(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上部構造物等の重量を水平面で受ける基礎として、下地処理を施した地表面にコンクリート製の床板を打設することが、従来から行われている。
例えば、昭和40年代に建設された送電用鉄塔では、その基礎として、コンクリート製の床板であって、厚さ寸法が2m〜2.5m程度の床板が存在する。
係るコンクリート製の床板は、コンクリートにのみ剪断耐力を期待して、施工されている。
【0003】
その様な床板において、いわゆる「コールドジョイント」等に起因して、床板に剥離或いは亀裂が発生してしまうことがある。そして、その様な剥離或いは亀裂により、床板における剪断耐力が低下してしまう懸念が存在する。
また、床板の上部構造物が線路や道路であって、鉄道、車輌等の重量物が頻繁に往来する箇所の場合には、当該往来による振動や衝撃により、床板の下部である基礎コンクリート部やさらにその下の地盤が軟化してしまう恐れがある。そして、基礎コンクリート部やさらにその下の地盤が軟化してしまうと、その上部の重量により床板が沈下してしまう恐れが存在する。
【0004】
上述した剥離或いは亀裂による床板における剪断耐力の低下という問題に対しては、床板の補強の為に、当該剥離或いは亀裂を包含する領域において、床板の垂直方向に延在する鉄筋を配置して、当該鉄筋をアンカー部材として作用させることにより、上述した剥離或いは亀裂した箇所を補強する工事が一般的に行なわれている。
係る補強工事では、鉄筋を配置する鉄筋挿入孔(例えば、φ53mm〜65mm)を、例えばダイヤモンドチップを配置したコアドリルにより、床板の所定位置に削孔する。
そして、削孔された鉄筋挿入孔内に鉄筋を挿入し、無収縮モルタルを充填する。
【0005】
ここで、ダイヤモンドチップを有するコアドリルを使用した場合には、床板に削孔された鉄筋挿入孔の内壁面が平滑になり過ぎてしまう。
そのため、充填されたモルタルの養生後に、配置された鉄筋に対して地上側へ引っ張る力が作用すると、鉄筋挿入孔の内壁面における摩擦抵抗が小さいため、硬化したモルタルと共に鉄筋が鉄筋挿入孔から抜け出てしまう恐れがある。
【0006】
鉄筋がモルタルと共に鉄筋挿入孔から抜け出てしまう事態を防止するために、鉄筋挿入孔の内壁面に凹部を形成し(いわゆる「傷」を付ける)、或いは、溝を形成する(いわゆる「目粗し」を行なう)ことが、従来から行なわれている。
鉄筋挿入孔の内壁面に凹部を形成し、或いは、溝を形成すれば、鉄筋を地上側に引っ張る力が作用しても、当該凹部或いは溝内に浸入したモルタルが抵抗力を発揮するからである。
【0007】
その様な「目粗し」を行なうための技術として、例えば、鉄筋挿入孔の内径と概略等しい外径を有し且つ外周面に複数個の超硬チップを突設した切削装置を、鉄筋挿入孔の地上側から回転しながら挿入し、以って、鉄筋挿入孔の内壁面に螺旋状の溝を形成する技術が提案されている。
しかし、その様な技術においては、鉄筋挿入孔の内径と概略等しい外径を有する切削装置を地上側から回転させながら挿入するため、切削装置に大きなトルクが必要とされる等、装置の大型化、製品コストの増大、施工コストの増大等の問題が存在する。
【0008】
上記問題の解決策として、目荒らし手段として、鉄筋挿入孔の径方向に沿って相対配置された流体圧ピストンのピストンロッドに取り付けられたローラービットを用いる従来技術(特許文献1参照)が存在する。
係る従来技術(特許文献1)では、環状の溝の渠幅や溝深さを任意に調節できるという利点が有るが、目荒らし手段を動作させる為の流体と配管が必要であり、構成が複雑化してしまうので、高額なコストを抑制するという要請に十分に応えているとは言い難い。
【0009】
また、上述した基礎コンクリート部或いはその下の地盤の軟化による床板の沈下という問題に対しては、床板部をコアドリル等で削孔し、床板下部の地盤を支持層まで削孔し、鋼管等の芯材を挿入した後にモルタル等で充填して、杭を打設し、以って、地盤支持力を増強していた。
係る工法によれば、芯材と、充填材が削孔内壁に付着する力により、床板上部からの重量や衝撃を支えている。しかし、上述したように、コアドリル等で削孔された孔の内壁面が平滑であるため、充填材が削孔内壁に付着する力を大きくすることは困難であり、大きな重量や衝撃を支えることは難しい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に
図1〜
図9を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1〜
図4は、本発明の第1実施形態に係る切削装置(装置全体に符号10を付す)を示している。
図1、
図2では、第1実施形態に係る切削装置10のビット2が半径方向外方に広がった(拡径した)状態を示している。そして、
図3、
図4では、第1実施形態に係る切削装置10のビット2が半径方向内方に移動した収納状態(縮径した状態)を示している。
【0021】
図1〜
図4において、切削装置10は、軸部SHと軸受部1とが一体的に製作されている。例えば円柱状のロッドRdの地中側端部(
図1、
図3では下端部)に接続された軸部SHに、一対の軸受部1、1を溶接等により固着することにより製作可能である。或いは、例えばφ200mmの円柱状の軸部SHの上部及び下部をφ65mm程度に削りだし、中間部にビット2の軸受として機能する様な軸受部1を形成することも可能である。
図1〜
図4では、軸受部1の各々に対して、ビット2が回動可能に配置されている。ビット2は、その半径方向内側が上下2つの部分2A、2Bに分離しており、上方部材2Aと下方部材2Bとの間の領域に軸受部1が挿入されている。換言すれば、ビット2の半径方向内側における上方部材2A、下方部材2Bが、軸受部1を、上下方向Y(
図1、
図3の上下方向)に挟み込んでいる。
なお、ビット2の半径方向内側における上方部材2A、下方部材2Bの上下方向間隙は、軸受部1の厚み(上下方向寸法:Y方向寸法)よりも僅かに大きく設定されている。
【0022】
図2、
図4において、軸受部1は円柱状の一部を切り欠いた形で形成され、当該切り欠いた領域にビット2が収納される。ビット2の形状によっては、切り欠いた領域の形成が不必要な場合もある。
切削装置10の軸受部1には、軸受部1の軸心Oを中心として点対称となる位置に、回転軸(以下、「ビット回転軸」と言う)4がそれぞれ挿通されている。
図1、
図3で示す様に、ビット回転軸4は、ビット2の上方部材2A、下方部材2Bと、軸受部1を貫通している。換言すれば、ビット2の上方部材2A、下方部材2B、軸受部1を貫通する貫通孔が2箇所形成されており、当該貫通孔にビット回転軸4が挿入されている。
上述した様に、ビット2の半径方向内側における上方部材2A、下方部材2Bが、軸受部1を、上下方向Y(
図1、
図3の上下方向)に挟み込んでおり、ビット2の上方部材2A、下方部材2Bと、軸受部1を貫通してビット回転軸4が挿入されているので、ビット2は、ビット回転軸4を中心にして、軸受部1に対して回動(回転)自在である。
【0023】
図2で示す様に、ビット2は略々矩形の平面形状をしており、半径方向外方の角部に切削用チップ3が取り付けられている。切削用チップ3は、後述する孔の内壁面を切削するのに適切な形状としており、先端が鋭い形状であり、硬質な材料で製造されている。
図2を参照すれば明らかなように、
図1において、右側のビット2の半径方向外方の切削用チップ3は、
図1の配置では直接目視することが出来ない。そのため、
図1の右側のビット2では、切削用チップ3を、点線により表示している。
ビット2の後方部分(半径方向内方)には、ビット回転軸4を中心に回転自在に取り付けるため、軸受部1の貫通孔と対応する位置に貫通孔が穿孔されている。
図1、
図3において、図示はしないが、切削装置10の上部はロッドRd等の上部構造、或いは上方ガイド部材6(
図15の第3実施形態参照)と接続可能にするため、ネジ切り加工がされている。そして、切削装置10の下部は下方ガイド部材7(
図15の第3実施形態参照)と接続可能にするため、ネジ切り加工がされている。
ロッドRdに対して、地上側に設けられた図示しない回転駆動源により回転力を付与すると、ロッドRdに接続された切削装置10も回転する。例えば、矢印ROの方向(回転方向)に300rpm以上の回転速度で回転すると、切削装置10の軸心Oを回動中心にして
図2で示す様にビット2が最大拡径した状態になる。
【0024】
図2、
図4、
図8、
図9で示すように、ビット2が回転方向ROに300rpm以上の回転速度で回転して拡径した時に、ビット2が回転方向に回動し過ぎてしまうことを規制するために、ストッパーピン5を設けることが可能である。
図2の例では、ストッパーピン5は、ビット2が回転方向ROに300rpm以上の回転速度で回転して最大拡径した状態において、進行方向側縁2sfに当接して、ビット2がそれ以上矢印RO側に移動しない様に規制している。
後述する様に、ビット2は遠心力により拡径するので、ストッパーピン5を設けなくても、ビット2は
図2で示す状態以上に矢印RO側へ移動してしまうことは(通常は)ない。
さらに、ストッパーピン5の位置を調節することで、ビット2が拡径したときに地盤を切削できる径を調節することが可能である。
図示はしないが、例えば
図2のストッパーピン5の位置を、ビット2の拡径量を抑える位置に(
図2の右の軸受部1のストッパーピン5を右下方向に、左の軸受部1のストッパーピン5を左上方向に)変位することにより、ビット2が最大に拡径出来る量を制御することが可能である。
換言すれば、ストッパーピン5の位置を調整することにより、後述する様に地盤中に円環状の溝を切削する際に、溝の深さを任意に設定することが可能となる。
【0025】
ビット2が縮径した状態(ビット2が収納された状態:非切削時)が、
図3、
図4に示されている。
縮径しているビット2(
図3、
図4)を拡径する(
図1、
図2)ためには、ロッドRd及び切削装置10を300rpm〜1000rpmの回転数で回転させる。
【0026】
図示はされていないが、例えば
図1において、左右のビット2先端に設けられたチップ3の上下方向位置(
図1のY方向位置)が異なる様に配置すれば、掘削時にビット2が拡径してチップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突する際に、垂直方向位置が異なる2箇所にて同時に凹部が形成されるので、「目粗し」の効率が向上する。
一方、左側のチップ3先端の垂直方向位置と、右側のチップ3先端の垂直方向位置を同一にすれば(例えば、
図1参照)、鉄筋挿入孔の内壁面に、短時間で円環状の溝を形成することが出来る。
【0027】
目粗し作業の終了後は、切削装置10を地上側に引き出す。
その際に、必要があればロッドRdを矢印RS方向に回転し、拡径しているビット2を、
図3、
図4に示すように縮径して、地上側に引き上げる。
明確には図示されていないが、切削装置10の下端部から水や圧縮空気を地中側に向かって噴射する様に構成して、切削されたコンクリートの切粉やスライムを地上側に排出することが出来る。
【0028】
次に、
図5〜
図9を参照して、第1実施形態による「目粗し」の施工の態様を説明する。
図5に示す工程では、図示しないダイヤモンドビットで床板Sに削孔された鉄筋挿入孔Hに、ロッドRdの下端(地中側端部)に接続した切削装置10を挿入する。
図5で示す状態では、切削装置10は、
図3、
図4で示す縮径状態となっている。すなわち、ビット2は軸受部1に収納されており、開いていない状態である。
【0029】
図6に示す工程では、
図5の状態から、ロッドRd及び切削装置10を、矢印RO方向(縮径しているビット2が拡径する回動方向)に回転する。
回転が所定回転以上になると、遠心力によりビット2が開き(拡径して)、先端のチップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突する。チップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突した箇所は、
図6では符合P1(
図6の右側)、P2(
図6の左側)で示されている。
その結果、チップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突した位置には、2箇所の凹部(いわゆる「傷」)P1、P2が形成される。
【0030】
先端のチップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突して、2箇所の凹部P1、P2が形成されると(
図6)、衝突の反動で、ビット2は、一旦、半径方向内方に移動(縮径方向に移動)する(
図7)が、切削装置10には連続的に回転力が付与されているので、遠心力により再びビット2は開く。
以下、
図6で示す状態と、
図7で示す状態とが繰り返されて、鉄筋挿入孔Hの内壁面には無数の凹部が形成される。
図8〜
図9は、上記の凹部形成を平面的に表している。
【0031】
図8、
図9において、図示しない回転駆動力源からの回転力により、ロッドRdを通じて切削装置10に、回転RO方向(ビット2が拡径する方向)の回転力が付与される。そして、一定以上の回転になると、遠心力が作用して、ビット2は回転軸4の軸心4oを中心として、外側に押し出される(ビット2が開き拡径する)様に回動する。
図示の例では反時計回り(矢印RO方向)でビット2が開く(拡径する)ように構成されているが、ロッドRd及び切削装置10を逆方向(時計方向)に回転した際にビット2が開くように構成することも当然可能である。
そして、切削装置10の連続的な回転により遠心力が増大し、拡径したビット2の先端部にあるチップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突、打撃する。チップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突した箇所には、内壁面に凹部(いわゆる「傷」)が形成される。
【0032】
ここで、切削装置10の垂直方向位置(
図5〜7の上下方向位置)が同一であると、当該無数の凹部は、
図6における凹部P1、P2と同一の垂直方向位置に形成される。さらに、同一位置で上記動作を繰り返し行うことにより、鉄筋挿入孔Hの内壁面に「点」として作成された凹部(傷)は、連続的な「線」あるいは「面」である円環状の溝として形成される。溝部はさらに拡大し、深くなることにより、やがては鉄筋挿入孔Hが拡径される。
一方、切削装置10の垂直方向位置を徐々に変化させると、鉄筋挿入孔Hの内壁面には、断続的に多数の凹部が形成されることになる。
【0033】
ここで、ロッドRd及び切削装置10の回転速度について、説明する。
チップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突した後で、これを反力としてビット2は閉じようとする(矢印RO方向の反対方向に戻ろうとする:ビット2が
図8の矢印RI方向に移動する)が、切削装置10の連続的な回転による遠心力により、再びビット2は拡径方向に押し出され、鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突する。
ところで、ロッドRd及び切削装置10の回転速度が早いほど、ビット2に作用する遠心力は増大し、ビット2が上記反力を受けた状態(矢印RO方向の反対方向に戻った状態:ビット2が
図8の矢印RI方向に移動した状態)から、再度RO方向への回転へ切り替わるまでの時間が短くなるため、ビット2が鉄筋挿入孔H内壁面と衝突する回数が増加する。また、ビット2が拡径する速度が速くなり、チップ3が鉄筋挿入孔H内壁面に衝突する衝撃力が強くなるので、鉄筋挿入孔H内壁面における凹部の深さが十分に深くなり、凹部を形成するための時間が短縮され、「目粗し」作業の効率が向上する。
これに対して、ロッドRd及び切削装置10の回転速度が300rpm未満であると、ビット2が再度RO方向への回転に切り替わるまでの時間が長くなり、また、拡径する速度も遅くなり、チップ3が鉄筋挿入孔H内壁面に衝突する回数や衝撃力が不足してしまう。そのため、凹部形成のために長時間が必要となり、「目粗し」作業の効率が低下する。
【0034】
一方、ロッドRd及び切削装置10の回転速度が1000rpmよりも回転数が多いと、ロッドRdや切削装置10に回転を付与するための回転力伝達系統や切削装置10本体が破損してしまう恐れがある。
そのため、図示の実施形態では、ビットの回転数は1000rpm以下に設定している。
【0035】
次に、
図10〜
図14を参照して、本発明の第2実施形態について、説明する。
第1実施形態では、
図5〜
図9を参照して、
図1〜
図4で示す切削装置10を用いて、床板Sに形成された鉄筋挿入孔Hの内壁面に対して「目粗し」作業を行なう。
これに対して、第2実施形態では、例えば、鉄道、車輌等の重量物が頻繁に往来する箇所において、当該往来による振動や衝撃により基礎コンクリート部やその下の地盤が軟化して、床板が沈下してしまうことの防止対策として、杭を打設している。
【0036】
図10は、床板Sの上部構造物が線路及び道路であり、そこを往来する鉄道T、車輌(例えば、バスやトラック等の大型車輌)V等による振動や衝撃により、地盤Gが軟化し(軟化した地盤を符号Gnで示す)、床板Sが沈下してしまうおそれがある領域を表している。
図10で示す例では、床板S打設位置の地盤Gをある程度の深さまで掘削し、基礎コンクリートCを打設した後、床板Sを施工している。
図10では、床板S状の枕木を符合WRで示し、枕木WRに配置されている鉄道用レールを符合Rlで示す。
床板が沈下することの防止対策として、床板Sの上部から支持杭を打設することが知られている。しかし、従来の対策では、杭が床板Sを支える力として床板Sと杭との付着力を期待しているが、上述した様に床板Sに穿設した挿入孔Hの内壁面が平滑であるため、床板Sと杭の充填材との付着力が不足していた。
係る課題解決のため、
図10〜
図14の第2実施形態では、杭の一部を拡径して、拡径した部分で上部の重量を受け持つ構造の杭を打設している。
【0037】
第2実施形態では、
図11で示す様に、先ず、床板Sの上部から地盤Gへ連通する孔を、削孔機械BMにより削孔している。支持杭とするため、挿入孔Hを支持層GSに達するまで削孔する。
次に、
図12で示す工程では、図示しない回転駆動力発生源に接続されたロッドRdの先端(
図12の下側)に接続された切削装置10を、挿入孔Hの拡径する部分の最下部(
図12の下側)にセットする。
そして、
図5〜
図9を参照して前述したように、同一の垂直方向位置において、切削装置10を300rpm〜1000rpmで連続回転させることにより、挿入孔Hに円環状の溝を形成し、以って、挿入孔Hを拡径する。最下部が十分に拡径できた後、切削装置10を地上側(
図12の上側)の未拡径部分に移動して(引き上げて)、同一の態様で当該未拡径部分の拡径を行う。
図12〜
図14の例では、φ200mmで穿設された挿入孔Hをφ300mmまで拡径している。
【0038】
図13で示す工程では、床板Sの下部に達するまで挿入孔Hをφ300mmに拡径した後、切削装置10を地上側に引き上げ、杭の芯材(例えば、鋼管)30Aを挿入している。
図13において、床板Sの打設厚さ(
図13の上下方向の距離)は2m、基礎コンクリートCの打設厚さ(
図13の上下方向の距離)は1mであり、拡径部の長さ(
図13の上下方向の距離)は1.5mとしているため、拡径部の最下部(
図13の下側)は、基礎コンクリートCの下の地盤Gに達している。ここで、各寸法(床板Sの打設厚さ、基礎コンクリートCの打設厚さ、拡径部の長さ)は、床板S及び上部構造物の重量、衝撃力等を勘案し適宜決定する。
【0039】
そして
図14で示す工程では、芯材30Aの挿入後に挿入孔Hを充填材(例えばモルタル)40で充填し、頭部処理42を行って、支持杭44の打設が完了する。
図14で示すように、打設された支持杭44は、床板Sの下部でφ200mmからφ300mmに拡径されているため、摩擦面積が拡大されたことにより支持力が増加される。さらに、支持杭44には段部44Sを形成しているため、床板S及び上部構造物からの重量、衝撃を段部44Sが十分に受け持ち、支持杭44本体は地盤G深部の支持層Gsにより支持されているので、床板Sが沈下することを防止できる。
さらに、床板Sに穿設した挿入孔Hの内壁面HIを、
図5〜
図9を参照に前述したように「目粗し」しておけば、支持杭44の充填材40と床板Sとの付着力が向上することにより、床板Sと支持杭44の一体化が図れる。また、基礎コンクリートCの下の地盤Gにおける領域Gnの軟化が激しい場合は、領域Gnを注入材等で改良することにより地盤Gの耐力が増大し、支持杭44の効果が最大限に発揮できる。
【0040】
次に、
図15を参照して、第3実施形態を説明する。
図1〜
図4で示した第1実施形態の切削装置10においては、ビット2は上下方向に1段だけ設けられている。
それに対して、
図15の第3実施形態の切削装置10Aでは、ビット2Aが上下方向に2段設けられている。
図15において、切削装置10Aは、4枚の軸受部1Aと、1枚の軸受部1Bと、2対のビット2Aと、2対のチップ3Aと、1対のビット回転軸4Aと、上方ガイド部材6と、下方ガイド部材7と、センター軸20とを備えている。
4枚の軸受部1A、1枚の軸受部1Bは、それぞれが、ビット2Aを構成する部材2a、2bの厚みと概略等しい間隔を隔てて、センター軸20の軸部201に固着されている。係る構造は、例えば、
図1〜
図4を参照して前述した方法を応用して、削り出しによって製造することが可能である。
【0041】
4枚の軸受部1Aは、2箇所に軸貫通孔1Ahを有している。
軸受部1Bは、軸受部1Aと同様な輪郭を有しており、軸受部1Aの2箇所の軸貫通孔1Ahと同じ位置に貫通雌ねじ1Baが形成されている。
図1〜
図4で説明したのと同様に、ビット2Aは、その半径方向内方の領域が上方部材2aと下方部材2bを備え、上方部材2aと下方部材2bとの間の空隙部に、軸受部1Aが挟持されている。そして、ビット2Aと、上方部材2a及び下方部材2bは、ビット回転軸4Aを介して、軸受部1Aに軸支される。
チップ3Aは、ビット2Aの半径方向外方端部に取り付けられている。
ビット回転軸4Aは、軸部の長いボルトにより構成されており、その先端の雄ねじ4Abが、軸受部1Bに形成された貫通雌ねじ1Baに螺合している。
【0042】
センター軸20は、軸部201と、上端雄ねじ部202を有している。上端雄ねじ部202は軸部201の上端に形成されている。なお、符号203は、軸部201の垂直方向下端部を示している。
上端雄ねじ部202は、上方ガイド部材6の軸部下端に形成された図示しない雌ねじと螺合して、接続している。
上方ガイド部材6の軸部上方には、2箇所の図示しない環状の溝が形成され、当該環状の溝には止め輪81が装着されており、ボールベアリング60を挟持している。そして、ボールベアリング60のアウターレースの外周側にドーナツ型の部材が装着され、上方ガイド部材6を構成している。
【0043】
センター軸20の下端部203には、ボールベアリング70を介して、下方ガイド部材7が回転自在に取り付けられている。
ボールベアリング70は、リテーナ8によって下端部203からの脱落が防止されている。リテーナ8は、円板の中心に貫通孔(ボルト挿通孔)8aが形成された円盤状の部材であり、その外径寸法は、下端部203の直径よりも大きく、ボールベアリング70のアウターレースの内径よりも小さく設定されている。
下端部203の下端面203eには、雌ねじ203aが形成され、その雌ねじ203aは、植え込みボルト9の雄ねじ9aと螺合して、リテーナ8を下端面203に取り付けている。
【0044】
上方ガイド部材6及び下方ガイド部材7は、図示しないダイヤモンドビットにより床板S(或いは、床板Sと、基礎コンクリートCと、地盤G)に削孔された鉄筋挿入孔の内径と概略同一であるが、僅かに小さい外径を有しており、切削装置10Aの案内部材或いはパイロット部材としての機能を奏する。
上方ガイド部材6及び下方ガイド部材7は、本発明の第1実施形態及び第2実施形態で示した切削装置10に取り付けることも効果的である。
なお、地盤の状況等により、上方ガイド部材6又は下方ガイド部材7のうちどちらか一方を省くことが可能な場合もある。
【0045】
上述した様に、第3実施形態の切削装置では、
図15で示すように、左右に二枚ずつ、すなわち、垂直方向に二段のビット2Aが設けられている。
二段のビット2Aの各々先端に設けられているチップ3Aが、鉄筋挿入孔の内壁を切削するので、同時に多数の凹部(
図15では4箇所)を形成することが出来る。そのため、目粗し作業や鉄筋挿入孔の内径を拡大する作業の効率が向上する。
【0046】
第3実施形態では、複数のビット2Aの半径方向内方(チップ3Aの反対側端部:基部)を、それぞれ二股(上方部材2a、下方部材2b)に形成して、二股に形成された基部の各々を、三枚の軸受部1Aの間に挿入して、ビット回転軸4Aによって、回動可能に取り付けている。
これにより、ビット2の頭部(半径方向外方)の厚みは大きいが、基部のそれぞれの厚みが小さく構成されている。
ビット回転軸4Aとビット2Aの基部とが接する面積が小さいため、ビット2Aが回転するときの摩擦力が低減でき、スムーズな目粗しが実現可能となる。
また、第1実施形態においても、ビット2の半径方向内方(チップ3の反対側端部:基部)を上方部材2a及び下方部材2bにより二股に形成して、当該二股に形成された基部で軸受部1を挟み込み、ビット回転軸4によって回転可能に取り付けているので、ビット2の頭部(半径方向外方)の厚さ寸法が大きくなる様に構成されている。これにより、挿入孔Hの内壁面を打撃するチップ3を取り付ける面を大きく設計することができる。
【0047】
次に、
図16〜
図19を参照して第4実施形態を説明する。
図16〜
図19の第4実施形態図の切削装置10Bは、
図1〜
図4で示す切削装置(第1実施形態)及び
図15で示す切削装置(第3実施形態)に比較して、ビット2Bの垂直方向寸法Lが非常に長く構成されている。
ビット2Bの垂直方向寸法Lを長くすることにより、目粗し作業の際に、ビットの拡径、縮径動作が安定して、確実に、鉄筋挿入孔内壁面に凹部や溝を形成することが出来る。
【0048】
図16〜
図19の第4実施形態では、ビット回転軸4Bの垂直方向寸法が長いので、ビット2Bの開閉(拡径、縮径)動作が安定するのである。
また、ビット2Bの垂直方向寸法Lを長くすることにより、第1実施形態の装置と比較してビット重量を大きく設計出来る。
ここで、
図8を参照して前述したように、切削装置10を鉄筋挿入孔Hに設置して回転させると、切削装置10のビット2は、先端部のチップ3と鉄筋挿入孔Hの内壁面との衝突を反力として一端閉じようとするが、切削装置10の連続的な回転による遠心力により、再び拡径方向に押し出され、鉄筋挿入孔Hの内壁面に衝突する。
本発明では、この連続運動により目粗しや溝切りを行なっているが、ビット2の重量を大きくすることにより、上記反力が作用した場合でも、ビット2が閉じる方向に移動する量を軽減できる。
さらに、切削装置10の回転数を低く抑えることによりビット2の反動を制御し、チップ3をダイヤモンド等の超硬チップとすることで、チップ3が鉄筋挿入孔Hの内壁面を擦ることにより溝切りすることも可能となる。
ただし、ビット回転軸4Bの垂直方向長さが長過ぎると、ビット重量が大きくなりすぎてしまうので、拡径、縮径の動作に不都合である。
図16〜
図19の例では、ビット2Bが縮径した状態の外寸直径(ビット2Bが縮径している場合の径方向寸法)55mmに対して、ビット2Bの垂直方向寸法Lは150mmである。
ここで、ビット2Bの垂直方向寸法Lが外寸直径の2倍より短いと、ビット2Bの開閉(拡径、縮径)動作が安定するという効果が薄れてしまう。一方、ビット2Bの垂直方向寸法Lが外寸直径の4倍を超えると、ビット2Bの重量により開閉(拡径、縮径)動作が難しくなる。
【0049】
図16、
図17において、切削装置10Bは、上方軸受部1Cと、下方軸受部1Dと、1対のビット2Bと、1対のチップ3Bと、1対のビット回転軸4Bとを有している。
上方軸受部1Cは、小径部11Cと、大径部12Cと、テーパー部13Cとを有している。テーパー部13Cは、小径部11Cと大径部12Cとを一体に接続している。
【0050】
小径部11Cには、図示では明確に示さない雌ねじが形成され、その雌ねじは、ロッドRdAの下端に形成された図示しない雄ねじと螺合している。
ここで、1対のビット2Bが縮径している(切削していない)状態が、
図16、
図17で示されている。
図16において、大径部12Cの下端面の2箇所には、雌ねじ14Cが形成されている。雌ねじ14Cは、ビット回転軸4Bの端部に形成された雄ねじ41Bと螺合している。
【0051】
下方軸受部1Dには、大径部11Dと、小径部12Dが設けられている。
大径部11Dの直径は、ビット2Bが縮径した時の外方端部の直径(最大径)よりも大きく設定されている。
小径部12Dにおいて、下端部(大径部11Dと離隔する側の端部)近傍には環状溝13Dが形成され、その環状溝13Dには止め輪90が装着されている。
小径部12Dと大径部11Dの境界と、止め輪90の間には、ボールベアリング70が装着されている。
【0052】
第4実施形態の切削装置10Bが拡径して、目粗し作業を行っている状態が、
図18、
図19で示されている。
図16〜
図19の切削装置10Bにおける目粗し作業の態様については、
図5〜
図7で説明したのと同様である。
図16〜
図19の第4実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、
図1〜
図15の実施形態と同様である。
【0053】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。