アンカー固定時に工具の動程を規定する止めが任意であり得る。
【0047】
本発明の主題はまた、本発明の3つの局面のうちの1つに係る方法を実行するための物のセットである。そのようなセットは、少なくとも1つの工具(たとえばソノトロード)、および1つまたは有利には複数のアンカー固定要素を備える。さらにこのセットは、機械的振動を発生させるための装置、アンカー固定上の指示、対向要素、上述のような傾斜表面区域を有する別個の要素、および/またはさらなる物を備え得る。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、同一の参照番号は同一または同等の要素を指す以下の図面に関連して本発明の実施例が説明される。
【0050】
図1aに係るアンカー固定要素1は、物体に取付具を取付けるための結合スリーブとして好適な、本発明の第1の局面に係るアンカー固定要素の第1の例である。アンカー固定要素は本質的に管状であり、熱可塑性材料からなり、近端面1.1および遠端面1.2を備える。アンカー固定要素はさらに、アンカー固定要素の軸11とほぼ平行に延在する少なくとも1つのスロット12を備え、有利には、ほぼ等距離を隔てて配置された2つ、3つまたは3つより多いスロットがある。スロット12により、アンカー固定要素は、自身の軸(
図1aによると、管状のアンカー固定要素の軸11はその圧縮軸でもある)と平行して作用する圧縮力4によって圧縮可能である。アンカー固定要素は、
図1bでは圧縮状態で示されている。
【0051】
所望の圧縮を達成するためにはアンカー固定要素に対して2つの対側から力が作用する必要がある(「力および反力」)ことが明らかであり、反力はしばしば止め面によって及ぼされる。
図1aおよび
図1bに係る実施例では、近端面1.1および遠端面1.2に対して圧縮力が及ぼされる。しかし以下の説明では、工具が作用中の所の力しか図示されない。熟練者にとっては、所望の効果を達成するためには反力が存在しているはずであることは明らかである。
【0052】
本発明によると、アンカー固定要素は、その圧縮によってアンカー固定要素の周囲表面と圧縮軸11との間の距離の局部的な拡大、ここでは圧縮軸11に対して垂直な外部断面
の局部的な拡大が生じるように設計される。拡大は、近端面1.1と遠端面1.2との間のどこでも起こり得る。
図1aおよび
図1bに係る例では、拡大は、アンカー固定要素の対称性により、端面同士の中間で最も大きい。
図1aおよび
図1bでは、外側断面の直径−これはアンカー固定要素の空隙も組込む−は、最大断面点において、非圧縮状態ではcによって、圧縮状態ではc′によって示される。圧縮によってスロット12はより広幅になる。
【0053】
アンカー固定のため、アンカー固定要素1は物体21のボア21.1内に配置される。
図2aに示されるように、このボアは止まりボアであり得る。代替的に、ボアはトンネル形状であり、すなわち物体を貫通して延びる(さらに詳しくはさらに以下を参照)。特に、ボアは、容易に製造できる円柱形状であり得る。ボアの直径は、
図2aに示されるように、当初の外側断面の外側断面の直径cと少なくとも等しく、それより若干大きくてもよい。
【0054】
ボア21.1内にアンカー固定要素が位置決めされると、その圧縮軸11に沿って力4が及ぼされ、力4が有効である間に機械的振動5がアンカー固定要素内に結合される。これは、アンカー固定要素の結合入力面と協働する結合出力面3.1を備える工具3を利用して達成される。図示される例では、結合入力面は近端面1.1に対応し、これと同一である。結合出力面3.1は、示されるようにアンカー固定要素1の結合入力面および内部空隙を完全に覆ってもよいが、リング形状であって近端面1.1に正確に適合されてもよい。工具3は、その近位側3.2において振動装置(図示せず)に効果的に接続される。そのような装置は、たとえばWO02/069817において一般的に公知であり、記載されている。
【0055】
図2bは、圧縮力および振動を加えた後のアンカー固定要素1を示す。圧縮力4により、アンカー固定要素の断面は
図1bに示されるように拡大する。アンカー固定要素が断面拡大区域においてボアの横方向の壁と係合するとすぐ、圧縮力4は横方向の壁に対する圧力を生じさせる。そこで、振動によって摩擦が生じ、熱可塑性材料は局部的に液化して物体の材料の気孔または他の空隙に押込まれる。この効果は
図2bの横矢印によって示される。もちろん、アンカー固定要素の遠端面の区域でも同一のことが起こる。
【0056】
予め定められた圧縮が達成されると、振動はオフに切換えられ、および/または工具3は取出される。液化熱可塑性材料は再凝固し、横方向の壁の構造との形状嵌合接続によってアンカー固定要素1のアンカー固定を作り出す。
【0057】
液化し、液化状態で空隙(気孔、アンカー固定要素のために物体に設けられるボアと比較して寸法が小さい他の空隙)に浸透する熱可塑性材料を利用してアンカー固定要素をアンカー固定する、
図2bに示される方法は、本発明のすべての実施例に共通である。各々の以下の図面では、この効果は、熱可塑性材料が空隙に浸透する方向を示す矢印によって示される。
【0058】
必ずしもそうとは限らないが好ましくは、本発明の第1の局面に係るすべての実施例と同様に、アンカー固定要素の熱可塑性材料は、アンカー固定工程後に張力がないような程度まで、すなわちアンカー固定要素の変形を妨げる力が全く残らないような程度まで、アンカー固定工程時に加熱される。この場合、アンカー固定要素は再凝固の前にも後にも緩和しないため、圧縮力および機械的振動を同時に止めることができる。
【0059】
図3aに係るアンカー固定要素1は複数の構成要素を備える。示される例は3つの構成要素1.11、1.12、1.13からなり、これらは、圧縮軸11にも対応するアンカー固定要素の軸の周りのいずれの回転角度に関してもほぼ回転対称である。(遠位側から
見て)第1の構成要素1.11は本質的に円錐台の形状を有し、それを貫通する軸方向のボアを備える。第2の構成要素1.12は本質的に、ここでは中央の軸方向のボアを有する帽子の形状を有する。帽子状の設計は、内面1.12aおよび外面1.12bを規定する。第3の構成要素1.13は円柱の形状を有し、同軸の円錐空隙および軸方向のボアを備える。第1、第2および第3の構成要素の中央のボアは互いに同軸であり、ほぼ同一の直径である。
【0060】
当てはまる場合は回転対称から逸脱して、少なくとも中央の構成要素1.12、しかし場合によっては第3の構成要素1.13および第1の構成要素1.11にも有利にはスロットがつけられるが、これは
図3aには示されない。スロットにより、関連の構成要素を容易に広げることができ、アンカー固定要素全体を比較的控えめな圧縮力によって圧縮軸に沿って圧縮することができる。圧縮力4が加えられると、構成要素1.11、1.12、1.13は、圧縮力に対して傾斜して(すなわち平行でも垂直でもないある角度をなして)延在する表面に沿って互いに対して移動する。例示される実施例では、上述の表面は円錐台外形の形態を有し、すなわち円錐形である。広げ効果を有する他の表面もある。
【0061】
図示される実施例では、第1の構成要素1.11の外面1.11aの開口角度は、第2の構成要素1.12の内面1.12aの開口角度より大きく、第2の構成要素1.12の外面1.12bの開口角度は、第3の構成要素の内面1.13aの開口角度より大きい。この構成において広げ効果にとって有利であるのは、外面の少なくとも1つの開口角度が、その内部に当該外面が到達する内面の開口角度より大きいことである。
【0062】
ボア内にアンカー固定要素が位置決めされ−ボアの直径は圧縮前のアンカー固定要素構成要素1.11、1.12、1.13の外径とほぼ一致する−、圧縮力および機械的振動が加えられると、以下が起こる:
・圧縮力により第2および第3の構成要素1.12、1.13が広げられるため、第2および第3の構成要素の外側断面積が、およびしたがってアンカー固定要素全体が拡大する。
【0063】
・この広がりにより、第2および第3の構成要素1.12、1.13の外表面が、ボアの横方向の壁に押付けられる。機械的振動により、熱可塑性材料はこれらの表面区域において液化し、物体21の材料の気孔(または他の空隙)に染込む。
【0064】
・振動により、表面1.11a、1.12a、1.12b、1.13a同士の間に摩擦力も発生し、このため熱可塑性材料が液化し、次に第1、第2および第3の構成要素がともに溶接される。
【0065】
図3aに係るアンカー固定要素の近端面1.1または代替的に遠端面1.2は、結合入力面として働き得る。アンカー固定要素の近位側および遠位側は交換可能である(すなわちアンカー固定要素は「前後逆に」使用可能である)。
【0066】
図3bは本発明に係るアンカー固定要素のさらなる実施例を示し、このアンカー固定要素は、圧縮およびアンカー固定に関して
図3aに係る実施例に非常に類似している。同一の要素には同一の参照番号が付される。アンカー固定要素は複数部分からなるアンカー固定要素であり、任意に選ばれた数(たとえば示されるように3つ)の同一の構成要素からなり、これらはすべて広げられるように設計され(たとえば中空の円錐または中空のくさび)、互いの内部にゆるく位置決めされている。圧縮力4は、広げられ得る構成要素をともに押し、それらを広げる。必要であれば、
図11に示されるように、使用すべき工具の遠端部は広げ要素として設計される。
図3bに係る実施例では、
図11に示されるように、それに沿ってアンカー固定要素構成要素が互いに対して移動する、圧縮軸に対して傾斜
したすべての表面が平行(同一の開口角度)であり得る。これは、アンカー固定要素のサイズを、同一の構成要素の選ばれた数によって決定することができるという利点を有する。
【0067】
図3cに係る実施例は、
図3aに係る実施例に基づく。しかしその実施例とは異なり、アンカー固定要素は複数のモジュール(図中では2つのモジュール)からなり、その各々が少なくとも1つの構成要素1.11、1.12、1.13、1.14(図中ではモジュールごとに2つの構成要素)を備える。モジュール同士の間にはスペーサ要素61があり、たとえば熱可塑性材料製である必要のない、図示されるような金属リングである。この実施例は、物体のボアの横方向の壁における2つ以上の場所でアンカー固定されるのに好適である。これらの場所同士の間の距離は、スペーサ要素によって決定される。2つのモジュールを備えるそのようなアンカー固定要素の実施例は、有利には工具3または対向要素31と組合せて用いられ、その機能は以下により詳細に説明される。
図3cに示されるように、工具または対向要素3;31は、アンカー固定要素の中央の凹部を貫くシャフトを備える。スペーサ要素を案内するための他の案内手段が考えられる。
【0068】
図3a、
図3bおよび
図3cに示される実施例に加えて、以下の実施例が(多くの他の実施例とは別に)考えられる:
・各構成要素は液化不可能なコアを備え得、第2および第3の構成要素のコアは弾性的にまたは塑性的に変形可能である。たとえば金属または金属合金からなるコアは、断面のかなりの部分を構成し得、アンカー固定要素の耐荷力部を形成し得る。
【0069】
・第1の構成要素1.11は必ずしも熱可塑性材料を備える必要があるとは限らない。
・第1の構成要素はアンカー固定後に取出可能であり得る(その場合、これはアンカー固定要素の一部ではなく、たとえば工具の一部または別個の要素である)。
【0070】
・同等の実施例は、3つの構成要素の代わりに、2つの構成要素のみ(たとえば中央の構成要素1.12がない)、または4つ以上の構成要素(たとえば中央の構成要素1.12に類似したさらなる帽子形状の構成要素)を備える。
【0071】
・構成要素の形状は変化し得るが、それに沿って構成要素の表面が互いに対して移動可能である、圧縮軸に対して傾斜したいくつかの表面を設けることが必要である。
【0072】
・構成要素はほぼ回転対称である必要はない。中央のボアは割愛してもよい。
・構成要素は、予め定められた破断点を介してアンカー固定の前に連結され得、これは以下により詳細に説明される。
【0073】
・構成要素は、帽子形状で広げられ得る必要はなく、互いに対して横方向にずれることが可能であり得、これも以下により詳細に説明される。
【0074】
・熱可塑性材料を所望の場所で選択的に液化させるため、少なくとも1つエネルギ導波器が少なくとも1つの構成要素の周囲に沿って設けられ得る。
【0075】
・以下に説明されるような本発明の第1の局面に係る実施例と同一の
図3aから
図3cに係る実施例は、アンカー固定状況下で液化不可能な材料製の、延性があるコアを備え得る。少なくとも帽子または中空のくさびの形状の構成要素を有するアンカー固定要素は、たとえば、スロットがつけられて熱可塑性材料で被覆されたシートメタル製であり得、メタルシートはアンカー固定要素構成要素から径方向に突出し得る。圧縮時、メタルシートは広げられ、たとえばボアの横方向の壁を通じて物体に食込む。アンカー固定要素には、かかりのように作用する要素が付加的に与えられ得る。メタルシートの食込み効果によっ
て、付加的なアンカー固定が提供される。
【0076】
・上述の実施例をどのように選んだ組合せも可能である。
図4には、
図3に係るアンカー固定要素1が、本発明の第2の局面に対応する構成において示される。この構成では、ボアの底の物体に力が及ぼされない。アンカー固定要素に作用する振動および圧縮力は、引張力下にある工具3からアンカー固定要素内に結合される。
図4に係る構成はしたがって、物体をトンネル状に貫通して延びるボア内での適用例にも好適である。
【0077】
工具3は−とりわけ振動装置(図示せず)からの振動をアンカー固定要素内に結合するように働くため−、「ソノトロード」とも称され得、シャフト3.4およびベースプレート3.5を備える。工具の結合出力面3.1は、近位工具側に面するベースプレート3.5の表面である。シャフト3.4は、アンカー固定要素構成要素1.11、1.12、1.13の中央のボアを貫通して延在し、アンカー固定要素の近端から、および物体のボアから突出する。近位工具端は振動装置に結合されるように設計され、この結合は引張力を伝達するのに好適である。
【0078】
アンカー固定工程時、引張力が工具3に加えられ(力4)、機械的振動5がその中に結合される。工具から、力4−圧縮力として−および機械的振動がアンカー固定要素内に結合される。対向要素31は、アンカー固定要素が物体のボアから簡単に出ていかないようにする。図示される例では、対向要素31はプレートとして設計される。
【0079】
アンカー固定工程後、工具3はさまざまな方法で処理され得る:
・工具はアンカー固定の場所に残り得る。この実施例は、工具がさらなる機能のために設計されている際に特に有利である。したがって工具は、アンカー固定要素にさらなる要素を取付けるために働き得る。
【0080】
・物体のボアが貫通ボアである場合、工具は振動装置から分離され得、アンカー固定要素の遠位側から取出され得る。
【0081】
・工具は近位側から取出され得る。この場合、工具、およびアンカー固定工程時にシャフト3.4が貫通して延在するアンカー固定要素の貫通凹部は、断面が円形であってはならない(任意の回転角度に関して回転対称でない)。アンカー固定要素の対応する開口が以下により詳細に説明される。
【0082】
図1および
図3に係るアンカー固定要素と同様に、
図5から
図10に係るアンカー固定要素は本発明の第1の局面に従って設計されており、本発明の第2の局面に係る構成において好適な工具とともに使用可能である。
【0083】
図5に係るアンカー固定要素1は、
図3に係るアンカー固定要素と同様に、圧縮力に対して傾斜して(すなわちある角度をなして、または平行でも垂直でもなく)延在する表面に沿って互いに対して移動するように設計される複数の構成要素1.11、1.12、1.13を備える。構成要素は、アンカー固定要素構成要素−特に
図3に係る実施例およびその変形例の第2および/または第3の構成要素−と同様に設計され得、したがってここでは詳細には説明されない。
図3に係る実施例とは対照的に、別個の広げ要素32が用いられ、この広げ要素は熱可塑性材料を備える必要はない。図示されるように、広げ要素は、アンカー固定要素が導入される前に物体21のボアの底に配置される。広げ要素は少なくとも1つの移動表面32.1を備え、これは、圧縮軸に対して傾斜しており、アンカー固定要素の対応する内面1.13aの開口角度より大きい角度を圧縮軸とともに形成する。構成要素1.11、1.12、1.13は、広げ要素の効果により圧縮力4によって広
げられ、自身の周辺区域において物体のボアの横方向の壁に押付けられる。アンカー固定工程時、広げ要素は、熱可塑性材料を備える構成要素1.11、1.12、1.13に溶接されてアンカー固定要素の一部になってもよい。表面特性に依存して、広げ要素は別個のままであってもよい。図示される構成では、広げ要素は物体のボア内に残り、そこで別の機能を有する場合もあるし、有しない場合もある。他の構成では、広げ要素はボアから取出可能であり得る。
【0084】
広げ要素−アンカー固定処理時に液化可能な材料を備えているかいないかに関わらず−は、アンカー固定時に、たとえば溶接によって、および/または他の接続形成手段によってアンカー固定要素1に接続されるように、およびその一部になるように、任意に構成され得る。
【0085】
上述の実施例に加えて以下の実施例が考えられる:
・3つの構成要素の代わりに、少なくとも周囲領域において熱可塑性材料を備える単一の構成要素、2つの構成要素または4つ以上の構成要素があり得る。
【0086】
・アンカー固定要素は、広げ要素がそれに応じて適合されるのであれば、逆に配置されてもよい。
【0087】
・
図3の実施例に関連して説明された変形例との組合せが可能である。
図5aは
図5の実施例の変形例を示す。相違点は、広げ要素1.12−アンカー固定要素の第2の部分である−が熱可塑性物質製であり、アンカー固定処理時に第1のアンカー固定要素部1.11とともに溶接されることである。第1のアンカー固定要素部1.11は、広げ要素1.12によって離れるように広げられる2本の脚1.21、1.22を備える。
【0088】
図示される第1のアンカー固定要素部1.11は、その近端において、アンカー固定要素の主要部より断面が大きい熱可塑性アンカー固定要素ヘッドをさらに備える。
【0089】
もちろん、
図5および
図5aの方策の組合せも可能であり、たとえば、離れるように広げられるべき2本の脚1.21、1.22を有する第1のアンカー固定要素部を、熱可塑性材料製でない広げ要素と組合せてもよいし、または熱可塑性材料製の広げ要素1.12を、切れ目を入れられた帽子形状の遠端部などを有する第1のアンカー固定要素部と組合せてもよい。
【0090】
図6は、
図5に係る実施例のさらに別の変形例を示す。これは、圧縮軸に対して傾斜した表面区分を有する別個の(広げ)要素を備えていない点で
図5と異なる。その代わり、広がりはアンカー固定要素1の形状によって、およびアンカー固定要素が、図示されるような物体のボアの底であり得る、たとえば圧縮軸に対して垂直の平らな表面、または別個の要素の表面に押付けられることによって達成される。図示される例では、アンカー固定要素は帽子形状であり、圧縮力4はその端縁を外側に強く押すことによってそれらをボアの横方向の壁に押付ける。有利には、帽子形状のアンカー固定要素は上でさらに説明されたように1つまたは複数のスロットを備える。他の広げられ得る形状(たとえば中空のくさび)を有する変形例も考えられる。
【0091】
図6はまた、工具3が結合入力面1.1に適合された特定的な形状であり得る−ここでは少なくとも遠位側において管状である−ことを示す。そのような特定的な形状により、機械的振動をアンカー固定要素内にエネルギ効率よく結合することが可能となる。
【0092】
図7に係るアンカー固定要素1の実施例は、2つの構成要素を備える。第1の近位構成
要素1.11は、アンカー固定要素の寸法と比較して薄い接続フィン1.21によって第2の遠位構成要素1.12に接続される。アンカー固定要素の圧縮時、フィン1.21は破断または融解し、すなわちフィン1.21は、予め定められた破断点または融解点を表わす。第1の構成要素1.11および第2の構成要素1.12はくさび形状であり、各々が、圧縮軸11に沿って作用する圧縮力によって構成要素が互いに押付けられると互いに沿って横滑りするランプ1.11aおよび1.12aを備える。
【0093】
接続フィン1.21の崩壊後、アンカー固定要素構成要素1.11、1.12は、圧縮力の影響下で互いに対して移動する。
図7に係る実施例はしたがって、圧縮軸に対して傾斜して延在する表面(すなわちランプ)に沿って互いに対して可動である複数の構成要素1.11、1.12を備えるアンカー固定要素のさらなる例である。この実施例においても、アンカー固定要素の外径は、圧縮力によって生じる横方向の移動によって拡大する。
【0094】
予め定められた破断点または融解点として働く接続フィン1.21などの接続は、既述したように、上でさらに述べた複数部分からなる実施例にも適用可能である。
【0095】
圧縮軸11に対して傾斜した移動表面をランプとして設計すること−構成要素同士の間の接続の有無に関わらず−は、
図3および
図5の実施例の特徴とも組合せられ得る。
【0096】
特に、アンカー固定要素構成要素の1つを、熱可塑性材料を備える必要がなく、かつ
図5に係る広げ要素と同様に機能する別個の要素に取替えてもよい。
【0097】
図示される実施例の代替肢として、
図7に係るアンカー固定要素を、熱可塑性であるように、およびアンカー固定要素を端から端まで貫通して延びず、断面積が小さくなった区分を残す水平の(すなわち円柱軸に対して垂直の)または傾斜した切込みを有して本質的に円柱状(たとえば環状の円柱)であるように設計してもよい。これらは、予め定められた破断点または融解点として働く。そのような実施例は製造に関して有利であり得る。
【0098】
図8aは、本発明に係るアンカー固定要素1のさらなる実施例を示す。この実施例では、上述の実施例とは対照的に、周囲表面と圧縮軸との間の距離の局部的な拡大は、必ずしも外部断面積の拡大によるものではない。しかし、この例および他の同様の例では、少なくとも圧縮軸に沿った外面の突起部が拡大する。
【0099】
アンカー固定要素は本質的にピン形状であるが、横方向の切込み14、15および対応する収縮1.4、1.5を備える。アンカー固定時、これらの収縮は、予め定められた融解点として機能する。それらが機械的振動の効果により融解または少なくとも軟化すると、圧縮力によって収縮同士の間のアンカー固定要素区分が互いに向かって傾くため、アンカー固定後のアンカー固定要素の形状を概略的に図示する
図8bに示されるように、周囲のアンカー固定要素表面と圧縮軸との間の距離の局部的な拡大が生じる。物体のボアの横方向の壁に押付けられる領域は、横矢印によって示される。
【0100】
代替的に、アンカー固定要素は1つの収縮1.4のみ、または断面の異なる2つの収縮(または場合によっては2つより多い収縮)を備え得る。特に、アンカー固定要素は、結合入力面に近いほうのより広幅の収縮を備え得る。これにより、結合入力面からさらに離れたほうの収縮を、結合入力面に近いほうの収縮の前に液化させることができ、結合入力面に近いほうの収縮が他方の収縮の前に融解することを防止することができ、この他方の収縮への機械的振動のさらなる伝達が阻止されることになる。
【0101】
図9は、アコーディオンの態様で設計された本発明に係るアンカー固定要素1の実施例を示し、ヒンジ1.32によって連結される部分1.31は、圧縮力4の影響下で圧縮軸
11に対してより急勾配の位置に動かされる。それによって、アンカー固定要素の外側断面が局部的に拡大する。図示される実施例では、アンカー固定要素1全体が単一体であるため、ヒンジ1.32はアンカー固定要素本体の形状のみで作られるが、他のヒンジ手段も使用可能である。ある状況では、結合入力面からさらに離れた区域への機械的振動の伝達を可能にするための対策がとられ得る。そのような対策はたとえば、熱可塑性材料と比較して剛性が優れている液化不可能なコアを設けることである。
【0102】
そのようなコアは、
図3と同様の実施例における
図10に示される。
図3に係る実施例の対応する要素と同等の要素はここでは詳細に説明されない。コアは、互いに対して可動である2つのコア構成要素41、42を備える。第1のコア構成要素42は、図示される実施例ではベースプレート42.2および隣接するさや状の区分42.1を備える。ベースプレート42.2の外面または内面は、機械的振動のための結合入力面として働き得る。第2のコア構成要素41はここでは、第1のコア構成要素のさや状の区分42.1の内部で可動であるさやとして設計される。アンカー固定要素が圧縮される間、一方のコア構成要素が他方の内部で摺動する。
【0103】
二部分からなるコアの代替肢として、一片のコアまたは複数部分からなるコアも可能である。一片のコアは、(圧縮軸11に対して)アンカー固定要素の全長にわたって延在しない。なぜなら、延在するとアンカー固定要素の圧縮が不可能になるからである。
【0104】
図11は、
図5に関して説明された種類の本発明に係る圧縮可能なアンカー固定要素1を有する構成を示す。
図5とは対照的に、別個の広げ要素はないが、工具3は、シャフト部3.4より直径が大きい遠端部3.7によって形成されるくさびまたはランプ状の結合出力面3.1を備える。くさびまたはランプ状の結合出力面3.1は、機械的振動および圧縮力をアンカー固定要素内に結合するように、ならびにアンカー固定要素を広げるように働く。
【0105】
図11に示される構成ではさらに、引張力下の工具3の原理が適用される。
図11に係る構成はしたがって、荷重をかけられるのに好適でない底を有するボア、または
図11に示されるような貫通ボア(トンネル)における使用にも好適である。
【0106】
工具を引張荷重下に置く、力をアンカー固定要素内に結合する原理は、本発明の第2の局面に対応する。この原理はまた、上述の力によって圧縮されないアンカー固定要素に関しても適用可能である。そのような構成は以下の
図12から
図16に関して説明される。
【0107】
図12aおよび
図12bは、断面のおよび上から見た、一方の表面から他方の表面にトンネル状に到達するスロット形状の(円形でない)ボア21.1を備える物体21を示す。
図12aはまた、シャフト3.4および伸長部分を有する工具3も示す。図示される実施例では、伸長部分は、シャフトに対して垂直に方向付けられる横断部3.6である。熱可塑性材料製の2つのアンカー固定要素−場合によっては固体の非熱可塑性のコアを有する−が、可逆に横断部3.6に固定される。
【0108】
図12aに示されるように、アンカー固定要素が取付けられた工具3は第1のステップで、物体の近位側からボアを通って動かされて、アンカー固定要素1が完全に物体の外(すなわち物体の遠位側において)に出る。次に、
図12cに示されるように、工具は自身のシャフト3.4によって規定される軸の周りを、たとえば90°だけ回転される。その後、上述の実施例と同様に、力がアンカー固定要素内に結合されてアンカー固定要素の熱可塑性材料を物体に押付ける。これは、工具を後向きに引き、それによってアンカー固定要素を物体の後側に押付けることによって達成される。力がアンカー固定要素に作用している間、ここでは上にアンカー固定要素が固定される横断部の近位面によって与えられる
工具の結合出力面3.1を介して、機械的振動がアンカー固定要素内に結合される。これにより、アンカー固定要素の熱可塑性材料が部分的に液化し、物体に押込まれる。機械的振動の停止後、熱可塑性材料は再凝固し、物体との形状嵌合接続を形成する。
【0109】
図12dに示されるように、工具は次に、今や物体内にアンカー固定されているアンカー固定要素から軽く押すだけで外されることによって取出される。その後工具は、伸びた区分がボア21.1を貫通して嵌合する向きに戻されて引込む。図示される実施例の代替肢として、工具がアンカー固定後に物体内に残され、そこでたとえば別の機能を負うことも可能である。また、工具の一部のみ、たとえばシャフトは取出すが別の部分、たとえば伸長部分は残ってさらなる機能を負うことも可能である。そのような場合、工具は単一体ではなく、シャフトおよび伸長部分は可逆に互いに取付けられ、たとえばともにねじで留められる。
【0110】
図12aから
図12dに示される本発明の実施例はまた、アンカー固定前に完全に分離されているか、または脆弱な連結部によってのみ接続されている2片を「後ろ」から、すなわち容易に接近できない側から接続して物体を形成するのにも好適である。そのような場合、工具は
図1bに示されるようなボアを通ってではなく、2片同士の間の間隙を通って導入される。工具の伸長部分は、アンカー固定後に所定の位置に残り、物体の2片を剛性を有して接続する橋として働く。
【0111】
図示される実施例では、機械的振動を加える前にアンカー固定要素を位置決めするための開口が物体に1つも設けられない。物体のボア21.1は、工具を位置決めするために働くに過ぎない。アンカー固定要素は、自身に及ぼされる力によって物体に追込まれ、有利には液化可能材料で構成されないアンカー固定要素先端および/または軸方向に延在する食込み端縁が、物体へのアンカー固定要素の浸透を支持する。
【0112】
アンカー固定要素を物体の材料(たとえば木材または同様の材料)に追込むための力は、たとえば機械的振動の前に加えられ得る。図示される構成の代替肢として、直径がアンカー固定要素の直径より小さいことがある開口を物体に設けることも可能である。
【0113】
以下の変形例が可能である:
・図示されるような2つのアンカー固定要素の代わりに、本方法は単一のアンカー固定要素のみで、または2つより多いアンカー固定要素でも実行可能である。
【0114】
・工具の伸長部分は、その機能のため、ならびに振動および力の伝達のために最適化されたどのような形状を有してもよい。
【0115】
・状況に依存して、アンカー固定要素を有する工具を後ろから(すなわち遠位側から)導入することによって、ボアを通って動かすのはシャフトだけで済む。
【0116】
図13は本発明のさらなる実施例を示す。一定の断面を有する貫通ボア(たとえば円形の断面を有する貫通ボア)が物体21に設けられる。遠位側から近位側に先細りするアンカー固定要素1が後ろから、すなわち遠位側からボアに導入される。アンカー固定要素は、アンカー固定要素の近位側に係合する工具3を利用してボア内に引張られ、引張力が工具に作用する(工具は引張荷重下にある)。引張力が有効に保たれている間、機械的振動がアンカー固定要素内に結合される。振動およびアンカー固定要素の若干先細りする形状により、アンカー固定要素の周辺表面の区域における熱可塑性材料が液化し、物体のボアの横方向の壁の気孔および他の空隙に押込まれる。
【0117】
引張力が工具だけでなくアンカー固定要素にも当たるこの実施例では、以下により詳細
に説明されるように、工具とアンカー固定要素とを剛性を有して接続することが必要である。
【0118】
変形例−しばしばあまり好ましくない−として、アンカー固定要素が(回転)円柱状であるのに対してボアが近位側に向かって先細りしてもよい。
【0119】
さらなる変形例として、物体のボアに、近位側より遠位側の方が広幅であるように段をつけてもよい。これに対応するアンカー固定要素は、アンカー固定工程時にボアの段に係合する肩を備え得る。引く力によってアンカー固定可能なアンカー固定要素のさらなる実施例が考えられる。
【0120】
図14aは、若干円錐形のアンカー固定要素1が、
図13に係るアンカー固定要素と同様に、物体のボアの軸に沿って工具3を利用して動かされる構成を示し、アンカー固定要素内に結合されるべき力によって工具が引張力下に置かれ、すなわちアンカー固定要素に作用する力は振動発生器に向けられる。しかし、
図13に係る構成とは対照的に、アンカー固定要素1に対する力は圧力による力(すなわち押す力)である。このため、アンカー固定要素は、図示される構成ではアンカー固定工程時に物体のボアの軸と平行して延在する中央のボア1.9を備える。ベースプレート3.5を支える工具シャフト3.4はボア1.9を貫通して延在する。アンカー固定要素内に結合されるべき力および機械的振動は、
図4に示されるのと同じく、ベースプレートを介して工具からアンカー固定要素に伝達される。アンカー固定後、工具の対処方法は3つある。
【0121】
第1に、物体のボアが貫通ボアである場合、工具は振動発生器から分離され、遠位側に向かって取出される。第2に、工具はここでも振動発生器から分離され、アンカー固定要素とともに残り、たとえばさらなる物を取付けるために働く、などの予め定められた機能を果たす。第3に、工具はアンカー固定後に解体され、たとえばシャフト3.4がベースプレート3.5から分離される。
【0122】
以下の変形例が考えられる:
・物体のボアの断面およびアンカー固定要素の断面は環状でない。
【0123】
・凹部1.9の断面およびベースプレート3.5の断面が環状でなく、ベースプレート3.5を1つの特定的な回転位置で凹部1.9を通って動かすことができる場合、工具全体を近位側に向かって取出すことができる。
【0124】
・アンカー固定要素は必ずしも円錐形であるとは限らない。したがって、たとえば物体のボアは近位側に向かってより細くなってもよい。そのようなボアを設けるのは一般に困難であるが、自然状態によってこれが好まれる場合も依然としてあり得る。
【0125】
・アンカー固定要素および物体のボアがたとえば円柱状である、すなわちそれらの断面がそれらの軸に沿って一定であり続けることも可能である。その場合、アンカー固定要素が圧入によってボア内に保持されるように、アンカー固定要素の断面は物体のボアの断面より若干大きくなる。摩擦力は、工具によってアンカー固定要素内に結合される力に対する反力として作用するのに十分強くあり得る。代替的に、この実施例において対向要素を用いてもよい。
【0126】
さらなる実施例が
図14bに示される。アンカー固定要素1は、アンカー固定時に物体の同等の肩に押付けられる肩1.10を有する。図示される場合では、ボアの口が物体の肩を形成しているが、肩は段を付けられるように、またはボアの別の広がりとして設計されてもよい。
図14bは、アンカー固定が必ずしもボアの横方向の壁で起こるとは限らな
い、本発明の第2の局面の実施例のさらなる例である。
【0127】
以下の
図15から
図17は、本発明の第3の局面に係る実施例を示す。
図15および
図16に係る例における構成は、本発明の第2の局面にも対応する。
【0128】
図15に係る構成では、貫通ボアまたは止まりボアが物体21に設けられ、この中にアンカー固定の前にアンカー固定要素が導入される。アンカー固定要素1は、貫通凹部または止まり凹部を備える。工具3は、シャフト3.4、および遠位側から近位側に先細りし、近位側でシャフトに取付けられるくさび3.7を備える。アンカー固定時、引く力4によってくさびがアンカー固定要素1の凹部を通って引張られ、それによってアンカー固定要素を拡張する。したがって、アンカー固定要素の周囲区域が物体のボアの横方向の壁に押付けられる。機械的振動がアンカー固定要素内に同時に結合されると、熱可塑性材料が物体と接触している所で液化し、物体の空隙に押込まれる。有利には、機械的振動によってさらに、熱可塑性材料が凹部と周囲区域との間で少なくとも軟化する。この軟化により、工具を取出した後にアンカー固定要素に張力がなくなり、したがって、径方向に内側に向けられる力が、物体内にアンカー固定される周囲区域に作用することが防止される。
【0129】
引く力が工具に対して及ぼされている間、対向要素31は、アンカー固定要素がボアから外に引張られないようにする。図示される例では、アンカー固定要素1は、液化可能材料の液化を助ける、周囲の、ここでは尖ったエネルギ導波器1.8を備える。エネルギ導波器は、本明細書中で説明される本発明の他の実施例に係るアンカー固定要素上にも設けられ得る。
【0130】
図16は
図15と同様の実施例を示し、工具の形状が異なる。くさびの代わりに、工具の遠端部はたとえば球形の膨れ3.7のように構成される。アンカー固定時、この遠端部はアンカー固定要素を通って引張られるが、
図15に係る例と同様に熱可塑性材料は液化してアンカー固定要素の有利な可塑性の拡張をもたらす。
【0131】
代替的に、工具はシャフト3.4aの代わりに、たとえば遠端部をアンカー固定要素を通って引くためのねじ山またはケーブルなどの、非剛性要素を備え得る。遠端部はここでも
図16と同様に球形であり得る。
【0132】
さらなる代替肢が考えられる:
・工具の厚みの増した遠端部3.7は多くの異なる形状を有し得る。遠端部の最大断面は必ず、アンカー固定要素の凹部の最小断面より大きく物体のボアの断面より小さくなければならない。
【0133】
・アンカー固定要素1の凹部は貫通している必要はなく、さらに、工具は、止まり孔として設計される凹部内にアンカー固定工程の前に既に位置決めされ得、その後、アンカー固定工程時にこの凹部内で動かされるか、または凹部から抜取られる。そのような構成の利点は、適切な工具がアンカー固定要素とともに販売および保管され得、工具がアンカー固定要素の位置決めを助けることもできることである。
【0134】
・物体のボアは貫通しているか止まっているかのいずれか一方であり得る。
・アンカー固定処理時に物体に固定されるべきさらなる物体が、工具とアンカー固定要素との間、またはアンカー固定要素と物体のボアの横方向の壁との間に配置され得る。これは、本発明の第3または第1の局面に係る他の実施例にも当てはまる。
【0135】
図17は本発明の第3の局面に係るさらなる実施例を示し、アンカー固定時にアンカー固定要素を拡張するための力は、工具に対する圧縮荷重として作用する。
図15および図
16のような実施例におけるアンカー固定要素の遠端部3.7は近位側から遠位側に断面が大きくなる構成要素を備える必要があるが、工具が圧縮荷重下にある
図17のような実施例では、遠位側から近位側に断面が大きくなる遠端部が有利である。図示される例では、工具の遠端部はこのように設計される。
【0136】
アンカー固定要素を拡張する力が圧縮荷重として工具に作用する実施例については、近位側に向かって先細りするために遠端部の厚みの増した部分を備える必要がない。工具はたとえば円柱状であり得、場合によっては遠位側に向かって先細りしてさえいる。
【0137】
図17に示される実施例では、アンカー固定要素はカップ形状であり、物体のボアの底に載っている。アンカー固定要素は管状であるか、または凹部を備える別の形状であってもよい。
【0138】
図17の実施例では、工具3はアンカー固定後に取出せるように、たとえば遠位側に向かって狭くなるように形作られ得る。代替肢として、工具は、保持構造(図示される実施例では、示される肩によって形成される)を備え、かつアンカー固定処理後に自身がアンカー固定要素として働くように形作られ得る。
図17aは、さらなる要素91のねじ切りと協働するように設計されるねじ切り3.21を備える工具3を示し、要素91は図では、建設物体21にプレート
92を取付けるためのナットとして概略的に図示される。
【0139】
図11に係る実施例の工具は、アンカー固定要素を圧縮する効果に加えて、ある程度拡張効果も有する。
図11に係る構成はしたがって、本発明の第1および第2の局面ならびに第3の局面に対応する。
【0140】
本発明の第3の局面に係るアンカー固定要素は、有利には完全に熱可塑性材料製である。非熱可塑性構成要素が、たとえばカップ形状のアンカー固定要素の底辺に、拡張が望まれない区域の周囲に、または拡張を妨害しないように設計され位置する強化用要素として設けられ得る。管状またはカップ形状のアンカー固定要素の場合、そのような強化材はたとえば細長い形状であり得、軸方向にアンカー固定要素の周辺表面上に広がるように延在し得る。
【0141】
本発明の第1および第3の局面に係るすべての実施例では、アンカー固定要素の開口(存在する場合)は中央になくてもよい。対応する非対称の構成を用いて、アンカー固定要素の一方側の熱可塑性材料を反対側より早く特定的に液化および可塑化することができ、または熱可塑性材料が一方側でのみ液化もしくは可塑化することが意図されてもよい。
【0142】
・また、工具が圧縮荷重下にある場合、対向要素31が適用され得る。そのような要素は、本発明の第1の局面に係る例を示す
図18に示されるように、アンカー固定要素の遠位側に作用し、たとえば工具を中央に貫通して延在するシャフトによって保持される。そのような場合、本発明の第1の実施例に係る実施例では、力4が工具3内に結合された際に工具3が動かされる必要がない。その代わり、反力51をアンカー固定要素内に結合する対向要素31がアンカー固定工程時に動かされ得る。工具および対向要素の組合された動きも可能である。さらに、対向要素31が工具として設計され、したがって機械的振動をアンカー固定要素内に結合もする、すなわち機械的振動が2つの側からアンカー固定要素内に結合されることも可能である。最後に、対向要素はまた非剛性要素−たとえばねじ山またはケーブル−によって近位側からも保持され得る。また、たとえば
図3a、
図3b、
図3cに係るアンカー固定要素などの複数部分からなるアンカー固定要素の実施例の遠位側1.11;1.14が、たとえば遠位のアンカー固定要素構成部品のアイレットを貫通して延在するそのような非剛性要素によって保持され得ることが意図されてもよい。これは、非剛性要素を、たとえば切離し、次に近位側から引くことによってアンカー固定後
に取出すことができるという利点を有する。
【0143】
本発明の第2の局面に従って設計されるすべての実施例では、アンカー固定要素内に結合されるべき力4は、工具3に対する、または(
図18に係る構成のように)必要であれば対向要素31に対する引張力として作用する。このため、引張荷重だけでなく、引張荷重下にある間の機械的振動の伝達にも好適であらねばならない、振動装置上の適切な結合手段が必要である。そのような結合手段は当業者にとって公知である。それらはしばしば形状嵌合(ねじ継手、スナップ締結具、差込みピン留め具など)、または場合によっては材料嵌合(接着、溶接もしくははんだ接続)、または摩擦嵌合(クランプ接続)に基づく。そのような一般的に公知の結合手段はここではこれ以上説明されない。形状嵌合結合手段の原理が
図19に示される。この結合は、示されるように、または代替的な形態で用いられ得る。振動装置は、工具3の近端における隙間に突出し、かつ引張力を伝達できるように自身の遠端に向かって広くなる延長部を備える。工具3を振動装置に結合するために、これらは
図19の平面に対して垂直に互いに対して動かされる。蟻継ぎまたは同様の変更が考えられ得る。
図13に示されるような実施例では、これらまたは他の結合手段も用いて工具3からアンカー固定要素1に引張力を伝達できる。
【0144】
アンカー固定処理では、アンカー固定要素に力を加えることが必要である。本発明の第2の局面および本発明の第3の局面のほとんどの実施例、ならびに第1の局面の多くの実施例、ならびに組合された局面においてももちろん、力は、工具3と物体自体との間ではなく、工具と対向要素との間に加えられる。力がアンカー固定要素と対向要素との間に加えられるすべての状況において適用可能な本発明の特別の原理に従って、力は、本方法を適用する人物によって手で加えられ得る。代替肢として、力は、その人物によって作動される必要のある何らかの機構によって加えられ得る。そのような手段はさらに、明確に規定された力を与え得る。
【0145】
そのような機構の例は、
図20に非常に概略的に図示されるようなばね機構である。
図20の実施例では、工具3は、アンカー固定後に所定の位置に残り、さらなる機能のために設計される種類のものである。液化可能な材料がアンカー固定後に工具に固着する実施例では、工具を、アンカー固定後にアンカー固定要素の一部として見ることができる。アンカー固定要素1は
図20では管状であるとして示されているに過ぎないが、たとえばスリットを備え、
図1aから
図2bに示されるように構成され得る。工具およびアンカー固定要素は両方とも代替的に、本明細書中で説明されるいずれかの他の工具/アンカー固定要素として、または本発明のいずれかの他の実施例として構成され得る。アンカー固定時に工具3に剛性を有して取付けられる超音波装置81とアンカー固定要素1との間に、ばね82が配置される。ばねは、アンカー固定要素と(超音波装置81を介して)工具との間に力を及ぼす。ばねは、力がアンカー固定処理に十分であり、したがって機械的振動が加えられる間に工具が上記力によってアンカー固定要素に押付けられるように構成され得る。この方策は、処理時の力が明確に規定されるべき状況において有利である。
【0146】
本発明の図示される種類の「力を加える機構」の実施例の場合、ばねはアンカー固定要素と直接接触しており、ばねの遠位面が対向要素として働く。しかし、別個の、たとえば板状の対向要素をばねとアンカー固定要素との間に配置してもよい(図示せず)。板状の対向要素を設けることによって、アンカー固定要素の近端位置がアンカー固定処理時に規定されるという付加的な利点がもたらされる。
【0147】
本発明の異なる実施例について、特に第2および第3の局面に係る実施例について、「力を加える機構」とは独立して実施され得る、
図20の実施例のさらなる特徴は、工具3に穴あけ機能を与えることである。このため、工具3は、建設材料に追込まれるように設計される遠端面3.10を備える。遠端面は、たとえばWO2005/079696から
公知であるように、先端のついた形状であり得、さらにリーミング構造を備え得る。
【0148】
工具3がアンカー固定後に所定の位置に残る実施例では、工具にはしばしば、断面がより大きい遠位部が設けられ、この遠位部は、アンカー固定要素の主要部分の遠位に配置される(
図4、
図20参照)。必要な力が圧縮力として工具に加えられる実施例では、工具はそこでアンカー固定時に「前向きに」、すなわち遠位側に向かって動かされるため、これはしばしば選択肢ではない。
図21は、工具3がそれにも関わらずアンカー固定後にアンカー固定の位置に残り得る、そのような「前向きの」アンカー固定の実施例を示す。このため、工具には、工具をアンカー固定後にアンカー固定要素1によって保持するための保持構造3.13が設けられる。
図21では、アンカー固定要素に何らかの他の物体を固定するために用いられ得る工具のねじ山3.12も図示される。
【0149】
図22aおよび
図22bは、板状の物体にアンカー固定要素を取付けるのに特に適している、本発明の第2の局面の他の実施例を示す。工具3には、シャフト3.4より外径が大きいリーミング構造3.14が設けられる。まず工具を用いて、リーミング構造によって物体に穴をあける。その後、管状のアンカー固定要素1がシャフト上で押される。アンカー固定要素1の外径および内径は、アンカー固定要素1が孔を通過することはできるがリーミング構造3.14に接するようなものである。アンカー固定のため、アンカー固定要素は工具3を引くことによって対向要素31に押付けられ、アンカー固定要素は工具と対向要素との間で圧縮される。液化可能材料は物体材料と接触して液化し、この建設材料が気孔率が低く硬い場合、液化可能材料は物体の遠位側で滲み出し得、膨らみを形成し得、それによって止まりリベットのような態様で作用し得る。
【0150】
工具はリーミング構造を備える代わりに、遠位拡大部も備え得、それによって力が工具に作用し得、その場合工具とは異なる用具によって物体に穴があけられ得る。
【0151】
図23aおよび
図23b、
図24a、
図24b、および
図25を参照して、本発明の第3の局面のさらなる例が説明される。ここで示されるアンカー固定要素1の実施例は、熱可塑性材料からなるアンカー固定要素区分(両方の図示される実施例においてアンカー固定要素はこの区分からなる)を備え、アンカー固定時に工具3の遠位部がこの区分の内部に突出し、アンカー固定時にアンカー固定要素区分を内側から広げる。これにより、アンカー固定要素と物体表面との間の界面に対して横方向の力が生じ、それによって建設材料の横方向の壁におけるアンカー固定を向上させる。図示される実施例は、工具によって内側からアンカー固定要素を広げる2つの可能性を示す:
・工具3はアンカー固定処理時にアンカー固定要素に追込まれ、それによって外側断面を拡大する(
図23a、
図23b)。示される実施例における工具は、工具がアンカー固定後にアンカー固定要素内に固定維持されるように、かかり状の構造を備える。
【0152】
・工具は回転対称ではなくアンカー固定処理時に回転されるが、アンカー固定要素の回転は阻止される(
図24、
図24b、
図25)。
図24a、
図24bでは工具は複数の偏心輪3.11を備えるのに対して、
図25では工具およびアンカー固定要素の開口の両方が並進対称であるが回転対称ではなく、示される実施例では断面が六角形である。図示されるアンカー固定要素1は、回転を阻止するかかり状の突出部1.31を備える。
【0153】
図21−
図23の実施例はすべて、工具3がアンカー固定処理後に元の位置に残り、ファスナとして働き得る本発明の実施例の(さらなる)例である。これらの図の実施例はしたがって、本発明の上述のさらなる局面にも対応する。
図26−
図29はさらなる変形例を示し、本発明の第1、第2および/または第3の局面を用いて建設物体にファスナが取付けられ得、ファスナは同時に、アンカー固定処理時に機械的振動および力をアンカー固定要素内に結合する工具3として働く。
【0154】
図26aに示されるアンカー固定要素1は、たとえば
図3aおよび
図4を参照して説明された種類のものである。これは、漆喰または木材合成物などの比較的柔らかい、および/または脆性のある材料からなるボード21内にアンカー固定される。ボードは距離保持器102によって壁101に取付けられるため、ボード21の後ろには空隙がある。本発明に係る方法では、工具3−アンカー固定後にファスナとして働き、ここではねじ切り3.21を有する−を比較的脆弱なボードにしっかりと取付けることができる。なぜなら、アンカー固定時の液化材料は主に横方向に押込まれ、ボードがアンカー固定要素との界面で裂けないからである。
図26bはアンカー固定処理後の状況を示す。
【0155】
図26aはさらに、ばね要素82による対向要素31と工具3との間の力の発生を示し、ばね要素82は示される実施例では、ばね案内83によって案内される複数のばねを備えるよう図示される。
【0156】
図27に示される構成は、工具3およびアンカー固定要素が本発明の第3の局面に対応し、かつ
図11または
図17を参照して説明された種類のものである(しかし第2の局面に係る「後方への」アンカー固定を用いる)点で、それとは異なる。
【0157】
図26a、
図26bおよび
図27は、本発明の3つの局面のうちのいずれか1つに係る方策は、たとえば比較的脆弱な壁などの中空の物体にファスナを取付けるのに特に適していることを示す。
【0158】
図28および
図29は、建設材料物体21にファスナヘッド(「釘」)を有するファスナ/工具3を固定するための本発明の第3の局面の実施例を示す。工具は、アンカー固定処理時にアンカー固定要素1を広げ、かつそれに溶接されるようなものである。本発明に係る方策、すなわちファスナ3を固定するための一種の合わせ釘としてアンカー固定要素を使用することにより、厚紙、低品質の毛織物複合物、漆喰などの、釘が打込まれると通常は裂ける/剥がれ落ちる傾向があり得る材料にもファスナを取付けることができる。これは、液化材料が液化状態(したがってせん断力はない)において材料の構造に染込み、再凝固後にその内部に比較的深くアンカー固定されるためである。
【0159】
図示される実施例では、ファスナは物体にボード106を釘付けにするために用いられるが、これはもちろんファスナの唯一の使用法ではなく、例示のために示されているに過ぎない。
【0160】
図29の実施例が
図28の基本的な実施例と異なる点は、アンカー固定要素1による確実な嵌合アンカー固定に加えて、工具3が、建設材料21に打込まれる先端3.31によって従来の釘またはピンのようにも締結されること、ならびにアンカー固定要素および工具が、アンカー固定要素が前向きの方向(図中の矢印によって図示されるような)にも建設材料に押込まれるように構成されることである。
【0161】
本発明のすべての局面の図示されるまたは他の実施例に係るアンカー固定要素、装置およびアンカー固定方法は、アンカー固定要素と物体との間のしっかりした接続が重要であるさまざまな状況で使用される。特定的な適用例については、引用によりその内容が本願に援用される公報WO98/42988、WO00/79137およびWO2006/002569に説明されているようなすべての適用例を参照されたい。