(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リールの脚部が載置される脚載置面を有する筒状のシート本体と、該シート本体に移動不能に設けられた固定フード部と、該固定フード部に対向して設けられ、固定フード部と共にリールの脚部を狭持するための可動フード部を有する可動フード体と、可動フード体を固定フード部側に押してその位置に保持するための手段とを備えた筒状リールシートであって、
可動フード体はリールの脚部裏面を支持可能な脚支持面を有し、シート本体の脚載置面は可動フード部の近傍まで形成され、可動フード部の近傍に位置する脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面とは、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になっており、可動フード体の脚支持面は可動フード部の先端部よりも奥側に設けられ、脚載置面の軸線方向の端部は、可動フード部の先端部よりも奥側に入り込むことができるように構成されていることを特徴とする筒状リールシート。
シート本体は大径部と小径部とを備え、大径部の周方向のうち脚載置面が形成された箇所に小径部側に突出する突出部が形成され、該突出部に脚載置面の軸線方向の端部が位置すると共に突出部と小径部との間には段差部が設けられ、突出部が可動フード体の内側に入り込むことにより、脚載置面の軸線方向の端部が可動フード部の先端部よりも奥側に位置する請求項1記載の筒状リールシート。
可動フード体は、リールの脚部の脚先部が差し込み可能な袋部を構成すべく、可動フード部の内面を幅方向に連結する底部を備え、該底部の外面が脚支持面となっている請求項1乃至3の何れかに記載の筒状リールシート。
【背景技術】
【0002】
従来、リールの脚部を釣竿に取り付けるために、釣竿の竿本体の外周面に装着される筒状リールシートが知られている。該筒状リールシートは、固定フード部と可動フード部とでリールの脚部を軸線方向に狭持して固定する。固定フード部は移動不能に構成される一方、可動フード部は軸線方向に移動可能に構成されている。例えば、下記特許文献1所載の筒状リールシートでは、シート本体に筒状の可動フード体を軸線方向に移動可能に装着し、その可動フード体の周方向の所定箇所を径方向外側に向けて膨出形成して可動フード部を構成している。
【0003】
しかしながら、膨出部から可動フード部を構成したものでは、可動フード部を固定フード部に向けて接近させてリールの脚部を狭持していくと、可動フード部がリールの脚部表面に徐々に乗り上げていくことになる。可動フード体を移動させるナットを強く締め込み過ぎると、可動フード部が弾性変形してリールの脚部表面に大きく乗り上がり、リールを取り外す際に可動フード部とリールの脚部表面との密着状態を解除しにくい。また、過度に締め込むと可動フード体やナットが損傷することもある。その一方、ナットを締め込み過ぎないようにすると締め付け力が不足して、釣りの途中にリールががたつくことにもなる。このように、膨出部から可動フード部を構成したものでは、リールの締め付け力、固定力の調節が難しいという問題がある。
【0004】
そこで、可動フード部の内側に底部を設けて可動フード部と底部とから袋部を構成し、該袋部にリールの脚部の脚先部を差し込むことができるようにしたものもある(下記特許文献2、3)。このように可動フード体に袋部を形成すると、リールの脚部表面を可動フード部で押さえると共に底部によってリールの脚部裏面を支持することができる。即ち、リールの脚部を表裏両面から挟み込んでいくので、ナットを強く締め込んでいっても可動フード部がリールの脚部表面に乗り上がり過ぎるということがなく、リールの脚部をしっかりと固定することができる。
【0005】
しかしながら、下記特許文献3の構成では、リールの脚部を載置する脚載置面が固定フード部の内側のみに設けられているので、袋部にリールの脚部の脚先部を差し込む際に底部の先端部がリールの脚部の脚先部に当たりやすい。リールの脚部の脚先部をスムーズに袋部に差し込むようにするには、下記特許文献2のように底部の先端部に傾斜面を設けるなどの工夫が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、リールの脚部を確実に固定することができると共に、リールの脚部の固定操作をスムーズに行うことができる筒状リールシートと釣竿を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る筒状リールシートは、リールの脚部が載置される脚載置面を有する筒状のシート本体と、該シート本体に移動不能に設けられた固定フード部と、該固定フード部に対向して設けられ、固定フード部と共にリールの脚部を狭持するための可動フード部を有する可動フード体と、可動フード体を固定フード部側に押してその位置に保持するための手段とを備えた筒状リールシートであって、可動フード体はリールの脚部裏面を支持可能な脚支持面を有し、シート本体の脚載置面は可動フード部の近傍まで形成され、可動フード部の近傍に位置する脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面とは、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になって
おり、可動フード体の脚支持面は可動フード部の先端部よりも奥側に設けられ、脚載置面の軸線方向の端部は、可動フード部の先端部よりも奥側に入り込むことができるように構成されていることを特徴とする。尚、面一とは、竿中心、即ち筒状リールシートの軸線からの径方向の距離が略同じであることを意味する。
【0009】
該構成の筒状リールシートにあっては、可動フード体がリールの脚部裏面を支持可能な脚支持面を有しているので、リールの脚部を可動フード部と脚支持面とによって表裏両面から挟み込むことができる。従って、可動フード体を固定フード部側に強く押していっても可動フード部がリールの脚部表面に乗り上がり過ぎるということがない。また、シート本体の脚載置面が可動フード部の近傍まで形成されていて、その脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面が、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になっているので、可動フード体の脚支持面がスムーズにリールの脚部の裏側(内側)に入り込んで支持する。即ち、脚載置面の軸線方向の端部に対して脚支持面が一段高くなっているのではなく面一であるので、スムーズに可動フード体を接近させてリールの脚部を固定フード部と共に固定することができる。また、脚載置面の軸線方向の端部に対して脚支持面が一段低くなっているのではなく面一であるので、リールの脚部裏面を脚支持面で確実に支持することができる。
【0010】
また更に、シート本体の脚載置面が可動フード部の近傍まで形成されていて、その脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面が、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になっているので、釣竿と共にリールの脚部を強く把持したときにおけるリールの脚部の撓みを抑制することができる。即ち、上記特許文献3のようにシート本体からリールの脚部裏面の軸線方向中央部が広い範囲に亘って浮き上がっていると、リールの脚部を竿本体と共に把持した場合に、リールの脚部の特に軸線方向中央付近が竿中心に向けて撓みやすくなる。仮に撓んだとしてもリールはしっかりと固定されているため、支障なく釣りを行うことができる。しかしながら、釣竿を把持した時の手から伝わる微妙な感覚を特に重視する一部の釣り人の中には、リールの脚部が撓むことを極力避けたいという人もいる。また、近年ではリールの軽量化に伴ってリールの脚部を樹脂やマグネシウムから構成することも多くなっていることから、リールの脚部が撓みやすくなってきているという状況もある。これに対して上記構成のように、シート本体の脚載置面が可動フード部の近傍まで形成されていて、その脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面が、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になっていると、釣竿と共にリールの脚部を強く把持したときにおけるリールの脚部の撓みを抑制することができる。
【0011】
また、可動フード体の脚支持面は、可動フード部の先端部よりも奥側即ち軸線方向一方側に設けられ、脚載置面の軸線方向の端部は可動フード部の先端部よりも奥側に入り込むことができるように構成されてい
る。可動フード体の脚支持面が可動フード部の先端部よりも奥側に位置しているので、脚支持面が可動フード部の先端部よりも固定フード部側に突出している場合に比して、リールの脚部に可動フード部をスムーズに被せることができる。しかも、脚載置面の軸線方向の端部が可動フード体の内側に入り込むことができるので、脚載置面の軸線方向の端部を脚支持面に接近させることができ、両者が軸線方向に大きく離れることなくリールの脚部裏面を支えることができる。また、可動フード体の脚支持面が可動フード部の先端部より奥側に位置していても、脚載置面の軸線方向の端部が可動フード体の内側に入り込んだ状態となってリールの脚部裏面を支持しているので、そのリールの脚部の裏側に可動フード体の脚支持面がスムーズに入り込むことができる。
【0012】
更に、シート本体は大径部と小径部とを備え、大径部の周方向のうち脚載置面が形成された箇所に小径部側に突出する突出部が形成され、該突出部に脚載置面の軸線方向の端部が位置すると共に突出部と小径部との間には段差部が設けられ、突出部が可動フード体の内側に入り込むことにより、脚載置面の軸線方向の端部が可動フード部の先端部よりも奥側に位置することが好ましい。このように突出部を設けることにより、可動フード体の内側に脚載置面の軸線方向の端部を容易に入り込ませることができる。
【0013】
また、脚載置面の軸線方向の端部と可動フード体の脚支持面は、幅方向の全体に亘って面一であることが好ましい。リールの脚部が幅方向に位置ずれしても、可動フード体の脚支持面をスムーズにリールの脚部の裏側に進入させることができる。
【0014】
また、可動フード体は、リールの脚部の脚先部が差し込み可能な袋部を構成すべく、可動フード部の内面を幅方向に連結する底部を備え、該底部の外面即ち径方向外側の面が脚支持面となっていることが好ましい。このように可動フード体に底部を形成すると、その底部によって可動フード体がより一層強固なものとなって可動フード部の弾性変形も更に抑制されるため、可動フード部がリールの脚部表面に乗り上がり過ぎるということがなく、従って、リールの脚部をより一層しっかりと固定することができる。
【0015】
また、本発明に係る釣竿は、上記の筒状リールシートを装着したものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、シート本体の脚載置面が可動フード部の近傍まで形成され、その脚載置面の可動フード部側の端部と可動フード体の脚支持面が、少なくともリールの脚部裏面が当接する箇所において互いに面一になっているので、リールの脚部を確実に固定することができ、リールの脚部の固定操作をスムーズに行うことができる。また、リールの脚部の撓み量も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における筒状リールシートが装着された釣竿の要部を示す正面図。
【
図2】同実施形態の筒状リールシートの要部縦断面図。
【
図3】同実施形態の筒状リールシートにおけるシート本体を示す平面図。
【
図4】同実施形態の筒状リールシートにおけるシート本体を示す底面図。
【
図5】同実施形態の筒状リールシートにおけるシート本体を示す正面図。
【
図6】同実施形態の筒状リールシートにおける可動フード体を示す斜視図。
【
図7】同実施形態の筒状リールシートにおける可動フード体とシート本体との関係を示す図であって、可動フード体については縦断面図で示し、シート本体については要部正面図で示している。
【
図9】
図2の状態から可動フード体を図中右側に移動させた状態を示す要部縦断面図。
【
図10】本発明の他の実施形態における筒状リールシートのシート本体を示す平面図。
【
図11】本発明の他の実施形態における筒状リールシートのシート本体を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る筒状リールとそれを装着した釣竿について
図1〜
図9を参酌しつつ説明する。
図1には、釣竿の竿尻側の所定部分を示しており、竿本体1と、該竿本体1に装着された筒状リールシート2と、竿本体1の竿尻部に装着されたリアグリップ3とを備えている。この釣竿は、スピニングリールを装着して使用する形式のものであり、従って、筒状リールシート2もスピニングリールを装着する形式のものである。尚、
図1においては筒状リールシート2を紙面の上側に向けて図示しているが、リールを装着した通常使用状態では図示した状態とは上下逆となって筒状リールシート2が下側を向く。その他の図面においても、説明の便宜上、筒状リールシート2を上側を向けて図示している。
【0019】
図1における筒状リールシート2は、リールの脚部4が載置される脚載置面20を有する筒状のシート本体10と、該シート本体10の竿先側に外嵌装着されたフロントグリップ11と、シート本体10の竿尻側に位置する可動フード体12と、該可動フード体12の竿尻側に位置するナット13とを備えていて、軸線方向一方側の可動フード部43と軸線方向他方側の固定フード部14とでリールの脚部を軸線方向に狭持して固定する。以下、詳細に説明する。
【0020】
シート本体10は、
図2〜
図5のように、大径部21と、該大径部21の竿先側に形成された筒部22と、大径部21の竿尻側に形成された小径部23とを備えている。筒部22には前記フロントグリップ11が装着され、フロントグリップ11の外面は大径部21の外面と近い太さで竿先側に延びる。大径部21の周方向の一箇所には平面が形成され、該平面が前記脚載置面20となっている。尚、脚載置面20の略中央には凹部24が形成され該凹部24にネームプレート等の板部材25がはまり込むようにして貼着されている。但し、
図2及び
図9においては凹部24、板状部25の図示は省略されている。
【0021】
該脚載置面20の竿先側には、固定フード部14が移動不能に設けられている。固定フード部14はシート本体10に一体的に形成され、該固定フード部14にはリールの脚部4の竿先側の脚先部5(一方の脚先部)が挿入される。また、大径部21には、その周方向のうち脚載置面20が形成された箇所において小径部23側、即ち竿尻側に向けて突出する突出部26が形成されている。該突出部26は
図3のように平面視において矩形であって、これにより脚載置面20は小径部23側に所定長さ延長されている。即ち、突出部26に脚載置面20の竿尻側の端部20aが位置している。脚載置面20の軸線方向の長さは、リールの脚部4の長さよりも短く、従って、
図2や
図3のようにリールの脚部4の竿尻側の脚先部6(他方の脚先部)は脚載置面20の竿尻側の端部20aよりも竿尻側に突出することになる。
【0022】
また、大径部21と小径部23との間の境界部は、軸線方向に対して直交しておらず、軸線方向に対して斜め方向になっている。即ち、境界部は、周方向のうち脚載置面20側が最も竿尻側(小径部23側)にあり、脚載置面20を起点としてそこから周方向に離れる程に徐々に竿先側に向い、脚載置面20とは180度反対側の箇所においても最も竿先側にある。尚、可動フード体12の竿先側の端面12aも境界部に沿って形成されている。そして、境界部には、大径部21よりも小径で小径部23よりも大径とされたフード支持部28が形成されている。該フード支持部28は、突出部26と後述する一対のガイド溝31とを除いて周方向に連続して形成されている。該フード支持部28は、可動フード体12の竿先側開口縁部の内面よりも僅かに小径に形成されている。可動フード体12が
図2のように最も竿先側に位置したときに、フード支持部28は可動フード体12の竿先側開口縁部によって覆われ、仮に可動フード体12がシート本体10に対して相対的に傾こうとした場合には、フード支持部28が可動フード体12の竿先側開口縁部の内面を支持してその傾きを阻止する。また、
図3及び
図5に示しているように、フード支持部28の軸線方向の長さは、突出部26の軸線方向の突出長さよりも短く例えば略半分程度である。
【0023】
小径部23は、大別すると二つの領域に区画される。即ち、小径部23は、大径部21に近い直管部23aと、大径部21から遠い雄ねじ部23bとに区画される。直管部23aの外形は雄ねじ部23bのねじ山と略同一径である。また、小径部23の周方向の一箇所にはその全長に亘って平面部29が形成されている。該平面部29は、脚載置面20と同一線上にあって、その箇所が他の箇所に比して肉厚が薄くなっている。この平面部29は直管部23aのみならず雄ねじ部23bにも連続して形成されており、従って、雄ねじ部23bは平面部29において部分的にねじ山が消失している。また、
図2及び
図5に示すように、平面部29と突出部26との間には段差部30が形成されており、段差部30によって平面部29は脚載置面20よりも一段低くなっている。尚、
図3に示すように平面部29の幅は突出部26の幅や脚載置面20の幅よりも狭い。また、小径部23にはその全長に亘ってガイド溝31が180度対向して一対形成されている。該ガイド溝31は、可動フード体12が軸線方向に移動する際の案内となるものである。
【0024】
可動フード体12は、
図6〜
図8に示すように、全体として筒状であってシート本体10にその竿尻側から装着され、その外周面はシート本体10の大径部21の外周面と連続性を持っている。上述したように、可動フード体12の竿先側の端面12aは斜めになっていてシート本体10の境界部に沿って形成されている。竿尻側の端部外周面には環状突起41が形成されていて、該環状突起41にナット13が係合して、これによって可動フード体12はナット13によって竿先側に押され、あるいは、竿尻側に引かれて、ナット13と共に軸線方向に移動できる。その移動の際の周方向の回転を防止するために、シート本体10のガイド溝31に係合する係合突条42が、内面に一対形成されている。そして、可動フード体12は、その周方向の一箇所に可動フード部43を備えている。また、可動フード部43の径方向内側には、可動フード部43の内面を水平方向に連結する底部44が形成されており、該底部44と可動フード部43により、リールの脚部4の脚先部6を差し込み可能な袋部が形成されている。該底部44の外面は、リールの脚部裏面4bを支持可能な脚支持面45となっており、底部44の厚さは、上述した段差部30の高さよりも若干薄い。従って、底部44は、
図2及び
図9のように、シート本体10の小径部23における平面部29の外側を僅かな隙間をあけつつ移動する。底部44は、可動フード部43の先端部43aよりも奥側、即ち竿尻側に奥まって位置している。そして、底部44の先端部の両側部には、竿先側に向けて徐々に径方向内側に傾斜する第1傾斜面46と、該第1傾斜面46に連設されて係合突条42まで延びていて第1傾斜面46よりも急な角度で傾斜する第2傾斜面47とがそれぞれ形成されている。
図7のように、底部44の外面である脚支持面45は、シート本体10の脚載置面20と面一であり、第1傾斜面46はシート本体10において突出部26からフード支持部28まで延びるサイド傾斜面32に沿った傾斜となっていて、第2傾斜面47はシート本体10のフード支持部28に沿った傾斜となっている。可動フード体12が最も竿先側に接近した最接近時において、第1傾斜面46はサイド傾斜面32に当接可能であり、第2傾斜面47はフード支持部28の端面28aに当接可能である。尚、
図5のように、最接近時において、可動フード体12の竿先側の端面12aはシート本体10の大径部21の竿尻側の端面21aに当接せず、両者の間には僅かに隙間が形成される。但し、可動フード体12の竿先側の端面12aがシート本体10の大径部21の竿尻側の端面21aに当接するようにしてもよい。
【0025】
かかる可動フード体12を固定フード部14側に押してその位置に保持するための手段であるナット13は、筒状であってその内周面に雌ネジ部(図示省略)が形成され、シート本体10の雄ねじ部23bに螺合して回転しながら軸線方向に移動する。
【0026】
以上のように構成された筒状リールシート2には、まずリールの脚部4の竿先側の脚先部5を固定フード部14の内側に差し込み、脚載置面20にリールの脚部4を載置した状態で、ナット13を回転させて可動フード体12を竿先側に移動させる。可動フード体12が竿先側に移動してくると、
図9のように可動フード部43の内側にリールの脚部4の竿尻側の脚先部6が相対的に進入してくる。その状態において、可動フード体12の底部44は未だリールの脚部4の竿尻側の脚先部6には到達していない。従って、リールの脚部4の竿尻側の脚先部6は、可動フード部43が被せられることによってその位置、特に幅方向の位置が大まかに決められることになる。その後更に可動フード体12を固定フード部14に向けて接近させていくと、やがて竿尻側の脚先部6の裏側(内側)に可動フード体12の底部44が潜り込むように進入する。その際、リールの脚部裏面4bが脚載置面20の竿尻側の端部20aによって支持されてその高さ(径方向の位置)が決められており、しかも、脚載置面20の竿尻側の端部20aと脚支持面45とが面一であるので、可動フード体12の底部44はスムーズに竿尻側の脚先部6の裏側に進入することができる。そして、可動フード部43の内面が脚部表面4aに当接してこれを押さえる。それと共に、可動フード部43の内面が脚部表面4aに沿って乗り上がっていこうとするが、底部44が存在しているので、過度の乗り上がりが防止される。また、可動フード体12の竿先側が
図2の上側に向けて傾こうとしても、底部44の存在によってその傾動が阻止されると同時に、フード支持部28のうち特に脚載置面20とは反対側の箇所によってもその傾動が阻止される。
【0027】
このようにしてリールの脚部4は固定フード部14と可動フード部43によって軸線方向に狭持されて固定されるのであるが、可動フード体12が袋状であるので、リールの脚部4をしっかりと固定することができ、締め付け力の調節も容易にできる。また、脚載置面20の竿尻側の端部20aと脚支持面45とが面一になっているので、釣竿と共にリールの脚部4を強く把持してもリールの脚部4が竿中心に向けて大きく撓むということがなく、釣竿から伝わる振動が吸収緩和されることなく、より一層ダイレクトに手に伝達されることになる。また、底部44が奥側に位置していて可動フード部43が先に脚部4に被さる構成であっても、可動フード部43の内側に脚載置面20の竿尻側の端部20aが入り込む構成であるので、底部44が確実に脚部4の裏側に進入できる。また、可動フード部43の先端部43aと脚載置面20によっても脚部4が固定されることになり、より一層しっかりと固定することができる。尚、
図2においては可動フード部43の先端部43aと脚部表面4aとの間に隙間が形成されているように図示されているが、脚部表面4aの幅方向中央部においてはこのように隙間が形成されている場合でも脚部表面4aの幅方向両側部においては隙間が形成されずに可動フード部43の先端部43aによって径方向外側から押さえられる。尚、リールの脚部裏面4bは横断面視において幅方向中央が表側に凹んだ湾曲形状になっていることも多く、その場合、リールの脚部裏面4bはその幅方向両側部においてのみ脚載置面20に当接することになる。
【0028】
尚、本実施形態では、脚載置面20の竿尻側の端部20aと脚支持面45とを幅方向の全体に亘って面一としているが、少なくともリールの脚部裏面4bが当接する箇所において面一とされていればよい。但し、脚載置面20の竿尻側の端部20aと脚支持面45とを幅方向(周方向)の全体に亘って面一とすれば、リールの脚部裏面4bの幅サイズや幅方向の位置ずれに対する許容度が高まる。
【0029】
また、
図10のように、脚載置面20に軸線方向の溝50を設けるなどしてもよい。その場合には水等を効果的に外に流し出せることになる。
【0030】
更に、
図11のように大径部21と小径部23との間の境界部を斜めに形成するのではなく、軸線方向と直交する方向に沿って形成してもよい。その場合、可動フード体12の竿先側の端面12aもそれに合わせて軸線方向と直交する面とすることが好ましく、それによって外周面同士の連続性が確保される。
【0031】
また、フード支持部28を突出部26と両ガイド溝31を除く略全領域に形成したが、周方向に不連続に形成したり、周方向の一部にのみ形成したりしてもよい。フード支持部28を周方向の一部のみに形成する場合には、脚載置面20とは反対側の箇所に形成することが好ましい。
【0032】
更に、突出部26を形成して脚載置面20の竿尻側の端部20aを可動フード体12の内側に入り込むようにしたが、突出部26を形成
しなくてもよい。また、突出部26を形成する場合でも、上述したように矩形とするのではなく、例えば幅方向の両側部分のみが小径部23側に突出する形状としても構わない。
【0033】
尚、固定フード部14を竿先側に配置し、可動フード体12やナット13を竿尻側に配置したが、逆に配置してもよい。
【0034】
また、脚載置面20や脚支持面45を平面としたが、幅方向に沿って湾曲する曲面としてもよい。
【0035】
更に、固定フード部14をシート本体10に一体的に形成したが、固定フード部14をシート本体10とは別体に形成して、それをシート本体10にネジ等で移動不能に取り付けてもよい。
【0036】
また、ナット13を可動フード体12に連結させたが、連結させなくてもよい。ナット13を可動フード体12に連結しない場合であってもナット13で可動フード体12を固定フード部14側に向けて押していくことができる。但し、リールを取り外す場合には、ナット13を緩めても可動フード体12が一緒に後退しないので、別途可動フード体12を固定フード部14から離す方向に移動させる必要がある。また、可動フード体12を固定フード部14側に押してその位置に保持する手段であれば、ナット13以外の構成でもよい。
【0037】
更に、スピニングリールを取り付けるスピニングリール用の筒状リールシート2について説明したが、いわゆるベイトリールとも称される両軸リールを取り付ける両軸リール用の筒状リールシート2にも適用可能である。
【0038】
尚、上記構成では、脚載置面20を固定フード部14の内側の位置から可動フード部43の近傍まで形成しているが、リールの脚部4の撓みをそれほど気にしない、あるいは、リールの脚部4の強度が十分であるような場合には、脚載置面20を、例えば、固定フード部14の内側と可動フード部43の近傍の二箇所に互いに軸線方向に離れて形成してもよい。その場合、可動フード部43の近傍における脚載置面20を可動フード体12の脚支持面45と面一にする。特に、可動フード部43の近傍における脚載置面20の少なくとも一部を可動フード部43の内側に入り込ませるように構成すれば尚良い。