(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第1空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第1CO除去触媒に供給される空気量を制御することを特徴とする請求項1に記載のCO除去システム。
前記燃料ガスの流れ方向において、前記第1CO除去触媒の上流側の前記燃料供給路に配置され、前記第1CO除去触媒を通過する前の燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する上流側計測手段を、さらに有し、
前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測したCO濃度にも基づいて、前記第1CO除去触媒の反応環境を制御し、
前記上流側計測手段は、
前記COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、
前記燃料供給路にレーザ光を入射させる光学系と、
前記発光部から入射され、前記燃料供給路を通過したレーザ光を受光する受光部と、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料供給路を流れる前記燃料ガスの前記CO濃度を算出する算出部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のCO除去システム。
前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第1空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第1CO除去触媒に供給される空気量を制御することを特徴とする請求項3に記載のCO除去システム。
前記燃料ガスの流れ方向において、前記第2CO除去触媒の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記第2CO除去触媒を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する下流側計測手段を、さらに有し、
前記下流側計測手段は、
前記COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、
前記燃料供給路にレーザ光を入射させる光学系と、
前記発光部から入射され、前記燃料供給路を通過したレーザ光を受光する受光部と、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料供給路を流れる前記燃料ガスの前記CO濃度を算出する算出部とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のCO除去システム。
前記制御手段は、前記下流側計測手段で計測したCO濃度にも基づいて、前記第2CO除去触媒の反応環境を制御することを特徴とする請求項7に記載のCO除去システム。
前記燃料ガスの流れ方向において、前記CO測定部の下流側、かつ、前記第2CO除去触媒の上流側に配置され、前記燃料供給路に空気を供給する第2空気供給手段を備え、
前記制御手段は、前記下流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することを特徴とする請求項8に記載のCO除去システム。
前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することを特徴とする請求項9に記載のCO除去システム。
前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記下流温度調整手段を制御し、前記第2CO除去触媒の反応温度を制御することを特徴とする請求項11に記載のCO除去システム。
前記燃料ガスの流れ方向において、前記CO測定部の下流側、かつ、前記第2CO除去触媒の上流側に配置され、前記燃料供給路に空気を供給する第2空気供給手段を備え、
前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のCO除去システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、CO濃度を計測する計測方法としては、濃度が一定と仮定し、流量からCO濃度を算出する方法がある。しかしながら、この方法では、燃料ガス中のCO濃度の変化に対応することができない。
【0005】
また、CO濃度を計測する計測方法としては、赤外分光法により濃度を計測する方法がある。しかしながら、これらの計測方法では、計測前に、計測対象のガスに含まれる水分や粉塵を除去するための前処理装置が必要になる。そのため、CO濃度の計測に時間がかかり、算出された値に基づいて制御を行っても、制御に時間遅れが生じてしまい、この時間遅れ分の性能劣化がおきてしまう。
【0006】
このように、いずれの方法でも、高い応答性で、高い精度の計測が困難であり、CO濃度の低減に限界があるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃料電池の燃料極に供給する燃料ガスから一酸化炭素をより効率よく、かつ高い確率で低減することができ、燃料極の劣化を抑制することができるCO除去システム、及び、CO除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給路に設けられたCO除去システムであって、前記燃料供給路に空気を供給する第1空気供給手段と、前記燃料ガスの流れ方向において、前記第1空気供給手段の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記燃料ガス中に含まれるCOと酸素とを反応させ、燃料ガス中に含まれるCOを除去する第1CO除去触媒と、前記燃料ガスの流れ方向において、前記第1CO除去触媒の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記第1CO除去触媒を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する計測手段と、前記燃料ガスの流れ方向において、前記計測手段の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記燃料ガス中に含まれるCOと酸素とを反応させ、燃料ガス中に含まれるCOを除去する第2CO除去触媒と、前記計測手段で計測したCO濃度に基づいて、前記第1CO除去触媒の反応環境及び第2CO除去触媒の反応環境の少なくとも一方を制御する制御手段と、を有し、前記計測手段は、前記COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、前記燃料供給路にレーザ光を入射させる光学系と、前記発光部から入射され、前記燃料供給路を通過したレーザ光を受光する受光部と、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料供給路を流れる前記燃料ガスの前記CO濃度を算出する算出部とを備えることを特徴とする。
【0009】
CO除去システムをこのような構成とすることにより、燃料電池の燃料極に供給する燃料ガスから一酸化炭素をより効率よく、かつ高い確率で低減することができ、燃料極の劣化を抑制することができる。また、CO除去システムをこのような構成とすることにより、リアルタイム制御、つまり応答性の高い制御を行うことができる。これにより、安定して発電を行うことができ、安定して所定の性能で電力を出力することができる。
【0010】
ここで、前記制御手段は、前記CO濃度に基づいて、前記第1空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第1CO除去触媒に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第1CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0011】
また、前記燃料ガスの流れ方向において、前記第1CO除去触媒の上流側の前記燃料供給路に配置され、前記第1CO除去触媒を通過する前の燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する上流側計測手段を、さらに有し、前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測したCO濃度にも基づいて、前記第1CO除去触媒の反応環境を制御し、前記上流側計測手段は、前記COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、前記燃料供給路にレーザ光を入射させる光学系と、前記発光部から入射され、前記燃料供給路を通過したレーザ光を受光する受光部と、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料供給路を流れる前記燃料ガスの前記CO濃度を算出する算出部とを備えることが好ましい。これにより、第1CO除去触媒でより確実にCOを除去することができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第1空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第1CO除去触媒に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第1CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0013】
前記第1CO除去触媒の温度を調整する上流温度調整手段をさらに有し、前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記上流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい
【0014】
また、前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度にも基づいて、前記上流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい。
【0015】
また、前記第1CO除去触媒の温度を調整する上流温度調整手段をさらに有し、前記制御手段は、前記CO濃度に基づいて、前記上流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい。これにより、第1CO除去触媒で高い確率でCOを除去することができる。
【0016】
また、前記燃料ガスの流れ方向において、前記第2CO除去触媒の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記第2CO除去触媒を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する下流側計測手段を、さらに有し、前記下流側計測手段は、前記COの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、前記燃料供給路にレーザ光を入射させる光学系と、前記発光部から入射され、前記燃料供給路を通過したレーザ光を受光する受光部と、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料供給路を流れる前記燃料ガスの前記CO濃度を算出する算出部とを備えることが好ましい。これにより、第2CO除去触媒を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度を計測することができる。
【0017】
ここで、前記制御手段は、前記下流側計測手段で計測したCO濃度にも基づいて、前記第2CO除去触媒の反応環境を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0018】
また、前記燃料ガスの流れ方向において、前記CO測定部の下流側、かつ、前記第2CO除去触媒の上流側に配置され、前記燃料供給路に空気を供給する第2空気供給手段を備え、前記制御手段は、前記上流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0019】
また、前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0020】
また、前記燃料ガスの流れ方向において、前記CO測定部の下流側、かつ、前記第2CO除去触媒の上流側に配置され、前記燃料供給路に空気を供給する第2空気供給手段を備え、前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記第2空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記第2CO除去触媒に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0021】
また、前記第2CO除去触媒の温度を調整する下流温度調整手段をさらに有し、前記制御手段は、前記下流側計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記下流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で、より確実に、COを除去することができる。
【0022】
また、前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記下流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で高い確率でCOを除去することができる。
【0023】
また、前記第2CO除去触媒の温度を調整する下流温度調整手段をさらに有し、前記制御手段は、前記計測手段で計測した前記CO濃度に基づいて、前記下流温度調整手段を制御し、前記第1CO除去触媒の反応温度を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒で高い確率でCOを除去することができる。
【0024】
また、前記燃料ガスの流れ方向において、前記第2CO除去触媒の下流側の前記燃料供給路に配置され、前記燃料供給路に空気を供給する下流側空気供給手段を、さらに有し、前記制御手段は、前記下流側計測手段で計測したCO濃度に基づいて、前記下流側空気供給手段が前記燃料供給路に供給する空気量を調整し、前記燃料極に供給される空気量を制御することが好ましい。これにより、第2CO除去触媒を通過した燃料ガスに含まれるCOを除去することができる。
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、配管を流れる燃料ガスのCOを除去するCO除去方法であって、前記配管を流れる燃料ガスのうち、第1CO除去触媒を通過し、かつ、第2CO除去触媒を通過する前の燃料ガスに対して、燃料ガスの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、燃料ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記燃料ガスに含まれるCO濃度を計測値として計測する濃度計測ステップと、前記濃度計測ステップで計測したCO濃度に基づいて、配管に供給する酸素の量、及び、空気とCOとを反応させ除去するCO除去触媒の温度の少なくとも一方を制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0026】
CO除去方法をこのような構成とすることにより、燃料電池の燃料極に供給する燃料ガスから一酸化炭素をより効率よく、かつ高い確率で低減することができ、燃料極の劣化を抑制することができる。また、CO除去方法をこのような構成とすることにより、リアルタイム制御、つまり応答性の高い制御を行うことができる。これにより、安定して発電を行うことができ、安定して所定の性能で電力を出力することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかるCO除去システム、及び、CO除去方法は、燃料ガスから一酸化炭素をより効率よく、かつ高い確率で低減することができ、燃料極の劣化を抑制することができるという効果を奏する。また、安定して発電を行うことができ、安定して所定の性能で電力を出力することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0030】
以下に、本発明にかかるCO除去システム、及び、COの除去方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、下記の実施形態では、より適切に用いることができるため、CO除去システムを、発電システム、より具体的には、PEFC型燃料電池システムに用いる場合として説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
まず、
図1を用いて、本発明のCO除去システムを用いた発電システムについて、説明する。
図1は、CO除去システムを有する発電システムの概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すように、発電システム(PEFC型燃料電池の発電システム)10は、原燃料供給部12と、脱硫部14と、燃料改質システム16と、空気供給部24と、バルブ25と、燃料電池26と、冷媒供給部28と、放熱部30と、制御部32とを有する。また、燃料改質システム16は、燃料改質部17と、水蒸気供給部18と、CO変成部20と、CO除去システム22とを有する。また、発電システム10は、各部を配管で接続している。
【0033】
原燃料供給部12は、発電システム10の発電に用いられる原燃料、つまり、改質される前の燃料を貯留し、供給する機構である。なお、原燃料としては、都市ガス、LPGガス又は灯油等を用いることができる。原燃料供給部12は、燃料の一部を脱流部14に供給し、一部を燃料改質システム16の燃料改質部17に供給する。
【0034】
脱硫部14は、原燃料供給部12から供給された原燃料から、硫化物を除去する装置である。脱硫部14は、硫化物を除去した原燃料を燃料改質システム16に供給する。
【0035】
燃料改質システム16は、脱硫部14から供給された原燃料を、燃料電池26に供給できるガスに改質するシステムであり、上述したように、燃料改質部17と、水蒸気供給部18と、CO変成部20と、CO除去システム22とを有する。
【0036】
燃料改質部17は、燃料改質触媒部44と、改質器バーナ45と、を有する。また、水蒸気供給部18は、燃料改質部17に水蒸気を供給する。燃料改質触媒部44は、脱硫部14を通過した原燃料と、水蒸気供給部18から供給された水蒸気とを混合して改質触媒を通過させ、原燃料と水蒸気とから、水素を生成する改質触媒を有する。ここで、改質触媒としては、例えばRu/Al
2O
3等を例示することができるが、これに限定されるものではない。改質器バーナ45は、原燃料供給部12から供給された原燃料を燃焼させて、燃料改質触媒部44を加熱する。
【0037】
燃料改質部17は、以上のような構成であり、改質器バーナ45により、燃料改質触媒部44を加熱し、脱硫部14を通過した原燃料と、水蒸気供給部18から供給された水蒸気とを混合した混合ガスが流通する雰囲気を、例えば700〜800℃の温度とし、原燃料と水蒸気との間で、水蒸気改質反応(例えば都市ガス又はLPG(プロパン主成分)を用いる場合にはCH
4+H
2O→CO+3H
2 又は C
3H
8+3H
2O→3CO+7H
2)を起こさせることで、原燃料を改質する。燃料改質部17は、改質し、水素と一酸化炭素を含む燃料ガスをCO変成部20に送る。
【0038】
CO変成部20は、燃料改質部17から送られる燃料ガスに含まれる一酸化炭素を変成する機構である。CO変成部20としては、一酸化炭素を二酸化炭素にするシフト反応を発生させる機構であり、例えば、燃料ガスを約200〜450℃に加熱してシフト反応を発生させる。CO変成部20で、一酸化炭素を変成させた燃料ガス(改質ガス)は、CO除去システム22に供給される。
【0039】
CO除去システム22は、CO変成部20から供給された燃料ガスに含まれる一酸化炭素を除去する、つまり、CO変成部20で、二酸化炭素に変成できなかった一酸化炭素を除去する機構である。CO除去システム22は、一酸化炭素を除去した燃料ガスを、燃料電池26に供給する。なお、CO除去システム22については、後ほど説明する。
【0040】
空気供給部24は、燃料電池26の空気極48と、CO除去システム22に空気を供給する機構である。空気供給部24は、ポンプ等で構成されている。また、バルブ25は、空気供給部24と空気極48との間に配置されており、空気供給部24から、空気極48に供給する空気の量を調整する。
【0041】
燃料電池26は、燃料ガスが供給される燃料極46と、空気が供給される空気極48と、冷媒が供給されて作動時の電気化学反応に伴う発生熱を除去する冷却部50とを有する。燃料電池26は、燃料改質システム16を通過し、燃料極46に供給された燃料ガスと、空気供給部24から空気極48に供給された空気とにより発電し、直流電力を得ている。また、燃料極46と空気極48とは、冷却部50により冷却され、反応温度が調整されている。また、燃料電池26は、燃料極46で反応させた燃料ガスを改質器バーナ45に供給し、燃料極46を通過した後も残存する燃料成分(CH
4、H
2)を改質器バーナ45で燃焼させる。
【0042】
冷媒供給部28は、冷却部50に冷媒を供給する供給機構であり、冷却部50に、例えば水又は空気等を供給する。また、放熱部30は、冷却部50を通過し、燃料電池26で発生した熱を吸熱した冷媒に含まれる熱を放熱させる放熱機構である。なお、放熱部30は、取得した熱を、他の機構の熱源、例えば、CO変成部20の加熱に用いるようにしてもよい。
【0043】
制御部32は、発電システム10の各部の動作を制御し、燃料電池26の起動、発電、停止及び警報・保護を全自動で行うようにしている。また、制御部32は、燃料改質システム16の制御部、CO除去システム22の制御部として、各部の制御を行う。
【0044】
発電システム10の制御部32は、燃料電池発電の起動時の際には、改質器バーナ45に原燃料供給部12から原燃料を供給して燃料改質触媒部44を昇温させて、水蒸気改質に適した所定の温度条件とした後、原燃料供給部12から脱硫部14を通過した原燃料を燃料改質システム16に供給して改質ガスとする。その後、発電システム10は、CO変成部20及びCO除去システム22により、得られた改質ガスからCOを除去して燃料ガスとし、燃料極46に供給することで、発電を開始させる。なお、制御部32は、空気供給部24から空気極48に空気を供給する。また、燃料極46からの排出ガスを、改質器バーナ45に送り、排出ガスに含まれる未反応ガスを燃焼させる。これにより、原燃料を有効に活用することができ、原燃料の消費量に対する発電の効率を高くすることができる。
【0045】
次に、
図2を用いて、CO除去システム22について説明する。ここで、
図2は、
図1に示すCO除去システムの概略構成を示すブロック図である。
図2に示すCO除去システム22は、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部(下流側空気供給部)69、第1温度調整部(上流温度調整部)70と、第2温度調整部(下流温度調整部)71と、を有する。また、制御部32の一部機能もCO除去システム22を構成し、CO除去システム22の各部の動作を制御する。なお、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部69とは、配管(燃料供給路)60に接続されている。CO除去システム22の各部は、ガスの流れ方向において、上流から、第1空気供給部66、第1CO除去触媒62、CO測定部64、第2空気供給部68、第2CO除去触媒63、第3空気供給部69の順で配置されている。また、配管60の第3空気供給部69の下流側には、燃料電池26の燃料極46が接続されている。
【0046】
第1CO除去触媒62は、通過する燃料ガス(改質ガス)から、燃料ガスに含まれるCOを除去する触媒であり、具体的には、COを他の物質に変成する触媒である。第1CO除去触媒62としては、少なくとも一種類以上の銅系触媒又は貴金属系触媒の何れかを混合して組み合わせてなる触媒等を例示することができる。具体的には、例えば直径が20μmの銅系触媒と、酸化物の担体に例えばPt等の貴金属を担持させた直径が20μmの貴金属系触媒とを粉末状態で機械的に混合させることにより、銅系触媒と貴金属系触媒との間の触媒間距離を適度に保つ構成とした触媒を用いることができる。
【0047】
また、銅系触媒とは、金属銅又は酸化銅からなる活性成分と、前記活性成分を担持してなり、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、メタルシリケートの少なくとも一種以上の酸化物からなる担体とからなる触媒を言う。また、前記銅系触媒としては、前記金属銅又は前記酸化銅を活性成分とするペロブスカイト型複合酸化物としても良い。
【0048】
銅系触媒としてペロブスカイト型複合酸化物を用いることにより、銅がペロブスカイト結晶構造体中に取り込まれ、一酸化炭素(CO)の除去中においても還元されることがなく、安定して一酸化炭素(CO)の除去を行うことができる。また、ペロブスカイト結晶構造体中に活性種を安定担持しているため、触媒の寿命を長寿命とすることができる。
【0049】
また、貴金属とは、金、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウムの何れか一種又はこれらの混合物をいう。また、前記貴金属系触媒を担持する担体としては、例えばアルミナ、ジルコニア、シリカ等の耐熱性の担体が好ましい。さらに、例えばアルミナ−シリカ、アルミナ−ジルコニア等の複合酸化物としてもよい。
【0050】
第2CO除去触媒63は、通過する燃料ガス(改質ガス)から、燃料ガスに含まれるCOを除去する触媒であり、具体的には、COを他の物質に変成する触媒であり、燃料ガスの流れ方向において、第1CO除去触媒62よりも下流側に配置されている。第2CO除去触媒63には第1CO除去触媒62と同様に種々の触媒を用いることができる。なお、第2CO除去触媒63には、第1CO除去触媒62よりも高い温度で反応が活性化する触媒を用いることが好ましい。つまり、第2CO除去触媒63には、第1CO除去触媒62の除去率のピークの温度よりも、高い温度に除去率(変換率)のピークがある触媒を用いることが好ましい。これにより、第1CO除去触媒62でCOを除去する反応が発生したことで温度が上昇した燃料ガスから第2CO除去触媒63で好適にCOを除去することができる。
【0051】
例えば、第1CO除去触媒62にCu/Al
2O
3触媒を用いる場合は、第2CO除去触媒63にCu/CeO
2触媒を用いることが好ましい。また、Cu/Al
2O
3触媒の触媒温度は例えば120℃〜140℃の範囲であることが好ましく、Cu/CeO
2触媒の触媒温度は例えば140℃〜160℃の範囲であることが好ましい。
【0052】
CO測定部64は、燃料ガスの流れ方向において、第1CO除去触媒62の下流側、かつ、第2CO除去触媒63の上流側に配置されており、第1CO除去触媒62を通過し、かつ、第2CO除去触媒63を通過する前の燃料ガスに含まれるCOの濃度を計測する。以下、
図3を用いて、CO測定部64について説明する。ここで、
図3は、
図2に示すCO測定部の概略構成を示すブロック図である。CO測定部64は、
図3に示すように、計測ユニット102と、計測手段本体104とを有する。計測ユニット102は、配管60の第1CO除去触媒62の配置位置よりも下流側に設けられており、配管60を流れ、第1CO除去触媒62を通過した燃料ガスのCOの濃度を計測する。なお、計測ユニット102は、測定光であるレーザ光を配管60内に入射させ、配管60を通過したレーザ光を受光することで、ガス濃度を計測する。
【0053】
計測ユニット102は、入射管112と、出射管114と、窓116、118と、光ファイバ120と、入光部122と、受光部124と、を有する。
【0054】
入射管112は、管状部材であり、一方の端部が配管60に連結されている。また、配管60は、入射管112との連結部が、入射管112の開口(端部の開口)と略同一形状の開口となっている。つまり、入射管112は、配管60と、空気の流通が可能な状態で連結されている。また、入射管112の他方の端部には、窓116が設けられており、窓116により封止されている。なお、窓116は、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、入射管112は、窓116が設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。
【0055】
入射管112は、
図3に示すように、窓116側の端部の開口(つまり、窓116により塞がれている開口)の面積と、配管60側の端部の開口(つまり、配管60と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、入射管112の形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0056】
出射管114は、入射管112と略同一形状の管状部材であり、一方の端部が配管60に連結され、出射管114の他方の端部には、窓118が設けられている。出射管114も、配管60と空気が流通可能な状態で、窓118が設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。また、出射管114は、中心軸が入射管112の中心軸と略同一となる位置に配置されている。つまり、入射管112と出射管114とは、配管60の互いに対向する位置に配置されている。
【0057】
また、出射管114も、窓118側の端部の開口(つまり、窓118により塞がれている開口)の面積と、配管60側の端部の開口(つまり、配管60と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、出射管114も形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0058】
次に、光ファイバ120は、計測手段本体104から出力されるレーザ光を入光部122に案内する。つまり、計測手段本体104から出力されたレーザ光を入光部122に入射させる。入光部122は、窓116に配置された光学系(ミラー、レンズ等)であり、光ファイバ120により案内されたレーザ光を窓116から入射管112の内部に入射させる。入射管112に入射したレーザ光は、入射管112から配管60を通過して、出射管114に到達する。
【0059】
受光部124は、配管60の内部を通過し、窓118から出力されたレーザ光を受光する受光部である。受光部124は、受光したレーザ光の強度を受光信号として、計測手段本体104に送る。
【0060】
計測手段本体104は、発光部126と、光源ドライバ128と、算出部130とを有する。発光部126は、CO(一酸化炭素)が吸収する近赤外波長域のレーザ光(COの吸収波長を含むレーザ光)を発光させる発光素子である。発光素子としては、例えばレーザーダイオード(LD)を用いることができる。発光部126は、発光させた光を光ファイバ120に入射させる。
【0061】
光源ドライバ128は、発光部126の駆動を制御する機能を有し、発光部126に供給する電流、電圧を調整することで、発光部126から出力されるレーザ光の波長、強度を調整する。
【0062】
算出部130は、受光部124で受光したレーザ光の強度の信号と、光源ドライバ128を駆動させている条件とに基づいて、測定対象の物質の濃度を算出する。具体的には、算出部130は、光源ドライバ128を駆動させている条件に基づいて、発光部126から出力され、配管60に入射するレーザ光の強度を算出し、受光部124で受光したレーザ光の強度と比較し、配管60を流れる燃料ガスに含まれる測定対象の物質(一酸化炭素)の濃度を算出する。
【0063】
CO測定部64は、以上のような構成であり、発光部126から出力された近赤外波長域のレーザ光は、光ファイバ120から所定経路、具体的には、入光部122、窓116、入射管112、配管60、出射管114、窓118を通過して、受光部124に到達する。このとき、配管60内の燃料ガス中に測定対象の物質(CO)が含まれていると、配管60を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光は、燃料ガス中の測定対象の物質の濃度によって、受光部124に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部124は、受光したレーザ光を受光信号に変換し、算出部130に出力する。また、光源ドライバ128は、発光部126から出力したレーザ光の強度を算出部130に出力する。算出部130は、発光部126から出力した光の強度と、受光信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から測定ユニット104内を流れる燃料ガスの測定対象の物質の濃度を算出する。このようにCO測定部64は、いわゆるTDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部124で検出した受光信号とに基づいて配管60内の所定位置、つまり、測定位置を通過する燃料ガス中の測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測する。また、CO測定部64は、連続的に測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測することができる。CO測定部64は、計測したCO濃度を制御部32に送る。
【0064】
図2に戻り、CO除去システム22の説明を続ける。第1空気供給部66は、空気供給部24から供給された空気を配管60に供給する機構である。第1空気供給部66は、配管72とバルブ74とを有する。配管72は、一方の端部が、空気供給部24と接続され、他方の端部が配管60と接続されている。また、配管72の他方の端部は、燃料ガスの流れ方向において、第1CO除去触媒62よりも上流側の部分の配管60に接続されている。また、バルブ74は、配管72に設けられており、開度を調整することで、空気供給部24から配管60に供給される空気量を調整する。第1空気供給部66は、以上の構成であり、バルブ74の開度を調整することで、配管60に供給する空気の量を調整し、第1CO除去触媒62に供給される燃料ガスに混入する空気の量を調整する。
【0065】
第2空気供給部68も、空気供給部24から供給された空気を配管60に供給する機構である。第2空気供給部68は、配管76とバルブ78とを有する。配管76は、一方の端部が、空気供給部24と接続され、他方の端部が配管60と接続されている。また、配管76の他方の端部は、燃料ガスの流れ方向において、CO測定部64よりも下流側で、かつ、第2CO除去触媒63の上流側の部分の配管60に接続されている。つまり、配管76は、第1CO除去触媒62よりも下流で、第2CO除去触媒63よりも上流側の配管60に接続されている。また、バルブ78は、配管76に設けられており、開度を調整することで、空気供給部24から配管60に供給される空気量を調整する。第2空気供給部68は、以上の構成であり、バルブ78の開度を調整することで、配管60に供給する空気の量を調整し、第2CO除去触媒63に供給される燃料ガスに混入する空気の量を調整する。
【0066】
第3空気供給部69も、空気供給部24から供給された空気を配管60に供給する機構である。第3空気供給部69は、配管80とバルブ82とを有する。配管80は、一方の端部が、空気供給部24と接続され、他方の端部が配管60と接続されている。また、配管80の他方の端部は、燃料ガスの流れ方向において、第2CO除去触媒63よりも下流側の部分の配管60に接続されている。つまり、配管80は、第2CO除去触媒63よりも下流で、燃料極46よりも上流側の配管60に接続されている。また、バルブ82は、配管80に設けられており、開度を調整することで、空気供給部24から配管60に供給される空気量を調整する。第3空気供給部69は、以上の構成であり、バルブ82の開度を調整することで、配管60に供給する空気の量を調整し、燃料極46に供給される燃料ガスに混入する空気の量を調整する。
【0067】
次に、第1温度調整部70は、温度調整機構84と、温度制御部86とを有し、第1CO除去触媒62の温度を調整する。温度調整機構84は、第1CO除去触媒62の周囲に配置された、加熱及び/または冷却機構であり、第1CO除去触媒62を加熱、及び/または、冷却する。温度調整機構84としては、種々の加熱機構、冷却機構を用いることができる。加熱機構としては、燃料を燃焼させて第1CO除去触媒62を加熱する機構や、第1CO除去触媒62の周囲に水蒸気、溶媒等の加熱した媒体を通過させることで加熱する機構を用いることができる。また、冷却機構としては、水冷で冷却する機構や、空冷で冷却する機構を用いることができる。温度制御部86は、温度調整機構84による、第1CO除去触媒62の加熱、冷却を制御する制御部である。温度制御部86は、温度調整機構84の動作を制御することで、第1CO除去触媒62の温度を所定の状態とする。なお、第1温度調整部70は、第1CO除去触媒62の温度、または、第1CO除去触媒62の雰囲気の温度を検出する温度検出部を設け、その温度検出部による検出結果に基づいて、制御を行うことが好ましい。
【0068】
次に、第2温度調整部71は、温度調整機構88と、温度制御部90とを有し、第2CO除去触媒63の温度を調整する。温度調整機構88は、第2CO除去触媒63の周囲に配置された、加熱及び/または冷却機構であり、第2CO除去触媒63を加熱、及び/または、冷却する。温度調整機構88としては、種々の加熱機構、冷却機構を用いることができる。温度制御部90は、温度調整機構88による、第2CO除去触媒63の加熱、冷却を制御する制御部である。温度制御部90は、温度調整機構88の動作を制御することで、第2CO除去触媒63の温度を所定の状態とする。なお、第2温度調整部71は、第2CO除去触媒63の温度、または、第2CO除去触媒63の雰囲気の温度を検出する温度検出部を設け、その温度検出部による検出結果に基づいて、制御を行うことが好ましい。
【0069】
また、制御部32は、CO測定部64の計測結果に基づいて、第1空気供給部66、第2空気供給部68、第1温度調整部70、第2温度調整部71の少なくとも1つを制御し、燃料極46に供給される燃料ガスに含まれるCOを除去、低減する。
【0070】
次に、
図4を用いて、CO除去システム22の動作を説明する。ここで、
図4は、CO除去システムの動作の一例を示すフロー図である。まず、
図4を用いて、CO除去システムの動作の一例を説明する。ここで、
図4は、CO測定部64の計測結果に基づいて、第1空気供給部66の動作を制御する場合の例である。
【0071】
CO除去システム22の制御部32は、まず、ステップS10としてCO濃度を計測する。つまり、制御部32は、CO測定部64により燃料ガスに含まれるCOの濃度を計測する。なお、CO測定部64によるCO濃度の測定(計測)方法は、上述した方法で測定方法を用いることができる。
【0072】
制御部32は、ステップS10でCO濃度を計測したら、ステップS12として、計測されたCO濃度が上限目標値よりも大きいかを判定する。制御部32は、ステップS12で計測されたCO濃度が上限目標値よりも大きい(Yes)と判定したら、ステップS14に進み、現状設定されている空気供給量を一定量増加させる。つまり、第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を一定量多くする。その後、制御部32は、ステップS20に進む。
【0073】
また、制御部32は、ステップS12で、計測されたCO濃度が上限目標値以下である(No)と判定したら、ステップS16に進み、計測されたCO濃度が下限目標値よりも小さいかを判定する。制御部32は、ステップS16で、計測されたCO濃度が下限目標値よりも小さい(Yes)と判定したら、ステップS18に進み、現状設定されている空気供給量を一定量低減させる。つまり、第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を一定量少なくする。その後、制御部32は、ステップS20に進む。また、制御部32は、ステップS16で、計測されたCO濃度が下限目標値以上である(No)と判定したら、ステップS20に進む。
【0074】
制御部32は、ステップS20で、発電システム10が停止しているか(つまり、燃料ガスの排出が停止しているか)を判定する。制御部32は、ステップS20で、燃料ガスの排出が停止していない(No)と判定したらステップS10に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御部32は、ステップS20で、燃料ガスの排出が停止している(Yes)と判定したら処理を終了する。
【0075】
CO除去システム22は、このようにして、第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を制御する。なお、上記制御では、空気の供給量を一定量増加、低減させたが、これに限定されない。例えば、CO濃度が上限目標値以上の場合は、空気供給量を予め設定した基準値としてもよく、CO濃度が下限目標値以下の場合は、空気供給量を0にするようにしてもよい。また、空気供給量は、バルブの開閉回数で調整しても、バルブの開閉開度で調整してもよい。また、空気供給部24から供給する空気の量で調整してもよい。また、CO濃度の上限目標値と下限目標値とは、異なる値としてもよいし、同じ値としてもよい。つまり、ステップS12で使用される上限目標値とステップS16で使用される下限目標値を異なる目標値としてもよい。CO濃度の上限目標値と下限目標値とを異なる値とすることで、空気供給量を変化させないCO濃度の範囲を一定の濃度範囲とすることができる。
【0076】
発電システム10及びCO除去システム22は、以上のような構成であり、原燃料が改質されて生成された改質ガス(燃料ガス)を、CO変成部20、CO除去システム22でCOを除去した後、COが除去、低減された燃料ガスとして、燃料極46に供給することができる。このように、燃料ガスからCOを除去、低減できることで、具体的には、燃料ガスに含まれるCOを10ppm以下とすることで、燃料極46の性能劣化を抑制することができ、発電システム10の寿命を長くすることができる。
【0077】
また、CO除去システム22は、第1CO除去触媒62と第2CO除去触媒63の2つの触媒を設けることで、COをより確実に除去することができる。さらに、本実施形態のように、第1CO除去触媒62と第2CO除去触媒63とで、反応が活性化する温度領域が異なる触媒を用いることで、具体的には、より下流側に配置されている第2CO除去触媒63の方が、第1CO除去触媒62よりも反応が活性化する温度領域が高くなる触媒を用いることで、より効率よくCOを除去することができる。つまり、下流側のCO除去触媒は、より高い温度で効率よくCOを除去することができるため、CO除去時に発生する熱で燃料ガスの温度が上昇してもCOを効率よく除去することができる。すなわち、本実施形態によれば、反応する領域における燃料ガスの温度に応じて、触媒を配置することができ、効率よくCOを除去することができる。また、効率よくCOを除去できるため、安価で性能が低い触媒を用いた場合でも適切にCOを低減することができ、装置コストを低減することができる。具体的には、触媒に非貴金属触媒を用いる場合でも適切にCOを除去することができる。
【0078】
さらに、CO除去システム22は、第1CO除去触媒62を通過したCO濃度を計測し、その結果に応じて第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を制御している。このように、第1CO除去触媒62を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度に基づいて、空気の供給量を制御することで、空気と一酸化炭素の反応状態に即して空気の供給量を制御することができる。また、第1CO除去触媒62で効率よくCOを除去できることで、第2CO除去触媒63で除去するCOの量を少なくすることができる。このように、第2CO除去触媒63で除去するCOの量が少なくなることで、第2CO除去触媒63でより正確にCOを除去することができる。これにより、より確実に燃料極46に到達するCOを少なくすることができる。
【0079】
また、CO除去システム22は、CO測定部64により、CO濃度を検出することで、短時間で正確に、かつ連続的に燃料ガス中のCO濃度を計測することができる。CO測定部64として、測定対象の物質の吸収波長域の近赤外波長域のレーザ光を照射し、当該測定対象の物質により吸収される強度を検出する方式を用いることで、短時間で、かつ、高い精度で測定対象の物質の濃度を計測することが可能となる。これにより、短時間で濃度分布を算出することができ、高い応答性(例えば、リアルタイム制御)で制御を行うことができる。さらに、計測開始から計測結果の算出までの時間を短くすることができ、計測の時間遅れを短い時間にすることができ、より正確に空気の供給量の制御を行うことができる。つまりタイムラグをより小さくできるため、条件等が変化し、CO濃度、排出量が変化した場合も迅速に対応することが可能となる。これにより、COの除去をより好適に制御することができる。特に、変動の大きい運転の場合は、生成されるガスの濃度も変動するが、CO除去システム22は、このように変動が大きい場合でも高い応答性で制御ができることで、安定して電力を発電することができ、一定の性能を維持することができる。
【0080】
また、CO除去システム22は、CO測定部64として、測定対象の物質の吸収波長域の近赤外波長域のレーザ光を照射し、当該測定対象の物質により吸収される強度を検出することで、短時間で、かつ、高い精度で測定対象の物質の濃度を計測することができる。さらに、近赤外波長域のレーザ光を用いる計測では、測定対象の物質以外の成分が混在した状態であっても、測定対象の物質の濃度を適切に測ることができる。つまり、測定対象の変換物以外の成分がノイズとなりにくくすることができる。また、前処理を行うことなく、計測が可能であるので、発電システム10を流れる燃料ガスを直接計測することができる。
【0081】
また、発電システム10は、CO除去システム22にCO除去触媒として、少なくとも一種類以上の銅系触媒又は貴金属系触媒の何れかを混合して組み合わせてなる触媒等を用いるため、安価でしかも長期間に亙ってCO除去ができるので、COが低減された燃料ガスを安定して得ることができ、長期間に亙って安定且つ信頼性の高い燃料電池システムを提供することができる。
【0082】
なお、
図4に示す例では、第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を制御したが、本発明はこれに限定されない。CO除去システム22は、第1空気供給部66から配管60に供給する空気の量を制御することに代えて、第2空気供給部68から配管60に供給する空気の量を制御するようにしてもよい。なお、この場合も、CO濃度の計測結果に基づいた流量の制御は、
図4に示すフロー図と同様の制御を行えばよい。
【0083】
まず、CO除去システム22は、第2空気供給部68を用いて、第1CO除去触媒62を通過した燃料ガスに空気を供給することで、第2CO除去触媒63でCOと空気(酸素)とを反応させることができ、第2CO除去触媒63で燃料ガスに含まれるCOを除去することができる。これにより、燃料極46に到達するCOの量を低減することができ、燃料極46の性能の低減を抑制することができる。
【0084】
また、CO測定部64を通過した燃料ガスに含まれるCOを好適に除去することができる。なお、上述したように、CO測定部64は、CO濃度を短時間で計測できる。このため、CO除去システム22は、CO濃度を計測した燃料ガスが流れ、第2空気供給部68に到達した時に、空気を供給することができる。これにより、必要十分な空気を好適に供給することができ、COを効率よく除去することができる。つまり、第2CO除去触媒63よりも上流側の燃料ガスに含まれるCO濃度を計測し、計測結果のCOを除去できる量の空気を供給して、第2CO除去触媒63でのCOの除去を行うことで効率よくCOを除去することができる。
【0085】
さらに、CO除去システム22は、第1CO除去触媒62を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度に応じて、第2空気供給部68から供給する空気量を調整することで、必要十分な空気を燃料ガスに供給することができ、空気と燃料ガス中の水素とが反応することを抑制することができる。これにより、空気を供給することで、燃料ガス中の水素の低減量を少なくすることができ、発電の効率の低減を抑制することができる。つまり、発電システムの性能の低減を抑制しつつ、よく発電を行うことができる。
【0086】
次に、
図5を用いて、CO除去システム22の動作の他の例を説明する。ここで、
図5は、CO除去システムの動作の一例を示すフロー図である。なお、
図5は、CO測定部64の測定結果に基づいて、第1温度調整部70の動作を制御する場合の動作を示すフロー図である。なお、CO除去システム22の動作において、
図4に示すフロー図と同様の動作については、同様のステップ番号を付して、詳細な説明は、省略する。
【0087】
CO除去システム22の制御部32は、まず、ステップS10としてCO濃度を計測する。制御部32は、ステップS10でCO濃度を計測したら、ステップS12として、計測されたCO濃度が上限目標値よりも大きいかを判定する。制御部32は、ステップS12で計測されたCO濃度が上限目標値よりも大きい(Yes)と判定したら、ステップS34に進み、第1CO除去触媒62の温度を現状設定されている温度から一定温度上昇させる。つまり、第1温度調整部70による加熱量を増加、または、第1温度調整部70による冷却量を低減させる。その後、制御部32は、ステップS20に進む。
【0088】
また、制御部32は、ステップS12で、計測されたCO濃度が上限目標値以下である(No)と判定したら、ステップS16に進み、計測されたCO濃度が下限目標値よりも小さいかを判定する。制御部32は、ステップS16で、計測されたCO濃度が下限目標値よりも小さい(Yes)と判定したら、ステップS38に進み、第1CO除去触媒62の温度を現状設定されている温度から一定温度低下させる。つまり、第1温度調整部70による加熱量を低減、または、第1温度調整部70による冷却量を増加させる。その後、制御部32は、ステップS20に進む。また、制御部32は、ステップS16で、計測されたCO濃度が下限目標値以上である(No)と判定したら、ステップS20に進む。
【0089】
制御部32は、ステップS20で、発電システム10が停止しているか(つまり、燃料ガスの排出が停止しているか)を判定する。制御部32は、ステップS20で、燃料ガスの排出が停止していない(No)と判定したらステップS10に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御部32は、ステップS20で、燃料ガスの排出が停止している(Yes)と判定したら処理を終了する。
【0090】
CO除去システム22は、このようにして、第1温度調整部70により、第1CO除去触媒62の温度を制御する。なお、上記制御では、加熱量、冷却量を一定量増加、低減させたが、これに限定されない。例えば、CO濃度が上限目標値以上の場合は、冷却量を0としてもよく、CO濃度が下限目標値以下の場合は、加熱量を0にするようにしてもよい。
【0091】
このように、CO除去システム22は、第1CO除去触媒62を通過したCO濃度を計測し、その結果に応じて第1温度調整部70の動作を制御し、第1CO除去触媒62の温度を制御している。このように、第1CO除去触媒62を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度に基づいて、第1CO除去触媒62の温度を制御することで、空気と一酸化炭素の反応状態に即してCO除去触媒の温度を制御することができる。
【0092】
これにより、第1CO除去触媒62の特性が使用により変化しても、その変化に応じて、反応環境を調整することができる。ここで、
図6は、CO除去触媒の特性の一例を示すグラフである。なお、
図6は、横軸を温度とし、縦軸をCO転化率としている。CO除去触媒は、
図6に示すように、COを他の物質(基本的にはCO
2)に効率よく変換することができる温度範囲が限られている。具体的には、
図6に示す関係では、温度T1のときに転化率(除去率)が最も高くなり、温度T1以上で、かつ、転化率(除去率)η1以上となる温度範囲はΔTとなる。また、この温度範囲は、使用により変化する。このため、本実施形態のように、CO濃度に基づいて温度を調整することにより、第1CO除去触媒62を、効率よくCOを除去することができる温度とすることができる。これにより、CO除去システム22は、温度を調整することでも好適にCOを除去することができる。
【0093】
なお、
図5に示すフロー図では、CO濃度の下限と上限に基づいて、CO除去触媒の温度の上昇と低下とを切り替えたが、濃度の変化に応じて、CO除去触媒の温度の上昇と低下とを切り替え、より効率よくCOを除去できる温度とするように制御するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、CO測定部64の計測結果に基づいて、第1温度調整部70により第1CO除去触媒62の温度を調整したが、CO測定部64の計測結果に基づいて、第2温度調整部71により第2CO除去触媒63の温度を調整してもよい。つまり、CO除去システム22は、CO測定部64で測定した燃料ガスのCO濃度に基づいて、その後、通過する第2CO除去触媒63の温度を調整するようにしてもよい。なお、第2温度調整部71で第2CO除去触媒63の温度を調整する場合も、
図5に示すフロー図と同様の制御で効率よくCOを除去することができる。
【0095】
次に、
図7を用いて、CO除去システム22の動作の他の例を説明する。ここで、
図7は、CO除去システムの動作の一例を示すフロー図である。なお、
図7は、CO測定部64の測定結果に基づいて、複数の対象の動作を制御する場合の動作を示すフロー図である。
【0096】
CO除去システム22の制御部32は、まず、ステップS40としてCO濃度を計測する。制御部32は、ステップS40でCO濃度を計測したら、ステップS42として、制御対象の各値を算出する。つまり、制御対象の制御値を算出する。なお、制御対象としては、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第1温度調整部70の少なくとも1つが対象となる。また、制御部32は、制御値として、CO濃度をより低減させることができる制御値を算出する。
【0097】
制御部32は、ステップS42で各値を算出したら、ステップS44として、ステップS42で算出した値に基づいて、制御対象を制御する。つまり、第1空気供給部66及び/または第2空気供給部68から供給する空気の量を増減させたり、第1温度調整部70及び/または第2温度調整部71による加熱量、冷却量を増減させたりする。制御部32は、ステップS44で制御を行ったら、ステップS46に進む。
【0098】
制御部32は、ステップS46として、発電システム10が停止しているか(つまり、燃料ガスの排出が停止しているか)を判定する。制御部32は、ステップS46で、燃料ガスの排出が停止していない(No)と判定したらステップS40に進み、上述した処理を繰り返す。他方、制御部32は、ステップS46で、燃料ガスの排出が停止している(Yes)と判定したら処理を終了する。
【0099】
CO除去システム22は、このように、CO測定部64の測定結果に基づいて、複数の制御対象を制御することで、より好適に制御を行うことができる。つまり、CO除去システム22は、第1空気供給部66、第2空気供給部68、第1温度調整部70、第2温度調整部71を必要に応じて組み合わせて制御することで、COをより好適に除去することができる。
【0100】
なお、CO除去システム22は、第1空気供給部66、第2空気供給部68、第1温度調整部70、第2温度調整部71のいずれを制御するようにしてもよいが、燃料極46に与える影響や、制御しやすさの観点から、第1空気供給部66及び/または第2空気供給部68、温度調整部70及び/または第2温度調整部71の順で制御することが好ましい。また、CO除去システム22は、第1空気供給部66と、第1温度調整部70のいずれかを制御することで、第1CO除去触媒62での反応環境を制御することができ、第2空気供給部68と、第2温度調整部71のいずれかを制御することで、第2CO除去触媒63での反応環境を制御することができる。
【0101】
次に、
図8を用いて、CO除去システムの他の例を説明する。ここで、
図8は、CO除去システムの他の例の概略構成を示すブロック図である。なお、
図8に示すCO除去システム131は、CO測定部132を設けた点を除いて、他の構成は、
図2に示すCO除去システム22と同様の構成である。そこで、CO除去システム22と同様の構成には、同様の符号を付して、その説明を省略し、以下、CO除去システム131に特有の点について説明する。
【0102】
図8に示すCO除去システム131は、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部69と、第1温度調整部70と、第2温度調整部71と、CO測定部(下流側CO測定部)132と、を有する。また、制御部134の一部機能もCO除去システム131を構成し、CO除去システム131の各部の動作を制御する。なお、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部69と、CO測定部132は、配管60に接続されている。CO除去システム22の各部は、ガスの流れ方向において、上流から、第1空気供給部66、第1CO除去触媒62、CO測定部64、第2空気供給部68、第2CO除去触媒63、CO測定部132、第3空気供給部69の順で配置されている。また、配管60の第3空気供給部69の下流側には、燃料電池26の燃料極46が接続されている。
【0103】
CO測定部132は、燃料ガスの流れ方向において、第2CO除去触媒63よりも下流側で、かつ、第3空気供給部69よりも上流側の部分の配管60に配置されている。CO測定部132は、第2CO除去触媒63を通過し、第3空気供給部66に到達する前の燃料ガスに含まれるCO濃度を計測する。なお、CO測定部132は、配置位置を除いて、装置構成、CO濃度の計測方法は、CO測定部64と同様である。CO測定部132は、計測したCO濃度を制御部134に送る。
【0104】
制御部134は、CO測定部64でのCO濃度の測定結果に加え、CO測定部132でのCO濃度の測定結果に基づいて、第1空気供給部66、第2空気供給部68、第1温度調整部70、第2温度調整部71のいずれかを制御する。なお、制御部134は、CO測定部132でのCO濃度の測定結果に基づいて、第2空気供給部68、第2温度調整部71のいずれか、つまり、CO除去触媒での反応環境を制御する。
【0105】
CO除去システム131は、このように、制御部134で、CO測定部132でのCO濃度の測定結果に基づいて、第2空気供給部68、第2温度調整部71のいずれか、つまり、第2CO除去触媒63での反応環境を制御することで、第2CO除去触媒63を通過した後の燃料ガスに含まれるCO濃度に基づいて、反応環境の制御を行うことができる。これにより、CO除去システム131は、より好適にCOを除去することができる。
【0106】
また、CO除去システム131は、さらに、CO測定部64とCO測定部132での測定結果を用いて、制御を行うことで、第2CO除去触媒63での処理状態を算出することができ、より好適に反応環境を調整することができる。つまり、CO除去システム131は、CO測定部64とCO測定部132との測定結果から、空気の投入量、また第2CO除去触媒63の温度に対する、COの低減量を判定することができ、その結果に基づいて制御を行うことができる。
【0107】
また、CO除去システム131は、第1空気供給部66及び/または第2空気供給部68から配管60に供給する空気の量を制御することに代えて、あるいは、加えて、第3空気供給部69から配管60に供給する空気の量を制御するようにしてもよい。なお、この場合も、CO濃度の計測結果に基づいた流量の制御は、
図4に示すフロー図と同様の制御を行えばよい。
【0108】
まず、CO除去システム131は、第3空気供給部69を用いて、第2CO除去触媒63を通過した燃料ガスに空気を供給することで、燃料極46でCOと空気とを反応させることができ、燃料ガスに含まれるCOを除去することができる。これにより、燃料極46にCOが残留することを抑制することができ、燃料極46の性能の低減を抑制することができる。
【0109】
これにより、CO除去システム131は、CO測定部132を通過した燃料ガスに含まれるCOを好適に除去することができる。なお、上述したように、CO測定部132は、CO濃度を短時間で計測できる。このため、CO除去システム131は、CO濃度を計測した燃料ガスが流れ、第3空気供給部69に到達した時に、空気を供給することができる。これにより、必要十分な空気を好適に供給することができ、COを効率よく除去することができる。
【0110】
さらに、CO除去システム131は、第2CO除去触媒63を通過した燃料ガスに含まれるCO濃度に応じて、第3空気供給部69から供給する空気量を調整することで、必要十分な空気を燃料ガスに供給することができ、空気と燃料ガス中の水素とが反応することを抑制することができる。これにより、空気を供給することで、燃料ガス中の水素の低減量を少なくすることができ、発電の効率の低減を抑制することができる。つまり、発電システムの性能の低減を抑制しつつ、効率よく発電を行うことができる。
【0111】
また、CO除去システム131は、第1空気供給部66、第2空気供給部68、第3空気供給部69、第1温度調整部70、第2温度調整部71のいずれを制御するようにしてもよいが、燃料極46に与える影響や、制御しやすさの観点から、第1空気供給部66及び/または第2空気供給部68、第3空気供給部69、温度調整部70及び/または第2温度調整部71の順で制御することが好ましい。
【0112】
次に、
図9を用いて、CO除去システムの他の例を説明する。ここで、
図9は、CO除去システムの他の例の概略構成を示すブロック図である。なお、
図9に示すCO除去システム150は、CO測定部152を設けた点を除いて、他の構成は、
図2に示すCO除去システム22と同様の構成である。そこで、CO除去システム22と同様の構成には、同様の符号を付して、その説明を省略し、以下、CO除去システム150に特有の点について説明する。
【0113】
図9に示すCO除去システム150は、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部69と、第1温度調整部70と、第2温度調整部71と、CO測定部(上流側CO測定部)152と、を有する。また、制御部154の一部機能もCO除去システム131を構成し、CO除去システム150の各部の動作を制御する。なお、第1CO除去触媒62と、第2CO除去触媒63と、CO測定部64と、第1空気供給部66と、第2空気供給部68と、第3空気供給部69と、CO測定部152は、配管60に接続されている。CO除去システム22の各部は、ガスの流れ方向において、上流から、CO測定部152、第1空気供給部66、第1CO除去触媒62、CO測定部64、第2空気供給部68、第2CO除去触媒63、第3空気供給部69の順で配置されている。また、配管60の第3空気供給部69の下流側には、燃料電池26の燃料極46が接続されている。また、CO測定部152は、
図2に示すCO除去システム22のCO測定部64と同様の構成である。
【0114】
制御部154は、CO測定部64でのCO濃度の測定結果に加え、CO測定部152でのCO濃度の測定結果に基づいて、第1空気供給部66、第1温度調整部70のいずれかを制御する。つまり、制御部154は、CO測定部152でのCO濃度の測定結果に基づいて、第1CO除去触媒62での反応環境を制御する。
【0115】
CO除去システム150は、このように、制御部154で、CO測定部152でのCO濃度の測定結果に基づいて、第1空気供給部66、第1温度調整部70のいずれか、つまり、第1CO除去触媒62での反応環境を制御することで、CO測定部132で測定した燃料ガスが第1CO除去触媒62を通過する際に、好適にCOを除去できる環境とすることができる。つまり、第1CO除去触媒62を通過する前に、CO濃度を計測できるため、その濃度に応じて、反応環境を制御することができる。これにより、燃料ガスに含まれるCOをより好適に低減または除去することができる。なお、CO除去システム150は、CO測定部152でのCO濃度の測定結果に加え、CO測定部64の計測結果も用いて、第1空気供給部66、第1温度調整部70を制御するようにしてもよい。また、CO除去システム150は、CO測定部64の測定結果は、第2空気供給部68、第2温度調整部72の制御に用いるようにしてもよい。
【0116】
次に、
図10を用いて、発電システムの他の例を説明する。
図10は、CO除去システムを有する発電システムの他の例の概略構成を示すブロック図である。発電システム200は、原燃料供給部202と、燃料改質システム204、空気供給部24と、バルブ25と、燃料電池26と、冷媒供給部28と、放熱部30と、制御部208とを有する。また、燃料改質システム204は、蒸発部205と、改質部206と、CO除去システム22とを有する。ここで、CO除去システム22と、空気供給部24と、バルブ25と、燃料電池26と、冷媒供給部28と、放熱部30とは、
図1に示す発電システム10の各部と同様の構成であるので、説明は省略する。
【0117】
原燃料供給部202は、液体燃料、例えばメタノールを貯留した槽220と、槽220から液体燃料を吸引するポンプ224と、ポンプ224により槽220から吸引された液体燃料を流通させる配管226と、配管226に設けられたバルブ228と、配管226と蒸発部205とを接続する配管230と、水を貯留した槽240と、槽240から水を吸引するポンプ244と、ポンプ244により槽240から吸引された水を流通させ、配管230と接続された配管246と、配管246に設けられたバルブ248と、を有する。原燃料供給部202は、槽220に貯留された液体燃料と、槽240に貯留された水とを配管230で混合して、蒸発部205に供給する。
【0118】
蒸発部205は、原燃料供給部202から供給された液体燃料及び水を加熱等することによりガス化する。改質部206は、液体燃料と水による水蒸気改質反応を行い、水素リッチガス(燃料ガス、改質ガス)を生成する。改質部206は、生成した燃料ガスをCO除去システム22に供給する。CO除去システム22は、供給された燃料ガスからCOを除去した後、燃料ガスを燃料極46に供給する。また、燃料極46から排出されたガスは、蒸発部205に供給され、ガスに含まれる未反応の燃焼成分が燃焼され、蒸発部205の加熱源として用いられる。
【0119】
発電システム200のように、CO除去システム22に供給する燃料ガスの生成方法が異なる場合も、CO除去システム22を用いることで、COを好適に除去することができる。また。本実施形態では、CO変成部を設けていないが、CO除去システム22により好適にCOを除去することができる。なお、発電システム200の場合も、CO変成部を設けてもよい。また、上述した発電システム10の場合も、CO変成部を設けない構成としてもよい。
【0120】
ここで、本発明は上記実施形態にも限定されず、種々の形態とすることができる。例えば、各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、
図8に示すCO除去システムと、
図9に示すCO除去システムとを組み合わせてもよい。つまり、CO除去システムに、CO測定部64、132、152を設け、3箇所でCO濃度を計測するようにしてもよい。
【0121】
また、第2空気供給部を設けない構成としてもよい。また、温度調整部を設けない構成としてもよい。また、第1空気供給部や、第2空気供給部、温度調整部を設けている場合も、制御対象とはせず、CO測定部の測定結果に係わらず、一定の状態に制御するようにしてもよい。また、
図2及び
図9に示すCO除去システムのように、第2CO除去触媒の下流側にCO測定部を設けない場合は、第3空気供給部を設けない構成としてもよい。さらに、第1空気供給部で、第1CO除去触媒と第2CO除去触媒の両方で反応する空気(酸素)を供給するようにしてもよい。
【0122】
また、CO測定部の構成は、上記構成に限定されない。例えば、上記実施形態では、入射管と出射管を同軸上に設けたがこれには限定されない。例えば、配管内に光学ミラーを設け、入射管の窓から入射されたレーザ光を測定セル内の光学ミラーで多重反射させた後、出射管の窓に到達させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、配管内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、配管内を流れる流通ガスの濃度の分布(流通ガスの流量や密度のばらつき、流通ガス内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0123】
また、上記実施形態では、入射管と出射管を配管に直接設けたが、配管と同径の管に、入射管と出射管を設置し、その管を配管の一部にはめ込むようにしても良い。つまり、サンプリング配管の一部を切断し、その切断部に入射管と出射管を設置した管をはめ込むようにしてもよい。
【0124】
また、配管を流れる燃料ガスを一部採取する分岐管を設け、分岐管に計測セルを接続し、その計測セルを流れる燃料ガスに含まれるCO濃度を計測するようにしてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、第1空気供給部、第2空気供給部は、空気を供給したが、酸素のみを供給してもよい。また、第1空気供給部と、第2空気供給部とは、別系統の空気供給部としてもよい。