(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段は、前記稲株に接触可能にして前記本体の前部の下方に設けられて一端が稲株に対する接触状態に応じて回動する前記一対の接触子と、前記一対の接触子のそれぞれの回動状態に応じた電気信号を出力する回転角検出手段とを備え、
前記制御装置は、前記回転角検出手段による前記一対の接触子の回転角に応じた2つの電気信号を比較し、その差値に基づいて前記本体の前記中央部に前記稲株が位置するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水田除草ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は本発明に係る水田除草ロボットの第1の実施の形態の斜視図、
図2は平面図、
図3は正面図、
図4は側面図である。水田除草ロボット1は、
図1に示すように、稲株が通過可能なスペース10a(
図3参照)を中央部に有すると共に本体となるメインフレーム10と、メインフレーム10の下部の左右に設けられた一対の駆動部11A,11Bと、駆動部11A,11Bを制御する駆動制御部12と、プログラムに従って駆動制御部12を制御する演算部13と、メインフレーム10の上部に設けられた昇降用モーター14A,14Bと、を備えている。
【0023】
駆動部11A,11Bは、水田除草ロボット1を走行させるもので、メインフレーム10の左右に設けられている。駆動部11Aの構成について説明すると、
図4に示すように配設された駆動用モーター(駆動源)16と、この駆動用モーター16の回転が伝達される変速機構としての歯車17(
図2及び
図4参照)と、この歯車17に同軸に取り付けられると共に放射状に複数のフィン18A(
図1〜
図4参照)が片面(外側の面)に取り付けられた車輪19Aと、この車輪19Aの前後に配設させてメインフレーム10の下部に固定設置された第1のフロート20A,20Bと、を備えている。同様に、駆動部11Bは、図示しない駆動用モーター、図示しない歯車、複数のフィン18Bが側面に取り付けられた車輪19B、及び第1のフロート20C,20Dを備えている。駆動部11A,11Bは独立に動作するように構成されており、これによって車輪19A,19Bが個別に回転できる結果、水田除草ロボット1の転回が可能になっている。
【0024】
昇降用モーター14A,14Bは、第1のフロート20A〜20Dを昇降させるための駆動源である。昇降用モーター14A,14Bは、
図3に示すように2つのねじ21を介して第1のフロート20A〜20Dに結合されている。なお、駆動部11A,11B、駆動制御部12及び演算部13は、
図4に示す電源部(バッテリー及び安定化電源回路などを含む)22から電源が供給される。
【0025】
駆動用モーター16は、
図4に示すように車輪19A,19Bの軸心とほぼ同一の高さに設置されているため、水田除草ロボット1の重心が低くなり、これにより水田除草ロボット1の安定走行を可能にしている。なお、駆動用モーター16は、駆動部11A,11Bに個別に設けられているが、駆動部11A,11Bのそれぞれに変速機構を設けると共に駆動源を1つにし、駆動部11A,11Bを駆動するようにしてもよい。この場合、駆動源には、モーター以外に内燃機関が使用可能である。
【0026】
第1のフロート20A〜20Dは、水田にセットされた水田除草ロボット1が沈まないように、水田除草ロボット1に所定の浮力を生じさせるためのものであり、例えば、水田除草ロボット1の重量(本実施の形態の場合、約5kg)の6割程度の浮力を生じさせればよく、本実施の形態の場合、浮力は3kgとなる。なお、第1のフロート20A〜20Dの浮力が水田除草ロボット1の重量以上であると、車輪19A,19Bが地面から離れることによって車輪19A,19Bが空転し、水田除草ロボット1が進行できなくなる場合がある。したがって、第1のフロート20A〜20Dの浮力は水田除草ロボット1の重量未満にする必要がある。
【0027】
更に、水田除草ロボット1は、
図2及び
図3に示すように、メインフレーム10の下方の両側に回動自在に水平に取り付けられた接触子としてのセンサレバー23A,23Bと、
このセンサレバー23A,23Bの回転軸230A,230Bに取り付けられると共にその回動に応じて抵抗値が変化する回転角検出手段としてのポテンショメータ(又は可変抵抗器)24A,24Bと、畦の有無を検出する畦検知器としてのバンパースイッチ(
図3参照)25A,25Bと、水田除草ロボット1の進行方位を地磁気などにより検出する方位センサ26(
図2参照)と、水田除草ロボット1の姿勢を検出するジャイロセンサ27と、を備えている。方位センサ26及びジャイロセンサ27は、メインフレーム10の上部に設置され、これらはケース28によって保護されている。
【0028】
図5は、駆動制御部12及び演算部13からなる制御装置の構成を示すブロック図である。この制御装置30は、ドライバ回路などを備えた上記駆動制御部12と、CPUなどによる上記演算部13と、水田除草ロボット1を自律走行させるためのプログラム、該プログラムの実行に必要なデータ、該プログラムの実行過程で生じたデータなどを記憶すると共に稲株バッファ32の領域が確保されたメモリ31と、上記電源部22と、を備えている。なお、メモリ31は、例えば半導体メモリであり、内蔵又は着脱可能に設けられている。
【0029】
演算部13には、入力側にポテンショメータ24A,24B、バンパースイッチ25A,25B、方位センサ26及びジャイロセンサ27が接続され、出力側には昇降用モーター14A,14B及び駆動用モーター16が接続されている。なお、
図5においては、ポテンショメータ24A,24B、バンパースイッチ25A,25B、方位センサ26及びジャイロセンサ27は、演算部13に入力させるために必要なデジタル化回路などの図示を省略している。
【0030】
図6は、メモリ31に設定された稲株バッファの構成を示す図である。稲株バッファ32は、カウント値をm,nとするとき、MAP[m][n]によって表される。
図6において、カウント値m,nがMAP[0][n]に向かえば北方向を示すデータ、MAP[m][n]に向かえば南方向を示すデータ、MAP[0][0]に向かえば西方向を示すデータ、MAP[m][0]に向かえば東方向を示すデータになる。
【0031】
水田除草ロボット1が水田をくまなく走行するためには、枕地の部分も同様に走行する必要がある。したがって、水田除草ロボット1の大きさは、全長320mm、全幅340mm、更に、左右の一方の機体の幅は130mm程度であることが望ましい。このような条件を満たすことで、水田除草ロボット1は条間から株間への移動が可能になる。
【0032】
(水田除草ロボットの動作)
次に、水田除草ロボット1の動作について
図1〜
図7を参照して説明する。
図7は、水田除草ロボット1の走行軌跡の一例を示す図である。まず、作業者は水田除草ロボット1を除草希望の水田へ搬送した後、条と条の間に水田除草ロボット1を位置決め(セット)する。ついで、図示しない電源スイッチをオンにする。電源オンに伴って制御装置30の駆動制御部12及び演算部13が動作を開始し、これによって
図4に示す駆動用モーター16が回転し、その駆動力が歯車17を介して車輪19A,19Bに伝達され、水田除草ロボット1は走行を開始する。水田除草ロボット1は走行と共に除草を行う。水田除草ロボット1は、
図7に示すように、稲株41からなる水田の条と条の間を水田除草ロボット1が図示の位置A→位置B→位置Cへと移動することにより除草を行うものである。
【0033】
図8の(a),(b),(c)は、水田における車輪19Aの回転の様子を示す図である。ここでは、車輪19Aについて図示しているが、車輪19Bも同様である。なお、同図中、上方の破線は水面(WL)を示し、下方の凹凸を有する線は土壌面(GL)を示している。車輪19Aに放射状に設けられている複数のフィン18Aは、
図8の(a)に示すように車輪19Aの回転と共に土壌に刺さる如くに一部が水中に埋没する。車輪19Aの回転が進行すると、
図8の(b)に示すように複数のフィン18Aのうちの下部に位置する幾つかのフィンが土壌の一部を引っ掛けるように回転する。更に、車輪19Aの回転が進行すると、
図8の(c)に示すようにフィン18Aの1つ又は複数が雑草40と共に土壌の一部を剥離させる。フィン18Aによって抜かれた雑草40は水中を浮遊し、やがて枯死に至る。また、水田除草ロボット1が走行することによって水田の水が濁るため、水面下で発芽した雑草の光合成を阻害し、その成長が抑制される。
【0034】
水田除草ロボット1による除草作業を円滑に進めるためには、水田除草ロボット1が稲列に沿って
図7に示したように走行を継続する必要がある。そこで、水田除草ロボット1は稲列を検出し、この検出結果に基づいて制御装置30により制御を行っている。これについて以下に説明する。
【0035】
図9は、水田除草ロボットのセンサレバーと稲株との関係を示す図である。なお、水田除草ロボット1は、ここでは、
図7及び
図9に示す紙面の下側から上側に向かって走行しているものとする。
図9の(a)に示すように、稲株41が水田除草ロボット1の中央部にある場合、水田除草ロボット1のその後の進行に伴ってセンサレバー23A,23Bと稲株41の接触に伴う左右の回転角は、
図9の(b)に示すようにほぼ同じ値となる。また、
図9の(c)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中心部(センサレバー23A,23Bの中間位置)に対して進行方向の左側にある場合、バンパースイッチ23Bに対してセンサレバー23Aの回転角が大きく(即ち、ポテンショメータ24Aの出力値が大きくなる。更に、
図9の(d)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中心部に対して進行方向の右側にある場合、センサレバー23Aに対してセンサレバー23Bの回転角が大きくなる。
【0036】
水田除草ロボット1が、その中心に稲株41を位置決めしながら
図7に示すように走行するためには、センサレバー23Aとセンサレバー23Bの回転角とを比較し、センサレバー23Aがセンサレバー23Bより大きければ演算部13によって車輪19Bを車輪19Aよりも早く回転させ、センサレバー23Bの回動がセンサレバー23Aよりも大きければ演算部13によって車輪19Aを車輪19Bよりも早く回転させ、稲列41への正確な倣いを行う。センサレバー23A,23Bの回動状態はポテンショメータ24A,24Bに伝達され、これらの回転軸の回転に応じた電圧信号がデジタル化された後、
図5に示す演算部13に取り込まれる。
【0037】
演算部13による制御の詳細について、
図10に示すフローチャートを参照して説明する。まず、演算部13は、センサレバー23A,23Bの回転角、即ち、ポテンショメータ24A,24Bの出力値を取得する(S100)。次に、演算部13はポテンショメータ24Aの出力値とポテンショメータ24Bの出力値とを比較し、センサレバー23A,23Bの2つの回転角に差が無い(右回転角=左回転角)場合(S101:Yes)、つまり、
図9の(b)に示すように水田除草ロボット1の中央でセンサレバー23A,23Bが共に稲株41と接触していた場合、演算部13は方位角の取り込み処理に移行する(S105)。演算部13は目標方位と現在方位とを比較し(S106)、両者に差がない場合(S106:Yes)、演算部13は水田除草ロボット1が直進走行するように駆動部11A,11Bを制御する(S110)。
【0038】
また、上記ステップS106において目標方位よりも現在方位が大きい場合(S107:Yes)、つまり、
図9(d)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中央部より右側(進行方向に対して)にある場合、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御し、水田除草ロボット1を右側へ旋回させる(S108)。また、目標方位より現在方位が小さい場合(S107:No)、つまり、
図9(c)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中央部より左側(進行方向に対して)に有る場合、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御し、水田除草ロボット1を左側へ旋回させる(S109)。水田除草ロボット1の走行は方位の差が大きいほど急な(半径の小さな)円弧となり、方位の差が小さいほど緩やかな(半径の大きな)円弧となる。
【0039】
また、「右回転角=左回転角」ではない場合(S101:No)、処理はステップS102へ移行する。例えば、右側に比べて左側の回転角が大きい場合(S102:Yes)、つまり、
図9(c)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中央部より左側(進行方向に対して)に有る場合、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御して水田除草ロボット1を進行方両の左側へ旋回させる(S103)。更に、センサレバー23Aに比べて右側のセンサレバー23Bの回転角が大きい場合(S102:No)、つまり、
図9(d)に示すように稲株41が水田除草ロボット1の中央部より右側(進行方向に対して)に有る場合、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御して進行方向の右側へ旋回させる(S104)。この場合も水田除草ロボット1の旋回は左右の回転角の差が大きいほど急な円弧となり、差が小さいほど緩やかな円弧となる。上記ステップS103,S104の処理が終了すると、処理はステップS105へ移行し、上記したステップS105〜S110の処理が再度実行される。
【0040】
一般的な水田の場合、稲株41は規則正しく植えられており、条列あるいは株列の違いによって稲株41の数が大きく異なることはなく、水田の縦方向と横方向の稲株41の数を計測することにより、水田全体の大きさを把握できる。また、水田除草ロボット1の位置も、縦方向及び横方向の株数から推測することができる。
【0041】
また、水田除草ロボット1の走行中、水田除草ロボット1の後部が下がった(即ち、後
方に傾斜した)ことをジャイロセンサ27が検出すると、演算部13は昇降用モーター14A,14Bを動作させて第1のフロート20A,20Cを下方へ移動させる。これにより、水田除草ロボット1を通常状態(水平状態)に修正する。逆に、水田除草ロボット1の前部が下がった(即ち、前方に傾斜した)ことをジャイロセンサ27が検出すると、演算部13は昇降用モーター14A,14Bを動作させて第1のフロート20B,20Dを上昇させ、水田除草ロボット1を後方に傾斜させ、通常の姿勢にする。これにより、水田が不安定な土壌であっても、水田除草ロボット1を安定に走行させることができる。また、同様にして、水田除草ロボット1の左右方向の変化に対しても第1のフロート20A〜20Dを昇降制御することにより、水田除草ロボット1は通常状態を保持することができる。
【0042】
更に、水田除草ロボット1は、水田内を走行することにより水田の大きさを把握し、除草済み区域と未除草区域とを判別することが可能である。この判別には、水田除草ロボット1の進行方位の情報が必要であるが、この情報は水田除草ロボット1に搭載された方位センサ26から取得する。
【0043】
(畦の検知)
次に畦の検知について説明する。水田除草ロボット1が水田全体を自動で走行するためには、稲列を1列倣い走行した後に畦を検知して次の稲列へ乗り移り、再び倣い走行する処理を繰り返す必要がある。この処理について、以下に説明する。
【0044】
図11は、水田除草ロボットの畦検知の処理を示すフローチャートである。まず、演算部13は、センサレバー23A,23Bの回転角、即ち、ポテンショメータ24A,24Bの電圧信号のレベルを取得する(S200)。演算部13はポテンショメータ24A,24Bの電圧信号の値をチエックし(S201)、どちらも予め定めた回転角以上に相当する電圧値になっていれば(S201:Yes)、次に、バンパースイッチ(バンパーSW)25A,25Bの状態をチエックする(S202)。バンパースイッチ25A,25Bが共にONになっていれば畦であると判断する(S203)。畦であればバンパースイッチ25A,25Bが復帰するまで(OFFになるまで)水田除草ロボット1を後退させ(S204)、次いで、現在方位から90°旋回させる(S205)。折り返し処理であれば、円弧を描くように90°走行(90°旋回走行)し(S206)、そのまま隣の稲列に進入し(S207)、再び稲列倣いを行う。なお、上記ステップS201においてセンサレバー25A,25Bの回転角が一定値以上に至っていない場合(S201:No)、畦検出に伴う処理を終了してリターンする。
【0045】
また、水田除草ロボット1が水田内を走行するに際しては、水田をマッピングする必要がある。このマッピングは、
図6に示す稲株バッファ32(MAP[m][n])を用いて行われる。演算部13は、水田除草ロボット1が稲株41を通過検出する度に方位センサ26による情報を取得する。演算部13は、東西南北のどの進行方位にあるかを判断し、北方向であればカウンタnを加算し、南方向であればカウンタnを減算し、東方向であればカウンタmを加算し、西方向であればカウンタmを減算する処理を実行する。この処理によるカウンタm,nのカウント値は、稲株41の情報としてメモリ31の稲株バッファ32に記憶される。この処理は稲株41をカウントする度に繰り返し実行され、これによって、水田の形状と除草済み区域、未除草区域及び水田除草ロボット1の自己位置が算出される。
【0046】
水田除草ロボット1の走行中又は除草作業の終了時に演算部13によって稲株バッファ32を監視し、未除草区域があれば、その場所へ向かうように演算部13によって走行制御が行われる。これにより、水田除草ロボット1は水田の形状を把握できると共に自己の位置と未除草区域とを認識でき、したがって未除草区域を生じさせることなく、安定した除草が行われる。
【0047】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態の水田除草ロボット1によれば、センサレバー23A,23B、ポテンショメータ24A,24B及び演算部13によって水田内を稲株41に倣って自律走行し、雑草41を土壌より剥離して枯死させると同時に土壌を撹拌するため、光合成を阻害し、新たな雑草40の生育を阻止することができる。また、水田内を自律走行することによって水田の大きさや形状を記憶でき、除草済み区域と未除草区域とを判別することができるため、水田全体を効率的に除草することができる。
【0048】
また、
図10に示した処理により、水田除草ロボット1のセンサレバー25A,25Bにより稲株41と水田除草ロボット1の位置関係を確認しながら走行でき、常に水田除草ロボット1の中央に稲株41が位置するように通過するため、稲を踏み倒さないようにすることができる。また、水田除草ロボット1を目標方位に追従させられるため、車輪19A,19Bがスリップして進行方向を一時的に誤っても直ちに方向補正が行える、水田除草ロボット1の進行方向が大きく狂わないようにすることができる。
【0049】
更に、
図11に示した処理により、水田除草ロボット1の進行に伴ってバンパースイッチ25A,25Bが畦に接触して畦を検知できるため、畦の形状に影響されることなく、畦を正確に検知することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
図12は、本発明に係る水田除草ロボットの第2の実施の形態の車輪の構成を示す正面図であり、図中、(a)〜(c)は回転の進行に伴うフィンの変化(動き)を示している。
図12においては車輪19Bを図示していないが、車輪19Aと同様である。本実施の形態は、第1の実施の形態において車輪19A,19Bへのブイン18A,18Bの取り付け状態を異ならせたものであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0051】
水田は一様な形態ではなく、粘土質でぬかるみが出やすい土壌の場合もある。このような土壌においては、第1の実施の形態に示した車輪の形状では不適当な場合がある。例えば、前記フィン18A,18Bが想定以上に水田の土壌に埋没し、それにより掻き上げる土の量が増大すると車輪19A,19Bへの負荷が大きくなり、水田除草ロボット1の走行に影響を及ぼすことになる。
【0052】
この問題を解決するために本実施の形態は、車輪19A(19B)の表面に円周方向へ等間隔に設けられると共に複数のフィン18Aのそれぞれの一端を回動自在に軸支する支点33と、車輪19Aの表面の外周近傍に設けられた複数の第1のストッパー34と、支点33と略同一円上に設けられ、車輪19Aの回転に応じて複数のフィン18Aのそれぞれの他端を係止する第2のストッパー35と、を備えている。
【0053】
フィン18Aの他端(自由端)は、土壌に接触する前にあっては、
図12の(a)に示すように、第1のストッパー34に接触している。車輪19Aの回転に伴い、フィン18Aは回動してその自由端は第1のストッパー34から離れ、自由端は土壌に刺さるようにして土壌に埋没する。さらに車輪19Aの回転が進行すると、
図12の(b)に示すように、フィン18Aの自由端は土壌の抵抗により、支点33を中心に回動を始め、自由端は第2のストッパー35に接触した時点で停止する。このとき、土壌に対してフィン18Aがほぼ水平になるように第2のストッパー35が配置されていれば、車輪19Aが必要以上に土壌中に埋没するのを防止できる。この状態から車輪19Aの回転が更に進行すると、フィン18Aが土壌から離脱するが、その際も土壌表面に対して急角度で離脱することになり、
図12の(c)に示すように、土壌が必要以上に掻き上げられることがなく、車輪19Aの回転に対する負荷が軽減される。
【0054】
第2の実施の形態によれば、車輪19A,19Bに設けられたフィン18A,18Bを支点32によって回動できるようにしたことにより、車輪19A,19Bが必要以上に土壌に埋没されず、しかも必要以上に土壌を掻き上げることがないので、車輪19A,19Bの回転に対する負荷を軽減することができ、水田除草ロボット1を安定に走行させることができる。
【0055】
[第3の実施の形態]
図13は本発明に係る水田除草ロボットの第3の実施の形態の斜視図、
図14は
図1に示す水田除草ロボットの平面図、
図15は正面図、
図16は側面図である。この水田除草ロボット1は、第1の実施の形態において、車輪19A,19Bを前輪とし、これより直径の小さい車輪19C,19Dを後輪にした4輪構成にし、更に、センサレバー23A,23B、ポテンショメータ24A,24B及びバンパースイッチ25A,25Bに代えて、昇降可能な第2のフロート50A,50Bと、第2のフロート50A,50Bの上部に取り付けられた“く”字形状に配置された検出手段としての接触子51A,51B,52A,52Bとを備えた構成にしたものであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。なお、上記した構成の変更に伴い、外観が第1の実施形態とは異なる部分がある。以下、本実施の形態の新規な部分について説明する。
【0056】
後輪である車輪19C,19Dは、前輪である車輪19A,19Bよりも小径にされ、その車輪間距離も車輪19A,19Bより小さくなっている。これにより、除草幅は第1の実施の形態の約2倍になる。
【0057】
第2のフロート50A,50Bは、水田除草ロボット1の前部に配置され、
図16に示すように、リンク機構53A,53Bを介して回動可能に駆動部11A,11Bに取り付けられており、リンク機構53A,53Bのリンク530A,530Bの昇降に伴って上下方向に移動する。第2のフロート50A,50Bとリンク機構53A,53Bとの結合は回転軸54(
図16参照)によってなされ、これにより、第2のフロート50A,50Bとリンク機構53A,53Bとの間でも若干の回動ができるようになっている。更に、第2のフロート50A,50Bは水面に浮いた状態を保持できるように、例えば、発泡ウレタン等の比重の小さい素材で構成されている。そして、水田除草ロボット1の姿勢が変化しても水面WL(
図4参照)からの高さをほぼ一定に維持することができるように、第2のフロート50A,50Bはメインフレーム10に対して上下方向に個別に移動可能になっている。なお、進行方向に向かって左側の接触子51A,51B及び右側の接触子52A,52Bのそれぞれは、相互に電気的に独立しており、それぞれが図示しないケーブルによって
図14に示す信号処理部55に電気的に接続されている。
【0058】
ところで、接触子51A,51B,52A,52Bは、稲株41に接触又は近接した際の静電容量の変化を検出する静電容量センサとして機能するものであるが、これらはフロート50A,50Bに取り付けられているため、フロート50A,50Bの静電容量の影響を受けることになる。そこで、フロート50A,50Bの静電容量を検出する接触子58A,58Bを設け、より高精度に稲株41を検出できるようにしている。この接触子58A,58Bは、
図13及び
図17に示すようにフロート50A,50Bに取り付けられている。また、接触子51A,51B,52A,52Bは水面からの高さが接触子51A,51B,52A,52Bと同一になるように取り付けられている。
【0059】
駆動部11A,11Bには、これらを制御する制御装置56(
図18参照)が接続されている。この制御装置56は
図5に示した駆動制御部12、演算部13及び電源部22等を備え、更に、演算部13には上記方位センサ26及び信号処理部55が接続されている。演算部13、電源部22、方位センサ26、静電容量センサ55等は、筐体60に納められており、その上面には電源スイッチ57や各種の設定等を行う複数のツマミが設けられている。また、制御装置56に接続される信号線のうち、駆動制御部12に接続される信号線はケーブル59A,59Bにまとめられている。
【0060】
(水田除草ロボットの動作)
次に、第3の実施の形態における水田除草ロボット1の動作について説明する。
図19は、水田除草ロボット1の走行軌跡の一例を示している。まず、作業者は水田除草ロボット1を除草希望の水田へ搬入した後、条と条の間に水田除草ロボット1を位置決め(配置)する。ついで、制御装置56の電源スイッチ57をオンにする。電源オンに伴って制御装
置56の駆動制御部12及び演算部13が動作を開始し、方位センサ26から進行方向の方位(目標方位)のデータが入力される。また、演算部13には接触子51A,51B,52A,52Bからの静電容量検出信号が入力され、そのデータ値を基準値とする。
【0061】
以上の処理によって駆動モーター16が回転を開始し、その駆動力が図示しない歯車を介して車輪19A〜19Dに伝達され、水田除草ロボット1は走行を開始する。水田除草ロボット1は、走行と同時にフィン18A〜18Dによって除草を行う。水田除草ロボット1は、
図19に示すように稲株41の連続配置からなる水田の条と条との間を同図に示す位置A→位置B→位置Cへと順に移動することにより除草が連続に行われる。
【0062】
図20は水田除草ロボット1の接触子51A,51B,52A,52Bと稲株41との関係を示す図である。なお、水田除草ロボット1は、ここでは
図19及び
図20に示す紙面の下側から上側に向かって走行しているものとする。稲株41が
図20の(a)に示すように水田除草ロボット1の中央部(接触子51Aと接触子51Bとの中間位置)にある場合、稲株41は水田除草ロボット1の以後の進行に際して接触子51A,51Bのいずれにも接触しないので、方位センサ26の目標方位に向けて進行する。次に、稲株41が
図20の(b)に示すように水田除草ロボット1のやや右側(進行方向に対して)にある場合、水田除草ロボット1のその後の進行によって稲株41は接触子51Bに接触する。接触子51Bへの稲株41の接触(又は接近)により接触子51Bの地面に対する静電容量が変化、即ち静電容量が増大する。そこで、制御装置56は接触子51Bの静電容量が基準値に戻るまで、即ち稲株41と接触子25Bが離れるまで水田除草ロボット1を右方向に旋回させる。この旋回は右側の車輪19B,19Dを逆転させ、左側の車輪19A,19Dを正転させることにより行われる。
【0063】
次に、
図20の(c)に示すように、稲株41が水田除草ロボット1の中央部よりやや左側(進行方向に対して)にある場合、水田除草ロボット1のその後の進行によって稲株41が接触子51Aに接する。稲株41の接触(又は接近)により、接触子51Aの静電容量が増大する。そこで、制御装置56は接触子51Aの静電容量が基準値に戻るまで、即ち、稲株41と接触子25Aが離れるまで水田除草ロボット1を左方向に旋回させる。この円弧運動は左側の車輪19A,19Cの回転速度に対して右側の車輪19B,19Dの回転速度を速くすることにより行われる。
【0064】
次に、
図20の(d)に示すように、稲株41が水田除草ロボット1の中央部より大きく右側(進行方向に対して)にある場合、水田除草ロボット1のその後の進行によって稲株41が接触子52Bに接する。稲株41の接触又は接近により接触子52Bの静電容量が増大する。そこで、制御装置56は水田除草ロボット1は接触子52Bの静電容量が基準値に戻るまで、即ち稲株41と接触子52Bとが離れるまで水田除草ロボット1を右方向に旋回させる。この旋回は右側の車輪19B,19Dを逆転させ、左側の車輪19A,19Cを正転させることにより行われる。
【0065】
同様に、
図20の(e)に示すように、稲株41が水田除草ロボットの中央部より大きく右側(進行方向に対して)にある場合、水田除草ロボット1のその後の進行によって、稲株41が接触子52Bに接する。稲株41の接触又は接近により接触子52Bの静電容量は増大する。そこで、制御装置56は接触子52Bの静電容量が基準値に戻るまで、即ち稲株41と接触子25Bとが離れるまで水田除草ロボット1を左方向に旋回させる。この旋回は左側の車輪19A,19Cを逆転させ、右側車輪19B,19Dを正転させることにより行われる。以上説明した動作により、水田除草ロボット1は稲列41への正確な倣いを行う。
【0066】
次に、演算部13による制御の詳細について
図21の水田除草ロボット1の制御を示すフローチャートを参照して説明する。水田除草ロボット1を所定の位置にセットした後、制御装置56の電源スイッチ57をオンにする。まず、演算部13は方位センサ26から現在方位を取得し、これを目標方向をセットする。また、静電容量センサ55から現在の静電容量を取得し、これを基準値とする(S300)。
【0067】
次に、演算部13は、除草ロボット1の前側の接触子52A,52Bの静電容量の変化を監視し、両方とも基準値に対して変化がない場合(S301:無)、つまり稲株41が水田除草ロボット1の中央に位置しているか、或いは更に大きく外れているかのいずれかであれば、内側接触子51A,51Bの静電容量変化の監視に移行する(S305)。両方の静電容量に基準値からの変化がなければ、次に、方位角の読み込みに移行する(S309)。目標方位と現在方位とを比較し(S310)、両者に差がない場合(S310:Yes)、演算部13は水田除草ロボット1が直進走行するように駆動部11A,11Bをモーター16を制御する(S314)。
【0068】
演算部13は、上記ステップS311において目標方位より現在方位が大きい(目標方位に対して時計回りに傾いている場合にプラス数値とし、反時計方向に傾いている場合にマイナス数値とする(S311:Yes)。即ち、水田除草ロボット1が目標方位に対して右側に傾いている場合には演算部13により駆動部11A,11Bを制御して水田除草ロボット1を左方向へ旋回させる(S312)。この場合、水田除草ロボット1の走行は、方位の差が大きいほど急な円弧となり、方位の差が小さいほど緩やかな円弧となる。
【0069】
また、上記ステップS311において除草ロボット1の接触子52A,52Bの静電容量と基準値との変化があった場合(S301:有)、処理はステップS302へ移行する。例えば接触子52Bの静電容量の変化が基準値に対して大きい場合(S302:Yes)、即ち、
図20の(d)に示すように水田除草ロボット1の中央部より右側(進行方向に対して)に稲株41が有る場合には、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御して水田除草ロボット1を右側へ旋回させる(S303)。更に、接触子52Bの静電容量変化が基準値に対して大きい場合(S302:No)、即ち、
図20の(e)に示すように水田除草ロボット1の中央部より左側に稲株41がある場合には、駆動部11A,11Bを演算部31によって制御して水田除草ロボット1を左側に旋回させる(S304)。
【0070】
また、除草ロボット内側の接触子51A,51Bの静電容量が基準値に対して変化した場合(S305:有)、処理はステップS306に移行する。例えば、接触子51Bの静電容量変化が基準値に対して大きい場合(S306:Yes)、つまり、
図20の(b)に示すように水田除草ロボット1の中央部より右寄りに稲株41がある場合には、演算部13によって駆動部11A,11Bを制御して水田除草ロボット1を右側に旋回させる。(S307)。さらに接触子26Aの静電容量変化が基準値よりも大きい場合(S306:No)、つまり、
図20の(c)に示すように水田除草ロボット1の左寄りに稲株41がある場合、演算部31によって駆動11A,11Bを制御して水田除草ロボット1を左側に旋回させる。上記ステップS303,S304、又は上記ステップS307,S308の処理が終了すると、処理はステップS309へ移行し、上記したステップS309〜S314の処理を再度実行する。
【0071】
なお、上記ステップS301及びS305において、稲株41が接触子51A,51B,52A,52Bのいずれかに接触した場合に静電容量が変化するが、この静電容量と接触子58A,58Bの静電容量とを比較し、その数値に差が生じたことをもって稲株41に除草ロボット1が接触したものと判定する。即ち、ステップS301,305において接触子51A,51B,52A,52Bと、接触子58A,58Bとの間に静電容量の差が有るか否かの判別を行っている。
【0072】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態の水田除草ロボット1によれば、静電容量センサである接触子51A,51B,52A,52Bに稲株41が触れるのみで検出が可能であり、移植直後の柔らかい稲であっても検出することができる。
【0073】
更に、接触子51A,51B,52A,52Bを取り付けたフロート50A,50Bは、メインフレーム10に昇降自在に取り付けられているため、走行時の水田除草ロボット1の姿勢変化に影響されることなく水面WLからの距離を一定に保つことができるため、移植直後の背の低い稲も検出することが可能であり、安定した自律走行が可能になる。
【0074】
また、フロート50A,50Aの静電容量を検出する接触子58A,58Bを設けたことにより、フロート50A,50Bが土壌に接触することによる静電容量の変化や、急激なロボットの姿勢変化によって接触子が水没してしまった場合においても、基準となる接触子との差で検出するため、精度よく稲株を検出することができる。
【0075】
また、車輪19A,19B、ブイン18A,18Bに対し、車輪19C,19D、フィン18C,18Dの走行路が重ならないようにしたことにより、車輪19A,19B、フィン18A,18Bのみの水田除草ロボット1に対して除草幅を約2倍にすることができる。
【0076】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、第1の実施の形態では、
図9における稲株41の検出をセンサレバー23A,23B及びポテンショメータ24A,24Bにより行うものとしたが、これに限定されるものではなく、接触式、非接触式のいずれであってもよい。接触式の例として、例えば、触覚センサ、リミソトスイッチなどをあげることができる。更に、非接触式の例として、例えば、光電センサ、超音波センサ、赤外線距離センサなどをあげることができる。
【0077】
また、上記各実施の形態においては、水田除草ロボット1の姿勢の変化を検出する手段として、ジャイロセンサ27を用いたが、例えば、加速度センサに置き換えることも可能で、姿勢変化を検出できるものであれば、代用することができる。また、第1のフロート20A〜20Dを昇降させる手段として、昇降用モーター14A,14Bと左右の2つのねじ21を用いたが、第1のフロート20A〜20Dを自在に上下することができさえすれば、この構成に限定されるものではない。
【0078】
また、第1の実施形態において、車輪19A,19Bは、一対を示したが、メインフレーム10の大きさ、重量等に応じて2対以上に増やすことができる。同様に、第3の実施形態も4輪以上の車輪を有する構成であってもよい。
【0079】
また、第3の実施形態において、
図16におけるフロート50A,50Bのメインフレーム10への取り付けにおいて、リンク機構53A,53Bを用いて上下方向に移動させるものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、上下方向に設けたスライドシャフトに摺動可能なブッシュを設け、それに結合することにより上下方向に移動自在にする構成が考えられる。
【0080】
さらに、上記第3の実施形態では、除草ロボット左右の前側と内側にそれぞれ二つの接触子51A,51B,52A,52Bを設けたが、3ヶ所又はそれ以上に設けて、それぞれの接触子の位置に応じて円弧走行(旋回)の半径を変えるように制御する構成にすることもできる。