(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材を係合溝が形成された部材で構成して、前記保持機構を、前記保持部材を挿通させる挿通穴と前記係合溝に係合する縁部を有する係合穴とが連続して形成されたシャッターで構成し、前記取付状態維持片を前記シャッターと一体からなる部材で構成した請求項2に記載のマニピュレータの抜け防止機構。
前記マニピュレータに、負圧により前記保持部品を吸着する負圧発生装置が接続されているとともに、前記保持機構および前記取付状態維持機構が負圧発生装置が発生する負圧によって作動するものであり、かつ、前記保持部品を吸着する負圧発生装置と、前記保持機構および前記取付状態維持機構を作動させる負圧発生装置とが共通のものである請求項1ないし8のうちのいずれか一つに記載のマニピュレータの抜け防止機構。
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、前述した従来の電子部品実装装置では、保持部材の重さが重い場合には、板ばね部材が溝部から外れて、マニピュレータがヘッドのホルダーから抜け出てしまうことがある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、マニピュレータがヘッドのホルダーから抜け出ることを防止できるマニピュレータの抜け防止機構を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構の構成上の特徴は、ヘッド(13a,13b)に設けられた筒状のホルダー(13c)と、ホルダーに嵌合する筒状の嵌合部(21,41)と保持部材(B,50)を保持する保持機構(26a,27a,46a)とを含み、取付部(30)を介してホルダーに着脱可能に取り付けられるマニピュレータ(20,40)とを備えたマニピュレータの抜け防止機構において、
ホルダーに対して進退可能な移動部材(26,27,46)をマニピュレータに設け、移動部材は、ホルダーに対して進んだ状態において、ホルダーにマニピュレータが取り付けられたときの取付部の取付状態を
、ホルダーから嵌合部の脱不能状態に維持させる取付状態維持機構
を構成する取付状態維持片(26b,27b,46b)となるとともに、保持機構
として保持部材を保持
するように構成され、移動部材が、ホルダーに対して後退することで、保持機構が保持部材の保持を解除するとともに、取付状態維持機構が、取付部の取付状態をホルダーから嵌合部の脱不能状態を解除し、嵌合部をホルダーから着脱可能にするように構成されていることにある。
【0010】
本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構には、保持機構の動作に連動して、保持機構が保持部材を保持するときに取付部の取付状態を維持させ、保持機構が保持部材を解放するときに取付部の取付状態を維持させた状態を解除する取付状態維持機構が備わっている。このため、保持機構が保持部材を保持して保持機構に大きな負荷が掛った状態のときに、取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させて、マニピュレータがヘッドのホルダーから抜け出ることを確実に防止する。また、保持機構が保持部材を保持していないときには、保持機構や取付部に大きな負荷は掛らないため、マニピュレータは、取付状態維持機構による状態維持作用が働かなくとも、取付部を介してヘッドに取り付けられた状態に維持される。
【0011】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構の他の構成上の特徴は、取付部を、嵌合部に設けられた溝部(35)
と、ホルダーに設けられた係止溝(34b)と、溝部と係止溝に着脱可能に係合する係合部材(32)と、ホルダーに設けられ係合部材を弾性により溝部および係止溝に押し付ける弾性部材(31)とで構成し、取付状態維持
片は、ホルダーに対して進
んだ状態において、係合部材が溝部および係止溝から脱不能となるように弾性部材を支持するように構成したことにある。本発明によると、取付部と取付状態維持機構とを簡単な構造にすることができる。
また、本発明においては、保持部材を係合溝が形成された部材で構成して、保持機構を、保持部材を挿通させる挿通穴と係合溝に係合する縁部を有する係合穴とが連続して形成されたシャッターで構成し、取付状態維持片をシャッターと一体からなる部材で構成することもできる。
【0012】
なお、本発明では、例えば、取付部を、嵌合部に設けた1つまたは複数の溝部と、ホルダーに取り付けられて溝部に係合する1つまたは複数のばね部材とを備えた機構で構成し、取付状態維持機構を1つまたは複数のばね部材における溝部側と反対側の表面に対して進退可能な取付状態維持片で構成することが好ましい。この場合、ばね部材は、溝部に直接係合するばねであってもよいし、ばねと溝部に係合する部材とで構成され溝部に係合する部材をばねが溝部に押圧するものであってもよい。ばね部材を、ばねと溝部に係合する部材とで構成する場合には、例えば、溝部に係合する部材を丸棒状のピンで構成して、ホルダーにピンを周面側から挿入でき内部に貫通する切欠きを設け、その切欠きに溝部を合わせた状態で嵌合部をホルダーに取り付けて切り欠きと溝部との内部にピンを入れ、ばねでピンを溝部に押圧することができる。
【0013】
また、取付状態維持機構を構成する取付状態維持片が、ばね部材の表面側に位置することにより、ばね部材が溝部から離れることを防止できるため、ばね部材と溝部とが係合した状態を維持させることができる。そして、取付状態維持片が、ばね部材の表面側から後退することにより、ばね部材が溝部から離れるように撓むことが可能になるため、ばね部材と溝部とが係合した状態を解除することが可能になる。なお、この場合も、ばね部材の弾性よりも大きな力が加わって、ばね部材と溝部との係合が解除されない限り、マニピュレータがホルダーに装着された状態は維持される。また、この場合のばね部材の表面は、ばね部材が溝部との係合を解除する際に撓もうとする方向の面であり、取付状態維持片は、この面に対して正面から進退してもよいし、側方から進退してもよい。
【0014】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、
ヘッドに設けられた筒状のホルダーと、ホルダーに嵌合する筒状の嵌合部と保持部材を保持する保持機構とを含み、取付部を介してホルダーに着脱可能に取り付けられるマニピュレータとを備えたマニピュレータの抜け防止機構において、ホルダーにマニピュレータが取り付けられたときの取付部の取付状態を維持させる取付状態維持機構を設けるとともに、取付状態維持機構を前記保持機構に連動させて、保持機構が保持部材を保持するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させ、保持機構が保持部材を解放するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させた状態を解除するようにし、保持機構を、保持部材を挟むことにより保持する一対の挟持片(26a,27a)で構成し、取付状態維持
機構をそれぞれ一対の挟持片の一方と一体からな
りホルダーに対して進退可能な一対の取付状態維持片(26b,27b)で構成したことにある。
【0015】
本発明では、一対の挟持片の一方と一対の取付状態維持片の一方および一対の挟持片の他方と一対の取付状態維持片の他方とがそれぞれ一体であるため、部品点数が減少してマニピュレータの抜け防止機構が簡単な構造になる。なお、本発明の場合、一対の挟持片が互いに接近したり離間したりして、保持部材を挟持したり解放したりする際に、一対の取付状態維持片は、互いに対向する方向からばね部材の表面に対して進退することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、
ヘッドに設けられた筒状のホルダーと、ホルダーに嵌合する筒状の嵌合部と保持部材を保持する保持機構とを含み、取付部を介してホルダーに着脱可能に取り付けられるマニピュレータとを備えたマニピュレータの抜け防止機構において、ホルダーにマニピュレータが取り付けられたときの取付部の取付状態を維持させる取付状態維持機構を設けるとともに、取付状態維持機構を保持機構に連動させて、保持機構が保持部材を保持するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させ、保持機構が保持部材を解放するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させた状態を解除するようにし、保持部材(50)を係合溝(53a)が形成された部材で構成して、保持機構を、保持部材を挿通させる挿通穴(48a)と係合溝に係合する縁部を有する係合穴(48b)とが連続して形成されたシャッター(46a)で構成し、取付状態維持
機構をシャッターと一体からな
りホルダーに対して進退可能な取付状態維持片(46b)で構成したことにある。
【0017】
本発明において、保持機構を構成するシャッターは、係合溝を備えた保持部材を保持するものであり、このシャッターには、保持部材を挿通させる挿通穴と、係合溝に係合可能な縁部を有する係合穴とが設けられている。このため、保持部材として、バックアップピンを用い、このバックアップピンを挿通穴に位置させた状態で、シャッターを移動させて係合穴の縁部を溝部に係合させることにより、バックアップピンをシャッターで保持することができる。その際に、取付状態維持片は、ばね部材の表面に対して後退した位置からばね部材の表面に向かって移動する。また、取付状態維持片とシャッターとが一体であるため、部品点数が減少してマニピュレータの抜け防止機構が簡単な構造になる。
【0018】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、保持機構で保持部材を保持する際に、シャッターの位置が保持部材を保持するための適正位置にあるか否かを確認する第1の確認手段(14,42,46a)を設けたことにある。本発明によると、確認手段が、シャッターが適正位置に位置していると確認したときだけ保持機構を作動させることができる。これによると、シャッターが保持部材を確実に保持することができる。また、保持機構が保持部材を保持する際に、保持部材がシャッターに衝突することを防止できる。これによってシャッターや保持部材が破損することを防止できる。
【0019】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、
ヘッドに設けられた筒状のホルダーと、ホルダーに嵌合する筒状の嵌合部と保持部材を保持する保持機構とを含み、取付部を介してホルダーに着脱可能に取り付けられるマニピュレータとを備えたマニピュレータの抜け防止機構において、ホルダーにマニピュレータが取り付けられたときの取付部の取付状態を維持させる取付状態維持機構を設けるとともに、取付状態維持機構を保持機構に連動させて、保持機構が保持部材を保持するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させ、保持機構が保持部材を解放するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させた状態を解除するようにし、ホルダーにマニピュレータを取り付ける際に、マニピュレータが取り付け可能な状態であるか否かを確認する第2の確認手段(18,49a,49b)を設けたことにある。本発明によると、ホルダーにマニピュレータを確実に取り付けることができる。
【0020】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、
ヘッドに設けられた筒状のホルダーと、ホルダーに嵌合する筒状の嵌合部と保持部材を保持する保持機構とを含み、取付部を介してホルダーに着脱可能に取り付けられるマニピュレータとを備えたマニピュレータの抜け防止機構において、ホルダーにマニピュレータが取り付けられたときの取付部の取付状態を維持させる取付状態維持機構を設けるとともに、取付状態維持機構を保持機構に連動させて、保持機構が保持部材を保持するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させ、保持機構が保持部材を解放するときに取付状態維持機構が取付部の取付状態を維持させた状態を解除するようにし、保持機構および取付状態維持機構がばね(25a,25b,45a,45b)の弾性とばねの弾性に抗する負圧発生装置の作動とにより往復移動する作動部分を備えたものであることにある。本発明によると、保持機構と取付状態維持機構との作動が、ばねの弾性とばねの弾性に抗する負圧発生装置の作動とによるものであるため、作動部分の往復移動が確実になる。
【0021】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構のさらに他の構成上の特徴は、マニピュレータに、負圧により保持部品を吸着する負圧発生装置が接続されているとともに、保持機構および取付状態維持機構が負圧発生装置が発生する負圧によって作動するものであり、かつ、保持部品を吸着する負圧発生装置と、保持機構および取付状態維持機構を作動させる負圧発生装置とが共通のものであることにある。
【0022】
本発明によると、元々、マニピュレータが取り付けられる電子部品実装装置に備わっている負圧発生装置を保持機構および取付状態維持機構を作動させるためにも利用できるため、新たに、保持機構用の負圧発生装置や、取付状態維持機構用の負圧発生装置を設ける必要がなくなる。また、本発明によると、装置全体の簡略化が図れるとともに、保持機構と取付状態維持機構との動作を同期させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、同実施形態に係るマニピュレータの抜け防止機構を備えた電子部品実装装置10を示している。この電子部品実装装置10は、基板A上に、ICチップ、抵抗器、コンデンサ等からなる電子部品B(
図2および
図3参照)を実装するための装置である。電子部品実装装置10は、基台11の上方で、基板AをX方向(
図1に矢印aで示した左右方向)に移動させて予め設定された設置部(
図1における基板Aの位置)に設置するためのコンベア12と、基台11の上方に配置されX方向およびY方向(
図1に矢印bで示した前後方向)に移動する一対の移載ヘッド13a,13bと、基台11の上面に配置された部品撮像カメラ14と、電子部品Bを供給する複数のテープフィーダ15からなる電子部品供給部15a,15bとを備えている。
【0025】
コンベア12は、載置台12aと、載置台12aの前後に設けられ基板Aを前後から挟んで固定する一対のレール部12b,12cと、搬送モータ(図示せず)の作動により載置台12aを移動させて基板Aを搬送するボールねじ12dとを備えている。また、基台11の上面における載置台12aの前後両側には、駆動装置を備えた一対のXレールユニット16a,16bが一定間隔を保って左右方向に延びている。そして、その一対のXレールユニット16a,16bに、Yレールユニット17が左右方向に移動可能な状態で掛け渡されている。
【0026】
Yレールユニット17は、Xレールユニット16a,16bに沿って移動可能な脚部17a,17bと、脚部17a,17bの上端に掛け渡されたY軸部17cとを備えている。そして、Y軸部17cには、移載ヘッド13a,13bを移動可能に支持するレール部17dと、レール部17dに沿って移載ヘッド13a,13bをそれぞれ個別に移動させる駆動装置とが備わっている。このため、Yレールユニット17は、Xレールユニット16a,16bの駆動装置の駆動により左右方向に移動する。そして、移載ヘッド13a,13bは、Y軸部17cの駆動装置の駆動によりレール部17dの長手方向に沿って移動する。
【0027】
この移載ヘッド13a,13bには、複数の円筒状のホルダー13cと、この複数のホルダー13cの下端にそれぞれ取り付けられ電子部品Bを保持する電子部品用のマニピュレータ20とが備わっている。また、移載ヘッド13a,13bには、複数のホルダー13cを個別に昇降させるZ軸サーボモータと、複数のホルダー13cを個別に回転方向に回転させるR軸サーボモータとが備わっている。このため、移載ヘッド13a,13bは、Yレールユニット17の移動可能範囲で基台11上を移動でき、さらに、各ホルダー13cおよびマニピュレータ20は、上下方向に移動できるとともにZ軸周り方向に回転できる。
【0028】
また、移載ヘッド13a,13bには、基板Aおよびテープフィーダ15の所定部分などを撮像する移動カメラ18が備わっている。この移動カメラ18は、基板Aの設置位置、テープフィーダ15の部品吸着位置およびテープフィーダ15の部品吸着位置に搬送された電子部品Bの位置などを確認するために用いられる。また、部品撮像カメラ14は、複数のマニピュレータ20の配置の確認や、各マニピュレータ20がそれぞれ保持する電子部品Bなどを撮像するために用いられる。
【0029】
マニピュレータ20は、
図2ないし
図5に示した取付部30を介して、ホルダー13cに取り付けられている。マニピュレータ20は、本発明の嵌合部としてのシャンク部21と、シャンク部21の下端に取り付けられたばね保持部22と、ばね保持部22の両側に取り付けられた一対のばね押圧部23,24と、後述するように、ばね保持部22とばね押圧部23,24との内部にそれぞれ収容され、ばね押圧部23,24の移動により伸縮するコイルばね25a,25b(
図6および
図7参照)と、ばね押圧部23,24の外側部に取り付けられた一対の移動部材26,27とで構成されている。
【0030】
シャンク部21は、ホルダー13cに連通して内部に負圧空間を形成できる筒体で構成されている。ばね保持部22は、高さよりも直径が大きな円板の所定の対向する部分に扇形の切欠きを2つ形成して、平面視が切欠き部よりもやや大きな扇形を2つ対称に連結した形状に形成された部材で構成されており、内部に、シャンク部21に連通するばね収容部22a,22bが形成されている。このばね収容部22a,22bは、逆方向から平行して延びており、
図7の状態で、ばね収容部22aは、前側の切欠き部分から左側に向かって延びており、ばね収容部22bは、後側の切欠き部分から右側に向かって延びている。
【0031】
そして、ばね収容部22a,22bに、コイルばね25a,25bが収容されている。また、コイルばね25aの一方の端部は、ばね収容部22aの奥端部に位置し、コイルばね25aの他方の端部は、ばね収容部22aの開口よりも外部側に突出している。同様に、コイルばね25bの一方の端部は、ばね収容部22bの奥端部に位置し、コイルばね25bの他方の端部は、ばね収容部22bの開口よりも外部側に突出している。また、ばね保持部22の下面における左右の中央にはストッパ22cがねじ22dによって固定されている。
【0032】
ばね押圧部23,24は、ともに一方が開口し他方が閉塞した筒状部材で構成されており、開口側の大部分がばね収容部22a,22b内に挿入可能で、内部に、伸長状態のコイルばね25a,25bの大部分を収容できる大きさに形成されている。このばね押圧部23,24は、軸をずらした状態で互いに対向して配置されており、ともに開口側をばね収容部22a,22bの内部に位置させ、閉塞側をばね収容部22a,22bの外部に位置させて、内部にコイルばね25a,25bを収容している。シャンク部21の内部から、ばね収容部22a,22bおよびばね押圧部23,24の内部にかけての部分で形成される空間は密閉状態になっており、ばね押圧部23,24は、その密封状態を維持してばね保持部22に対して摺動する。このばね押圧部23,24の互いの進退によってコイルばね25a,25bは伸縮する。
【0033】
移動部材26,27は、本発明に係る保持機構と取付状態維持機構とを構成している。すなわち、移動部材26,27は、下部が保持機構としての把持片26a,27aで構成され、上部が取付状態維持機構としての取付状態維持片26b,27bで構成されている。そして、把持片26aと取付状態維持片26bとは四角板状の連結片26cで連結され、この連結片26cはねじ26dによってばね押圧部23の閉塞された部分に固定されている。また、把持片27aと取付状態維持片27bとは四角板状の連結片27cで連結され、この連結片27cはねじ27dによってばね押圧部24の閉塞された部分に固定されている。
【0034】
把持片26aは、連結片26cの下端から連結片26cに直交してばね保持部22の下面に沿うようにして延びる水平部分と、水平部分の先端から水平部分に直交して下方に延びる垂直部分とからなる断面形状がL形の部分で構成されている。把持片27aは、把持片26aと左右対称に形成されており、連結片27cの下端から連結片27cに直交してばね保持部22の下面に沿うようにして延びる水平部分と、水平部分の先端から水平部分に直交して下方に延びる垂直部分とからなる断面形状がL形の部分で構成されている。また、把持片26a,27aの垂直部分の上部における対向する部分には、ストッパ22cの側部が係合できる切り欠き部26e,27eが形成されている。
【0035】
把持片26a,27aは、ばね押圧部23,24の移動に伴って、互いの間隔を変更し、互いに接近したときには、
図2および
図3に示したように、ストッパ22cに切り欠き部26e,27eが係合する位置まで移動できる。また、把持片26a,27aが互いに離間したときには、
図4および
図5に示したように、切り欠き部26e,27eはストッパ22cから離れるようになる。このため、把持片26a,27aは、
図2および
図3に示した状態の垂直部分間の距離を最短としてそれよりも幅の長い電子部品Bを挟持することができる。
【0036】
また、取付状態維持片26b,27bは、ともに平面視がコ字状の板状に形成されており、取付状態維持片26bは、両端部をホルダー13cの前後に向けて連結片26cの上端からホルダー13c側に延び、取付状態維持片27bは、両端部をホルダー13cの前後に向けて連結片27cの上端からホルダー13c側に延びている。取付状態維持片26b,27bのそれぞれの両端部間の幅は、ホルダー13cに接近した状態でホルダー13cを前後から挟める長さに設定されている。このため、取付状態維持片26b,27bは、互いに接近したときには、
図2に示したように、ホルダー13cの周囲を略囲むようになり、取付状態維持片26b,27bは、互いに離間したときには、
図4に示したように、ホルダー13cから離れた状態になる。
【0037】
このように構成されたマニピュレータ20をホルダー13cに取り付ける取付部30は、
図8に示した板ばね31、係止ピン32、一対のねじ33、ホルダー13cに形成されたばね部材取付部34およびシャンク部21に形成されたV形溝35で構成されている。板ばね31は、弾性を備えた縦長の矩形板31aの下部を後方に略直角に折り曲げるとともに、その角部の両側に、矩形板31aに直交して後方に突出する一対の止め爪31bを形成して構成されており、矩形板31aの上部両側には一対のねじ挿通穴(図示せず)が形成されている。係止ピン32は、板ばね31の一対の止め爪31b間に配置できる長さを有する丸棒で構成されている。
【0038】
ばね部材取付部34は、ホルダー13cの下部におけるシャンク部21が挿入される部分の外周面に形成されており、ばね取付面34aと、係止溝34bとで構成されている。ばね取付面34aは、左右の幅が矩形板31aの左右の幅と略等しく、上下の長さが矩形板31aの上下の長さよりも係止ピン32の直径程度短くなった平面で構成されており、上部に板ばね31の一対のねじ挿通穴と同じ間隔で一対のねじ穴34cが形成されている。係止溝34bは、係止ピン32を殆ど余裕なく挿入できる長さ(幅)と深さを備えた直線状の水平溝で構成されており、左右方向の中央部分は、ホルダー13cの内部に貫通している。なお、ばね部材取付部34の上下方向の長さは、板ばね31の上下の長さよりも僅かに長くなっている。
【0039】
シャンク部21は、ホルダー13cの内部に密接状態で挿入されてホルダー13cに取り付けられるようになっており、V形溝35は、ホルダー13cにシャンク部21が挿入されたときの係止溝34bの位置に位置するようにしてシャンク部21の外周面に形成されている。また、シャンク部21の上縁部におけるV形溝35の上方部分には、傾斜面35aが形成されている。V形溝35は、水平方向に延びており、係止ピン32の一部が係合できる深さを備えている。このため、係止ピン32を係止溝34bに入れた状態で、一対の止め爪31bで係止ピン32を挟むようにして、板ばね31をばね部材取付部34に位置させ、ねじ33を板ばね31のねじ挿通穴に通してねじ穴34cに螺合させることにより、板ばね31を係止ピン32とともにばね部材取付部34に取り付けることができる。
【0040】
そして、シャンク部21の上部を、ホルダー13cの下部の内部に挿入して、V形溝35を係止ピン32に係合させることにより、シャンク部21を、ホルダー13cに取り付けることができる。これによって、
図9に示した状態になる。この状態では、係止ピン32は、板ばね31によって押圧され、係止溝34bおよびV形溝35から外れることを防止される。なお、シャンク部21を、ホルダー13cに挿入する際、傾斜面35aが係止ピン32に当接することによって、シャンク部21は、ホルダー13cにスムーズに挿入される。また、前述した取付状態維持片26b,27bが、互いに接近したときには、取付状態維持片26b,27bのそれぞれの前部が板ばね31に接近した状態で板ばね31の表面側に位置するようになり、これによって、板ばね31が前側に撓んで、係止ピン32が、係止溝34bおよびV形溝35から外れることが防止される。
【0041】
また、ホルダー13cの内部は、移載ヘッド13a,13bに設けられた配管等を介して負圧発生装置(図示せず)に連通しており、負圧発生装置の作動によって生じる吸引力でマニピュレータ20は作動する。すなわち、負圧発生装置が作動していないときには、コイルばね25a,25bの弾性によって、ばね押圧部23,24は、ばね収容部22a,22bの外部側に付勢され、移動部材26,27は、互いに離間した状態になる。そして、負圧発生装置が作動すると、ばね収容部22a,22bおよびばね押圧部23,24で形成される空間に負圧が生じ、この負圧がコイルばね25a,25bの弾性に抗してばね押圧部23,24をばね収容部22a,22b内に吸い寄せる。
【0042】
これによって、移動部材26,27は、互いに接近し、把持片26a,27aは、電子部品Bを保持できる状態になり、取付状態維持片26b,27bが、板ばね31を押さえて、係止ピン32が、係止溝34bおよびV形溝35から外れることを防止する。なお、ホルダー13c、マニピュレータ20、取付部30および負圧発生装置で、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構が構成される。また、ホルダー13cには、マニピュレータ20に代えてノズルを取り付けることもでき、この場合、ノズルは、負圧発生装置の作動により電子部品Bを吸着する。すなわち、移動部材26,27は、元々、ノズルを介して電子部品Bを吸着する負圧発生装置が発生する負圧を利用して作動するものである。
【0043】
このように構成された電子部品実装装置10を用いて、基板A上に電子部品Bを実装する場合には、まず、
図1に示したように、複数のテープフィーダ15を基台11に設置した状態で、電子部品実装装置10を作動させる。これによって、テープフィーダ15から電子部品Bを保持するキャリアテープが繰り出され、複数の電子部品Bが順次部品取出位置に送られる。つぎに、部品取出位置に到達した電子部品Bを、移載ヘッド13a,13bに設けられたマニピュレータ20が挟持してピックアップする。そして、ピックアップした電子部品Bをプリント基板Aの所定の部分に搬送したのちに、その部分に実装する。この電子部品Bをピックアップして実装する動作が繰り返し行われる。その間、例え、電子部品Bが重量の大きなものであっても、マニピュレータ20が、ホルダー13cから抜け落ちることはない。このため、電子部品実装装置10は適正に作動することができる。
【0044】
このように、本実施形態に係るマニピュレータの抜け防止機構では、保持機構を構成する把持片26a,27aと、取付状態維持機構を構成する取付状態維持片26b,27bとのうちの、把持片26aと取付状態維持片26bとが一体に形成され、把持片27aと取付状態維持片27bとが一体に形成されている。また、係止ピン32を係止溝34bに位置させた状態で、板ばね31をねじ33でばね部材取付部34に固定し、その状態のホルダー13cの下部にシャンク部21の上部を挿入することにより、マニピュレータ20をホルダー13cに取り付けている。
【0045】
このため、把持片26a,27aと取付状態維持片26b,27bとが連動して作動するようになり、把持片26a,27aが電子部品Bを保持してマニピュレータ20や取付部30に大きな負荷が掛った状態のときに、取付状態維持片26b,27bが、板ばね31を押さえて、取付部30の取付状態を維持させるようになる。この結果、マニピュレータ20がホルダー13cから抜け出ることを確実に防止できる。また、マニピュレータ20をホルダー13cに着脱する操作が簡単になる。さらに、把持片26aと取付状態維持片26bおよび把持片27aと取付状態維持片27bをそれぞれ一体にしたため、部品点数が減少してマニピュレータの抜け防止機構が簡単な構造になる。
【0046】
また、把持片26a,27aと取付状態維持片26b,27bとを含む移動部材26,27が、コイルばね25a,25bの弾性と、負圧発生装置の作動とによって移動するため、確実な往復移動が可能になる。さらに、把持片26a,27aと取付状態維持片26b,27bとを、同じコイルばね25a,25bの弾性と負圧発生装置の作動とで往復移動させるため、電子部品実装装置10の簡略化が図れる。
【0047】
(第2実施形態)
図10および
図11は、本発明の第2実施形態に係るマニピュレータの抜け防止機構を示している。このマニピュレータの抜け防止機構に備わっているマニピュレータ40は、電子部品Bではなく、
図12に示したバックアップピン50を保持して所定の位置に装着するためのバックアップピン用のマニピュレータである。バックアップピン50は、基台11の内部に設けられた台座56(
図22および
図23参照)に複数並んで配置されており、その所定のものが適宜、マニピュレータ40に保持されて搬送され基板Aの設置部の下方に設置されたバックアッププレート(図示せず)に装着される。このバックアップピン50は、基板Aの下方に位置して、基板Aに電子部品Bを実装する際に、基板Aが撓むことを防止する。
【0048】
バックアップピン50は、下部が太く上方に行くほど細くなった段違いの棒状体で構成されており、下部から順に、吸着部51、大径部52、小径部53が形成され、小径部53の上部に小さな支持ピン54が形成されている。また、軸方向の長さは、下部の吸着部51から上方の小径部53に行くにしたがって長くなっている。吸着部51の底面中央には収容穴が形成されておりその内部に磁石55が収容されている。バックアップピン50は、この磁石55の磁力によりバックアッププレート上に起立状態で設置される。また、小径部53の上部には外周面に沿った係合溝53aが形成されている。そして、吸着部51、大径部52および小径部53の各境界部と小径部53の上部にはテーパ面が形成されている。
【0049】
マニピュレータ40は、
図13(a)、(b)、(c)に示したように、シャンク部41と、シャンク部41の下部に取り付けられたばね保持部42と、ばね保持部42の一方の側部に取り付けられたばね押圧部43,44(
図14および
図15参照)と、後述するように、ばね保持部42とばね押圧部43,44との内部にそれぞれ収容され、ばね押圧部43,44の移動により伸縮するコイルばね45a,45bと、ばね押圧部43,44の外側端部に取り付けられた移動部材46とで構成されている。
【0050】
ばね保持部42は、高さよりも直径が大きな円板の一方の側部(
図14および
図15の右側)を切り欠いて平面状にした形状に形成された部材で構成されており、上部に、シャンク部21に連通するばね収容部42a,42bが形成されている。このばね収容部42a,42bは、間隔を保って平行して形成されており、ともに切り欠かれた平面状部分からばね保持部42の内部側に向かって延びている。また、ばね保持部22の下部には、
図16に示したように、ばね収容部42a,42bに平行してばね保持部22を左右に貫通するシャッタ挿通孔42cが形成されている。そして、そのシャッタ挿通孔42cに交差して、ばね保持部42の下面から上方に延びる穴部42d,42e,42fが左右に間隔を保って形成されている。このうち、穴部42eの直径は、バックアップピン50の小径部53を挿通できる大きさに設定されている。
【0051】
ばね押圧部43,44は、前述したばね押圧部23,24と同様の構成をしており、ともに開口側をばね収容部42a,42bの内部に位置させ、閉塞側をばね収容部42a,42bの外部に位置させてばね保持部42に設置されている。また、ばね押圧部43,44の内部には、コイルばね45a,45bが収容されている。なお、コイルばね45a,45bが伸長状態のときには、コイルばね45a,45bの一部は、ばね押圧部43,44の開口から突出する。また、ばね押圧部43,44の間には、ばね保持部42の平面部からばね押圧部43,44に平行して右方向外部に延びるねじからなるガイド棒47が設けられている。
【0052】
移動部材46は、下部が保持機構としてのシャッター46aで構成され、上部が取付状態維持機構としての取付状態維持片46bで構成されている。そして、シャッター46aと取付状態維持片46bとは四角板状の連結片46cで連結され、この連結片46cは、一対のねじ46dによってばね押圧部43,44の閉塞された部分に固定されている。また、連結片46cにおける一対のねじ46dが取り付けられた部分の中間には、挿通穴が形成され、この挿通穴にガイド棒47が挿通している。このため、移動部材46は、ガイド棒47に沿って左右に移動できる。
【0053】
シャッター46aは、連結片46cの下端から僅かに下方に延びたのちに、屈曲してシャッタ挿通孔42cの内部に延びている。このシャッター46aには、
図17に示したように、上下に貫通する長穴48が形成されている。この長穴48は、中央部分に並んで形成された略四角形の挿通穴48aと左右に細長い係合穴48bと、挿通穴48aの左に形成された半円穴48cと、係合穴48bの右に形成された円形穴48dとで構成されている。挿通穴48aは、バックアップピン50の小径部53を通せる大きさに形成され、係合穴48bは、その縁部に、小径部53の係合溝53aを係合させることができる大きさに形成されている。
【0054】
シャッター46aは、ばね押圧部43,44の移動に伴って左右に移動し、右側(外側)に位置しているときには、挿通穴48aがばね保持部42の穴部42eと連通して、バックアップピン50の小径部53が穴部42eを挿通可能になる。また、シャッター46aが左側(内側)に位置しているときには、係合穴48bがばね保持部42の穴部42eと連通して、バックアップピン50の小径部53は穴部42eを挿通不可の状態になる。この場合、小径部53の係合溝53aが係合穴48bに位置していれば、係合溝53aが係合穴48bの縁部に係合してバックアップピン50を保持できる。
【0055】
また、
図13(a)に示したように、ばね保持部42の上面と、移動部材46の上面とには、マークとなる穴49a,49bが形成されており、この穴49a,49b間の距離からシャッター46aが開いた状態(右に位置した状態)であるか閉じた状態(左に位置した状態)であるかを認識できる。取付状態維持片46bは、前述した取付状態維持片26b,27bの一方と同様の構成であるため、説明は省略する。さらに、このように構成されたマニピュレータ40をホルダー13cに取り付ける取付部も、前述した取付部30と同じ構成であるため、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。このように構成されたマニピュレータ40は、前述した電子部品実装装置10に取り付けられる。
【0056】
マニピュレータ40を用いて電子部品実装装置10で、バックアップピン50をバックアッププレート上に設置する場合には、まず、
図18ないし
図21に示した操作を順次行ってホルダー13cにマニピュレータ40を取り付ける。使用前のマニピュレータ40は、台座56aに設置されているマニピュレータ固定ピン57に固定されており、この場合の固定は、マニピュレータ固定ピン57の上面に設けられた一対の係合ピン57aに、シャッター46aが係合することによって行われている。
【0057】
すなわち、係合ピン57aは、バックアップピン50の小径部53における係合溝53aが形成された部分と略等しい形状と大きさとを備えており、互いの間隔は、ばね保持部42の穴部42dと穴部42fとの間隔と同じに設定されている。そして、一対の係合ピン57aの係合溝が、それぞれシャッター46aの長穴48の係合穴48bと半円穴48cとの縁部に係合することにより、マニピュレータ40は、マニピュレータ固定ピン57に固定されている。また、マニピュレータ固定ピン57の上面における一対の係合ピン57aの間には、位置決用突起58が設けられており、一対の係合ピン57aと位置決用突起58とは、それぞればね保持部42の穴部42d,42e,42f内に位置している。
【0058】
その状態から、
図18に示したように、ホルダー13cをマニピュレータ40の上方に移動させたのちに下降させてホルダー13cの内部にシャンク部41を挿入させることにより、ホルダー13cにマニピュレータ40を取り付けて、
図19の状態にする。なお、ホルダー13cを下降させる前には、移動カメラ18で穴49a,49bを撮像してシャッター46aが開いた状態であることを確認する。これによって、ホルダー13cが、取付状態維持片46bに衝突することを防止できる。この移動カメラ18と穴49a,49bとで本発明に係る第2の確認手段が構成される。
【0059】
そして、負圧発生装置を作動させて、
図20のように、移動部材46をばね保持部42の内部側に吸い込むことにより、一対の係合ピン57aが長穴48の挿通穴48aと円形穴48dとの内部に位置するようにする。これによって、係合ピン57aとシャッター46aとの係合が解除されるため、ホルダー13cを上昇させることにより、
図21に示したように、マニピュレータ40は、マニピュレータ固定ピン57から離れ、ホルダー13cとともに上昇していく。
【0060】
つぎに、マニピュレータ40でバックアップピン50を保持する操作が行われる。この場合、負圧発生装置の作動を停止させて、コイルばね45a,45bの弾性により、移動部材46をばね保持部42の外部側に移動させる。これによって、シャッター46aの挿通穴48aが、ばね保持部42の穴部42eと連通するようになり、バックアップピン50の小径部53が穴部42eに挿通可能になる。その状態で、マニピュレータ40をバックアップピン50の上方から下降させて、
図22の状態にする。なお、マニピュレータ40が下降する直前には、部品撮像カメラ14が、マニピュレータ40を下方から撮像してばね保持部42からシャッター46aがはみ出している長さに基づいてシャッター46aが開いた状態であることを認識する。この部品撮像カメラ14と、ばね保持部42と、シャッター46aとで本発明に係る第1の確認手段が構成される。
【0061】
そして、負圧発生装置を作動させて、
図23のように、移動部材46をばね保持部42の内部側に吸い込むことにより、小径部53の係合溝53aに、係合穴48b縁部を係合させる。これによって、バックアップピン50は、マニピュレータ40に保持された状態になり、ホルダー13cが上昇すると、台座56から離れて、マニピュレータ40とともに上昇していく。また、板ばね31は、取付状態維持片46bの前部によって係止溝34b側に押圧されるため、マニピュレータ40が、ホルダー13cから抜け落ちることはない。そして、バックアップピン50は、バックアッププレートに搬送され、所定の位置に設置される。このときには、負圧発生装置の作動を停止させて、小径部53の係合溝53aと、係合穴48b縁部との係合を解除する。
【0062】
このように、本実施形態に係るマニピュレータの抜け防止機構では、重量の大きなバックアップピン50を保持してもマニピュレータ40が、ホルダー13cから抜け落ちることを確実に防止できる。また、取付状態維持片46bをシャッター46aと一体に形成したため、部品点数が減少してマニピュレータの抜け防止機構が簡単な構造になる。さらに、ホルダー13cにマニピュレータ40を取り付ける際に、移動カメラ18で穴49a,49bを撮像してシャッター46aが開いた状態であることを確認するため、ホルダー13cが、取付状態維持片46bに衝突することを防止して、ホルダー13cにマニピュレータ40を確実に取り付けることができる。
【0063】
また、シャッター46aの挿通穴48aにバックアップピン50の小径部53を挿通させる際に、小径部53と挿通穴48aとの位置が合っていることを確認するためにマニピュレータ40を下方から撮像してシャッター46aが開いた状態であることを認識する。このため、シャッター46aがバックアップピン50に衝突して、シャッター46aやバックアップピン50が破損することを防止できる。この実施形態におけるそれ以外の作用効果は、前述した第1実施形態の作用効果と同様である。
【0064】
また、本発明に係るマニピュレータの抜け防止機構は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した第1実施形態では、把持片26aと取付状態維持片26b、および把持片27aと取付状態維持片27bをそれぞれ一体に形成しているが、これらは、一体でなく、別々の部材として構成してもよい。同様に、第2実施形態におけるシャッター46aと、取付状態維持片46bも一体でなく、別々の部材として構成してもよい。この場合、負圧発生装置は、保持機構用のものと取付状態維持機構用のものとの別々の装置で構成してもよいし、一つの装置を共通して用いてもよい。
【0065】
また、前述した各実施形態では、取付状態維持片26b,27bおよび46bが板ばね31の側方から板ばね32の表面に進退するようにしているが、板ばね32が側方を向くようにして、取付状態維持片26b,27bの一方および46bが板ばね31の正面から板ばね32の表面に進退するようにしてもよい。さらに、前述した第2実施形態では、マニピュレータ40を下方から撮像してシャッター46aが開いた状態であることを認識しているが、穴49a,49b間の距離からシャッター46aが開いた状態であることを認識してもよい。また、マニピュレータの抜け防止機構のそれ以外の部分や、マニピュレータの抜け防止機構が設けられる電子部品実装装置の構成についても、適宜変更することができる。