特許第5773571号(P5773571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773571
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】基礎部の配管構造及び基礎部の配管工法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/122 20060101AFI20150813BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20150813BHJP
   E03F 3/06 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   E03C1/122 Z
   E03F3/04
   E03F3/06
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-64028(P2010-64028)
(22)【出願日】2010年3月19日
(65)【公開番号】特開2011-26945(P2011-26945A)
(43)【公開日】2011年2月10日
【審査請求日】2012年12月10日
(31)【優先権主張番号】特願2009-103881(P2009-103881)
(32)【優先日】2009年4月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-156638(P2009-156638)
(32)【優先日】2009年7月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松永 光
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−274620(JP,A)
【文献】 特開2008−050839(JP,A)
【文献】 特開2004−270396(JP,A)
【文献】 特開2003−321883(JP,A)
【文献】 特開2003−082726(JP,A)
【文献】 特開2002−294727(JP,A)
【文献】 実開平07−001189(JP,U)
【文献】 実開昭61−018517(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12− 1/33
E04B 1/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎部を構成するコンクリートを貫通するさや管と、前記さや管に挿通される可撓性の配管と、を備える基礎部の配管構造であって、
前記さや管の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、前記さや管の内面と前記配管の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置され、
該内防蟻部材が、防蟻成分を含有する防蟻パッキンであり、
該防蟻パッキンは、弾性材料により円環状に形成され、先端外面にテーパ面が設けられて、前記可撓性の配管と前記さや管との間に押し込められるものであることを特徴とする基礎部の配管構造。
【請求項2】
建物の基礎部を構成するコンクリートを貫通するブロー成形によって形成されたさや管と、前記さや管に挿通される可撓性の配管と、を備える基礎部の配管構造であって、
前記さや管の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、前記さや管の内面と前記配管の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置され、
該内防蟻部材が、防蟻成分を含有する防蟻パッキンであり、
該防蟻パッキンは、先端外面にテーパ面が設けられ、
前記さや管の外面には、前記外防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻テープが貼設されることを特徴とする基礎部の配管構造。
【請求項3】
前記防蟻テープは、非加硫型粘着塑性体であり、該非加硫型粘着塑性体は、基礎部を構成する前記コンクリートと反応して一体化するものであることを特徴とする請求項2に記載の基礎部の配管構造。
【請求項4】
前記防蟻テープの少なくとも片面の離型紙は、ミシン目が設けられ、又は一定方向に裂けやすく形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の基礎部の配管構造。
【請求項5】
建物の基礎部を構成するコンクリートを貫通するさや管と、前記さや管に挿通される配管と、を備える基礎部の配管構造であって、
前記さや管の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、前記さや管の内面と前記配管の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置され、
該内防蟻部材が、防蟻成分を含有する防蟻パッキンであり、
該防蟻パッキンは、弾性材料により円環状に形成され、内面に前記配管の端部が当接するよう前記防蟻パッキンの内径を大きくした段差部が設けられ、先端外面にテーパ面が設けられ、
前記外防蟻部材は、前記基礎部を構成する前記コンクリートの上に突出する部分を有するように配置されることを特徴とする基礎部の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎部の配管構造及び基礎部の配管工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建住宅では、トイレや流し台などの排水器具から屋外の宅地マスへ排水するために、建物の基礎部のコンクリートに排水管を直接に埋設することが行われていた。
【0003】
一方、平成12年6月施行の「住宅の品質確保促進法」の維持管理容易性能に関する評価方法基準には、「専用配管は、壁、床、柱又は梁の貫通部を除き、コンクリート内に埋め込まれていないこと」、「戸建住宅においては、地中埋設管が、建物の構造体、スラブ下またはコンクリートのべた基礎内に埋め込まれていないこと」が定められた。
【0004】
このような課題を解決するために、例えば特許文献1では、さや管が水平部と立上がり部とを備えており、さや管とフレキシブル管との隙間がさや管の建物外側の端部で防水状態にされている建物の排水管配管構造が開示されている。
【0005】
この構成によれば、上記評価方法基準を満足し、住宅を傷めることなく、排水管の点検や清掃、部分的な補修や排水管全体の交換等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3595761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した特許文献1の構造は、維持管理・更新の容易化などを実現する一方で、シロアリの侵入を防止する防蟻性能に格別に配慮したものではなかった。
【0008】
そこで、本発明は、防蟻性能を有する基礎部の配管構造と、基礎部の配管工法と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の基礎部の配管構造は、建物の基礎部を構成するコンクリートを貫通するさや管と、前記さや管に挿通される可撓性の配管と、を備える基礎部の配管構造であって、前記さや管の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、前記さや管の内面と前記配管の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置されることを特徴とする。
さらに、該内防蟻部材が、防蟻成分を含有する防蟻パッキンであり、該防蟻パッキンは、弾性材料により円環状に形成され、先端外面にテーパ面が設けられて、前記可撓性の配管と前記さや管との間に押し込められるものであることを特徴とする。
【0010】
また、前記さや管の外面には、前記外防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻テープが貼設される構成とすることができる。
【0013】
前記防蟻テープは、非加硫型粘着塑性体であり、該非加硫型粘着塑性体は、基礎部を構成する前記コンクリートと反応して一体化するものであることが好ましい。
【0014】
さらに、前記防蟻テープの少なくとも片面の離型紙は、ミシン目が設けられ、又は一定方向に裂けやすく形成されることが好ましい。
【0015】
そして、前記外防蟻部材は、基礎部を構成する前記コンクリートの上に突出する部分を有するように配置されることが好ましい。
【0017】
そして、本発明の基礎部の配管工法は、建物の基礎部を構成するコンクリートにさや管を貫通させて埋設し、前記さや管に配管を挿通させる基礎部の配管工法であって、前記さや管の外面に防蟻処理された外防蟻部材を設置する外防蟻工程と、前記さや管を前記コンクリートの型枠内に設置するさや管設置工程と、前記コンクリートを前記型枠内に打設するコンクリート打設工程と、前記さや管に前記配管を挿通させる配管挿通工程と、前記さや管の内面と前記配管の外面の間に防蟻処理された内防蟻部材を設置する内防蟻工程と、を備え、該内防蟻工程が、内防蟻部材として、防蟻成分を含有する防蟻パッキンを用いると共に、該防蟻パッキンを、先端外面に設けたテーパ面によって、さや管の内径寸法のばらつきを吸収しつつ設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明の基礎部の配管構造は、さや管の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、さや管の内面と配管の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置される。
【0019】
このため、さや管の外面とコンクリートの間は外防蟻部材によってシロアリの侵入が防止され、さや管の内面と配管の外面の間は内防蟻部材によってシロアリの侵入が防止される。したがって、基礎部の配管構造を通じた建物内へのシロアリの侵入を防止できる。
さらに、さや管の内面と可撓性の配管の外面の間に、内防蟻部材として防蟻成分を含有し、弾性材料による円環状をして先端外面にテーパ面を有する防蟻パッキンが押し込められるように嵌合されることで、従来と略同様の簡易な方法によってさや管の内面と配管の外面の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0020】
また、さや管の外面には、外防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻テープが貼設されることで、簡易な方法によってさや管の外面とコンクリートの間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0021】
さらに、さや管の内面と配管の外面の間には、内防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻パッキンが嵌合されることで、従来と略同様の簡易な方法によってさや管の内面と配管の外面の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0023】
また、防蟻テープは、基礎部を構成するコンクリートと反応して一体化する非加硫型粘着塑性体であることで、さや管の外面とコンクリートの間に隙間が生じることがなくなり、確実な防蟻性能を得ることができる。
【0024】
さらに、防蟻テープの少なくとも片面の離型紙は、ミシン目が設けられ、又は一定方向に裂けやすく形成されることで、防蟻テープとホルダの位置が重なってもホルダの両側の離型紙を分割してはがせるようになる。
【0025】
そして、外防蟻部材は、基礎部を構成するコンクリートの上に突出する部分を有するように配置されることで、コンクリートを打設した後でも外防蟻部材が設置されていることを確認できる。
【0027】
そして、本発明の基礎部の配管工法は、さや管の外面に防蟻処理された外防蟻部材を設置する外防蟻工程と、さや管をコンクリートの型枠内に設置するさや管設置工程と、コンクリートを型枠内に打設するコンクリート打設工程と、さや管に配管を挿通させる配管挿通工程と、さや管の内面と配管の外面の間に防蟻処理された内防蟻部材を設置する内防蟻工程と、によって構成される。
【0028】
このため、建物の基礎部のコンクリートにさや管を貫通させて埋設し、さや管に配管を挿通させる従来の基礎部の配管工法と略同様の工程によって、防蟻性能と維持管理容易性能の両方を兼ね備えた基礎部の配管構造を構築できる。
また、さや管の内面と配管の外面の間に、内防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻パッキンが嵌合されることで、従来と略同様の簡易な方法によってさや管の内面と配管の外面の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
さらに、防蟻パッキンが、先端外面にテーパ面を有することによって、さや管の内径寸法のばらつきを吸収しつつ設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例1の基礎部の配管構造の構成を説明する断面図である。
図2】配管システム全体の構成を説明するブロック図である。
図3】実施例1の基礎部の配管構造の構成を分解して説明する分解斜視図である。
図4】防蟻パッキンの構成を説明する断面図である。(a)は内面に段差を設けない場合、(b)は内面に段差を設ける場合である。
図5】実施例2の基礎部の配管構造の構成を説明する断面図である。
図6】実施例3の基礎部の配管構造の構成を説明する断面図である。
図7】さや管に防蟻テープを貼り付けた状態を示した側面図である。
図8】防蟻テープの一部の離型紙を剥がした状態を示した側面図である。
図9】実施例4の排水管の全体構成を説明する斜視図である。
図10】実施例4の排水管の接着受口の構成を説明する断面図である。(a)は四角形断面の場合であり、(b)はテーパ状断面の場合である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0031】
まず、図2を用いて本発明の基礎部の配管構造Cを備える配管システムSの全体構成を説明する。
【0032】
本発明の配管システムSは、排水系統として構成されており、図2に示すように、トイレ、洗面化粧台、浴室、洗濯機受パン、台所の流し台などの排水を生じる排水器具71,・・・と、この排水器具71と宅地マス73とを接続する排水管72と、排水管72を介して排水器具と接続されて排水を受容する宅地マス73と、宅地マス73の下流側に接続される公共マス74と、宅地マス73どうしと公共マス74を接続する排水管75と、を備えている。
【0033】
宅地マス73は、排水管72,75の点検や清掃などを目的として設置されるもので、樹脂やコンクリートなどによって容器状に形成されて、地中に埋設される排水管72,75の起点、分岐点、合流点、屈曲点、落差点などに配置される。
【0034】
公共マス74は、点検や清掃の他、公共下水道と宅内の排水系統とを接続するために設置されるもので、樹脂やコンクリートなどによって容器状に形成されて、最下流の宅地マス73の下流側に配置されている。
【0035】
そして、本実施例の配管としての排水管72は、図1,3に示すように、建物の基礎部を構成するコンクリート中に埋設されて貫通するさや管2に挿通されており、さや管2と排水管72などによって基礎部の配管構造Cが形成されている。
【0036】
この基礎部の配管構造Cは、上記したさや管2及び配管としての排水管72と、さや管2の外面に設置される外防蟻部材としての防蟻テープ40と、さや管2の内面と排水管72の外面の間に設置される内防蟻部材としての防蟻パッキン50と、を備えている。
【0037】
このさや管2は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって途中で緩やかなL字状に屈曲した筒状に形成されるもので、水平部21とこの水平部21から斜め45度に立ち上がる立上がり部22とを一体に備えて、基礎部を構成するコンクリート10を貫通するように埋設されている。
【0038】
なお、このさや管2は、ベタ基礎のスラブが厚い場合などには、水平部21と水平部21から略垂直に立ち上がる立上がり部(不図示)とを一体に備えて略直角のL字状に屈曲するものであってもよい。
【0039】
さらに、配管としての排水管72は、屈曲したさや管2に挿通される部分である内面平滑の可撓管(フレキシブル管)である排水管31と、その他の部分である塩化ビニル樹脂の排水管32,33と、によって構成されている。
【0040】
この可撓管である排水管31は、ポリエチレン樹脂製で可撓性を有する長尺円筒状の基材部分と、外面に形成される補強用のリブ部分と、を備えており、所定の屈曲性能(可撓性能)と所定の強度性能を併せ持っている。加えて両端部には塩ビ管の接着受口が一体化されている。
【0041】
このように、さや管2と排水管31は分離されているため、排水管31の交換などのメンテナンスの際には、さや管2を撤去することなく内部に挿入された排水管31のみを抜き取って挿し替えることができる。
【0042】
さらに、外防蟻部材としての防蟻テープ40は、ブチルゴムを用いた薄い板状の非加硫型粘着塑性体であり、さや管2の床下側の端部近傍の外周に貼設されている。
【0043】
この防蟻テープ40は、生コンクリートの水和反応が進行するにしたがって生コンクリートと接着する性質を有している。つまり、ブチルゴムの活性基とセメント中の金属酸化イオンがイオン反応をおこして化学的に結合する。
【0044】
加えて、この防蟻テープ40はゴムを基材としているため、衝撃に対する緩衝性とコンクリートの温度変化などに起因する膨張収縮に対する追従性を備えている。
【0045】
そして、本発明の防蟻テープ40には、防蟻処理として微量(例えば0.4〜1.0wt%)の防蟻剤が添加されている。この防蟻剤としては、ホウ酸などの無機化合物系、有機塩素系、カーバメート系、有機リン系、合成ピレス系、ネオニコチノイド系など、シロアリが嫌う成分であればどのようなものでもよい。
【0046】
また、内防蟻部材としての防蟻パッキン50は、SBRなどの合成ゴムの弾性材料によって円環状に形成されるもので、さや管2の屋外側の端部に嵌め込まれている。
【0047】
さらに、防蟻パッキン50は、図4(a)に示すように、さや管2と排水管31の間に隙間なく嵌合するように、外径がさや管2の内径よりもやや大きく形成されるとともに外面にテーパ面501が設けられ、内径が排水管31の外径よりやや小さく形成されている。つまり、さや管2はブロー成形で加工されて、内径寸法のばらつきが大きいので、テーパ面501でばらつきを吸収するようになっている。
【0048】
そして、防蟻パッキン50には、防蟻処理としてホウ酸などのシロアリが嫌う成分である防蟻剤(0.4wt%)が添加されている。
【0049】
なお、防蟻パッキン50の断面形状としては、図4(b)の防蟻パッキン50Aのように、さや管2内に挿入された排水管31の端面と当接するように、内面502に段差部503を設けて内径の大きい内面504を形成すれば、さや管2の水平部の管中心と排水管31の管中心が一致し、さや管2内への排水管31の挿通がし易く、止水性も確実となる。
【0050】
次に、本実施例の基礎部の配管工法について説明する。
【0051】
まず、あらかじめ、さや管2の床下側の端部近傍の外面に、防蟻処理された外防蟻部材としての防蟻テープ40を貼設する(外防蟻工程)。すなわち、防蟻テープ40の剥離紙を剥がして、露出した粘着面をさや管2の全周に隙間なく密着させる。
【0052】
つづいて、基礎部を構成するコンクリート10の型枠内に、ホルダ23を用いてさや管2を設置する(さや管設置工程)。すなわち、コンクリート10内に配置された鉄筋11にホルダ23の鉄筋嵌合部231を嵌め込み、保持部232にさや管2を嵌め込んで位置を固定する。
【0053】
次に、流動して硬化する前の状態のコンクリート10をさや管2が配置された型枠内に打設する(コンクリート打設工程)。この際、防蟻テープ40はコンクリート10と化学的に反応して一体化する。
【0054】
その後、時間の経過とともにコンクリート10は硬化し、さや管2はコンクリート10中に埋設された状態で完全に固定される。この硬化の際には、コンクリート10は水和熱によって膨張し、徐々に放熱・冷却されて収縮することになる。
【0055】
そして、さや管2に配管としての排水管31を挿通させる(配管挿通工程)。すなわち、可撓性を有する排水管31を、屈曲しているさや管2内に屈曲させつつ挿入して、床下側から屋外側へ連通させる。
【0056】
最後に、配管挿通工程と略同時に、さや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間に、防蟻処理された内防蟻部材としての防蟻パッキン50を設置する(内防蟻工程)。すなわち、排水管31の屋外側の端部とさや管2の端部の間の円環状に形成された隙間に円環状の防蟻パッキン50を弾性変形させつつ押し込む。そして、両側にその他の排水管32,33を接続して排水系統が完成する。
【0057】
上記したように、外防蟻工程、さや管設置工程、コンクリート打設工程、配管挿通工程、内防蟻工程、を施工していくことで基礎部の配管工法が実行される。
【0058】
次に、本実施例の基礎部の配管構造Cの作用効果について説明する。
【0059】
(1)このように、本発明の基礎部の配管構造Cは、建物の基礎部を構成するコンクリート10に埋設されて貫通するさや管2と、このさや管2に挿通される配管としての排水管31と、を備えている。
【0060】
このように、さや管2と排水管31は分離されているため、排水管31の交換などのメンテナンスの際には、さや管2を撤去することなく内部に挿入された排水管31のみを抜き取って挿し替えることができる。
【0061】
そして、本発明の基礎部の配管構造Cでは、さや管2の外面には防蟻処理された外防蟻部材が設置されるとともに、さや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間には防蟻処理された内防蟻部材が設置される。
【0062】
このため、さや管2の外面とコンクリート10の間は外防蟻部材によってシロアリの侵入が防止され、さや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間は内防蟻部材によってシロアリの侵入が防止される。したがって、基礎部の配管構造Cを通じた建物内へのシロアリの侵入を防止できる。
【0063】
加えて、内防蟻部材が防蟻性だけでなく止水性を有しているので、この内防蟻部材によってシロアリの侵入を防止しつつ、雨水などの浸入をも防止することができる。
【0064】
(2)また、さや管2の外面には、外防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻テープ40が貼設されることで、簡易な方法によってさや管2の外面とコンクリート10の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0065】
加えて、この防蟻テープ40が弾性変形可能に形成されていれば、コンクリート10の膨張・収縮にも追従することができるため、膨張・収縮によって生じる可能性のあるコンクリート10とさや管2との隙間が生じることもなくなり、いっそう防蟻性能を高めることができる。
【0066】
(3)さらに、さや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間には、内防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻パッキン50が嵌合されることで、従来と略同様の簡易な方法によってさや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0067】
つまり、従来からさや管2の内面と排水管31の外面の間には、防水パッキンが設置されていたが、この防水パッキンに防蟻性能を付加することで、従来と略同様の構造・工程で止水性能及び防蟻性能を得ることができる。
【0068】
(4)そして、本発明の基礎部の配管工法は、さや管2の外面に防蟻処理された外防蟻部材を設置する外防蟻工程と、さや管2をコンクリート10の型枠内に設置するさや管設置工程と、コンクリート10を型枠内に打設するコンクリート打設工程と、さや管2に配管としての排水管31を挿通させる配管挿通工程と、さや管2の内面と配管としての排水管31の外面の間に防蟻処理された内防蟻部材を設置する内防蟻工程と、によって構成される。
【0069】
このため、建物の基礎部のコンクリート10にさや管2を貫通させて埋設し、さや管2に排水管31を挿通させる従来の基礎部の配管工法と略同様の工程によって、防蟻性能と維持管理容易性能の両方を兼ね備えた基礎部の配管構造を構築できる。
【0070】
つまり、従来の基礎部の配管工法に加えて、外防蟻工程及び内防蟻工程を追加するだけで、維持管理容易性能に加えて防蟻性能を備えた基礎部の配管構造となる。
【0071】
この場合、外防蟻工程はあらかじめ実施しておくことができるうえに、内防蟻工程は従来の止水工程(止水パッキンを)と略同様の工程であるから、実質的に施工現場における工期が遅延することはない。
【実施例2】
【0072】
以下、図5を用いて、前記実施例とは別の基礎部の配管構造C1について説明する。なお、前記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0073】
まず、構成について説明すると、本実施例の基礎部の配管構造C1は、さや管2及び配管としての給水管34と、さや管2の外面に設置される外防蟻部材としての防蟻テープ40と、さや管2の内面と給水管34の外面の間に設置される内防蟻部材としての防蟻シーリング材60と、さや管2の屋外側の端部において給水管34との間を止水する止水パッキン51と、を備えている。
【0074】
この配管としての給水管34は、架橋ポリエチレンなどの可撓性合成樹脂によって長尺円筒状に形成されるもので、一般に前記実施例1の排水管31より小径になっている。そして、高温領域で安定して使用できる、耐食性に優れ衛生的である、継手なしで曲げ配管できる、などの特性を有している。
【0075】
また、内防蟻部材としての防蟻シーリング材60は、ウレタン系やシリコン系などの合成樹脂によって形成されるもので、さや管2の床下側に設置されたバックアップ材61よりも床下側(屋内側)に充填されている。
【0076】
そして、この防蟻シーリング材60には、防蟻処理としてホウ酸などのシロアリが嫌う成分である防蟻剤が添加されている。
【0077】
また、バックアップ材61は、さや管2と給水管34の隙間を塞いで防蟻シーリング材60を充填するために設置するもので、合成ゴム、合成樹脂、軟質発泡ウレタンなどによって配管の挿通孔を有する円環状に形成される。
【0078】
次に、本実施例の基礎部の配管工法について説明する。
【0079】
本実施例の基礎部の配管工法は、前記実施例1と同様に、外防蟻工程、さや管設置工程、コンクリート打設工程、配管挿通工程、内防蟻工程、を施工していくことで実行される。
【0080】
このうち内防蟻工程では、配管挿通工程と略同時に、さや管2の内面と配管としての給水管34の外面の間に、防蟻処理された内防蟻部材としての防蟻シーリング材60を設置する(内防蟻工程)。すなわち、さや管2内に配置された給水管34にバックアップ材61を嵌め込んで隙間を塞いだ後に、床下側から流動性のある防蟻シーリング材60を充填する。
【0081】
次に、本実施例の基礎部の配管構造C1の作用効果について説明する。
【0082】
(1)本実施例の基礎部の配管構造C1では、さや管2の内面と配管としての給水管34の外面の間には、内防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻シーリング材60が充填されることで、さや管2と給水管34の径が大きく異なる場合や、複数の給水管34を挿通する場合でも、さや管2の内面と給水管34の外面の間を塞いで高い防蟻性能を得ることができる。
【0083】
つまり、さや管2と給水管34の径が大きく異なる場合には、合成ゴム製の止水パッキン51が変形してしまうため、止水パッキン51のみによって給水管34を所定位置に保持することは困難となり、全周に均一な防蟻性能を付与しにくくなる。
【0084】
そこで、バックアップ材61によって隙間を概略封鎖したうえで、防蟻シーリング材60を充填することで、全周に略均一な防蟻性能を付与できるようになる。
【0085】
この場合、一旦硬化した防蟻シーリング材60は、広い面積で給水管34と接して支持するため、この防蟻シーリング材60自体が変形して防蟻性能を損なうことはない。
【0086】
加えて、防蟻シーリング材60とは別個に、さや管2の屋外側の端部近傍に止水パッキン51が設置されているため、止水パッキン51と防蟻シーリング材60によって二重に止水及び防蟻できる。また、止水パッキン51に防蟻剤を添加したものを用いてもよい。
【0087】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施例と略同様であるため説明を省略する。
【実施例3】
【0088】
以下、図6,7,8を用いて、前記実施例とは別の基礎部の配管構造C2について説明する。なお、前記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0089】
まず、構成について説明すると、図6に示すように、本実施例の基礎部の配管構造C2は、さや管2と、配管としての給水管34と、防蟻剤が添加された外防蟻部材としての防蟻テープ40と、防蟻テープ40の外側からさや管2を固定するためのホルダ23と、防蟻剤が添加された内防蟻部材としての防蟻シーリング材60と、給水管34の外面に巻きつけられる弾性テープ62と、を備えている。
【0090】
この配管としての給水管34は、架橋ポリエチレン樹脂によって長尺円筒状に形成されるPE管34bと、このPE管34bを保温するポリエチレンフォームなどの保温材34aと、によって二重構造に構成されている。
【0091】
そして、この保温材34aは、さや管2の屋外側の端面近傍に相当する位置で部分的に切除されており、このPE管34bが露出した部分には後述する防蟻シーリング材60が充填されている。
【0092】
また、外防蟻部材としての防蟻テープ40は、ブチルゴムを用いた薄い板状の非加硫型粘着塑性体であり、さや管2の床下側の端部近傍の外周に、コンクリート10の上に10mm〜20mm突出する部分40cを有するように貼設されている。
【0093】
加えて、この防蟻テープ40は、図7に示すように、片面又は両面の離型紙にミシン目40a(一定間隔の断続的な切り目)が設けられ、又は一定方向に微細な傷痕群が設けられるなどして一定方向に裂けやすく形成されている。
【0094】
なお、本実施例では、この防蟻テープ40が貼設された位置と、固定のためのホルダ23の位置とが重なっており、離型紙の上からホルダ23が嵌め合わされている。
【0095】
また、内防蟻部材としての防蟻シーリング材60は、ウレタン系やシリコン系などの合成樹脂によって形成されるもので、さや管2の屋外側の端面近傍であって保温材34aが取外された部分に充填されている。
【0096】
したがって、この防蟻シーリング材60は、露出したPE管34bの周面と保温材34aが取外された端面とを覆うとともに、保温材34aとPE管34bとのごく薄い隙間を覆って閉塞している。
【0097】
さらに、弾性テープ62は、基材部分が弾性変形する材料によって形成されるもので、片面に粘着剤が塗布されて給水管34の保温材34aの外面に巻きつけられている。
【0098】
そして、給水管34に巻きつけられた弾性テープ62の外径は、さや管2の内径よりやや大きくされており、押圧されて弾性変形した状態でさや管2内に嵌め込まれている。
【0099】
次に、本実施例の基礎部の配管工法について説明する。
【0100】
本実施例の基礎部の配管工法は、前記実施例1,2と同様に、外防蟻工程、さや管設置工程、コンクリート打設工程、配管挿通工程、内防蟻工程、を施工していくことで実行される。
【0101】
このうち、コンクリート打設工程では、さや管2に貼設された防蟻テープ40は、事前に表面の離型紙を剥がしておく必要がある。
【0102】
しかしながら、本実施例では、ホルダ23の位置が防蟻テープ40の位置と重なっており、離型紙の上からホルダ23が嵌め合わされているため、離型紙の全体を一体として剥がすことはできない。
【0103】
そこで、本実施例では、図7に示すように、離型紙に円周方向にミシン目40aが設けられているため、ミシン目40aの位置で離型紙を分割することで部分的に剥がすことができる。
【0104】
すなわち、図8に示すように、まずホルダ23の下側の離型紙を剥がしたうえで、残りの上側の離型紙を剥がすことで、ホルダ23と重なった場合でも離型紙を剥がすことができる。
【0105】
加えて、配管挿通工程では、さや管2の屋外側の端面近傍において、給水管34の保温材34aの上に弾性変形する弾性テープ62が巻きつけられるとともに、保温材34aが部分的に取外される。そして、弾性テープ62を巻かれた給水管34は、屋外側の端部からさや管2内に押圧されつつ押し込まれる。
【0106】
最後に、内防蟻工程では、さや管2の内面とPE管34bの外面の間であって、保温材34aが取外された部分に、この取外された部分を覆うように屋外側から防蟻シーリング材60が充填される。
【0107】
次に、本実施例の基礎部の配管構造C2の作用効果について説明する。
【0108】
(1)本実施例の基礎部の配管構造C2では、防蟻テープ40の少なくとも片面の離型紙は、ミシン目40aが設けられ、又は一定方向に裂けやすく形成されることで、防蟻テープ40とホルダ23の位置が重なってもホルダ23の両側の離型紙を分割してはがせるようになる。
【0109】
(2)そして、外防蟻部材としての防蟻テープ40は、基礎部を構成するコンクリート10の上に突出する部分40cを有するように配置されることで、コンクリート10を打設した後でも防蟻テープ40が設置されていることを確認できる。
【0110】
つまり、防蟻処理は、作業工程により基礎工事者、水道工事者、防蟻施工者などの複数業者に分担されるため管理しにくいが、コンクリート10打設後にも外部から視認できれば分担作業であっても確実に管理できる。
【0111】
(3)また、配管としての給水管34の外面には、弾性テープ62が巻きつけられてさや管2内に押し込まれて固定されるとともに、さや管2の内面と給水管34の外面の間には、内防蟻部材として防蟻成分を含有する防蟻シーリング材60が充填されることで、どのような径の給水管34であってもさや管2内に固定した状態で防蟻シーリング材60を充填できる。
【0112】
つまり、一般に給水・給湯の配管の防蟻処理は、管径や保温材の種類が多いため、定形のパッキンなどを品揃えするとコスト及び作業性の観点から効率が悪くなる。
【0113】
そこで、定形のパッキンではなく、配管に弾性テープ62を巻きつけて、さや管2内に押し込んで固定すれば、弾性テープ62の巻回数を調整することによってさや管2の径と配管の径とに応じて配管を固定できる。
【0114】
(4)さらに、PE管34bが保温材34aによって被覆されている場合、保温材34aは、さや管2の屋外側の端面近傍で部分的に取外され、取外された部分に防蟻シーリング材60が充填されることで、PE管34bと保温材34aとの隙間からシロアリが侵入することを防止できる。
【0115】
つまり、さや管2の屋外側の端面近傍において、保温材34aを縁切りして防蟻シーリング材60によって防蟻処理することで、保温材34aとPE管34bの隙間を通じて屋外からシロアリが侵入することを防止できる。
【実施例4】
【0116】
以下、図9,10を用いて、前記実施例とは別の構造を有する排水管の接着受口37について説明する。なお、前記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0117】
まず、構成について説明すると、本実施例の基礎部の配管構造Cは、図1と同様に、さや管2と、排水管72と、防蟻テープ40と、防蟻パッキン50と、を備えている。
【0118】
また、配管としての排水管72は、内面平滑な可撓管(フレキシブル管)である排水管31と、その他の部分である塩化ビニル樹脂製の排水管32,33と、によって構成されている。
【0119】
さらに、内面平滑な可撓管である排水管31は、図9に示すように、ポリエチレン樹脂製で可撓性を有する長尺円筒状の基材部分35と、外面に形成される補強用のリブ部分36,・・・と、を一体に備えるとともに、両端部に一体化された円筒状の接着受口37,37を備えている。
【0120】
そして、本実施例の接着受口37の一端には、図9に示すように、外周面の周方向に沿って間欠的に所定高さに形成された四角形断面のリブ37aを4つ備えている。
【0121】
このリブ37aは、図10(a)に示すように、四角形断面の短柱を外周面に沿って円弧状に曲げたような形状で接着受口37と一体に形成されるもので、接着受口37の外周面から所定の高さだけ突出している。
【0122】
また、リブ37aの突出高さは、さや管2の内径(直径)と排水管31の外径(直径)の差の半分以下であればよく、排水管31のさや管2への挿通性を良好にしつつ防蟻パッキン50の装着性を向上させる適度の高さに設定する。例えば、さや管の内径が100mmの場合には、リブ37aの突出高さとしては2.5mm程度が好ましい。
【0123】
また、リブの断面形状としては、図10(b)に示すように、端面方向に徐々に高さが減少するテーパ状断面に形成されるものでもよい。このテーパ状断面を有するリブ37bは、テーパ部で排水管31のさや管2への挿通性を良好にしつつ、平坦部でさや管2と排水管31の間に所定高さの隙間を保持するように形成されている。
【0124】
そして、これらのリブ37a,37bの屋外側(端面側)には、環状の防蟻パッキン50が嵌合された状態で突き当てられており、さや管2の内周面と排水管31の外周面の間に形成された環状の隙間を塞いでいる。
【0125】
次に、本実施例の排水管の接着受口37の作用効果について説明する。
【0126】
(1)本実施例の配管としての排水管31は、両端部に一体化された円筒状の接着受口37,37を備えており、このうち屋外側となる一方の接着受口37には、外周面の周方向に沿って間欠的に所定の高さのリブ37aが形成されている。
【0127】
このようにリブ37aを形成することで、さや管2に対する排水管31の挿通性が良好になるうえに、防蟻パッキン50の装着が容易になる。
【0128】
つまり、内面平滑の可撓管である排水管31の径が大きくなると、排水管31自体のコシ(真っ直ぐになろうとする性質)が強くなるため、さや管2に押しつけられて挿入の際の摩擦抵抗が大きくなる。
【0129】
そのうえ、排水管31をさや管2内に挿通した状態では、排水管31は屈曲箇所の外側に強制的に位置することとなり、屋外側の端部ではさや管2内部の下側に位置することとなる。
【0130】
このため、排水管31を手で中央寄りに持ち上げつつ、防蟻パッキン50を嵌め合わすこととなって、防蟻パッキン50の装着に時間がかかってしまう。
【0131】
そこで、接着受口37に間欠的にリブ37aを設けることで、さや管2に対する接触面積を抑えて摩擦を減少させつつ、屋外側の端部で接着受口37を浮かせてさや管2の中央に寄せて防蟻パッキン50の装着を容易にしている。
【0132】
(2)また、リブ形状としては、四角形断面の他に、端面に向かって高さが低くなるようなテーパ状断面とすることで、排水管31をさや管2内に挿通する際にも障害物が引っ掛かることがなくなるため、リブ37bを設けた場合の挿通性を向上させることができる。
【0133】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0134】
例えば、前記実施例1では、防蟻パッキン50が屋外側の端部に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、床下側の端部に配置されるものであってもよいし、さや管2の水平部21や立上がり部22などの途中の部分に配置されるものであってもよい。
【0135】
また、前記実施例2では、防蟻シーリング材60が床下側の端部に充填される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、屋外側の端部に充填されるものであってもよいし、途中の部分に充填されるものであってもよい。
【0136】
さらに、前記実施例2では、防蟻シーリング材60とは別に止水パッキン51を設置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、防蟻シーリング材60に止水性能を持たせる場合には止水パッキン51を配置しなくてもよい。
【0137】
そして、前記実施例1では、配管としての排水管31が可撓性を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、さや管2と排水管31の両方を一定の曲率で屈曲する円弧状に形成すれば、配管として可撓性のない塩化ビニル樹脂のものなどを用いることもできる。
【0138】
また、前記実施例1では防蟻パッキン50を屋外側の端部に1箇所設置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数箇所に防蟻パッキン50を設置してもよい。
【符号の説明】
【0139】
C,C1,C2 基礎部の配管構造
10 コンクリート
2 さや管
31 排水管(配管)
34 給水管(配管)
34a 保温材
34b PE管
37 接着受口
37a,37b リブ
40 防蟻テープ(外防蟻部材)
40a ミシン目
50 防蟻パッキン(内防蟻部材)
60 防蟻シーリング材(内防蟻部材)
62 弾性テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10