特許第5773560号(P5773560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773560
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】CETP阻害剤のポリマー製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/421 20060101AFI20150813BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150813BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150813BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20150813BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   A61K31/421
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61P9/10 101
   A61P43/00 111
【請求項の数】7
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2008-554428(P2008-554428)
(86)(22)【出願日】2007年2月9日
(65)【公表番号】特表2009-526075(P2009-526075A)
(43)【公表日】2009年7月16日
(86)【国際出願番号】US2007003799
(87)【国際公開番号】WO2007092642
(87)【国際公開日】20070816
【審査請求日】2008年9月29日
【審判番号】不服2012-23113(P2012-23113/J1)
【審判請求日】2012年11月22日
(31)【優先権主張番号】60/771,782
(32)【優先日】2006年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596129215
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ギアズ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ローウインガー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マツケルビー,クレイグ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ロバート・エフ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ダイナ
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 穴吹 智子
【審判官】 安藤 倫世
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K31/00-33/44
A61K38/00-49/22
CAPLUS
MEDLINE
EMBASE
BIOSIS
WPIDS
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIの化合物
【化1】
又はその塩のインビボでの生体利用度を向上させるための、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)及びポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される濃度増大ポリマー組成物
【請求項2】
前記濃度増大ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記濃度増大ポリマーがポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーである請求項1に記載の組成物
【請求項4】
請求項1に記載の組成物であり、前記組成物が、界面活性剤であるビタミンE TPGSを更に組み合わせて含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物
【請求項5】
前記濃度増大ポリマーがコポビドンである請求項4に記載の組成物
【請求項6】
式IIの化合物
【化2】
又はその塩のインビボでの生体利用度を向上させる組成物の調製のための、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)及びポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される濃度増大ポリマーの使用。
【請求項7】
(a)下式II
【化3】
の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、と、
(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)及びポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される濃度増大ポリマー、とを混合することを特徴とする、
式IIの化合物のインビボでの生体利用度を向上させるための組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対して投与したときに改善された生体利用度を与えるCETP阻害化合物クラスの固体製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化症及びその臨床事象、冠状動脈性心疾患(CHD)、卒中及び末梢血管疾患は工業国のヘルスケアシステムに対して真に大きな負担をかけている。米国だけでも、約1300万人の患者がCHDと診断され、毎年150万人以上の死がCHDに起因している。更に、この死者数は、人口の平均年齢が高くなっていき、肥満及び糖尿病の流行が増え続けていくのと同様に、次の四半世紀にわたり増加すると予想されている。
【0003】
コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を阻害することはアテローム性動脈硬化症の発症率を低下させるための将来有望な新しいアプローチである。スタチン類はLDLコレステロール(“悪玉コレステロール”)を低下させることによりCHDの発症率を低下させるのに重要であるが、HDLコレステロール(“善玉コレステロール”)の上昇には余り有効でない。CETP阻害剤はHDLコレステロールを上昇させ、LDLコレステロールも低下させ得、従って一般人におけるCHD及びアテローム性動脈硬化症を低下させるための有力な新しいツールを提供し得る。CETP阻害剤及びスタチンを用いる併用治療もHDL及びLDLレベルの両方をコントロールするための貴重なツールとなり得、この併用治療によりアテローム性動脈硬化症を治療及び予防することができ、多分アテローム硬化斑の形成を後退させることさえできる。ファイザーのトルセトラピブは、長期間の予後調査で薬物服用群の死亡率が対照群と比較して上昇することが判明したのでフェーズIII治験から撤退した。死亡率が上昇した原因はまだ特定されておらず、死亡率上昇の責めを負うメカニズムもまだ不明である。
【0004】
CETP阻害剤は一般的に非常に親油性である。化合物は通常水及び水性体液中に殆ど溶解しない。一般的な錠剤処方を用いたCETP阻害剤の生体利用度はしばしば悪い。従って、患者に対して投与したとき化合物をより容易に生物学的に利用可能とする経口組成物の開発が必要されている。更に、かなり不溶性の親油性化合物(例えば、本発明で使用されているCETP阻害剤)を含む多くの慣用の製剤は、薬物を経口投与する前に患者が最後に食事をとった時間及び患者が薬物を食事と一緒に服用したかどうかに応じて身体へ吸収される量及び速度に大きな差がある有意な「食事影響」を示す。通常、患者が空腹状態にあるかどうかに応じて、患者が空腹状態でないならば患者がいつ、何を食べたかにも応じて経口投与後の吸収に有意な差が観察される。生体利用度を改善するための幾つかのアプローチが特許及び非特許文献で提案されている。これらのアプローチにはエマルション、ミクロエマルション、自己乳化性ドラッグデリバリーシステム(SEDD)及び自己ミクロ乳化性ドラッグデリバリーシステム(SMEDD)としても公知のエマルション及びミクロエマルションプレコンセントレイト、ナノ粒子及び担体中の非晶質分散物が含まれる。化合物が非結晶状態でポリマー中に溶解または分散されているCETP阻害剤の特に強力なクラスの非晶質分散物である固体製剤が本明細書中に記載されている。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、医薬的に許容され得る塩を含めた以下の式I:
【0006】
【化5】
で表されるCETP阻害剤クラスの経口的に生物学的に利用可能な固体製剤を提供する。
【0007】
本発明の固体製剤は、
(1)本明細書中に上に、下に記載されている式I〜Ij及びIIを有する活性化合物またはその医薬的に許容され得る塩、
(2)活性薬物の生体利用度を向上させ、水中に溶解するかまたは水中に容易に分散する濃度増大ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、メチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、ポリビニルピロリジノン、ビニルピロリジノン/酢酸ビニルコポリマー、並びにアクリレート及びメタクリレートコポリマー、及び
(3)場合により、イオン性またはノニオン性界面活性剤であり得る1つ以上の界面活性剤
を含む。
【0008】
式Iの化合物において、
Yは−C(=O)−及び−(CRR)−からなる群から選択され;
Xは−O−、−NH−、−N(C−Cアルキル)−及び−(CRR)−からなる群から選択され;
Zは−C(=O)−、−S(O)−及び−C(=N−R)−(RはH、−CN、及び場合により1から11個のハロゲンで置換されているC−Cアルキルからなる群から選択される。)からなる群から選択され;
各Rは独立してH、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)及びハロゲンからなる群から選択され;
BはA(Aは構造:
【0009】
【化6】
を有する。)及びAからなる群から選択され;
及びRは各々H、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)、ハロゲン及び−(C(R)からなる群から選択され;
はH、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)、ハロゲン、A及び−(C(R)からなる群から選択され;
B及びRの1つはAであり、B、R、R及びRの1つはAまたは−(C(R)であり、よって式Iを有する化合物は1個の基A及び1個の基Aを含み;

(a)フェニル及びナフチルから選択される芳香族環、
(b)場合により1から2個の二重結合を含む5から7員の非芳香族シクロアルキル環に縮合しているフェニル環、
(c)1から4個のN、S、O及び−N(O)−から独立して選択されるヘテロ原子を有し、場合により1から3個の二重結合及びカルボニル基をも含む5から6員のヘテロ環式環(Aが結合しているフェニル環へのAの結合点は炭素原子である。)、及び
(d)1から2個のO、N及びSから独立して選択されるヘテロ原子を有し、場合により(縮合フェニル環の二重結合に加えて)1から2個の二重結合を含む5から6員のヘテロ環式環に縮合しているフェニル環を含むベンゾヘテロ環式環(Aが結合しているフェニル環へのAの結合点は炭素原子である。)
からなる群から選択され;

(a)フェニル及びナフチルから選択される芳香族環、
(b)場合により1から2個の二重結合を含む5から7員の非芳香族シクロアルキル環に縮合しているフェニル環、
(c)1から4個のN、S、O及び−N(O)−から独立して選択されるヘテロ原子を有し、場合により1から3個の二重結合及びカルボニル基をも含む5から6員のヘテロ環式環、
(d)1から2個のO、N及びSから独立して選択されるヘテロ原子及び場合により(縮合フェニル環の二重結合に加えて)1から2個の二重結合を有する5から6員のヘテロ環式環に縮合しているフェニル環を含むベンゾヘテロ環式環、及び
(e)場合により1から3個の二重結合を有する−C−Cシクロアルキル環
からなる群から選択され;
及びAは各々場合によりRから独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
各Rは独立して−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、場合により1から3個の二重結合を有する−C−Cシクロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−OC−Cアルキニル、場合により1から3個の二重結合を有する−OC−Cシクロアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO−Cアルキル、−C(=O)SC−Cアルキル、−OH、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC−Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)−Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、ハロゲン、−CN、−NO、及び1から4個のN、S及びOから独立して選択されるヘテロ原子を有し、場合によりカルボニル基をも含み、場合により1から3個の二重結合をも含む5から6員のヘテロ環式環からなる群から選択され、Rが結合している環へのヘテロ環式環の結合点は炭素原子であり、前記テロ環式環は場合によりハロゲン、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキル(これらの−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは場合により1から7個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1から5個の置換基で置換されており;
が−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、場合により1から3個の二重結合を有する−C−Cシクロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−OC−Cアルキニル、場合により1から3個の二重結合を有する−OC−Cシクロアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−CO−Cアルキル、−C(=O)SC−Cアルキル、−NRC(=O)OC−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルからなる群から選択される化合物の場合、Rは場合により1から15個のハロゲンで置換されており、場合により(a)−OH、(b)−CN、(c)−NR、(d)場合により1から3個の二重結合を有し、場合により1から15個のハロゲンで置換されている−C−Cシクロアルキル、(e)場合により1から9個のハロゲンで置換されており、場合により−OC−Cアルキル及びフェニルから独立して選択される1から2個の置換基でも置換されている−OC−Cアルキル、(f)場合により1から3個の二重結合を有し、場合により1から15個のハロゲンで置換されている−OC−Cシクロアルキル、(g)−COH、(h)−C(=O)CH、(i)場合により1から9個のハロゲンで置換されている−CO−Cアルキル、及び(j)場合によりハロゲン、−CH、−CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1から3個の基で置換されているフェニルから独立して選択される1から3個の置換基でも置換されており;
BがAであり、X及びYが−CH−であり、Zが−C(=O)−であり、Rが4位に置換基R(Rは場合により上記したように置換されている−OC−Cアルキルである。)を有しているフェニルであるとき、−OH、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−OC−Cアルキニル及び場合により1から3個の二重結合を有する−OC−Cシクロアルキル(これらはいずれも場合により上記したように置換されている。)から選択される以外のR置換基はR上になく;
nは0または1であり;
pは0から4の整数であり;
xは0、1または2であり;
yは1または2であり;
及びRは各々独立してH、−C−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルから選択され、前記−C−Cアルキルはいずれの場合も場合により1から11個のハロゲンで置換されており;
はH、−OH、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)及びハロゲンからなる群から選択される。
【0010】
式Iを有する化合物及び前記化合物の以下の群において、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は別段の記載がない限り直鎖状または分岐状であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
濃度増大ポリマーは、(a)活性医薬成分(API)を溶解させることにより、または(b)APIがポリマー中に結晶または結晶質ドメインを形成しないようにAPIと相互作用することにより水に全くまたは殆ど完全に溶解しないAPIと非晶質分散物を形成するポリマーである。濃度増大ポリマーは水に溶解するかまたは水に容易に分散され、よってポリマーを水または水性環境(例えば、胃腸管(GI)中の流体または人工胃液)中に置いたときAPIの溶解度及び/または生体利用度がポリマー不在下での溶解度または生体利用度よりも高くなる。
【0012】
固体分散物は、薬物が通常非晶質であるかまたはポリマーまたは組成物の成分(例えば、界面活性剤)中に溶解するように化合物(薬物)がポリマー中に分散物(非晶質分散物とも称される。)を形成するのに適した方法により作成される。分散物は安定であり、薬物は結晶も他の不溶性粒子も形成しない。前記方法には溶液方法、例えば噴霧乾燥、スプレーコーティング、凍結乾燥、及び真空下でまたはポリマー及び薬物の溶液を加熱することによる共溶媒の蒸発が含まれる。この方法には、固体薬物とポリマーを溶融状態で混合する方法(例えば、高温溶融押出)及び固体の非溶融ポリマー及び薬物を加熱及び加圧下でコンパウンドして分散物を形成する方法が含まれる。
【0013】
濃度増大ポリマーを含む組成物は、ポリマーなしで等量のCETP阻害剤を含む対照組成物と比較して、水性環境(例えば、水、胃腸(GI)管、またインビトロ検査室検査のために作成した人工胃液)中のCETP阻害剤の濃度を上昇させる。組成物を水性環境に導入すると、濃度増大ポリマー及びCETP阻害剤を含む組成物は、濃度増大ポリマーなしで同一濃度のCETP阻害剤を有する対照組成物と比較して、CETP阻害剤の最大水性濃度を上昇させる。CETP阻害剤をポリマーを含む組成物中と同一濃度に維持するために、対照中ではポリマーの代わりに不活性充填剤を使用し得る。ポリマーは水性溶液中のCETP阻害剤の最大濃度を好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%上昇させ、より好ましくは薬物濃度を対照組成物に比して少なくとも2倍上昇させ、または薬物濃度を対照組成物の薬物濃度に比して少なくとも5倍上昇させ、または薬物濃度を少なくとも10倍上昇させる。殆ど水に溶解しないCETP阻害剤が経口投与により有効血中レベルに到達させるためにはこうした濃度の大きな上昇が必要である。前記水性溶液は通常CETP阻害剤に関して過飽和溶液である。
【0014】
試験動物に対して組成物を投与後の血液または血清中の薬物濃度を経時的に測定するインビボ薬物動態試験で、本発明の組成物は、濃度増大ポリマーなしで等量のコレステリルエステル転移タンパク質阻害剤を含む対照組成物よりも高い最大濃度Cmax及び濃度対時間曲線下面積(AUC)を示す。濃度対時間曲線下面積(AUC)は対照組成物のAUCよりも好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%大きい。より好ましくは、面積はポリマーなしで同一量の薬物を含有する対照組成物の面積の少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍である。Cmaxも好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%上昇する。より好ましくは、Cmaxは対照組成物に比して少なくとも2倍に上昇し、または対照組成物のCmaxに比して少なくとも5倍であり、または試験動物または患者に投与した後ポリマーなしの対照組成物の薬物濃度よりも少なくとも10倍高い。
【0015】
本明細書中に開示されている組成物は、濃度増大ポリマーを含まない組成物に比してCETP阻害剤のインビボでの生体利用度を向上させた。活性CETP阻害剤は、組成物を経口投与後より迅速に吸収される。組成物を患者に対して投与したときの薬物のAUC及び薬物の血液または血清中の最大濃度は増加している。
【0016】
濃度増大ポリマー
本発明で使用するのに適したポリマーの1つのクラスは中性の非セルロースポリマーからなる。そのポリマーの例にはヒドロキシ、アルキル、アシルオキシ及び環状アミドである置換基を有するビニルポリマー及びコポリマーが含まれる。これらには反復単位の少なくとも一部を非加水分解(酢酸ビニル)形態で有するポリビニルアルコール(例:ポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニルコポリマー);ポリビニルピロリジノン;ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー;及びポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーが含まれる。非セルロースノニオン性ポリマーの好ましいクラスはポリビニルピロリジノン及びポリビニルピロリジノンコポリマー、例えばKollidonポリマー及びコポリマーとして入手可能なポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる。代表的なコポリマーはKollidon VA64(コポビドン)である。
【0017】
本発明で使用するのに適したポリマーの別のクラスはイオン化可能な非セルロースポリマーからなる。そのポリマーの例にはカルボン酸官能化ビニルポリマー、例えばカルボン酸官能化ポリメタクリレート及びカルボン酸官能化ポリアクリレート(例:マサチューセッツ州モールデンに所在のRohm Tech Inc.製EUDRAGITSコポリマー);アミン官能化ポリアクリレート及びポリメタクリレート;タンパク質;及びカルボン酸官能化デンプン、例えばデンプングリコレートが含まれる。
【0018】
濃度増大ポリマーは、比較的親水性のモノマーと比較的疎水性のモノマーのコポリマーである両親媒性の非セルロースポリマーでもあり得る。その例には上に挙げられているアクリレート及びメタクリレートコポリマー(EUDRAGITS)が含まれる。両親媒性ポリマーの別の例はエチレンオキシド(または、グリコール)とプロピレンオキシド(または、グリコール)のブロックコポリマーであり、ここでポリ(プロピレングリコール)オリゴマー単位は比較的疎水性であり、ポリ(エチレングリコール)単位は比較的親水性である。これらのポリマーはしばしばPoloxamerの商標で販売されている。
【0019】
ポリマーの好ましいクラスは、少なくとも1つのエステル−及び/またはエーテル結合置換基を有するイオン化可能な中性のセルロースポリマーからなり、このポリマーは各置換基あたり少なくとも0.1の置換度を有している。本明細書中に使用されている命名法では、エーテル結合置換基は従来セルロース骨格に対してエーテル結合により結合している部分として“セルロース”と名付けられている。例えば、“エチル安息香酸セルロース”はセルロース骨格上にエトキシ安息香酸置換基を有している。また、エステル結合置換基は“セルロース”の後にカルボキシレートとして名付けられている。例えば、“セルロースフタレート”は、ポリマーに対してエステル結合している各フタレート部分の1つのカルボン酸を有し、フタレート基の他のカルボン酸基は遊離のカルボン酸基として残っている。
【0020】
“セルロースアセテートフタレート”(CAP)のようなポリマー名はセルロースポリマーのヒドロキシ基の大部分にエステル結合により結合しているアセテート基及びフタレート基を有しているセルロースポリマーのファミリーを指すことも留意すべきである。通常、各置換基の置換度は、ポリマーの他の基準が満たされている限り0.1から2.9の範囲であり得る。“置換度”は、置換されているセルロース鎖上のサッカライド反復単位あたり3ヒドロキシの平均数を指す。例えば、セルロース鎖上のヒドロキシのすべてがフタレート置換されているならば、フタレート置換度は3である。
【0021】
各ポリマーファミリータイプの範囲には、ポリマーの性能を実質的に変更させない比較的少量で追加の置換基が付加されているセルロースポリマーが含まれる。
【0022】
両性セルロースは、各サッカライド反復単位上に存在している3ヒドロキシ置換基のいずれかまたはすべてでセルロースを少なくとも1つの比較的疎水性の置換基で置換することにより製造され得る。疎水性置換基は本質的に、十分に高い置換レベルまたは置換度で置換されているならばセルロースポリマーを本質的に水不溶性とし得る置換基であり得る。ポリマーの親水性領域は、未置換のヒドロキシルはそれ自体比較的親水性であるので比較的に未置換である部分であるか、または親水性置換基で置換されている領域であり得る。疎水性置換基の例にはエーテル結合アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等;またはエステル結合アルキル基、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレート等;及びエーテル−及び/またはエステル結合アリール基、例えばフェニル、ベンゾエートまたはフェニレートが含まれる。親水性基にはエーテル−またはエステル結合されているイオン化不能な基、例えばヒドロキシアルキル置換基(ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)及びアルキルエーテル基(例えば、エトキシエトキシまたはメトキシエトキシ)が含まれる。特に好ましい親水性置換基にはエーテル−またはエステル結合されているイオン化可能な基(例えば、カルボン酸、チオカルボン酸、置換フェノキシ基、アミン、ホスフェートまたはスルホネート)であるものが含まれる。
【0023】
セルロースポリマーの1つのクラスは中性ポリマーからなる。これはポリマーが水溶液中で実質的にイオン化し得ないことを意味する。このポリマーはエーテル結合またはエステル結合され得るイオン化不能な置換基を含む。エーテル結合されているイオン化不能な置換基の例にはアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等);ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル等);及びアリール基(例えば、フェニル)が含まれる。エステル結合されているイオン化不能な基の例にはアルキル基(例えば、アセテート、プロピオネート、ブチレート等;及びアリール基(例えばフェニレート)が含まれる。しかしながら、アリール基が含まれている場合、ポリマーが1から8の生理的に適切なpHで少なくともある程度の水溶性を有しているようにポリマーが十分な量の親水性置換基を含む必要はない。
【0024】
ポリマーとして使用され得るイオン化不能なポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート及びヒドロキシエチルエチルセルロースが含まれる。
【0025】
中性セルロースポリマーの好ましい組は両親媒性であるものである。そのポリマーの例には、未置換のヒドロキシまたはヒドロキシプロピル置換基に比してメチルまたはアセテート置換基を比較的多数有しているセルロース反復単位がポリマー上の他の反復単位に比して疎水性領域を構成しているヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースアセテートが含まれる。
【0026】
セルロースポリマーの好ましいクラスは生理的に適切なpHで少なくとも部分的にイオン化可能であり、少なくとも1つのエーテル結合またはエステル結合され得るイオン化可能な置換基を含むポリマーからなる。エーテル結合されているイオン化可能な置換基の例には、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸)、アルコキシ安息香酸(例えば、エトキシ安息香酸またはプロポキシ安息香酸)、アルコキシフタル酸の各種異性体(例えば、エトキシフタル酸及びエトキシイソフタル酸)、アルコキシニコチン酸の各種異性体(例えば、エトキシニコチン酸)、ピコリン酸の各種異性体(例えば、エトキシピコリン酸等);チオカルボン酸(例えば、5チオ酢酸);置換フェノキシ基(例えば、ヒドロキシフェノキシ等);アミン(例えば、アミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシ、トリメチルアミノエトキシ等);ホスフェート(例えば、ホスフェートエトキシ);及びスルホネート(例えば、スルホネートエステル)が含まれる。エステル結合されているイオン化可能な置換基の例には、カルボン酸(例えば、サクシネート、サイトレート、フタレート、テレフタレート、イソフタレート、トリメリテート、及びピリジンジカルボン酸の各種異性体等);チオカルボン酸(例えば、チオサクシネート);置換フェノキシ基(例えば、アミノサリチル酸);アミン(例えば、アラニンやフェニルアラニンのような天然または合成アミノ酸);ホスフェート(例えば、アセチルホスフェート);及びスルホネート(例えば、アセチルスルホネート)が含まれる。芳香族置換されているポリマーが所要の水溶性を有するためには、少なくともイオン化可能な基がイオン化されるpH値でポリマーを水溶性とすべく十分な親水性基(例えば、ヒドロキシプロピルまたはカルボン酸官能基)がポリマーに結合していることも望ましい。幾つかの場合には、芳香族基(例えば、フタレートまたはトリメリテート置換基)それ自体はイオン化可能であり得る。
【0027】
生理的に適切なpHで少なくとも部分的にイオン化されるセルロースポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシエチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート及びエチルピコリン酸セルロースアセテートが含まれる。
【0028】
両親媒性の定義を満たし、親水性領域及び疎水性領域を有するセルロースポリマーの例には、1つ以上のアセテート置換基を有するセルロース反復単位がアセテート置換基を持たない単位または1つ以上のイオン化されたフタレートまたはトリメリテート置換基を有する単位に比して疎水性であるポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート及びセルロースアセテートトリメリテートが含まれる。
【0029】
セルロースイオン化可能なポリマーの特に望ましい部分集合はカルボン酸官能性芳香族置換基及びアルキレート置換基の両方を有し、よって両親媒性であるものである。そのポリマーの例には、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート及びエチルピコリン酸セルロースアセテートが含まれる。
【0030】
セルロースイオン化可能なポリマーの別の特に望ましい部分集合は非芳香族カルボキシレート置換基を有するものである。そのポリマーの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースサクシネート及びヒドロキシエチルセルロースアセテートサクシネートが含まれる。
【0031】
上にリストしたように、広範囲のポリマーがCETP阻害剤の非晶質分散物を形成するために使用され得る。1つの好ましいサブグループは、非イオン化状態で水に溶解し、イオン化状態でも水に溶解し得るセルロースポリマーからなる。そのポリマーの具体的サブクラスは所謂「腸溶性」ポリマーであり、その例には特定グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート及びセルロースアセテートトリメリテートが含まれる。前記ポリマーから形成される分散物は、通常溶解試験で結晶質薬物対照に比して最大薬物濃度の大きな増大を示す。加えて、前記ポリマーの非腸溶性グレード及び密接に関連しているセルロースポリマーは、CETP阻害剤クラス内で物理的特性の類似性のためにうまく機能すると予想される。
【0032】
セルロースポリマーの特に好ましいグループは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、メチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートテレフタレート及びセルロースアセテートイソフタレートからなる。最も好ましいポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースアセテートトリメリテートである。
【0033】
本発明の組成物中に使用するのに適した特定のポリマーを混合するとき、前記ポリマーのブレンドも適当であり得る。よって、用語「ポリマー」はポリマーの単一種に加えてポリマーのブレンドを含むと意図される。
【0034】
式Iを有するCETP阻害剤及び濃度増大ポリマーの非晶質分散物は、CETP阻害剤の少なくとも大部分(少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%)を非晶質状態とする公知方法に従って製造され得る。この方法には、機械的方法、例えば粉砕及び押出;溶融方法、例えば高温融解、高温溶融押出、溶媒修飾融解及び融解凝固方法;及び溶媒方法、例えば非溶媒沈降方法、スプレーコーティング及び噴霧乾燥が含まれる。本発明の分散物はこれらの方法のいずれかにより製造され得るが、非晶質分散物中のCETP阻害剤が実質的に非晶質であり、ポリマー全体に実質的に均質に分布されていることが通常好ましい。式Iを有する結晶性及び非晶質CETP阻害剤の相対量は、示差走査熱量測定法(DSC)及びX線粉末回折(XRPD)を含めた幾つかの分析方法により測定され得る。
【0035】
式Iを有する化合物を濃度増大ポリマー中に含む非晶質分散物を製造するための好ましい方法には(a)高温溶融押出及び(b)噴霧乾燥が含まれる。上記方法に使用するための好ましいポリマーはポリビニルピロリジノン、ポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマー(例えば、Kollidon)、HPC、HPMCAS、HPMC、HPMCP、CAP及びCATである。高温溶融押出に使用するための好ましいポリマーはポリビニルピロリジノン及びポリビニルピロリジノン−ポリ酢酸ビニルコポリマー(Kollidon)であり、Kollidon VA64(コポビドン)が最も好ましいポリマーである。噴霧乾燥のために好ましいポリマーにはHPC、HPMCAS、HPMC、HPMCP、CAP及びCATが含まれ、HPMCASが最も好ましいポリマーである。いずれの方法も当業界で公知である。噴霧乾燥では、ポリマー、活性化合物及び他の任意成分(例えば、界面活性剤)を溶媒中に溶解した後、ノズルを介して微細スプレーとしてチャンバ中に噴霧し、前記チャンバで溶媒は迅速に蒸発して、ポリマー、薬物及び任意の他の成分を含む微細粒子が作成される。溶媒は、組成物のすべての成分が可溶性であり、噴霧乾燥装置において容易に蒸発する溶媒である。溶媒は医薬組成物の製造に使用するのに適してもいなければならない。溶媒の例はアセトン、メタノール及びエタノールである。メタノール及びアセトンが好ましい。高温溶融押出では、ポリマー、薬物及び任意の界面活性剤を湿式造粒方法または他の混合方法で一緒に混合した後、ポリマー、薬物及び界面活性剤の混合物を押出機、好ましくは2軸押出機のチャンバに供給して十分に混合し、次いで十分に溶融し、混合して、非晶質分散物を得る。
【0036】
非晶質分散物は、場合により組成物中に配合される1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、湿潤を促進させ、それにより溶解薬物の最大濃度を上昇させることにより溶解速度を増加させ得る。また、界面活性剤により分散物はより容易に加工され得る。界面活性剤は、錯体化、封入複合体の形成、ミセルの形成及び固体薬物の表面への吸着のようなメカニズムにより溶解薬物と相互作用することにより薬物の結晶化または沈澱を抑制することにより非晶質分散物を安定化させることもできる。適当な界面活性剤にはカチオン性、アニオン性及びノニオン性界面活性剤が含まれる。これらの例には、脂肪酸及びアルキルスルホネート;カチオン性界面活性剤、例えばベンザルコニウムクロリド(ニュージャージ州フェアローンに所在のLonza,Inc.から入手可能なHyamine 1622);アニオン性界面活性剤、例えばジオクチルナトリウムスルホサクシネート(ミズーリ州セントルイスに所在のMallinckrodt Spec.Chem.から入手可能なDocusate Sodium)及びナトリウムラウリルスルフェート(ドデシル硫酸ナトリウム);ソルビタン脂肪酸エステル(界面活性剤のSPANシリーズ);ビタミンE TPGS;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(デラウェア州ウィルミントンに所在のICI Americas Inc.から入手可能な界面活性剤のトゥイーンシリーズ);ポリオキシエチレンヒマシ油及び水素化ヒマシ油、例えばCremophor RH−40及びCremopher EL;ニュージャージ州パターソンに所在のLipochem Inc.から入手可能なLiposorb P−20;ウィスコンシン州ジェーンスビルに所在のAbitec Corp.から入手可能なCapmul POE−0)、及び中性界面活性剤、例えばナトリウムタウロコール酸、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、レシチン及び他のリン脂質、並びにモノ−及びジグリセリドが含まれる。
【0037】
本明細書中に開示されている製剤はCETP阻害剤で治療され得る疾患を治療する際に有用であり、前記疾患にはアテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高β−リポタンパク質血症、低α−リポタンパク質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロー血症、心臓血管疾患、狭心症、虚血、心虚血、卒中、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成術後再狭窄、高血圧、糖尿病の血管合併症、肥満及び内毒素血症が含まれる。各疾患は該疾患の治療を要する患者に対して本明細書中に開示されている製剤を具体的疾患を治療する量で投与することにより治療される。
【0038】
本明細書中に開示されている製剤は上記した疾患の治療用薬剤の製造においても使用される。
【0039】
アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、心臓血管疾患、虚血、心虚血、卒中、心筋梗塞、再灌流障害、血管形成術後再狭窄及び糖尿病の血管合併症のような特定疾患の場合、製剤は該疾患の発症のリスクのある患者において疾患を予防するためまたは疾患の発症を遅らすためにも適している。組成物は特定疾患または悪い事象、例えば心筋梗塞、虚血、心虚血及び卒中の再発を予防または遅らすのにも有用であり得る。
【0040】
式I〜Ij及びIIを有する化合物を含む製剤は、LDLコレステロールが高い患者においてLDLコレステロールを低下させるのにも有用である。組成物は、HDLコレステロールが低い患者においてHDLコレステロールを上昇させるのにも有用である。製剤は、HDLコレステロールを上昇させるのと同時にLDLコレステロールを低下させ、よってHDL:LDLコレステロールの比を上昇させることにより患者にとって特に有利であり得る。HDL:LDLコレステロールの比の上昇は通常心臓発作のリスクの低下の指標であると考えられる。本明細書中に開示されている組成物では、トルセトラピブを服用した数人の患者で生じたような血圧の上昇はない。
【0041】
CETP阻害剤のクラスに関して、式Iを有する化合物の各種実施態様を下記する。
【0042】
式Iを有する化合物の好ましい部分集合において、Xは−O−、−NH−及び−N(C−Cアルキル)−からなる群から選択される。Xは−O−、−NH−及び−N(CH)からなる群からも選択され得る。特に好ましい部分集合において、XはOである。
【0043】
多くの実施態様において、Zは−C(=O)−である。
【0044】
化合物の好ましいサブグループは、医薬的に許容され得る塩を含めて式Ieを有する。
【0045】
【化7】
【0046】
式Ieを有する化合物において、
Xは−O−、−NH−、−N(C−Cアルキル)−及び−(CH)−からなる群から選択され;
Zは−C(=O)−、−S(O)−及び−C(=N−R)−(RはH、−CN、及び場合により1から11個のハロゲンで置換されているC−Cアルキルからなる群から選択される。)からなる群から選択され;
各Rは独立してH及び−CHからなる群から選択され;
BはA(Aは構造:
【0047】
【化8】
を有する。)及びAからなる群から選択され;
はH、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)及び−(C(R)からなる群から選択され;
はH、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)、A及び−(C(R)からなる群から選択され;
B及びRの1つはAであり、B、R及びRの1つはAまたは−(C(R)であり、よって式Ieを有する化合物は1個の基A及び1個の基Aを含んでおり;
はフェニル、シクロヘキシル及びピリジンからなる群から選択され、Aは場合によりハロゲン、−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から3個のハロゲンで置換されている。)及び−CNから独立して選択される1から2個の置換基で置換されており;
各Rは独立して−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から3個のハロゲンで置換されている。)及びハロゲンからなる群から選択されており;
各Rは独立してCl、F、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキル(−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは場合により1から5個のFで置換されている。)からなる群から選択され;
nは0または1であり;
pは0から2の整数であり;
qは0から3の整数である。
【0048】
式Ieを有する化合物の部分集合には式If、Ig及びIh:
【0049】
【化9】
を有する化合物並びにその医薬的に許容され得る塩が含まれる。
【0050】
式If、Ig及びIhを有する化合物において、R及びRは各々独立してH及び−C−Cアルキル(−C−Cアルキルは場合により1から11個のハロゲンで置換されている。)から選択される。他の基は既に定義されている通りである。
【0051】
上記した化合物の部分集合において、Aはフェニル、シクロヘキシル及びピリジルからなる群から選択され得、Aは場合によりハロゲン、−CH、−CF及び−CNから独立して選択される1から2個の置換基で置換されている。
【0052】
上記した化合物の部分集合において、各Rは独立して−CF及びClからなる群から選択される。
【0053】
上記した化合物の部分集合において、各Rは独立して−C−Cアルキル、−OCH及びFからなる群から選択される。
【0054】
上記した化合物の部分集合において、R及びRは各々独立してH及び−C−Cアルキルからなる群から選択される。
【0055】
上記した化合物の部分集合において、Xは−O−、−NH−、−N(CH)−及び−CH−から選択される。
【0056】
上記した化合物の部分集合において、Zは−C(=O)−、−S(O)−及び−C(=N−CN)−からなる群から選択される。
【0057】
上記した化合物の部分集合において、pは1である。
【0058】
上記した化合物の部分集合において、qは2または3である。
【0059】
上に定義した化合物の部分集合は、式Ii:
【0060】
【化10】
を有する化合物及びその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0061】
式Ii中、RはCl及び−CFからなる群から選択され;Rはハロゲン、−CH、−CF及び−CNからなる群から選択され;tは0から2の整数である。他の基は既に定義されている通りである。
【0062】
上に定義した化合物の部分集合は、式Ij:
【0063】
【化11】
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む。
【0064】
式Ij中、RはCl及び−CFからなる群から選択され;Rはハロゲン、−CH、−CF及び−CNからなる群から選択され;tは0から2の整数である。他の基は既に定義されている通りである.
本発明の特に好ましい実施態様は、医薬的に許容され得る塩を含めて式II:
【0065】
【化12】
を有する化合物に関する。
【0066】
式IIを有する化合物を含めた上記した化合物のクラスは共通譲渡人のPCT出願WO 2006/014413及びWO 2006/014357に記載されている。これらの化合物の合成は上記出願に記載されている。化合物II及び関連化合物の合成も以下に示す。
【0067】
定義
本明細書を通じて、特に実施例中で使用されている用語はプロセス研究及び医薬研究の分野で働いている化学者には通常知られている。これらの用語の幾つかを以下に定義する:
“EDC”は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。
“DIPEA”はジイソプロピルエチルアミンである。
“ハロゲン”はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
“HOBT”は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。
“IPAC”はイソプロピルアセテートである。
“Me”はメチルを表す。
“NaHMDS”はナトリウムヘキサメチルジシラジドである。
“Weinrebアミン”はN,O−ジメチルヒドロキシルアミンである。
【0068】
化合物II及び関連化合物の合成
本発明の組成物中に配合されるCETP阻害剤は、以下のスキーム中で化合物12として同定されている式Iを有する化合物について以下の式に示す非常に相似している合成方法により製造される。この合成は、2つの主要中間体及びの合成を含む。次いで、主要中間体及びをオキサゾリジノン及びYで置換されているビフェニルアルキル基のアルキル化反応においてカップリングすると、最終生成物12が生ずる。
【0069】
【化13】
【0070】
上記シーケンスにおいて、中間体中のXはH、またはアミンの共役塩基上の1族金属(例えば、Na、K、LiまたはCs)のカチオンであり、後者は金属水素化物またはアルキル金属化合物と遊離アミンの反応により得られ得る。例には、反応物質(X=H)としての遊離オキサゾリジノン、またはオキサゾリジノンと試薬(例えば、ナトリウムアミド、NaHMDSまたはKHMDS)の反応により製造されるような脱プロトン化オキサゾリジノンのNa、K、LiまたはCs塩が含まれる。好ましいX基はH及びNaである。この特定反応に対する最も好ましい基はNaである。
【0071】
Yは離脱基(すなわち、容易に置換される基)である。離脱基は通常置換された後アニオン性である。最も一般的な離脱基はハロゲン(例えば、Cl、Br、IまたはF)である。離脱基は有機酸の脱プロトン化形態(例えば、トリフレートまたはトリフルオロアセテート)でもあり得る。最も好ましい離脱基YはハロゲンBr、Cl及びIである。化合物12の完全合成を以下に示す。この化合物及び関連するCETP阻害剤化合物の合成は共通譲渡人のPCT出願US/2005/023775及びUS出願11/173295に記載されている。
【0072】
【化14】
【0073】
中間体7の合成
中間体は、容易に入手し得る物質から6ステップで製造される。この合成をボロン酸中間体の4ステップ合成として以下に要約する。中間体は固体物質として単離される。次いで、ボロン酸に2以上のステップを実施して、主要中間体とし、これも固体生成物として単離される。
【0074】
ボロン酸中間体は以下に示し、スキーム2に要約されているように4ステップで合成される。収率もスキーム2に示す。
【0075】
【化15】
【0076】
1の2への変換
100L容量の円筒形容器に室温でTHF(24L)を装入した。ここにCeCl(2.75kg)を添加した。生じたスラリーを室温で1.5時間エージングした。次いで、サンプルを顕微鏡で検査して、所望の形態変化が生じたかを確認した。スラリーを9℃まで冷却し、MeMgClを添加した。内部温度が19℃以下に維持されるように添加速度を調節した。混合物を−11℃まで冷却し、内部温度を0℃以下に維持しながらアセトフェノンの溶液(4.0kgをTHFで10Lまで希釈)を1滴ずつ添加した。次いで、反応混合物を0℃以下の温度で1時間エージングした。内部温度を15℃以下に維持しながら3N HCl(5.7L)を1滴ずつ添加することにより反応物をクエンチした。次いで、クエンチした反応混合物を5−10℃で1.5時間エージングした後、Solka Flocプラグを介して濾過した。
【0077】
2から3への水素化
のTHF溶液の溶媒をエタノール(容量〜18L)に交換し、HCl(1.9L)及び10% Pd/C(50% 水)(190g)を順次添加した。HPLC分析に基づいて反応が完了するまで混合物を40℃、15psiの水素下に置いた。混合物を室温まで冷却した。触媒を濾過助剤としてSolka−Flokを用いて濾過することにより除去した。次いで、エタノール中のアニソール生成物の溶媒を次ステップのためにアセトニトリルに交換した。
【0078】
3の4への臭素化
アニソールをアセトニトリル(1.72L, 1ミリモルあたり4mLのMeCN)で希釈する。この混合物を35℃に加温し、NBS(1.1当量,84g)を固体として1回で添加する。反応物を35℃に維持し、2−4時間で完了する。溶液を400mLの全容量まで濃縮し、トルエン(1L)で希釈する。次いで、溶液をチオ硫酸ナトリウム及び水で洗浄して、スクシンイミド副生成物を除去する。次いで、有機層を濃縮し、溶媒をトルエンに交換する。
【0079】
アリール臭化物4のボロン酸5への変換
75L容量のガラス反応容器にアリール臭化物(1.87kg,7.6モル)を装入した。これはをトルエン中に含む29.1wt%溶液(6.4kg)として添加した。この溶液をTHF(5.6L)で希釈した。容器に窒素をフラッシュし、トリイソプロピルボレート(1.35当量,2.35L,10.3モル)を添加した。混合物を<−70℃まで冷却した。次いで、温度を<−55℃に維持しながら、ヘキサン中1.6M n−BuLi(5.9L,9.5モル)を4時間かけてゆっくり添加した。n−BuLiの添加が完了してから30分後、反応はLC分析によると完了していた。反応物を−35℃に加温し、3.0M HSO溶液(5.6L)にクエンチした。クエンチ後の水性相は酸性(pH〜2)でなければならない。有機層を希釈するために混合物にMTBE(7.5L)を添加した。混合物を(15分間)撹拌し、水性層を除去した。有機層を更に(15分間かけて)3.0M HSO溶液(5.6L)で洗浄した。層を再び分離した後、有機MTBE/トルエン層を1M KOH(最初15.1L、次いで7.6L)で2回抽出した。2つのKOH抽出物を合わせ、2−プロパノール(6.4L)で希釈し、15℃まで冷却した。次いで、温度を15−20℃に維持しながら、溶液を3.0M 硫酸(〜7.6L)を用いてpH〜2までゆっくり酸性化した。生じたスラリーを1時間撹拌した後、濾過した。濾過ケーキを水(2×6L)で洗浄し、空気流下で1日乾燥した。濾過した固体を真空下50℃でオーブン中に2−3日間入れて、ジアリール不純物を分解し、オフホワイト色結晶性固体を乾燥した。この固体はボロン酸であった。
【0080】
次いで、ボロン酸を、スキーム3に要約し、以下の手順に詳細に記載されている2ステップでビアリール中間体に変換する。
【0081】
【化16】
【0082】
ステップ16を生ずるためのボロン酸5及びアリールクロリド13のスズキカップリング反応
水(10.3L)に固体KCO(4.71kg)を添加することにより3M KCO溶液を調製する。溶液を20−25℃に維持するために冷却する。KCOにTHF(12L)、アリールクロリド13(2.69kg)及びボロン酸(2.74kg)を添加した後、THF(1L)で濯ぐ。HPLC分析を使用して、13が1.00/1.00比であることを確認する。窒素ガスを70分間散布することにより溶液を脱ガスする。触媒の1,1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド(42g)を固体として添加した後、脱ガスしたTHF(1.5L)で濯ぐ。有機層は直ちに暗褐色に変わる。二相混合物を激しく撹拌しながら36−40℃でエージングする。HPLCが完全変換(15−18時間)を示したら、混合物を室温まで冷却し、水性層を除去する。有機層にヘプタン(25.6L)及び水(25.6L)を添加し、層を分離する。有機層を水(19L)で洗浄する。有機層を室温でDarco KB−B(680g)で60分間処理し、solka−flocを介して10% THF/ヘプタン(〜15L)を用いて濾過する。THFの<0.5v%が残るまで、溶媒を〜45−50℃でヘプタン(〜35L)に交換する。全容量が〜45−50Lとなるまで更にヘプタンを添加する。種床が形成されていないならば、溶液に前のランから得た種晶を接種する。スラリーを室温までゆっくり冷却した後、−15℃まで冷却する。−15℃で1−2時間エージングした後、上清のLCが上清中の生成物の損失が〜2g/lであることを示したら、スラリーを濾過し、生成物を冷ヘプタン(〜25L)で洗浄すると、化合物が得られる。
【0083】
ステップ26から7への変換
ビアリール化合物(3.4kg)をDMF(17L)中に含む溶液を10℃に維持し、ここに塩化チオニル(940ml)を添加し、次いで混合物を室温まで加温した。HPLCにより>99.8%の変換が分かるまで混合物をエージングした。次いで、水(3.4L)を添加した。種晶(1wt%)を添加し、混合物を30分間以上エージングした後、追加の水(5.1L)を〜1時間かけてゆっくり添加した。固体を濾過し、まず1:1 DMF:水(20L)、次いで水(3×20L)で洗浄した。残留水が<0.1wt%となるまで固体生成物を20℃で乾燥した。
【0084】
(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−
4−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン(11)のキラル合成
オキサゾリジノン中間体11は、キラル出発物質CBZ−L−アラニン(8)から以下に示す3ステップルートにより直接製造される。この化合物のエナンチオマー(4R,5S)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オンはCBZ−D−アラニンを出発物質とする類似のルートにより製造され得る。
【0085】
ステップ18から9への変換
【0086】
【化17】
【0087】
きれいなフラスコにCBZ−L−アラニン(6.5kg,28.5モル)、HOBT水和物(4.8kg,34.8モル)、Weinrebアミン−HCl塩(3.4kg,36.2モル)及びTHF(32L)を窒素下で装入する。混合物を0−10℃に冷却した後、25℃未満の温度でDIPEA(12.4L)をゆっくり添加する。次いで、15−25℃で冷却しながら、EDC−HCl(7Kg,36.2モル)をゆっくり添加する。スラリーを20−25℃で一晩エージングする。次いで、混合物を0−10℃に冷却し、3N HCl(12L)をゆっくり添加する。次いで、IPAC(32L)を添加し、層を分離する。有機層をHCl(13L)で1回、8% NaHCO(13L)で2回洗浄する(発泡に注意)。次いで、有機層を50℃、真空下で約15Lまで濃縮する。透明溶液を室温までゆっくり冷却すると、生成物が結晶化する。次いで、ヘプタン(〜70L)をゆっくり添加する。スラリーを濾過し、ヘプタン(18L)で洗浄し、フィルターポットを用いて室温で乾燥する。キラルHPLCにより測定して>99.9%eeの生成物を得る。
【0088】
ステップ29から10への変換
【0089】
【化18】
【0090】
前ステップからのWeinrebアミド(6kg,22.5モル)及び3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン(4.85L,28.1モル)を無水THF(24L)中に溶解する。酸素を除去するために、溶液に窒素をパージする。この時点で水含量は<500ppmでなければならない。所要により水を共沸除去するために大気圧蒸留を実施してもよい。溶液を−10℃まで冷却し、反応温度を≦−5℃に維持しながら、THF中のイソ−PrMgCl(56.4モル)を滴下漏斗を介して反応物にゆっくり(2時間)添加する。溶液を20℃まで加温し、アミドが<0.5 LCAPとなるまで20℃で一晩エージングする。次いで、反応物を窒素下−10℃まで冷却し、0−5℃に維持されている5N HCl(14L)にゆっくり2時間かけてクエンチする。MTBE(12L)を添加し、二相混合物を5分間撹拌する。20−25℃に加温した後、30分間沈降させ、次いで層を分離する。有機層を水で2回(12L)洗浄する。
【0091】
有機層を1ミクロンのインラインPTFEフィルターを介して蒸留フラスコに真空下で移した後、真空下で(内部温度<40℃)〜12Lまで濃縮して、最小撹拌容量とする。次いで、溶液をトルエンと共沸させて乾燥し、再び最小撹拌容量とする。ケトン10を含有する溶液を直接次のステップで使用する。
【0092】
ステップ3ケトン10のキラルオキサゾリジノン11への還元
【0093】
【化19】
【0094】
ケトン10(6kg)をIPA(12L)及びトルエン(18L)中でA1(O−i−Pr)(0.3当量,790g)と50℃で15.5時間加熱する。溶液を周囲温度まで冷却し、温度を<25℃に維持しながら、固体KOHペレット(1.35kg)を激しく撹拌しながらゆっくり添加する。約2時間後、HPLCが>99.5% 結晶化を示したら、反応物をクエンチするために1N HC1溶液(33L)を添加し、<25℃に維持する。固体のぼろぼろの層が形成したならば、濾別しなければならない。ぼろぼろの層はラセミオキサゾリジノンであり、除去するとエナンチオマー過剰率が高まる。次いで、有機層をまず0.5N HCl(36L)、次いでIPA(6L)+水(45L)、最後にIPA(6L)+水(36L)で洗浄する。有機層をインラインフィルターを介して移す。<2v%のトルエンが残るまで溶媒を〜40℃でヘプタンに交換する(標的容量は〜42L)。室温で2時間エージングすると、固体生成物11が得られる。
【0095】
オキサゾリジノン11の7によるアルキル化
オキサゾリジノン11を用いてアルキル化すると、所望生成物の(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−{[4’−フルオロ−5’−イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]メチル}−4−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン(12)が生ずる。
【0096】
【化20】
【0097】
上記しように製造したキラル中間体の(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン(11)をDMF(32.7L中2.8kg)中に溶解し、−15℃まで冷却した。次いで、2.0M NaHMDS(3.92L,1.05当量)を1.5時間かけて添加した後、DMF中のビアリールクロリド(2.8kg)を添加した。混合物を+12℃まで加温し、完全に変換されるまでエージングした。次いで、温度をずっと10−20℃に維持しながら、5N HCl(3.4L)を添加した後、10% IPAC/ヘプタン(16L)及び水(34L)を添加した。層を分離し、有機層を1:1 DMF:水(14L)で2回、次いで水(14L)で2回洗浄した。有機層を収率についてアッセイした後、過剰のオキサゾリジノンを<0.5%まで除去するまでシリカゲル(2.4kg)を介して濾過した。シリカを5% IPAC/ヘプタンで洗浄した。IPACを<1%まで除去するために合わせた有機溶液を蒸留した。次いで、温ヘプタン溶液を10wt% 種晶を含有する20℃ヘプタン溶液にゆっくり移した。次いで、スラリーを−20℃まで冷却し、濾過した。濾過ケーキを冷ヘプタンで洗浄した後、乾燥すると、所望生成物12が得られた。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は本発明をより十分に説明するために提示されており、添付の請求の範囲により規定される発明の範囲を限定するものと解釈されない。
【0099】
医薬組成物の製造例を以下に提示する。活性医薬成分(API)のトライアル組成物及び/または他の組成物をアカゲザル(通常3匹のサル/トライアル)に対して1mg/kgのAPIの用量で投与した後、血清または血液中のAPIの量を経時的に測定することにより生体利用度をインビボで調べる。同一量及び同一濃度のAPIを含有する他の組成物、例えば慣用の賦形剤を含む固体製剤または等しい重量部のTween 80及びCremophor EL、異なる量のAPIを含有している液体が充填されてなるゼラチンカプセルと比較した。APIは式I−Ijを有する化合物であり、最も一般的には化合物IIである。
【0100】
本発明の組成物、または本発明の組成物を用いる溶解の改善を調べるための対照として慣用の賦形剤を有する組成物を含めた他の組成物を用いて、組成物の水または人工胃液中の溶解を観察し、活性CETP阻害剤の流体中の溶解濃度及び速度を測定するために調べることができる。
【0101】
実施例1:噴霧乾燥組成物
(組成物1)
噴霧乾燥組成物は、化合物II(10−20%w/w);任意の界面活性剤、例えば(1)2−4% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、(2)5% ビタミンE TPGS、(3)2% トゥイーン80、(4)2% スパン80または(5)2% Cremophor EL、或いはこれらの2つ以上の界面活性剤の混合物を含み、残部はHPMCAS−L(Shin EtsuからAQOATとして購入)である。これらの成分をアセトンまたはメタノール(0.5−18%w/v 固体)中に懸濁した後、下記するように噴霧乾燥する。
【0102】
(組成物2)
噴霧乾燥組成物は、化合物II(20%w/w);10% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含み、残部はコポピドン(BASFからKollidon VA64として購入)である。これらの成分をメタノール(0.5%w/v 固体)中に懸濁した後、下記するように噴霧乾燥する。
【0103】
(組成物3)
噴霧乾燥組成物は、化合物II(10%w/w);2% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含み、残部はヒプロメロースフタレート(Shin EtsuからHPMCPとして購入)である。これらの成分をアセトン(1%w/v 固体)中に懸濁した後、下記するように噴霧乾燥する。
【0104】
(組成物4)
噴霧乾燥組成物は、化合物II(10%w/w);5−10% ビタミンE TPGSを含み、残部はヒプロメロース(Shin EtsuからHPMCとして購入)である。これらの成分をメタノール(1−10%w/v 固体)中に懸濁した後、下記するように噴霧乾燥する。
【0105】
(溶液調製)
化合物II、任意の界面活性剤及びポリマーを以下のようにアセトンまたはメタノールと混合して、溶液(構造化懸濁液であり得る。)を得る。ポリマーを溶媒中に溶解した後、他の成分を添加する。ポリマーはゆっくり溶解し、例えば高剪断混合機または磁気撹拌棒及び撹拌プレートを用いて激しく撹拌しながら溶媒に長時間かけて添加する。ポリマーが溶媒中に溶解したら(目視に基づく;曇ったり濁ったりしていることがある。)、少なくとも1時間以上撹拌する。次いで、界面活性剤をポリマー溶液/懸濁液中に同様にして溶解し、最後に薬物を添加する。界面活性剤及び薬物は完全に溶解している。生じた溶液/懸濁液を少なくとも30分間撹拌した後、噴霧乾燥する。
【0106】
(噴霧乾燥方法1)
噴霧乾燥はNiro SD Micro噴霧乾燥機を用いて実施する。加熱した乾燥窒素及び組成物溶液を同時に2流体ノズル(角度30°)に供給した後、追加した加熱ガスと一緒に乾燥チャンバにスプレーとして排出させると、急速に蒸発が生じて粒子が形成される。乾燥させた粒子をプロセッシングガスによりサイクロン、次いで収集用バッグフィルターチャンバに運ぶ。3つのプロセッシング速度、すなわち1)溶液供給速度、2)プロセッシング窒素流速、及び3)アトマイジング窒素流速はコントロールされ、モニターされる。溶液供給速度は外部せん動ポンプによりコントロールされ、実験室規模で〜5−20ml/分である。アトマイジング窒素流速及びプロセッシング窒素流速は、アトマイジング窒素に対して2−3kg/時、プロセッシング窒素に対して20−30kg/時である。44−70℃の範囲の温度が十分であると立証されているが、乾燥チャンバ出口での標的化プロセッシングガス温度は溶媒の沸点またはそれより僅かに低い。(ノズルの出口での)入口チャンバ温度は所望の出口温度が得られるように調節される。80−90℃の入口温度が典型的である。生成物中の残留溶媒は典型的には低い(<1%w/w)。
【0107】
(噴霧乾燥方法2)
プロセッシング構成は方法1に類似している。ただし、噴霧乾燥を1mmオリフィスを有する2流体ノズルを備えているNiro PSD−I延長チャンバ噴霧乾燥装置を用いて実施する。以下のプロセッシング条件をコントロールまたはモニターする:組成物溶液供給速度(2−7.6kg/時)、プロセッシングガス流速(35−38mm HO)、噴霧比(アトマイジングガス流速/供給物流速の比)(0.9−2.8)、噴霧圧(0.25−1.5バール)、出口ガス温度(43−70℃)及び入口ガス温度(61−134℃)。
【0108】
(噴霧乾燥後のプロセッシング)
より小規模のプロセッシングでは、材料収集は2つの区域、すなわちサイクロンとバッグフィルターチャンバで生ずる。噴霧乾燥方法1から生ずる典型的な平均粒子サイズは1−30μmの範囲であり、サイクロン収集域からサンプリングした個々の粒子の測定値は<1μm−>100μmの範囲である。粒子はかなり凝集しているが、バッグフィルター中の粒子の大部分は1μm以下である。噴霧乾燥方法2の条件下では、粒子をサイクロン収集チャンバからのみ収集し、典型的な平均粒子サイズは非常に大きく、典型的には5−70μmの範囲であり得る。
【0109】
噴霧乾燥した粒子を以下のように顆粒とする。粒子を適当なブレンダー(VまたはBohle)において結晶セルロース(例えば、Avicel)(充填剤)、ラクトース(充填剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)と混合する。次いで、混合した粉末を顆粒にローラー圧縮し、顆粒外潤滑にかけ、カプセルに充填する。
【0110】
8.8%(w/w)の化合物II、35.2%のHPMCAS−LF、25.75%のラクトース一水和物、25.75%の結晶セルロース(Avicel PH 102)、3%のクロスカルメロースナトリウム、0.5%のコロイド状二酸化ケイ素及び1%のステアリン酸マグネシウムを含む上記した組成物をカプセル(充填重量568mg)に移した。各カプセルは5mgの化合物IIを含んでいた。この組成物の薬物動態プロフィールは、3匹の絶食させたアカゲザルのパネルにおいて1mg/kgの1回用量で試験した。24時間の化合物IIの血液中の薬物動態測定値は、AUC0−24=1.99±1.10μM*時、Cmax=0.12±0.08μM、及びTmax=6.7±2.3時である。
【0111】
比較のために、ポリマーなしに化合物IIを含有する組成物を以下のように作成し、試験した。非ポリマー組成物は5%の化合物II、5%のSDS界面活性剤、1.5%のHPC−EXF、1%のクロスカルメロースナトリウム及び87.5%のラクトースを含み、湿式顆粒化により製造し、乾燥充填カプセル中に使用した。この組成物の薬物動態プロフィールは、3匹の絶食させたアカゲザルのパネルに対して1mg/kgの1回用量を投与した後、サルの血液中の化合物IIの量を少なくとも24時間測定することにより調べた。薬物動態データは、AUC0−24=0.67±0.0.32μM*時、Cmax=0.04±0.03μM、及びTmax=18.7±9.2時である。対照として使用した“慣用”組成物は界面活性剤を含んでいたが、“慣用”組成物の薬物動態はポリマー組成物ほど良好でない。
【0112】
通常、API及び任意の界面活性剤を含むHPMCAS組成物は 4−30%のAPI及び0−12%の界面活性剤を含み、組成物の残部はHPMCASであった。
【0113】
実施例2:高温溶融押出
以下の2つの組成物を高温溶融押出により製造した。量は重量%で表示されている。Kollidon VA64は、コモノマー比が約1.2:1のポリビニルピロリジノンとポリ酢酸ビニルのコポリマーである。Kollidon VA6はコポビドンとしても公知である。これは約110℃のガラス転移温度(Tg)を有しており、約140℃で溶融する。各組成物は200g規模で製造した:
(1)化合物II=30%;ビタミン E TPGS=15%;Kollidon VA64=55%
(2)化合物II=20%;トゥイーン80=1.5%;スパン80=1.5%;Cremophor EL=1.5%;Kollidon VA64=75.5%。
【0114】
(組成物1)
組成物1は、まず成分の顆粒化混合物である予押出ブレンドを作成した後、顆粒化混合物を二軸押出機に供給することにより製造した。顆粒化混合物は、Kollidon VA64ポリマー及び化合物IIを室温でNo.4ボウル(2L)を備えているBohle BMG造粒機において混合した後、造粒機において撹拌しながら混合物に造粒流体としての溶融ビタミンE TPGSを1滴ずつ添加することにより作成した。ビタミンE TPGSは、液体として添加され得るように約40℃の融点よりもやや高い温度に加熱した。チョッパーの速度は1000rpmであり、インペラーの速度は400rpmであった。
【0115】
予押出ブレンドをThermo Prism(16mm,L/D 40:1)高温溶融二軸押出機に供給した。押出機のバレルは1−10の番号を付けた10個の温度ゾーンを有しており、ゾーン1はバレルの進入端部にあり、ゾーン10はダイの直前にある。ゾーン1は加熱されておらず、温度を測定していない。ゾーン2−10は各々温度コントロールされており、これらのゾーンの各々の温度は測定され得る。ダイの温度はコントロールされていないが、測定され得る。供給物を供給物スロートを介してゾーン2に導入する。スクリューは2つの場所で、ゾーン6と7、再びゾーン8と9を横切って生ずるように設置されていた。ベントポートを通過した直後に混合を終了させた。顆粒化した予押出混合物をK−Tronフィーダーから押出機の供給ポートに約10g/分で供給した。スクリュー速度は100rpmであった。
【0116】
ゾーン2−10についての押出機中の温度設定値のプロフィールは、ゾーン2−5=20℃;ゾーン6−10=130℃であった。これらのゾーンでの実際の温度は、ゾーン2−3=22−23℃;ゾーン4=28℃;ゾーン5=48℃;ゾーン6−9=130℃;ゾーン10=33℃であった。ゾーン10は、最初始動中の圧力を避けるために150℃に設定した後、押出が始まったら温度の設定値を130℃に下げた。ダイから出た溶融ポリマーの温度は107−108℃であった。ダイ圧力の発生は確認できなかった。押出物は透明であり、均質のように見えた。
【0117】
次いで、固体の押出されたポリマーをナイフ構造を有するFitz Mill、Impact前進、1722−0033スクリーンを用いて7500rpmで粉砕した。
【0118】
(組成物2)
組成物2は、組成物1について使用したのと同一の手順を用いて製造した。ただし、予押出ブレンドを作成するとき、顆粒化した混合物を撹拌しつづけながら3つの界面活性剤の各々を造粒機に別々に1滴ずつ添加した。スパン80及びトゥイーン80は室温で液体であり、従って造粒機において撹拌されている混合物に添加する前に加熱しなかった。
【0119】
押出は、組成物1の押出と同一の一般条件下で実施した。唯一の違いは、ゾーン10の温度を145℃に設定したことである。ダイから出たときの溶融押出物の温度は121−125℃であった。ダイ圧力は1−5バールであった。押出物を組成物1に使用したのと同じ方法を用いて粉砕した。
【0120】
実施例3:HMEによる錠剤の処方
12%、10%及び8%の化合物IIを含有する錠剤を作成するための3つの組成物の組成を下表に示す。最後の3行には、3匹の絶食させたアカゲザルのパネルに組成物を1mg/kgの用量で1回投与し、化合物IIの血中濃度を少なくとも24時間測定することにより得た薬物動態データが要約されている。組成は、表の後に要約されているように所望の特性が得られるように広く変更され得る。
【0121】
【表1】
【0122】
使用され得る成分の量の代表的範囲及びその機能は以下の通りである:API=0.5−15%;コポビドン(HMEポリマー)=2−60%;ビタミンE TPGS(界面活性剤)=0.25−10%;結晶セルロース(充填剤)=5−95%;ラクトース(充填剤)=5−95%;クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)=1−15%;ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)=0.1−2%;コロイド状二酸化ケイ素(流動促進剤)=0−1%。コロイド状二酸化ケイ素は、崩壊時間に悪影響を及ぼすことなく錠剤の引張強度を驚くほど上昇させた。API、コポビドン及びビタミンE TPGSの量の代表的範囲はそれぞれ1−35%、5−90%及び0.5−25%である。
【0123】
上記したポリマー及び賦形剤の代替物には以下のポリマー及び賦形剤が含まれるが、これらに限定されない。特に、商品名またはブランド名が使用されているとき、他のブランド名または商品名を有する同一材料も含まれる。HMEポリマー−Eudragits(アクリレート−メタクリレートコポリマー)、PVP、HPC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、CAS、CAP及びCAT;界面活性剤−SDS、クレモホル(各種グレード)、ポリソルベート(各種グレード)、Solutol、Gelucires、スパン(各種グレード)、PEG;充填剤−リン酸ジカルシウム、ケイ化結晶セルロース、デンプン、マンニトール;崩壊剤−クロスポビドン、ナトリウムデンプングリコレート、ケイ酸カルシウム、デンプン;任意の着色剤−赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、二酸化チタン、FD&C ブルー#2;並びに任意のコーティング−Opadry I、Opadry II、Opadry II HP。
【0124】
上表中の組成物は、以下の手順により高温溶融押出により製造される。化合物IIを、Ktron K20二軸粉末供給装置を用いてバレル部分の上部供給ポートを介して押出機バレルゾーン1に供給する(2kg/時)。ポリマー(Kollidon VA64)を、Ktron K20二軸粉末供給装置を用いてバレル部分に上部ベントポートを有する二軸Leistritzサイドラム押出機を介して押出機バレルゾーン2に供給する(7Kg/時)。溶融させたビタミン E TPGSをZenithギアポンプを用いてインライン流速を測定するためのコリオリスメーター及び液体供給物の安定性を(安全性についても)評価するための圧力計をインライン温度プローブと一緒に用いて加熱したステンレス鋼ラインを介して供給する。液体を、0.5mm直径ノズルを用いてバレルゾーン3の上部の標準Liestritz液体注入ノズルを介して押出機に圧送する。液体を約100℃及び1kg/時で注入する。
【0125】
ベント(または、2つのベント)はバレルゾーン7、8及び/または9に位置している。これらは水蒸気を除去するために大気に通じている。残りのバレル部分は閉じられている。すべてのフィーダーは重量の変化を連続的にモニターするためにロードセル上に置かれている。バレルの温度はゾーン1では室温であり、ゾーン3または4の温度は約130℃である。ゾーン5−10は約130℃に加熱されている。
【0126】
一般のダイアダプターを用いると、薬物濃度、TPGS濃度、並びに可能ならば生成物の品質及び他の属性がオンラインで連続的に測定されるようにNIR及びRaman測定値をインラインで伝送することができる。4ホールストランドダイを使用して、ThermoElectron製のチルドロールユニットに材料を押出す。チルドロールユニットは冷却水を用いて押出物の脆いシートを生成し、次いでこのシートを“キッブラー”(基本的にローターに移送する脆いシートでワックする垂直ペグを備えたローター)により粒子に削る。
【0127】
押出機の軸設計は基本的に最初の3〜4ゾーンに対しては1.5Dピッチの前進完全にかみ合うエレメントであり、その後に10個の前進30°混合パドル、10個の前進60°混合パドル及び25個の90°混合パドルからなる長い1つの混合ゾーンがある。この混合ゾーンの後に、主に1Dピッチの完全にかみ合うエレメントから構成されている単純な運搬セクションがある。
【0128】
上記キッブラーからの粒子を、下流のプロセッシング/錠剤化の前にFitzミルを用いて粉砕する。次いで、粉砕した押出物を適当なブレンダー(VまたはTote)において結晶セルロース(例えば、Avicel)(充填剤)、ラクトース(充填剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)及びコロイド状シリカ(流動促進剤)と混合する。混合する前にコロイド状シリカを単独でまたは充填剤と一緒に篩にかけてもよい。
【0129】
次いで、ブレンドをステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化にする。滑沢化したブレンドを錠剤に圧縮する。圧縮錠剤に場合によりコーティングを施してもよい。
【0130】
実施例4
実施例1に記載されている噴霧乾燥HPMCASを用いた100mg錠剤の処方を以下に示す。
【0131】
【表2】
【0132】
実施例1に記載されている噴霧乾燥HPMCASを用いた150mg錠剤の処方を以下に示す。
【0133】
【表3】