特許第5773616号(P5773616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5773616コントロール・モーメント・ジャイロスコープを用いて敏捷性のあるビークルの向きを変更する際に運動量の境界を課す方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773616
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】コントロール・モーメント・ジャイロスコープを用いて敏捷性のあるビークルの向きを変更する際に運動量の境界を課す方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/28 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   B64G1/28 B
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-246127(P2010-246127)
(22)【出願日】2010年11月2日
(65)【公開番号】特開2011-98722(P2011-98722A)
(43)【公開日】2011年5月19日
【審査請求日】2013年10月24日
(31)【優先権主張番号】12/611,485
(32)【優先日】2009年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100096068
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 住江
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・アンダーヒル
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−132965(JP,A)
【文献】 特開2007−163476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルに搭載された複数のコントロール・モーメント・ジャイロを備えるコントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)・アレイを使用して前記ビークルの向きを変更する方法であって、前記CMGアレイが、運動量方向の角運動量成分を含む総角度運動量を有するものであり、前記方法が、
前記CMGアレイを使用して前記ビークルの向きを変更するための入力トルク・コマンドを取得するステップと、
前記総角運動量が運動量境界基準を超えるとき、または運動量境界基準に近づいているときに、
前記運動量方向においてのみ前記入力トルク・コマンドを減少させて、変更されたトルク・コマンドを得るステップと、
前記変更されたトルク・コマンドを使用して、前記CMGアレイを操作するステップと
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記CMGアレイの総運動量ベクトルを取得するステップであって、前記総運動量ベクトルが、運動量方向における総角度運動量に対応し、前記運動量境界基準が、前記運動量方向における運動量境界からなるものである、ステップと、
前記総角度運動量が、前記運動量方向における前記運動量境界を越えるかまたは前記運動量境界に近づいているかを判定するステップと
を更に備える方法。
【請求項3】
アジャイル・ビークルの制御システムであって、
前記アジャイル・ビークルの向きを変更するためのトルク・コマンドを提供するように構成された姿勢制御システム(ACS)と、
前記アジャイル・ビークルに搭載された複数のコントロール・モーメント・ジャイロを備えるコントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)・アレイを備え、前記ACSに結合される運動量制御システム(MCS)と、
を備え、前記MCSが、
前記ACSから前記トルク・コマンドを取得し、
前記CMGアレイの角運動量が運動量境界基準を超えるまたは運動量境界基準に近づいているときにその旨を識別し、
前記CMGアレイの前記角運動量が前記運動量境界基準を超えるときまたは運動量境界基準に近づいているときに、
前記CMGアレイの角運動量の方向においてのみ前記トルク・コマンドを減少させることにより、変更されたトルク・コマンドを決定し、
前記変更されたトルク・コマンドを使用して、前記CMGアレイを操作する
ように構成される、
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、一般には、宇宙船の姿勢制御システムに関し、より詳細には、本主題の実施形態は、ジャイロスコープ・アレイの運動量の境界で、ジャイロスコープ・アレイを使用して敏捷性のあるビークル(アジャイル・ビークル、agile vehicle)の向きを変更する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジャイロスコープは、現在、数多くの軍事および民間の用途に使用されている。一般的な用途の1つは、コントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)と呼ばれるジャイロスコープを使用して、宇宙船、衛星、または他のアジャイル・ビークルの姿勢(または向き)を制御するものである。CMGは、回転ロータおよび1または複数の電動ジンバルを備え、ジンバルはロータを回転させる(例えば、ジンバルで支持する)ために使用され、これはロータの角運動量ベクトルの方向を変える。この角運動量の変化により反動トルクが生じ、その反動トルクが宇宙船を所望の姿勢または向きに回転させる。姿勢制御システム(ACS)および他の宇宙船の向き決定アプリケーションは、しばしば、CMGアレイとも呼ばれる少なくとも3つの単一ジンバルCMGを備えた運動量制御システム(MCS)を用いる。
【0003】
CMGのハードウェアの制約が、個々のCMGにより伝達および/または蓄積されることが可能な運動量を制限する。また、特異点(singularity)として知られる、CMGアレイ内でのCMGの特定の配置は、CMGアレイが特定方向のトルクを生成する能力を制限し、それにより、ACSがビークルの向きを一部の方向に変更する能力を制限する。従って、ステアリング制御則とも呼ばれる1または複数の制御体系がMCSで用いられ、CMGアレイに特異点や飽和を生じさせることなく所望の総トルク(即ち、命令されたトルク)を生成するために、どのように個々のCMGを回転させるかを決定する。しばしば、ステアリング制御則(1または複数)は、CMGアレイにより蓄積および/または伝達されることが可能な運動量に制限を課す。運動量(モーメント)の制限は、宇宙船の角運動量の方向、CMGアレイの個々のCMGのジンバルの角度位置(即ち、ジンバル角度)、および、CMGアレイで使用されるステアリング制御則(1または複数)の、非線形の複素関数である。これに関して、3次元空間では、ステアリング制御則(1または複数)により課される運動量の制限は、様々な運動量方向における許容可能な運動量ベクトルの集合からなる不規則な多面体として表すことができる。
【0004】
ステアリング制御則(1または複数)により課される運動量の制限は複雑で非線形であるため、従来技術による姿勢制御システムの大半は、ステアリング制御則(1または複数)により課される運動量制限により制約される自主的な運動量制限を使用している。これに関して、3次元空間では、自主的な運動量制限は、ステアリング制御則(1または複数)により課される運動量制限に相当する不規則な多面体の中に内接した球として表すことができる。用途によっては、ビークルの向きを可能な限り迅速に変更できることが望ましい。しかし、従来技術のシステムは、逆に、CMGアレイの運動量を制限しており、ステアリング制御則(1または複数)の下で達成可能な運動量能力を最大化できていない。従って、CMGアレイは、ビークルの向きをより迅速に変更することを可能にする追加的な運動量(不規則多面体の外側表面と、3次元空間における多面体の中に内接する球との間の体積に相当する)を提供できるにも関わらず、従来技術ではCMGアレイの使用可能な運動量が最大限に使用されていない。
【発明の概要】
【0005】
コントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)・アレイを使用してビークルの向きを変更する方法が提供される。CMGアレイは、ビークルに搭載された複数のCMGを備え、CMGアレイは、運動量(kinetic momentum)方向の角運動量成分(kinetic angular momentum component)を含む総角運動量を有する。方法は、CMGアレイを使用してビークルの向きを変更するための入力トルク・コマンドを取得するステップと、総角運動量が運動量境界の基準を超えているか、または運動量境界の基準に近づいていときは、運動量方向において入力トルク・コマンドを減少させ、トルク・コマンドを変更するステップと、変更されたトルク・コマンドを使用してCMGアレイを操作するステップとを含む。
【0006】
別の実施形態では、アジャイル・ビークルの制御システムが提供される。この制御システムは、アジャイル・ビークルの向きを変更するためのトルク・コマンドを提供するように構成された姿勢制御システム(ACS)と、ACSに結合された運動量制御システム(MCS)とを備える。MCSは、アジャイル・ビークルに搭載された複数のCMGを備えるコントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)アレイを備える。MCSは、ACSからトルク・コマンドを取得し、CMGアレイの角運動量が運動量境界基準を超えているかまたは運動量境界基準に近づいているときに、その旨を識別するように構成される。CMGアレイの角運動量が運動量境界基準を超えているかまたは運動量境界基準に近づいているとき、MCSは、CMGアレイの角運動量の方向におけるトルク・コマンドを減少させることにより、変更されたトルク・コマンドを決定し、その変更されたトルク・コマンドを使用してCMGアレイを操作するように構成される。
【0007】
以降において、本主題の実施形態について、以下の図面の図と併せて説明する。図中では同様の参照符号は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態による、アジャイル・ビークルに使用するのに適した制御システムのブロック図である。
図2図2は、図1の制御システムで使用するのに適した運動量制御処理の流れ図である。
図3図3ないし図6は、例示的な実施形態において図2の流れ図とともに使用するのに適した、運動量境界に対してのコントロール・モーメント・ジャイロスコープ・アレイの角運動量の様々な状態を示す。
図4図3ないし図6は、例示的な実施形態において図2の流れ図とともに使用するのに適した、運動量境界に対してのコントロール・モーメント・ジャイロスコープ・アレイの角運動量の様々な状態を示す。
図5図3ないし図6は、例示的な実施形態において図2の流れ図とともに使用するのに適した、運動量境界に対してのコントロール・モーメント・ジャイロスコープ・アレイの角運動量の様々な状態を示す。
図6図3ないし図6は、例示的な実施形態において図2の流れ図とともに使用するのに適した、運動量境界に対してのコントロール・モーメント・ジャイロスコープ・アレイの角運動量の様々な状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本質的に例示に過ぎず、本願の主題およびその使用法を限定するものではない。更に、前述の背景技術または以下の詳細な説明で提示されるどの理論によっても制約される意図はない。
【0010】
本明細書では、機能ブロックおよび/または論理ブロックの構成要素の観点から、また、各種のコンピューティング・コンポーネントまたは装置により行われることが可能な動作、処理タスク、および機能の記号表現を参照して、手法および技術を説明することができる。図に示す各種ブロック・コンポーネントは、指定された機能を行うように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア・コンポーネントにより実現できることを理解されたい。例えば、システムまたはコンポーネントの実施形態には、1または複数のマイクロプロセッサまたは他の制御装置の制御下で各種機能を実行することが可能な各種の集積回路コンポーネント、例えば、メモリ・エレメント、デジタル信号処理エレメント、論理エレメント、探索テーブル等を用いることができる。
【0011】
以下の説明では、ともに「結合された」エレメントまたはノードまたは機能を参照する。本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「結合された」とは、1つのエレメント/ノード/機能が、直接または間接的に別のエレメント/ノード/機能につながれる(または直接または間接的に別のエレメント/ノード/機能と通信する)ことを意味し、それは必ずしも機械的とは限らない。従って、図面には1つの例示的な要素構成を示すが、示される主題の実施形態には、追加的な仲介エレメント、装置、機能、またはコンポーネントが存在することが可能である。また、以下の説明では、特定の用語は参照のみの目的で使用されることもあり、従って、それらは限定的な意味ではない。例えば、構造を指す「第1」、「第2」等の語、および他の同様の数に関する語は、文脈により明確に示されない限り、順番または順序を意味しない。
【0012】
説明を簡潔にするために、姿勢制御システム、ジャイロスコープ・コントロール、旋回計画、衛星および/または宇宙船のコントロール、およびそのようなシステムの他の機能的態様(およびシステムの個々の動作コンポーネント)に関連する従来技術については、本明細書では詳細に説明しない場合もある。更に、本明細書に含まれる各種の図に示す接続線は、各種エレメント間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すものである。本主題の実施形態には、多数の代替または追加の機能的関係や物理的接続が存在しうることに留意されたい。
【0013】
本明細書で論じられる技術および概念は、一般には、コントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)のアレイ(本明細書ではCMGアレイとも呼ぶ)により生成されるトルクおよび運動量を最適化する方法およびシステムに関する。本明細書では、衛星等のアジャイル・ビークルの文脈で主題を説明するが、本主題の各種態様は、他の宇宙船、またはCMGを使用する他の用途で実施することができ、本主題は、特定のビークルでの使用に限定されるものではない。以下で説明するように、例示的な実施形態では、姿勢制御システム(ACS)は、アジャイル・ビークルの向きを変更するためまたは姿勢を調整するための望まれるトルクに対応するトルク・コマンドを提供する。CMGアレイは、アジャイル・ビークルの角運動量を変更し、アジャイル・ビークルの姿勢を調整する所望トルクを生成するように、1または複数のステアリング制御則に従って操作される。CMGアレイの角運動量が、現在の運動量方向における運動量境界(または制限)を越えると(または境界に近づくと)、ACSから提供されるトルク・コマンドは、CMGアレイの角運動量の方向において減らされる。その結果、CMGアレイの運動量が、ステアリング制御則で規定された運動量境界内に維持され、一方で、交差軸方向(例えば、角運動量に直交する方向)において有用なトルクをCMGアレイから得る能力を維持する。
【0014】
本明細書で使用される場合、CMGアレイの角運動量は、以下のようなときに、運動量境界を越える(あるいは、運動量境界が越えられる)。すなわち、CMGアレイの総角運動量の大きさが、CMGアレイの総角運動量の方向(あるいは、本明細書では単に「運動量方向」とも呼ぶ)における運動量境界の大きさを超えたとき、即ち、総角運動量ベクトルの大きさが、CMGアレイの角運動量の基準点から運動量方向における運動量境界までのベクトルの大きさよりも大きいときに、運動量境界を越える(あるいは、運動量境界が越えられる)。同様に、本明細書で使用される場合、CMGアレイの総角運動量は、以下のようなときに、運動量境界に近づく(または近づいている)。すなわち、総角運動量が増加するレートと、総角運動量と運動量境界との差との関係が、CMGアレイの総角運動量が、CMGアレイのジンバルの回転を停止させるのに必要な時間量よりも少ない時間量内に運動量境界を越える(または超過する)見込みが高いというような関係にあるときに、運動量境界に近づく(または近づいている)。
【0015】
図1に、衛星や他の宇宙船等のアジャイル・ビークル114に使用するのに適した制御システム100の例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態では、制御システム100は、姿勢制御システム(ACS)102、運動量制御システム(MCS)104、および、ビークルセンサ・システム106を備えるが、これらには限定されない。例示的な実施形態では、ACS102は、コントロール・モーメント・ジャイロスコープ(CMG)・アレイ110を使用して、アジャイル・ビークル114の姿勢を調整または向きを変更するために、トルク・コマンドをMCS104の制御モジュール108に提供する。図1は、説明および説明を容易にすることを目的としたアジャイル・ビークル114の簡略化した表現であり、図1は、本主題の応用または範囲をいかなる形でも限定する意図はないことを理解されたい。これに関して、図1では、ACS102がアジャイル・ビークル114に搭載されているが、実施形態によっては、ACS102は、アジャイル・ビークル114から分離して離れて配置され(例えば、地球の地上の場所)、例えば、ワイヤレス・データ・リンクまたは他の適切なワイヤレス・データ通信媒体を介してMCS104およびビークルセンサ・システム106と通信により結合されてもよい。実際には、当技術分野で理解されるように、アジャイル・ビークル114は、追加的な機能および特徴を提供する多数の他の構成要素も備え得る。
【0016】
例示的な実施形態では、ビークルセンサ・システム106は、アジャイル・ビークル114の現在の姿勢(または向き)および回転速度(または角速度もしくは回転レート)に関する情報を感知、測定、または取得するように構成された、1または複数の感知エレメント(またはセンサ)を備える。特定の配置では、センサ・システム106は、限定ではないが、レート・ジャイロスコープ、リング・レーザ・ジャイロスコープ、光ファイバ・ジャイロスコープ、恒星追跡器、太陽センサ等のセンサや感知エレメントを使用する。ACS102は、ビークルセンサ・システム106と通信で結合され、ACS102は、ビークルセンサ・システム106から受け取った姿勢および回転速度の情報に少なくとも部分的に基づいて、アジャイル・ビークル114を回転、向き調整、または姿勢調整するためのトルク・コマンド(T)を決定する。ACS102は、アジャイル・ビークル114の現在の姿勢および/または回転速度に基づいて、またはユーザからの入力に応答して、自動的にトルク・コマンド(T)を決定することができる。MCS104は、通信でACS102に結合され、下記でより詳細に説明するように、ACS102から受け取ったトルク・コマンド(T)に応答して、トルク・コマンド(T)およびCMGアレイ110の操作に使用される1または複数のステアリング制御則に基づいてCMGアレイ110のCMGを操作して、アジャイル・ビークル114の姿勢を調整する。これに関して、MCS104は、CMGアレイ110と制御モジュール108とに結合されたCMGセンサ・システム112を備え、CMGセンサ・システム112は、下記でより詳細に説明するように、CMGアレイ110内の個々のCMGの動作についての情報を制御モジュール108に提供するように構成される。例示的な実施形態では、当技術分野で理解されるように、CMGセンサ・システム112は、MCS104および/または制御モジュール108で使用されるステアリング制御則の運用を支援するために、例えば、ジンバルの角度位置およびレートやロータの回転速度などのような、CMGアレイ110の個々のCMGの状態に関する情報を提供するように構成された1または複数のセンサを備える。
【0017】
例示的な実施形態では、CMGアレイ110は複数のCMGを含み、CMGアレイ110の各CMGは、ジンバル・アセンブリに取り付けられた回転エレメントまたはロータを備え、ジンバル・アセンブリは、アジャイル・ビークル114に取り付けられる。ロータ(例えば、ホイールや円盤)は、スピン軸を中心に回転するように構成され、スピン軸は、ジンバル軸を中心にジンバルを回転させることにより傾斜または回転させることができる。ジンバルの動きまたは回転により、スピン軸およびジンバル軸に直交するジャイロスコープ・トルクが発生する。ジャイロスコープ・トルクは、当技術分野で理解されるように角運動量保存の法則に基づいて、アジャイル・ビークル114に付与または伝達され、アジャイル・ビークル114の角速度の変化を生じさせる。これに関して、CMGアレイ110の角運動量とアジャイル・ビークル114の角運動量とは、実質的に等しいが、反対方向にある。実施形態に応じて、CMGアレイ110は、ピラミッド・アレイ、ルーフ・アレイ(例えば、同一線上にあるCMGの複数の組)、ボックス・アレイ、または他の適切なCMGアレイ形状などのような、当分野で知られる適切なCMGアレイ形状を備えることができる。
【0018】
制御モジュール108は、一般に、トルク・コマンドに応答してCMGアレイ110の動作を支援するように構成されたMCS104のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、処理ロジック、および/または他のコンポーネントを表す。制御モジュール108は、本明細書に記載の機能を行うように設計された、汎用プロセッサ、コンテント・アドレサブル(content addressable)・メモリ、特定用途集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、任意の適切なプログラマブル論理デバイス、ディスクリートのゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートのハードウェア・コンポーネント、またはそれらの組み合わせを用いて実施または実現することができる。これに関して、制御モジュール108は、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械(ステート・マシン)等として実現することができる。制御モジュール108は、例えば、複数の処理コア等のコンピューティング・デバイスの組み合わせ、または他の同様の構成として実施されることもできる。実際の実施では、制御モジュール108は、下記でより詳細に説明するように、アジャイル・ビークル114の動作に関連する機能、技術、および処理タスクを実行するように構成されることが可能な処理ロジックを備える。更に、本明細書に開示される実施形態との関連で記載される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア、ファームウェア、制御モジュール108により実行されるソフトウェア・モジュール、またはそれらの実際的な組み合わせとして直接実施することができる。例示的な実施形態では、制御モジュール108は、本明細書に記載される制御モジュール108の動作を支援する適切な量のメモリも備えることができる。
【0019】
トルク・コマンド(T)に基づいて、制御モジュール108は、要求されたトルクを提供するために、CMGアレイ110の個々のCMGの適切なジンバル・レート(例えばジンバル軸を中心としたジンバルの回転速度)を計算する又は求める。制御モジュール108は、好ましくは、CMGアレイ110の特異点および/または飽和につながる状態を防止することを意図した1または複数のステアリング制御則を使用して、CMGのジンバル・レート・コマンドを決定する。本明細書で使用される場合、ステアリング制御則とは、コマンドされるトルクを生成すると同時に特異点および/または飽和につながりかねないCMGアレイ110内の状態を避けるように、CMGアレイ110のCMGのジンバル・レート・コマンドを決定する制御方式および/またはアルゴリズムを指すものと理解されたい。各種のステアリング制御則が知られており、特定の実施形態に応じて異なるので、CMGアレイ110の個々のCMGのジンバル・レート・コマンドを決定する特定の方法は本明細書では詳細に説明しない。制御モジュール108により実施されるステアリング制御則は、総角運動量の方向(本明細書では運動量方向とも呼ぶ)に基づいてCMGアレイ110の総角運動量を制限しする複雑な非線形の3次元運動量境界を提供して、CMGアレイ110の特異点および/または飽和を防止する。これに関して、当技術分野で理解されるように、個々の運動量方向における角運動量制限を構成するベクトルの集合は、結果として、3次元空間における非線形の(即ち、不規則な)多面体になり、多面体の外側表面が、3次元空間における運動量境界を表す。
【0020】
次いで図2を参照すると、例示的な実施形態では、制御システムは、運動量制御処理200および下記の追加的なタスク、機能、および動作を行うように構成されてもよい。各種タスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせにより行われることができる。例示の目的で、以下の説明では、図1の関連で上述したエレメントを参照する場合がある。実際の実施では、タスク、機能、および動作は、ここに記載のシステム100の様々なエレメントにより行われることができる。任意の数の追加的または代替のタスクが含まれてよく、それらが、本明細書に詳細には記載されない追加的な機能を有する更に包括的な手順または処理に組み込まれてもよいことを、理解されたい。
【0021】
再度図2を参照し、引き続き図1も参照すると、例示的な実施形態では、運動量制御処理200は、ビークルについての入力トルク・コマンドを取得することにより開始する(タスク202)。例示的な実施形態では、制御モジュール108は、入力トルク・コマンド・ベクトル(T)を、ACS102から取得する又はまたは受け取る。入力トルク・コマンド・ベクトル(T)は、MCS104および/またはCMGアレイ110により提供される所望量の反動トルクに対応するものであり、そりにより、アジャイル・ビークル114の向きを指令された方向に変更のたは姿勢調整して、アジャイル・ビークル114の所望の向きおよび/または回転速度を実現する。
【0022】
例示的な実施形態では、運動量制御処理200は、CMGアレイの総角運動量を取得または求めることにより継続される(タスク204)。これに関して、CMGアレイ110の総角運動量ベクトル(本明細書では単に「総運動量」とも呼ぶ)は、角運動量成分および蓄積された角運動量成分からなる。本明細書で使用される場合、CMGアレイ110の角運動量(本明細書では単に「運動量」とも呼ぶ)は、宇宙船の角運動量に等しくかつ反対方向にあるCMGアレイ110の総角運動量の成分を指すものと理解すべきであり、一方、CMGアレイ110の蓄積された角運動量(本明細書では単に「蓄積運動量」とも呼ぶ)は、重力傾斜、空力抵抗、太陽風等の外部要因が原因で時間の経過とともに蓄積したCMGアレイ110の総角運動量の成分を指すものと理解されたい。この点に関して、図3に示すように、総運動量ベクトル(H)は、運動量ベクトル(H)(即ち、運動量方向における運動量)と、蓄積された運動量ベクトル(H)(即ち、蓄積された運動量方向における蓄積された運動量)とのベクトル和に対応する。
【0023】
例示的な実施形態では、MCS104および/または制御モジュール108は、CMGセンサ・システム112から供給される情報に基づいてCMGアレイ110の総運動量を計算するかまたは求める。例示的な実施形態では、ACS102が、MCS104および/または制御モジュール108に、CMGアレイ110の蓄積された運動量を提供し、それを制御モジュール108は総運動量から引いて、CMGアレイ110の角運動量の大きさおよび方向を計算することができる。代替の実施形態では、ACS102は、直接、ビークル・レート・センサ106を使用してCMGアレイ110の運動量を求め、その運動量をMCS104へ提供することができる。角運動量を計算するためまたは求めるための各種方法は当技術分野で知られており、本明細書では詳細に説明しない。従って、本主題は、CMGアレイ110の角運動量を求める特定の方法または技術に限定されない。
【0024】
なおも図2を参照し、引き続き図1および図3を参照すると、例示的な実施形態では、運動量制御処理200は、CMGアレイの総角運動量が総角運動量の方向(本明細書では運動量方向とも呼ぶ)における運動量境界基準を超えているか又は近づいているかを識別または判定することにより、継続する(タスク206)。上記のように、CMGアレイの総角運動量は、総角運動量が運動量方向における運動量境界基準を超過したときに、運動量境界基準を超えたとされ、また、CMGアレイのジンバルの回転を停止すること(即ち、ジンバル・レートがゼロ)ができる前に総角運動量が運動量境界基準を超える可能性が十分に高いときに、運動量境界基準に近づきつつあるとされる。例示的な実施形態では、運動量境界基準は、運動量方向における運動量境界、即ち、CMGアレイの制御に使用されるステアリング則により課される、運動量方向におけるCMGアレイの総角運動量の制限からなる。この点に関して、当技術分野で認識されるように、3次元空間では、運動量境界は、個々の運動量方向におけるステアリング制御則(1または複数)により課される角運動量の制限を含むベクトルの集合からなる不規則多面体の外側表面に対応する。例えば、図3に、CMGアレイの運動量についての基準点302に対しての、様々な運動量方向におけるステアリング制御則により課せられるCMGアレイの総角運動量への制限に対応する部分的な運動量境界を表す2次元表面300を図示し、ここで、基準点302は、CMGアレイの運動量ゼロに対応する。図3は、運動量制限の簡略化した表現であり、実際には、表面300は3次元であることを理解されたい。また、代替の実施形態では、運動量境界基準は、CMGアレイの運動量制限に対応するものであり得、これは、CMGアレイが特定方向において特定量のトルクを確実に提供できるようにするために、または所与の用途についての他の性能基準を満たすために、課せられるものであり、運動量境界は、特異点および/または飽和を防止する目的のみのためにステアリング制御則により課される運動量制限に限定されないことに、留意されたい。
【0025】
再度図2を参照すると、例示的な実施形態では、制御モジュール108は、CMGアレイの総角運動量が運動量方向において運動量境界を越えているかまたは境界に近づいているかを判定する。CMGアレイの総角運動量が運動量方向において運動量境界を越えていないまたは近づいていない場合、運動量制御処理200は、下記でより詳細に説明するように、入力トルク・コマンドおよびステアリング制御則に基づいてCMGアレイのコマンドを決定し、CMGアレイを操作することにより、継続する(タスク212)。
【0026】
例示的な実施形態では、CMGアレイの総角運動量が、運動量方向において運動量境界を越えているまたは境界に近づいているとき、運動量制御処理200は、CMGアレイの運動量の方向(あるいは運動量方向)の入力トルク・コマンドを減少させることにより、変更されたトルク・コマンドを決定し、処理を継続する(タスク208)。入力トルク・コマンドを減少させる量は、好ましくは、運動量方向における角運動量の増大レートが、運動量境界の超過を防止および/または修正するように低下されるように、選択される。その結果、CMGアレイ110の総角運動量は、総角運動量が運動量方向における運動量境界と交わるまで(即ち、総角運動量が運動量境界と実質的に等しくなるときまで)、徐々に増大することが許される。従って、変更されたトルク・コマンドは、CMGアレイ110の総角運動量を、ステアリング制御則により提供される運動量境界内に保つ。当技術分野で理解されるように、CMGアレイ110の総角運動量は、総角運動量を減らすトルク・コマンドが受け取られるまで、運動量方向の運動量境界に実質的に等しい状態を保つことができる。
【0027】
次いで図2ないし図4を参照し、引き続き図1も参照すると、例示的な実施形態では、制御モジュール108は、CMGアレイ110の総角運動量(H)を取得し、CMGアレイ110の総角運動量が運動量方向における運動量境界を越えているまたはそれに近づいているかを判定する(タスク204、206)。図3に示すように、CMGアレイ110の総運動量が運動量境界300を超えていない場合、制御モジュール108は、トルク・コマンド(T)に基づいてCMGアレイ110を操作する。図3に示すトルク・コマンドは、CMGアレイ110の運動量(H)を、対応する様式で増大させる(タスク210、212)。図4に示すように、総角運動量(H)が運動量方向における運動量境界(運動量境界面300上の点400で表す)に近づくと、制御モジュール108は、運動量方向におけるトルク・コマンドを減らす(あるいは、運動量方向と反対方向におけるトルク・コマンドを増大させる)(タスク206、208)。
【0028】
例示的な実施形態では、運動量制御処理200は、入力されたトルク・コマンドから、運動量方向における単位ベクトルへの入力トルク・コマンドの投影
【0029】
【数1】
【0030】
を減算し、それにより運動量方向におけるトルク・コマンド(T)の成分を減らすことにより、運動量方向におけるトルク・コマンド(T)を減少させる。これに関して、運動量制御処理200は、運動方向と反対方向の単位ベクトルへの入力トルク・コマンド(T)の投影を含む補償ベクトル(TCOMP)を、求めるまたは計算することができ、トルク・コマンドと補償ベクトルとのベクトル和が、運動量方向における単位ベクトルへの入力トルク・コマンドの投影を減算したものに対応する、変更されたトルク・コマンド(T=T+TCOMP)となるようにする。補償ベクトル(TCOMP)は、入力トルク・コマンド(T)と、運動量方向と反対方向の単位ベクトルとのドット積として求めることまたは算出することができ、補償ベクトル(TCOMP)が下記の式と等しくなるようにされる。。
【0031】
【数2】
【0032】
上記の式において、Tは、入力トルク・コマンド・ベクトルであり、Hは、運動量方向におけるCMGアレイ110の運動量に対応する運動量ベクトルである。
【0033】
例示的な実施形態では、CMGアレイ110の総運動量が運動量方向における運動量境界を越えた場合、トルク・コマンドは、利得係数にCMGアレイの角運動量と運動量境界との差(即ち、総角運動量が運動量方向において運動量境界を越えた量)を乗算したものに等しい大きさの運動量方向におけるベクトルを引くことにより、運動量方向において更に減らす(または運動量方向と反対の方向に増大させる)ことができる。一実施形態によると、制御モジュール108は、CMGアレイ110の総角運動量と運動量方向における運動量の制限との間のベクトル差を求め、その差を運動量方向の単位ベクトルに投影して、総角運動量が運動量境界を越えた量を得る。その量に、利得係数および運動量の方向の単位ベクトルが乗算されて、下記の式に等しいベクトルが得られる。
【0034】
【数3】
【0035】
上記の式にいおて、Hは、CMGアレイ110の総角運動量ベクトルであり、Mは、総角運動量ベクトルの方向におけるステアリング制御則により課される運動量境界に対応するベクトル(例えば、運動量方向における運動量境界により課される運動量の制限に対応する、運動量境界面300上の点400への基準点302からのベクトル)であり、gは、利得係数に対応するスカラー値である。その結果として得られたベクトルを、運動量方向と反対方向の単位ベクトルへの入力トルク・コマンド(T)への入力トルク・コマンドの投影に加算すると、下記の式に等しい補償ベクトル(TCOMP)を得ることができる。
【0036】
【数4】
【0037】
これは、運動量方向と反対方向である。このように、補償ベクトルと入力トルク・コマンドとのベクトル和から、運動量方向におけるCMGアレイ110の総角運動量の減少または低下を生じさせる、変更されたトルク・コマンドが得られる。
【0038】
例示的な実施形態では、運動量制御処理200は、トルク・コマンドおよびステアリング制御則に基づいてCMGアレイのCMGに対するコマンド(あるいは、本明細書ではCMGアレイ・コマンドとも呼ぶ)を決定し、そのCMGアレイ・コマンドを使用してCMGアレイのCMGを操作することにより継続する(タスク210、212)。総角運動量が運動量境界を越えていない、または運動量境界に近づかない場合、制御モジュール108は、従来の方式でステアリング制御則を入力トルク・コマンド(T)に適用することにより、CMGアレイ110のジンバル・レート・コマンド(例えば、CMGアレイ110の個々のCMGについてのジンバルの要求される回転レート)を決定する。これに関して、図3図4に示すように、このジンバル・レート・コマンドの結果として、CMGアレイ110のCMGは、総角運動量が運動量境界に達するまで、要求されたトルクを生成し、入力トルク・コマンド(T)の方向の運動量(H)を増大させるように、回転させられる。総角運動量が運動量境界を越えているか、または運動量境界に近づくときには、制御モジュール108は、変更されたトルク・コマンドへステアリング制御則を適用することにより、変更されたトルク・コマンド(T)に基づいてCMGアレイの各CMGに対するジンバル・レート・コマンドを決定する。これに関して、図4に示すように、トルク・コマンド(T)が運動量(H)と整合するおよび/または平行になると、補償ベクトルが事実上トルク・コマンドを相殺し、変更されたトルク・コマンドがゼロになり、その結果としてゼロのジンバル・レート・コマンドが得られ、それによりCMGアレイ110の総角運動量(H)を一定に保つ。タスク202、204、206、208、210、および212で定義されるループは、必要に応じて繰り返し、動作時全体にわたってビークルの位置を継続的かつ動的に変更することができる。
【0039】
次いで図5および図6を参照する。入力トルク・コマンド(T)が運動量(H)と整合していないおよび/または平行でないときには、入力トルク・コマンドを運動量方向において減らすことで、CMGアレイ110の総角運動量を運動量境界に沿って調整することを可能にする変更されたトルク・コマンド(T)が得られる。図6に示すように、CMGアレイ110の総角運動量(H)は、運動量(H)が入力トルク・コマンド(T)と整合するおよび/または平行になる運動量状態(点600で示す)に達するまで、運動量境界面300に沿って移動する。このように、本明細書に記載される運動量制御処理200は、トルクを提供し、運動量境界に達したときにCMGアレイ110および/またはアジャイル・ビークル114の交差軸制御を可能にすることができる。
【0040】
簡単にまとめると、上記の方法およびシステムは、CMGアレイが、その操作に使用されるステアリング制御則の下で許容される最大運動量を蓄積および/または伝達することを可能にする。その結果、ACSが、CMGアレイの運動量能力を最大化して、アジャイル・ビークルの向きを迅速に変更するまたは姿勢を調整することができる。入力トルク・コマンドをCMGアレイの運動量の方向に減らすことにより、CMGアレイの特異点および/または飽和、または他の望ましくない性能の低下を招く恐れのある状態を安全に回避しながらも、アジャイル・ビークルの交差軸制御をACSが維持できるようにする、変更されたトルク・コマンドが得られる。
【0041】
上述の詳細な説明で少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、多数の変形が存在することを理解されたい。1または複数の例示的な実施形態は例に過ぎず、本主題の範囲、応用性、または構成をいかなる形でも限定する意図はないことも理解されたい。上述の詳細な説明は、本主題の例示的な実施形態を実施するための利便な指針を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載される主題の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される要素の機能および構成に各種の変更を加えることが可能であることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6