特許第5773561号(P5773561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773561
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】茶樹の栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 1/00 20060101AFI20150813BHJP
   A01C 21/00 20060101ALI20150813BHJP
   C05G 3/00 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   A01G1/00 301Z
   A01C21/00 Z
   C05G3/00 103
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2009-42615(P2009-42615)
(22)【出願日】2009年2月25日
(65)【公開番号】特開2010-193790(P2010-193790A)
(43)【公開日】2010年9月9日
【審査請求日】2012年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390021544
【氏名又は名称】ジェイカムアグリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(74)【代理人】
【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(74)【代理人】
【識別番号】100115392
【弁理士】
【氏名又は名称】八本 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100138313
【弁理士】
【氏名又は名称】北山 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100141896
【弁理士】
【氏名又は名称】渕田 滋
(72)【発明者】
【氏名】荒木 利明
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 光育
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−345872(JP,A)
【文献】 特開昭61−026585(JP,A)
【文献】 野中邦彦,平成16年度 茶栽培における施肥量削減技術の現状と今後の方向,平成16年度 革新的農業技術習得研修(高度先進技術研修)「安全・安心で環境保全型の茶生産技術」,2004年 7月,16−23頁
【文献】 徳田進一,窒素多肥茶園における被覆尿素の利用,季刊 肥料,2001年,第89号,70−76頁
【文献】 岩橋 光育,Vポーラスを利用した茶園での寒肥樹冠上施用の効果,農業と科学,2006年11月 1日,第580号,第10〜14頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00−7/06
A01C 15/00−23/04
C05G 3/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥効調節型粒状肥料の茶樹への施用方法であって、複数年にわたって毎年1回、下記(1)〜(3)の特性を有する肥効調節型粒状肥料を、茶樹の上部より年間窒素施肥量の20〜80%を施用し(ただし、年間窒素施肥量の残りはうね間施肥)、施用量の80%以上の該肥効調節型粒状肥料が樹冠下の範囲内に分布するようにすることを特徴とする茶樹の栽培方法。
(1)被覆粒状肥料組成物および/または化学合成緩効性窒素肥料から選ばれた1種以上により構成される。
(2)25℃一定条件下、被覆粒状肥料組成物の場合は水中での3日目の窒素成分の溶出率、化学合成緩効性窒素肥料の場合は土中での3日目の無機化率が20%以下である。
(3)25℃一定条件下、被覆粒状肥料組成物の場合は水中での80%溶出日数、化学合成緩効性窒素肥料の場合は土中での80%無機化日数が40〜250日である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は茶樹の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、茶樹に代表される多年生作物の栽培において、窒素施用量低減に向けた施肥削減技術の開発とともに施肥基準が見直されている。これは、茶園周辺の水系においてしばしば高濃度の硝酸性窒素が検出されてきたためである。また、茶栽培においては、その品質向上を目的として他作物と比べて極端な窒素多施用が行われてきた。
【0003】
施肥量削減技術としては肥効調節型肥料や石灰窒素の利用が挙げられ、特に前者は濃度障害を起こしにくく、溶脱による損失を減らせる点や施肥回数を減らせる点が評価されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
通常、茶栽培の施肥はうね間に行うが、手作業で歩きながらの施用であるため、施肥作業が長時間かかり、多大な労力がかかっていた。施肥位置がうね間(茶園の20%弱の面積に相当)に限定され、そこへ多量施肥しているため濃度障害が発生するとともに、うね間は作業場であり土壌の物理性が良好に維持できないなど様々な課題がある(例えば、非特許文献1参照)。一方で、被覆肥料による全面施用(例えば、非特許文献2参照)や樹幹下施肥も提案されており、液肥を利用した技術開発について報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、特に茶樹などの葉が密集している作物においては樹上から肥料を施用すると葉の上に肥料が残留しやすい。また、葉を収穫する作物においては、葉の上に肥料が残留した結果として葉焼けが発生すると商品価値が著しく低下することから、樹上から、肥料の一般的な形態である粉もしくは粒状物は樹幹下への施肥が困難であり、実態としてそこは施用できない場所になっている。
【0006】
また、被覆肥料による全面施用(例えば、非特許文献2参照)の事例に従えば、2年で1回の施肥を例示しているが、これでは施肥の管理が難しく、施肥した時期を忘れてしまうおそれがあるため、単年度の施肥体系を組むのが生産者より望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】野中邦彦,「茶園における窒素環境負荷とその低減のための施肥技術」,茶業研究報告,日本茶業技術協会,平成17年12月,100号,p.29−41
【非特許文献2】志和将一,「被履肥料の茶園全面施用による施肥効率の向上」,茶業研究報告,日本茶業技術協会,平成17年12月,100号,p.83−85
【非特許文献3】中村茂和,「茶園の樹冠下液肥施用における年間窒素量が収量、摘芽中の窒素含量に及ぼす影響」,茶業研究報告,日本茶業技術協会,平成17年12月,100号,p.86−88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、茶樹に代表される多年生作物の栽培において、肥効調節型肥料の肥効を従来以上に高めつつ施肥作業にかかる労力を低減し、かつ、多年生作物の収量を増大させることが可能な栽培方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前述の課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、特定の肥効調節型粒状肥料を用いて茶樹の上部より1年に1回施用する栽培方法であれば、容易に樹幹下施肥が可能であることを見出した。さらに、施肥作業にかかる労力を低減させるため使用条件を検討したところ、動力散布機等での機械施肥時に粒状肥料への影響が無く、機械施肥前後の肥効特性に影響しないような肥効調節型肥料を施用する方法を含んだ栽培方法により、前記課題が解決されることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]肥効調節型粒状肥料の茶樹への施用方法であって、下記(1)〜(3)の特性を有した肥効調節型肥料を茶樹の上部より複数年にわたって毎年1回施用し、施用量の80%以上の該肥効調節型粒状肥料が樹冠下の範囲内に分布するようにすることを特徴とする多年生作物の栽培方法。
(1)被覆粒状肥料組成物および/または化学合成緩効性窒素肥料から選ばれた1種以上により構成される。
(2)水中または土中25℃一定条件下での3日目の窒素成分の溶出率または無機化率が10%以下である。
(3)水中または土中25℃一定条件下での80%溶出日数または無機化日数が40〜250日である。
[2]年間窒素施肥量の20〜80%を茶樹の上部より施用することを特徴とする上記[1]記載の茶樹の栽培方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、多年生作物の栽培方法に関し、下記(1)〜(5)の効果が挙げられる。
(1)機械施肥が可能であることから、施肥作業にかかる労力の低減
(2)容易に樹幹下施肥ができるので、肥料の利用率向上による施肥量削減、増収
(3)うね間へ多量施肥を回避できるため、濃度障害の回避や良好な栽培環境の維持
(4)施肥量削減による環境負荷低減
(5)年1回施肥とすることで施肥時期が年間スケジュール化できるため、施肥時期の間違いが無くなる
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の栽培方法は、茶樹の上部より肥効調節型粒状肥料を施用することにより樹幹下に施用を実現する栽培方法である。
【0013】
本発明における茶樹の上部とは、茶樹表面に対する方向が上部という意味であり、茶樹表面は通常、葉や枝で覆われている。樹幹下とは文字通り作物の幹、枝葉の下部の地表面であり、作物が南からの日射を受けた場合の影の部分に相当する。
【0014】
本発明では、肥効調節型粒状肥料が樹冠下の範囲内に施用量の80%以上分布させることができる。
【0015】
本発明の樹上施用では、施用直後は葉面や幹、枝に肥料が残ることもある。一般の化成肥料を同様の方法で施肥し葉の上に残った場合には肥料成分が速やかに葉に吸収されるために葉焼け(濃度障害)が発生する恐れがある。本発明の肥効調節型肥料の場合は被膜が樹脂であり、難水溶性の成分であるために直接肥料成分と接触しないために、このような葉焼けの発生が無い。通常の環境では風による振動により自然落下するため樹幹下に確実に落下させることができる。また、施用後に樹木を棒などで振動させ肥料粒子を落下させるのが好ましい。
【0016】
本発明で用いる肥料は施用時の残留を考慮すると好ましい粒度分布は粒径2.0〜4.5mmが90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
【0017】
肥料粒子は一般にその製造方法にもよるが、凹部や凸部を有する複雑な形状を有しており、肥料の形状として理想は真球状であるが製造が困難である。そこで、円形度係数を用いて例示すれば好ましくは0.9以上である。
【0018】
本発明における肥効調節型粒状肥料とは、樹脂等の被膜組成物で粒状肥料を被覆した被覆粒状肥料組成物(以下「被覆肥料」とする)、尿素等を化学合成した化学合成緩効性窒素肥料、ジシアンジアミド等の硝酸化成抑制材を含有する粒状肥料が挙げられるが、好ましくは被覆肥料、化学合成緩効性窒素肥料であり、さらに好ましくは被覆肥料を用いることができる。これらの肥料はいずれか1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
被覆肥料としては、窒素質肥料をポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硫黄その他の被膜材料で被覆した被覆窒素肥料;カリ質肥料をポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硫黄その他の被膜材料で被覆した被覆カリ肥料;及び化成肥料等をポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、硫黄その他の被膜材料で被覆した被覆複合肥料等が挙げられる。
【0020】
上記被覆肥料の場合、水200mLに該被覆肥料10gの割合で25℃一定に静置した条件下において3日目の累積窒素成分溶出率が10質量%以下である肥料であることが好ましい。
【0021】
また、上記被覆肥料の累積窒素成分溶出率は以下の方法にて求めることが可能である。被覆肥料10gを水200mL中に浸漬して25℃に静置し、所定期間経過後被覆肥料と水とに分け、水中に溶出した窒素成分の溶出累計量を定量分析により求める。さらに、上記被覆肥料10g中の全窒素量を定量し、該全窒素量に対する上記溶出累計量の割合を百分率で示したものを累積窒素成分溶出率とする。具体的には、特開2005−319417号公報等の方法が例示でき、これに準じて行えばよい。すなわち、被覆肥料10gと予め25℃に調整をしておいた蒸留水200mLとを250mLのポリ容器に投入し、25℃設定のインキュベーターに静置した。3日後該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる溶出累計窒素成分量(窒素成分累計溶出量)を定量分析(例えば、肥料分析法(例えば、農林水産省農業環境技術研究所著,「肥料分析法(1992年版)」,(財)日本肥糧検定協会発行,1992年12月,p.15−22や山添文雄ら著,「詳解肥料分析法 改訂第1版」,養賢堂発行,1973年1月,p.35−62等))により求
めた。累積窒素成分溶出率は被覆肥料10g中の全窒素量に対する上記溶出累計窒素成分量の割合を百分率で示したものである。
【0022】
本発明では、被膜の欠陥が多いことを示す施用初期の溶出率を指標として、静置後3日目の累積窒素成分溶出率が20質量%以下である肥料が好ましい。さらに、80質量%累積窒素成分溶出率が40日以上である場合は、一般的な化成肥料と比べても肥効が持続するためより好ましい。年1回の施肥作業である点を考慮すると80質量%累積窒素成分溶出率が100日〜250日の被覆肥料を用いるのが特に好ましい。
【0023】
本発明の化学合成緩効性窒素肥料としては、例えば財団法人農林統計協会発行の「ポケット肥料要覧 2007」(p.96)に記載されており、尿素−脂肪族アルデヒド縮合
物、グリオキサール縮合尿素、硫酸グアニル尿素及びオキサミド等が挙げられる。好ましくは難水溶性の尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を含有する肥料が特に好ましい。
【0024】
上記緩効性肥料が、肥料成分として難水溶性の尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を含有する肥料であれば、該肥料に含有する速効性窒素を窒素換算で窒素成分全質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、0.1〜10質量%とすることがより好ましく、1〜10質量%とすることが特に好ましい。速効性窒素の含有量が上記の範囲であれば、施用直後の肥料成分由来の生育障害等を起こすことなく、緩効性窒素質肥料である尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の特徴を補うことができる。また、速効性窒素を含有せず尿素−脂肪族アルデヒド縮合物のみの肥料を得ようとした場合、精製工程を介する分コスト高になり実用的でない。尚、速効性窒素としては、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、尿素態窒素を挙げることができる。
【0025】
また、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物は、特に限定されず、直鎖状、分岐のある鎖状、環状等の何れの分子構造を持つ尿素−脂肪族アルデヒド縮合物であっても使用することができる。具体的には、肥料取締法(普通肥料の公定規格、肥料の種類)に記載のアセトアルデヒド縮合尿素(CDUまたはOMU)、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)、メチロール尿素重合肥料、ホルムアルデヒド加工尿素肥料等を挙げることができる。本発明においてはそれらのうち1種以上を任意に選択し使用すればよい。好ましくは尿素−脂肪族アルデヒド縮合物でありアセトアルデヒド縮合尿素である2−オキソ−4−メチル−6−ウレイドヘキサヒドロピリミジン(CDU)である。
【0026】
上記化学合成緩効性窒素肥料の場合、土壌(水分:最大容水量の60%)に該肥料を用いて25℃一定に静置した条件下において3日目の無機化率が10質量%以下である肥料であることが好ましい。無機化率は、採取した土壌中の無機態窒素量をアンモニア態、亜硝酸態、硝酸態窒素の同時浸出測定法(養賢堂 土壌養分測定法 p.197−p.200に記載の方法)で無機態窒素を測定することで算出できる。
【0027】
本発明栽培方法では動力散布機等による機械施肥をすることで省力化が可能になる。上記肥効調節型肥料を機械施肥する場合、羽根や肥料粒子同士の衝突により肥料粒子の表面が損傷しやすいため、被覆肥料であれば被膜の欠陥部より肥料成分の初期バーストが起こることによる生育障害が発生する恐れがある。被膜の無い化学合成緩効性窒素肥料であっても、損傷により発生した肥料粉が施用時に作物に付着して濃度障害が発生する恐れがある。動力散布機は、市販品でかまわないが、より広範囲に散布できるように複数の散布口が開いた噴頭ホースを使用するのが好ましい。
【0028】
本発明の栽培方法は、一年間に必要とされる施肥の全量を樹上施用してもよいが、必要に応じて従来のうね間施肥と併用してもかまわない。通常、茶樹の施肥は低温の初春に行われるため、初期肥効の確保は硫安や尿素、過燐酸石灰、硫酸加里や塩化加里等の単肥やこれらを原料とする化成肥料等の速効性肥料を施用したほうがコスト的にも有利である。好ましくは年間窒素施肥量の20%以上、さらに好ましくは年間窒素施肥量の20〜80%を樹上施用すれば全体の施肥量を低減することができる。
【実施例】
【0029】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り「重量%」である。
【0030】
1.肥料の特性測定
本発明では、肥効調節型肥料1(エコロング424 140日タイプ、チッソ旭肥料製)、肥効調節型肥料2(LPコート140、チッソ旭肥料製)、肥効調節型肥料3(ハイパーCDU(短期)、チッソ旭肥料製)、肥効調節型肥料4(LPコート20、チッソ旭
肥料製)、肥効調節型肥料5(粒状ホルムアルデヒド加工尿素、市販品)の肥効調節型肥料と、肥効調節型肥料ではない肥料6の有機肥料(市販品、N10−P2−K2)、肥料7の化成肥料(市販品、N7−P3−K3−Mg1)を用いた。肥効調節型肥料1〜5、有機肥料(肥料6)、化成肥料(肥料7)それぞれの溶出率、無機化率は下記に示す方法で測定した。肥効調節型肥料5の窒素成分含有率は41.3%、内水溶性窒素成分28.9%であった(水溶性窒素成分は公定分析法の測定値)。
【0031】
(溶出率の測定)
被覆肥料を10gとあらかじめ25℃に調整をしておいた蒸留水200mlとを250mlの蓋付きポリ容器に投入し、25℃設定のインキュベーターに静置した。3日後、該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる窒素量を定量分析、例えば、「詳解肥料分析法 第二改訂版」養賢堂)により求めた。水を抜き取った後のサンプルは再度該
容器に入れ、該容器に再度蒸留水を200ml投入し同様に静置した。窒素溶出量の積算値が、予め同一ロットの被覆粒状肥料を用いて測定した窒素含有量の80重量%に達する迄この操作を繰り返した。
【0032】
その後該被覆粒状肥料を乳鉢ですりつぶし、該肥料の内容物を水200mlに溶解後上記と同様の方法で窒素残量を定量分析した。積算窒素溶出量と窒素残量を加えた量を窒素全量とし、水中に溶出した窒素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80重量%溶出率に至る日数を求めた。
【0033】
(無機化率の測定)
2L容量の容器に2mmの篩いを通った風乾土壌(静岡県富士市で採取した黒ボク土、pH(1:5(H2O)4.3)を1kg入れ、そこに肥効調節型肥料1〜5、有機肥料
(肥料6)、化成肥料(肥料7)それぞれを全窒素含有割合で1.0g相当量、水を最大容水量の60%になるように入れ混合し無機化土壌サンプルを作成した。
【0034】
該無機化土壌サンプルが入った容器の上縁をポリエチレンフィルムで覆い25℃のインキュベーターに静置した。3日経過後に土壌を全て回収し、よく混合した後、そのうち10gを採取した。
【0035】
採取した土壌中の無機態窒素量をアンモニア態、亜硝酸態、硝酸態窒素の同時浸出測定法(養賢堂 土壌養分測定法 p.197〜p.200に記載の方法)で測定した。試験は全て3反復制とし、供試土壌に元来含まれていた無機態窒素量を測定するために、肥料を施用していない無肥料区も設けた。各サンプリング日の土壌中のアンモニア態窒素量と硝酸態窒素量を表2に示した。単位はmg/100g風乾土壌である。
【0036】
続いて、これらの値の合計値(無機態窒素合計量)から、下記式に従って20日または40日培養後の無機化率を算出した。
無機化率(%)=(培養後の施用土壌に含まれる無機態窒素合計量−培養後の無肥料区土壌に含まれる無機態窒素合計量)/施用前の肥料に含まれる全窒素量×100
(粉化率の測定)
供試肥料は、予め、開き目が2.80mmと3.35mmの試験用篩で粒度を調整しておく。肥効調節型肥料1〜5(肥料1〜5)、有機肥料(肥料6)、化成肥料(肥料7)それぞれ100gと直径25mmの磁性ボール3個を容積1000mlの磁性ポットに投入し、毎分75回転で15分間回転させる。次に、磁性ポットから試料をボール毎、受け皿をつけた開き目1mmの試験用篩の上に乗せる。ブラシでボールに付着した粉を十分に取る。ボールを取り出し、試験用篩を電磁式篩振とう機(AS−200g:Retsch社製:振幅幅1.5mm)にセットし、5分間振とうさせ、受け皿に落下した粉の重量を測定する。受け皿に落ちた粉重量を100gで除した値の百分率が、本発明における粉化
率である。
【0037】
【表1】
【0038】
2.試験
静岡県菊川市の茶樹(品種:やぶきた)を用いて栽培試験を行った。施肥は二月初旬に行った。窒素施肥は表2のとおり行い、りん酸と加里は慣行法に準じた施肥設計を行った。該りん酸と該加里はうね間に施用した。施肥機として、背負動力散布機DMC601((株)共立製)、噴頭ホースDMK−2を使用し、茶園の端から施用作業を実施した。作業後は下記に示す樹幹下施肥率を測定した。施肥後は葉面の様子を観察し、肥料焼けの有無を調査した。その他は慣行法に準じて栽培を行った。結果を表2に示す。
【0039】
(樹幹下施肥率の測定)
樹幹下に施用した肥料を回収する目的で、プラスチックシートを敷き、うね間との境界を高くして回収ロスが出ないようにした。施肥作業後はシート上の肥料を計量し、下記算式により樹幹下施肥率を求めた。
(樹幹下施肥率)[%]=(回収肥料量)/(平均施肥量)×100
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1〜4のとおり本発明肥料を樹上施肥するとその効果で従来よりも増収となった。これは、樹幹下に均一に分布したため根の活性と肥料の肥効特性の相乗効果によるものと予測される。さらに機械施肥により施肥時間が比較例1と比べて約半分に短縮し、省力化となった。
【0042】
一方、比較例1〜4のようなうね間に施用された肥料の性能は実施例と遜色なくても、肥効面で影響があったことが収量より明らかとなった。比較例5は用いた肥料の肥効が短く良好な結果を得られなかった。比較例6は葉面に焼けがあり、収量および製品品質に影響を及ぼした。さらに、樹幹下に施肥しても減収となった。