(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、印刷用紙である記録媒体9上にインクの微小液滴を吐出することにより、複数の記録媒体9上にカラー画像を順次記録する枚様式の印刷装置(いわゆる、インクジェットプリンタ)である。
【0027】
図1に示すように、画像記録装置1は、複数の記録媒体9を
図1中の(+Y)方向である移動方向に移動する移動機構2、移動機構2による搬送途上の記録媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出する吐出ユニット3、移動機構2に記録媒体9を供給する供給部51、印刷終了後の記録媒体9を移動機構2から受け取る排出部52、および、これらの機構を制御する制御ユニット4を備える。吐出ユニット3は、移動機構2の上方((+Z)側)に配置され、図示省略のフレームに固定される。
【0028】
移動機構2は、複数のステージ21と、環状のガイド22と、ベルト駆動機構23とを備える。複数のステージ21は、それぞれが1枚のシート状の記録媒体9を吸着保持する。ガイド22は、複数のステージ21が接続されたベルトを内部に備え、複数のステージ21を案内する。ベルト駆動機構23は、ガイド22内のベルトを
図1中における反時計回りに移動させることにより、記録媒体9を保持するステージ21を吐出ユニット3の下方(すなわち、(−Z)側)において(+Y)方向に移動する。
【0029】
図2は吐出ユニット3を示す底面図である。吐出ユニット3は、それぞれが互いに異なる色のインクを記録媒体9に向けて吐出する複数(本実施の形態では、4個)の吐出部であるヘッド31を備え、これらのヘッド31は同様の構造を有する。複数のヘッド31はY方向(すなわち、移動方向)に配列されて吐出ユニット3の取付部30に取り付けられる。各ヘッド31は、記録媒体9の移動方向であるY方向に垂直なX方向に配列される複数の吐出口33を有する。
図2では、吐出口33の個数を実際によりも少なく描いている。なお、複数の吐出口33は、必ずしもX方向に配列される必要はなく、Y方向に対して交差する方向に配列されていればよい。
【0030】
各ヘッド31の各吐出口から吐出されるインクの微小液滴のサイズは切替可能であり(すなわち、異なる量の微小液滴を吐出可能であり)、液滴のサイズが切り替えられ、当該液滴が記録媒体9上に着弾することにより、記録媒体9上に形成されるドットのサイズも切り替えられる。本実施の形態では、各ヘッド31から吐出されるインクの微小液滴のサイズが、「大サイズ」、大サイズよりも小さい「中サイズ」、および、中サイズよりも小さい「小サイズ」の3種類の間で切り替えられる。これにより、記録媒体9上に形成されるインクのドットサイズは、「大サイズ」、「中サイズ」、「小サイズ」、および、ドットが存在しないことを示す「ゼロサイズ」の間で切り換えられる。以下の説明では、大サイズ、中サイズおよび小サイズのドットをそれぞれ、「大ドット」、「中ドット」および「小ドット」とも呼ぶ。本実施の形態では、大サイズの液滴のインク量は9pl(ピコリットル)であり、中サイズの液滴のインク量は6plであり、小サイズの液滴のインク量は3plである。
【0031】
図2中の最も(−Y)側のヘッド31はブラック(K)の色のインクを吐出し、ブラックのヘッド31の(+Y)側のヘッド31はシアン(C)の色のインクを吐出し、シアンのヘッド31の(+Y)側のヘッド31はマゼンタ(M)の色のインクを吐出し、最も(+Y)側のヘッド31はイエロー(Y)の色のインクを吐出する。なお、吐出ユニット3では、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等の他の色用のインクジェットヘッド等も設けられてよい。
【0032】
画像記録装置1では、X方向に関し、各ヘッド31が記録媒体9上の記録領域の全体に亘って(本実施の形態では、記録媒体9のX方向の全体に亘って)設けられる。そして、制御ユニット4の出力制御部41(
図3参照)により吐出ユニット3と移動機構2とが制御され、記録媒体9が、吐出ユニット3の複数のヘッド31に対向する位置を(+Y)方向に1回だけ通過することにより、記録媒体9上にブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクが順に吐出されて記録媒体9への画像の記録が完了する。
【0033】
換言すれば、画像記録装置1では、記録媒体9上において上記移動方向に垂直な幅方向の全幅に亘って配列される複数のドット記録位置に、ドット出力要素である吐出ユニット3において各ヘッド31の複数の吐出口33からインクの微小液滴をそれぞれ吐出してドットを記録し、記録媒体9上の当該複数のドット記録位置を、移動機構2により上記移動方向に記録媒体9に対して相対的に1回だけ移動させることにより、記録媒体9に対するシングルパス印刷が行われる。ここで、ブラックを第1の色、シアンを第2の色、マゼンタを第3の色、イエローを第4の色と呼ぶと、吐出ユニット3の4つのヘッド31は、(−Y)側から順に、第1の色のドットを記録する第1吐出部、第2の色のドットを記録する第2吐出部、第3の色のドットを記録する第3吐出部、および、第4の色のドットを記録する第4吐出部である。
【0034】
制御ユニット4は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶するROM、および、各種情報を記憶するRAMをバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。
図3は、制御ユニット4の機能を示すブロック図である。
図3では、制御ユニット4に接続される画像記録装置1の構成の一部を併せて示す。制御ユニット4は、上述の出力制御部41と、各種演算を行う演算部42とを備える。
【0035】
演算部42は、画像メモリ421と、複数のマトリクス記憶部422(SPM(Screen Pattern Memory)とも呼ばれる。)と、画像データ生成部423(ハーフトーン化回路)と、色成分画像生成部424とを備える。色成分画像生成部424は、外部から入力される多階調のカラー画像にグレイ置換(GCR:Gray Component Replacement)を行いつつ分版処理を施す。グレイ置換とは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのドットを重ねて表現されるグレイの部分を、ブラックのインクの濃淡のみで表現することにより、グレイの部分にシアン、マゼンタおよびイエローのドットが形成されないようにする処理のことである。
【0036】
これにより、当該カラー画像の第1の色成分であるブラックの階調画像、第2の色成分であるシアンの階調画像、第3の色成分であるマゼンタの階調画像、および、第4の色成分であるイエローの階調画像を生成する。以下の説明では、色成分画像生成部424により生成されるブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの階調画像をそれぞれ、「第1色成分画像」、「第2色成分画像」、「第3色成分画像」および「第4色成分画像」と呼ぶ。また、第1ないし第4色成分画像をまとめて「色成分画像」と呼ぶ。
【0037】
第1ないし第4色成分画像のデータ(以下、まとめて「色成分画像データ」ともいう。)は、画像メモリ421に記憶される。複数のマトリクス記憶部422は、第1ないし第4の色成分に対応する閾値マトリクスがそれぞれ記憶されるメモリである。
【0038】
各マトリクス記憶部422には、大ドット用の閾値マトリクスである大ドット用マトリクス811と、中ドット用の閾値マトリクスである中ドット用マトリクス812と、小ドット用の閾値マトリクスである小ドット用マトリクス813とが記憶される。大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813はそれぞれ、不規則に配置されるドットの個数を変更することにより階調を表現するFM(Frequency Modulated)スクリーニングに用いられる閾値マトリクスである。
【0039】
図3では1つのマトリクス記憶部422に記憶される大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813を図示しているが、他の色成分のマトリクス記憶部422にもそれぞれ、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813が記憶される。以下の説明では、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813の3つの閾値マトリクスをまとめて「マトリクスセット」とも呼ぶ。当該3つの閾値マトリクスの同じ位置では、大ドット用マトリクス811の閾値が最も大きく、小ドット用マトリクス813の閾値が最も小さい。また、中ドット用マトリクス812の閾値は、大ドット用マトリクス811および小ドット用マトリクス813の両閾値の間の値である。
【0040】
図4は、マトリクスセットの特性を示す図である。
図4では、一様な階調値の画像を画像記録装置1にて記録する場合の各色成分のインクの吐出率を縦軸に示しており、横軸は各色成分の画像の階調値を示している。上述の吐出率とは、記録媒体9上の単位領域においてインクのドットが付与可能な位置として定義されている記録位置の個数を基準個数として、単位領域に対して一のヘッド31から実際に吐出されて付与されるドットの個数の基準個数に対する割合を示す値である。
【0041】
図4では、大サイズのインクの微小液滴の吐出率を符号A1を付す実線にて示す。以下の説明では、大サイズ、中サイズおよび小サイズのインクの微小液滴の吐出率をそれぞれ「大ドットの吐出率」、「中ドットの吐出率」および「小ドットの吐出率」という。
図4では、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和を、符号A2を付す一点鎖線にて示し、全サイズのインクの微小液滴の吐出率である合計吐出率を符号A3を付す破線にて示す。
【0042】
大ドット用マトリクス811の閾値の範囲は128〜254であり、中ドット用マトリクス812の閾値の範囲は64〜191であり、小ドット用マトリクス813の閾値の範囲は0〜127である。既述のように、マトリクスセットの3つの閾値マトリクスにおいて互いに対応する位置では、小ドット用マトリクス813の閾値よりも中ドット用マトリクス812の閾値の方が大きく、中ドット用マトリクス812の閾値よりも大ドット用マトリクス811の閾値の方が大きい。そして、1つの位置に大ドットが形成されると、小ドットおよび中ドットは入力画素値が閾値を上回っても描画されず、1つの位置に中ドットが形成されると、小ドットは入力画素値が閾値を上回っても描画されない。
【0043】
図4に示すように、画像の階調値が0から64まで増加するに従って、小ドットのみによる吐出率が、破線A3にて示すように0%から50%まで線形に増加する。階調値が64から128まで増加する際には、合計吐出率は、破線A3にて示すように50%から100%まで線形に増加し、中ドットの吐出率は一点鎖線A2にて示すように0%から50%まで線形に増加する。破線A3と一点鎖線A2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加にかかわらず一定である。
【0044】
階調値が128から192まで増加する際には、合計吐出率は、破線A3にて示すように100%のままであり、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和は、一点鎖線A2にて示すように50%から100%まで線形に増加し、大ドットの吐出率は、実線A1にて示すように0%から50%まで線形に増加する。破線A3と一点鎖線A2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加に従って減少する。一点鎖線A2と実線A1との差は、中ドットの吐出率に相当し、中ドットの吐出率は、階調値の増加にかかわらず一定である。
【0045】
階調値が192から255まで増加する際には、合計吐出率は100%のままであり、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和も、一点鎖線A2にて示すように100%のままである。また、大ドットの吐出率は、実線A1にて示すように50%から100%まで線形に増加する。一点鎖線A2と実線A1との差は、中ドットの吐出率に相当し、中ドットの吐出率は、階調値の増加に従って減少する。小ドットの吐出率は0%であり、小サイズのインクの微小液滴は吐出されない。
【0046】
マトリクスセットの各ドットサイズに対応する閾値マトリクスが生成される際には、例えば、特開2008−199154号公報に開示された方法にて元となる閾値マトリクスが作成され、閾値の範囲を必要に応じて狭めるとともに最小閾値がそのサイズのドットの出現階調値に合うように各閾値にオフセット値が加えられる。
【0047】
図3に示す画像データ生成部423は、色成分画像データと閾値マトリクスとを色成分毎に比較してハーフトーン画像データを生成する比較部である。画像データ生成部423は、第1色成分画像と第1の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第1ハーフトーン画像データ生成部425、第2色成分画像と第2の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第2ハーフトーン画像データ生成部426、第3色成分画像と第3の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第3ハーフトーン画像データ生成部427、および、第4色成分画像と第4の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第4ハーフトーン画像データ生成部428を備える。なお、画像データ生成部423はソフトウェアにて実現されてもよい。
【0048】
出力制御部41は、吐出制御部411と、移動制御部412とを備える。移動制御部412は、演算部42からの出力に基づいて、移動機構2による記録媒体9の吐出ユニット3に対する相対移動を制御する。吐出制御部411は、演算部42からの出力に基づいて、記録媒体9の相対移動に同期して吐出ユニット3の複数の吐出口33からのインクの吐出を制御する(すなわち、ドット出力要素の出力制御を行う)。
【0049】
次に、画像記録装置1が画像を記録する動作について、
図5を参照しつつ説明する。なお、
図5は1枚の記録媒体9に注目した画像記録の流れを示している。画像記録装置1では、第1ないし第4色成分画像の網掛け処理に利用される4つのマトリクスセットが、
図3に示す演算部42の4つのマトリクス記憶部422にそれぞれ記憶される。また、外部のコンピュータから多階調のカラー画像のデータが色成分画像生成部424に入力される。当該カラー画像の各色成分の階調値(すなわち、各色成分画像の各画素が取り得る画素値)は、0から255である。階調値0は、濃度0%に対応し、インクのドットが形成されないことにより表現される。階調値255は、濃度100%(ベタ)に対応し、インクの大ドットにて表現される。すなわち、画像記録装置1では、濃度100%に対応するインクの液滴の量は、9plである。
【0050】
本実施の形態では、カラー画像が、ブラックの階調値が143、シアンの階調値が214、マゼンタの階調値が189、イエローの階調値が10のチント画像であるものとして説明する。色成分画像生成部424では、当該カラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理を施すことにより、階調値153(濃度60%)のブラックの階調画像、階調値204(濃度80%)のシアンの階調画像、階調値179(濃度70%)のマゼンタの階調画像、および、階調値0(濃度0%)のイエローの階調画像が生成される(ステップS11)。色成分画像生成部424により生成された各色成分画像は、画像メモリ421に格納される。
【0051】
続いて、第1ハーフトーン画像データ生成部425において、第1色成分画像であるブラックの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、153)と、ブラックに対応するマトリクスセットの閾値とが比較される。これにより、ブラックの階調画像に網掛け処理が行われ(すなわち、ブラックの階調画像がハーフトーン化され)、ブラックの画像の記録に用いられる第1ハーフトーン画像データが生成される(ステップS12)。
【0052】
ここで、階調画像のハーフトーン化(網点化)について説明する。
図6は、階調画像および閾値マトリクスを抽象的に示す図である。
図6ではマトリクスセットの1つの閾値マトリクスを符号81にて示している。閾値マトリクス81では、記録媒体9の幅方向に対応する行方向(
図6中にてx方向として示す。)、および、移動方向に対応する列方向(
図6中にてy方向として示す。)に複数の要素が配列されており、階調画像70においても行方向および列方向に複数の画素が配列されている。
【0053】
階調画像70のハーフトーン化の際には、階調画像70を、
図6に示すように、同一の大きさの多数の領域に分割してハーフトーン化の単位となる繰り返し領域71が設定される。
図3に示すマトリクス記憶部422は1つの繰り返し領域71に相当する記憶領域を有し、この記憶領域の各アドレス(座標)に閾値が設定されることにより閾値マトリクス81を記憶している。そして、概念的には階調画像70の各繰り返し領域71と閾値マトリクス81とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の画素値と閾値マトリクス81の対応する閾値とが比較される。画素値と閾値との比較は、3種類のドットサイズに対応する3つの閾値マトリクス(すなわち、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813)に対して行われ、これにより記録媒体9上のその画素の位置に描画を行うか否か、および、描画されるドットのサイズが決定される。
【0054】
実際の動作では、
図3の画像データ生成部423が有するアドレス発生器からのアドレス信号に基づいて画像メモリ421から階調画像70の1つの画素の画素値が読み出される。一方、アドレス発生器では当該画素に対応する繰り返し領域71中の位置を示すアドレス信号も生成され、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813の3つの閾値が特定されてマトリクス記憶部422から読み出される。そして、上記画素値と3つの閾値とが画像データ生成部423にて比較されることにより、出力画像の領域であるハーフトーン画像領域においてマトリクス状に配列された複数の画素位置(すなわち、複数の描画位置)に形成される複数のドットのサイズが順次決定される。
【0055】
具体的には、階調画像70の各画素の画素値(以下、「入力画素値」という。)と、ハーフトーン画像領域の各画素に対応する画素位置における大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、入力画素値が閾値よりも大きい場合には、当該画素位置に値「3」が付与される。以下、ハーフトーン画像領域における値を「ハーフトーン画素値」という。入力画素値が大ドット用マトリクス811の閾値よりも小さい場合には、入力画素値と中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。入力画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、上記画素位置にハーフトーン画素値「2」が付与される。入力画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも小さい場合には、入力画素値と小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。入力画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、上記画素位置にハーフトーン画素値「1」が付与され、閾値以下の場合にはハーフトーン画素値「0」が付与される。
【0056】
図7は、ハーフトーン画像が生成される領域であるハーフトーン画像領域75を簡略化して示す概念図である。
図7では、ハーフトーン画像領域75を、縦方向に4つの画素位置751が配列され、横方向に4つの画素位置751が配列された正方形の領域として示す。
図7では、ハーフトーン画像領域75には16個の画素位置751が含まれるが、実際には、ハーフトーン画像領域75にはもっと多数の画素位置が含まれる。
図7において、各画素位置751に記載された数値は、第1ハーフトーン画像データのハーフトーン画素値を示す。
【0057】
後述するように、ハーフトーン画素値が「3」であるハーフトーン画像領域75の画素位置751(すなわち、記録媒体9上のドット記録位置)には、大サイズのインクの微小液滴が吐出されて大ドットが形成される。また、ハーフトーン画素値が「2」である画素位置751には、中サイズのインクの微小液滴が吐出されて中ドットが形成され、ハーフトーン画素値が「1」である画素位置751には、小サイズのインクの微小液滴が吐出されて小ドットが形成される。ハーフトーン画素値が「0」である画素位置751には、ドットは形成されない。換言すれば、当該画素位置751のドットサイズは、ゼロサイズとなる。
【0058】
このように、ステップS12において、第1ハーフトーン画像データ生成部425により生成される第1ハーフトーン画像データは、ハーフトーン画像領域75の複数の画素位置751に形成されるブラックの複数のドットのサイズを示す。ブラックのドットのサイズを「第1ドットサイズ」と呼ぶと、第1ドットサイズは、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
【0059】
ステップS12が終了すると、
図3に示す第2ハーフトーン画像データ生成部426により、第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、第2色成分画像であるシアンの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、204)と、シアンに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、シアンの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置に形成されるシアンの複数のドットのサイズを示す第2ハーフトーン画像データが生成される(ステップS13)。シアンのドットのサイズを「第2ドットサイズ」と呼ぶと、第2ドットサイズは、第1ドットサイズと同様に、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
【0060】
図8は、第2ハーフトーン画像データ生成部426の機能を示すブロック図である。
図9.Aおよび
図9.Bは、ステップS13の詳細な流れを示す図である。
図8に示すように、第2ハーフトーン画像データ生成部426は、画素値記憶部461と、仮サイズ決定部462と、ドットサイズ積算部463と、サイズ決定部464と、画素値変更部465と、繰り返し制御部466と、第1閾値ドットサイズ記憶部467とを備える。
【0061】
第1閾値ドットサイズ記憶部467は、第2ハーフトーン画像データの生成に係る第1閾値ドットサイズを記憶する。第1閾値ドットサイズは、1つの画素に記録されるブラックのインクのドットサイズとシアンのインクのドットサイズの合計の上限値を示す。本実施の形態では、第1閾値ドットサイズは、大ドットと小ドットとの和に対応するサイズであり、当該サイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、12plおよび「4」である。第1閾値ドットサイズは、中ドットと中ドットとの和に対応するサイズでもある。
【0062】
第2ハーフトーン画像データ生成部426では、画像メモリ421からシアンの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部461に記憶される(ステップS131)。続いて、シアンの階調画像において、一の画素が注目画素として選択される(ステップS132)。本実施の形態では、
図7に示すハーフトーン画像領域75の左上の角部の画素位置751に対応する画素が注目画素として選択される。次に、仮サイズ決定部462により、注目画素に対して上述と同様の網掛け処理が行われ、ハーフトーン画像領域75の注目画素に対応する画素位置751(以下、「注目画素位置751」という。)に形成されるシアンのドットのサイズが仮決定される(ステップS133)。
【0063】
具体的には、注目画素の画素値と、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751におけるシアン用の大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、注目画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「3」が仮付与される。すなわち、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、大サイズに仮決定される。注目画素の画素値が大ドット用マトリクス811の閾値よりも小さい場合には、注目画素の画素値とシアン用の中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「2」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、中サイズに仮決定される。
【0064】
注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも小さい場合には、注目画素の画素値とシアン用の小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「1」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、小サイズに仮決定される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値以下の場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「0」が仮付与され、注目画素位置751のシアンのドットサイズが、ゼロサイズに仮決定される。
【0065】
ドットサイズの仮決定が終了すると、ドットサイズ積算部463により、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425から取得される。
図7に示すように、注目画素位置751のブラックのハーフトーン画素値は「3」であり、第1ドットサイズは大サイズである。続いて、注目画素位置751についてステップS133にて仮決定されたシアンのドットのサイズである第2ドット仮サイズと、上記第1ドットサイズとの合計である合計ドットサイズが求められる(ステップS134)。
【0066】
そして、サイズ決定部464により、合計ドットサイズと、第1閾値ドットサイズ記憶部467に予め記憶されている第1閾値ドットサイズが比較される(ステップS135)。具体的には、第1閾値ドットサイズに対応するインク量(12pl)と、合計ドットサイズに対応するインク量とが比較され、合計ドットサイズに対応するインク量が12pl以下の場合、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下であると判断される。また、合計ドットサイズに対応するインク量が12plよりも大きい場合、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
【0067】
合計ドットサイズと第1閾値ドットサイズとの比較は、第1閾値ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(4)と、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(すなわち、注目画素位置751におけるブラックおよびシアンのハーフトーン画素値の合計)との比較により行われてもよい。この場合、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「4」以下であれば、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「4」よりも大きいと、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
【0068】
第2ドット仮サイズがゼロサイズ(対応するインク量:0pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズとゼロサイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は9plである。したがって、合計ドットサイズは、第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、サイズ決定部464により、第2ドット仮サイズに等しいサイズ、すなわち、ゼロサイズに決定される(ステップS136)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「0」が付与される。
【0069】
また、第2ドット仮サイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと小サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は12plである。したがって、合計ドットサイズは、上記と同様に第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第2ドット仮サイズに等しいサイズである小サイズに決定される(ステップS136)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
【0070】
一方、第2ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと中サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は15plである。したがって、合計ドットサイズは、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。そして、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズ、すなわち、小サイズに決定される(ステップS137)。ドットサイズに対応するインク量で説明すると、第2ドットサイズは、第1閾値ドットサイズに対応するインク量(12pl)と第1ドットサイズに対応するインク量(9pl)との差(3pl)以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
【0071】
また、第2ドット仮サイズが大サイズ(対応するインク量:9pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと大サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は18plである。したがって、合計ドットサイズは、上記と同様に第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断され、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される(ステップS137)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
【0072】
ステップS135において合計ドットサイズが、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS137に続いて、画素値変更部465が、画素値記憶部461に記憶されているシアンの階調画像にアクセスする。そして、画素値変更部465により、シアンの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置751のうち第2ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置751に位置する画素(以下、「周辺画素群」という。)の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS138)。
【0073】
図10は、周辺画素群の画素値の変更の様子を示す図である。
図10では、階調画像701の注目画素702に平行斜線を付し、周辺画素群に含まれる画素703(以下、「周辺画素703」という。)にも、注目画素702とは異なる平行斜線を付す。周辺画素群に含まれる周辺画素703は、注目画素702と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。ステップS138では、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差を第2ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702の画素値に対して積算し、積算結果を周辺画素群に含まれる周辺画素703に均等に分配して加算することにより、周辺画素群の画素値が変更される。
【0074】
例えば、第2ドット仮サイズが中サイズである場合、ステップS137にて決定された第2ドットサイズは小サイズであるため、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、6−3=3plである。また、注目画素の画素値は、上述のように204である。そこで、
図10に白抜き矢印にて示すように、204×(6−3)/6=102の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703に均等に分配し、各周辺画素703に画素値51が加算されて画素値が255となる。
【0075】
一方、第2ドット仮サイズが大サイズである場合、ステップS137にて決定された第2ドットサイズは小サイズであるため、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−3=6plである。そこで、204×(9−3)/9=136の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703に均等に分配し、各周辺画素703に画素値68が加算されて画素値が272となる。ステップS138では、画素値の加算により周辺画素703の画素値が255よりも大きくなる場合、周辺画素703の画素値は255に変更される。
【0076】
第2ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の画素値の変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(後述)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS139,S140)。そして、ステップS133に戻り、新たな注目画素について、ステップS133〜S138の処理が行われる。
図11は、上記処理順序を示す図である。画像記録装置1では、
図11中の各画素位置751において括弧内に示される番号の小さい順にステップS133〜S138の処理が行われる。
図11に示すように、ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。なお、ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
【0077】
画像記録装置1では、
図8に示す繰り返し制御部466による制御により、シアンの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第2ドットサイズが決定されるまで、ステップS133〜S140が繰り返される。これにより、シアンの画像の記録に利用される第2ハーフトーン画像データが生成される。
【0078】
上述の説明では、注目画素位置751の第1ドットサイズが大サイズである場合について述べたが、以下、他の場合についても説明する。例えば、注目画素位置751の第1ドットサイズが中サイズである場合、第2ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズまたは中サイズであれば、合計ドットサイズは第1閾値ドットサイズ以下となるため、第2ドットサイズは第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第2ドット仮サイズが大サイズであれば、第2ドットサイズは、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。また、注目画素位置751の第1ドットサイズが小サイズまたはゼロサイズである場合、第2ドットサイズは、常に第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。
【0079】
第2ハーフトーン画像データの生成が終了すると、
図3に示す第3ハーフトーン画像データ生成部427により、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、第3色成分画像であるマゼンタの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、179)と、マゼンタに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、マゼンタの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置に形成されるマゼンタの複数のドットのサイズを示す第3ハーフトーン画像データが生成される(ステップS14)。マゼンタのドットのサイズを「第3ドットサイズ」と呼ぶと、第3ドットサイズは、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズと同様に、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
【0080】
図12は、第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能を示すブロック図である。
図13.Aおよび
図13.Bは、ステップS14の詳細な流れを示す図である。
図12に示すように、第3ハーフトーン画像データ生成部427は、画素値記憶部471と、仮サイズ決定部472と、ドットサイズ積算部473と、サイズ決定部474と、画素値変更部475と、繰り返し制御部476と、第2閾値ドットサイズ記憶部477とを備える。
【0081】
第2閾値ドットサイズ記憶部477は、第3ハーフトーン画像データの生成に係る第2閾値ドットサイズを記憶する。第2閾値ドットサイズは、1つの画素に記録されるブラック、シアンおよびマゼンタのインクのドットサイズの合計の上限値を示す。第2閾値ドットサイズは、上述の第1閾値ドットサイズとは異なる他の閾値ドットサイズであり、第1閾値ドットサイズよりも大きい、または、第1閾値ドットサイズに等しい。本実施の形態では、第2閾値ドットサイズは、大ドットと中ドットと小ドットとの合計に対応するサイズであり、当該サイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、18plおよび「6」である。第2閾値ドットサイズは、3つの中ドットの合計に対応するサイズでもあり、大ドットと大ドットとゼロドットとの合計に対応するサイズでもある。
【0082】
第3ハーフトーン画像データ生成部427では、画像メモリ421からマゼンタの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部471に記憶される(ステップS141)。続いて、マゼンタの階調画像において、ステップS132と同様に、一の画素が注目画素として選択される(ステップS142)。本実施の形態では、
図7に示すハーフトーン画像領域75の左上の角部の画素位置751に対応する画素が注目画素として選択される。次に、仮サイズ決定部472により、注目画素に対してステップS133と同様の網掛け処理が行われ、ハーフトーン画像領域75の注目画素に対応する注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットのサイズが仮決定される(ステップS143)。
【0083】
具体的には、注目画素の画素値と、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751におけるマゼンタ用の大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、注目画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「3」が仮付与される。すなわち、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、大サイズに仮決定される。注目画素の画素値が大ドット用マトリクス811の閾値よりも小さい場合には、注目画素の画素値とマゼンタ用の中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「2」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、中サイズに仮決定される。
【0084】
注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも小さい場合には、注目画素の画素値とマゼンタ用の小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「1」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、小サイズに仮決定される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値以下の場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「0」が仮付与され、注目画素位置751のマゼンタのドットサイズが、ゼロサイズに仮決定される。
【0085】
ドットサイズの仮決定が終了すると、ドットサイズ積算部473により、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズ、および、シアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425および第2ハーフトーン画像データ生成部426から取得される。
図7に示すように、注目画素位置751のブラックのハーフトーン画素値は「3」であり、第1ドットサイズは大サイズである。また、上述のように、第2ドットサイズは、小サイズまたはゼロサイズであり、以下、第2ドットサイズが小サイズであるものとして説明する。この場合、第1ドットサイズと第2ドットサイズとの合計に対応するインク量は、12plである。
【0086】
ドットサイズ積算部473では、上記第1ドットサイズおよび第2ドットサイズと、ステップS143にて仮決定されたマゼンタのドットのサイズである第3ドット仮サイズとの合計である合計ドットサイズが求められる(ステップS144)。ステップS144にて求められる合計ドットサイズは、ステップS134にて求められる合計ドットサイズとは異なる他の合計ドットサイズである。以下の説明では、ステップS134にて求められる合計ドットサイズを「第1合計ドットサイズ」と呼び、ステップS144にて求められる合計ドットサイズを「第2合計ドットサイズ」と呼ぶ。
【0087】
そして、サイズ決定部474により、第2合計ドットサイズと、第2閾値ドットサイズ記憶部477に予め記憶されている第2閾値ドットサイズが比較される(ステップS145)。具体的には、第2閾値ドットサイズに対応するインク量(18pl)と、第2合計ドットサイズに対応するインク量とが比較され、第2合計ドットサイズに対応するインク量が18pl以下の場合、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下であると判断される。また、第2合計ドットサイズに対応するインク量が18plよりも大きい場合、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
【0088】
第2合計ドットサイズと第2閾値ドットサイズとの比較は、第2閾値ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(6)と、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(すなわち、注目画素位置751におけるブラック、シアンおよびマゼンタのハーフトーン画素値の合計)との比較により行われてもよい。この場合、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「6」以下であれば、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「6」よりも大きいと、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
【0089】
第3ドット仮サイズがゼロサイズ(対応するインク量:0pl)である場合、第2合計ドットサイズは、第1ドットサイズである大サイズと、第2ドットサイズである小サイズと、第3ドット仮サイズであるゼロサイズとの合計に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は12plである。したがって、第2合計ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットのサイズである第3ドットサイズが、サイズ決定部474により、第3ドット仮サイズに等しいサイズ、すなわち、ゼロサイズに決定される(ステップS146)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「0」が付与される。
【0090】
また、第3ドット仮サイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと小サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は15plである。したがって、第2合計ドットサイズは、上記と同様に第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第3ドット仮サイズに等しいサイズである小サイズに決定される(ステップS146)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
【0091】
第3ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)である場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと中サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は18plである。したがって、第2合計ドットサイズは、上記と同様に第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第3ドット仮サイズに等しいサイズである中サイズに決定される(ステップS146)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「2」が付与される。
【0092】
一方、第3ドット仮サイズが大サイズである場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと大サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は21plである。したがって、第2合計ドットサイズは、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。そして、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第2閾値ドットサイズと、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計との差以下の範囲で最も大きいドットサイズ、すなわち、中サイズに決定される(ステップS147)。ドットサイズに対応するインク量で説明すると、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズに対応するインク量(18pl)と、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計に対応するインク量(12pl)との差(6pl)以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「2」が付与される。
【0093】
ステップS145において第2合計ドットサイズが、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS147に続いて、画素値変更部475が、画素値記憶部471に記憶されるマゼンタの階調画像にアクセスする。そして、画素値変更部475により、マゼンタの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置751のうち第3ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置751に位置する画素である周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS148)。
【0094】
ステップS148では、ステップS138と同様に、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差を第3ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702(
図10参照)の画素値に対して積算し、積算結果を周辺画素群に含まれる周辺画素703に均等に分配して加算することにより、周辺画素群の画素値が変更される。具体的には、第3ドット仮サイズが大サイズである場合、ステップS147にて決定された第3ドットサイズは中サイズであるため、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−6=3plである。また、注目画素の画素値は、上述のように179である。そこで、179×(9−6)/9≒60の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703(
図10参照)に均等に分配し、各周辺画素703に画素値30が加算されて画素値が209に変更される。
【0095】
第3ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の画素値の変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(
図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS149,S150)。そして、ステップS143に戻り、新たな注目画素について、ステップS143〜S148の処理が行われる。ステップS143〜S148の処理は、ステップS133〜S138と同様に、
図11に示すハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。なお、ステップS143〜S148の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
【0096】
画像記録装置1では、繰り返し制御部476による制御により、マゼンタの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第3ドットサイズが決定されるまで、ステップS143〜S150が繰り返される。これにより、マゼンタの画像の記録に利用される第3ハーフトーン画像データが生成される。
【0097】
上述の説明では、注目画素位置751の第1ドットサイズがよび第2ドットサイズがそれぞれ大サイズおよび小サイズである場合について述べたが、以下、他の場合についても説明する。例えば、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が大サイズであり、他方がゼロサイズである場合、第2合計ドットサイズは常に第2閾値ドットサイズ以下となるため、第3ドットサイズは、常に第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が中サイズであり、他方が小サイズである場合、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に小サイズまたはゼロサイズである場合、および、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が小サイズであり、他方がゼロサイズである場合も同様である。
【0098】
また、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が大サイズであり、他方が中サイズである場合、第3ドット仮サイズがゼロサイズまたは小サイズであれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第3ドット仮サイズが中サイズまたは大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズと第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計との差以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される。
【0099】
注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に大サイズである場合、第3ドット仮サイズが大サイズ、中サイズまたは小サイズであれば、第2合計ドットサイズは第2閾値ドットサイズよりも大きくなるため、第3ドットサイズは、常にゼロサイズに決定される。
【0100】
注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に中サイズである場合、第3ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズまたは中サイズであれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第3ドット仮サイズが大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズと第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計との差以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。
【0101】
第3ハーフトーン画像データの生成が終了すると、
図3に示す第4ハーフトーン画像データ生成部428により、第4色成分画像であるイエローの階調画像の各画素の画素値と、イエローに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、ステップS12におけるブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、イエローの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、イエローの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置に形成されるイエローの複数のドットのサイズを示す第4ハーフトーン画像データが生成される(ステップS15)。本実施の形態では、上述のように、ステップS11にて生成されたイエローの階調画像の階調値が0であるものとして説明しているため、ハーフトーン画像領域75の全画素位置751におけるドットサイズはゼロサイズとなる。
【0102】
このように、多階調のカラー画像に網掛け処理を行って最初に印刷される部分の各色成分のハーフトーン画像データが生成されて準備されると、出力制御部41の移動制御部412により移動機構2が制御され、記録媒体9の移動方向への移動が開始される(ステップS16)。そして、記録媒体9の移動に同期しつつ、ブラックのインクを吐出するヘッド31が第1ハーフトーン画像データに基づいて吐出制御部411により制御され、ブラックのドットによる第1ハーフトーン画像が記録媒体9上に記録される(ステップS17)。
【0103】
続いて、第2ハーフトーン画像データに基づいてシアンのインクを吐出するヘッド31が制御され、記録媒体9のブラックのドットが記録された領域(以下、「既記録領域」という。)に、シアンのドットによる第2ハーフトーン画像が記録される(ステップS18)。また、第3ハーフトーン画像データに基づいてマゼンタのインクを吐出するヘッド31が制御され、記録媒体9の既記録領域にマゼンタのドットによる第3ハーフトーン画像が記録される(ステップS19)。さらに、第4ハーフトーン画像データに基づいてイエローのインクを吐出するヘッド31が制御され、記録媒体9の既記録領域にイエローのドットによる第4ハーフトーン画像が記録される(ステップS20)。ただし、本実施の形態では、記録媒体9上にイエローのドットは記録されない。各色成分のハーフトーン画像の記録は、上述のハーフトーン画像データの生成に並行して行われる。
【0104】
画像記録装置1では、既述のように記録媒体9は供給部51により逐次供給されるとともに画像記録後に排出部52に回収される。所望の枚数の記録媒体9上にハーフトーン画像の全体が記録されると、記録媒体9の供給が停止され、画像記録動作が終了する(ステップS21)。
【0105】
以上に説明したように、画像記録装置1では、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるシアン(第2の色成分)のドットサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際に、ブラック(第1の色成分)のドットサイズを示す第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる。第2ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ(第1ドットサイズ)とシアンのドットサイズ(第2ドットサイズ)との合計である第1合計ドットサイズが、所定の第1閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、シアンのドットが形成される際に、ブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラックのインクとシアンのインクとの混合による発色不良(色の濁り)やコックリング(記録媒体9の波打ち現象)を抑制することができる。
【0106】
また、第1合計ドットサイズを第1閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたシアンのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値と、シアンのドットサイズの変更量(すなわち、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、シアンのドットサイズの変更による影響を補正し、シアンの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
【0107】
画像記録装置1では、マゼンタ(第3の色成分)のドットサイズを示す第3ハーフトーン画像データを生成する際に、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる。第3ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ、シアンのドットサイズおよびマゼンタのドットサイズ(第3ドットサイズ)の合計である第2合計ドットサイズが、所定の第2閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、マゼンタのドットが形成される際に、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラック、シアンおよびマゼンタのインクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
【0108】
また、第2合計ドットサイズを第2閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたマゼンタのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値と、マゼンタのドットサイズの変更量(すなわち、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、マゼンタのドットサイズの変更による影響を補正し、マゼンタの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
【0109】
上述のように、画像記録装置1では、ドットサイズを変更することにより発色不良やコックリングを抑制するため、記録媒体9上に形成可能なドットサイズの種類が多い方が、より効率的に発色不良やコックリングを抑制することができる。したがって、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズがそれぞれ、ゼロサイズおよび最大サイズのいずれかである場合(各画素位置にドットが記録されるか否かのみが選択可能な場合)よりも、ゼロサイズ、中間サイズおよび最大サイズのいずれかである方が、ブラックおよびシアンのドットの過剰な重なりをより効率的に防止することができ、シアンの階調画像をより精度良く表現することができる。第3ドットサイズについても同様に、ゼロサイズ、中間サイズおよび最大サイズのいずれかであることにより、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットの過剰な重なりをより効率的に防止することができ、マゼンタの階調画像をより精度良く表現することができる。
【0110】
記録媒体9上では、ブラックの色成分のドットと他の色成分のドットとが重なると、ドットが重なった部位では、ブラック以外の色成分は認識されない。したがって、上述のように、第1の色成分をブラックとして、シアンおよびマゼンタのドット配置を示す第2ハーフトーン画像データおよび第3ハーフトーン画像データを生成する際に、ブラックのドット配置を示す第1ハーフトーン画像データを考慮することにより、シアンおよびマゼンタのドットがブラックのドットと重なることを抑制し、記録媒体9に記録される画像の発色を良くすることができる。また、他の色成分に対する影響が小さいイエローを第4の色成分として、ブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、他の色成分のハーフトーン画像データを考慮することなく、第4ハーフトーン画像データを生成することにより、他の色成分のハーフトーン画像に対する影響を抑制しつつ、第4ハーフトーン画像データの生成を簡素化することができる。
【0111】
上述のように、ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向または横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。このように、ステップS133〜S138の処理順序において、処理が進む方向が変更される変曲点を少なくすることにより、注目画素の周囲における第2ドットサイズが未決定の画素の個数を、処理の進行の程度(すなわち、注目画素の位置)にかかわらず、およそ一定とすることができる。その結果、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って、ステップS133〜S138の処理の質を均一にすることができる。ステップS143〜S148においても同様に、処理順序における上記変曲点を少なくすることにより、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って処理の質を均一にすることができる。
【0112】
画像記録装置1では、第1ハーフトーン画像データを生成する工程(ステップS12)よりも前に、カラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理が施される(ステップS11)。これにより、各画素位置に形成される複数色のドットの重なりを抑制し、発色不良やコックリングを効率良く抑制することができる。
【0113】
画像記録装置1では、ステップS13においてステップS133〜S138が繰り返される間に、シアン用のマトリクスセットの大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813のそれぞれの閾値が変更されてもよい。例えば、1つの画素位置に形成されるドットサイズの決定毎に、各閾値マトリクスの閾値に乱数が付与されることにより、各閾値マトリクスの閾値が変更される。乱数の付与は、例えば、1つの画素位置の列のドットサイズが決定される毎に行われてもよい。このように、マトリクスセットの閾値が変更されることにより、ステップS137におけるドットサイズの変更が、ハーフトーン画像領域の全体において不規則に発生する。換言すれば、上記ドットサイズの変更の発生の不規則性を増大させることができる。その結果、ドットサイズの変更に伴う意図しない規則的なパターンの出現を抑制することができる。ステップS14においても同様である。
【0114】
また、画像記録装置1では、
図14に示すように、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置に隣接する画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされてもよい(ステップS121)。具体的には、ステップS12にて生成された第1ハーフトーン画像データにおいてハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置(すなわち、ブラックの小ドット、中ドットまたは大ドットが形成される画素位置)が抽出される。そして、抽出された画素位置の上下左右に隣接する4つの画素位置における第1閾値ドットサイズが、大ドットと小ドットとの和に対応するサイズから、例えば、小ドットと小ドットとの和に対応するサイズ(対応インク量は6pl)に変更される。あるいは、抽出された上記画素位置の上下左右斜めに隣接する8つの画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされる。
【0115】
これにより、ブラックのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にシアンのドットが形成されることが抑制され、また、シアンのドットが形成される場合であってもシアンのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上に形成された後のブラックのドットの拡がりを考慮し、拡がった後のブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
【0116】
また、ステップS13とステップS14との間において、ブラックまたはシアンのドットが形成されることが決定された画素位置に隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが小さくされてもよい。具体的には、第1ハーフトーン画像データにおいてハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置、および、第2ハーフトーン画像データにおいてハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置が抽出される。そして、抽出された画素位置の上下左右、または、上下左右斜めに隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが、大ドットと大ドットとの和に対応するサイズから、例えば、大ドットと中ドットとの和に対応するサイズ(対応インク量は15pl)に変更される。
【0117】
これにより、ブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にマゼンタのドットが形成されることが抑制され、また、マゼンタのドットが形成される場合であってもマゼンタのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上に形成された後のブラックおよびシアンのドットの拡がりを考慮し、拡がった後のブラックおよびシアンのドットとマゼンタのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
【0118】
画像記録装置1では、
図15に示すように、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第1閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされてもよい(ステップS122)。これにより、ステップS135において、ブラックのドットが形成される画素位置における合計ドットサイズが、仮決定されたシアンのドットサイズである第2ドット仮サイズがゼロサイズである場合を除き、必ず、第1閾値ドットサイズよりも大きくなる。したがって、ブラックのドットが形成される画素位置にシアンのドットは形成されない。その結果、シアンのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像の発色を良くすることができる。
【0119】
さらに、ステップS12とステップS14との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第2閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされてもよい。これにより、ブラックのドットが形成される画素位置にマゼンタのドットは形成されない。その結果、マゼンタのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像の発色をより一層良くすることができる。
【0120】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像記録装置について説明する。第2の実施の形態に係る画像記録装置は、
図1に示す画像記録装置1とほぼ同様の構成を備え、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。第2の実施の形態に係る画像記録装置では、制御ユニット4の機能は
図3に示すものと同様であり、画像を記録する動作は
図5に示すものと同様である。ただし、以下に説明するように、第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能、並びに、ステップS13,S14の詳細な流れが、第1の実施の形態とは一部異なる。
【0121】
図16および
図18はそれぞれ、第2の実施の形態に係る第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能を示すブロック図である。
図16および
図18に示すように、第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427では、画素値変更部465,475(
図8,12参照)に代えて仮サイズ変更部465a,475aが設けられる。
図17.Aおよび
図17.B、並びに、
図19.Aおよび
図19.Bは、ステップS13,S14の詳細な流れを示す図である。
【0122】
図16に示す第2ハーフトーン画像データ生成部426では、ステップS131と同様に、画像メモリ421からシアンの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部461に記憶される(ステップS231)。続いて、仮サイズ決定部462により、第2色成分画像であるシアンの階調画像の各画素の画素値と、シアンに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、ステップS12におけるブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、シアンの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるシアンの複数のドットのサイズが仮決定される(ステップS232)。
【0123】
次に、シアンの階調画像において、一の画素が注目画素として選択され(ステップS233)、ドットサイズ積算部463により、注目画素に対応する注目画素位置に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425から取得される。そして、注目画素位置についてステップS232にて仮決定されたシアンのドットのサイズである第2ドット仮サイズと、上記第1ドットサイズとの合計である第1合計ドットサイズが求められる(ステップS234)。
【0124】
サイズ決定部464では、第1合計ドットサイズと、第1閾値ドットサイズ記憶部467に予め記憶されている第1閾値ドットサイズが比較される(ステップS235)。第1合計ドットサイズと第1閾値ドットサイズとの比較は、ステップS135と同様に、両ドットサイズに対応するインク量、または、ハーフトーン画素値が比較されることにより行われる。
【0125】
第1合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下である場合、注目画素位置に形成されるシアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、サイズ決定部464により、第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS236)。一方、第1合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きい場合、第2ドットサイズは、ステップS137と同様に、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズに決定される(ステップS237)。
【0126】
ステップS235において第1合計ドットサイズが、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS237に続いて、シアンの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置のうち第2ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置に位置する画素(以下、「周辺画素群」という。)が抽出される。周辺画素群に含まれる周辺画素は、注目画素と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、
図10に示すように、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。そして、仮サイズ変更部465により、周辺画素群の第2ドット仮サイズが、注目画素位置における第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS238)。
【0127】
例えば、第2ドット仮サイズが大サイズ(対応するインク量:9pl)であり、第2ドットサイズが小サイズ(3pl)である場合、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−3=6plである。6plのインク量は、2つの周辺画素703に均等に分配され、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に3plが加算される。これにより、各周辺画素703の第2ドット仮サイズが、1サイズ大きいサイズに変更される。例えば、変更前の第2ドット仮サイズがゼロサイズであれば、第2ドット仮サイズは小サイズに変更される。また、変更前の第2ドット仮サイズが小サイズであれば中サイズに変更され、変更前の第2ドット仮サイズが中サイズであれば大サイズに変更される。なお、変更前の第2ドット仮サイズが大サイズの場合は、第2ドット仮サイズは変更されない。この場合、第2ドット仮サイズの変更に利用されなかったインク量は、他の周辺画素703の第2ドット仮サイズの変更に利用されてもよい。
【0128】
また、例えば、第2ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)であり、第2ドットサイズが小サイズ(3pl)である場合、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、6−3=3plである。3plのインク量は、2つの周辺画素703に均等に分配され、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に1.5plが加算される。1.5plのインク量は、ドットサイズの差(すなわち、大サイズと中サイズとの差、中サイズと小サイズとの差、および、小サイズとゼロサイズとの差)の1/2に対応するため、各周辺画素703に係るインク量は、画像記録装置1にて表現可能なドットサイズに対応しない。この場合、例えば、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に3plを加算して第2ドット仮サイズを1サイズ大きくするとともに、各周辺画素703が注目画素になった場合の周辺画素から、各周辺画素703に余分に加算した1.5plを減算する。
【0129】
注目画素位置の第2ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の第2ドット仮サイズの変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(
図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS239,S240)。そして、ステップS234に戻り、新たな注目画素について、ステップS234〜S238の処理が行われる。
図11に示すように、ステップS234〜S238の処理は、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。なお、ステップS234〜S238の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
【0130】
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、
図16に示す繰り返し制御部466による制御により、シアンの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第2ドットサイズが決定されるまで、ステップS234〜S240が繰り返される。これにより、シアンの画像の記録に利用される第2ハーフトーン画像データが生成される。
【0131】
図18に示す第3ハーフトーン画像データ生成部427では、ステップS141と同様に、画像メモリ421からマゼンタの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部471に記憶される(ステップS241)。続いて、仮サイズ決定部472により、第3色成分画像であるマゼンタの階調画像の各画素の画素値と、マゼンタに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、ステップS232と同様に、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、マゼンタの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるマゼンタの複数のドットのサイズが仮決定される(ステップS242)。
【0132】
次に、マゼンタの階調画像において、一の画素が注目画素として選択され(ステップS243)、ドットサイズ積算部473により、注目画素位置における第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425および第2ハーフトーン画像データ生成部426から取得される。そして、注目画素位置についてステップS242にて仮決定されたマゼンタのドットのサイズである第3ドット仮サイズと、上記第1ドットサイズおよび第2ドットサイズとの合計である第2合計ドットサイズが求められる(ステップS244)。
【0133】
サイズ決定部464では、第2合計ドットサイズと、第2閾値ドットサイズ記憶部477に予め記憶されている第2閾値ドットサイズが比較される(ステップS245)。第2合計ドットサイズと第2閾値ドットサイズとの比較は、ステップS235と同様に、両ドットサイズに対応するインク量、または、ハーフトーン画素値が比較されることにより行われる。
【0134】
第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下である場合、注目画素位置に形成されるマゼンタのドットのサイズである第3ドットサイズが、サイズ決定部474により、第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS246)。一方、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きい場合、第3ドットサイズは、ステップS147と同様に、第2閾値ドットサイズと、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計との差以下の範囲で最も大きいドットサイズに決定される(ステップS247)。
【0135】
ステップS245において第2合計ドットサイズが、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS247に続いて、マゼンタの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置のうち第3ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置に位置する画素である周辺画素群が抽出される。周辺画素群に含まれる周辺画素は、上述のように、注目画素と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、
図10に示すように、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。そして、仮サイズ変更部475により、周辺画素群の第3ドット仮サイズが、ステップS238と同様に、注目画素位置における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS248)。
【0136】
注目画素位置の第3ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の第3ドット仮サイズの変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(
図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS249,S250)。そして、ステップS244に戻り、新たな注目画素について、ステップS244〜S248の処理が行われる。
図11に示すように、ステップS244〜S248の処理は、ステップS234〜S238と同様に、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。なお、ステップS244〜S248の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
【0137】
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、
図18に示す繰り返し制御部476による制御により、マゼンタの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第3ドットサイズが決定されるまで、ステップS244〜S250が繰り返される。これにより、マゼンタの画像の記録に利用される第3ハーフトーン画像データが生成される。
【0138】
以上に説明したように、第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるシアン(第2の色成分)のドットサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際に、ブラック(第1の色成分)のドットサイズを示す第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる。第2ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ(第1ドットサイズ)とシアンのドットサイズ(第2ドットサイズ)との合計である第1合計ドットサイズが、所定の第1閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、シアンのドットが形成される際に、ブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラックのインクとシアンのインクとの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
【0139】
また、第1合計ドットサイズを第1閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたシアンのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の第2ドット仮サイズが、注目画素位置におけるシアンのドットサイズの変更量(すなわち、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、シアンのドットサイズの変更による影響を補正し、シアンの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
【0140】
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、マゼンタ(第3の色成分)のドットサイズを示す第3ハーフトーン画像データを生成する際に、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる。第3ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ、シアンのドットサイズおよびマゼンタのドットサイズ(第3ドットサイズ)の合計である第2合計ドットサイズが、所定の第2閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、マゼンタのドットが形成される際に、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラック、シアンおよびマゼンタのインクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
【0141】
また、第2合計ドットサイズを第2閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたマゼンタのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の第3ドット仮サイズが、注目画素位置におけるマゼンタのドットサイズの変更量(すなわち、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、マゼンタのドットサイズの変更による影響を補正し、マゼンタの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
【0142】
上述のように、ステップS234〜S238の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向または横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。これにより、第1の実施の形態と同様に、注目画素の周囲における第2ドットサイズが未決定の画素の個数を、処理の進行の程度(すなわち、注目画素の位置)にかかわらず、およそ一定とすることができる。その結果、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って、ステップS234〜S238の処理の質を均一にすることができる。ステップS244〜S248においても同様に、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って処理の質を均一にすることができる。
【0143】
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置に隣接する画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされてもよい(
図14:ステップS121)。これにより、ブラックのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にシアンのドットが形成されることが抑制され、また、シアンのドットが形成される場合であってもシアンのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上において拡がった後のブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
【0144】
また、ステップS13とステップS14との間において、ブラックまたはシアンのドットが形成されることが決定された画素位置に隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが小さくされてもよい。これにより、ブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にマゼンタのドットが形成されることが抑制され、また、マゼンタのドットが形成される場合であってもマゼンタのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上において拡がった後のブラックおよびシアンのドットとマゼンタのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
【0145】
さらに、第1の実施の形態と同様に、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第1閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされてもよい(
図15:ステップS122)。その結果、シアンのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像の発色を良くすることができる。
【0146】
また、ステップS12とステップS14との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第2閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされてもよい。その結果、マゼンタのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像の発色をより一層良くすることができる。
【0147】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0148】
例えば、大ドット、中ドットおよび小ドットにそれぞれ対応するインクの液滴の量は、適宜変更されてよい。また、
図4に示すマトリクスセットの特性も適宜変更されてよい。さらに、ゼロサイズを除く各色のインクのドットサイズは、必ずしも、大サイズ、中サイズ、小サイズの3種類である必要はなく、1種類、2種類または4種類以上であってもよい。
【0149】
画像データ生成部423に記憶される第1閾値ドットサイズおよび第2閾値ドットサイズは、適宜変更されてよい。ステップS138,S148における周辺画素群の画素値の変更では、上述の積算結果に係数(例えば、0.8)を積算した画素値を周辺画素703に均等に分配して加算してもよい。ステップS238における周辺画素群の第2ドット仮サイズの変更では、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に係数(例えば、0.8)を積算したものを周辺画素703に均等に分配してもよい。ステップS248における第3ドット仮サイズの変更においても同様である。
【0150】
上記実施の形態では、周辺画素群に含まれる周辺画素は、注目画素の右側および下側に隣接する2つの画素であるが、注目画素と周辺画素との位置関係は、様々に変更されてよい。さらに、周辺画素の画素値の変更量も適宜変更されてよい。例えば、ステップS138において、注目画素の右側、右斜め下、下側、左斜め下に隣接する4つの画素が周辺画素とされてもよい。この場合、例えば、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差を第2ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702の画素値に対して積算し、積算結果の7/16が、注目画素の右側に隣接する周辺画素の画素値に加算される。また、注目画素の右斜め下、下側、左斜め下に隣接する周辺画素の画素値には、上記積算結果の1/16、5/16および3/16がそれぞれ加算される。ステップS148,S238,S248においても同様である。周辺画素は、必ずしも注目画素に隣接する必要はなく、注目画素の周囲の画素位置に位置する画素であれば、注目画素から離間した画素であってもよい。
【0151】
注目画素が画像のエッジ近傍に位置し、周辺画素群に含まれる周辺画素の一部が存在しない場合、ステップS138,S148では、ドットサイズの変更により周辺画素群に分配される画素値のうち、存在しない周辺画素に加算される予定であった画素値が、存在する周辺画素に分配されて加算されてもよい。また、ドットサイズの変更により周辺画素群に分配される画素値のうち、存在する周辺画素に対応する一部の画素値のみが、存在する周辺画素に加算されてもよい。ステップS238,S248においても同様である。
【0152】
ステップS133〜S138,S143〜S148,S234〜S238,S244〜S248の処理が行われる画素位置の順序である処理順序は、
図11に示すものには限定されず、例えば、ペアノ曲線やヒルベルト曲線に沿って処理順序が定められてもよい。
【0153】
画像データ生成部423では、ステップS15において、ステップS13,S14と同様に、第1ハーフトーン画像データ、第2ハーフトーン画像データおよび第3ハーフトーン画像データを参照しつつ、イエローの階調画像の各画素の画素値と、イエローに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、イエローの階調画像に網掛け処理が行われて第4ハーフトーン画像データが生成されてもよい。
【0154】
マトリクス記憶部422に記憶される閾値マトリクスは、規則的に配列されたドットの集合であるクラスタの大きさを変えることにより階調を表現するAM(Amplitude Modulated)スクリーニングに用いられるものであってもよい。ステップS12,S15では、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、第1ハーフトーン画像データおよび第4ハーフトーン画像データが生成されてもよい。
【0155】
ステップS133,S143でも、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に対して誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、注目画素位置に形成されるドットのサイズが仮決定されてもよい。具体的には、注目画素の画素値と、注目画素位置に設定されている所定の閾値とが比較され、注目画素位置に形成されるドットのサイズが仮決定された後、注目画素の画素値と、仮決定されたドットのサイズに対応する画素値との差が、次の注目画素の画素値に加算される。この場合も、ステップS133〜S138,S143〜S148が繰り返される間に閾値の変更を行うことにより、ドットサイズの変更に伴う意図しない規則的なパターンの出現を抑制することができる。ステップS232,S242においても同様に、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に対して誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、ドットのサイズが仮決定されてもよい。
【0156】
画像データ生成部423では、シアンのドットのサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際にのみ第1ハーフトーン画像データが参照され、マゼンタのドットのサイズを示す第3ハーフトーン画像データは、第1ハーフトーン画像データと同様に、他の色成分のハーフトーン画像データを考慮することなく生成されてもよい。これにより、第3ハーフトーン画像データの生成を簡素化することができる。また、第2の色成分をマゼンタとし、第3の色成分をシアンとし、マゼンタのドットサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際にのみ、第1ハーフトーン画像データが参照されてもよい。換言すれば、第1の色成分がブラックであり、第2の色成分がシアンおよびマゼンタのいずれか1つであり、少なくとも第2ハーフトーン画像データを生成する際に、第1ハーフトーン画像データが参照されることにより、ブラックのドットと第2の色成分のドットの過剰な重なりを防止することができ、第2の色成分の階調画像をより精度良く表現することができる。
【0157】
画像記録装置1では、インクの色は、必ずしもブラック、シアン、マゼンタ、イエローには限定されず、インクの色数も4色には限定されない。画像記録装置1では、少なくとも2色のインクにより画像が記録されていればよく、第1の色成分および第2の色成分のインクとして、様々な色のインクが利用されてよい。
【0158】
画像記録装置1では、ハーフトーン画像データの生成および印刷動作は並行して行われる必要はなく、出力制御部41内に十分大きなメモリを設けることが可能であれば、カラー画像全体のハーフトーン画像データの生成が完了してから画像記録動作が開始されてもよい。
【0159】
画像記録装置1では、記録媒体9が吐出ユニット3に対してY方向に相対的に移動するのであれば、例えば、停止している記録媒体9の上方にて、吐出ユニット3が移動機構2によりY方向に移動してもよい。画像記録装置1の構造は、例えば、インターレス印刷を行う画像記録装置に適用されてもよく、また、長尺状のロール紙に画像を記録する画像記録装置に適用されてもよい。記録媒体9は、印刷用紙以外にフィルムや金属薄板等であってもよい。
【0160】
画像データ生成部423は、画像記録装置1から独立して、多階調のカラー画像に網掛け処理を行ってハーフトーン画像データを生成する画像データ生成装置として利用されてもよい。また、画像データ生成部423は、他の構造の画像記録装置にて利用されてもよい。例えば、電子写真方式の画像記録装置に画像データ生成部423が利用される場合、画像データ生成部423により決定されるドットのサイズは、記録媒体である感光ドラム上に記録される潜像のドットのサイズである。また、感光ドラムに光を照射して潜像を形成する光出射部、および、感光ドラムを回転させる回転機構が、ドット出力要素、および、ドット記録位置を相対移動させる移動機構となる。
【0161】
画像データ生成部423は、例えば、光源部から出射された光ビームを、記録媒体である各色成分用の刷版上にてポリゴンミラー等を介して走査することにより、刷版上に画像を記録する画像記録装置にて利用されてもよい。この場合、光ビームを出射する光源部がドット出力要素となり、ポリゴンミラー等が、刷版上のドット記録位置を刷版に対して相対的に移動させる移動機構となる。
【0162】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。