(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773568
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】シロール含有ポリマーを用いた光電池
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20150813BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
H01L31/04 152B
H01L31/04 152E
H01L31/04 152G
H01L31/04 152H
H01L31/04 152J
C08G61/12
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2009-532499(P2009-532499)
(86)(22)【出願日】2007年10月1日
(65)【公表番号】特表2010-507233(P2010-507233A)
(43)【公表日】2010年3月4日
(86)【国際出願番号】US2007080053
(87)【国際公開番号】WO2008088595
(87)【国際公開日】20080724
【審査請求日】2010年7月23日
(31)【優先権主張番号】60/850,963
(32)【優先日】2006年10月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308014846
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴーディアナ、ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】キングスボロー、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シ、シァオボ
(72)【発明者】
【氏名】ウォラー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ジェングオ
【審査官】
池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−222429(JP,A)
【文献】
特開2005−120379(JP,A)
【文献】
特開2003−073382(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/101814(WO,A1)
【文献】
特開2005−263795(JP,A)
【文献】
Michelle S. Liu et al,Efficient Green-Light-Emitting Diodes from Silole-Containing Copolymers,Chemistry of Materials,2003年,vol.15,pp.3496-3500
【文献】
Hakan Usta et al,Dithienosilole− and Dibenzosilole−Thiophene Copolymers as Semiconductors for Organic Thin-Film Transistors,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2006年 6月23日,vol.128,pp.9034-9035
【文献】
Feng Wang et al,Conjugated Fluorene and Silole Copolymers: Synthesis, Characterization, Electronic Transition, Light Emission, Photovoltaic Cell, and Field Effect Hole Mobility,Macromolecules,2005年,vol.38,pp.2253-2260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/44 − 51/46
C08G 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された光活性材料と、を有する物品であって、前記光活性材料が、
第1のコモノマー繰り返し単位と、前記第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含んでなるポリマーと、
(OCH2CH2)2OCH3またはOCH2CF2OCF2CF2OCF3で置換した1つ以上のフラーレンとを含有し、
前記第1のコモノマー繰り返し単位が、下記式(1)
【化1】
のシラシクロペンタジチオフェン部分を有し、
R
1、R
2、R
3およびR
4が各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RがH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであり、
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分、ベンゾチアジアゾール部分、チアジアゾロキノキサリン部分、シクロペンタジチオフェン部分、酸化シクロペンタジチオフェン部分、ベンゾイソチアゾール部分、ベンゾチアゾール部分、酸化チオフェン部分、チエノチオフェン部分、酸化チエノチオフェン部分、ジ
チエノチオフェン部分、酸化ジチエノチオフェン部分、テトラヒドロイソインドール部分、フルオレノン部分、チアゾール部分、セレノフェン部分、シロール部分、チアゾロチアゾール部分、シクロペンタジチアゾール部分、ナフトチアジアゾール部分、チエノピラジン部分、オキサゾール部分、イミダゾール部分、ピリミジン部分、ベンゾオキサゾール部分またはベンジイミダゾール部分を有し、
前記物品が光電池として構成されている、物品。
【請求項2】
R1およびR2が各々個別にC1〜C20アルキルである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
R1およびR2が各々ヘキシルである、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、下記の式(2)のベンゾチアジアゾール部分、式(3)のチアジアゾロキノキサリン部分、式(4)の二酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(5)の一酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(6)のベンゾイソチアゾール部分、式(7)のベンゾチアゾール部分、式(8)の二酸化チオフェン部分、式(9)の二酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(10)の四酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(11)のチエノチオフェン部分、式(12)の四酸化チエノチオフェン部分、式(13)のジチエノチオフェン部分、式(14)の二酸化ジチエノチオフェン部分、式(15)の四酸化ジチエノチオフェン部分、式(16)のテトラヒドロイソインドール部分、式(17)の二酸化チエノチオフェン部分、式(18)の二酸化ジチエノチオフェン部分、式(20)のシロール部分、式(21)のシクロペンタジチオフェン部分、式(22)のフルオレノン部分、式(23)のチアゾール部分、式(24)のセレノフェン部分、式(25)のチアゾロチアゾール部分、式(26)のシクロペンタジチアゾール部分、式(27)のナフトチアジアゾール部分、式(28)のチエノピラジン部分、式(29)のオキサゾール部分、式(30)のイミダゾール部分、式(31)のピリミジン部分、式(32)のベンゾオキサゾール部分、または式(33)のベンジイミダゾール部分を有し、
【化2】
XおよびYが各々個別にCH
2、OまたはSであり、
R
5およびR
6が各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、
RがH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであり、
R
7およびR
8が各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
3〜C
20ヘテロシクロアルキルである、請求項1の物品。
【請求項5】
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、式(2)のベンゾチアジアゾール部分を有し、R5およびR6が各々Hである、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、式(23)のチアゾール部分を有し、R5がヘキシルである、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記ポリマーが、前記第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記第3のコモノマー繰り返し単位がチオフェン部分を有する、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記チオフェン部分が非置換であるか、またはヘキシル置換基を有する、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された光活性材料と、を有する物品であって、前記光活性材料が、
第1のコモノマー繰り返し単位と、前記第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含んでなるポリマーと、
(OCH2CH2)2OCH3またはOCH2CF2OCF2CF2OCF3で置換した1つ以上のフラーレンとを含有し、
前記第1のコモノマー繰り返し単位が、下記式(1)
【化3】
のシラシクロペンタジチオフェン部分を有し、
R
1、R
2、R
3およびR
4が各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RがH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであり、
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR’、C(O)R’、C(O)OR’もしくはSO
2R’
の置換基を有するチオフェン部分、または1,4−ジオキサン部分と縮合したチオフェン部分を有し、R’がH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであ
る、
前記物品が光電池として構成されている、物品。
【請求項11】
R1およびR2が各々個別にC1〜C20アルキルである、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
R1およびR2が各々ヘキシルである、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、C1〜C20アルキル置換基を有するチオフェン部分を有する、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、ヘキシル置換基を有するチオフェン部分を有する、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1および第2の電極間に配置された光活性材料と、を有する物品であって、前記光活性材料が、
第1のコモノマー繰り返し単位と、前記第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含んでなるポリマーと、
(OCH2CH2)2OCH3またはOCH2CF2OCF2CF2OCF3で置換した1つ以上のフラーレンとを含有し、
前記第1のコモノマー繰り返し単位が、下記式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分を有し、
【化4】
R
1、R
2、R
3およびR
4が各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RがH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであり、
前記第2のコモノマー繰り返し単位が、非置換チオフェン部分ではなく、かつ、前記第2のコモノマー繰り返し単位はフルオレンではなく、
前記物品が光電池として構成されている、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロール含有ポリマーを用いた光電池のみならず、関連構成要素、システムおよび方法にも関するものである。
(関連出願の相互参照)
米国特許法第119条に基づき、本出願は、2006年10月11日出願の米国特許仮出願第60/850,963号への優先権を主張し、かかる仮出願の全ての内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
光電池は、光の形態のエネルギーを電気の形態のエネルギーに変換するために広く使用される。代表的な光電池は、2つの電極間に配置された光活性材料を含む。一般に、光は、それらの電極の一方または両方を通過し、光活性材料と相互に作用する。その結果として、一方または両方の電極の、光(例えば、光活性材料により吸収される1つ以上の波長の光)を透過する能力により、光電池の効率全般が制限されることがある。多くの光電池では、光が通過する電極を形成するために、半導体材料(例えば、酸化インジウムスズ)の膜が使用される。その理由は、半導体材料は、導電性材料より導電性は劣るが、半導体材料は、多くの導電性材料より多くの光を透過できるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第11/486,536号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/723,554号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/558,878号明細書
【特許文献4】米国特許第7,022,910号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】コッポら(Coppo et al.)、Macromolecules 第36巻、2705〜2711ページ(2003年)
【非特許文献2】カートら(Kurt et al.)、J. Heterocycl. Chem. 第6巻、629ページ(1970年)
【非特許文献3】ユスタら(Usta et al.)、J. Am. Chem. Soc. 第128(28)巻、9034〜9035ページ(2006年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シロール含有ポリマー(例えば、シラシクロペンタジチオフェン部分を含有するポリマー)を用いた光電池のみならず、関連構成要素、システムおよび方法にも関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ポリマーを生成する新たなモノマーの組み合わせに関するものであり、かかるポリマーは、光電池の活性層で荷電担体として使用されるのに好適な特性を有する。
【0007】
一態様において本発明は、少なくとも2つのコモノマーを含む種類のコポリマーを特徴とし、かかるコモノマーの少なくとも1つは、シラシクロペンタジチオフェンである。
別の態様において本発明は、第1のコモノマー繰り返し単位と、第1のコモノマー繰り返
し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含むポリマーを特徴とする。第1のコモノマー繰り返し単位は、下記式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分を含み、
【0008】
【化1】
【0009】
R
1、R
2、R
3およびR
4は各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RはH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。第2のコモノマー繰り返し単位は、式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分、ベンゾチアジアゾール部分、チアジアゾロキノキサリン部分、シクロペンタジチオフェン部分、酸化シクロペンタジチオフェン部分、ベンゾイソチアゾール部分、ベンゾチアゾール部分、酸化チオフェン部分、チエノチオフェン部分、酸化チエノチオフェン部分、ジチエノチオフェン部分、酸化ジチエノチオフェン部分、テトラヒドロイソインドール部分、フルオレン部分、フルオレノン部分、チアゾール部分、セレノフェン部分、シロール部分、チアゾロチアゾール部分、シクロペンタジチアゾール部分、ナフトチアジアゾール部分、チエノピラジン部分、オキサゾール部分、イミダゾール部分、ピリミジン部分、ベンゾオキサゾール部分、またはベンジイミダゾール部分を含む。
【0010】
別の態様において本発明は、第1のコモノマー繰り返し単位と、第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含むポリマーを特徴とする。第1のコモノマー繰り返し単位は、上記式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分を含む。第2のコモノマー繰り返し単位は、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR’、C(O)R’、C(O)OR’もしくはSO
2R’で置換されたチオフェン部分、または1,4−ジオキサン部分と縮合したチオフェン部分を含み、R’はH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルである。
【0011】
別の態様において本発明は、第1のコモノマー繰り返し単位と、第1のコモノマー繰り返し単位とは異なる第2のコモノマー繰り返し単位とを含有するポリマーを特徴とする。第1のコモノマー繰り返し単位は、上記式(1)のシラシクロペンタジチオフェン部分を有する。第2のコモノマー繰り返し単位は、非置換チオフェン部分ではない。
【0012】
さらに別の態様において本発明は、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に配置された光活性材料とを含む物品を特徴とする。光活性材料は上記ポリマーを含む。かかる物品は光電池として構成されている。
【0013】
実施形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2が個別にC
1〜C
20アルキル(例えば、ヘキシル)である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2のコモノマー繰り返し単位が、下記の式(2)のベンゾチアジアゾール部分、式(3)のチアジアゾロキノキサリン部分、式(4)の二酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(5)の一酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(6)のベンゾイソチアゾール部分、式(7)のベンゾチアゾール部分、式(8)の二酸化チオフェン部分、式(9)の二酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(10)の四酸化シクロペンタジチオフェン部分、式(11)のチエノチオフェン部分、式(12)の四酸化チエノチオフェン部分、式(13)のジチエノチオフェン部分、式(14)の二酸化ジチエノチオフェン部分、式(15)の四酸化ジチエノチオフェン部分、式(16)のテトラヒドロイソインドール部分、式(17)の二酸化チエノチオフェン部分、式(18)の二酸化ジチエノチオフェン部分、式(19)のフルオレン部分、式(20)のシロール部分、式(21)のシクロペンタジチオフェン部分、式(22)のフルオレノン部分、式(23)のチアゾール部分、式(24)のセレノフェン部分、式(25)のチアゾロチアゾール部分、式(26)のシクロペンタジチアゾール部分、式(27)のナフトチアジアゾール部分、式(28)のチエノピラジン部分、式(29)のオキサゾール部分、式(30)のイミダゾール部分、式(31)のピリミジン部分、式(32)のベンゾオキサゾール部分、または式(33)のベンジイミダゾール部分を含む。
【0015】
【化2】
【0016】
【0017】
式(2)〜(33)中、XおよびYは各々個別にCH
2、OまたはSであり、R
5およびR
6は各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RはH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであり、R
7およびR
8は各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
3〜C
20ヘテロシクロアルキルである。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2のコモノマー繰り返し単位が、式(2)のベンゾチアジアゾール部分を含み、R
5およびR
6は各々Hである。
いくつかの実施形態では、第2のコモノマー繰り返し単位が、式(23)のチアゾール部分を含み、R
5はヘキシルである。
【0019】
いくつかの実施形態では、ポリマーが、第1および第2のコモノマー繰り返し単位とは異なる第3のコモノマー繰り返し単位をさらに含む。第3のコモノマー繰り返し単位は、チオフェン部分(例えば、非置換チオフェン部分、またはヘキシルで置換されたチオフェン部分)を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ポリマーが電子供与体材料または電子受容体材料であることができる。
いくつかの実施形態では、ポリマーが、
【0021】
【化3】
【0022】
であることが可能であり、nは1より大きい整数である。
いくつかの実施形態では、光電池が直列光電池である。
いくつかの実施形態では、光活性材料が電子受容体材料を含む。いくつかの実施形態では、電子受容体材料が、フラーレン(例えば、C61−フェニル−酪酸メチルエステル、PCBM)である。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリマーおよび電子受容体材料が各々、LUMOエネルギーレベルを有することができる。ポリマーのLUMOエネルギーレベルは、電子受容体材料のLUMOエネルギーレベルより少なくとも約0.2eV(例えば、少なくとも約0.3eV)低い負の数であることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、素子が有機半導体素子であることができる。ある特定の実施形態では素子が、電界効果トランジスタ、光検出器、光起電力検出器、撮像素子、発光ダイオード、レーザー素子、変換層、増幅器兼放射器、記憶素子、並びにエレクトロクロミック素子から成る群から選択される部材であることができる。
【0025】
実施形態は、次のような利点の1つ以上を提供することができる。
いくつかの実施形態では、シラシクロペンタジチオフェン部分を含有するポリマーの使用が有利であることができる。その理由は、シラシクロペンタジチオフェン部分が、電磁
スペクトルの赤色または近赤外域の方への最大吸収波長の移動に寄与できるためである。かかるポリマーを光電気に組み込むと、光電池の電流および効率を増すことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、置換フラーレン、または置換モノマー繰り返し単位を含有するポリマー(例えば、酸化エチレンオリゴマーのような長鎖アルコキシ基またはフッ素化アルコキシ基で置換されたもの)が、有機溶媒内で改善された溶解度を有することができ、形態学的に改善された光活性層を形成することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、シオール部分を含有するポリマーが、相対的に長い波長の光を吸収して、有機溶媒内で改善された溶解度を有することができる。いくつかの実施形態では、シオール部分を含有するポリマーを使用して、半導体特性の改善された電子受容体材料を調製することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記ポリマーを含有する光電池が、意図された目的のために比較的理想的なバンドギャップを有することができる。
いくつかの実施形態では、電池電圧の高い光電池を作り出すことができ、それによりポリマーのHOMOレベルが、電子受容体材料のLUMOまたは伝導バンドと比べて少なくとも約0.2電子ボルト高い負の数になる。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記ポリマーを含有する光電池において、電子が電子受容体材料に相対的に速くかつ効率的に移動することができ、それにより供与体のLUMOが、電子受容体材料の伝導バンドより少なくとも約0.2電子ボルト(例えば、少なくとも約0.3電子ボルト)低い負の数になる。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記ポリマーを含有する光電池において、電荷分離が相対的に速く行うことが可能であり、それにより、正電荷または正孔の電荷易動度が相対的に高くなり、10
−4〜10
−1cm
2/Vsの範囲になる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリマーが有機溶媒可溶性および成膜性、もしくはそのいずれかである。
いくつかの実施形態では、ポリマーが光学的に非散乱性である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリマーを、有機電界効果トランジスタおよびOLEDに使用することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、説明、図面および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】2つの光活性層の間に1つの電極を包含するシステムの概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
種々の図面における類似の参照記号は、類似の要素を表す。
図1は光電池100の断面図を示し、基板110、正極120、正孔担体層130、活性層140(電子受容体材料および電子供与体材料を含有する)、正孔阻止層150、負極160および基板170が含まれている。
【0035】
一般に、使用中には光が、基板110の表面に当たり、基板110と、正極120と、正孔担体層130とを通過する。その後、光は活性層140と相互に作用し、電子供与体材料(例えば、上記ポリマー)から電子受容体材料(例えば、PCBM)に電子を移動さ
せる。その後、電子受容体材料が、正孔阻止層150を通じて電子を負極160に伝達し、電子供与体材料が、正孔担体層130を通じて正孔を正極120に移動させる。負極160と正極120とは外部負荷を介して電気的に接続しており、かかる負荷を通じて電子が負極160から正極120に移るようになっている。
【0036】
活性層140の電子受容体材料は、フラーレンを含むことができる。いくつかの実施形態では、活性層140が、1つ以上の非置換フラーレンおよび1つ以上の置換フラーレン、もしくはそのいずれかを含むことができる。非置換フラーレンの実施例はC
60、C
70、C
76、C
78、C
82、C
84およびC
92を含む。置換フラーレンの実施例は、C
1〜C
20アルコキシで置換されたフラーレンであって当該アルコキシが任意にC
1〜C
20アルコキシもしくはハロ(例えば、(OCH
2CH
2)
2OCH
3またはOCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3)でさらに置換されたフラーレン、またはPCBMを含む。理論に縛られるつもりはないが、長鎖アルコキシ基(例えば、酸化エチレンオリゴマー)またはフッ素化アルコキシ基で置換されたフラーレンが、有機溶媒内で改善された溶解度を有し、形態学的に改善された光活性層を形成できると考えられている。
【0037】
いくつかの実施形態では、電子受容体材料がポリマー(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー)を含むことができる。本明細書に記載のポリマーは、少なくとも2つの同一または異種のモノマー繰り返し単位(例えば、少なくとも5つのモノマー繰り返し単位、少なくとも10個のモノマー繰り返し単位、少なくとも50個のモノマー繰り返し単位、少なくとも100個のモノマー繰り返し単位、または少なくとも500個のモノマー繰り返し単位)を含む。本明細書に記載のコポリマーは、構造の異なる少なくとも2つのコモノマーを含むポリマーを指す。いくつかの実施形態では、電子受容体材料として使用されるポリマーが、下記の表1および表2に示される1つ以上のモノマー繰り返し単位を含むことができる。具体的には、表1は、共役結合として機能することができる電子供与性モノマー繰り返し単位の実施例を示す。表2は、電子吸引性モノマー繰り返し単位の実施例を示す。置換基次第では、表1に示されるモノマー繰り返し単位が電子吸引性になることができ、また、表2に示されるモノマー繰り返し単位も電子供与性になることができる点に注意すること。好ましくは、電子受容体材料として使用されるポリマーは、電子吸引性モノマー繰り返し単位を、高いモル百分率(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%)で含む。
【0038】
活性層140の電子供与体材料は、モノマー(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー)を含むことができる。いくつかの実施形態では、電子供与体材料として使用されるポリマーが、表1および表2に示される1つ以上のモノマー繰り返し単位を含むことができる。好ましくは、電子供与体材料として使用されるポリマーは、電子供与性モノマー繰り返し単位を、高いモル百分率(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%)で含む。いくつかの実施形態では、ポリマーが、環上にC
1〜C
20アルコキシを含有するモノマー繰り返し単位を含み、かかるアルコキシが任意に、C
1〜C
20アルコキシまたはハロ(例えば、(OCH
2CH
2)
2OCH
3またはOCH
2CF
2OCF
2CF
2OCF
3)でさらに置換される。理論に縛られるつもりはないが、長鎖アルコキシ基(例えば、酸化エチレンオリゴマー)またはフッ素化アルコキシ基で置換されたモノマー繰り返し単位を含有するポリマーが、有機溶媒内で改善された溶解度を有し、形態学的に改善された光活性層を形成できると考えられている。
【0041】
上記の表1および表2に示された式に関して、XおよびYは各々個別にCH
2、OまたはSであることができ、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は各々個別にH、C
1〜C
20アルキル(例えば、分枝アルキルまたは過フッ素化アルキル)、C
1〜C
20アルコキシ、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20ヘテロシクロアルキル、アリール
(例えば、フェニルまたは置換フェニル)、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、C(O)R、C(O)ORまたはSO
2Rであり、RはH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
1〜C
20ヘテロシクロアルキルであることができ、R
7およびR
8は各々個別にH、C
1〜C
20アルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C
3〜C
20シクロアルキルまたはC
3〜C
20ヘテロシクロアルキルである。
【0042】
アルキルは、飽和または不飽和の分枝鎖または直鎖であることができる。C
1〜C
20アルキルは、1〜20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)を含有する。アルキル部分の実施例は、−CH
3、−CH
2−、−CH
2=CH
2−、−CH
2−CH=CH
2および分枝−C
3H
7を含む。アルコキシは、分枝鎖または直鎖で飽和または不飽和あることができる。C
1〜C
20アルコキシは、酸素ラジカルと、1〜20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)とを含有する。アルコキシ部分の実施例は、−OCH
3および−OCH=CH−CH
3を含む。シクロアルキルは、飽和または不飽和であることができる。C
3〜C
20シクロアルキルは、3〜20個の炭素原子(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)を含有する。シクロアルキル部分の実施例は、シクロヘキシルおよびシクロヘキセン−3−イルを含む。ヘテロシクロアルキルもまた、飽和または不飽和であることができる。C
3〜C
20ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの環状ヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)と、3〜20個の炭素原子(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の炭素原子)とを含有する。ヘテロシクロアルキル部分の実施例は、4−テトラヒドロピラニルおよび4−ピラニルを含む。アリールは、1つ以上の芳香環を含有することができる。アリール部分の実施例は、フェニル、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリルおよびフェナントリルを含む。ヘテロアリールは、1つ以上の芳香環を含有することができ、そのうち少なくとも1つが、少なくとも1つの環状ヘテロ原子(例えば、O、NおよびS)を含有する。ヘテロアリール部分の実施例は、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリルおよびインドリルを含む。
【0043】
本明細書に記載のアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、別途指定されない限り、置換部分と非置換部分との両方を含む。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール上の置換基の実施例は、C
1〜C
20アルキル、C
3〜C
20シクロアルキル、C
1〜C
20アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C
1〜C
10アルキルアミノ、C
1〜C
20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C
1〜C
10アルキルチオ、アリールチオ、C
1〜C
10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、アシル、アシロキシ、カルボキシおよびカルボン酸エステルを含む。アリール上の置換基の実施例は、C
1〜C
20アルキルを除き、上記置換基の全てを含む。また、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは縮合基も含む。
【0044】
本明細書に記載のポリマーを調製するためのモノマーは、非芳香族二重結合と、1つ以上の不斉中心とを包含してもよい。よって、かかるモノマーは、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個別のジアステレオマー、ジアシテレオマー混合物、並びにシス−またはトランス−異性体形態として存在することができる。かかる全ての異性体形態が考えられている。
【0045】
上記コポリマーは、当該技術分野において既知の方法により調製することができる。例えば、2つのアルキルスタンニル基を含有する1つ以上のコモノマーと、2つのハロ基を含有する1つ以上のコモノマーとの、遷移金属触媒の存在下でのクロスカップリング反応により、コポリマーを調製することができる。別の実施例として、2つのホウ酸基を含有する1つ以上のコモノマーと、2つのハロ基を含有する1つ以上のコモノマーとの、遷移金属触媒の存在下でのクロスカップリング反応により、コポリマーを調製することができる。これらのコモノマーは、本明細書で説明される方法により調製することができるか、または、特許文献1、非特許文献1および非特許文献2(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に説明されている方法のような、当該技術分野において既知の方法により調製することができる。
【0046】
下記表3は、上記課題を解決するための手段の項で説明された4つの例示的ポリマー(すなわちポリマー1〜4)を示す。これらのポリマーは、独自の特性を有することができ、かかる特性により光電池の活性層の荷電担体として特に好適となる。ポリマー1〜4は、下記実施例2〜5で説明される方法により得ることができる。
【0049】
一般に、上記課題を解決するための手段の項で説明されたポリマー内の1つのコモノマーは、シラシクロペンタジチオフェンである。シラシクロペンタジチオフェン部分を含有するコポリマーの利点は、その吸収波長が、電磁スペクトルの赤色および近赤外部分(例えば、650〜800nm)の方に移動可能である点にあり、かかる部分は、その他のほとんどのポリマーには利用不可能である。かかるコポリマーを光電気に組み込むと、このスペクトル域の光を光電池が吸収できるようになり、それにより光電池の電流および効率が増す。
【0050】
上記ポリマーは、太陽エネルギー技術分野において有用であることができる。その理由は、バンドギャップが、光電池(例えば、ポリマー−フラーレン電池)のためにほぼ理想的であるためである。ポリマーのHOMOレベルは、光電池(例えば、ポリマー−フラー
レン電池)内の電子受容体(例えば、PCBM)のLUMOと比べて正確に位置づけることができ、高い電池電圧が可能となる。ポリマーのLUMOは、光電池内の電子受容体の伝導バンドと比べて正確に位置づけることができ、それにより電子が電子受容体に効率的に移動するようになる。例えば、バンドギャップが約1.4〜1.6eVのポリマーを使用すると、電池電圧が著しく高まる。電池性能、特に効率は、光電流の増大と電池電圧の増大との両方から利益を得ることができ、15%効率に近づき、それを超えることさえできる。ポリマーの正電荷易動度は、相対的に高く、およそ10
−4〜10
−1cm
2/Vsの範囲であることができる。一般に、相対的に高い正電荷易動度は、相対的に速い電荷分離を可能にする。また、ポリマーは、有機溶媒可溶性および成膜性、もしくはそのいずれかでもあることができる。さらに、ポリマーは光学的に非散乱性であることができる。
【0051】
電子受容体材料および電子供与体材料以外の、光電池の構成要素は、特許文献2に説明されている構成要素のように、当該技術分野では既知であり、かかる出願の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、1つの共通電極を2つの光電池が共有するシステム内の電子供与体材料または電子受容体材料として、上記ポリマーを使用することができる。かかるシステムは、直列光電池という別名でも知られる。直列光電池の実施例は、2005年11月29日出願の特許文献3で考察されており、かかる出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
一例として
図2は、直列光電池200の概略図であり、基板210と、3つの電極220、240および260と、2つの光活性層230および250とを有している。電極240は、光活性層230と250との間で共有されており、電極220および260と電気的に接続している。一般に、電極220、240および260は、特許文献2に説明されている材料のような導電性材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上(すなわち1つ、2つまたは3つ)の電極220、240および260がメッシュ電極である。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極220、240および260が半導体材料で形成される。半導体材料の実施例は、酸化チタン、酸化インジウムスズ、フッ素化酸化スズ、酸化スズおよび酸化亜鉛を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上(すなわち1つ、2つまたは3つ)の電極220、240および260が二酸化チタンで形成される。電極を調製するために使用される二酸化チタンは、好適ないずれの形態でもあることができる。例えば、二酸化チタンは、相互に接続したナノ粒子の形態であることができる。相互に接続した二酸化チタンナノ粒子の実施例は、例えば、特許文献4に説明されており、かかる特許の内容が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、電極220、240および260の少なくとも1つ(例えば、1つ、2つまたは3つ)が透明電極である。本明細書で言及する場合、透明電極とは、光電池の作動中に使用される波長または波長範囲の入射光を、光電池に使用される厚さで、少なくとも約60%(例えば、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)透過する材料で形成された電極である。ある特定の実施形態では、電極220および260の両方が透明電極である。
【0054】
光活性層230および250は各々、少なくとも1つの半導体材料を含有することができる。いくつかの実施形態では、光活性層230内の半導体材料が、光活性層250内の半導体材料と同じバンドギャップを有する。ある特定の実施形態では、光活性層230内の半導体材料が、光活性層250内の半導体材料とは異なるバンドギャップを有する。理論に縛られるつもりはないが、一方の光活性層が吸収しなかった入射光を、他方の光活性層が吸収することができ、それにより、入射光の吸収が最大になると考えられている。
いくつかの実施形態では、光活性層230および250の少なくとも一方が、電子受容体材料(例えば、PCBMまたは上記ポリマー)と、電子供与体材料(例えば、上記ポリマ
ー)とを含有することができる。一般に、好適な電子受容体材料および電子供与体材料は、上記の通りであることができる。ある特定の実施形態では、光活性層230および250が各々、電子受容体材料と電子供与体材料とを含有する。
【0055】
基板210は、特許文献2に説明されているポリマーのような、1つ以上の好適なポリマーで形成することができる。いくつかの実施形態では、追加の基板(
図2には示されていない)を、電極260上に配置することができる。
【0056】
光電池200は、特許文献2説明されている層のような、正孔担体層(
図2には示されていない)および正孔阻止層(
図2には示されていない)をさらに含有することができる。
【0057】
上記では光電池について説明してきたが、いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるポリマーを、その他の素子およびシステムに使用することができる。例えば、電界効果トランジスタ、光検出器(例えば、赤外光検出器)、光起電力検出器、撮像素子(例えば、カメラまたは医用画像撮影システムのRGB撮像素子)、発光ダイオード(LED)(例えば、有機LED、または赤外もしくは近赤外LED)、レーザー素子、変換層(例えば、可視発光を赤外発光に変換する層)、電気通信用の増幅器兼放射器(例えば、ファイバ用ドープ剤)、記憶素子(例えば、ホログラフィック記憶素子)、並びにエレクトロクロミック素子(例えば、エレクトロクロミックディスプレイ)のような好適な有機半導体素子に、これらのポリマーを使用することができる。
【0058】
以下の実施例は、例示的なものであり、限定を意図するものではない。
(実施例1)ビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンの合成
【0060】
0.638g(1.76ミリモル)の3,3’−ジ−n−ヘキシルシリレン−2,2’−ジチオフェン(非特許文献3に説明されている手順に従って調製され、かかる文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる)を、新たに蒸留した20mLの無水THFに溶解させた。この溶液を15分間、窒素でパージし、−78°Cに降温した。4.00mLのn−ブチルリチウムをヘキサン(10ミリモル)に加えたものを、この溶液に滴下で加えた。この溶液を、この温度で2時間放置し反応させた。その後、室温まで溶液を昇温し、さらに2時間半放置し反応させた。その後、−78°Cまで溶液を降温した後、12.00mL(12.00ミリモル)の塩化トリメチルスズをヘキサンに加えたものを、この溶液に滴下で加えた。この反応溶液を、−78°Cでさらに2時間撹拌した。その後、室温まで溶液を昇温し、さらに16時間放置し反応させた。反応が完了し次第、100mLの蒸留水を加え、トルエン(3×60mL)を用いて溶液を抽出した。一体化した有機相を、蒸留水(3×150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空下で回転
蒸発させて有機溶媒を除去した。残渣を、トリエンに溶解させ、トリエチルアミンで前処理されたシリカゲルパッドをすばやく通過させた。真空下で有機溶媒を除去して、標題化合物(1.048g)を得た。収率は約86.50%であった。CDCl
3内の
1H NMR:7.00(m,2H)、1.25〜1.42(m,16H)、0.86〜0.94(m,10H)および0.38(m,18H)。
【0061】
(実施例2)ビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、4,7−ジブロモ−2,13−ベンゾチアジアゾールとの重合
【0063】
0.353g(0.513ミリモル)のビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、0.135g(0.500ミリモル)(モノマー比=1.025)の4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾールとを、12mLの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120°Cまで溶液を加熱し、40時間放置し反応させた。反応が完了し次第、回転蒸発させて溶媒を除去した。結果として生じた残渣を、約30mLのクロロベンゼンに溶解させた。このクロロベンゼン溶液を、600mLのメタノールに注入した後、それに伴って得られた濃青色の沈殿物(粗ポリマー生成物)を、濾過により回収した。回収した固体を、加熱中の約40mLのクロロベンゼンに再溶解させた。このクロロベンゼン溶液を、0.45μ膜で濾過し、600mLのメタノールに注入した。それに伴って得られた暗青色のポリマー生成物を、濾過により回収した後、メタノール(3×100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0064】
乾燥させたポリマー生成物を、60mLの高温のクロロベンゼンに再溶解させ、60mLの7.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(DDC)水溶液に注入した。この溶液を15分間、窒素でパージした。それに伴って得られた二相混合溶液を、約80°Cで加熱し、窒素下で15時間、激しく撹拌した。有機相を、高温の蒸留水(3×60mL)で洗浄した後、800mLのメタノールにゆっくりと注入した。沈殿物を濾過により回収した。回収したポリマー生成物をまず、ソックスレー抽出器にかけ、アセトンおよびメタノールで各々12時間抽出した。その後、ポリマー生成物を回収し乾燥させた。ポリマー生成物の分子量分布を、HPLCを用いてGPCカラムにより、ポリスチレンを基準として分析した(HPLC計器:アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies.)製、型番1090M。HPLCカラム:PLゲル10M混合B。使用溶媒:クロロベンゼン)。分子量分布の測定値は次の通りである。M
n=4,
000およびM
w=5,000。λ
max.(nm)(クロロベンゼン内)=641nm。λ
max.(nm)(薄膜)=673nm。
【0065】
HOMO(eV)=−5.47(電気化学測定による)、LUMO(eV)=−3.69(電気化学測定による)、およびバンドギャップ値1.78eV(電子化学測定結果からの計算値)。
【0066】
(実施例3)ビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、3−ヘキシル−2,5−ジブロモ−チオフェンとの重合
【0068】
0.353g(0.513ミリモル)のビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、0.163g(0.500ミリモル)(モノマー比=1.025)の3−ヘキシル−2,5−ジブロモチオフェンとを、12mLの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120°Cまで溶液を加熱し、40時間放置し反応させた。反応が完了し次第、回転蒸発させて溶媒を除去した。結果として生じた残渣を、メタノール(50mL×3)で洗浄し、その後、アセトン(3×50mL)で洗浄した。ポリマー生成物の残渣を、暗赤色〜紫色の固体として回収した。回収したポリマー生成物を、加熱下で約60mLのクロロホルムに再溶解させた。このクロロホルム溶液を0.45μ膜で濾過した後、真空下で回転蒸発させて溶媒を除去した。その後、真空下でポリマー生成物を乾燥させた。
【0069】
乾燥させたポリマー生成物を、60mLの高温のトルエンに再溶解させた。この溶液を、60mLの7.5%DDC水溶液に注入した。この溶液を15分間、窒素でパージした。それに伴って得られた二相混合溶液を、約80°Cで加熱し、窒素保護下で12時間、激しく撹拌した。その後、有機相を、高温の蒸留水(3×60mL)で洗浄した後、有機相を回収し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を除去して、固形のポリマー生成物を得た。固形のポリマー生成物を、ソックスレー抽出器にかけ、メタノールおよびアセトンで各々12時間、順次抽出した。最後に、ポリマー生成物を回収し乾燥させた。ポリマーの分子量分布を、HPLCを用いてGPCカラムにより、ポリスチレンを基準とし
て分析した(HPLC計器:アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies.)製、型番1090M。HPLCカラム:PLゲル10M混合B。使用溶媒:クロロベンゼン)。分子量分布の測定値は次の通りである。M
n=10,000およびM
w=13,500。λ
max.(nm)(クロロベンゼン内)=501nm。λ
max.(nm)(薄膜)=503nm。
【0070】
(実施例4)ビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、4,7−ジブロモ−2,13−ベンゾチアジアゾールと、3−ヘキシル−2,5−ジブロモ−チオフェンとの重合
【0072】
0.310g(0.450ミリモル)のビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、0.068g(0.225ミリモル)(モノマー比=1.025)の4,7−ジブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾールと、0.073g(0.225ミリモル)の3−ヘキシル−2,5−ジブロモチオフェン(モノマー比=2:1:1)とを、12mLの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120°Cまで溶液を加熱し、40時間放置し反応させた。反応が完了し次第、回転蒸発させて溶媒を除去した。結果として生じた残渣を、約30mLのクロロベンゼンに溶解させた。この溶液を、600mLのメタノールに注入した後、濃青色〜黒色の沈殿物を濾過により回収した。その後、回収した固体のポリマー生成物を、加熱下で約40mLのクロロベンゼンに再溶解させた。このクロロベンゼン溶液を、0.45μ膜で濾過した後、600mLのメタノールに注入した。暗青色〜黒色のポリマー生成物を濾過により再回収した。固体のポリマー生成物を、メタノール(3×100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0073】
乾燥させたポリマー生成物を、60mLの高温のクロロベンゼンに再溶解させ、60mLの7.5%DDC水溶液に注入した。この溶液を15分間、窒素でパージした。それに伴って得られた二相混合溶液を、約80°Cで加熱し、窒素保護下で15時間、激しく撹拌した。その後、有機相を、高温の蒸留水(3×60mL)で洗浄した。クロロベンゼン溶液を、800mLのメタノールにゆっくりと注入した後、それに伴って得られた沈殿物を濾過により回収した。回収した固体のポリマー生成物を、ソックスレー抽出器に掛け、アセトンおよびメタノールで各々12時間、順次抽出した。その後、ポリマー生成物を回収し乾燥させた。ポリマーの分子量分布を、HPLCを用いてGPCカラムにより、ポリスチレンを基準として分析した(HPLC計器:アジレント・テクノロジー社(Agil
ent Technologies.)製、型番1090M。HPLCカラム:PLゲル10M混合B。使用溶媒:クロロベンゼン)。分子量分布の測定値は次の通りである。M
n=7,500およびM
w=10,400。λ
max.(nm)(クロロベンゼン内)=595nm。λ
max.(nm)(薄膜)=649nm。
【0074】
(実施例5)ビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、5,5’−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)−4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾールとの重合
【0076】
100mLのシュレンク・フラスコに、0.045g(0.0654ミリモル)のビス−(5,5’−トリメチルスタンニル)−3,3’−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2’−ジチオフェンと、0.043g(0.0654ミリモル)の5,5’−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)−4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビチアゾールと、1.0mg(0.00109ミリモル)のPd
2dba
3と、2.0mg(0.0076ミリモル)のPPh
3とを充填した。フラスコを、アルゴンで3回排気し再充填した。3mLのo−キシレンに固体を溶解させ、この溶液を24時間、95°Cに加熱した。その後、溶液を、降温し、撹拌されている500mLのMeOHに注入し濾過した。それに伴って得られた黒色の沈殿物を、MeOHで洗浄し、真空下で乾燥させて、褐色の固体(0.069g)を得た。Mn=3.7kDa。Mw=4.6kDa。
【0077】
(実施例6)太陽電池の製作
ポリマー1および2を使用して、次のように、ガラス/ITO基板上で太陽電池を製作した。すなわち、ITO上でのイソプロパノール溶液のドクターブレーディングにより、電子阻止層として使用するPEDOT(バイトロンPH)層を得た。引き続き、PEDOT層を焼き固めて、その耐溶媒性を向上させた。その後、試験ポリマー(すなわちポリマー1または2)とPCBMとの重量比1:1での混合物をCHCl
3またはo−ジクロロベンゼンに加えたものである活性層を、PEDOT層の上部に塗布した。LiF/アルミニウム二重層の高真空蒸着により上部電極を塗布することにより、素子を完成させた。ケースレー社(Keithley)製SMU2400型ソースメジャーユニットを用いて、素子の電流密度−電圧(J−V)特性を窒素雰囲気下で評価した。オリエル(Oriel)社製太陽光シミュレータからの濾波キセノン灯光を使用して、0.1W/cm
2のAM1.5Gスペクトルに近づけた。結果から、ポリマー1または2により形成された膜がピンホールを含むこと、および、ポリマー1または2を含有する太陽電池が0.7%以下の効率を有することが示される。
【0078】
その他の実施形態は、特許請求の範囲に示されている。