特許第5773577号(P5773577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773577
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】パネル受け金具及びパネル受け構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/94 20060101AFI20150813BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   E04B2/94
   E04B1/58 600A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-87215(P2010-87215)
(22)【出願日】2010年4月5日
(65)【公開番号】特開2011-219928(P2011-219928A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2013年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】細内 正紀
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 創一郎
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−263935(JP,A)
【文献】 特開2000−265606(JP,A)
【文献】 実開平03−076914(JP,U)
【文献】 実開平05−014312(JP,U)
【文献】 特開平10−183774(JP,A)
【文献】 特開平10−205100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58−61
E04B 2/88−96
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の構造部材または二次部材に固定された下地材に取り付けられる建築用パネルの重さを受けるためのパネル受け金具であって、
前記下地材に固定される固定部と、
前記固定部に連結され、前記パネルの重さを受けるパネル受け部と、
前記下地材と前記パネルとの間に配置され、前記下地材と前記パネルとの所定の間隔を確保するライナー部と、
を有し、
前記固定部を前記下地材に固定するための固定具を更に有し、
前記固定具は、前記パネルと対向する対向部を有し、
前記対向部は、凸曲面状で、且つ前記ライナー部を構成し、
前記ライナー部は、前記下地材と前記パネルとが対向する領域内に位置することを特徴とするパネル受け金具。
【請求項2】
前記固定具は複数設けられ、複数の前記固定具の前記対向部は全て凸曲面状で、且つ前記ライナー部を構成することを特徴とする請求項1記載のパネル受け金具。
【請求項3】
前記ライナー部は、前記固定部が前記下地材に固定された状態で前記パネル受け部より上側に位置する上側ライナー部と前記パネル受け部より下側に位置する下側ライナー部とを有し、複数の前記対向部のうち、一の前記対向部は前記上側ライナー部を構成し、他の前記対向部は前記下側ライナー部を構成することを特徴とする請求項2記載のパネル受け金具。
【請求項4】
前記固定部は、前記下地材と当接する当接面を有し、
前記固定部と前記パネル受け部とは、連結部を介して連結され、
前記連結部は、前記パネル受け部に連結されるパネル受け支持部と、前記パネル受け支持部と前記固定部とを連結すると共に前記固定部の前記当接面から起立する方向に屈曲する屈曲部と、を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパネル受け金具。
【請求項5】
前記固定部は、前記下地材に当接されると共に滑り止め加工が施された滑り止め面を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパネル受け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の構造部材または二次部材に固定された下地材に取り付けられる建築用パネルの重さを受けるためのパネル受け金具及びパネル受け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術文献として特開2000―265606号公報が知られている。この公報に記載された横壁パネルの取付構造は、躯体に固定されたピースアングル材に対して下地材を縦方向に固定し、下地材には、壁パネルの重量を支持するための水平片と水平片に直交し且つ下地材に当接される起立片とからなるL字状の受け金具を固定する。受け金具の水平片は、隣り合う二つの壁パネルの重量を受け、起立片は、壁パネルと下地材との間に挟み込まれてライナーとして機能する。この取付構造では、隣り合う二つの壁パネルを支持するため、L字状の受け金具は下地材の幅を超える十分な横幅を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―265606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築現場で建築物の構造部材または二次部材に下地材を取り付ける際、壁面面外方向の下地材の出寸法は、比較的精度良く取り付けることが可能であるが、下地材フランジ面の角度を所定の壁面ラインにあわせて精度よく取り付けることは難しい。前述した従来の取付構造では、ライナーとして機能する受け金具の起立片が下地アングル材から横に張り出すように設けられているため、下地アングル材のフランジ面の角度が所定の壁面ラインに対して僅かでもずれると、起立片の両端では更に面外方向の位置ずれが大きくなる。その結果、起立片に当接して位置決めされる壁パネルの面外方向の位置ずれも大きくなり、左右の壁パネル間の目地部に面外方向の目違いが生じ、パネルの建込精度が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、パネルの建込精度の向上を図ることができるパネル受け金具及びパネル受け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、建築物の構造部材または二次部材に固定された下地材に取り付けられる建築用パネルの重さを受けるためのパネル受け金具であって、下地材に固定される固定部と、固定部に連結され、パネルの重さを受けるパネル受け部と、下地材とパネルとの間に配置され、下地材とパネルとの所定の間隔を確保するライナー部と、を有し、固定部を下地材に固定するための固定具を更に有し、固定具は、パネルと対向する対向部を有し、対向部は、凸曲面状で、且つライナー部を構成し、ライナー部は、下地材とパネルとが対向する領域内に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るパネル受け金具によれば、ライナー部によって下地材とパネルとの所定の間隔を確保することができるので、下地材とパネルとの間にライナーとして機能する部材を別に設ける必要がなくなり、パネル受けに関する部材数の削減及び工程の簡略化を図ることができる。しかも、下地材とパネルとが対向する領域内にライナー部が位置しているので、下地材フランジ面の角度が所定の壁面ラインに対して僅かにずれたとしても、ライナー部の壁面面外方向の位置はほとんど変わらないので、パネルの位置ずれを避けることができる。従って、本発明に係るパネル受け金具によれば、パネルの建込精度の向上を図ることができる。
【0008】
更に、上記のパネル受け金具においては、固定具を用いてパネル受け金具を無溶接で下地材に固定することができるので、溶接作業時に必要なスラグの除去や防錆処理などの手間が不要となり、固定作業の簡略化を図ることができる。また、固定具の対向部がライナー部を構成することで、部品点数や構成材料の削減が可能となるので、パネル受け金具の軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0009】
更に、上記のパネル受け金具においては、地震などにより建築物に揺れが生じても、凸曲面状の対向部がパネルに対して摺動することにより、建築物に対するパネルの追従を阻害しないので、ボルトの頭部とパネルとの接触でパネルに欠けが生じることを避けることができる。
【0010】
本発明に係るパネル受け金具においては、固定具は複数設けられ、複数の固定具の対向部は全て凸曲面状で、且つライナー部を構成することができる。
【0011】
本発明に係るパネル受け金具においては、ライナー部は、固定部が下地材に固定された状態でパネル受け部より上側に位置する上側ライナー部とパネル受け部より下側に位置する下側ライナー部とを有し、複数の対向部のうち、一の対向部は上部ライナー部を構成し、他の対向部は下部ライナー部を構成することが好ましい。このような構成によれば、2枚のパネルがパネル受け金具を挟んで上下に配置される場合に、パネル受け部が重さを受ける上側のパネルに加えて、パネル受け部の下側のパネルと下地材との所定の間隔を確保することが可能になる。このことは、下側のパネルと下地材との間にライナーとして機能する部材を別に設けることを不要にするので、下側のパネル取付けに関する部材数の削減及び工程の簡略化を図ることができる。
【0012】
本発明に係るパネル受け金具においては、固定部は、下地材と当接する当接面を有し、固定部とパネル受け部とは、連結部を介して連結され、連結部は、パネル受け部に連結されるパネル受け支持部と、パネル受け支持部と固定部とを連結すると共に固定部の当接面から起立する方向に屈曲する屈曲部と、を有していることが好ましい。
このような構成によれば、下地材に対する固定部の固定を行う際に、下地材を当接面に当接させると共にその端部を屈曲部に突き当てることで、屈曲部をガイドとしたパネル受け金具の位置決めが可能になるので、固定作業を容易にすることができる。
【0013】
本発明に係るパネル受け金具においては、固定部は、下地材に当接されると共に滑り止め加工が施された滑り止め面を有することが好ましい。
この場合、固定部の滑り止め面を下地材に当接させることにより、下地材に対するパネル受け金具の位置を保持しやすくなるので、パネル受け金具の固定作業を容易にすることができる。
【0015】
本発明は、上述のパネル受け金具を用いて建築用パネルの重さを受けるパネル受け構造であって、固定部は下地材に固定され、パネル受け部はパネルの重さを受け、ライナー部は下地材とパネルとの間に配置され、下地材とパネルとの所定の間隔を確保することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るパネル受け構造によれば、ライナー部によって下地材とパネルとの所定の間隔を確保することができるので、下地材とパネルとの間にライナーとして機能する部材を別に設ける必要がなくなり、パネル受けに関する部材数の削減及び工程の簡略化を図ることができる。しかも、下地材とパネルとが対向する領域内にライナー部が位置しているので、下地材フランジ面の角度が所定の壁面ラインに対して僅かにずれたとしても、ライナー部の壁面面外方向の位置はほとんど変わらないので、パネルの位置ずれを避けることができる。従って、本発明に係るパネル受け金具によれば、パネルの建込精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パネルの建込精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係るパネル受け金具及びパネル受け構造を示す正面図である。
図2図1のII―II線に沿った断面図である。
図3図1のIII―III線に沿った断面図である。
図4】建築物の中間通り部分におけるパネル受け構造を示す平面図である。
図5】建築物の出隅部分におけるパネル受け構造を示す平面図である。
図6】第2の実施形態に係るパネル受け金具及びパネル受け構造を示す正面図である。
図7図6のVII―VII線に沿った断面図である。
図8図6のVIII―VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るパネル受け金具及びパネル受け構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面に示すように、X軸及びY軸は水平面上で互いに90度をなし、鉛直方向をZ軸方向と定め、以下必要な場合にX軸、Y軸、Z軸を用いる。また、各図において同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1図3に示されるように、第1の実施形態に係るパネル受け構造は、建築物の(構造部材または二次部材)Kに、U字形状の下地材取付用金具Nを介して固定されたL字アングル材(下地材)20に取り付けられる建築用のパネルPの重さを受けるためのものであり、L字アングル材20に固定されたパネル受け金具1を備えている。L字アングル材(下地材)20が取り付けられる(構造部材や二次部材)Kは、一般的には角形鋼管やH形鋼を使用した柱や間柱などである。
【0021】
パネル受け金具1は、L字アングル材20に固定される固定部2と、パネルPの重さを受けるパネル受け部3と、固定部2及びパネル受け部3を連結する連結部4と、L字アングル材20に固定部2を固定するためのボルト(固定具)5,6及びナット(固定具)7,8と、を備えている。固定部2、パネル受け部3、及び連結部4は、一枚の金属板から一体に形成されている。
【0022】
L字アングル材20は、下地材取付用金具Nに対して、Z軸方向に延在するように溶接された長尺の部材である。L字アングル材20は、Y軸に平行な面を有する第1の長片21とX軸に平行な面を有する第2の長片22とからL字状に構成されている。L字アングル材20の第1の長片21は、下地材取付用金具Nに固定されており、下地材取付用金具Nと反対側に突出する第2の長片22はパネルPと対向するフランジ面22aを形成している。また、第2の長片22には、パネル受け金具1の固定部2をボルト止めするための孔部23,24が設けられている。
【0023】
パネル受け金具1の固定部2は、L字アングル材20に固定される長方形板状の部位である。固定部2は、その長手方向がZ軸方向と一致するようにL字アングル材20に対して固定される。
【0024】
固定部2は、上側固定部9と下側固定部10とに分けられる。上側固定部9は、パネル受け部3より上側に位置しており、下側固定部10は、パネル受け部3より下側に位置している。上側固定部9及び下側固定部10には、L字アングル材20にパネル受け金具1をボルト止めするための孔部11,12がそれぞれ形成されている。
【0025】
ボルト5,6及びナット7,8は、L字アングル材20に固定部2を固定するためのものである。ボルト5,6は、いわゆる丸頭ボルトであり、その頭部(対向部)5a,6aは凸曲面状の形状を有している。パネル受け金具1は、固定部2の一方の主面(当接面)2aがL字アングル材20の第2の長片22の内面22bに当接された状態で、ボルト5,6及びナット7,8によりL字アングル材20にボルト止めされている。
【0026】
具体的には、ボルト5は、その軸部5bがパネルP側から第2の長片22の孔部23、及び上側固定部9の孔部11に挿し込まれており、孔部11から突出した軸部5bにナット7が締められることによって上側固定部9と第2の長片22とが固定される。同様に、ボルト6は、その軸部6bがパネルP側から第2の長片22の孔部24、及び下側固定部10の孔部12に挿し込まれており、孔部12から突出した軸部6bにナット8が締められることによって下側固定部10と第2の長片22とが固定される。固定後のボルト5,6の頭部5a,6aは、パネルPと対向している。このように、ボルト5,6を用いてパネル受け金具1を無溶接でL字アングル材20に固定する構成を採用すると、溶接作業時に必要なスラグの除去や防錆処理などの手間が不要となるので、パネル受け金具1の固定作業の簡略化を図ることができる。
【0027】
また、固定部2の主面2aには、凹凸形状、ギザ形状などの滑り止め加工が施されている。これにより、L字アングル材20にパネル受け金具1を固定する際に、固定部2の主面2aを第2の長片22の内面22bに当接させることで、パネル受け金具1の位置を保持しやすくなるので、L字アングル材20に対するパネル受け金具1の固定作業を容易にすることができる。また、パネル受け金具1をL字アングル材20にボルト固定する場合、より強固に固定することができる。
【0028】
連結部4は、固定部2の側方(X軸方向)に設けられて、固定部2とパネル受け部3とを連結する板状の部位である。連結部4は、パネル受け部3と連結する長方形板状のパネル受け支持部4aと、パネル受け支持部4aと固定部2とを連結する屈曲部4bと、から構成されている。
【0029】
パネル受け支持部4aは、固定部2よりパネルP側の位置で固定部2に対して平行となるように配置されている。このパネル受け支持部4aとパネルPとは、互いに接触しないように、施工誤差を加味した所定の離間距離が確保されている。屈曲部4bは、固定部2の主面2aから起立する方向、すなわちパネルPに近づく方向に緩やかに屈曲しており、パネルP寄りに位置するパネル受け支持部4aに接続している。
【0030】
このような構成によれば、L字アングル材20に対してパネル受け金具1を固定する際に、第2の長片22の内面22bを固定部2の主面2aに当接させると共に第2の長片22の端部22cを屈曲部4bに突き当てることにより、屈曲部4bをガイドとしてパネル受け金具1の位置決めが可能になるので、固定作業を容易にすることができる。また、パネル受け支持部4aがパネルP側に近づくように構成されているため、パネル受け部3にパネルPが載荷された際に作用するモーメントが小さくなり好適である。
【0031】
パネル受け部3は、パネルPの下面と当接してパネルPの重さを受けるパネル受け面3aを有している。長方形板状のパネル受け部3の両端3bは、下方に向けて僅かに屈曲されている。このように構成することで、地震などの際にパネル受け金具1がパネルの動きを妨げることなく、パネルPが躯体の動きに追従してスムーズに動き、パネルPの下面とパネル受け部3の角部との接触抵抗を緩和し、パネルPに欠けが生じる事態を避けることができる。また、パネル受け部3と連結部4のパネル受け支持部4aとの間には、パネル受け部3の剛性を高めるためのリブ13,14が形成されている。
【0032】
また、L字アングル材20に上側固定部9を固定するボルト5の頭部5aは、L字アングル材20とパネルPとの所定の間隔を確保するライナーとして機能する。すなわち、パネル受け部3より上側では、ボルト5の頭部5aのみがパネルPに当接可能な構成となっており、パネル受け支持部4aはパネルPと当接していない。このため、L字アングル材20とパネルPとの間隔は、ボルト5の頭部5aによって所定の寸法が確保される。本構成によれば、図4に示すような建築物の中間通り部分においてパネルを受ける場合、目地部を構成するパネルP,Rの端部のエッジ部分がパネル受け支持部4aと接触することを避けることができ、地震時などにおいてパネルP,Rに欠けが生じることがない。
【0033】
また、ボルト5の頭部5aは、L字アングル材20とパネルPとが対向する領域T内に位置している。L字アングル材20とパネルPとが対向する領域Tとは、L字アングル材20のフランジ面22aとパネルPの側面とが対向する領域である。言い換えると、L字アングル材20とパネルPとの間で、Y軸方向から見てL字アングル材20のフランジ面22aとパネルPとが重なる領域である。また、ボルト5と同様に、ボルト6の頭部6aも領域T内に位置している。
【0034】
以上説明した第1の実施形態に係るパネル受け金具1及びパネル受け金具1を用いたパネル受け構造によれば、ボルト5の頭部5aによってL字アングル材20とパネルPとの所定の間隔を確保することができるので、L字アングル材20とパネルPとの間にライナーとして機能する部材を別に設ける必要がなくなり、パネル受けに関する部材数の削減及び工程の簡略化を図ることができる。しかも、L字アングル材20とパネルPとが対向する領域T内にボルト5の頭部5aが位置しているので、L字アングル材20のフランジ面22aの向きが壁面ラインの所定方向から僅かにずれたとしても、ボルト5の頭部5aにおける面外方向の位置はほとんど変わらないので、パネルPの面外方向の位置ずれを避けることができる。従って、第1の実施形態に係るパネル受け金具1及びパネル受け構造によれば、パネルPの建込精度の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、図4に示すような建築物の中間通り部分においてパネルを受ける場合、従来技術のパネル受け金具では、ボルトを隣り合うパネルP,R間の目地部に配置して、ボルト頭部を目地部内に納める必要があった。しかしながら、このパネル受け金具1及びパネル受け構造によれば、パネル受け金具1を配置する位置がパネルの目地部などに限定されないので、図5に示すようにパネルP,Lにより角部が構成される建築物の出隅部分についても、パネル受け金具1の位置がパネルPの長さ方向(X軸方向)の位置決めに干渉することなく、適切に使用することができる。このため、出隅部分専用のパネル受け金具を別途に用意する必要がなくなり、現場の管理が楽になり、建築費用のコストダウンも図ることができる。
【0036】
また、このパネル受け金具1及びパネル受け構造では、ボルト5の頭部5aが凸曲面状の形状を有しているので、地震などにより建築物に揺れが生じても、凸曲面状の頭部5aがパネルに対して摺動しやすく、建築物に対するパネルの追従を阻害しない。このため、ボルトの頭部とパネルとの接触でパネルに欠けが生じ難い。
【0037】
また、このパネル受け金具1及びパネル受け構造では、パネル受け部3から見て上側に位置する上側固定部9にボルト5が取り付けられ、パネル受け部3から見て下側に位置する下側固定部10にボルト6が取り付けられている。このような構成によれば、ボルト6の頭部6aをライナーとして用いることで、パネル受け部3の下側に位置するパネルQとL字アングル材20との所定の間隔を確保することが可能になる。このことは、下側のパネルQとL字アングル材20との間にライナーとして機能する部材を設けることを不要にするので、下側のパネルQの取付けに関する部材数の削減及び工程の簡略化を図ることができる。
【0038】
[第2の実施形態]
図6図8に示されるように、第2の実施形態に係るパネル受け金具31及びパネル受け構造は、固定部32が溶接によりL字アングル材20に固定される点と、固定部32がライナーとして機能する点と、連結部35の形状と、が第1の実施形態に係るパネル受け金具1及びパネル受け構造と比べて相違している。
【0039】
具体的には、第2の実施形態に係るパネル受け金具31の固定部32は、L字アングル材20のパネルP側、すなわちフランジ面22a側に配置されており、固定部32の主面(当接面)32aはフランジ面22aに当接する。固定部32は、L字アングル材20の第2の長片22に対して溶接により固定される。このように、固定部32がL字アングル材20のフランジ面22a側に配置されることで、溶接作業の前にL字アングル材20のフランジ面22aに付けられる金具位置決め用の墨出し線にパネル受け金具31をあわせることが容易で、パネル受け金具31をL字アングル材20に精度良く固定することができる。
【0040】
また、固定部32は、パネルPに当接する主面32bを有し、L字アングル材20とパネルPとの所定の間隔を確保するライナー部として機能する。すなわち、パネル受け部3より上側では、固定部32のみがパネルPに当接しており、パネル受け支持部35aはパネルPと当接していない。このため、L字アングル材20とパネルPとの間隔は、固定部32の板厚によって決定される。また、固定部32は、L字アングル材20とパネルPとが対向する領域T内に位置している。
【0041】
このようなパネル受け金具31及びパネル受け構造によれば、パネル受け金具31の固定部32がライナー部を構成することで部品点数や構成材料の削減が可能となるので、パネル受け金具31の軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0042】
また、固定部32には、パネルPに当接する主面32b側に面取り部C1〜C3が形成されている。面取り部C1は、固定部32の上縁に形成され、面取り部C2は、固定部32における連結部35と反対側の側縁に形成されている。面取り部C3は、固定部32の下縁に形成されている。このような面取り部C1〜C3を設けることで、地震などの際にパネル受け金具31がパネルPの動きを妨げることなく、パネルPが躯体の動きに追従してスムーズに動くので、パネルに欠けが生じる可能性を低減することができる。なお、本実施例では、面取り部の形状はC面であるが、丸面、R面、曲面など、固定部32がパネルPに対して摺動しやすい形状の面取り加工やコーナー加工であればよい。
【0043】
また、連結部35は、長方形板状のパネル受け支持部35aの固定部32に対する位置と屈曲部35bの屈曲方向とが第1の実施形態に係る連結部4と比べて相違している。すなわち、パネル受け支持部35aは、固定部32から見てパネルPと離れる方向に位置している。また、屈曲部35bは、固定部32の主面32aから起立する方向(パネルPから離れる方向)に緩やかに屈曲している。
【0044】
このように構成されたパネル受け金具31及びパネル受け構造では、L字アングル材20が固定部32に対してパネルPの反対側に配置されているので、第1の実施形態に係る屈曲部4bと同様の効果を得ることができる。すなわち、L字アングル材20に対してパネル受け金具31を固定する際に、第2の長片22のフランジ面22aを固定部32の主面32aに当接させると共に第2の長片22の端部を屈曲部35bに突き当てることにより、屈曲部35bをガイドとしてパネル受け金具31を位置決めすることができるので、固定作業を容易にすることができる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、第2の実施形態に係るパネル受け金具31は、固定部32の左右に連結部4及びパネル受け部3を有する構成であっても良い。この場合、一つのパネル受け金具31により隣り合う2つのパネルの重さを受けることが可能になるので、使用する金具の数を減らすことができる。また、この場合においては、溶接ではなくボルト止めによってパネル受け金具31をL字アングル材20に固定する態様であっても良い。
【0047】
また、下地材は、L字アングル材20に限定されず、様々な形状のものを採用できる。例えば、H形鋼を使用した柱や間柱を下地材として、そのフランジ面にパネル受け金具を固定する様態も可能である。また、建築用パネルとしては、主にALC[Autoclaved Lightweight aerated Concrete]パネル、押し出し成形板、プレキャストコンクリート板等に適用可能である。
【0048】
また、必ずしもパネル受け部3より下側のパネルQとL字アングル材20との所定の間隔を確保するボルト6や下側固定部34を設ける必要はない。
【0049】
さらに、第1の実施形態に係るボルト5,6は、頭部5a,6aの形状が凸曲面状のものに限定されず、様々な頭部形状のボルトを採用することができる。
【0050】
また、第2の実施形態に係る固定部32は、パネルPに向かって突出する凸部を有し、この凸部がパネルPに当接する態様であっても良い。
【0051】
また、ボルト5,6及びナット7,8の他に、特許請求の範囲に記載の固定具としてリベットなど種々の固定具を用いることができる。また、ボルト5,6の頭部5a,6aの他、特許請求の範囲に記載の対向部としてナットやリベットの端部などが対向部として機能する態様であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1,31…金具 2,32…固定部 2a,32a…主面(当接面,滑り止め面) 3…パネル受け部 4,35…連結部 4a,35a…パネル支持部 4b,35b…屈曲部 5…ボルト(固定具) 5a…頭部(ライナー部,上側ライナー部,対向部) 6…ボルト(固定具) 6a…頭部(ライナー部,下側ライナー部,対向部) 20…L字アングル材(下地材) 22a…フランジ面 C1-C3…面取り部 P,Q,R,L…パネル T…領域


図1
図2
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図5
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図7
図8