特許第5773527号(P5773527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773527
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20060101AFI20150813BHJP
   H01M 8/10 20060101ALI20150813BHJP
   H01M 8/02 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01M8/24 E
   H01M8/24 R
   H01M8/10
   H01M8/24 Z
   H01M8/02 C
【請求項の数】26
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2011-535874(P2011-535874)
(86)(22)【出願日】2009年11月12日
(65)【公表番号】特表2012-508950(P2012-508950A)
(43)【公表日】2012年4月12日
(86)【国際出願番号】DE2009001614
(87)【国際公開番号】WO2010054647
(87)【国際公開日】20100520
【審査請求日】2012年9月19日
(31)【優先権主張番号】102008057253.5
(32)【優先日】2008年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009015619.4
(32)【優先日】2009年4月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513161531
【氏名又は名称】テーダテクス・インドゥストリー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・プラーヌング−ベラートゥング−エントヴィックルング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ブリューネ・ベルンハルト
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−164765(JP,A)
【文献】 国際公開第96/037920(WO,A1)
【文献】 特開2000−058100(JP,A)
【文献】 特開2007−066918(JP,A)
【文献】 特開2004−165147(JP,A)
【文献】 特開2008−311113(JP,A)
【文献】 特開2007−250297(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/013303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締め付けシステム(17)を有するアノード側とカソード側の端板(13、14)と、酸素と水素と冷却媒体用の媒体接続部(30〜35)と、多数の個別セル(7i、7i+1、7i+2)とを備えたセルスタック(1)からなり、この個別セルがそれぞれ膜−電極−ユニット(10)を備え、この膜−電極−ユニットがガスを通す多孔性材料製の電極アノードおよび電極カソード(5、6)と、その間に配置された、アノード触媒およびカソード触媒(3、4)を有する電解質膜(2)とからなり、かつアノード側とカソード側に集電器(15、16)を備えている、燃料電池モジュールにおいて、
冷却媒体、酸素および水素のための媒体供給部(30、31、32)と媒体排出部(33、34、35)が1つの冷却兼媒体モジュール(40)に付設されていることと、この冷却兼媒体モジュール(40)が機能室(42、43、44)の提供とスタック形成のためにのみ利用されるが、しかし導電体として使用されないように形成されていることと、前記冷却兼媒体モジュール(40)の両側にそれぞれ、隣接する個別セル(7i、7i+1、7i+2)の前記膜−電極−ユニット(10)の水素電極(5、5′)または酸素電極(6、6′)および媒体(70,71)の独立した、前記膜−電極−ユニット(10)の電極(5,6)内への流入の為とプロセスガス(86)の電極(5,6)からの流出の為のガス通路(43,44)が配置されていること、その際、電極(5,6)が、互いに分離された複数のガス通過部(73、73′)とガス排出溝(74、74′)を有する電極カバー(72、72′)を備えられていることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
冷却通路(42)とガス用供給通路(65)を備えた前記冷却兼媒体モジュール(40)が、弾性な構造体からなるように形成されている(図9)ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
冷却通路(63)とガス通路(42、43、44)を有する前記冷却兼媒体モジュール(40)がステンレス鋼製の薄板、フィルムまたは冷間圧延帯板あるいは合成樹脂フィルムからなるように形成されている(図3e、図7図7a、図7b、図8)ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記冷却通路(63)と前記ガス用供給通路(65)を有する前記冷却兼媒体モジュール(40)が合成樹脂、または合成樹脂フィルムからなるように形成されている(図3図5図6図9)ことを特徴とする請求項2または3に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記冷却通路(42)と、水素と酸素用の前記ガス通路(43、44)内の圧力が変更可能であり、かつ前記膜−電極−ユニット(10)に対する所望な単位面積あたりの押圧力に対応して調節可能である(図7)ことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
前記膜−電極−ユニット(10)の両方の外側に設けられた電極カバー(72、72′)と、該電極カバー(72、72′)と共に一つの冷却兼媒体モジュール(40、40′)を形成する前記冷却通路(42)の冷却通路薄板(90、90′)がスペーサ(79)によって分離されている図7ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
前記ガス用供給通路(65)が部分的な供給部(66、66′)を備え、部分的なガス分配領域(67)と部分的なガス分配領域(68)に供給するように形成されている(図5)ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項8】
前記冷却兼媒体モジュール(40)の前記電極カバー(72、92′)が、水素または酸素のためのガス通過部(73)と、残留水素、残留酸素および残留生成物のための排出部(74)とを、電極アノードおよびカソード(5、6)寄りの側に備えている(図7)ことを特徴とする請求項6または7に記載の燃料電池モジュール。
【請求項9】
貫通する溝として形成された前記排出部(74)内に、前記ガス通路(43、44)内の圧力よりも低い圧力が生じることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池モジュール。
【請求項10】
前記個別セル(7i、7i+1、7i+2)がスタックされた扇形部(57)として積み重ねて形成および配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項11】
前記セルスタック(1)が部品リングとシールリング(83、84、85)の外側セットあるいは外側スタック(110)としての働きをするセル枠(50)並びに前記膜−電極−ユニット(10)と前記冷却兼媒体モジュール(40)からなる内側スタック(109)から構成されるように形成されている(図11図13)ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項12】
前記内側スタック(109)の長さが前記外側スタック(110)の長さに対して所定の寸法を有することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池モジュール。
【請求項13】
前記セルスタック(1)が同じ長さおよび幅の冷却通路薄板(90、91)を備え、この薄板(90、91)が個々の機能室(42、43、44)をその間に設けたシール(83、84、85)によって画成し、薄板によって形成された前記セル枠(50)が必要な供給通路(92、92′、139、140、140′)を備え、この供給通路から、横方向通路(93、133、133′、134、135)、接続通路(136、138)、分配通路(134)、接続口(142、142′)および排出通路(143)が前記機能室(41、42)の接続部として分岐して設けられている(図3aと図11a)ことを特徴とする請求項11または12に記載の燃料電池モジュール。
【請求項14】
前記セル枠(50)に付設された、水素、酸素および冷却媒体用の供給通路(92)と、反応生成物と余剰ガス用の廃棄通路(92′)が、平行にかつ横方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項15】
隣接する個別セル(7i、7i+1、7i+2)の前記冷却通路(42、42′)内の冷却流が、前記個別セルの内部で冷却通路(42、42′)内で一方の方向へおよび逆方向へと交互に案内される(図13a)ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項16】
冷却流が分断された2つの冷却システムから供給される(図13a)ことを特徴とする請求項15のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項17】
各個別セル(7i、7i+1、7i+2)が電流案内層(45、45′)を備え、この電流案内層がそれぞれ前記セルスタック(1)の外壁(48)を通って外側へ案内され、かつプラグ(80)を備えて接続している(図6図10(合成樹脂))ことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項18】
前記電極アノードおよびカソード(5、6)の表面(36)が導電性の電流案内層(45、45′、105、105′、106、107)を備えている(図3a−図3c−合成樹脂および薄板)ことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項19】
前記電流案内層(107、107′)が反応領域(R1、R2)の平面とアノード触媒およびカソード触媒(3、4)の平面内に配置されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項20】
前記電流案内層(106、106′)が前記電極アノードおよび電極カソード(5、6)と、前記冷却兼媒体モジュール(40)との間の平面内に配置されていることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項21】
前記電極アノードおよび電極カソード(5、6)が電流を伝導しないで熱を伝導するように、ガス拡散およびガス対流に関連して多孔性にそして化学的および熱的に安定するように形成されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項22】
1個または複数の前記セルスタック(1)が換気可能なスタックハウジング(100)内に収納され、このスタックハウジングが媒体供給および媒体廃棄用とスタックハウジング(100)の流入空気および排気(101、102)用と電圧監視および圧力監視用のインターフェース(104)を備えている(図10b)ことを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項23】
前記セルスタック(1)が並列に接続された前記個別セル(7)を備えている(図13)ことを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項24】
前記セルスタック(1)が複数の部分スタック(124、125)からなり、そのうちの1個の部分スタック(124)が他の部分スタック(125)用の始動スタックとしての働きをするように形成および接続され、かつ熱交換器(120)に接続されている(図13b)ことを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項25】
前記部分スタック(124、125)が並列に接続され、その個別セル(7)がそれぞれ直列に接続されていることを特徴とする請求項24に記載の燃料電池モジュール。
【請求項26】
前記電極カバー(72、72′、158)が電流フラグ(130、131)を備え、この電流フラグが反応室から前記電極(5、6)と前記電極カバー(72)を経て前記スタック(1)の外面(48)まで電流を案内する働きをし、そこで互いに接続され、しかも前記電流フラグの溶接、かしめまたはプラグとの接続によって互いに接続されることを特徴とする請求項6〜25のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付けシステムを有するアノード側とカソード側の端板と、酸素と水素と冷却媒体用の媒体接続部と、多数の個別セルとを備えたセルスタックからなり、この個別セルがそれぞれ膜−電極−ユニットを備え、この膜−電極−ユニットがガスを通す多孔性材料製の電極アノードおよび電極カソードと、その間に配置された、アノード触媒およびカソード触媒を有する電解質膜とからなり、かつアノード側とカソード側に集電器を備えている、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このような燃料電池モジュールは個別セルからなり、この個別セルはそれぞれ、アノードとカソードとその間にある電解質膜を備えている。アノードでは水素が酸化され、カソードでは陽子が酸素および消費部と電流導体を経て流入する電子と共に水に変換される。アノードとカソードが導電体を介して接続されると、電流が流れる。さらに、熱が放出される。全体の過程は連続的に行うことができる。すなわち、常に水素と酸素がそれぞれの電極に供給される。このような燃料電池は例えば特許文献1と特許文献2によって知られている。この公知の燃料電池の場合、多孔性の高い電極が使用され、それによって大きな表面積が電気化学的変換のために供される。この電極は膜側が、触媒作用する、小さな大きさの貴金属粒子、特に白金または白金合金の粒子と、電流を案内する層とによって覆われている。従来の構造の場合、酸素と水素は双極板を経て電極に供給される。水素と酸素を電極表面に微細分布させるために、この双極板内には微細な通路が切削加工されている。この双極板から拡散によって酸素と水素が反応領域まで搬送される。この双極板は膜−電極−ユニットの両側に配置しなければならず、製作が面倒でコストが高くつく。上記の通路は、電流を発生するためのプロセスに関与する媒体を供給し同時に排出する働きをする。さらに、通路は混合されずに流入したガスを供給し、残留ガスと反応生成物を排出しなければならないという欠点がある。通路の間に残るウェブの丸い頭部は、電極から双極板へ流れをさらに案内する働きをする一方、通路横断面が必要な全量を案内しなければならない。それによって生じる構造的な相反する問題、すなわち大きな流れ横断面に反する大きな流れ伝達面積は、解決するのが困難であるかまたは不可能である。双極板は広いスペースを必要とし、燃料電池モジュール全体の寸法に大きな影響を与える。双極板はさらに、導電性と熱伝導性が良好でなければならず、個別セルから次の個別セルへのガス拡散を防止しなければならない。これは例えば、双極板に埋め込まれた適当な材料層からなるいわゆるガスバリヤによって行われる。双極板内のガス拡散を阻止するのが困難であるので、ガス損失率が比較的に高いかあるいは燃料電池全体効率が低い。双極板はプロセス媒体の通過案内を可能にするためにガス通路を有する。双極板はセルスタックの機械的構造体形成を促進すべきである。双極板は弾性的ではない、すなわち剛性の構造を有するという欠点がある。さらに、双極板は攻撃的な媒体に対して化学的および電気化学的に安定性があり、かつ200°Cの運転温度で耐久性がある必要がある。従って、適切な素材または素材妥協および製作方法の追求は今までは満足できるものではなく、例えば双極板の壁厚が大きくなり、セルスタック全体の構造高さが不利であった。プロセス中に発生するプロセス熱の放出も問題がある。熱が放射によってスタック本体から周囲に運ばれ、スタック出力が小さくなるかあるいは双極板に冷却通路が形成され、それに伴い特に射出成形に類似する方法で製作される構造の場合に、製作が非常に不利でコストが高くつく。その際、双極板の材料特性と場合によっては二重のガスバリヤに基づく大きな構造高さが不利である。従って、個別セルを適当に省略することにより、冷却セルを個別セルの間に所定の格子に沿って設けるスタック構造が一般的である。この構造は、より大きなスタック出力を達成し、熱量を排出するときは有意義であるがもちろん、スタック高さあるいはスタックの単位容積あたりの出力密度が犠牲になる。このようなスタックの双極接続のため、個別セルの直列回路によってセル全体を通って電流を案内しなければならず、電位は一部が不所望であり、安全技術的に許容されない。それに続く電気的な量の変換(実際に即した基準化)には高価な電気的システムが必要である。さらに、1個の個別セルが故障したときには、スタック全体が故障する。このようなスタックの修理は困難であるかあるいは不可能であり、スタックを分解、すなわち破壊するときにのみ、高価な材料(触媒粒子)が回収される。さらに、双極板のような部品がきれいな環境で作動し、電流が流れるときに、自然発生的に電解作用する「巣」を形成し得る。双極板の剛性のある構造により、スタックに関与する部品(膜−電極−ユニット、双極板、シール、端板)の製作誤差と不均一な熱膨張が、スタック横断面にわたって加算され、スタックを傾斜させることになる。組立時に締め付け装置によって適切に予備締め付けすることによるスタック方向の機械的調整は、一方の側では漏れを生じ、他方の側ではエッジを押しつぶすことになり、そして同時に多くの場合、部品、特にシールを損傷させることになる。さらに、スタック全体を実際の始動の前に運転温度にもたらさなければならないという欠点がある。これは、そのために設けられたエネルギー源、例えば接続されたバッテリで提供される多大なエネルギー量によって行われる。この方法により、膜と触媒の損傷を十分に回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第1272679A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0490808A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底をなす課題は、双極板を省略しつつ、新しい構造によっておよび新しい構成要素によって、良好に製作可能で、小型または幅の狭い燃料電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明に従い、媒体供給部と媒体排出部が1つの冷却兼媒体モジュールに付設されかつこの冷却兼媒体モジュールに連結されていることと、冷却兼媒体モジュールが二次機能室の準備とスタック形成のためにのみ役立つように形成されていることと、冷却兼媒体モジュールの両側にそれぞれ、隣接する個別セルの膜−電極−ユニットの水素電極または酸素電極が配置されていることによって解決される。
【0006】
従来のように他の個別セルと一体化して燃料電池モジュールを形成することができる、このように形成された個別セルの場合、双極板を省略することができる。というのは、冷却兼媒体モジュールが簡単に形成され、少ないコストで製作可能であり、そして導電性である必要がないにもかかわらず、完全に機能を発揮するからであり、かつガスバリヤを完全に省略することができるからである。簡単な接続により、付設された電流フラグ(Stromfahnen)を介して、発生する場所で電流が取り出される。すなわち、従来技術のように、スタック全体を通って電流を案内する必要がない。さらに、冷却兼媒体モジュールの構造は、双極板の構造よりもはるかに簡単である。というのは、機能室、すなわち媒体通路だけしか必要とせず、特別な導電性材料を使用する必要がないかまたはガスバリヤまたは類似のものを使用する必要がないからである。簡単な構造に基づいて、可変性が与えられ、この可変性により、小型の燃料電池または燃料電池モジュールだけでなく、特にスタック高さの低い燃料電池または燃料電池モジュールを作成することが可能になる。公知の構造と比べて、スタック高さが係数3だけ低くなる。これは同時に、広いスペースを必要とし複雑である双極板を完全に省略することができ、さらに各個別セルを別々に接続することができ、かつ直列に、並列にまたは個々にまたはブロック毎にまたは部分スタック毎に接続することができるので、例えばセルセット内の1個のセルが故障した場合に全体のセルを問題なく運転し続けることができるという利点がある。さらに、予備のセルを設けることができる。この予備のセルが接続され、欠陥のあるセルは、全面的オーバーホールが必要になるまで、当然問題なく遮断することができる。
【0007】
セル枠内における冷却兼媒体モジュールとその他の機能ユニットの正確な着座は、冷却通路とガス用供給通路を有する冷却兼媒体モジュールが弾性構造体、好ましくは2つ以上の部品からなるように形成されていることによって可能になる。膨張を許容する材料または弾性構造体からなるこれらの部品は、個々のモジュールおよび機能ユニットのスタック軸線に沿った固定および配向を容易にする。この構造のために特にステンレス鋼と薄板が考慮の対象となる。これらの部品が膨張すると、それに伴いセル枠または端板に対する締め付け固定と、製作誤差および熱膨張の相殺が達成される。これは機能を改善し、漏れ等を回避することになる。この相殺は特に、セルスタックの内側スタックがスタック軸線に沿った呼吸を許容する構造からなるように形成されているときに生じる。
【0008】
弾性膨張可能な材料として特に薄板が設けられていることが既に指摘されている。この場合、本発明により、冷却兼媒体モジュールまたは7個までの部品が、ステンレス鋼製の薄板、フィルムまたは冷間圧延帯板からなるように形成されている。ステンレス鋼は特に、水素と他の攻撃的な構成部材による損傷が発生しないので、モジュールの寿命が長いという利点がある。
【0009】
他の実施形態では、上記のように7個までの部品からなる冷却兼媒体モジュールが、合成樹脂、特に合成樹脂フィルムからなるように形成されている。この構造の場合にも、全体的に有利である弾性のほかに、燃料電池技術の範囲内の攻撃的な媒体がこの合成樹脂に悪影響を与えないことを強調することができる。さらに、弾性を強調することができる。
【0010】
材料の弾性的な膨張は、冷却通路とガス用供給通路内の圧力が変更可能であり、かつ膜−電極−ユニットに対する所望な単位面積あたりの押圧力に対応して調節可能であることによって保証される。これは、外側スタック内で寸法を変更可能である内側スタックのことである。
【0011】
薄板構造の場合、薄壁状の薄板、実際にはフィルムが使用される。というのは、本発明では、電極カバーと、封止薄板と、ばね薄板と、冷却通路および供給通路の部品がスペーサによって分離されているからである。その際、スペーサの数、形状および配置は、当該の通路の開口横断面がそれぞれその全長にわたって保証されるように選択されている。
【0012】
酸素と水素は電解質膜とその上にある触媒に領域において、水素の化学的な反応または分配と酸素の反応を可能にすべきである。これは特に、ガス用供給通路が部分的な供給部を備え、部分的なガス分配領域と他のガス分配領域の役にたつように形成されていることにより可能でありかつ保証される。これによって、電解質膜の面積全体にわたって上記の過程が達成可能であり、しかもほぼ面積全体にわたって完全に均一に達成可能である。これは、ガス成分がガス通路の1個所から流出し、電解質膜の電極に供給されるだけでなく、複数の個所から面積全体にわたって分配されるので、均一に形成された均一な大きさのガス分配領域にガスを供給できることを意味する。電極の個々の区間へのガスの供給は、それぞれ少なくとも1つのガス通過部を有するガス分配領域によって、ガス通路から電極カバーを通って電極まで行われる。
【0013】
上記のガス分配領域のきわめて均一なガス供給は、冷却兼媒体モジュールの薄板構造または一般的な構造において、冷却兼媒体モジュールのガス通路の電極カバーが、水素または酸素のための分配配置されたガス通過部と、残留水素、残留酸素および残留生成物のための排出部とを、電極アノードおよびカソード寄りの側に備えていることによって達成される。それによって、プロセスガスがガス通路からガス通過部を経て混合されずに電極上に均一に案内され、反応生成物が完全には利用されなかった水素と混合して水素の残留量と共に適切に排出され、その際ガス通路と電極カバーを経て流入する水素ガスが悪影響を受けず、処理後再び使用可能である。これと同じことが酸素側にも当てはまる。この場合、従来技術では、反応生成物として水が一緒に発生し、この水を排出しなければならないという大きな問題がある。本解決策の場合、排出のために特別な通路または溝が設けられ、この通路または溝を通ってこの残留ガスと反応生成物が損害を被らずに排出される。この場合、プロセスガスとの混合は十分に回避される。というのは特に、プロセスガスが電極カバーの一方の側に供給され、消費されなかったプロセスガスと反応生成物が電極カバーの他方の側で分離して排出されるからである。
【0014】
残留生成物が排出部から完全に排出除去されるかまたは自動的に流出するようにするために、貫通する溝として形成された排出部内に、ガス通路内の圧力よりも低い圧力が生じる。それによって、この排出部内にはある程度の負圧が発生し、この負圧により、残留ガスと反応生成物はこの排出部を通って確実に流出する。
【0015】
今まで普通であったように、電解質膜と電極と冷却兼媒体モジュールの層形成を、180°の扇形角度で平らに実現することができる。すなわち、個々の機能層をそれぞれ平行に延在させ、セル枠の間で固定することができる。
【0016】
発展形態では、個別セルが180°よりも小さな扇形角度によって、扇形部として積み重ねて形成および配置されている。これは、モジュール扇形部の長さが伸長し、反応領域がその投影長さよりも大きくなることにより、平らな配置に概して40%までのオーダーで有効反応面積を増大させることになる。
【0017】
スタックの有効反応面積を増大させる他の方策では、本発明に従い、個別セルがスタックされた扇形部として積み重ねて形成および配置されている。それはもちろん、有効領域を意味し、セル枠の領域ではない。その際、扇形部の丸い頂部は次のセルの扇形部の窪みに挿入される。
【0018】
他の実施形態は、扇形部の丸い頂部が次のセルの扇形部の丸い頂部上に立っている平行な扇形部である。
【0019】
既に指摘したように、燃料電池スタックまたは対応するモジュールを簡単かつ確実に組み立てることができる。というのは、冷却通路とガス通路またはガス用供給通路が、弾性的な膨張を許容する材料から作られているからである。有利な組立は、セルスタックが部品リングとシールリングの外部セットからセル枠と内側スタックを形成するようにあるいは外側スタックとしての働きをするセル枠並びに膜−電極−ユニットと冷却兼媒体モジュールからなる内側スタックから構成されるように形成されている。それによって、膜−電極−ユニットと冷却兼媒体モジュールからなるセットは、シールリングからなるセット内にほとんど挿入可能である。従って、媒体とガスを入れることにより、セル枠または外側スタックに対する内側スタックの部品の所定の締め付けが確実に達成される。後になってはじめて嵌め合い精度を達成するために、組立時に、機械的な予備締め付けによっておよび/または付加的な締め付け力によってまたは加えられる媒体圧力によって、内側のセットを外側のリングに簡単に挿入およびはめ込むことができるという利点がある。
【0020】
内側スタックの長さが外側スタックの長さに対して所定の寸法(小さな寸法、大きな寸法)を有するときわめて有利である。それによって、予備締め付けと媒体圧力の協働により、できるだけ均一な所定の単位面積あたりの押圧力が膜−電極−ユニットの領域で生じ得る。内側スタックの高さが低い場合には、部品は固定されず、ゆるんでいる。媒体圧力によって初めて、必要な単位面積あたりの押圧と、製作誤差および熱膨張に対する適合が行われる。機械的な予備締め付けは締め付け装置によって発生する。冷却通路薄板あるいは弾性的にまたはずらして配置されたスペーサの間のばね薄板は、スタック軸線に沿ってばね効果を生じる。
【0021】
いわゆるセル枠は膜−電極−ユニットと冷却兼媒体モジュールと相当のシールリングによって形成される。個々の機能室への供給をきわめて良好に行うために、本発明では、セルスタックが同じ長さおよび幅の冷却通路薄板を備え、この冷却通路薄板が個々の機能室を、その間に設けたシールによって画成し、薄板によって形成されたセル枠が必要な供給通路を備え、この供給通路から、横方向通路、ガス通過部、接続通路、分配通路、分配口および他の構造体が、機能室の接続部として分岐して設けられている。それによって、機能室の供給が簡単かつ確実に行われ、特にガス通路とガス通過部と排出部を電極カバーに設けることによって行われる。冷却兼媒体モジュールのこの個々の機能室、すなわちセルに、ガス、しかも冷却媒体が同じ供給通路区間から供給されるので、個々のセルにその都度均一に供給され、かつ同じように持続的に供給される。
【0022】
個々の機能室に水素、酸素および冷却媒体を異なるように供給することができるので、セル枠に付設された、水素、酸素および冷却媒体用の供給通路と、反応生成物と余剰ガス用の廃棄通路が、平行にかつ横方向に延びるように形成され、ガス流と構造形成のための必要な横断面が採寸されている。従って、少なくとも6つのこのような供給通路を平行に延在するようにセル枠に付設しなければならない。これは、個々のセルがほんの2〜3mmの幅または厚さを有することを考慮しても、寸法のために問題なく可能である。
【0023】
冷却通路内の冷却流が個別セルから個別セルまで逆向きに案内され、かつ分断された2つの冷却システムから供給されることにより、冷却媒体の異なる温度によるセル壁または個別セル全体の応力が最小限に抑えられる。それによって、冷却媒体の案内全体にわたって、ほぼ同じ負荷または温度が生じる。というのは、低い温度の冷却媒体がセルスタック内に交互に導入され、しかも常に交互に、上記相殺が自動的に生じるからである。この構造の場合、少なくとも8つのこのような供給通路、すなわち酸素側と水素側と冷却回路1と冷却回路2のための供給部および排出部を、平行に延在するように設けることができる。分離された冷却回路、すなわち酸素側の冷却回路と水素側の冷却回路によって、拡散した残留ガス成分が分離して案内および場合によっては処理され、そして電位が分離される。
【0024】
個々の個別セルのための合目的な個別処理を可能にするために、各個別セルが電流案内層または電流フラグを備え、この電流案内層がそれぞれセルスタックの外壁を通って電流フラグを越えて外側へ案内されるときわめて有利である。個々のセルの電流フラグはプラグを備えていてもよいし、または、挟持、溶接、接合、はんだ付けまたは接着によって接続してもよい。プラグを介してあるいは他の接続方式によって、並列接続または直列接続を問題なく行うことができるので、このような燃料電池モジュールまたは全体ユニットの広範な使用が可能である。
【0025】
必要な場合に備えて、電極自体を導電的に形成する代わりに、電極アノードおよびカソードの表面が導電性の電流案内層を備えることができる。これは、製造時にも製作コストの低減時にも有利である。
【0026】
媒体モジュールは電流を案内するための導電体として使用されないが、両電極カバーは電流を導出するために使用される。そのために、電極が電流を案内し、導電的にかつ電極カバーに均一な単位面積あたりの押圧力で接触していると有利である。その際、電極カバーは電流案内層である。それによって、発生する電流が適切に受け取られ、評価され、しかもそれぞれ個別セルあたりに評価される。
【0027】
電流案内のための他の実施形態では、電流案内層が電極アノードおよび電極カソードと冷却兼媒体モジュールとの間の平面内に配置され、電流がこの導電性平面を経て導出される。電極は導電性である。
【0028】
電流案内部を膜寄りの電極側に配置する場合、電極が電流を伝導しないで熱を伝導するように、ガス拡散およびガス対流に関連して多孔性にそして化学的および熱的に安定するように形成されると合目的である。
【0029】
高い温度をセルスタックで受け止めるためあるいは無害にするために、1個または複数のセルスタックが換気可能なスタックハウジング内に配置され、このスタックハウジングが媒体廃棄用とスタックの通気および排気用と電圧監視および圧力監視用の出力極とインターフェースを備えている。スタックハウジングの通気によって、スタックハウジングの外壁の許容温度を守ることができる。モジュールの制御、調整および供給のために必要なすべての導体はインターフェースを経て供給される。
【0030】
セルスタックの合目的な接続は本発明に従い、部分スタックの並列接続と、部分スタック内のセルの直列接続あるいは他の接続、例えば並列セル接続である。
【0031】
セルスタックが複数の部分スタックからなり、そのうちの1個の部分スタックが他の部分スタック用の始動スタックとしての働きをするように形成および接続され、かつ熱交換器に接続されていると合目的である。部分スタックの加熱は簡単であり、少ない外部エネルギー、例えばバッテリで済む。始動スタックが始動した後で、この始動スタックを介して残りの始動スタックを始動温度にもたらすことができる。始動スタックはさらに、冗長的な緊急時電源システムとして使用可能である。
【0032】
本発明は特に、スタックの高さを非常に低くすることができるという効果がある。というのは、例えば個々の機能室が、好ましくはステンレス鋼製の薄板またはフィルムからなる薄壁状部品によって画成されるからである。この場合、公知の構造と比べて、係数3まで高さを低くすることができる。さらに、このようなセルセットまたは燃料電池モジュールの個々のセルが、多数の接続方式を有することが有利である。この場合、各個別セルのための電流案内部がそれぞれ外壁を通って電流フラグを介して外側に案内されると特に有利であることがわかった。それによって、電流フラグの接続によって、接続を直列または並列に、個々にあるいはブロック毎または部分スタック毎に任意に行うことができる。それによってさらに、例えば予備セルを提供するときに、例えば接続部を分離または遮断することによって、各個別セルを別々に停止または接続することができるという効果がある。このような燃料電池モジュールの場合、個別セルを積層された扇形部としてあるいは平行な扇形部として実現することにより、有効反応面積を適切に増大させることができる。平面的なスタック構造の場合、扇形角度は180°である。すなわち、扇形部または有効反応面の投影が内側スタックの横断面にほぼ等しい。扇形角度が例えば90°に小さくなると、有効反応面積が約40%だけ増大するかまたはその投影面積よりも40%だけ大きくなる。燃料電池モジュール全体の容積を比較すると、燃料電池モジュールは理論的には約40%大きな定格出力を有する。ガス室と部品を分断することにより、セルと燃料電池モジュール内の電気分解作用を回避することができる。さらに、ガス供給およびガス廃棄のためのガス拡散領域とガス拡散通路が分断されているかまたは分離されるように形成され、それによって常にガスと冷却媒体の均一な案内が保証されると非常に有利である。冷却媒体は、セルを均一に負荷するために、分断された2つの冷却系を経て逆向きに案内される。膜−電極−ユニットと冷却兼媒体モジュールからなる、セル枠に挿入される内側スタックを、所望な運転方式に応じて、小さな寸法または大きな寸法によって適切に実現することにより、組立が非常に容易になる。小さな寸法で作る場合には、新しい部品構造体の油圧作用または空気圧作用によって、製作誤差だけでなく、関連する部品の熱膨張による傾斜姿勢も有利に補正される。特に、冷却兼媒体モジュール内の冷却媒体はその油圧作用または空気圧作用に基づいて、熱膨張を修正し、事前の小さな寸法を適切かつ正確に補正することができる。大きな寸法で製作されると、機械的に発生する予備締め付けを油圧作用またはガスの空気圧作用によって強化および調節することができる。従って、個々の部品の付設が最適になる。それによって、適切に制作された大きな寸法とすることにより、膜−電極−ユニットの範囲における押圧力と、いろいろな運転状態に対する適合を、機械的に達成および実現することができる。さらに、電極の表面で電流を導出することができると有利である。それによって、電流伝導が必要であるときに、電極を簡単化して作ることができる。この場合、多孔性電極が例えば炭素をベースとした物質またはナノ材料からなる導電層でコーティングされるので、電極の製作が全体的に簡単になる。
【0033】
発明対象の他の詳細および利点は、付属する図の次の説明から明らかになる。この図には、そのために必要な有利な実施形態の詳細および個別部品が示してある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術に係る個々の燃料電池を簡単化して示す。
図2】双極板を有する従来技術に係る燃料電池モジュールを簡単化して示す。
図3a】導電層を異なるように配置した個別セルの断面図である。
図3b】導電層を異なるように配置した個別セルの断面図である。
図3c】導電層を異なるように配置した個別セルの断面図である。
図4】平らな層を形成した個別セルを簡単化して示す。
図5】合成樹脂からなる冷却兼媒体モジュールを有する、平らに形成された個別セルの原理図である。
図6】積層扇形部の形をした燃料電池モジュールを簡単化して示す。
図6a】積層扇形部の形をした燃料電池モジュールを簡単化して示す。
図7】薄板、冷間圧延帯板またはフィルム−ステンレス鋼構造の平らに形成された個別セルを示す。
図7a図7の構造の拡大図と扇形配置を示す。
図7b図7の構造の拡大図と扇形配置を示す。
図8】水素と酸素用の反応領域を拡大して示す、図7の部分図である。
図9】平行な扇形部の形をした燃料電池モジュールの形成を示す。
図9a】平行な扇形部の形をした燃料電池モジュールの形成を示す。
図10】外壁側に配置されたいろいろなプラグを備えた燃料電池モジュールを示す。
図10a】外壁側に配置されたいろいろなプラグを備えた燃料電池モジュールを示す。
図10b】外壁側に配置されたいろいろなプラグを備えた燃料電池モジュールを示す。
図11】機能室に対する接続部の簡単化した断面図である。
図12】水素用機能室に対する接続部の簡単化した他の断面図である。
図12a】水素用機能室に対する接続部の簡単化した他の断面図である。
図12b】水素用機能室に対する接続部の簡単化した他の断面図である。
図13】平行なセル接続回路、冷却回路および複数の部分スタックを備えた燃料電池モジュールの簡単化した断面図である。
図13a】平行なセル接続回路、冷却回路および複数の部分スタックを備えた燃料電池モジュールの簡単化した断面図である。
図13b】平行なセル接続回路、冷却回路および複数の部分スタックを備えた燃料電池モジュールの簡単化した断面図である。
図14】冷却通路シールの簡単化した図である。
図14a】冷却通路シールの簡単化した図である。
図14b】冷却通路シールの簡単化した図である。
図15】膜−電極−ユニットの電極カバーの簡単化した図である。
図15a】膜−電極−ユニットの電極カバーの簡単化した図である。
図15b】膜−電極−ユニットの電極カバーの簡単化した図である。
図16】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図16a】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図16b】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図16c】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図16d】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図16e】燃料電池モジュールの簡単化した図である。
図17】冷却媒体、酸素案内および水素案内に関する簡単化した図である。
図17a】冷却媒体、酸素案内および水素案内に関する簡単化した図である。
図17b】冷却媒体、酸素案内および水素案内に関する簡単化した図である。
図17c】冷却媒体、酸素案内および水素案内に関する簡単化した図である。
図18】電流フラグ接続のバリエーションを示す。
図19】冷却空気供給部を有する燃料電池モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、従来技術による燃料電池モジュール212の個別セル207を簡単化して示している。電解質膜202はアノード触媒203およびカソード触媒204と、拡大して示したアノード205およびカソード206、すなわち電極を備えている。カソード206とアノード205は双極板208′、208″を介してそれぞれ端板213または214に対して画成されている。この双極板はガス分配アノード側209とガス分配カソード側211に通路を備えている。ここで示唆したセルスタックは201で示してある。
【0036】
図1図2の図示は従来技術に関する。酸素(O2)と水素(H2)の供給が示されている。水素または酸素用の反応領域がR1とR2によって示してある。集電器215または216は電流を導出する働きをする。この集電器は導電体218、218′と消費部219を介して互いに接続されている。水素(H2)はガス分配アノード側209のガス分配部を経てアノード205に流れ、このアノードを通って反応領域R1まで拡散する。アノード触媒203は水素を陽子と電子に分ける(H2酸化)。陽子は電解質膜202を通って運ばれ、しかも反応領域R1から反応領域R2に運ばれる。電子はアノード205と双極板208′を通って集電器215まで案内される。電子は集電器215から導電体218と消費部219を経て集電器216に案内される。酸素(O2)はガス分配カソード側211を経てカソード206に流れ、カソード206を通って反応領域R2まで拡散する。カソード触媒204は反応領域R1からの陽子と導電体218′を経て流入する電子を関与させながら、酸素を水に還元する。反応領域には反応熱220が発生する。この反応熱は排出しなければならない。一般的に、この反応熱220は電極と双極板208′、208″を経て、冷却通路に流れる冷却媒体に伝達される。ガス分配アノード側209とガス分配カソード側211では、反応生成物と消費されなかった残留ガスが221、222の下で、好ましくは対流によって電極205、206から流出する。
【0037】
図2は多数の個別セル207、207i+1、207i+2を有するセルスタック201からなる燃料電池モジュール212の実施形態を示している。この場合、個別セル207の膜−電極−ユニット210の両側にはそれぞれ双極板208が配置されている。セルスタック201は各々の側が、213、214で示した端板によって覆われている。さらに、双極板208の一つにガスバリヤ225が記入されている。双極板のプラス側は226によって、マイナス側は227によって示される一方、冷却通路には参照符号228が付けてある。229は冷却側である一方、冷却媒体用媒体供給部が参照符号230で、酸素の供給部が231でそして水素の供給部が232で示してある。冷却媒体の排出部は233で示してある。酸素側の排出部は234で示され、消費されなかった酸素と反応生成物221、特に水および水蒸気を排出する。水素側の排出部は235で示され、消費されなかった水素と反応生成物222を排出する。双極導電部が238で示される一方、参照符号210はMEA、すなわち膜−電極−ユニットを示している。217は普通のターンバックル(Spannanker)である。双極板208内のガスバリヤは225によって示してある。このガスバリヤは双極板を通るガス(H2、O2)の不所望なガス拡散、ひいては制御されない反応を防止する。この場合、導電が妨げられ、熱伝導性が低減される。
【0038】
図3は個別セル7、7i+1、7i+2からなる燃料電池モジュール12の実施形態を示している。この個別セルはすべて双極板なしで済ますことができるかあるいはこの個別セルの場合このような実施形態は全く設けられていない。この燃料電池モジュール12の場合、端板は13、14で示され、集電器は15、16によって示されている。各々の個別セル7のために膜−電極−ユニット10が設けられている。このユニットはそれぞれ電極アノード5と電極カソード6によって示されている。各電極5、6には触媒3、4が付設されている。
【0039】
図示されているように、水素用の2個の電極アノード5′、5″の間に冷却兼媒体モジュール40′が配置されているかあるいは酸素用の2個の電極カソード6′、6″の間に冷却兼媒体モジュール40が配置されている。例示されているように、セル7、7i+1の酸素側にはそれぞれ冷却兼媒体モジュール40が配置され、かつこの位置のために敷設されており、セル7i+1、7i+2の水素側にはそれぞれ冷却兼媒体モジュール40′が配置され、かつこの位置のために敷設されている。
【0040】
隣接するセル7、7i+1の両(+)極は共に、冷却兼媒体モジュール40の側にある。両極は同じ電位を有するので、両極の間で電流は流れない。ガス分配通路から冷却兼媒体モジュール40の構造体を経て冷却通路42にガス拡散が行われる場合には、これは1つのガスのみである。それによって、電解特性を有する制御されずに発生する領域の形態がしめ出される。1つだけのガスが機能室内で拡散しているので、自然発生的なガス反応もしめ出される。
【0041】
これはセル7i+1と7i+2との間の冷却兼媒体モジュール40′のための水素側にも同様に当てはまる。このセルの(−)−極はセルの間に配置された冷却兼媒体モジュール40′の反対側にある。
【0042】
セル7、7i+1、7i+2の(−)極の接続が参照符号46によって示され、(+)極の接続が46′によって示されている。この接続は図3において例えばセルの並列の接続を提供する。簡単な極性反転によって、個々のセルの極を直列に接続することも可能である。
【0043】
電極アノード5は導電性ではなく、例えば導電層として形成された膜側の表面36を備えている。それに対して、電極カソード6は導電性であり、例えば導電層として形成されたモジュール側の表面36′を備えている。冷却兼媒体モジュール40はガス分配通路41と冷却通路42を備えている。この場合、冷却兼媒体モジュール40は導電体として利用されないで、二次機能室、ガス分配通路41および冷却通路42を提供する働きと、スタック形成する働き、すなわちスタックの幾何学的構造を形成する働きをする。用語機能室の代わりに、用語機能領域を使用してもよい。なぜなら、この機能領域がセル枠50から反対側のセル枠まで達する個々の膜−および電極ユニット10、10′の間にあるからである。
【0044】
さらに図3からわかるように、導電層36を反応領域R1と触媒3の平面内に配置することにより、導電のために2つの異なる実施が実現されている。この場合、電流は発生する場所から排出される。電極5は導電性である必要はなく、ガス拡散、熱導出および好ましくは対流による反応生成物の導出の働きをする。さらにわかるように、導電層36′が反応領域R2と触媒4の平面内に配置されている。この場合、電流は同様に発生した場所で排出される。電極6は導電性でなければならず、さらにガス拡散、熱導出および好ましくは対流による反応生成物の導出の働きをする。導電層はそれぞれの表面のコーティングによって、例えばナノ材料または炭素担体物質のコーティングによって生じることができる。
【0045】
図3に示した冷却兼媒体モジュール40の実施形態は、その表面にガス分配通路42を備えている。このガス分配通路はプロセスガスを供給し、余ったプロセスガスと発生した反応生成物を排出する働きをする。このように形成された冷却兼媒体モジュール40は好ましくは、2つのモジュール半部を接着または溶接によって互いに連結することにより、合成樹脂から作られる。
【0046】
図3aは冷却兼媒体モジュール40、40′のきわめて有利な形成を示している。冷却兼媒体モジュール40は水素側に示され、この水素側には2つの電極カバー72と2つの冷却通路薄板90とスペーサ79が設けられている。冷却兼媒体モジュール40′は酸素側に示され、この酸素側には2つの電極カバー72′と2つの冷却通路薄板91と一体のスペーサ79および2つの部材からなるスペーサ79′が設けられている。両冷却兼媒体モジュール40、40′の間には膜−電極−ユニット10が配置されている。10′で示した他の膜−電極−ユニットが冷却兼媒体モジュール40の下方に配置され、膜−電極−ユニット10′が同様に冷却兼媒体モジュール40の水素側に向いていることを示している。ここではこれ以上説明しないスタック構造は同様に酸素側で実施される。
【0047】
積層方向における冷却通路薄板の弾性変形が155によって示してあり、この変形はスペーサ79のずらした配置153によって助長される。示唆したスタック軸線166に沿ったスペーサ79の弾性変形が155によって原理的に示され、この場合スペーサ79は例示的に設けられ、しかもずらして配置されている。部品を弾性的に曲げることにより、熱による長さ変化または製作誤差に基づく異なる部品寸法がこれを必要とするときに、積層された構造体は「呼吸し」かつ撓むことができる。特にこの構造体から、内側スタック109の有利な弾性的挙動が生じる。これは、スタック形成に関与する部品の製作誤差が簡単に相殺されるので組立時にも、そしてスタック運転中の熱膨張時にも達成される。さらに、スタック軸線に沿ったスペーサ寸法を適当に設計することにより、スタック軸線111に沿ったスタック全体の適切な機械的予備締め付けが達成可能である。というのは、スタックがこの構造によって圧縮ばねのように作用して軸方向外側と内側に力を作用させるからである。
【0048】
図3aにさらに示すように、中央配置のMEA10、すなわち膜−電極−ユニットが両側を各々1個の冷却兼媒体モジュール40、40′によって囲まれている。冷却通路またはガス通路は42または43、44によって示してある。さらに、酸素の流れ方向96、96′および水素の流れ方向95、95′と、第1冷却回路の冷却媒体の反対向きの流れ方向86と第2冷却回路の冷却媒体の反対向きの流れ方向86′が示してある。電極カバーは膜−電極−ユニット10の両側で、72、72′によって示してある。電極カバー内の導電平面はアノード側とカソード側で対応する参照符号105、105′によって示してある。
【0049】
図3bの図示では、電流案内平面106、106′はアノード側とカソード側において電極5、6と電極カバー72との間に示される一方、図3cではこの電流案内平面107、107′は膜領域2において触媒3、4と電極5、6との間に配置されている。例えばナノ材料からなる導電電極表面は36、36′によって示してある。
【0050】
図3aの部分拡大図である図3dは、水素側を例にして、どのようにして水素H2がガス通路73を通って電極5内に入り、反応生成物と消費されなかった残留ガス、この場合残留水素が電極5からガス排出溝74を経て流出し、そして排出部を経て水素側35でスタックから排出されるかを示している。その際、プロセスガスをそのためにのみ設けられた通路43から電極カバー72の一方の側に供給し、電極カバー72の他方の側に残留ガスと反応生成物を供給することにより、分離された媒体案内が明瞭である。これは酸素側についても同様に当てはまる。
【0051】
図4は燃料電池またはセルスタック1を示している。この場合、個別セル7が重ねてかつセル枠50によって囲んで平行な層状に配置さている。コンパクトな構造の冷却兼媒体モジュールが40、40′で示され、膜−電極−ユニットが10で示されている。53は枠窓であり、その中で他のこのような個別セルをこのセットに付設することができる。扇形角度が54によって示され、ここでは180°であるので、有効反応面積は枠窓面積に一致している。
【0052】
図5では、2個の膜−電極−ユニット10、10′の間に冷却兼媒体モジュール40が配置されている。この冷却兼媒体モジュール40は互いに連結された、ここでは合成樹脂製の2個の構成部品60、60′からなっている。この構成部品内には冷却通路63と生成ガス用供給通路65が設けられている。冷却通路63または冷却兼媒体モジュール40全体が弾性的に形成されていることあるいは冷却通路63内に相当のガス圧が占めるかまたは発生するときに弾性的な歪みを許容することが、参照符号64によって示してある。この冷却媒体圧力64によって、弾性変形可能な冷却兼媒体モジュール40または相当の連結された構成部品60、60′が変形し、それによって有利なガス分配領域67または部分的なガス分配領域68が膜−電極−ユニット10の範囲内に形成可能である。図示のように、供給通路65の横方向通路66、66′によって、膜−電極−ユニット10の範囲内にガスを均一にもたらすことができる。プロセスガス圧力が69によって示されている。このプロセスガス圧力を超えると、冷却通路63とそこに占める冷却媒体圧力64によって弾性変形を行うことができる。それによって、積層された機能要素の製作誤差と、弾性歪みによる熱膨張が相殺され、その結果最適な単位面積あたりの押圧力が膜−電極−ユニット10、10′に作用する。近似的には単位面積あたりの押圧力は圧力差pF=pKM−pPGであり、ここでpKM>pPGである。単位面積あたりの押圧力(圧力差)は燃料電池の動作点に応じて冷却媒体圧力64(pKM)またはプロセスガス圧力69(pPG)を変更することによって適合させることが可能である。結果として生じる単位面積あたりの押圧力は、媒体によって生じる力と、スタックの機械的な予備締め付けによって加えられる、スタック軸線に沿った力とから生じる。部分的なガス分配領域68への部分的な供給部または排出部66あるいは相当の横方向通路66により、ガス分配領域68における媒体流れを最適化することができる。
【0053】
図6図6aは、積層された扇形部配置構造の冷却兼媒体モジュール40と、ガス分配通路41と、冷却通路42を有するセルスタック1を示している。この冷却兼媒体モジュールは好ましくは、互いに接着または溶接された2つの合成樹脂構成部材からなっている。曲げて合わせられた扇形頂部58を有するこの積層扇形部は56で示され、特に図6aから明らかなように、扇形角度47は約90°である。冷却兼媒体モジュール40はここでも導電体として使用されず、その表面だけが導電体として使用され、相当の導電層45を備えている。集電器130と、例示的に示したプラグ80とを介して、電流が導出される。冷却兼媒体モジュール40は二次機能室または機能平面41(すなわち43と44)および42を導電層(45)用担体として用意し、かつスタックを形成する、すなわち全体的に安定した形成を行う働きをする。冷却通路42とガス分配通路41またはガス通路43、44は90°回転可能である、すなわち図示のように扇形平面内に配置されない。図6ではプロセスガスが例えば扇形部軸線に沿って案内される。
【0054】
図7は平らに形成された、すなわち扇形角度aが180°であるセルスタック1を示している。冷却兼媒体モジュール40、40′は複数の部材から形成されている。すなわち、それぞれ2個の電極カバー72、72′と、冷却通路42、42′を形成するための2個の部品90、90′と、冷却通路薄板と、複数のスペーサ79とから形成されている。膜−電極−ユニットは10で示してある。この膜−電極−ユニットは両側が冷却兼媒体モジュール40、40′によって囲まれている。個々の冷却通路43、44を形成する壁または板は薄板からなっている。この薄板はスペーサ79を介して互いに支持されている。冷却兼媒体モジュール40、40′は例えば4枚の薄板または金属製フィルムからなっている。冷却兼媒体モジュールの外側には電極カバー72が設けられ、内側には冷却通路薄板90が設けられている。このスペーサ79は冷却通路側78と酸素および水素側の両方に配置されている。冷却通路43、43′内の冷却媒体圧力は64によって示してある。スペーサ79が小さな寸法で製作可能であると、良好な効率を達成するために膜−電極−ユニット10の範囲で作用しなければならない全体の単位面積あたりの押圧力は媒体圧力によって発生させられる。燃料電池モジュール12の範囲における部品寸法が不均一であるかまたは熱膨張が不均一である場合でも、膜−電極−ユニット10が均一に押圧されるという利点がある。スペーサ79が大きな寸法で製作可能であると、スタック組立中に所定の予備締め付け力が発生する。スペーサ79は、例えばそれをずらすことにより、所定の程度まで不均一な部品寸法または不均一な熱膨張に対して弾性的に反応および撓曲できるように配置および形成することが可能である。熱に起因する長さ変化または製作誤差に基づく異なる部品寸法のために必要とされるときには、個々の部品を弾性的に曲げることにより、積層構造体は「呼吸し」、撓むことができる。スペーサ79が「コンパクトに」形成されていると、スタック軸線に沿って剛性のある構造が生じる。
【0055】
図7aは180°の扇形角度54、すなわち平らな部品構造と、冷却兼媒体モジュール40を有する燃料電池モジュール12を示している。この構造形式の場合、有効反応面の投影面積は枠窓53に対するその投影寸法にほぼ一致している。すなわち、この投影面積は内側スタック109の横断面積にほぼ等しい。セルスタック1は各々1つの半分の冷却兼媒体モジュール−ユニット40″によって閉鎖され、かつ各々1つの端板13、14によって被覆されている。
【0056】
図7bは180°よりも小さな扇形角度47、この場合約90°を有するセルスタック1の一部を示している。この構造形式の場合、有効反応面積は枠窓53へのその投影面積よりも大きい。すなわち、有効反応面積は内側スタック109の横断面積よりも大きい。曲げて合わせられた扇形頂部58を有するこの扇形部の個別セル7は、膜−電極−ユニット10と冷却兼媒体モジュール40によって形成されている。ここではシールは記入されていない。図6と同様に、プロセスガスを扇形部軸線に沿って案内することができる。この構造は扇形部軸線に対して横向きにもプロセスガスを案内することを可能にする。
【0057】
図8は、水素と酸素のための反応領域R1、R2が膜−電極−ユニット10に形成されていることを明らかにするために、図7の一部を拡大して示している。ここにはさらに電極膜2が配置され、この膜−電極−ユニット10は両側を、酸素70と水素71のための供給部の電極カバー72、72′によって画成されている。電極カバー72、72′にはガス通路73とガス排出溝74が設けられている。それぞれのプロセスガスはガス通路73を経て膜−電極−ユニット10の領域に流れ、それによって74′で示した残留ガスと反応生成物が機能領域からガス排出溝74を経て除去される。これは次に酸素側でも水素側でも同様に行われる。その都度水素の部分流75だけが膜−電極−ユニット10の領域に達する一方、他の部分流は他のガス通路73を通って膜−電極−ユニット10に達することが明らかである。電極カバー72、72′の前後で、この構造によって明確に分離されたガス流が実現されることが明らかである。プロセスガスはそれぞれの供給部またはガス通路70、71を通って混合されずに流入し、そこからさらにガス通路73を通って電極5、6に流れる。この電極5、6内でガスはそれぞれの反応領域R1、R2まで拡散する。消費されなかった残留ガスと反応静止物、例えば水または水蒸気は好ましくは対流によって、この反応領域から排出部またはガス排出溝74、74′に流れる。ガス排出溝74、74′内の圧力は多孔質電極5、6内の圧力よりも低い。それによって、ガスと反応生成物の排出が有利に行われる。さらに、プロセス熱20が反応領域R1、R2から電極5、6とガス通路43、44を経て冷却媒体82および冷却通路63、63′まで放出されることが示してある。その際、ガス通路70(O2)と71(H2)に流入するプロセスガスが温められる。というのは、「低温の」プロセスガスによって良好なセル効率が達成できないからである。さらに、冷却通路63、63′内の反対向きの流れ86、86′が示してある。これは、セル横断面にわたって均一な温度勾配が確実に達成可能であることを意味する。冷却兼媒体モジュール90、90′、72、72′、79の個々の構成部品は好ましくはステンレス鋼薄板から作られている。薄壁状合成樹脂部品を使用する構造は本発明に従う。
【0058】
図9はセルスタック1、特に冷却兼媒体モジュール40の形成を示している。この場合、2個の合成樹脂部品60、60′からなる構造が実現されている。この合成樹脂部品は180°よりも小さな扇形角度47を有する平行な扇形部57を生じる。さらに、後述するセル枠50による膜−電極−ユニット10の側方からの取り囲みが示してある。この図示の場合、冷却兼媒体モジュール40は接合面60″で互いに接着または溶接された2個の弾性合成樹脂部品からなっている。水素用ガス通路43と、酸素用ガス通路65と、プロセスガスをガス通路65から膜−電極−ユニット10までさらに案内するための横方向通路66、66′と、一体化された付加的な管状スリーブによって例示された冷却通路63″と、プラグによって例示した導電体とを備えた媒体ガイドの形成と位置が示してある。プロセスガスは扇形部軸線に沿って案内される。
【0059】
図9aは平行な扇形部57の原理的な構造を示している。この場合、個々の膜−電極−ユニット10、10′はそれぞれ、扇形頂部58が互いに合わさることにより、上記の平行な扇形部が生じるように案内されている。
【0060】
図10では、燃料電池モジュール12は多数の個別セル7からなっている。この個別セルはセルスタック1を形成している。このセルスタック1の場合、ここでは図示していないが図3図5に示した電流案内部45、46が、そこにプラグ80を取付けることができるようにするために、外壁48を越えて案内されている。このプラグを介して所望な形の回路構成が可能である。図10は燃料電池モジュール12の簡単化した斜視図である。この場合、突出する電流フラグまたはプラグを有するセルまたは部分スタックの並列回路が例示されている。
【0061】
図10aは電極カバーの一部である突出する電流フラグ130、131を簡単化して示している。この電流フラグの間には平面81が示され、この平面内には当該セルの膜−電極−ユニットが設けられている。
【0062】
図10bはスタックハウジング100全体の簡単化した断面図である。この場合、出力極115は図示されていない。媒体極、出力極および制御装置と調整装置のためのいろいろなインターフェースが示してある。スタックハウジング100の換気が示されている。燃料電池モジュール1は外壁108を200°Cの温度まで加熱可能である。換気されたスタックハウジング100の外壁108は換気によって室温となる。この場合、流入空気101と排気102が示してある。スタックハウジング100上の出力極は103で、インターフェース−制御装置−調整装置は104で、媒体インターフェースは104′でそして外壁は上述のように108で示されている。燃料電池モジュールの制御および調整のために必要なすべての電気式、油圧式および空気圧式接続導体および接続要素がインターフェース104を経て案内されている。燃料電池モジュールを運転するために必要なすべての接続導体および接続要素、特にプロセスガスと冷却媒体のための供給管と消費されなかったプロセスガスと反応生成物のための排出管が、インターフェース104′を経て案内されている。
【0063】
図11図11aと図12図12aはセルスタックの簡単化した断面を示している。コンパクト構造の冷却兼媒体モジュールは40、40′によって示されている。この場合、冷却兼媒体モジュール40、41の個々の機能室または機能領域には、供給通路92からそれぞれの媒体が供給されることが明らかである。
【0064】
図11では、冷却媒体82が穴によって形成された供給通路92を通って案内される。この穴はシール83、84、85と、その間に配置された薄板90、91に形成されている。この供給通路92は適当な「作業平面」内に横方向通路93を有する。この横方向通路から、冷却媒体82または図12では水素95または酸素がそれぞれの平面内にまたは冷却通路42またはガス分配通路41内に案内される。図示したシール83、84、85と薄板90、91の対応する部分は、前述のセル枠50を生じる。このセル枠は、水素、酸素および他の冷却媒体を供給および排出するために、多数の、好ましくは少なくとも6つの図示した供給通路92を有する。
【0065】
図11aは供給通路92と、それから分岐する横方向通路93を示している。この横方向通路はシール83に形成されている。理解されるように、個々のシール83、84、85および83′にも、同じ穴が合致するように形成され、もちろん薄板91、92にも形成されている。99(図11)は例えば150×150mmの大きさである投影反応面を示している。
【0066】
図12図12a、図12bは水素95の流入を示している。通路92から横方向通路93とガス通路を経て反応領域までの水素95の流入が示されている。そのために、ガス通路73とガス排出溝74が設けられている。79、79′は個々の薄板91、90を離隔保持するスペーサを示している。94で示した波は、薄板91、90とスペーサ79によって達成される弾性構造を示している。構造を付与した薄板を使用することができる。この薄板の構造は例えば溝の形をしていて、スタックの軸方向弾性を増大する。
【0067】
図12aは、供給通路92と供給通路接続口87″と横方向通路93と水素95用矢印を有するガス通路シール83′の断面を示している。
【0068】
図12bは、いろいろなスペーサ79または79′の形成を拡大して示している。異なるスペーサ構想が考えられ、例えば電極カバー内にこぶとしてまたは刻み込まれた溝として形成される剛性の、可撓性のスペーサ79、79′が考えられる。
【0069】
11aの参照符号87は、シールまたは対応する薄板を介して他の接続通路による媒体のきわめて微細な分布が考えられることを明瞭に示すために使用されている。
【0070】
図12b〜図12eは、内側スタックが圧縮ばねのように作用することにより、予備締め付けまでに、内側スタックの弾性を明確に発生し得るいろいろな変形を示している。
【0071】
図12fは、スペーサ79が細長い膨らみ部として形成されているときに必要である補償兼分配溝156の断面を示している。その場合、個々の通路領域の間で、ガスは自由に移動可能である。
【0072】
図12gはハニカム薄板165からなる電極カバーを備えたKMM構造体を示す。ここでも、補償兼分配溝156が必要である。160は冷却通路薄板を、161は支持薄板を、162は圧力調整穴を、そして163は支持薄板の曲げ線を示している。
【0073】
図12hはガス通路側の電極カバー165と、ガス通路から電極内へのガスの流入を示している。電極カバー165は圧力によってスタック軸線に沿って電極5、6内まで侵入し、「谷底」内で溝を開放することができる。この溝は残留ガスと反応生成物を流出するために必要である(ガス排出溝も参照)。
【0074】
図12iは電極側の電極カバー165を示している。ガス通路から流出するガスと、逆流する残留ガスおよび反応生成物が見える。
【0075】
図13は燃料電池モジュール1の簡単化した断面を示している。端板13、14を備えたセルスタック12が示してある。ここでは平行なセル回路112が例示してある。内側スタック109内には、関連する部品、特に膜−電極−ユニット10の製作誤差と、異なる熱膨張に基づいて、いかなる場合でも所望される理想的なスタック軸線またはスタック方向111に沿って組み立てることができない。110は外側スタックを示している。上記の問題の結果、発生するずれを、機械的な応力によって元に戻すことがしばしば試みられる。その結果、エッジが押しつぶされたり、漏れが生じたり、ガスが拡散したり、プロセスガスの制御できない自然発生的な二次反応を生じることになる。これは燃料電池モジュール1の本発明に係る構造によって生じない。112は平行なセル回路であり、115は出力極である。
【0076】
図13aに示すように、酸素側と水素側のためにそれぞれ、2つの冷却回路116、117が用いられる。後続の各々の冷却兼媒体モジュール40において、冷却通路内の流れ方向が変更される。逆向きの冷却回路116、117は、貯蔵容器128と処理回路と圧縮機118を経て循環させられる前に、好ましくは熱交換器120を経て案内される。それとは逆に、冷却媒体は熱交換器120を経て貯蔵容器123と圧縮機119を異なるように循環させられる。この場合、廃熱121は熱交換器120から排出される。燃料電池または燃料電池モジュール1から放出されて冷却媒体を経て熱交換器120に運ばれたプロセス熱は、熱交換器120において、適切に利用され、場合によっては排出される。すなわち、熱は例えばプロセスガスを予熱するために利用されるか定置された設備の場合には加熱用有効熱を放出するために利用される。さらに、閉鎖系の還流部には、熱交換器120の後に、媒体を最適に調製する貯蔵容器122、123が設けられている。
【0077】
図13bは多数の部分スタック124からなるスタック125の構造を示している。ここでも、セルは直列に接続され、逆向きの2つの冷却回路116、117を備えている。固有の冷却回路と固有の出力極と制御装置と調整装置を備えた個々の部分スタック124の運転は、燃料電池モジュール全体の運転にとって有利である。個々の部分スタック124の加熱は、スタック125全体を加熱するよりも、例えばバッテリからの外部エネルギーのコストがはるかに少なくて済む。部分スタック124のための運転温度に達した後で、部分スタックを始動させることができる。部分スタック124のエネルギーは先ず最初は、低温の残りの部分スタックを始動温度にするために利用される。単一部分スタックは始動部分スタックとして利用される。これはきわめて有利である。さらに、例えば制御機能と調整機能を維持するためにあるいは停止エネルギーを用意するために、1個の部分スタック124を冗長的な緊急時電力系として利用することができる。
【0078】
好ましくは個々の部分スタック124、125が並列に接続され、逆向きの2つの冷却回路を備えていると、始動スタックが加熱される間は、個別スタックと部分スタック125の冷却回路は多数の部分スタック124から分離されている。その後、媒体流れが接続される。同じことが電気的な回路に当てはまる。
【0079】
始動のために小さなバッテリ容量しか必要としない。残りのスタックを運転温度にするために、小さなユニットがエネルギーを供給する。
【0080】
図14に示す変形の場合には、横方向通路と分配通路92′、127′、128、128′がそれぞれ個別構造薄板に加工される一方、シール83、84、85が縦方向通路のための穴だけを有することが重要である。冷却媒体82の分配のための通路92が示してある。その背後に、冷却通路薄板と、この冷却通路薄板に一例として加工された分配通路128、128′の一部が見える。
【0081】
図14aは部分拡大図である。この場合、冷却媒体が縦方向通路または供給通路92から接続通路126と横方向通路127と分配通路128を経て流れる状態が詳細に示してある。これは同様に冷却媒体の供給と排出に当てはまる。
【0082】
図14bは冷却通路細部を示している。好ましくは両冷却通路薄板が接続通路126と横方向通路127と分配通路128を備えている。それによって、内部抵抗が低減されるという利点がある。通路が図示され、この通路は貫通穴に類似して製作され(開放)、他の場合には開放しておらず(閉鎖)、そして完全に開放させずに薄板に加工されている。
【0083】
図15は、ガス通路73を有する電極カバー72の膜−電極側を示している。ガス通路73、73′から流出するガスと、ガス排出溝74内へのガス流が明らかになる。ガスを分配するための通路は127、128で示してある。さらに、既に述べた多数のガス通路73が電極カバーを介して分配されて設けられているので、きわめて均一な分配が可能であることが明らかである。その背後には冷却通路薄板と、この冷却通路薄板内に一例として加工された分配通路128、128′の一部が見える。
【0084】
図15aに示すように、好ましくは両電極カバー72(酸素側と水素側)に接続通路126と横方向通路127と分配通路128とガス排出溝74が形成されている。これらの通路は開放した溝126、127として示される一方、128は閉鎖した通路として示されている。図15bは閉じた通路構造体129を示している。すべての通路126″、127″と溝128が閉じ、供給通路92だけが開放している。図15cと15dは電極カバーの電極側のガス分配部157、157′を示している。このガス分配部は微細なガス分配の働きをする。
【0085】
図16は燃料電池モジュール1をスタック軸線111に沿って端板13または14の方へ見た図である。ここでは冷却媒体130、131用横方向通路133の垂直配置が重要である。130、131は電流フラグを示し、132はスタック横断面を示している。109は内側スタックを、110は外側スタックを示している。
【0086】
冷却媒体は供給通路139から横方向通路133に流れ、そこから接続通路138を経てシステムに流れ、横方向通路134、135はプロセスガスの流入とプロセスガスの流出のためのものである。この横方向通路は接続通路136と分配通路137を介して接続されている。140、140′はプロセスガス用供給通路と廃棄通路を示し、141はガス排出溝を示している。図16aおよび図16bは燃料電池モジュール1の部分領域の側面図と平面図である一方、図16cx1は酸素供給部の断面を示している。通路と通過部は開放したスリットまたは穴であり、この場合水素供給部は同様に形成され、もちろん別個の供給通路140を備えている。断面から明らかなように、水素横方向通路134は酸素(O2)用縦方向通路に接続されていない。
【0087】
図16fは電流フラグ131を有する電極カバー72を示している。
【0088】
図16dx2から酸素排出部の断面が明らかになる。この場合、ガス排出溝141は薄板に形成された溝として示されている。通路と通過部は開放したスリットまたは穴である。水素供給部が同様に形成されている。ここでも、水素横方向通路が酸素用縦方向通路に接続されていないことがわかる。参照符号142、142′は電極カバー72を通る接続開口である。143は排出通路、144はプロセスガス、ここでは酸素のための廃棄通路140′に関連する部分流である。
【0089】
図16ex3は冷却媒体用供給部の断面を示している。通路と通過部は開放したスリットと穴である。断面からわかるように、冷却通路138には2つの横方向通路133、133′から冷却媒体138が流れて来る。流出部は同様に形成され、鏡像対称である。
【0090】
図16gは断面16dx2の他の変形を示している。電極カバー72とMEAシール84との間において保護薄板176がセル枠にはめ込まれている。それによって、この構造がこの場所で電極カバー72に切欠きまたは通路を必要とするときに、流れるガスをMEAシール84から遠ざけることができる。
【0091】
図17図17cは冷却媒体と水素と酸素の、個々のセルの供給部の平面図である。
【0092】
図17には冷却回路116が示され、図17aには冷却回路117が示されている。この場合、この冷却回路が対向して案内されていることが明らかである。冷却媒体用媒体供給部は参照符号30によって示され、排出部は参照符号33によって示されている。図17bと図17cの図示からも同じようなことがわかる。この場合、水素の供給部または媒体供給通路が32で示され、水素側の排出部が35で示されている。
【0093】
図17cでは、酸素用媒体供給部が31で示され、排出部が34で示されている。この図示から良好にわかるように、この構造によって内側スタック109の面にわたって均一な分配が可能である。
【0094】
図18は電流フラグ回路のいろいろな変形を示している。Aでは例えば電位例えば(+)の隣接する電流フラグが1個のプラグによってまとめられている。Bの場合には電流フラグが一緒に曲げられて溶接、接着、挟持等がなされている。Cの場合には電流フラグが一緒に曲げられて溶接されている。
【0095】
図19は冷却空気供給部(圧縮機)と温められた冷却空気の大気への排出部を有する燃料電池モジュール12を示している。
【0096】
上記のすべての特徴と、図面からのみ推察できる特徴は、単独でも組み合わせても、本発明にとって重要であると見なされる。
図1
図2
図3
図3a.3d】
図3b
図3c
図4
図5
図6
図6a
図7.8】
図7a
図7b
図9
図9a
図10-10a】
図10b
図11
図11a
図12
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図12f
図12g
図12h
図12i
図13
図13a
図13b
図14-14a】
図14b
図15
図15a
図15b
図15c
図15d
図16
図16a
図16b
図16cx1
図16dx2
図16ex3
図16f
図16g
図17
図17a
図17b
図17c
図18
図19