(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気流は、前記手乾燥装置の前記固定部のオリフィスを介して前記空気出口を通って排出され、前記膨張式ダクトは、前記ファン出口を前記オリフィスに接続するように構成され、前記オリフィスの面積は、前記ファン出口に隣接する前記膨張式ダクトの断面積よりも小さい、請求項1又は2に記載の手乾燥装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファンユニットは比較的重い場合が多く、使用時に振動(ロータのアンバランス等により引き起こされる)を生じやすい。これにより、洗面所の環境に過度の騒音が発生する場合あり望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、手乾燥装置の空気出口を通って排出される空気流によりユーザの手を乾燥させる手乾燥装置が提供され、空気流は、モータ駆動ファンユニットにより発生され、空気流は、ファンユニットのファン出口を通ってファンユニットから流出し、ファンユニットは、手乾燥装置の固定部分に固定された膨張式マウントによって該固定部に取り付けられ、膨張式マウントは、ファン出口を空気出口に接続する少なくとも1つの膨張式ダクトを備え、膨張式ダクトは、使用時、ファン出口から空気出口に移動する空気流によって膨張して、ファンユニットのための空気圧式支持を提供するようになっている。
【0008】
従って、膨張式マウントは、使用時のファンユニットに関する空気圧式減衰器として作用する。これにより、従来のハードマウント装置に比べて、マウントを通って外部に伝達する振動が低減される。
【0009】
主空気流を利用して、膨張式ダクトをファン出口と空気出口との間に接続することによって、膨張式ダクトを膨張させる。その結果、使用時の膨張式ダクトの内部加圧は、空気出口の面積により効果的に制御される。これは、ファンユニットのための空気圧式支持を提供するための単純かつ費用効率の高い装置であり、ブリード通路、バルブ、又は別個の空気圧回路は必要とされない。
【0010】
空気流は、手乾燥装置の固定部のオリフィスを介して空気出口を通って排出されてもよく、膨張式ダクトは、ファン出口をオリフィスに接続するように構成され、オリフィスの面積は、ファン出口に隣接する膨張式ダクトの断面積よりも小さい。これにより、空気出口の上流で空気流に対する制限が有効に形成され、始動時に膨張式マウントがより急速に加圧される。更に、これは膨張式マウントに直接作用する圧力を低減することを助ける。
【0011】
ファンユニットは膨張式マウントの上部に取り付けてもよいので、膨張式マウントは、ファンユニットの重量を支持するのを助けるようになっている。
【0012】
膨張式マウントは、2つ以上の膨張式ダクトを備えてもよい。
【0013】
もしくは、マウントは、単一のダクトを備えてもよい。この場合、マウントは、単一の膨張式ダクトの形態としてもよく、膨張式ダクト自体が膨張式マウントを構成するようになっている。これは、非常に単純な構成である。この構成において、ファンユニットは、膨張式ダクト上に乗るように配置することができ、ダクトは、ファンユニットの下で端から端まで配置されて、空気圧式支柱を形成することができる。従って、膨張式ダクトは、ファンユニットの重量を支持するのを助ける。好ましくは、ダクトは、実質的に垂直方向にある。ファン出口は、ファンユニットの下面に配置されて、空気を下方へ膨張式ダクト内に直接排出してもよく、この種の直接的な排出通路は、複雑に入り組んだ排出通路に関連する圧力損失を低減するのを助ける。
【0014】
好ましくは、膨張式ダクトは弾性ダクトであるが、必須ではない。例えば、膨張式ダクトは、それでもダクトの膨張を可能にして空気圧式支持をもたらす、剛性部分と可撓性部分とが組み合わされたもので構成できる。
【0015】
膨張式ダクトは、ファンユニットの外側を覆うようにスリーブのように嵌合してもよく、ダクトの端部は、該ダクトの端部をファンユニットの外側に対して機械的に留めるカラーによって所定位置に保持されてもよい。これは、ファンユニットをマウントに固定するための小型かつ薄型の構成である。
【0016】
ダクトは、ファン出口から空気出口までテーパー付けされて、ファン出口と空気出口との間の滑らかな変化(推移、移行)を提供してもよい。これは、ダクト内の圧力損失を低減するのに役立つ。例えば、特定の実施形態において、膨張式ダクトは、漏斗形である。漏斗形は、円対称性によって、マウントが均一で対称的な減衰応答をもたらすことを保証するのを助ける。
【0017】
手乾燥装置は、手の表面での高運動量乾燥作用に依存する形式の高圧手乾燥装置であってもよい。従って、空気流は、空気出口を通って80m/sを超える、好ましくは140m/sを超える速度で排出されてもよい。空気出口の上流での空気流圧力は、最大で40kPaとしてもよい。本発明は、これらの高圧手乾燥装置に特定の用途を見出し、ファンユニットは始動時に大きな上向き推力を受けることがある。この大きなファン推力は、膨張式マウントの迅速な加圧をもたらすことになり、これは、次に、ファンユニットの上向き変位に対して、比例的に反応し抵抗することになる。
【0018】
手乾燥装置は、空気出口がエアナイフ排出口である、エアナイフ式手乾燥装置の形態であってもよい。エアナイフ排出口は、1つ又はそれより多くのスリット状の排出開口を備えていてもよい。エアナイフ排出口は、好ましくは、ユーザの手の全幅にわたって広がるように構成され、例えば、出口は80mm又はそれ以上の長さを有していてもよい。
【0019】
固定部は、手乾燥装置の外側ケースの一部を形成し、又はこれに固定されてもよい。
【0020】
手乾燥装置は、壁掛け式手乾燥装置であってもよい。このような手乾燥装置は、使用時に振動が壁面に伝達される場合があるので、ファンユニットの外部振動伝達を低減することが特に好都合である。
本発明の実施形態は、以下に例示的に添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による手乾燥装置を示す平行射影図である。
【
図2】同じ手乾燥装置の逆の角度からの平行射影図である。
【
図3】手乾燥装置の前面図であり、使用時に手乾燥装置の空気出口を通る空気流の排出を示す。
【
図4】手乾燥装置の前面図であるが、外側ケースが切り取られ、手乾燥装置の様々な内部構成要素が示されている。
【
図6】隠し板が取り除かれた手乾燥装置の平行射影図であり、手乾燥装置のバックプレート上の様々な内部構成要素の取り付け状態を示す。
【
図7】手乾燥装置の様々な内部構成要素、特に主要な空気流通路内のエアフィルタを示す平行射影図である。
【
図8】
図7に対応する図であるが、フィルタは取り除かれている。
【
図9】
図8に対応する平行射影図であるが、部分的に切り取られてモータバケット内のファンユニット及び膨張式マウントが示されている。
【
図10】
図9に対応する平行射影図であるが、逆の角度からの図である。
【
図11】
図9に対応する平行射影図であるが、モータバケットが完全に取り除かれて、ファンユニット用の複数の点マウントが示されている。
【
図12】手乾燥装置の特定の内部構成要素、特にファンユニットと、膨張式マウントの断面を示す部分断面図である。
【
図13】ファンユニットの分解図であり、ファン軸線に沿って配置されたインペラ及び環状ファン出口を形成するディフューザを示す。
【
図14】ファンユニットを取り付けるために使用される手乾燥装置の内部構成要素の平行射影図である。
【
図15a】ファンユニットに直接加わる噴出推力の概略図である。
【
図15b】ファンユニットに直接加わる正味圧力の概略図である。
【
図16a】ファンユニットを支持する膨張式マウントに直接加わる噴出推力の概略図である。
【
図16b】膨張式マウント上に直接加わる正味圧力の概略図である。
【
図17】
図16bにおけるオリフィス面積aの関数として圧力F
ΔP(Duct)及び噴出推力F
ΔM(Duct)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
手乾燥装置
図1から
図3は、本発明による壁掛け式手乾燥装置1を示す。
【0023】
手乾燥装置1は、空気流を排出してユーザの両手を乾燥させる。空気流は、手乾燥装置1上の2つの空気出口3、5を通って高速(>80m/s)で排出される。各出口3、5は、エアナイフ排出口の形態であり、この場合、手乾燥装置1の外側ケース7に直接機械加工される、幅2mm未満の狭いスリットである。従って、空気流は、2つの薄い高速の空気シート(
図3)又は「エアナイフ」3a、5aとして排出される。
【0024】
手乾燥装置1の作動モードは、生産品の表面からごみ又は液体を取り除く産業分野で一般的なエアナイフの使用方法に類似しており(例えば、エアナイフを使用してガラスシートからごみを取り除くことを記載した欧州特許公開第2394123号を参照)、エアナイフの各々は、それぞれの手の表面を横切って移動し、エアナイフは、移動する際に手の表面から水をぬぐい落とすか又はこすり落とす。
【0025】
手は、手のひらを開いた状態でエアナイフ排出口3、5の下側に、一つの手が各出口の下方となるように挿入して、次に、ゆっくり引っ込めて、手とエアナイフとの間に所要の相対移動を生じるようにする。この行為を手の両面に対して繰り返す。手乾燥装置1がより快適に使用できるように、エアナイフ排出口3、5は、ドライヤ1の前方から見るとV字形に配置される(
図3)。これは、使用時の前腕の過剰な回外運動を防止するのに役立つ。
【0026】
空気流は、遠心ブロワ(又は圧縮機)9の形態のモータ駆動ファンで発生する。遠心ブロワ9は、手乾燥装置1の外側ケース7の内部のモータバケット11に収容される。遠心ブロワ9及びモータバケット11は
図9に示されている。
【0027】
2つのエアフィルタ付き吸気口
空気流は、遠心ブロワ9によって、手乾燥装置1の外側ケース7の2つの吸気口13、15を介して引き込まれる。一方の吸気口15は
図1に示され、他方の吸気口13は
図2に示されている。両方の吸気口は
図4で示されており、また、
図4には各吸気口の内側に一連のシュラウドフラップ17が示されている。シュラウドフラップは、吸気口13、15を介して異物が差し込まれるのを防止するのに役立つことが意図されている。
【0028】
吸気口13、15は、モータバケット11の両側に設けられた2つの矩形かつ平面状のHEPAフィルタ19を介して、モータバケット11に送り込む。各フィルタ19は、それぞれの内側フィルタカバー21と外側フィルタカバー23との間に挟持される。従って、各フィルタ19は、モータバケット11の両側で平行平面構成に配置される。
【0029】
各場合において、内側フィルタカバー21は、モータバケット11の一部を形成する矩形カバーである。フィルタ19は、この内側カバーにクリップ留めされる硬質のフレームを有する(クリップ25は、
図4に示される)。内側フィルタカバー21には、2つの開口、つまり上方の円形開口27及び下方の略矩形の開口29が設けられている。これらの2つの開口27、29は、フィルタ出口を効果的に形成し、それぞれのフィルタ19を出た空気はここを通ってモータバケット11に流入する。
【0030】
外側カバー23は、それぞれのフィルタ19のフレームの外側にクリップ留めされた別個の矩形カバーである。外側カバー23には2つの平行な矩形スロット31が形成されている。これらの2つのスロット31はフィルタ入口を効果的に形成し、吸気口13、15からの空気はここを通ってそれぞれのフィルタ19に流入することができる。
【0031】
フィルタ19及び外側カバー23は、フィルタ19の上流面と外側カバー23との間に空間又はマニホールドが存在するように構成される。これは、使用時に、フィルタ19が不均一に装着されるのを防止するのに役立つ。同様に、内側フィルタカバー21は、フィルタ19の下流面にわたる空間又はマニホールドを形成することができる。
【0032】
各場合において、フィルタ入口及びフィルタ出口は一緒になってモータバケット11の内部にブロワ9への吸気通路を形成する。従って、2つの平行な吸気通路が存在し、2つのフィルタ19の各々に1つの吸気通路が通っている。
【0033】
各場合において、フィルタ入口は、フィルタ出口からオフセットしているので、フィルタ出口及びそれぞれのフィルタ入口を通る見通し線が存在せず、つまり、内側カバー21の下方の矩形開口29は、それぞれのフィルタ入口を形成する垂直方向スロット31の少し下方に位置決めされ、一方で上方の円形開口27は、それぞれのフィルタ入口を形成する垂直方向スロット31の間に位置決めされる。実際には、ブロワ9への吸気通路の各々は、それぞれのフィルタ19を通る複雑に入り組んだ通路をたどる。
【0034】
フィルタ19は、個別に交換可能であり、各フィルタは、単に内側カバー21からクリップを取り除くことによって取り外し可能であり、取り外した状態で、新しいフィルタを内側フィルタカバー21の適所にクリップ留めすることができる(また、外側カバー23は、クリップを取り除いて再使用、又は使い捨てすることができる)。
【0035】
ファンユニットのためのソフトマウント装置
図13は、遠心ブロワ9の分解図を示す。遠心ブロワ9は、電気モータ(図示せず)を組み込んだ駆動ユニット33、モータの出力軸に結合する遠心ファンインペラ35、及びディフューザ37を備える。ディフューザは、静圧回収のための多数の旋回ベーンを組み込んだディフューザリング39と、ディフューザリング39上に嵌合し、矢印で示すように、遠心ファンインペラ35からの空気流を、環状ファン出口41aを通って外に通すディフューザキャップ41とを備える(
図13には示されていないが、使用時、空気流にはファン出口41aを離れる際にある程度の残余旋回が残る場合がある)。
【0036】
遠心ブロワ9は、モータバケット11の内部で垂直方向にソフトマウント(soft-mounted)されており、環状ファン出口41aは下方を向き、遠心ファンインペラ35の回転軸線Aは垂直方向に延びている。
【0037】
遠心ブロワ9のソフトマウント装置は、上側ソフトマウント組立体及び下側ソフトマウント組立体を含む。
【0038】
下側ソフトマウント組立体は、遠心ブロワ9の下側で端から端まで延びる弾性ダクト43の形態である。ダクト43は漏斗状であり、(ファン出口41aに隣接する)上部において比較的大きな断面を有するが、テーパー付けされて下部では比較的小さな断面を有する。
【0039】
ダクト43の上端は、ディフューザ37の周りにスリーブのように嵌合し、ケーブル結合部(図示せず)を使用して所定位置にクランプ留めされる。
【0040】
膨張式ダクト43の下端はベースプレート45に固定され、これは乾燥装置の主バックプレート48(
図6参照)にハードマウント(hard-mounted)されて耐荷重支持を可能にする。
【0041】
ベースプレートは
図14に示されている。ベースプレートは、取り付けプラットフォーム49によって取り囲まれた中央結合ダクト47を備える。膨張式ダクト43の下端は、結合ダクト47への入口部の周りに着座し、留めリング51(
図11)によって取り付けプラットフォーム49に固定されている。この留めリング51は、取り付けプラットフォーム49上にネジ止めされており(ネジボス53は、
図14に示されている)、膨張式ダクトの下端の一部を形成するフランジ43aを締め付けるが、同時に留めリング51と取り付けプラットフォーム49との間の圧縮シールとしても作用する。
【0042】
上側ソフトマウント組立体は、弾性円錐形支持部材55の形態の4つの「点マウント」を備える。
【0043】
支持部材55の各々の1つは、基部においてモータバケット11に取り付けられ、支持部材55の円錐頂点が遠心ブロワ9の外側ケースと接触するように、インペラの回転軸線Aに対して半径方向内向きに延びている。従って、上側ソフトマウント組立体は、遠心ブロワ9の外側ケースへの4つの「点接触」をもたらし、1つの点接触が4つの支持部材55の各々に対応する。
【0044】
V字形のマニホールド57が設けられ、空気流を2つのエアナイフ排出口3、5へ分配するようになっている。マニホールド57は、エアナイフ排出口3、5の上部を覆うようにケーシング7の内面にネジ止めされる。弾性ガスケット59が使用され、マニホールド57と手乾燥装置のケーシングとの間に圧縮シールを形成するようになっている。
【0045】
マニホールド57は、可撓性ホース61を介してベースプレート45の結合ダクト47の下端に結合され、ベースプレート45とマニホールド57との間の組立許容誤差を吸収することが意図されている。可撓性ホース61の一端は、結合ダクト47の下端に押し込まれて押圧嵌合し、同様に、可撓性ホース61の他端は、マニホールド57の一部を形成する入口ダクト61aに押し込まれて押圧嵌合する。ケーブル結合部は(図示せず)、可撓性ダクト61の各端部に使用することができ、可撓性ダクト61を所定位置に保持するようになっている。
【0046】
エアナイフ排出口3、5の総面積は、環状ファン出口41aの面積に比べて相対的に小さい。その結果、エアナイフ排出口3、5は、環状ファン出口41aの下流で主空気流通路に著しい流れ制限部を形成する。従って、遠心ブロワ9の始動時に、遠心ブロワ9の下流で著しい静圧上昇が生じる。これにより、膨張式ダクト43を加圧するように作用し、結果的に遠心ブロワ9のための空気圧式支柱として機能して、遠心ブロワ9の変位を制限して、モータのアンバランス等で引き起こされるモータ振動を減衰させるのを助ける。
【0047】
主空気流は、遠心ブロワ9の始動時に膨張式ダクト43を加圧するために使用されるので、装置は比較的単純であり、ブリード通路、バルブ、又は別個の空気圧回路は必要ない。
【0048】
所定のブロワ仕様に関して、膨張式ダクト43の加圧速度は、ファン出口41aと空気出口3、5との間の有効容積(「作動容積」)、及び空気出口13、15の総面積(「排出面積」)に依存することになる。その結果、一般的に膨張式ダクトマウント43の加圧は、一般的に排出面積が比較的小さいであろうエアナイフ乾燥器ではより急速になるであろう。ここでは、マウントは所定の作動容積に対して非常に急速に膨張することができるので、非常に素早い初期減衰応答が可能となる。
【0049】
使用時に、支持部材55は、遠心ブロワ9に対する効果的な横方向支持を可能とする(遠心ブロワ9の軸方向変位に対する支持は、膨張式マウント43によってほぼ完全に提供される)。同時に、支持部材55は、駆動ユニット33とモータバケット11との間の接触面積を著しく制限することによって、外部振動伝達を低減する。
【0050】
支持部材55及び膨張式マウント43は一緒になって、手乾燥装置1の外部部品への騒音伝達を低減する、遠心ブロワ9に対する有効なソフトマウント装置を形成する。
【0051】
膨張式マウント
使用時に、駆動ユニット33のブロワ入口33a(
図10)とファン出口41aとの間には、ブロワ9を横切る運動量差ΔM
Blowerが存在することになる。これは、
図15aに概略的に示されている。この運動量差ΔM
Blowerに加えて、ファン出口の下流の作動容積の加圧の結果として、吸気口とファン出口との間には著しい静圧差ΔP
Blowerが存在する。これは、
図15bに概略的に示されている。
【0052】
運動量差ΔM
Blowerは、ブロワ9を垂直方向上向きに押しやる傾向がある「噴出推力(jet thrust)」
FΔP(Blower)を引き起こす。
【0053】
圧力差ΔP
Blowerは、ファン出口41aに隣接する膨張式ダクト43のベクトル面積に有効に対応するディフューザキャップ41のベクトル面積
Aに作用し、結果的に正味上向き圧力
FΔP(Blower)=ΔP
BlowerAをブロワ9に与える。この圧力は、同様にブロワ9を垂直方向上向きに押しやる傾向がある。
【0054】
ブロワ9に与えられる噴出推力
FΔM(Blower)及び圧力
FΔP(Blower)は、ブロワ9をベースプレート45に固定する加圧された膨張式ダクト43によって阻止される。次に、これは膨張式ダクト43をベースプレート45に固定する留めリング51に応力を加える。
【0055】
また、ブロワ吸気口と膨張式ダクト43の下端との間には、運動量差ΔM
Duct及び圧力差ΔP
Ductが存在することになる。これは、
図16a及び
図16bに示されている。
【0056】
この場合、運動量差ΔM
Duct及び圧力差ΔP
Ductは、力を、ブロワ9に直接加えるのではなく、膨張式ダクト43に直接加えるように作用する。
【0057】
図16aを参照すると、運動量差ΔM
Ductは、留めリング51に逆らって膨張式ダクト43を上向きに押す傾向がある、噴出推力
FΔM(Duct)を引き起こす。
【0058】
図16bを参照すると、圧力差ΔP
Ductは、結合ダクト47のベクトル面積
aに作用し、結果的に膨張式ダクト43に正味上向き圧力
FΔP(Duct)=ΔP
aを与える。これは、同様に留めリング51に逆らって膨張式ダクト43を上向きに押す傾向があり、留めリング51に追加の応力を加える。
【0059】
結合ダクト47がディフューザキャップ41のベクトル面積に対応するベクトル面積
Aを有する場合、膨張式ダクト43に直接加わる圧力
FΔP(Duct)は、ブロワ9に加わる圧力
FΔP(Blower)と実質的に同じ大きさになり、結果として得られる留めリング51に加わる応力は大きくなる場合がある。この問題を解決するために、結合ダクト47の直径は、むしろ結合ダクト47のベクトル面積
aの大きさがディフューザキャップ41のベクトル面積
Aの大きさよりも小さくなるように設定される。従って、結合ダクト47は、ディフューザキャップ41の面積に比べて小さな面積の固定オリフィス47aを有効に規定する(本質的に、空気流に対する意図的な制限である)。これは、膨張式ダクト43に直接加わる圧力
FΔP(Duct)の大きさを、ブロワ9に直接加わる圧力
FΔP(Blower)に比べて低減するという利点がある。この低減は、ディフューザ面積Aに無関係に達成され、結果的にブロワ仕様の一部として最適化することができる。
【0060】
また、噴出推力
FΔM(Duct)は、膨張式マウント43を上向きに押しやる傾向があるはずである。しかしながら、噴出推力
FΔM(Duct)の大きさは、一般に比較的小さく、オリフィス面積の広い範囲に対してほとんど一定のままである。その結果、膨張式マウント43に加わる圧力
FΔP(Duct)の低減は、一般に、膨張式マウント43に加わる噴出推力
FΔM(Duct)の何らかの対応する増大なしに得ることができる。このことは、オリフィス面積aの関数としての
FΔP(Duct)及び
FΔM(Duct)を示す
図17から理解することができる。
【0061】
非常に小さなオリフィス面積(a<a1)において、噴出推力
FΔM(Duct)が大きくなる場合がある。留めリング51に加わる応力を低減することだけを意図する場合、圧力
FΔP(Duct)のいかなる低減も、対応する噴出推力
FΔM(Duct)の増大によって相殺されないように留意する必要がある。それにもかかわらず、圧力
FΔP(Duct)の低減自体は、これらの小さなオリフィス面積でも好都合に得ることができる。