【文献】
Molecular Therapy, 2007.03(online), Vol.15, No.6, p.1203-1210
【文献】
Molecular Therapy, 2007.06(online), Vol.15, No.9, p.1716-1723
【文献】
J. Gen. Virol., 2006, Vol.87, p.1625-1634
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンチウイルスベクター粒子をシュードタイプするために用いられるVSV Gタンパク質は、2007年10月10日付けでCNCMに寄託されたプラスミドpThV−VSV.G(IND−CO)(寄託番号I−3842)又は、pThV−VSV.G(NJ−CO)(寄託番号I−3843)か、2008年7月31日付けでCNCMに寄託されたプラスミドpThV−VSV.G(IND−CO)(寄託番号I−4056)又はpThV−VSV.G(NJ−CO)(寄託番号I−4058)かにより発現されるエンベロープから選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記レンチウイルスベクター粒子をシュードタイプするために用いられるVSV Gタンパク質は、樹状細胞による取り込みが可能である、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
第1及び第2のVSV Gタンパク質が、それぞれ、インディアナ株のVSV−G及びニュージャージー株のVSV−Gであるか、ニュージャージー株のVSV−G及びインディアナ株のVSV−Gかである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
少なくとも1つの前記レンチウイルスベクターは、決定された参照の天然ウイルスエンベロープタンパク質に関して、1つのアミノ酸残基の置換により突然変異されているVSV Gタンパク質であって、該VSV Gタンパク質でシュードタイピングされるレンチウイルスベクターを含む化合物の組合せが前記決定された参照の天然ウイルスエンベロープタンパク質と少なくとも同じレベルの免疫応答を誘発する、VSV Gタンパク質で、シュードタイピングされる、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記ベクター粒子をシュードタイピングするVSV Gタンパク質は、コドン最適化された核酸分子の発現の結果として、ベクター粒子を産生する産生細胞中で得られる、請求項1〜7記載の化合物の組み合わせ。
第1及び第2のVSV Gタンパク質は、異なり、そして2007年10月10日付けでCNCMに寄託されたプラスミドpThV−VSV−G(IND−co)(寄託番号I−3842)もしくは2008年7月31日付けでCNCMに寄託されたそのバリアント(寄託番号I−4056)、又は、2007年10月10日付けでCNCMに寄託されたプラスミドpThV−VSV−G(NJ−co)(寄託番号I−3843)もしくは2008年7月31日付けでCNCMに寄託されたそのバリアント(寄託番号I−4058)に含まれる核酸分子によりコードされる、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイピングされた前記レンチウイルスベクターのゲノムは、ヒトレンチウイルスベースのベクターである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイピングされた前記レンチウイルスベクター粒子のゲノムは、HIV−1又はHIV−2ベースのベクターを含むHIVベースのベクターである、請求項11記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイピングされた前記レンチウイルスベクター粒子のゲノムは、組込み能を欠くレンチウイルスベクターである、請求項11〜13のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイピングされた前記レンチウイルスベクター粒子のゲノムは、インテグラーゼタンパク質における突然変異の結果として、インテグラーゼが、ベクターが宿主細胞において粒子として産生される場合、又はレンチウイルスベクターが患者に投与された後に、レンチウイルスベクターにおいて発現されないか、又は機能的に発現されないような、組込み能を欠くレンチウイルスベクターである、請求項14記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイプされた前記レンチウイルスベクター粒子のゲノムは、機能的レンチウイルスDNA Flapを含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
シュードタイプされた前記レンチウイルスベクター粒子のゲノムの3’LTRは、U3領域を欠くか、又はU3領域の部分の欠失を有する、請求項18記載の化合物の組み合わせ。
前記レンチウイルスベクター粒子のレンチウイルスゲノムベクターは、CNCMに番号I−2330で1999年10月11日に寄託されたプラスミドpTRIPΔU3.CMV−GFP、又は、CNCMに番号I−3841で2007年10月10日に寄託されたプラスミドpTRIPΔU3.CMV−SIV−GAGco−WPRE、又は、CNCMに番号I−3840で2007年10月10日に寄託されたプラスミドpTRIPΔU3.CMV−SIV−GAG−WPREに由来する、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記レンチウイルスベクター粒子のレンチウイルスゲノムベクターは、GFP又はSIV−GAGコード配列のHIV−GAG由来抗原による置換によるこれらのプラスミドに由来する、請求項21のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記ポリヌクレオチドは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の、GAG抗原を含む抗原に由来するポリペプチドをコードする、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記ポリヌクレオチドは、免疫不全ウイルスのGAGに由来する抗原をコードし、ここで該抗原は、天然GAG抗原のアミノ酸配列を有するか、該抗原の抗原性フラグメントである、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記ポリヌクレオチドは、GAGポリタンパク質か、マトリクスタンパク質か、キャプシドタンパク質か、ヌクレオキャプシドタンパク質か、該ポリタンパク質又は該タンパク質の抗原性フラグメントかに由来する抗原をコードする、請求項25記載の化合物の組み合わせ。
前記組換えポリヌクレオチドは、HIV又はSIV又はFIVのGAG抗原に由来するポリペプチドをコードし、該ポリペプチドはレンチウイルスベクターで形質導入された細胞からのGAG偽粒子又はGAG−POL偽粒子の形成を可能にしない、請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
GAG抗原由来の抗原をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化されたヌクレオチド配列により発現され、天然遺伝子のヌクレオチド配列に関して、哺乳動物細胞での翻訳を改善することが可能になる、請求項1〜29のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
GAG抗原由来の抗原をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化されたヌクレオチド配列により発現され、天然遺伝子のヌクレオチド配列に関して、ヒト細胞での翻訳を改善することが可能になる、請求項1〜30のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記組換えポリヌクレオチドは、さらに、免疫不全ウイルスのNEF抗原、TAT抗原、REV抗原、免疫不全ウイルスのPOL抗原、又はその組み合わせに由来するポリペプチドから選択されるポリペプチドをコードする、請求項1〜31のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
レンチウイルスベクター(i)及び/又は(ii)は、免疫応答のアジュバントを欠く組成物中で製剤化される、請求項1〜35のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
哺乳動物宿主における免疫応答のプライミング及び続く免疫応答のブーストを包含する投与計画における使用のための、請求項1〜38のいずれか一項記載の化合物の組み合わせであって、ここで(i)の第1のVSV Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、(ii)の第2のVSV Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターとは別々の時間に投与し、レンチウイルスベクター(i)及び(ii)の各々を免疫応答のプライミング又はブーストのいずれかのために投与する、化合物の組み合わせ。
請求項6〜39のいずれか一項記載の化合物の組み合わせであって、ここでインディアナ株のVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターをプライミングのために使用し、そしてニュージャージー株のVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターをブーストのために使用する、又はここでニュージャージー株のVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターをプライミングのために使用し、そしてインディアナ株のVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターをブーストのために使用する、化合物の組み合わせ。
HIV−1又はHIV−2を含むヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したヒト宿主の治療的処置のための、請求項1〜40のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
前記抗レトロウイルス薬は、レトロウイルスの逆転写酵素(RT)のインヒビター及びレトロウイルスのプロテアーゼのインヒビターより選択される、請求項43記載の化合物の組み合わせ。
レトロウイルスの逆転写酵素の1つ又は複数のインヒビター及びレトロウイルスプロテアーゼの1つ又は複数のインヒビターを投与のために使用する、請求項43又は44記載の化合物の組み合わせ。
化合物の投与が、前記抗レトロウイルス薬の投与を止めた後に延長されるか、又は前記抗レトロウイルス薬の投与が、化合物の投与中に数回中断される、請求項43〜46のいずれか一項記載の化合物の組み合わせ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子導入ベクターのデザインに関し、特に、宿主における単回投与又は反復投与のいずれかに適したレンチウイルス遺伝子導入ベクターを提供し、それらの医薬品への適用に関する。
【0002】
特定の実施態様において、本発明は、特に、5ヶ月間を超える期間にわたる追跡調査を伴う、同種モデルにおいてレンチウイルス遺伝子導入ベクターで実施された前臨床試験で得られた結果に依存し、特にヒト宿主において適した、免疫不全ウイルスに対するワクチン接種のための候補をデザインする。
【0003】
本発明は、特に、それを必要とする宿主中への単回又は複数回のインビボ投与のための遺伝子導入ベクターの使用に関する。本出願の適用の分野は、特に動物の処置又はヒトの処置(例、予防的又は治療的又は対症的又は根治的処置)に関する。
【0004】
本発明のレンチウイルスベクターの組み合わせは、特に、インビボでの遺伝子治療又はワクチン接種の分野における使用に適する。それは、しかし、より一般的に、インビボでの単回又は複数回のベクターの注射が必要となる任意の医薬処置にも適する。
【0005】
本発明は、特に、哺乳動物宿主、特にヒトにおける疾患の予防又は処置のいずれかのための、反復投与におけるレンチウイルスベクターの使用に適する手段を提供する。これらのベクターの特定の適用は、ウイルス感染、寄生虫及び細菌感染又は癌を含む、発症状態の予防又は処置のための免疫応答を誘発するため、及び好ましくは防御的な持続性免疫応答を誘発することである。本発明の特定の実施態様によると、デザインされたベクターは、特に、免疫不全ウイルス、特にAIDSに対する処置又は予防の分野における関心である。
【0006】
本発明の別の局面は、遺伝子導入ベクターが組込み又は非組込み(NI)ベクターのいずれかであることである。いずれの形態のベクターの選択も、それらの使用目的に依存的であるはずである。
【0007】
ウイルス、特にRNAウイルス、及び特にレンチウイルスが、非分裂標的細胞において効率的に複製することを可能にする有糸分裂に非依存的な核内輸送を達成するレンチウイルスの能力により、遺伝子導入ベクターをデザインするために過去に使用されてきた。従って、レンチウイルスベースのベクターが、予防的又は治療的ワクチン接種を含む種々の適用のために、又は、これらのベクターを遺伝子治療のためのツールとして使用する目的で、探索されてきた。
【0008】
インビボでレンチウイルスベクターをテストすると、しかし、インビボ注射の数が、ベクター粒子のシュードタイピングのために使用されるエンベロープタンパク質に対して誘発される宿主の液性応答により制限されることが観察されている。
【0009】
シュードタイピングされたベクター粒子のエンベロープに対して宿主において誘発される応答は、従って、インビボでの複数回投与が必要な場合、そのようなベクターの効率的な使用において欠点である。
【0010】
本発明は、予防又は処置との関連で宿主に数回投与される場合、少なくとも部分的に、シュードタイピングされたベクター粒子のエンベロープに対する免疫応答による欠点に対する改善措置を意図する手段を提案する。
【0011】
本発明は、このように、レンチウイルスベクターの様々な構造、及び、また、特に、レンチウイルスベクターの単回又は反復投与のいずれかを可能にする条件で、それを必要とする宿主における使用に適した、化合物(別名、化合物のキット)の組み合わせとの関連に関する。
【0012】
特に、本発明は、宿主にトランスジーンを送達するための異なるレンチウイルスベクターの連続使用を利用する。
【0013】
本発明のレンチウイルスベクター及び特にそれらの組み合わせは、特に、医薬処置の分野における使用に適し、ここでは特に内因的に発現させた抗原により誘発される、細胞性免疫応答を含む、免疫応答が有益である、又は、必要である;従って、本発明は、ウイルス、特にレトロウイルスを含む細胞内病原性微生物に対する、又はより一般的に、発症状態に対する、インビボでの遺伝子治療の実施を含む、予防又は根治処置の必要な宿主での使用のためのワクチン接種プロトコールのデザインのためのツールを提供する。それは、特に、インビボでのベクターの複数回の注射を必要とする任意の医薬処置に適する。
【0014】
本発明者らは、本明細書において定義するレンチウイルスベクターが、特に組み合わせで使用された場合、非ヒト霊長類モデルにおいて細胞性免疫応答を誘発するために適切であり、レンチウイルスベクターがウイルスの抗原を発現する場合、ウイルスチャレンジとの関連で防御的でありうるとの証拠を提供している。
【0015】
本発明の特定の実施態様において、本発明者らは、特に、細胞性の防御的免疫応答が、非ヒト霊長類モデルにおいて、サル免疫不全ウイルスでのウイルスチャレンジに関連して得られていることを示している。本発明者らは、特に、2つの非交差反応性VSV血清型からの糖タンパク質Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを使用したプライム・ブースト戦略において、これらのベクターが、ベクターによりコードされる抗原に対する強固で広範な細胞性免疫応答を誘発することを示している。これは、カニクイザル(cynomolgus macaque)からなるモデルにおいて示されており、適応ベクターは、このように、特にベクターによりコードされる抗原に関してデザインされており、特にヒト宿主での適用に適したベクターを提供する。
【0016】
これらの結果を考慮し、本発明者らは、宿主に投与される場合に、特にウイルス感染の予防又は処置の状況において、及び、特にヒト宿主において、効率的で好ましくは防御的な免疫応答を誘発するために適しうるツールをデザインしており、そのようなウイルス感染、特にレトロウイルス感染、例えばヒト免疫不全ウイルスを含むレンチウイルス感染に対する免疫応答を提供し、そして、恐らくは感染に関連する病原性の発生を予防する。
【0017】
従って、本発明のレンチウイルスベクターの組み合わせによって、特に、反復投与での使用のための効率的なプライム・ブースト・システムを提供し、特にそれを必要とする宿主での注射後に、宿主において免疫応答を連続的にプライミング及びブーストすることを可能にする。「反復」は、活性成分、即ち、本発明のレンチウイルスベクターに含まれる異種ポリペプチドを、本明細書において開示するレンチウイルスベクターの投与の結果として、2回又はそれ以上、特に3回宿主に投与することを意味する。
【0018】
本発明は、従って、少なくとも以下:
(i)第1の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質(単数又は複数)でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子(別名、レンチウイルスベクター);
(ii)第1の決定されたエンベロープタンパク質とは異なる第2の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質(単数又は複数)でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子(別名、「レンチウイルスベクター」);
ここで(i)及び(ii)のレンチウイルスベクター粒子は、特に1つ又は複数のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチド(又はトランスジーン)である異種の決定されたポリヌクレオチドをコードする(即ち、含む)、及び;
ここで第1及び第2のウイルスエンベロープタンパク質は互いに血清中和せず、哺乳動物細胞のインビボでの形質導入に適する
を含む化合物の組み合わせに関する。
【0019】
レンチウイルスベクター粒子によりコードされる(含まれる)ポリヌクレオチドは、それをインサートとしてベクターゲノムコンストラクト中に取り込ませるため、「異種」である。特定の実施態様において、ゲノムベクター及びポリヌクレオチドは、同じ群のレンチウイルス、さらには同じ型に由来してよい。
【0020】
本発明の特定の実施態様において、異種の決定されたポリヌクレオチドは、免疫不全ウイルスのGAG抗原に由来する少なくとも1つの抗原を含む1つ又は複数のポリヌクレオチドをコードする。特に、抗原は、1つ又は複数の免疫原性エピトープである、又は、それを含む。GAGに由来する抗原を本出願において定義し、実施例において例示する。それはGAGの特定のフラグメントを包含する。実施例において例示するGAG抗原はSIVに由来し、SIV感染に対する防御をアッセイするためのモデルのデザインに従う。ヒト宿主に適したベクターのデザインを意図する場合、GAG抗原は、ヒト免疫不全ウイルス、特にHIV−1又はHIV−2のGAGポリタンパク質に由来する。
【0021】
本発明の特定の実施態様において、1つ又は複数のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチド(又はトランスジーン)である異種の決定されたポリヌクレオチドは、免疫不全ウイルスの生物学的に活性なPOL抗原をコードしない。
【0022】
特定の実施態様において、GAGに由来するコードされる抗原、特にGAGに由来する免疫原性エピトープは、生物学的に機能的なGAG抗原ではなく、そのような生物学的に機能的なGAGを含まない;換言すると、抗原は生物学的に非機能的なGAGである。
【0023】
本発明において定義するレンチウイルスベクターは、(特定のポリタンパク質のエンベロープの)エンベロープタンパク質を持つベクター粒子(従って、別名「レンチウイルスベクター粒子」)からなるシュードタイピングされたレンチウイルスベクターであり、ここでエンベロープタンパク質はレンチウイルスベクターのベクターゲノムを提供する特定のレンチウイルスとは異なるウイルスに由来する。従って、エンベロープタンパク質は、いわゆる「異種ウイルスエンベロープタンパク質」である。以下の頁において、本発明を実施するのに適した任意の型のエンベロープタンパク質を包含するために、「エンベロープタンパク質」も参照する。
【0024】
本発明のレンチウイルスベクターは置換ベクターであり、レンチウイルスタンパク質をコードする元のレンチウイルスの配列が、本質的にベクターのゲノムから欠失しており、又は、存在する場合、改変されており、特に、生物学的に活性なPOL抗原及び任意にさらにレンチウイルスの構造及び/又はアクセサリー及び/又は調節タンパク質の発現を阻止することを意味する。
【0025】
ベクター粒子の「ベクターゲノム」は、目的のポリヌクレオチド又はトランスジーンも包含する。特定の実施態様において、トランスジーンは、また、生物学的に活性なPOLタンパク質をコードするポリヌクレオチドを欠く。結果として、ベクターゲノムは、生物学的に活性なPOL抗原の回収を可能にしない。生物学的に活性なPOL抗原は、GAG−POLポリタンパク質の切断により産生される、ウイルス酵素プロテアーゼ(RT)、逆転写酵素(RT及びRNase H)、及びインテグラーゼ(IN)を含む。POL抗原は、これらの酵素の少なくとも1つの生物学的活性が可能にならない場合、生物学的に活性ではない。生物学的活性は、Fields(Virology - Vol 2 Chapter 60, pages 1889-1893 Edition 1996)において、これらの酵素と共に記載される。
【0026】
特定の実施態様において、ベクターゲノム中のポリヌクレオチド又はトランスジーンは、機能的なpol遺伝子に欠け、及び特に完全なpol遺伝子を含まない。
【0027】
本明細書において定義するベクターゲノムは、適切な調節配列の制御下に置かれた治療目的のいわゆる異種ポリヌクレオチドとは別に、ゲノムの非コード領域であるレンチウイルスゲノムの配列を含み、DNA又はRNA合成及びプロセシングのための認識シグナルを提供するために必要である。これらの配列はシス作用配列である。本発明のレンチウイルスベクターを調製するために使用するベクターゲノムの構造及び組成は、当技術分野において記載される原理に基づく。そのようなレンチウイルスベクターの例は、(Zennou et al, 2000; Firat H. et al, 2002; VandenDriessche T. et al)において開示される。特に、最小レンチウイルス遺伝子送達ベクターがベクターゲノムから調製でき、それは、適切な調節配列の制御下にある治療目的の異種ポリヌクレオチドとは別に、DNA又はRNAの合成及びプロセシングのための認識シグナルを提供するために必要であるゲノムの非コード領域であるレンチウイルスゲノムの配列を含むだけである。
【0028】
故に、ベクターゲノムは、2つの末端反復配列(LTR)の間の全てのウイルスタンパク質コード配列が、目的のポリヌクレオチドにより置換されている置換ベクターでよい。
【0029】
特記なき場合、又は技術的に無関連ではない場合、レンチウイルスベクターの構造又は使用の種々の特性、実施態様、又は実施例のいずれかに関する、特にそれらのエンベロープタンパク質、又は異種ポリヌクレオチドに関し、本出願において開示する特徴は、任意の可能な組み合わせに従って組み合わせてよい。
【0030】
「化合物の組み合わせ」又は「化合物のキット」という表現は、キット又は組み合わせの活性成分を構成するレンチウイルスベクターが、キット又は組み合わせ中の別々の化合物として提供され、宿主への投与、特に時間内での別々の投与が意図される。従って、本発明は、それを必要とする宿主におけるプライム−ブースト投与の実施を可能にし、ここで第1投与工程によって免疫、特に細胞性免疫応答が誘発され、そして後の投与工程によって免疫応答がブーストされる。
【0031】
キットの化合物は、このように、それを必要とする宿主に、特に哺乳動物宿主に、特にヒト患者に別々に提供される。
【0032】
従って、レンチウイルスベクターは別々のパッケージ中で提供でき、又は、その別々の使用のために共通のパッケージ中で提示できる。
【0033】
従って、パッケージ中に含まれ、使用のための指示を含む注意は、異なるエンベロープタンパク質でシュードタイピングされるレンチウイルスベクター粒子が、時間内での別々の投与のためであり、特に宿主における免疫応答のプライミング及び続くブーストのためであることを示しうる。
【0034】
本発明に従って、それは、提供される第1の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされるレンチウイルスベクター粒子、及び第2の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされるレンチウイルス属ウイルスベクター粒子である。従って、第1及び第2の異種ウイルスエンベロープタンパク質は異なり、特に異なるウイルス株に由来する。このように、本発明の化合物のキットのレンチウイルスベクター粒子は、少なくとも、ベクター粒子をシュードタイピングするために使用される特定のエンベロープタンパク質により、異なる。
【0035】
本発明の特定の実施態様において、化合物の組み合わせは、第3の、又は、さらなる型のレンチウイルスベクター粒子を含み、ここで第3のレンチウイルスベクターのエンベロープタンパク質は、第1及び第2のエンベロープタンパク質とは異なり、特に異なるウイルス株に由来する。
【0036】
それらのシュードタイピング・エンベロープタンパク質とは別に、本発明のレンチウイルスベクターは同一でありうる、及び、特に同一のベクターゲノムを有しうる。
【0037】
あるいは、それらのベクターゲノムは、それらが同じ異種の決定されたポリヌクレオチド(別名、トランスジーン)、特に治療目的を有する同じポリヌクレオチドを保有するという条件で、異なりうる。
【0038】
本発明の別の実施態様において、レンチウイルスベクターのベクターゲノムは、異なるポリヌクレオチドが共通の抗原決定基、又は共通のエピトープを有するポリペプチドをコードするという条件で、異なるポリヌクレオチドを有することにより異なる。故に、異なるポリヌクレオチドは、互いにバリアントでありうる。
【0039】
上に特定する通り、「ベクターゲノム」という表現は、核酸、即ち、レンチウイルス由来の核酸を指し、レンチウイルスベクター粒子のゲノムを構成する。従って、発現は、任意の適当な核酸、即ち、二本鎖又は一本鎖のいずれかで、三本鎖配列としてDNA Flapを含む形態を含む、DNA又はRNAに関する。核酸(DNA、RNA)の性質及びその組成は、粒子のサイクルの段階に依存し、そして、粒子の発現のためのベクタープラスミド(キャプシド形成プラスミド及びエンベローププラスミドとの細胞のコトランスフェクションのために使用される)、又は、形成される場合には粒子のRNAゲノム、又は、組込み前ベクター複合体を含む粒子が投与される宿主の形質導入細胞中でのこのゲノムの核酸の種々の形態(ゲノムmRNA転写産物、直鎖非組込みDNAレトロ転写産物、又は非組込みの1つ又は2つのLTR DNA円形態又は組込みプロウイルスを含む)(Fields Virologyを参照のこと)を含む。
【0040】
宿主への粒子の投与の結果として、異種ポリヌクレオチドは、それがレンチウイルスベクターにより形質導入される宿主の細胞中でコードするポリペプチドの内因性発現を可能にする。
【0041】
第1及び第2のウイルスの、ならびに、もしある場合、第3の、ならびに、恐らくはさらなるエンベロープタンパク質が、互いに血清中和しない(即ち、交差反応しない)それらの能力について選択される。従って、組み合わせでベクター粒子をシュードタイピングするために使用する、第1及び第2のウイルスの、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質の各々が、第1及び第2のウイルスの、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質の他に対する抗体と反応せず、そして、特にそれにより認識されない。従って、レンチウイルスベクター内で投与される場合、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質の各々が、他のウイルスエンベロープタンパク質を認識する抗体の産生を誘発せず、ここで抗エンベロープ抗体のそのような産生(いわゆる、抗ベクター免疫)は、ポリヌクレオチドから発現される産物に対する免疫応答の誘発に失敗しうる。
【0042】
特定の実施態様において、化合物のキットでは、第1及び第2のウイルスの、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質は、DNAウイルス又はRNAウイルスのいずれかのヒトウイルスに由来する。
【0043】
本発明の化合物のキットの特定の実施態様において、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質は、同じウイルス科のウイルスに由来する。
【0044】
本発明の特定の実施態様に従って、第1及び第2のエンベロープウイルスタンパク質は、同じウイルスの異なる株型、又は同じウイルスの非交差反応性血清型に由来する。
【0045】
化合物のキットの別の実施態様において、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質は、異なる属のウイルスに由来する。
【0046】
化合物のキットの別の実施態様において、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質は、同じ属又は同じ血清型で、しかし、異なる株型に、又は、ウイルスの非交差反応性血清型に由来する。
【0047】
本発明は特に化合物のキットに関し、ここで第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質は、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(狂犬病ウイルスを含む)、特にパラミクソウイルス科からの水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含むベシクロウイルス属、特に麻疹ウイルス(MV)呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、又は非ヒトレトロウイルスもしくはインフルエンザウイルスなどのオルソミクソウイルス科に由来する。
【0048】
上に引用したウイルスは、哺乳動物宿主、特にヒト宿主に感染できるRNAウイルスである。それらの部分、例えばモノネガウイルス目のウイルス、及び特にラブドウイルス科、特にベシクロウイルス属のウイルス、特にVSVが、エンベロープタンパク質、別名、表面タンパク質を提供し、ウイルスベクター、特にレンチウイルスベクター粒子をシュードタイピングするために提案されている。
【0049】
水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV−G)は、野生型ウイルス粒子の表面コートとして機能する膜貫通タンパク質である。それは、また、組換えレンチウイルスベクターでの共通のコートタンパク質である。現在、9つのウイルス種がVSVジェンダーに明確に分類され、そして19のラブドウイルス科が暫定的にこのジェンダーに分類され(以下を参照のこと)、全てが種々の程度の交差中和を示す。配列決定すると、プロテインG遺伝子は配列類似性を示す。VSV−Gタンパク質は、N末端の外部ドメイン、膜貫通領域、及びC末端細胞質側末端を提示する。それは、トランスゴルジネットワーク(小胞体及びゴルジ装置)を経て細胞表面に搬出される。
【0050】
VSV株には、レンチウイルスベクターの調製のためのエンベロープタンパク質を提供しうるいくつかの血清型が含まれる:VSV−G糖タンパク質は、特に、ベシクロウイルス属において分類される種の中から選んでよい:カラジャス(Carajas)ウイルス(CJSV)、チャンディプラ(Chandipura)ウイルス(CHPV)、Cocalウイルス(COCV)、イスファハン(Isfahan)ウイルス(ISFV)、マラバ(Maraba)ウイルス(MARAV)、Piryウイルス(PIRYV)、水疱性口内炎アラゴアスウイルス(VSAV)、水疱性口内炎インディアナウイルス(VSIV)及び水疱性口内炎ニュージャージーウイルス(VSNJV)及び/又はソウギョラブドウイルス(Grass carp rhabdovirus)としてベシクロウイルス属において暫定的に分類される株、BeAn 157575ウイルス(BeAn 157575)、ボテケ(Boteke)ウイルス(BTKV)、カルチャキ(Calchaqui)ウイルス(CQIV)、Eel virus American(EVA)、グレイロッジ(Gray Lodge)ウイルス(GLOV)、ユロナ(Jurona)ウイルス(JURV)、クラマス(Klamath)ウイルス(KLAV)、クワッタ(Kwatta)ウイルス(KWAV)、ラ・ホージャ(La Joya)ウイルス(LJV)、マルパイススプリング(Malpais Spring)ウイルス(MSPV)、エルゴン山(Mount Elgon)コウモリウイルス(MEBV)、ペリネ(Perinet)ウイルス(PERV)、パイク(Pike)ハエラブドウイルス(PFRV)、ポートン(Porton)ウイルス(PORV)、ラジ(Radi)ウイルス(RADIV)、コイ春ウイルス血症(Spring viremia of carp)ウイルス(SVCV)、ツバイ(Tupaia)ウイルス(TUPV)、潰瘍性疾患ラブドウイルス(UDRV)、及びユグボグダノヴァツ(Yug Bogdanovac)ウイルス(YBV)。
【0051】
水疱性口内炎インディアナウイルス(VSIV)及び水疱性口内炎ニュージャージーウイルス(VSNJV)が、本発明のレンチウイルスベクターをシュードタイピングするための、又は、レンチウイルスベクターをシュードタイピングするための組換えエンベロープタンパク質をデザインするための好ましい株である。しかし、イスファハン及びSVCVのエンベロープも、シュードタイピングされた粒子の調製のための良好な候補を提供する。Cocalも興味深い(最初に投与されうる、及び、特にプライム・ブースト計画において後期又は最後の投与に好まれうる粒子中で使用されない範囲内で)。異なるシュードタイピングエンベロープを有する粒子が連続的に投与される場合、エンベロープに関して以下の投与の順番が好まれうる:インディアナ;ニュージャージー;イスファハン;SVCV/Cocal。Cocalシュードタイピングされたレンチウイルスベクターはいくつかの他のエンベロープを血清中和するため、ワクチン接種の時間順序において、Cocalエンベロープを粒子の調製において使用し、それらを最後の1つとして投与することが好ましい。
【0052】
インディアナ及びニュージャージー血清型のVSV株が、本発明のレンチウイルスベクターにおいて使用するために特に興味深い。それらのVSV−Gタンパク質はGenebankにおいて開示され、ここでいくつかの株が提示される。VSV−Gニュージャージー株について、特にアクセッション番号V01214を有する配列を参照する。
【0053】
VSVの中で、チャンディプラウイルス(CHPV)、Cocalウイルス(COCV)、ペリネ(Perinet)ウイルス(PERV)、Piryウイルス(PIRYV)、SVCV又はイスファハンウイルスが、代替のエンベロープタンパク質をデザインするため、特に第3のエンベロープタンパク質、又はさらなるエンベロープタンパク質をデザインするための良好な候補になりうる。しかし、チャンディプラウイルス(CHPV)及びPiryウイルス(PIRYV)は、異なるエンベロープで調製された粒子で得られたベクターの力価を比較した場合に低いシュードタイピング能を有するエンベロープタンパク質を提供することが示されている。従って、第1のアプローチにおいて、効率的な形質導入能力を伴う粒子を調製するために、これらのエンベロープをエンベロープの選択肢から除外できる。
【0054】
別の実施態様によると、ウイルスエンベロープタンパク質は、他のRNAウイルス、例えば、マウスレトロウイルスなどの非ヒトレトロウイルス、又はインフルエンザウイルスに由来する。
【0055】
レンチウイルスのシュードタイピングに適したエンベロープタンパク質の他の例を、後の記載において、特に、宿主中でのそれらの標的細胞を参照して与える。
【0056】
別の実施態様によると、本発明の化合物のキットでは、ラブドウイルス科、特にVSV又はパラミクソウイルスに由来する、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質を使用し、ここで第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質が異なる属のウイルスに由来し、又は、同じ血清型における、特に水疱性口内炎血清型における異なるウイルス株に由来し、又は、代わりに、同じ属の異なる血清型に由来する。
【0057】
本発明の特定の実施態様において、化合物のキットのシュードタイピングされたレンチウイルスベクターのデザインにおける使用に適したタンパク質又は糖タンパク質は、特に単量体又は多量体のタンパク質として産生される。
【0058】
本発明の特定の実施態様において、第1及び第2の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質は、融合及び/又はエンドサイトーシスによって、抗原提示細胞による、及び、特に樹状細胞による取り込みが可能になる。特定の実施態様において、取り込みの効率を、シュードタイピングのためのVSVのエンベロープを選択するための特性として使用できる。この点において、形質導入の相対力価(DCの力価/他の形質導入細胞、例、293T細胞の力価)を検討でき、DCとの相対的に良好な融合力を有するエンベロープが好まれうる。形質導入の相対力価を実施例において例示する。
【0059】
抗原提示細胞(APC)及び特に樹状細胞(DC)は、予防的又は治療的いずれかの目的で、ワクチン組成物として使用されるシュードタイピングされたレンチウイルスベクターのための適切な標的細胞である。
【0060】
レンチウイルスベクター粒子をシュードタイピングするために使用するエンベロープタンパク質は、このように、宿主中の標的細胞に関して選択できる。
【0061】
VSVエンベロープタンパク質(VSV−G)をコードするポリヌクレオチドも、脾細胞、特に抗原提示細胞(APC)もしくは樹状細胞(DC)、又は肝細胞もしくは非実質細胞を含む肝臓細胞を標的にする。
【0062】
他の標的細胞は、活性化された又は増殖性の心筋細胞でありうる。
【0063】
決定した細胞を標的とし、そして、本発明のレンチウイルスベクターをシュードタイピングするために適したエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、以下に例示する:VSV(VSV−G)、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、又はRRV(ロスリバーウイルス)のエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドを使用して、肝臓細胞を標的とするために適したベクターを調製できる(Park 2003)(Kang et al, 2002)。
【0064】
エボラウイルス又はマールブルグウイルスのエンベロープタンパク質を使用して、尖端表面の気道上皮を標的にできる(Kobinger et al, 2001)。
【0065】
ラブドウイルス科(モコラ(Mokola)ウイルスなどの狂犬病又は狂犬病関連ウイルスを含む)又はVSV科のウイルスのエンベロープタンパク質は、向神経性レンチウイルスベクターを提供しうる。
【0066】
リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)などのアレナウイルスのエンベロープ糖タンパク質を使用して、繊維芽細胞、上皮細胞、造血細胞、神経芽細胞腫、及びグリオーマ細胞株に形質導入できる。
【0067】
RRV又はSFV(セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest Virus))のタンパク質などのアルファウイルスエンベロープタンパク質は、抗原提示細胞(APC)、神経細胞、又は筋肉細胞を標的にしうる。
【0068】
他のエンベロープタンパク質を使用して、例えば、HAタンパク質(インフルエンザ赤血球凝集素)、RD114タンパク質、トガウイルス科(Togaviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(インフルエンザウイルスなど)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、フラビウイルス科(Flaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)のエンベロープタンパク質などの本発明のレンチウイルスベクターをシュードタイピングできる。
【0069】
エンベロープタンパク質は、場合により別名が特定のウイルスにおける表面タンパク質であり、異なる生物、特に異なるRNAウイルス株に「由来」すると言われ、タンパク質において、決定されたRNAウイルスにおいて発現される対応するタンパク質の必須の特性が維持されることを意味する。必須の特性は、タンパク質の構造又は機能に関連し、特に、得られたタンパク質を、ベクターをシュードタイピングするために、ベクター粒子の表面での発現を可能にするものである。エンベロープタンパク質はその後、ベクター粒子上に存在する場合、宿主の標的細胞において認識され、そして内在化されうる。
【0070】
特定の実施態様において、化合物のキットのシュードタイピングされたレンチウイルスベクターのデザインにおける使用に適したタンパク質又は糖タンパク質を、三量体であるVSV−Gタンパク質などの多量体タンパク質として使用する。
【0071】
エンベロープタンパク質は、タンパク質のコード配列を含むポリヌクレオチドから発現され、そのポリヌクレオチドは、本発明のレンチウイルスベクターの調製のために使用するプラスミド(エンベロープ発現プラスミド又はシュードタイピングされたenvプラスミド)中に挿入する。エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、コード配列(任意に、InvitrogenからのWPRE配列などのポリヌクレオチドを含む)の転写及び/又は発現のための調節配列の制御下にある。
【0072】
本発明は、このように、哺乳動物、特にヒト細胞におけるインビボでの使用に適した内部プロモーター及びプロモーターの制御下のエンベロープタンパク質をコードする核酸を含む核酸コンストラクトに関する。本発明は、また、このコンストラクトを含むプラスミドに関する。プロモーターは、特に、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、又は誘導的プロモーターとしてのそれらの特性について選択できる。適したプロモーターの例として、以下の遺伝子を含むプロモーターが包含される:EF1α、ヒトPGK、PPI(プレプロインシュリン)、チオデキストリン(thiodextrin)、HLA DR不変鎖(P33)、HLA DRアルファ鎖、フェリチンL鎖又はフェリチンH鎖、ベータ2ミクログロブリン、キモシンベータ4、キモシンベータ10、又はシスタチンリボソームタンパク質L41。
【0073】
レンチウイルスベクター粒子をシュードタイピングするために必要なエンベロープタンパク質の発現のために使用するヌクレオチド配列を、参照として使用する天然エンベロープタンパク質をコードする核酸に関して、改変してよい。改変を実施して、ベクター粒子の調製のための細胞及び/又は宿主の形質導入細胞におけるコドン使用頻度を改善できる(コドン最適化)。それを改変して、天然タンパク質とは異なるタンパク質、特に改善したシュードタイピング能力、産生レベルにおける改善した能力、又は化合物のキットにおいて使用する他のエンベロープタンパク質との血清中和の阻止に関する改善した能力を有するものを発現する。
【0074】
エンベロープタンパク質のそのような改変は、恐らくはシュードビリオンに結合したエンベロープタンパク質の密度を改善することにより、細胞宿主におけるそれらの産生レベル又はベクター粒子をシュードタイピングするそれらの能力に影響を及ぼし、特に改善しうる。改変は、例えば、1つ又は複数のヌクレオチド又はヌクレオチドフラグメントの付加、欠失、又は置換によるタンパク質のアミノ酸配列における突然変異に由来しうるか、又は、翻訳後修飾及び特にエンベロープタンパク質のグリコシル化状態に関連しうる。
【0075】
本発明のレンチウイルスベクターをシュードタイピングするために使用するエンベロープタンパク質は、実際に、特に糖タンパク質である。
【0076】
水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV−G)でウイルスベクターをシュードタイピングすることによって異なる種からの広い範囲の細胞型の形質導入が可能になることが既に示されている。このVSV−G糖タンパク質は、その広範な向性に加えて、ベクターシュードタイピングのために使用した場合に興味深い安定性を有する。従って、VSV−Gは、他のシュードタイプの効率を評価するための基準として使用されてきた(Cronin J. et al, 2005)。従って、VSV−Gは、本発明のレンチウイルスベクターをシュードタイピングするための適切な候補である。
【0077】
本発明は、特に、本出願において定義する化合物のキットに関し、ここで第1及び第2の両方の、ならびに、もしある場合、第3の、又は、さらなるウイルスエンベロープタンパク質は、VSVウイルスの膜貫通グリコシル化(G)タンパク質であり、Gタンパク質はキットのレンチウイルスベクターにおいて異なるVSV型特異性を有する。
【0078】
特に、第1のGタンパク質はVSV−インディアナ血清型に由来し、そして第2のGタンパク質はVSV−ニュージャージー血清型に由来するか、又は、逆も同様である。
【0079】
以下の実施例において、Gタンパク質のいずれかでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを連続的に使用して、それらが投与された宿主において反応を誘発させる場合、キットにおいてシュードタイピングされたウイルス粒子に頼ることによって(ここでエンベロープタンパク質は、それぞれVSV−インディアナ血清型及びVSV−ニュージャージー血清型のGタンパク質である)、免疫学的反応のプライミング及びブーストが可能になることが示されている。そのような場合において、無液性応答(交差反応性の液性応答なし)又は低液性応答(低い交差反応性の液性応答)が、使用される第1のエンベロープタンパク質に対して産生されることが示されており、第2の異なるエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターが投与される場合に、ポリヌクレオチドの発現産物に対して宿主において誘発される応答を害しうる。これは、異なるエンベロープタンパク質が交差中和せず、又は、互いに有意に交差反応せず、従って、抗ベクター免疫応答を生じないという事実により可能になる。
【0080】
特定の実施態様において、本発明は、その天然形態に関して改変したVSVに由来するGタンパク質に関し、及び/又は、シュードタイピングを改善するために、天然のものに関して改変した核酸分子によりコードされる。それは、レンチウイルス粒子によるエンベロープタンパク質の取り込みの改善の結果でありうるが、それによって、それらが投与された宿主の細胞によるレンチウイルス粒子の形質導入の改善が可能になる。
【0081】
化合物の特定のキットはレンチウイルスベクターを含み、ここでそれらの1つ又は2つ又はそれ以上を、様々なウイルス、特にVSVの様々な種の様々な属の様々なエンベロープタンパク質に由来するドメイン又はフラグメントを含む組換えエンベロープタンパク質でシュードタイピングする。
【0082】
本発明の特定の実施態様において、少なくとも1つの第1及び第2の、ならびに、もしある場合、任意の第3の、又は、さらなるエンベロープタンパク質は、インディアナ株のVSV−Gの搬出決定基を含む組換えエンベロープタンパク質である。
【0083】
インディアナ株のVSV−Gの搬出決定基は、エンベロープのオープンリーディングフレームの細胞質側フラグメントによりコードされるポリペプチドである。
【0084】
インディアナ株のVSV−Gの搬出決定基は、細胞質側末端におけるアミノ酸配列YTDIEを含む、又は、有するポリペプチドである(Nishimua N. et al. 2002)。
【0085】
組換えエンベロープタンパク質は、疎水性膜貫通ドメインにより区切られたVSV−Gの細胞内部分である、インディアナ株のVSV−Gの細胞質側末端を含みうる。
【0086】
化合物の特定のキットはレンチウイルスベクターを含み、ここでそれらの1つ又は2つ又はそれ以上を、インディアナVSVの細胞質側ドメイン及び異なるVSV血清型の株の外部ドメインを含む組換えエンベロープタンパク質でシュードタイピングする。膜貫通ドメインは、また、インディアナVSV−Gの1つでよい。
【0087】
化合物の特定のキットはレンチウイルスベクターを含み、ここでそれらの1つ又は両方を、インディアナVSVの膜貫通ドメイン及び細胞質側ドメインならびにニュージャージーVSVの外部ドメインを含む組換えエンベロープタンパク質でシュードタイピングする。
【0088】
適切な他の改変として、シュードタイピングを改善する、突然変異、特に点突然変異が包含される。VSV−Gタンパク質についてのそのような突然変異は、1つ又は複数のアミノ酸残基を置換又は欠失させることにより膜貫通ドメインにおいて行ってよい。適切な突然変異の他の例が、Fredericksen B.L. et al(1995)又はNishimura N. et al(2003)に開示される。
【0089】
本記載において「フラグメント」に言及する場合、それぞれ、少なくとも2つの、又は、それより長いアミノ酸残基の、少なくとも6つの、又は、それより長いヌクレオチドのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列をそれぞれ有するポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。
【0090】
宿主に投与する場合、これらのVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターの形質導入効率を改善するために、VSV−Gのグリコシル化状態を改変することも特には可能である。
【0091】
VSVの種々の株からのVSV−Gタンパク質が図に開示され、それらの配列はデータベース、特にGenebankに由来してもよい。
【0092】
VSVのニュージャージー株及びインディアナ株の糖タンパク質を考慮すると、2つのアスパラギン残基(N180及びN336)でのグリコシル化が、レンチウイルスベクターの効率的なシュードタイピングに有利であることが提案されている。この特定の特性は、本発明のレンチウイルスベクターの調製において適用できる。
【0093】
本発明は、特に、VSV−G由来のエンベロープタンパク質をコードする以下のコンストラクト、及び、本発明のレンチウイルスベクター粒子の組み合わせの調製におけるそれらの使用に関する。本発明は、また、コンストラクトによりコードされるエンベロープタンパク質に関する:
【0094】
コドン最適化されたVSV−Gインディアナ遺伝子が
図6に開示され、本発明の部分である。本発明は、また、VSV−Gインディアナのためのエンベロープ遺伝子を含むキャプシド形成プラスミドに関する。特定のキャプシド形成プラスミドはpThV−VSV.G(IND−CO)であり、CNCM(Paris, France)に、2007年10月10日に番号I−3842で、又は、プラスミドコンストラクトの代わりのバージョンが2008年7月31日に番号CNCM I−4056で寄託されている。他のコンストラクトは、特にプロモーターを、本出願において列挙するプロモーターのうちのプロモーターで置換することにより、この特定のプラスミドに由来してよい。
【0095】
コドン最適化されたVSV−Gニュージャージー遺伝子が
図7に開示され、本発明の部分である。本発明は、また、VSV−Gニュージャージーのためのエンベロープ遺伝子を含むキャプシド形成プラスミドに関する。特定のキャプシド形成プラスミドはpThV−VSV.G(NJ−CO)であり、CNCM(Paris, France)に、2007年10月10日に番号I−3843で、又は、プラスミドコンストラクトの代わりのバージョンが2008年7月31日に番号CNCM I−4058で寄託されている。他のコンストラクトは、特にプロモーターを、本出願において列挙するプロモーターのうちのプロモーターで置換することにより、この特定のプラスミドに由来してよい。本発明は、これらのプラスミド、及びこれらが含む、VSV−Gエンベロープタンパク質をコードするインサートに関する。
【0096】
本発明を行うために適し、コドン最適化配列を有する他のエンベロープを、
図6〜12及び14〜19において例示し、特にVSV−Gチャンディプラ遺伝子及びその発現産物、VSV−G Cocal遺伝子及びその発現産物、VSV−G Piry遺伝子及びその発現産物、VSV−Gイスファハン遺伝子及びその発現産物、VSV−Gコイ春ウイルス血症遺伝子及びその発現産物を包含する。特定のキャプシド形成プラスミドは、VSV−G Cocalのためのエンベロープ遺伝子を含み、pThV−VSV.G(COCAL−CO)であり、CNCM(Paris, France)に、2008年7月31日に番号CNCM I−4055で寄託されている。別の特定のキャプシド形成プラスミドは、VSV−Gイスファハンのためのエンベロープ遺伝子を含み、pThV−VSV.G(ISFA−CO)であり、CNCM(Paris, France)に、2008年7月31日に番号CNCM I−4057で寄託されている。別の特定のキャプシド形成プラスミドは、VSV−Gコイ春ウイルス血症のためのエンベロープ遺伝子を含み、pThV−VSV.G(SVCV−CO)であり、CNCM(Paris, France)に、2008年7月31日に番号CNCM I−4059で寄託されている。本発明は、これらのプラスミド、及び、それらが含む、VSV−Gエンベロープタンパク質をコードするインサートに関する。
【0097】
本発明は、また、融合エンベロープタンパク質、特に異なるウイルスのVSV−Gタンパク質のいくつかの異なるフラグメントを含む融合タンパク質、及び、そのようなタンパク質をコードする核酸コンストラクトに関する。特定の融合エンベロープは、図に例示する通り、ニュージャージーエンベロープタンパク質の外部ドメインとインディアナエンベロープタンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞質側ドメインの間の融合物である。
【0098】
本発明の別の融合エンベロープタンパク質は、VSV−Gチャンディプラ、VSV−G Cocal、VSV−G Pyri、VSV−Gイスファハン、又はVSV−G SVCVより選択される1つのVSV−Gタンパク質の外部ドメイン、ならびに、VSV−Gインディアナの膜貫通及び細胞質側ドメインを含む。本発明は、また、図に例示するの融合タンパク質をコードする核酸分子、及び特に、同じく図に記載する融合タンパク質をコードするコドン最適化核酸に関する。
【0099】
本発明は、また、発現ベクター、特に融合タンパク質をコードする核酸コンストラクトを含むプラスミドに関する。
【0100】
本発明のシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子の構築において使用するベクターゲノムを特性付けする基本的で必須の特性が、上に記載されている。適したベクターゲノム(別名、導入ベクター)の調製のための追加の特性が、実施例及び図面を含む、以下に開示される。
【0101】
本発明の特定の実施態様において、シュードタイピングされたレンチウイルスベクターはヒトレンチウイルスベースのベクターである。従って、それらのゲノムは、ヒトレンチウイルス、特にHIVレンチウイルスに由来する。特に、シュードタイピングされたレンチウイルスベクターは、HIV−1又はHIV−2ベースのベクターなどのHIVベースのベクターであり、特に、HIV−1M、例えばBRU又はLAI分離株に由来する。
【0102】
別の実施態様において、シュードタイピングされたレンチウイルスベクターは霊長類又はネコのレンチウイルスベースのベクターである。
【0103】
上記の通り、それを、それが最終的に含むトランスジーンとは別に考慮する場合、ベクターゲノムは、元のレンチウイルスゲノム中の2つの末端反復配列(LTR)の間の核酸を、DNA又はRNAの合成及びプロセシングのためのシス作用配列に制限した、又は、少なくとも、生物学的に機能的なGAGポリタンパク質ならびに恐らくはPOL及びENVタンパク質を含むレンチウイルス構造タンパク質の発現を可能にしうる必須の核酸セグメントについて欠失又は突然変異させた置換ベクターである。
【0104】
特定の実施態様において、ベクターゲノムは、生物学的に機能的なGagの発現、及び有利なことに、生物学的に機能的なPOL及びENVタンパク質が欠損している。
【0105】
レンチウイルスの5’ LTR及び3’ LTR配列をベクターゲノムにおいて使用するが、しかし、3’−LTRは、少なくともU3領域において元のレンチウイルスの3’LTRに関して少なくとも改変する。5’LTRは、また、特にそのプロモーター領域中で改変させてよい。
【0106】
特定の実施態様において、ベクターゲノムは、従って、Vif−、Vpr、Vpu−、及びNef−アクセサリー遺伝子のための(HIV−1レンチウイルスベクターのための)コード配列、又はそれらの完全なもしくは機能的な遺伝子を欠く。
【0107】
好ましい実施態様において、レンチウイルスベクター粒子のベクターゲノムは、挿入されたシス作用フラグメントとして、DNA Flapからなる、又は、そのようなDNA Flapを含む少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様において、DNA Flapを目的のポリヌクレオチドの上流に挿入し、有利なことに、しかし、必ずしもベクターゲノム中のおおよその中心位置に位置しない。本発明に適したDNA Flapは、レトロウイルス、特にレンチウイルス、特にヒトレンチウイルス、又はレトロトランスポゾンなどのレトロウイルス様生物から得てよい。それは、代わりに、CAEV(ヤギ関節炎脳炎ウイルス)ウイルス、EIAV(ウマ伝染性貧血ウイルス)ウイルス、VISNAウイルス、SIV(サル免疫不全ウイルス)ウイルス、又はFIV(ネコ免疫不全ウイルス)ウイルスから得てよい。DNA Flapは、合成(化学合成)的に、又は、DNAの増幅のいずれでも調製でき、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの上に定義する適切な材料からDNA Flapを提供する。より好ましい実施態様において、DNA Flapは、HIVレトロウイルス、例えばHIV−1又はHIV−2ウイルス(これらの2つの型の任意の分離株を含む)から得られる。
【0108】
DNA Flap(Zennou V. et al., 2000, Cell vol 101, 173-185において、又は、WO 99/55892及びWO 01/27304において定義される)は、一部のレンチウイルス、特にHIVのゲノムの中央にある構造であり、ここでそれは、通常、特にHIV逆転写中に合成され、そしてHIVゲノム核内輸送のシス決定基として作用する3本鎖DNA構造を生じる。DNA Flapによって、逆転写中のセントラルポリプリントラクト(cPPT:central polypurine tract)及びセントラルターミネーション配列(CTS:central termination sequence)によりシスで制御される中央鎖置換事象を可能にする。レンチウイルス由来ベクターに挿入された場合、DNA Flapの逆転写中での産生を可能にするポリヌクレオチドは、遺伝子導入効率を刺激し、核内輸送のレベルを野生型レベルにまで補完する(Zennou et al., Cell, 2000)。
【0109】
DNA Flapの配列は先行技術において、特に、上に引用する特許出願において開示されている。これらの配列を、また、添付図に配列番号1〜配列番号7として開示する。それらは、好ましくは、ベクターゲノムの中央近くである位置にベクターゲノム中の追加隣接配列を恐らくは伴うフラグメントとして挿入される。あるいは、それらを、本発明のポリヌクレオチドの発現を制御するプロモーターから直ぐ上流に挿入してよい。DNA Flapを含むフラグメントは、ベクターゲノム中に挿入され、その由来及び調製に応じて、約80〜約200bpの配列を有しうる。
【0110】
特定の実施態様によると、DNA Flapは、約90〜約140ヌクレオチドのヌクレオチド配列を有する。
【0111】
HIV−1において、DNA Flapは、安定な99ヌクレオチド長のプラス鎖重複である。本発明のレンチウイルスベクターのゲノムベクターにおいて使用する場合、それは、特にPCRフラグメントとして調製する場合、より長い配列として挿入できる。DNA Flapを提供する構造を含む特定の適切なポリヌクレオチドは、HIV−1 DNAのcPPT及びCTS領域を包含する、178塩基対のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)フラグメントである(Zennou et al 2000)。
【0112】
このPCRフラグメントは、ヌクレオチド4793〜4971までの配列に対応するフラグメントとして、HIV−1 LAI、特にHIV1のpLAI3の感染性DNAクローンに特に由来しうる。適切な場合、制限酵素部位を、クローニングのために、得られたフラグメントの1つ又は両方の末端に加える。例えば、Nar I制限酵素部位を使用するプライマーの5’末端に加えて、PCR反応を実施できる。
【0113】
従って、DNA Flapを使用し、本発明において、pol遺伝子の不要な5’及び3’部分から欠失させ、異なる由来の配列と組換える。DNA Flapは、合成(化学合成)的に、又は、DNAの増幅により調製でき、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの上に定義する適切な材料からDNA Flapを提供する。より好ましい実施態様において、DNA Flapは、HIVレトロウイルス、例えばHIV−1又はHIV−2ウイルス(これらの2つの型の任意の分離株を含む)から得られる。
【0114】
ゲノムベクター中で使用するDNA Flap及びGAG及びPOLポリタンパク質をコードするキャプシド形成プラスミドのポリヌクレオチドは、同じレンチウイルスのサブファミリー又は同じレトロウイルス様生物に由来すべきであることが明記されている。
【0115】
好ましくは、ゲノムベクターの他のシス活性化配列は、また、DNA Flapを提供するものとして、同じレンチウイルス又はレトロウイルス様生物に由来する。
【0116】
ベクターゲノムは、さらに、目的のポリヌクレオチドをクローニングするための1つ又は複数の独自の制限酵素部位を含んでよい。
【0117】
本発明によると、シュードタイピングされたレンチウイルスベクターは、gag及びpolの機能遺伝子がもっぱらトランスで提供され、従ってベクターゲノム上に存在しないとの事実の結果として、複製能を欠くレンチウイルスベクターである。そのような場合において、レンチウイルスベクターを宿主に投与した場合、それは宿主細胞中で複製できない。従って、それは、治療目的のポリヌクレオチドを発現用の宿主細胞中に提供するが、しかし、さらなるレンチウイルスベクター粒子を形成しない。この複製能を欠くレンチウイルスベクターの状態は、特に、レンチウイルスのgag、pol、env遺伝子をベクターゲノム中に提供しない、又は、機能遺伝子として提供しない場合に達成される。「機能的」により、正確に転写される、及び/又は、正確に発現される遺伝子を意味する。このように、この実施態様における本発明のレンチウイルスベクターゲノムは、転写されない、又は、不完全に転写されるgag、pol及びenv遺伝子の少なくとも1つを含み;「不完全に転写される」という表現は、転写産物gag、gag−pro又はgag−pro−polにおける変化を指し、これらの1つ又はこれらの複数が転写されない。レンチウイルス複製に関与する他の配列は、この状態を達成するために、ベクターゲノムにおいて突然変異させてもよい。
【0118】
好ましい実施態様において、ベクターゲノム中で、レンチウイルスベクターゲノムの3’ LTR配列はU3領域の少なくともアクチベーター(エンハンサ―)及び恐らくはプロモーターを欠く。別の特定の実施態様において、3’ LTR領域はU3領域を欠く(デルタU3)。この点において、WO 01/27300及びWO 01/27304を参照にする。
【0119】
特定の実施態様において、ベクターゲノム中で、LTR 5’のU3領域は、非レンチウイルスU3により、又は、tat非依存性一次転写を促進するために適したプロモーターにより置換する。そのような場合、ベクターはtatトランスアクチベーターに非依存である。
【0120】
ベクターゲノムはpsi(Ψ)パッケージングシグナルも含む。パッケージングシグナルは、gag ORFのN末端フラグメントに由来する。特定の実施態様において、その配列は、gagペプチドの起こりうる転写/翻訳の任意の、トランスジーンのそれとの干渉を阻止するために、フレームシフト突然変異により改変できうる。
【0121】
ベクターゲノムは、任意に、スプライスドナー部位(SD)、スプライスアクセプター部位(SA)、及び/又はRev応答性エレメント(RRE)から選択されるエレメントも含んでよい。
【0122】
特定の実施態様によると、ベクタープラスミド(又は付加ゲノムベクター)は、トランスジェニック発現カセットのための以下:
1.逆転写、ウイルスDNA組込み及び転写に必要なLTR配列(末端反復配列)。2つの主な理由から、遺伝子導入に必要な機能を混乱させることなく、3’ LTRはU3領域において欠失させる:第1に、ひとたびDNAがゲノムに組み込まれると宿主遺伝子のトランス活性化が回避され、第2に、レトロ転写後にウイルスシス配列の自己活性化を可能にする。任意に、ゲノムの転写を促進する5’−LTRからのtat依存性U3配列をプロモーター配列により置換する。このように、標的細胞において、内部プロモーターからの配列だけが転写される(トランスジーン)(
図23及び24)。
2.ウイルスRNAキャプシド形成に必要なΨ領域。
3.Revタンパク質の結合後にウイルスメッセンジャーRNAの核から細胞質への搬出を可能にするRRE配列(REV応答性エレメント)。
4.核内輸送を促進するためのDNA Flap配列(cPPT/CTS、通常はPol中に含まれる)。
5.任意に、また、mRNAの安定性を最適化するために付加するWPREシス活性配列(ウッドチャックB型肝炎ウイルスのポスト応答性エレメント(Post−Responsive Element))(Zufferey et al., 1999)。WPREは翻訳されない。
のシス作用配列を含む。
【0123】
特定の実施態様において、レンチウイルスのコード領域に由来しうる治療目的のポリヌクレオチドとは別に、上に引用するシス作用配列に関して開示するベクタープラスミドは、他のレンチウイルスヌクレオチド配列を欠く。
【0124】
本発明のレンチウイルスベクターは非複製型であり、即ち、ベクター及びレンチウイルスベクターゲノムは感染宿主細胞から出芽する新たな粒子を形成できない。これは、上のパラグラフにおいて示す通り、gag、pol又はenv遺伝子のレンチウイルスゲノムの非存在により達成でき;これは、また、他のウイルスコード配列及び/又は粒子形成に必要なシス作用遺伝子エレメントを欠失させることにより達成できる。レンチウイルスベクターの複製の非存在は、レンチウイルスゲノムの複製とは区別すべきである。実際に、先に記載した通り、レンチウイルスゲノムは、必ずしもベクター(又は粒子)の複製を確保せず、レンチウイルスベクターゲノムの複製を確保する複製の起点を含みうる。
【0125】
さらなる実施態様において、特に少なくとも1つの抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがレンチウイルスに由来する場合、レンチウイルスベクターゲノムは完全なレンチウイルスのgag、pol又はenvコードポリヌクレオチドを含まず、レンチウイルスベクターゲノムがレンチウイルスのgag、pol又はenv遺伝子よりも短いポリヌクレオチドを含むことを意味する。従って、gagコード配列はHIV−1又はHIV−2について1500bpより短く;polコード配列はHIV−1については3000bp、そしてHIV−2については3300bpより短く;envコード配列はHIV−1については2700bp、そしてHIV−2について2500bpより短い。このサイズは、天然レンチウイルスゲノムにおいて見出される最長の連続ヌクレオチド配列を指す。しかし、別の実施態様において、レンチウイルスゲノムは全ての内因性コードレンチウイルス配列を欠く。
【0126】
本発明のレンチウイルスベクターを得るために、ベクターゲノムを(ベクタープラスミドとして)粒子又は疑似粒子中にキャプシド形成する必要がある。従って、レンチウイルスタンパク質は、エンベロープタンパク質を除き、ベクターゲノムと一緒に、産生システム中、特に産生細胞中のベクターゲノムにトランスで提供しなければならず、gag及びpolレンチウイルス遺伝子又は組込み能のないpol遺伝子を保有する少なくとも1つのキャプシド形成プラスミドを頼りにして、そして好ましくは、Vif、Vpr、Vpu、及びNefアクセサリー遺伝子のための(HIV−1レンチウイルスベクターのための)コード配列を欠く。
【0127】
さらなるプラスミドを使用し、それは各レンチウイルスベクターをシュードタイピングするために選択されるエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドを保有する。
【0128】
好ましい実施態様において、パッケージングプラスミドは、ウイルス粒子合成に必須のレンチウイルスタンパク質だけをコードする。プラスミド中でのその存在によって安全性の懸念を生じうるアクセサリー遺伝子は、従って除去される。トランスで持ち込んだウイルスタンパク質は、それぞれHIV−1について例示する通りである:
1.マトリクス(MA、見掛け上の分子量p17)、キャプシド(CA、p24)、及びヌクレオキャプシド(NC、p6)の構築のためのgagタンパク質。
2.polコード酵素:インテグラーゼ、プロテアーゼ、及び逆転写酵素。
3.Tat及びRevコード調節タンパク質、TatはLTR媒介性転写の開始に必要であり;5’LTRのU3領域がtat非依存性転写を促進するプロモーターについて置換される場合、なくてよい。
ウイルス粒子中のパッケージングプラスミドに含まれる遺伝子から生成されるmRNAの任意のパッケージングを回避するために、Ψ領域をパッケージングプラスミドから除去する。異種プロモーターをプラスミド中に挿入して組換えの問題を回避し、そして、ポリA末端を、タンパク質をコードする配列から3’に付加する。
【0129】
エンベローププラスミドは、内部プロモーターの制御下で、本明細書において開示するシュードタイピングのためのエンベロープタンパク質をコードする。
【0130】
本発明のレンチウイルスベクター粒子の調製のための任意の又は全ての記載されるプラスミドを、タンパク質をコードするセグメントにおいてコドン最適化(CO)してよい。本発明のコドン最適化は、好ましくは、プラスミド中、哺乳動物細胞中、特にヒト細胞中に含まれるコード配列の翻訳を改善するために実施する。本発明によると、コドン最適化は、ベクター粒子の調製を直接的又は間接的に改善するためか、又はそれらが投与される宿主の細胞によるそれらの取り込みを改善するためか、又は宿主の形質導入細胞のゲノム中の目的のポリヌクレオチド(トランスジーン)の導入効率を改善するために特に適している。コドンを最適化するための方法は、当技術分野において周知であり、コドン最適化は利用可能なプログラムをその効果に使用することで特に実施する。コドン最適化は、図に例示する本発明の記載のpTRIPプラスミド及びpThVプラスミド中に含まれるコード配列について例示される。
【0131】
本発明の特定の実施態様において、シュードタイピングされたレンチウイルスベクターは、また、又は代わりに、組込み能がない。そのような場合において、ベクターゲノムひいては治療目的の異種ポリヌクレオチドは、形質導入された細胞の、又はそれが投与された宿主の細胞中のゲノムには組込まれない。
【0132】
本発明はレンチウイルスベクターの使用に関し、ここで、発現されたインテグラーゼタンパク質は欠損しており、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、それを必要とする宿主において、少なくとも1つのポリペプチドに対する免疫応答を誘発するために適した免疫原性組成物を産生する。ポリヌクレオチドは本明細書において開示する特性を有するものである。
【0133】
ポリヌクレオチド(又はレンチウイルスベクターゲノム)は、少なくとも1つの抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの核内輸送及び正確な発現のために必要な全てのエレメントを含む。本発明のレンチウイルスベクターのレンチウイルスゲノム中に挿入できるエレメントの例は、LTR5’及びLTR3’などの少なくとも1つの(好ましくは2つの)末端反復配列(LTR)、レンチウイルスゲノムのキャプシド形成に関与するpsi配列、及び任意にcPPT及びCTSドメインを含む少なくとも1つのDNA Flapである。レンチウイルスベクターゲノムは、また、スプライスドナー部位(SD)、スプライスアクセプター部位(SA)、及び/又はRev応答性エレメント(RRE)から選択されるエレメントを含んでよい。
【0134】
特定の実施態様において、レンチウイルスベクターを、本明細書において記載の通りに、VSV−Gタンパク質でシュードタイピングする。
【0135】
「欠損している」により、好ましくはレンチウイルス由来のインテグラーゼが宿主細胞のゲノム中へのレンチウイルスゲノムの組込み能力を欠いている、即ち、そのインテグラーゼ活性を特異的に変化させるように突然変異させたインテグラーゼタンパク質を意味する。
【0136】
組込み能のないレンチウイルスベクターは、インテグラーゼをコードするpol遺伝子を改変することにより得られ、組込み欠損インテグラーゼをコードする突然変異pol遺伝子をもたらし、改変pol遺伝子はキャプシド形成プラスミド中に含まれる。そのような組込み能のないレンチウイルスベクターは、特許出願WO 2006/010834に記載されている。従って、タンパク質のインテグラーゼ能力を変化させても、GAG、PRO及びPOLタンパク質のキャプシド形成プラスミドからの正確な発現及び/又はキャプシドひいてはベクター粒子の形成、ならびに、逆転写、核内輸送などの組込み工程に先行する、又は、それに続く、ウイルスサイクルの他の工程は、無傷のままである。インテグラーゼは、それが可能にするはずである組込みが、対応する野生型インテグラーゼを含むレンチウイルスベクターと比較して、組込み工程が1000にわたり1未満で、好ましくは10000にわたり1未満で起こる様な方法で変化する場合、欠損型である。
【0137】
本発明の特定の実施態様において、欠損インテグラーゼは、クラス1の突然変異、好ましくは欠損インテグラーゼの発現の必要条件を満たすアミノ酸の置換(1アミノ酸置換)又は短い欠失に起因する。突然変異はpol遺伝子内で行う。これらのベクターは、酵素の触媒ドメイン中に突然変異D64Vを伴う欠損インテグラーゼを保有してよく、それによって組込み工程のDNA切断及び連結反応が特異的に遮断される。D64V突然変異は、シュードタイピングされたHIV−1の組込みを野生型の1/10,000まで減少させるが、しかし、非分裂細胞に形質導入するそれらの能力は維持され、効率的なトランスジーン発現を可能にする。
【0138】
HIV−1のインテグラーゼのインテグラーゼ能力に影響を及ぼすために適しているpol遺伝子における他の突然変異は以下:H12N、H12C、H16C、H16V、S81 R、D41A、K42A、H51A、Q53C、D55V、D64E、D64V、E69A、K71A、E85A、E87A、D116N、D116I、D116A、N120G、N120I、N120E、E152G、E152A、D−35−E、K156E、K156A、E157A、K159E、K159A、K160A、R166A、D167A、E170A、H171A、K173A、K186Q、K186T、K188T、E198A、R199C、R199T、R199A、D202A、K211A、Q214L、Q216L、Q221 L、W235F、W235E、K236S、K236A、K246A、G247W、D253A、R262A、R263A、及びK264Hである。
【0139】
特定の実施態様において、pol遺伝子における突然変異は、以下の位置D64、D116又はE152のいずれか、又はタンパク質の触媒部位中にあるこれらの位置のいくつかで実施する。上に記載するものを含む、これらの位置での任意の置換が適している。
【0140】
別の提案する置換は、アミノ酸残基RRK(位置262〜264)のアミノ酸残基AAHによる置換である。
【0141】
本発明の特定の実施態様において、レンチウイルスベクターに組込み能がない場合、レンチウイルスゲノムは複製起点(ori)をさらに含み、その配列は、レンチウイルスゲノムを発現させるべき細胞の性質に依存する。複製起点は真核生物由来、好ましくは哺乳動物由来、最も好ましくはヒト由来でよい。それは、代わりにウイルス由来、特にSV40又はRPSなどのDNA円形エピソームウイルス(DNA circular episomic virus)由来でありうる。本発明のレンチウイルスベクターのレンチウイルスゲノム中に挿入される複製起点を有することは、本発明の有利な実施態様である。実際に、レンチウイルスゲノムは細胞宿主ゲノム中に組込まれないため(欠損インテグラーゼのため)、レンチウイルスゲノムは頻回の細胞分裂を経た細胞において失われ;これは、特に、B又はT細胞などの免疫細胞に当てはまる。複製起点の存在によって、少なくとも1つのレンチウイルスゲノムが、細胞分裂後でさえ、各細胞中に存在することが確保され、免疫応答の効率が最大になる。
【0142】
本発明の特定の実施態様において、レンチウイルスベクターゲノムはHIVベースのゲノムであり、
図2又は23〜25に表わす配列特性を有し、ここで目的配列は、その治療目的について選択し、その発現を可能にする内部プロモーター(CMVプロモーターにより図中に表わされる)は、ヒトにおける投与に適するように選択すると有利である。
【0143】
ベクターゲノムのトランスジーン中又は発現カセット中に含まれる内部プロモーターは、以下の遺伝子のプロモーターより選択してよい:EF1α、ヒトPGK、PPI(プレプロインシュリン)、チオデキストリン(thiodextrin)、HLA DR不変鎖(P33)、HLA DRアルファ鎖、フェリチンL鎖又はフェリチンH鎖、ベータ2ミクログロブリン、キモシンベータ4、キモシンベータ10、又はシスタチンリボソームタンパク質L41。
【0144】
本発明のレンチウイルスベクターのレンチウイルスベクターゲノムは、CNCM(Paris, France)に、1999年10月11日に番号I−2330で寄託されたHIV−1プラスミドpTRIPΔU3.CMV−GFPに由来しうる。プラスミドに含まれる種々の配列の構造及び制限酵素部位を
図2Dに示す。pTRIPΔU3.CMV−GFPの配列を
図6に提供する。
【0145】
本発明の特定の実施態様において、レンチウイルスベクターゲノムは、CNCMに、1999年10月11日に番号I−2328で寄託されたHIV−1プラスミドpTRIP[delta]U3EF1[alpha]−GFPに由来しうる。プラスミドの構成配列の記載を、種々の配列の制限酵素部位と共に、
図2Eに描写する。
【0146】
ベクターゲノムがこれらの特定のプラスミドに由来する場合、本出願において開示する異種ポリヌクレオチドの配列を、GFPコードフラグメントに加えて、又は、それと置き換えて、その中に挿入する。GFPコード配列は、また、異なるマーカーにより置換してよい。CMVプロモーターは、また、別のプロモーター、特に上に開示するプロモーターの1つ、特にトランスジーンの発現に関連する、プロモーターにより置換してよい。
【0147】
本発明を行うために適した他のレンチウイルスベクターゲノムは、後に列挙する寄託された材料中に含まれるものであり、又は、特に目的の異なるポリヌクレオチド及び/又は異なる内部プロモーターのいずれかについてトランスジーンを置換することにより、これらの寄託されたプラスミドに由来する。同じく特定の寄託されたpTRIPベクター中に含まれるWPRE配列も欠失させてよい。
【0148】
本発明は、このように、CNCM(Paris, France)に、2007年10月10日に番号I−3841で寄託されたプラスミドpTRIPDeltaU3−CMV−SIV−GAGco−WPREにより提供されるレンチウイルスベクターゲノムに関する。プラスミドの組成を図中に開示し、その配列を提供する。このプラスミドは、非ミリスチル化(non−myristilated)タンパク質としてSIVのGAGタンパク質を発現する。トランスジーンのORFは、ヒト細胞中での発現のためにコドン最適化している。
【0149】
本発明は、また、CNCM(Paris, France)に、2007年10月10日に番号I−3840で寄託されたプラスミドpTRIPDelta U3−CMV−SIV−GAG−WPREにより提供されるレンチウイルスベクターゲノムに関する。プラスミドの組成を図中に開示し、その配列を提供する。このプラスミドは、非ミリスチル化(non−myristilated)タンパク質としてSIVのGAGタンパク質を発現する。トランスジーンのORFは、コドン最適化していない。
【0150】
ベクター粒子は、プラスミドによる、293 T細胞などの適切な細胞のトランスフェクション後、又は他のプロセスにより産生できる。レンチウイルス粒子の発現のために使用する細胞において、プラスミドの全て又は一部を使用して、それらのコードポリヌクレオチドを安定的に発現でき、又は、それらのコードポリヌクレオチドを一過性に、もしくは、半安定的に発現できる。
【0151】
産生された粒子の濃度は、細胞上清のP24含量(HIV−1でのキャプシドタンパク質)を測定することにより決定できる。
【0152】
本発明のレンチウイルスベクターは、ひとたび宿主に投与されると、それがシュードタイピングされたエンベロープタンパク質に応じて、宿主の細胞、恐らくは特定の細胞に感染する。この感染は、レトロ転写が起こる宿主細胞の細胞質へのレンチウイルスゲノムの放出をもたらす。ひとたび三本鎖の形態になると(DNA Flapを経て)、レンチウイルスゲノムは核内に輸送され、そこで目的のポリヌクレオチドが細胞機構を経て発現する。非分裂細胞(DCなど)に形質導入される場合、発現は安定的になりうる。B細胞などの分裂細胞に形質導入される場合、発現は、核酸希釈及び細胞分裂のため、レンチウイルスゲノム中の複製起点の非存在下で一時的である。発現は、細胞分裂後にレンチウイルスゲノムの娘細胞への適切な拡散を確保する複製起点を提供することにより長くなりうる。安定性及び/又は発現は、また、MAR(マトリクス関連領域(Matrix Associated Region))又はSAR(足場関連領域(Scaffold Associated Region))エレメントの挿入により増加できる。
【0153】
実際に、これらのSAR又はMAR領域はATリッチ配列であり、細胞染色体のマトリクスへのレンチウイルスゲノムの固定が可能になり、こうして少なくとも1つの抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を調節し、及び特にトランスジーンの遺伝子発現を刺激し、そしてクロマチンへの接近性を改善する。
【0154】
レンチウイルスゲノムが非組込みである場合、それは宿主細胞ゲノム中に組込まれない。それにもかかわらず、トランスジーンによりコードされる少なくとも1つのポリペプチドは十分に発現され、プロセシングされるために十分に長く、MHC分子に結合し、最終的に細胞表面に向かう。目的のポリヌクレオチドの性質に応じて、MHC分子と結合した少なくとも1つのポリペプチドエピトープは、液性又は細胞性免疫応答の引き金となる。組込み能のないレンチウイルスベクターの調製が、本明細書において開示されている:ベクターゲノムをトランス補完(transcomplement)するために使用するキャプシド形成プラスミドを、インテグラーゼタンパク質の領域において突然変異させ、レンチウイルスベクターを患者に投与した後に、ベクターが細胞宿主中のシュードタイピングされた粒子として産生される場合に、インテグラーゼがレンチウイルスベクターにおいて発現されない、又は、機能的に発現されないようになる。
【0155】
「免疫原性組成物」という表現は、活性成分として本発明の少なくともレンチウイルスベクターを含む組成物を指し、組成物が宿主中への投与に適している。この組成物は、全身又は局所投与のために使用される場合、さらなる薬学的に適した賦形剤あるいは担体及び/又は媒体を含んでよい。「薬学的に許容可能な担体」は、非毒性固体、半固体又は液体充てん剤、希釈剤、封入材料、又は任意の従来型の補助製剤を指す。「薬学的に許容可能な担体」は、用いる用量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、製剤の他の成分と適合する;適した担体として、限定はされないが、リン酸緩衝生理食塩水、蒸留水、油/水乳剤などの乳剤、種々の型の湿潤剤、滅菌溶液など、デキストロース、グリセロール、生理食塩水、エタノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0156】
本発明の免疫原性組成物は、宿主細胞のゲノム中へのトランスジーンの組込みの非存在にもかかわらず、免疫応答、即ち、少なくとも1つのポリペプチド(トランスジーンによりコードされる)に対する宿主の免疫システムによる任意の反応を誘発する能力を有する。
【0157】
免疫応答は液性応答でありうる。即ち、組成物により誘発される抗体が、レンチウイルスベクターの少なくとも1つのポリペプチドに対して産生される。特定の実施態様において、液性応答は防御液性応答である。防御液性応答は、IgGなど、それらの抗原に高親和性を有する成熟抗体を主にもたらす。特定の局面において、防御液性応答はT細胞依存性である。特定の実施態様において、防御液性応答は中和抗体の産生を誘導する。
【0158】
免疫応答は、細胞性免疫応答(T細胞免疫応答)、特にCD8媒介性細胞性免疫応答又はCD4媒介性細胞性免疫応答、即ち、CD8又はCD4レセプターを持つ活性化細胞、好ましくは細胞傷害性Tリンパ球(CTL)により媒介される免疫応答でありうる。
【0159】
本発明の特定の実施態様において、本発明のレンチウイルスベクターは、欠損インテグラーゼにもかかわらず、初期免疫応答を誘発できる。「初期免疫応答」という表現は、組成物の投与後の約1週間以内に与えられる防御免疫応答(少なくとも1つのポリペプチドを持つ病原体又は腫瘍細胞に対する防御)を指す。
【0160】
別の実施態様において、本発明の組成物により与えられる免疫応答は、持続性免疫応答であり、即ち、免疫応答が組成物の投与後から少なくとも2ヶ月間、好ましくは3ヶ月間、最も好ましくは少なくとも6ヶ月間依然として検出できる。免疫応答が液性である場合、持続性応答は、特定の抗体の検出により、ELISA、免疫蛍光(IFA)、フォーカス低下(focus reduction)中和テスト(FRNT)、免疫沈降、又はウエスタンブロッティングなどの任意の適した方法により示すことができる。
【0161】
別の実施態様において、上記とは無関係に、本発明の組成物により与えられる免疫応答の強度は、レンチウイルスベクターの注射用量に依存的であり;用量が高くなるほど、免疫応答の強度は高くなる。
【0162】
興味深いことに、免疫応答(液性又は細胞性のいずれも)、初期免疫応答及び/持続性免疫応答が、本発明の組成物の単回投与後に、非組込み遺伝子導入ベクターにより誘発される。
【0163】
医薬品処置プロトコールのデザインにおけるレンチウイルスベクター粒子及び特に化合物のキットの使用を目的として、本発明のレンチウイルスベクターは、それらのベクターゲノム中に、治療目的を有する異種ポリヌクレオチド(又はトランスジーン)を保有する。「異種ポリヌクレオチド」という表現により、それは、レンチウイルスゲノムに由来し、ベクター活性のために必要又は有用であるベクターゲノム中のシス作用配列とは無関係に、ベクター活性に必要ではない、又は、有用ではないが、しかし、生物学的効果、特に、宿主、特にヒト宿主において発現させた場合に医薬効果を得るために適している少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むことを意味する。好ましい実施態様において、目的のポリヌクレオチドはポリペプチドをコードし、好ましくは発現カセットに含まれる。
【0164】
本発明の異種ポリヌクレオチドは、宿主において免疫応答を誘発するために適した1つのポリペプチド又は複数のポリペプチドをコードし、免疫応答は細胞性免疫応答及び恐らくは液性免疫応答である。コードされるポリペプチド(即ち、抗原)は、1つもしくは複数のエピトープを含む、又は、抗原のエピトープにある。特定の実施態様において、それはポリエピトープでよい。それ(それら)は、宿主のAPC、特にDCによる提示のために宿主の細胞においてプロセシングされて、免疫応答を生じうる、又は、それ(それら)は免疫応答を直接的に誘発しうる。従って、目的のポリヌクレオチドは、1つ又は複数の抗原のBエピトープ及び/又はTエピトープの配列を含む、又は、それからなり、両方のカテゴリーのエピトープの結合を含み、恐らくはキメラ(非自然)ポリペプチドを生じる。
【0165】
エピトープは、特定の三次元抗原立体構造(立体構造エピトープ)に依存しうる、又は、単純な一次配列領域(直線状エピトープ)に対応しうる。ポリペプチドのサイズは、少なくとも9アミノ酸〜500アミノ酸までの範囲であり、好ましくは200アミノ酸未満である。
【0166】
特定の実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、ウイルス、特にレトロウイルス、レンチウイルス、フラビウイルスもしくはコロナウイルス、細菌もしくは寄生虫などの病原性生物、又は、病原性物質もしくは化合物のエピトープ(B及び/又はTエピトープ)を含む、1つの抗原もしくは複数の抗原又はそのフラグメントをコードする。それは、レンチウイルスベクターが投与された際に、それが病原性生物の発現を可能にしない範囲内で、病原性生物の抗原又は組換え抗原をコードしうる。
【0167】
異種ポリヌクレオチドは、特に、宿主細胞のゲノムにおけるポリヌクレオチドの導入後、宿主の細胞において内因性抗原として発現され、MHC分子との結合での提示のために細胞中でプロセシングされうる。
【0168】
目的のポリヌクレオチドは、恐らくはAPCによる提示後にベクターにより誘発される免疫応答が、特に、Tヘルパー又はCTL細胞(細胞傷害性)を含む、Tリンパ球応答の誘発を包含しうるように選んでよい。宿主における、ポリヌクレオチドのプロセシングされた発現産物に対するCD8+T細胞応答が、特に目的である。
【0169】
CD4+T細胞応答も発現(誘導又は誘発)されうる。
【0170】
本発明のレンチウイルスベクター(組込み又は非組込みバージョンのいずれも)により標的とされる特定の細胞は、抗原提示細胞(APC)、従来型DC(cDC)又は形質細胞様(pDC)を含む樹状細胞(DC)、CD4+又はCD8+を含むT細胞、B細胞、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、内皮細胞及び上皮細胞など、免疫応答に関与する細胞である。興味深いことに、B細胞は、循環中の成熟DCと相互作用することが最近示されており、こうしてこれらのB細胞を活性化し、次に未感作T細胞に抗原を効率的に提示する(成熟APC集団の増幅);従って、これは、細胞性免疫応答に関与する細胞、特に未感作CD8+ T細胞をプライミングする際のB細胞の決定的な役割を指摘する(Diaz de Durana; 2006)。
【0171】
目的のポリヌクレオチドは、本発明のレンチウイルスベクターも、又は、その代わりに使用して、宿主における、ポリヌクレオチドの発現産物に対する液性免疫応答、特に中和液性免疫応答を誘発しうるように選んでよい。
【0172】
本発明の特定の実施態様において、ここでレンチウイルスベクター粒子は、非レンチウイルス感染の予防又は処置を意図しており、生物学的又は治療的な目的を有する異種ポリヌクレオチドは、ベクターゲノムを構成するポリヌクレオチドとは異なる由来である。特に、それは、ベクターゲノムの配列を提供するレンチウイルスとは異なる生物に由来する。
【0173】
レンチウイルス感染の予防又は処置が求められる特定の実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、特にレンチウイルスベクター粒子がHIVベースのレンチウイルスベクターである場合、ベクターを提供するレンチウイルスの同じ科又は同じ血清型に由来しうる。
【0174】
特定の実施態様において、異種ポリヌクレオチドは、レンチウイルスタンパク質に由来する抗原又はその抗原フラグメント又はそのような抗原の組み合わせをコードする。そのような場合において、それに由来するレンチウイルスタンパク質抗原又はその抗原フラグメントを、天然又は複製能のあるレンチウイルス粒子の形成を阻止する条件において使用する。
【0175】
特定の実施態様において、それは、GAG又はGAG−POL疑似粒子などのレンチウイルス疑似粒子の形成も阻止する条件において使用する。これらの抗原は、レンチウイルスベクターのデザインのために使用するものと同じレンチウイルス、特にHIV、特にHIV−1に由来しうる。
【0176】
従って、ポリヌクレオチドは、宿主において細胞性、特に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、及び恐らくはTヘルパー応答を誘発するために適した、1つ又は複数のHIVポリペプチド又はポリエピトープ、特にHIV−1ポリペプチド又はポリエピトープのコード配列でありうる。
【0177】
本発明の好ましい実施態様において、レンチウイルスベクターは、それらのゲノム中に、免疫不全ウイルスの、特にHIV、SIV、又はFIVからのGAG抗原又はポリタンパク質に由来する少なくとも1つの抗原を含む1つ又は複数のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを含む。
【0178】
GAGポリタンパク質は、マトリクスタンパク質(MA)、キャプシドタンパク質(CA)、及びヌクレオキャプシドタンパク質(NP)を包含する。それは、また、p7タンパク質を含んでよい。
【0179】
上に定義するGAG由来抗原は、そのフラグメント又はその突然変異(欠失、置換、又は付加による)バージョンを含む、これらのタンパク質の各々に由来するポリペプチドを包含する。それは、また、これらのタンパク質の各々に由来するそのようなポリペプチドの組み合わせを包含する。
【0180】
特定の実施態様において、免疫不全ウイルスのGAGに由来する抗原は、天然GAG抗原の、特にGAGポリタンパク質もしくはマトリクスタンパク質もしくはキャプシドタンパク質もしくはヌクレオキャプシドタンパク質のアミノ酸配列を有するか、又はそのようなポリタンパク質もしくはそのようなタンパク質のフラグメントであるか、又はアミノ酸配列中の1つもしくは複数のアミノ酸残基の欠失、置換もしくは付加を含む、特に突然変異により、天然GAG抗原に関して改変されるか、もしくは翻訳後修飾により改変されるGAG抗原である。改変したGAG抗原は、生物学的に機能的又は生物学的に非機能的のいずれかになるように選択する。
【0181】
特定の実施態様において、免疫不全ウイルスのGAGポリタンパク質に由来する少なくとも1つの抗原を含む1つ又は複数のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、SIV、特にSIV
MAC、又はFIV、又はHIV、特にHIV−1もしくはHIV−2の生物学的に非機能的なGAGポリペプチド(GAGの抗原フラグメントを含む)であり、及び、レンチウイルスベクターで形質導入された細胞内で生物学的に機能的なキャプシドタンパク質を形成できず、そして特に、GAG疑似粒子又はGAG−POL疑似粒子の形成を可能にしうるこれらの細胞からのキャプシドタンパク質の分泌を誘導しないポリペプチドをコードする。
【0182】
特定の実施態様において、GAGに由来する抗原をコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、POL生物学的活性型ポリペプチド(ポリタンパク質、別名、前駆体)の発現を可能にせず、ひいてはpol天然遺伝子又は等価の機能的遺伝子を含まない。
【0183】
特定の実施態様において、免疫不全ウイルスのGAG抗原に由来する少なくとも1つの抗原を含む1つ又は複数のポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、また、免疫不全ウイルスのNEF、TATもしくはREV抗原、及び/又は任意に免疫不全ウイルスのPOL抗原、又はその組み合わせに由来するポリペプチドをコードする。これらのポリペプチドは、特に抗原の抗原フラグメントである。
【0184】
(HIV−1の)GAGに由来する抗原をコードする組換えポリヌクレオチド及び融合タンパク質においてHIV−1の他の抗原をコードするさらなるヌクレオチドフラグメントの例は、
図21に例示するGAGタンパク質をコードするもの、ならびに、同じく
図21に記載するPOLフラグメント又は/及びNEFフラグメントあるいはそのようなPOLフラグメント及びNEFフラグメントの融合物である。これらのフラグメントはGAG抗原の5’及び/又は3’に融合させてよく、互いに、及び/又は、GAG抗原に近接しうる、あるいは、ピコナウイルスからの2Aペプチドなどのペプチドにより分離されうる。そのようなコンストラクトを図に例示する。2Aペプチドの配列は以下である:APVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP。融合タンパク質の構造の特定の組成は、以下の1つである:5’ GAG POL NEF 3’、又は5’ POL NEF GAG 3’又は5’ POL GAG NEF 3’、又は5’ NEF GAG POL 3’又は5’ NEF POL GAG 3’又は5’ GAG NEF POL 3’。
【0185】
好ましい実施態様において、GAG及び/又はNEF及び/又はPOL抗原に由来する抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、特にHIV−1又はHIV−2に由来する。
【0186】
特定の実施態様において、GAG抗原に由来するポリペプチドは、天然GAGとは対照的に、ミリスチル化されていないGAGΔmyrタンパク質である。
【0187】
非ミリスチル化HIV−1 GAGは、コドン2のGAGのコード配列を突然変異させて、Gly残基[GGA]からAla残基[GCA]に変化させることにより、又はコドン2の欠失により得てよい。
【0188】
本発明のための目的の抗原に由来する他のGAGは、GAGのマトリクス、キャプシド、及びヌクレオキャプシドタンパク質の少なくとも1つのフラグメントで形成される抗原であり、特に、タンパク質の各々のフラグメントの融合物で形成される。
【0189】
コードされる由来する抗原は、HIV−1、特にHIV−1サブタイプBのGAG抗原又はHIV−1グループOに由来し(
図21)、化合物の組み合わせで使用されて、異なるHIV−1サブタイプ、HIV−1及び恐らくはHIV−2を含む種々のHIVグループに対する免疫応答を誘発しうることが観察される。
【0190】
本発明は、また、本明細書において定義するレンチウイルスベクターに関し、そのゲノム中に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のGAGポリタンパク質に由来する抗原をコードするか、又はGAG及び本明細書において開示するNEF、TAT、REVもしくはPOLの少なくとも抗原フラグメントに由来する抗原を含む融合抗原をコードする、ヒトコドン最適化配列を有する組換えポリヌクレオチドを含む。
【0191】
本発明のキメラHIV−1由来抗原は、特定の実施態様において、HIV−1ウイルス株のNEF、POL、TATもしくはREVに由来する抗原又はそのような抗原の組み合わせを伴う、
図21の配列を有するGAG由来抗原の組み合わせを含むか、又は、それからなる融合タンパク質である。
【0192】
上に開示する特定の融合タンパク質は、POL由来抗原が
図21のアミノ酸配列を含むか、又はそれを有するものである。
【0193】
上に開示する特定の融合タンパク質は、NEF由来抗原が
図21のアミノ酸配列を含むか、又はそれを有するものである。
【0194】
ベクターゲノムのポリヌクレオチドによりコードされる抗原、及び特にGAG由来抗原は、天然、合成又は組換え由来であり、従って、任意の従来方法により発現させてよい。
【0195】
本発明は、また、哺乳動物における、特にヒト細胞における発現のためのそれらのコドン最適化バージョンで含まれる、そのような融合抗原をコードするヌクレオチドコンストラクトに関する。
【0196】
特定の実施態様によると、組換えポリヌクレオチドは、HIV−1コンセンサスB株のGAGポリタンパク質に由来する抗原をコードする。
【0197】
別の特定の実施態様において、組換えポリヌクレオチドは、GAGポリタンパク質に由来する抗原及びHIVのNEF抗原のエピトープのクラスター及び任意にHIVのPOLポリタンパク質のエピトープのクラスターをコードする。
【0198】
本発明は、本明細書において開示する抗原をコードする核酸分子に関する。それは、特に、CNCMに寄託されたプラスミド、及び特にCNCMに寄託されたプラスミドpTRIPDelta U3−CMV−SIV−GAG−WPREもしくはpTRIPDelta U3−CMV−SIV−GAG co−WPRE、又は、CNCMに寄託されたプラスミドpThV−VSV−G(IND−co)、pThV−VSV−G(NJ−co)、pThV−VSV−G(COCAL−co)、pThV−VSV−G(ISFA−co)もしくはpThV−VSV−G(SVCV−co)中に挿入されている核酸分子、又はストリンジェントな条件においてこれらの核酸分子とハイブリダイズし、特に同じ長さを有するか、又はより短い配列に関する。特定の核酸は、少なくともGAG抗原又はそのフラグメントをコードし、及び特にHIV−1もしくはHIV−2 GAG抗原又はそのフラグメントをコードする。
【0199】
細胞応答の特異性は、HIVの抗原又はそれに由来する抗原をコードする異種ポリヌクレオチドを発現するレンチウイルスベクターで得られる応答を、抗原を発現しない粒子で得られる応答と比較する際に測定される。HIV抗原又はHIV由来抗原を発現できる粒子の投与によって、抗原を発現しない粒子で誘発されないT細胞免疫応答が誘発されることが観察される。
【0200】
これは、実施例において、SIV由来抗原を発現する粒子で例示する。
【0201】
応答は有利なことに防御的であり、それによってウイルス負荷の減少を達成し、免疫不全ウイルスに感染した宿主の血漿中で測定されるウイルス負荷を制御することが可能になることを意味しており、宿主は、少なくともプライミング、及び、免疫不全ウイルス、特にヒト宿主におけるHIVによる、又は、非ヒト霊長類宿主におけるSIVMACによる感染に対する予防的又は治療的な使用のための化合物の組み合わせの化合物の1回又は複数回のブースト投与を受けている。
【0202】
換言すると、免疫不全ウイルス、特にHIVによる感染の予防的又は治療的な処置のために使用される場合、投与した化合物の組み合わせによって、身体からのウイルスの除去、又はウイルス負荷の制御が、長時間にわたり持続的に可能になり(6ヶ月間を超える)、好ましくはインビボでAIDS疾患に対する防御を可能にする。本発明者らは、特に、免疫不全ウイルスに感染した宿主に投与された場合、本発明の化合物の組み合わせによって、感染の急性期に中央記憶CD4+ T細胞応答の保存が可能になり、それは、レトロウイルスの病原性、即ち、ヒト宿主におけるAIDSの発生に対する防御との貴重な相関関係であることを示している(Letvin, N.L., et al, 2006)。
【0203】
ヒト宿主において防御的で特異的な細胞性免疫応答を誘発するためのツールを提供するための化合物の組み合わせの能力は、ヒト/HIV−1状況において観察されるものと本質的に似た条件におけるマカク/SIVmac非ヒト霊長類モデルにおいて得られている実験結果に由来する。
【0204】
従って、本発明は、哺乳動物宿主への連続投与のための医薬産物の調製のための化合物の組み合わせの使用に関し、免疫不全ウイルス、特にHIVに対する防御的で特異的な細胞性免疫応答を誘発する。
【0205】
特定のレンチウイルスベクターが本発明に従ってデザインされており、ウイルスチャレンジとの関連で防御的であることが示される特異的な細胞性免疫応答を誘発する。明白な理由のために、この実証はヒトにおいて未だに行われていないが、非ヒト霊長類での開示した結果は、ヒトにおける類似の予測を大いに支持する。
【0206】
得られた特定のレンチウイルスベクターは、AIDSに対する治療用ワクチン接種のため、又は、予防的ワクチン接種のための特定の興味深い候補を提供する。
【0207】
本発明の特定の局面において、病原性生物に由来するBエピトープ及び/又はTエピトープをコードするポリヌクレオチドは、ウエスト・ナイル・ウイルス(WNV)のエンベロープE糖タンパク質(E
WNV)、又は、黄熱病ウイルスもしくはデングウイルス(DV)、日本脳炎ウイルス(JEV)もしくはSARS関連コロナウイルスのエンベロープをコードするポリヌクレオチドである。他の興味深いウイルスポリペプチドは、HIVのキャプシドからである。
【0208】
特定の実施態様において、少なくとも1つのポリペプチドが、レンチウイルス由来のポリヌクレオチドにより(例えば、上に開示するgagもしくはpol、又は例えばenvから)コードされる。特定の実施態様において、コードポリヌクレオチドは、完全なgagもしくはpol遺伝子ではなく、又は、完全なenv遺伝子ではなく、あるいは、これらの遺伝子の機能的バージョン、即ち、機能的タンパク質をコードする遺伝子ではない。例えば、それらは30〜1000まで、好ましくは30〜500bpまで、好ましくは30〜300bpまで、より好ましくは30〜100bpまでの範囲のサイズ、もしくはその可溶型を有し、又はそのエピトープをコードする。WNVの可溶性E糖タンパク質(sE
WNV)のコード配列の挿入は、Reimann et al.(J. Virol.; 2005)における開示に従って、Hel et al.(J. immunol.; 2006)において記載されるsE
WNVを使用して達成してよい。
【0209】
本発明の別の特定の局面によると、異種ポリヌクレオチドは、腫瘍関連抗原(TAA)又はそのフラグメントであるポリペプチドをコードする。
【0210】
TAAの非限定的な公知の例は特に以下:
− β−カテニン、MART−2などのメラノーマにおいて、又はbrc−ablなどの白血病において見出される突然変異型ペプチド、
− メラノーマにおいて見出されるgp100、MART−1、チロシナーゼ、又は前立腺癌において見出されるPSA、PAP、PSM、PSMAなどの組織特異的タンパク質、
− MAGEなどの癌−精巣抗原、
− 種々の癌において見出される、Survivin、hTERTなどの腫瘍形成に関連する分子、
− 乳房、卵巣、又は前立腺の癌において見出されるMUC−1などのムチン、
− HPV16−E7抗原(子宮頸癌における発現が見出される)を含む、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)、特にHPV16又はHPV18、EBV−EBMAタンパク質を含むリンパ腫を起こすEBV(エプスタイン・バー・ウイルス)(リンパ球において)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HHV8などのHHV(ヒトヘルペスウイルス)、又はHTLV−1 taxタンパク質(急性T白血病において)など、HTLV−1などのHTLV(ヒトTリンパ球ウイルス)のものを含む、腫瘍細胞において正常細胞を形質転換するウイルス(腫瘍ウイルス)のウイルスタンパク質
である。
【0211】
より一般的に、これらのポリヌクレオチドは、癌免疫と表題の付いたペプチドデータベースにおいて開示されるペプチド配列に由来してよい。ポリヌクレオチドは、特に、共有される腫瘍特異的抗原、分化抗原、腫瘍において過剰発現される抗原、又は突然変異に起因する腫瘍抗原から選択してよい。これらのポリペプチド(又はその部分)は、野生型又は突然変異型のいずれかの細胞に由来してよい(自己ペプチド)。
【0212】
特定の実施態様において、目的のポリヌクレオチドはヒト抗原をコードする。
【0213】
本発明の別の実施態様において、目的のポリヌクレオチドは、発現又は機能的発現が、検討する病理に罹患した宿主において害されるポリペプチドをコードしうる。特定の実施態様において、本発明のレンチウイルスベクターを使用して、ポリヌクレオチドを宿主の標的細胞に送達し、遺伝子治療、例えば、血清タンパク質の欠乏を招く遺伝子疾患の医薬処置における遺伝子補正、又は癌もしくは感染性、ウイルス性もしくは自己免疫性の疾患に対する遺伝子ワクチン接種戦略を求める。別の実施態様において、糖尿病などの他の病理を、本発明の化合物のキットで処置してよい。
【0214】
最後に、少なくとも1つのポリペプチドは、人工(非天然)ポリペプチド、好ましくはマルチエピトープポリペプチドでよい。このマルチエピトープポリペプチドは、ウイルスを含む病原性生物に由来する、及び/又は腫瘍由来の少なくとも2つのエピトープをコードする。特定の実施態様において、少なくとも2つのエピトープは、同じウイルス又は同じ腫瘍細胞に由来し;その場合において、少なくとも2つのエピトープは、それらの異なるCMH(HLA)制限について選択してよい。別の実施態様において、少なくとも2つのエピトープは、異なるウイルス、又は異なる腫瘍細胞に由来する。エピトープは連続的に配置でき、即ち、エピトープの3’末端が第2エピトープの5’末端(など)に直接的に連結され、もっぱら連続エピトープで構成されるペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに対応する。本発明の少なくとも2つのエピトープは、代わりに、1アミノ酸スペーサー又はペプチドスペーサーにより分離でき、即ち、異なるポリヌクレオチド単位が、1又は複数のアミノ酸をそれぞれコードする1又は複数のコドンにより分離されることを意味する。複数のエピトープのプロセシングを改善するスペーサーとして、C末端の位置におけるアルギニン(R)及び他の位置における親水性残基(A、K、D及び/又はT)で構成される4アミノ酸ペプチドが好ましい。特に、C末端の位置に正荷電を持つ残基又は酸性残基を有する4アミノ酸ペプチドを、他の位置における親水性残基(A、K、D及び/又はT)に依存的又は非依存的に、使用してよい。特定の実施態様において、スペーサーは、エンドソーム又はリソソームのプロセシング配列などの内部プロセシング配列であり、複数のエピトープのより良好なプロセシングを可能にし、重複切断に起因する新たなペプチドのプロセシングを回避する。スペーサーに頼るそのような分離を使用して、エピトープの全て又は部分を分離できる。
【0215】
異種ポリヌクレオチドを、プロモーター及び恐らくはエンハンサ―を含む転写及び発現のための調節配列の制御下で、ベクターゲノム中に挿入する。特定の実施態様において、調節配列はレンチウイルス由来ではない。適したプロモーターとして、CMV、別名CMVieプロモーター、又はEF1αプロモーター、CGAプロモーター、CD11cプロモーター及びハウスキーピング遺伝子、例えばPGKプロモーター、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、ヒストンプロモーター、アルファ−チューブリンプロモーター、ベータ−チューブリンプロモーター、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD−1)プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)プロモーター、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)プロモーター、アデノシンデアミナーゼプロモーター、チミジル酸合成酵素プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素P1プロモーター、グルコース−6−リン酸脱水素酵素プロモーター、又はヌクレオリンプロモーターが包含される。他の適したプロモーターとして以下の遺伝子のプロモーターが包含される:EF1α、ヒトPGK、PPI(プレプロインシュリン)、チオデキストリン、HLA DR不変鎖(P33)、HLA DRアルファ鎖、フェリチンL鎖又はフェリチンH鎖、ベータ2ミクログロブリン、キモシンベータ4、キモシンベータ10、又はシスタチンリボソームタンパク質L41。
【0216】
本発明の化合物のキットは、特に、医薬処置における使用に適しており、ここで、第1ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、第2ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターとは時間内に別々に投与し、そして、適切な場合、プライミング及び第1ブーストの後に、時間内の後期に、1回又は複数回のブースト工程が続く。
【0217】
従って、本発明の化合物のキットは、特にプライミング−ブースト型反応において、活性成分の反復投与に特に適し、恐らくはいくつかのブースト工程を包含する。
【0218】
特に、キットの化合物は、第1ウイルスエンベロープタンパク質又は第2ウイルスエンベロープタンパク質のいずれかでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、それを必要とする宿主において、免疫原性反応をプライミングのため、又は、代わりに、免疫原性反応をブーストするためにそれぞれ使用する。免疫反応は、本明細書において記載する第3のエンベロープタンパク質を有するレンチウイルスベクターを使用することにより、及び任意に、他のレンチウイルスベクターの1つで血清中和しないさらなるエンベロープタンパク質での追加ブースト工程によりさらにブーストしてよい。
【0219】
特定の実施態様において、インディアナ株のVSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、免疫学的反応をプライミングするために最初に投与し、本明細書において開示するニュージャージー株のVSV−G又は組換えもしくは改変VSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、第2の例において投与し、免疫学的反応をブーストする。
【0220】
別の特定の実施態様において、本明細書において開示するニュージャージー株のVSV−G又は組換えもしくは改変VSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、免疫学的反応をプライミングするために最初に投与し、インディアナ株のVSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、第2の例において投与し、免疫学的反応をブーストする。
【0221】
本発明は、特に、キットの両化合物の1回投与での投与プロトコールに対応する実施態様に関し、強い応答を誘発するために十分でありうる。
【0222】
恐らくは応答の強度又はスペクトル又は持続時間を改善するためにさらなる投与工程を実施してよい。特に、本明細書において記載する、VSV−G、Cocal、Perinet、SVCVもしくはイスファハンウイルスから選ばれるエンベロープ又はこれらのエンベロープの1つのドメインを含む組換えエンベロープでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを使用できる。
【0223】
本発明の化合物のキットは、ウイルス疾患に対する、又は、感染性もしくは腫瘍性疾患に対する予防的処置又は治癒的を含む、治療的処置における使用に適し、ここでレンチウイルスベクターは、免疫応答を誘発するために適した1つ又は複数のウイルス抗原あるいはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0224】
免疫不全ウイルスで感染した哺乳動物宿主、特にHIVで感染したヒト宿主又はSIVMACで感染した非ヒト霊長類宿主又はFIVで感染した動物の治療的処置のための化合物の組み合わせを調製するために適していることに加えて、本明細書において開示するレンチウイルスベクターは、また、ヒト宿主における免疫不全ウイルスによる、特にHIVによる、又は、非ヒト霊長類宿主におけるSIV
MACによる、又は、動物におけるFIVによる感染に対する予防的使用のための化合物の組み合わせのデザインのためのツールを提供する。
【0225】
本明細書において開示する化合物の組み合わせは、特に、HIV−1又はHIV−2で感染したヒト宿主の治療的処置のために使用してよい。
【0226】
本明細書において開示する化合物の組み合わせは、特に、HIV−1又はHIV−2による感染に対するヒト宿主の予防的処置のために使用してよい。
【0227】
以後の実験のセクションにおいて提供するデータは、ヒトにおける医薬適用への転置のためのデザインしたレンチウイルスベクターの関連性の実際に強い証拠を提供する。実施例において描写する非ヒト霊長類モデルで達成される防御レベルは、他のワクチン候補で文献において報告される結果よりも強く、それが特定の高用量の感染性SIVmacウイルスでのウイルスチャレンジに関連して得られたことは注目すべきである。
【0228】
得られた実験データから、免疫不全ウイルスに対する防御的で特異的な細胞性免疫応答の誘発のための化合物の組み合わせが、免疫応答のアジュバントを加えることなしに調製してよいことがさらに観察される。
【0229】
当業者は、しかし、レンチウイルスベクターの全て又は部分に関連して、又は/及び、さらに別の化合物として、免疫調節剤を化合物の組み合わせに含むことを決めてよい。例えば、II12などのサイトカインを組み合わせに含めてよい。
【0230】
本発明は、特に、化合物の組み合わせを提供し、ここでレンチウイルスベクターは、宿主への注射、特に皮下注射に適した組成物中で製剤化する。別の実施態様において、本発明の化合物の投与は、有利なことに、筋内経路、特に注射により行ってよい。本発明者らは、実験マウスモデルにおいて、SIV GAG抗原を発現する遺伝子導入ベクター粒子を含む化合物が筋内経路を通じて投与される場合に誘発される免疫応答が、それらを同じモデルにおいて皮下注射により投与される場合よりも高くなることを示している。
【0231】
化合物の組み合わせは、このように、特に、宿主への注射を含み、ならびに、哺乳動物宿主における免疫応答のプライミング及び続く免疫応答のブーストを包含する投与計画における使用のためであり、ここで(i)の第1のウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを、(ii)の第2のウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター、及び、あれば(iii)の第3のウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターとは別々に時間内に投与し、レンチウイルスベクター(i)及び(ii)ならびにあれば(iii)の各々を免疫応答のプライミング又はブーストのいずれかのために投与する。
【0232】
投与計画の選択は、使用する選択用量及び行うブースト工程の数で得られる応答の強度及びスペクトラムの観点から、当業者が調整してよい。
【0233】
特定の実施態様において、本発明は、HIVに対する防御的で特異的な細胞性免疫応答を誘発するためのヒト宿主への連続投与のための化合物の組み合わせに関し、投与計画は、プライミング及びブースト工程のための同じ用量のレンチウイルスベクターを投与することを包含する。
【0234】
別の実施態様において、化合物のキットは、インビボでの遺伝子治療における使用に適する。インビボでの遺伝子治療のための本発明のキットの化合物で処置してよい疾患の例は、運動ニューロン疾患であるパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経変性疾患である。本発明の化合物のキットで処置できる疾患の別の例は、脊髄損傷である。
【0235】
本発明の化合物のキットは、また、癌の処置に適しており、ここでレンチウイルスベクターの反復投与が必要になりうる。
【0236】
本発明は、また、本出願において定義するレンチウイルス粒子を含む免疫原性組成物に関し、哺乳動物宿主においてHIV−1もしくはHIV−2感染又はSIVもしくはFIV感染をインビボで阻害するために適する。
【0237】
本発明は、また、それを必要とする宿主又は患者の処置の方法に関し、宿主への以下:
(i)第1の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター;それに続く、
(ii)第1の決定したエンベロープタンパク質とは異なる、第2の決定された異種ウイルスエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター;
ここで(i)及び(ii)のレンチウイルスベクターは、治療目的を有する異種ポリヌクレオチドをコードする
の連続投与を含む。
【0238】
特定の実施態様において、本明細書において開示する第3のエンベロープタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターの宿主への投与の第3工程を行う。
【0239】
本発明の特定の実施態様によると、免疫反応をさらにブーストするために、追加の投与工程を実施する。
【0240】
2つの第1投与工程の間の残り時間は、プライミングへの応答に応じて、3〜12週間又はそれ以上の範囲でよい。第ブースト及び最後のブースト工程の間の残り時間は、数週間、特に12週間超、例えば6ヶ月間の範囲でよく、さらに1年又は数年でさえよい。
【0241】
別の実施態様において、本発明の遺伝子導入ベクターを、単一の活性成分として、即ち、宿主への1回投与のために使用してよい。
【0242】
従って、遺伝子導入ベクターの特性又はそれらの性状の、本発明の実施態様での記載は、(組み合わせとは対照的に)単回投与した化合物として使用した場合、特にそれらの非組込みバージョンで、ベクターに適用する。
【0243】
本発明の処置又は医薬処置は、病原体により感染した(初感染の段階も)、又は、病理状態を患っていると診断された、それを必要とする患者、特にヒトの臨床状態を改善させることを目的とし、あるいは、この処置は、疾患の原因となる物質もしくは生物の除去、又は、物質もしくは生物の低減を目的とする。ウイルス感染の状況において、処置は、宿主の血漿中のウイルス負荷及び恐らくは血漿ウイルス負荷の有意な減少をもたらし、測定時に、又は、ある場合には腫瘍のサイズもしくは発生の低減時に検出できるもの未満でありうる。
【0244】
医薬処置は、病理状態を伴うと診断された患者に言及する場合、患者の臨床状態を改善すること、及び、好ましい実施態様において、健康を回復することを含む。
【0245】
それは、また、それを必要とする宿主の予防的処置、特に、宿主における病的状態の発生を阻止するためのワクチン接種を包含する。
【0246】
本発明者らにより得られた実験結果によって、化合物、キット、方法の組み合わせのための特定の使用、及び、本出願において開示する一般的な治療的又は予防的な適用を、特に、免疫不全ウイルス、特にHIV及び特にHIV−1又はHIV−2に関連する医薬適用の分野において定義することが可能になる。
【0247】
本発明のこれらの特定の使用は、互いに非依存的に、又は組み合わせで、以下:
− レトロウイルスへの暴露後ならびに特に感染後のウイルス血症の制御、及び特に宿主におけるウイルス負荷の制限又は低下;
− 宿主におけるレトロウイルスに対する、特にヒト宿主におけるHIVに対する防御的な細胞性免疫の誘導;
− レトロウイルス、特にHIVレトロウイルスへの暴露又は感染後のウイルス複製に対する防御;
− 特に、レトロウイルス、特にHIVによる感染の急性期における中央記憶CD4+ T細胞応答の欠乏に対する防御;
− 特に、レトロウイルス、特にHIVによる感染の慢性期における中央記憶CD4+ T細胞応答の保存;
− レトロウイルス、特にHIVによる一次感染中での未感作の中央記憶CD8+ T細胞応答のより早く及び/又はより高いリバウンドの誘発;
− 免疫圧力からのウイルス回避に対する阻止、これによりレトロウイルス、特にHIVによる感染の長期制御を可能にする
の指標を含み、恐らくは、免疫不全ウイルスによる、特にHIVによる感染の異なる段階と、又は感染前もしくはレトロウイルスへの暴露前に、関連する。
【0248】
これらの特定の使用は、免疫不全ウイルスによる感染の分野における、予防的又は治療的適用における効率的な免疫応答の発生のために有益である。それらは、それらの臨床プロファイルに応じて、レトロウイルスによる感染(レトロウイルスへの感染又は暴露前を含む)又は病原性の段階に関連し、種々のカテゴリーの宿主に本発明の適用を標的とすることを可能にし、なぜなら、それらは、免疫システムの種々のコンパートメントに影響を及ぼすためであり、それらは、感染の段階に応じて、免疫応答の様々な段階に関与する。
【0249】
SIV又はHIV抗原を発現するレンチウイルスベクターを投与する場合には必要ないと思われるが、他の適用において、全身又は局所投与のために使用される場合、化合物、アジュバント、及び/又は媒体の組み合わせにさらに含むことを決めてよく、あるいは、そのような構成成分を欠いてよい。
【0250】
いずれの場合においても、医薬組成物の製剤化のための適した賦形剤を添加してよい。
【0251】
上に引用した組成物は、様々な経路を経て宿主に注射できる:皮下(s.c.)、皮内(i.d.)、筋内(i.m.)、又は静脈内(i.v.)注射、経口投与及び粘膜投与、特に鼻腔内投与又は吸入。投与する量(投与量)は処置する被験者に依存し、患者の状態、個別の免疫システムの状態、投与経路、及び宿主のサイズを考慮することを含む。(HIV−1レンチウイルスベクターについて)ベクター粒子の等価のp24抗原中での含量に関連して表わされる適した投与量の範囲を決定できる。
【0252】
単回投与のために使用される場合、本発明のベクターは、1〜100μg、好ましくは1〜50μg、及び最も好ましくは1〜10μgの範囲に及ぶ投与量で投与してよく、状況に応じて、当業者が改変できる。皮下注射用に製剤化される場合、本発明の免疫原性組成物は、好ましくは、宿主の体重当たり1〜100μgのレンチウイルスベクター、より好ましくは1〜30μg/用量、特に10μg/用量前後を、1回の注射において含む。
【図面の簡単な説明】
【0253】
本発明の他の例及び特性は、実施例及び図において明らかになる。
【
図1】種々のウイルスに由来するDNA Flap配列の様々な例。
【
図2A】(A)典型的なHIV−1ゲノム配列に基づく、本発明の目的のためのベクターゲノムコンストラクト組成;(B)TRIP/sE
WNVベクターの略図;(C)TRIP/Es(WNV)の略図;(D)プラスミドpTRIPΔU3.CMV−GFPの略図;(E)プラスミドpTRIP[delta]U3EF1[alpha]−GFPの略図。以下の省略を使用する:U3、R及びU5は、LRTのドメインを表わす;ΔU3:U3ドメインの欠失;RRE:Rev応答性エレメント;ψ:キャプシド形成シグナル;cPPT及びCTSは、DNA Flapを表わす;CMVie:サイトメガロウイルス前初期プロモーター。コンストラクト及び特にDNA Flap及びHIV−1ベースのゲノム中でのその挿入についての詳細は(Zennou et al. 2000)において入手可能である。
【
図2B】(A)典型的なHIV−1ゲノム配列に基づく、本発明の目的のためのベクターゲノムコンストラクト組成;(B)TRIP/sE
WNVベクターの略図;(C)TRIP/Es(WNV)の略図;(D)プラスミドpTRIPΔU3.CMV−GFPの略図;(E)プラスミドpTRIP[delta]U3EF1[alpha]−GFPの略図。以下の省略を使用する:U3、R及びU5は、LRTのドメインを表わす;ΔU3:U3ドメインの欠失;RRE:Rev応答性エレメント;ψ:キャプシド形成シグナル;cPPT及びCTSは、DNA Flapを表わす;CMVie:サイトメガロウイルス前初期プロモーター。コンストラクト及び特にDNA Flap及びHIV−1ベースのゲノム中でのその挿入についての詳細は(Zennou et al. 2000)において入手可能である。
【
図2C】(A)典型的なHIV−1ゲノム配列に基づく、本発明の目的のためのベクターゲノムコンストラクト組成;(B)TRIP/sE
WNVベクターの略図;(C)TRIP/Es(WNV)の略図;(D)プラスミドpTRIPΔU3.CMV−GFPの略図;(E)プラスミドpTRIP[delta]U3EF1[alpha]−GFPの略図。以下の省略を使用する:U3、R及びU5は、LRTのドメインを表わす;ΔU3:U3ドメインの欠失;RRE:Rev応答性エレメント;ψ:キャプシド形成シグナル;cPPT及びCTSは、DNA Flapを表わす;CMVie:サイトメガロウイルス前初期プロモーター。コンストラクト及び特にDNA Flap及びHIV−1ベースのゲノム中でのその挿入についての詳細は(Zennou et al. 2000)において入手可能である。
【
図3A】(A)VSV種でのベシクロウイルス属において公知の種々の血清型からのVSV−Gタンパク質配列のアラインメント:インディアナ(NCBIアクセッション番号J02428)、チャンディプラ(J04350)、Piry(D26175)、ニュージャージー、Cocal(AF045556)、イスファハン(AJ810084)、及びコイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)(AY527273)。インディアナタンパク質及びニュージャージータンパク質は、実施例において使用するものである。(B)VSV種でのベシクロウイルス属において公知の種々の血清型からのVSV−Gタンパク質配列:インディアナ、チャンディプラ、Piry、ニュージャージー、Cocal、イスファハン、及びコイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)。
【
図3B】(A)VSV種でのベシクロウイルス属において公知の種々の血清型からのVSV−Gタンパク質配列のアラインメント:インディアナ(NCBIアクセッション番号J02428)、チャンディプラ(J04350)、Piry(D26175)、ニュージャージー、Cocal(AF045556)、イスファハン(AJ810084)、及びコイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)(AY527273)。インディアナタンパク質及びニュージャージータンパク質は、実施例において使用するものである。(B)VSV種でのベシクロウイルス属において公知の種々の血清型からのVSV−Gタンパク質配列:インディアナ、チャンディプラ、Piry、ニュージャージー、Cocal、イスファハン、及びコイ春ウイルス血症ウイルス(SVCV)。
【
図4A】TRIPsE
WNVベクターのヌクレオチド配列。cPPT/CTS領域に下線を引いている。この領域において、cPPT及びCTSドメインは小文字で現れる。sE
WNV配列は、太字で表しており、BsiWi−BssHII DNAインサートである。このベクターは、CNCM(Paris, France)に、番号I−3076で2003年8月27日に寄託されている。
【
図4B】TRIPsE
WNVベクターのヌクレオチド配列。cPPT/CTS領域に下線を引いている。この領域において、cPPT及びCTSドメインは小文字で現れる。sE
WNV配列は、太字で表しており、BsiWi−BssHII DNAインサートである。このベクターは、CNCM(Paris, France)に、番号I−3076で2003年8月27日に寄託されている。
【
図5A】TRIP GFPベクターのヌクレオチド配列。cPPT/CTS領域に下線を引いている。この領域において、cPPT及びCTSドメインは小文字で現れる。GFP配列はヌクレオチド2816〜3573の間に位置する。このベクターは、CNCMに、番号I−2330で1999年10月11日に寄託されている(pTRIP [deltaU3] CMV GFP)。
【
図5B】TRIP GFPベクターのヌクレオチド配列。cPPT/CTS領域に下線を引いている。この領域において、cPPT及びCTSドメインは小文字で現れる。GFP配列はヌクレオチド2816〜3573の間に位置する。このベクターは、CNCMに、番号I−2330で1999年10月11日に寄託されている(pTRIP [deltaU3] CMV GFP)。
【
図6】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図6:インディアナVSV−G。このエンベロープを、I−3842で寄託されたプラスミドpThV−VSV−G(IND−CO)中に挿入している。
【
図7】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図7:ニュージャージーVSV−G。このエンベロープを、I−3843で寄託されたプラスミドpThV−VSV−G(NJ−CO)中に挿入している。寄託したプラスミドは大腸菌細胞中である。それらの適した増殖培地はLBカナマイシン10μg/mlであり、インキュベーション温度は37℃である。保存のために、それらを50% LB及び50%グリセロールを伴う液体中に懸濁してよい。
【
図8】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図8:チャンディプラVSV−G。
【
図9】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図9:Cocal VSV−G。
【
図10】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図10:Piry VSV−G。
【
図11】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図11:イスファハンVSV−G。
【
図12】
図6〜12は、VSVの種々の株についてのVSV−Gタンパク質配列(下線を引いた膜貫通ドメインを伴う)(A)及びコードするコドン最適化核酸(B)。各々のコドン最適化配列を含むエンベローププラスミドを記載する(C)。プラスミドはpThVプラスミドに由来し、以下を含む。− 別のプロモーターにより置換してよいCMVプロモーター;− VSV−Gをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド;− 最適であるWPRE(ΔATG)配列;− ポリA配列− 置換又は欠失してよいkanR(カナマイシン耐性遺伝子)− 複製起点(pUC ORI)。表したVSV−Gエンベロープはそれぞれ以下である:
図12:SVCV−VSV−G。
【
図13A】
図13は、VSV−Gニュージャージー遺伝子とVSV−Gインディアナ遺伝子の間の融合遺伝子を表わす。膜貫通ドメインは太字であり、下線を引いている。融合遺伝子の調製のためのPCR戦略を開示する。プライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを記載する。
【
図13B】
図13は、VSV−Gニュージャージー遺伝子とVSV−Gインディアナ遺伝子の間の融合遺伝子を表わす。膜貫通ドメインは太字であり、下線を引いている。融合遺伝子の調製のためのPCR戦略を開示する。プライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを記載する。
【
図14A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図14:VSV−Gチャンディプラ/インディアナの融合タンパク質。
【
図14B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図14:VSV−Gチャンディプラ/インディアナの融合タンパク質。
【
図14C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図14:VSV−Gチャンディプラ/インディアナの融合タンパク質。
【
図15A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図15:VSV−G Cocal/インディアナの融合タンパク質。
【
図15B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図15:VSV−G Cocal/インディアナの融合タンパク質。
【
図15C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図15:VSV−G Cocal/インディアナの融合タンパク質。
【
図16A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図16:VSV−G Piry/インディアナの融合タンパク質。
【
図16B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図16:VSV−G Piry/インディアナの融合タンパク質。
【
図16C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図16:VSV−G Piry/インディアナの融合タンパク質。
【
図17A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図17:VSV−Gイスファハン/インディアナの融合タンパク質。
【
図17B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図17:VSV−Gイスファハン/インディアナの融合タンパク質。
【
図17C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図17:VSV−Gイスファハン/インディアナの融合タンパク質。
【
図18A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図18:VSV−G SVCV/インディアナの融合タンパク質。
【
図18B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図18:VSV−G SVCV/インディアナの融合タンパク質。
【
図18C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図18:VSV−G SVCV/インディアナの融合タンパク質。
【
図19A】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図19:VSV−Gニュージャージー/インディアナの融合タンパク質。
【
図19B】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図19:VSV−Gニュージャージー/インディアナの融合タンパク質。
【
図19C】
図14〜19は、種々のVSV−Gタンパク質の異なるドメインを組換えることにより得られる融合タンパク質を開示する。各タンパク質について、(ヒト細胞中での発現のために)コドン最適化された核酸(A)を、核酸を含むプラスミド(B)と一緒に提供する。
図19:VSV−Gニュージャージー/インディアナの融合タンパク質。
【
図20】ニュージャージーVSV−G−糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターに及ぼすコドン最適化の効果を示す。VSV−G遺伝子(NJ血清型)のヒトコドン最適化は、遺伝子導入を100×倍で刺激する。
【
図21】本発明のための目的の抗原の配列を例示する。これらの抗原をコードする核酸は、特にヒト細胞のためのコドン最適化バージョンにおいて、ベクターゲノムの異種ポリヌクレオチドに挿入してよい。例示する抗原は以下である:HIV−1 LAI単離株(サブタイプB)の天然GAG抗原(D)及び対応する核酸配列(E);改変HIV−1 GAG、ミリスチル化を阻止し、そして、Bサブタイプのコンセンサス配列に由来するdelta Myr−GAG抗原である(A);HIV−1 POLに由来する抗原、POLポリタンパク質のフラグメントである(B);HIV−1 NEFに由来する抗原、NEFタンパク質のフラグメントである(C)。これらの抗原を、融合タンパク質における組み合わせで使用してよい。POL及び/又はNEFフラグメントは、GAG由来抗原の5’又は3’に挿入してよい。それらは互いに近接し、GAG由来抗原の5’又は3’に挿入してよい。それらは、1つをGAG由来抗原の5’、他を3’に分離及び挿入してよい。POL、NEF及びGAG抗原は、ペプチドにより、特に自己切断を可能にするものにより分離していてよく、又は、していなくてもよい。適した分離ペプチドは、以下の配列を含むピコナウイルスからの2Aペプチドである:APVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP。
【
図22】AIDSに対するワクチン接種のためのヒトHIV−1抗原のデザインのための、
図21による種々の抗原コンストラクトを例示する。
【
図23】
図23〜27は、SIVmac239 GAGポリタンパク質に由来する抗原を発現するレンチウイルスベクター粒子の調製のためのTRIPレンチウイルスベクター生成及び適用の原理。同じ原理を他の抗原に適用しうる。図には特に以下の特性が記載される:
図23:TRIPレンチウイルスベクター生成の原理。HIV−1ゲノム(A)は、シス作用配列(LTR、キャプシド形成シグナル、RRE、DNA Flap)及び異種プロモーター(CMV)又は別のプロモーターの制御下の目的遺伝子を含むベクタープラスミド(B)、(ベクター粒子産生中での)キャプシド形成及び(形質導入細胞における)ウイルス複製サイクルの初期工程に必要な、gag、pol、tat及びrev遺伝子を含むパッケージングプラスミド(C)、及びVSVからの糖タンパク質Gのインディアナ血清型を含むエンベローププラスミド(D)に分割する。パッケージングプラスミド及びエンベローププラスミドは、CMVからの異種転写調節エレメントを有し、キャプシド形成配列、cPPT及びCTPにおいて欠失している。
【
図24】
図23〜27は、SIVmac239 GAGポリタンパク質に由来する抗原を発現するレンチウイルスベクター粒子の調製のためのTRIPレンチウイルスベクター生成及び適用の原理。同じ原理を他の抗原に適用しうる。図には特に以下の特性が記載される:
図24:U3’欠失レンチウイルスベクターの原理。ウイルス一本鎖RNAの逆転写中、U3’及びU5’配列の重複が存在し、それにより二本鎖DNA中で5’LTR及び3’LTRを形成することを可能にする。ウイルスDNAの転写は、細胞において、LTR 5’から開始する。U3’領域をベクタープラスミドにおいて欠失させた場合(ΔU3)、ウイルスRNAもΔU3であり、結果的に、逆転写後、ウイルスDNAは5’LTRにおいてU3配列を失い、ウイルスLTRプロモーターから転写は開始できない。結果として、転写は、トランスジーンの内部プロモーターだけを経て媒介される。
【
図25】
図23〜27は、SIVmac239 GAGポリタンパク質に由来する抗原を発現するレンチウイルスベクター粒子の調製のためのTRIPレンチウイルスベクター生成及び適用の原理。同じ原理を他の抗原に適用しうる。図には特に以下の特性が記載される:
図25:TRIPベクター産生のために使用する2つのベクタープラスミドの略図。A:TRIP−SIVmac239 Gag.このベクタープラスミドは、抗原SIVmac239 gagをコードする配列を含み、ミリスチン化配列において欠失している。これはL1、P1バイオセーフティーレベルでだけ働くことを可能にし、なぜなら、それはトランスフェクト細胞及び形質導入細胞におけるタンパク質分泌を抑止するためである。B:TRIP−GFP.このベクタープラスミドは、無関係の抗原緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む。両方のベクタープラスミドは、上流に抗原発現のためのCMVプロモーター、及び、下流に抗原発現を改善するためのWPRE配列を含む。それらは、形質導入細胞におけるベクター粒子形成及びウイルス複製の初期工程に必要なウイルス配列も含む:末端反復配列(LTR)、DNA Flap(cPPt、CTS)、RRE、キャプシド形成シグナルΨ。C.ベクターゲノムのpTRIP DeltaU3−CMV−SIVGag−WPRE制限酵素地図(C1)及びその核酸配列(C2)。ベクターコンストラクトはCNCMにI−3840で寄託されている。D.ベクターゲノムのpTRIP DeltaU3−CMV−SIVGag co−WPRE制限酵素地図(D1)及びその核酸配列(D2)。ベクターコンストラクトはCNCMにI−3841で寄託されている;寄託のプラスミドを大腸菌細胞に導入する。細胞の培養液はLBアンピシリン100μg/mlであり、インキュベーションは37℃である。保存は、50% LB 50%グリセロールを伴う懸濁液中である。
【
図26】
図23〜27は、SIVmac239 GAGポリタンパク質に由来する抗原を発現するレンチウイルスベクター粒子の調製のためのTRIPレンチウイルスベクター生成及び適用の原理。同じ原理を他の抗原に適用しうる。図には特に以下の特性が記載される:
図26:15mer長ペプチドに分割したSIVmac239 GAGタンパク質の略
図SIV mac239 GAGタンパク質は511アミノ酸長である。このタンパク質を125のペプチドに分割した。これらのペプチドは15アミノ酸長であり;連続ペプチドの間に11アミノ酸の重複が存在する。ペプチドは、5〜12のペプチドを含む、M〜Wの文字で名前を付けた11プール中に送った。
【
図27】
図23〜27は、SIVmac239 GAGポリタンパク質に由来する抗原を発現するレンチウイルスベクター粒子の調製のためのTRIPレンチウイルスベクター生成及び適用の原理。同じ原理を他の抗原に適用しうる。図には特に以下の特性が記載される:
図27:(A)ベクタータイトレーションのために使用するプライマー及びプローブの配列ならびにqPCRプログラム;(B)プローブ及びプライマーのアニーリング部位の局在化を伴うQ−PCRベクタータイトレーションにおける標準曲線の構築のために使用する標準化プラスミドの模式図。
【
図28(1)】プライミング/ブースト・レンチウイルスベクター・ベースのワクチン接種戦略は、強い細胞性免疫を誘導する。SIVmac239 GAG特異的T細胞応答の長期的な追跡調査を、プライミング後、ブースト後、及びチャレンジ後の種々の時点に、SIVmac239 GAG p55を包含する重複ペプチドのプールでの全PBMCの再刺激後でのIFN−γ ELISPOTアッセイにより実施した。TRIP−SIVmac239 GAGを注射した全6匹のワクチン接種動物(低用量:20022、20089;中用量:20293、20056;高用量、20195及び20158、
図28a)、高p24用量の無関係抗原(TRIP−GFP)で免疫化した2匹の対照動物(21544及び20456、
図28b)、及びワクチン未接種動物(15661、14184、15885及び14468、
図28c)での個別のGAG特異的な累積応答を示す。簡単に説明すると、1ウェル当たり0.2 10
6 PBMCを、インビトロで40時間、5〜12の重複する15−merペプチド(2μg/mlの各ペプチド)の11プールで再刺激した。PBMC100万個当たりのIFN−γスポット形成細胞(SFC)の平均数を、対照ウェル(無ペプチド)から1つのウェルを引いた後、3ウェルから算出した。示した累積応答は、ペプチドの各プールで得られたIFN−γSFC/100万個PBMCの合計に対応する。シンボル+は、少なくとも1つのペプチドのプールでの飽和ELISPOTウェルに起因する累積応答の過小評価を示す(
図29(2)を参照のこと)。チャレンジ後2週目、対照ウェル中のスポット数を定量し、ひいては動物20022(++で記入)での累積応答を算出することは可能ではなかった(nd、決定せず)。
【
図28(2)】レンチウイルスベクターの皮下注射は、全身炎症を招かなかった。皮下注射のすぐ後での血漿中のIFN−α(PBL Biomedical Laboratories)(
図28(2)a)、IL−6(U-Cytech Bioscience)(
図28(2)b)、及びTNF−α(U-Cytech Bioscience)(
図28(2)c)の存在をELISAにより測定した。それらのレベルにおける有意な(IFN−α及びTNF−α)又は大幅な(IL−6)増加の非存在は、高用量(2.5 10
8TU/動物)でさえ、レンチウイルスベクター粒子のインビボ投与により誘導される全身炎症が存在しないことを示唆した。これらのデータは、内因性PAMPが引き金となる可能性が高い局所炎症を除外しなかった(Brown B, D et al, 2007; Pichlmair A et al, 2007; Georgel P. et al , 2007)。
【
図29(1)】ワクチン接種されたマカクは、ワクチン未接種又は対照の動物と比較して、ウイルス血症の改善された制御を有する。血漿ウイルス負荷をチャレンジ後5ヶ月間にわたり追跡調査した(最初の3週間は週2回、その後、次の3週間は週1回、そして最後に月1回)。ワクチン未接種(
図29a 15661;14184;15885;14468系統、□;◇;△;▽の印を付けている)、対照(
図29a 21544、x)、及びワクチン接種の動物(
図29b)でのウイルス血症、ならびに、未感作及び対照群(黒色)対ワクチン接種群(灰色)での平均値(
図29a、29b及び29c)を示す。ウイルス複製レベルの平均値は、テストした全ての時点でワクチン接種群において低かった(
図29c)。P値<0.05を記入する*。ウイルス血症の平均2 log10倍の低下が、初感染のピークに観察された(
図29e)。ワクチン接種動物(灰色)の平均ウイルス血症も、進行動物(14184−21544−20456)の平均ウイルス血症(オレンジ色)及び非進行動物(15661−15885−14468)の平均ウイルス血症(薄青色)と比較した(
図29d)。ポスト急性ウイルス血症は、進行動物と比較して、ワクチン接種動物において低かった。P値<0.05を記入する*。感染後の最初の154日間でのウイルス複製の測定値は、0日目と154日目の間のウイルス負荷(曲線下面積、AUC)を積分することにより決定し、ワクチン接種動物を未感作の対照動物と比較する(
図29f)。簡単に説明すると、ウイルスRNAを血漿(200μl)からTRI Reagent BD(Molecular Research Center)で単離する。RNAコピー数は、定量的ワンステップRT−PCRにおいて、Taqman EZ RT-PCR(Applied Biosystem)及びMastercycler ep realplex(Eppendorf)を使用して決定する。プライマーは、SIVmac251 GAG mRNAゲノムの389及び456の位置にそれぞれある(フォワード、TGTCCACCTGCCATTAAGCCCGA;リバース、GCAGAGGAGGAAATTACCCAGTAC)。Taqman定量化方法は、Fam及びTamraフルオロフォアをそれぞれ5’及び3’に含む内部プローブを伴い選んだ(TGTCCACCTGCCATTAAGCCCGA)。ウイルスRNAコピーの量は、SpeIで線形化したpGEM−5Zf(+)GAGプラスミドのMAXIscript kit(Ambion)でのインビトロ転写により得られるRNAのdH
2O中での連続希釈物から調製される内部標準曲線への閾値蛍光値の外挿により評価した。検出閾値は375 RNAコピー/ml(2.57 log10 RNAコピー/ml)であった。
【
図29(2)】ELISPOTアッセイの飽和。IFN−γ ELISPOTアッセイはPBMCの連続希釈物を使用して実施し、ELISPOTリーダーの飽和曲線を決定した(200,000個の細胞を使用しているため、280スポット/ウェルは1400スポット/100万個PBMCに相当する)(
図29(2)a)。特定のT細胞の頻度が高く、スポットが重複する(取得)場合、IFN−γ SFC/100万個の数は、従って、バックグラウンド(分析)を引く前に1400まで過小評価された。チャレンジ後2週目でのSIVmac339 GAG:385−443及びSIVmac339 GAG:443−491を包含するペプチドプールで再刺激した動物20056からのPBMCの例を与える(
図29(2)b)。
【
図30(1)】中央記憶CD4+ T細胞コンパートメントをワクチン接種マカクにおいて良好に保存する。末梢血中での中央記憶(CM)CD4
+ T細胞の数における変化(進行との強い相関)をチャレンジ後5ヶ月間にわたり追跡調査した。他の細胞コンパートメント(全CD4
+、未感作CD4
+全CD8、未感作CD8
+、CM CD8
+、及びエフェクター記憶(EM)CD8
+ T細胞)の動態を
図32(2)で利用可能である。未感作(
図30a 15661−14184−15885−14468)、対照(
図30a 21544−20456、○又はxの印を付けている)、及びワクチン接種の動物(
図30b、1つを除く全ての系統に◆を付けている)でのベースラインCM CD4
+ T細胞の%、ならびに、未感作及び対照群(黒色で▲の印を付けている)対ワクチン接種群(灰色で◆の印を付けている)での平均値(
図30a、30b及び30c)を示す。ワクチン接種動物は、未感作動物及び対照動物(
図30c)ならびに▲を伴う進行動物(14184−21544−20456)(
図30d)とは対照的に、初感染中にそれらのCM CD4
+ T細胞コンパートメントの完全な保存を示し、慢性期における穏やかな欠乏を示さなかった(p値<0.05を記入する*)。全ての動物でのCM CD4
+ T細胞を、初感染のピークに比較する(
図30e)。絶対リンパ球カウントの定量化、CD3
+CD4
+ T細胞ならびに未感作、EM及びCM T細胞(CD28
+CD95
−、CD28
+CD95
+、及びCD28
−CD95
+細胞と定義する)の割合が以前に記載された(Karlsson I et al 2007)。
【
図30(2)】ワクチン誘導性T細胞応答は広範で、それらはAT2不活化SIVに由来する抗原を認識した。GAGによりコードされるタンパク質(マトリクスMA、キャプシドCA、ヌクレオキャプシドNC、及びp6)の多様性並びにワクチン誘導性、ウイルス誘導性、及びウイルスリコール性GAG特異的T細胞応答への相対的寄与率を、IFN−γ ELISPOTアッセイにより、一次応答(プライミング後2週目、
図30(2)a)、ブースト後1週目(
図30(2)b)、及び感染の急性期中(チャレンジ後3週目、
図30(2)c)のピークに試験した。AT−2不活化SIVmac251(5μg/ml全ウイルスタンパク質)も使用して、全PBMC IFN−γ ELISPOTアッセイにおいて、ブースト後2週目にGAG特異的CD4
+及びCD8
+ T細胞を再刺激した(
図30(2)d)。対照微小胞を伴う共培養後のバックグラウンドを引いた。飽和応答を+で示した。AT−2不活化SIVmac 251及びその対照微小胞を、JD Lifson(Frederick, MA)から、EU Program EVA Centralized Facility for AIDS Reagents(NIBSC, Potters Bar, UK)を通じて得た。
【
図31(1)】免疫は防御と相関する。初感染のピークでの血漿ウイルス負荷の対照を、GAG特異的T細胞との相関関係についてテストした(スピアマンの順位相関)。プライミング注射後(
図31a)、ブースト注射後(
図31b)、及びチャレンジ後(
図31c)の高頻度なIFN−γ分泌T細胞は、初感染のピークにウイルス血症のより良好な制御と相関した。相関関係の意義は、ELISPOTウェルの偶発的な飽和のために過小評価される。急性期中の中央記憶CD4
+ T細胞(CM)の保存も、初感染のピークでのウイルス負荷の低下と強く相関した(
図31d)。
【
図31(2)】注射された動物は、ベクター粒子をシュードタイピングするために使用したVSVからの糖タンパク質Gへの液性応答を発生した。シュードタイピングのために使用したエンベロープに対する中和抗体の存在を、インビトロ形質導入アッセイで測定した。P4細胞(HeLa由来)を、種々の時点で採取した免疫化動物からの1:20で希釈した血漿とプレインキュベートされた、VSV−Gインディアナ(
図31(2)a)又はVSV−Gニュージャージー(
図31(2)b)でシュードタイピングされた、GFPをコードするレンチウイルスベクターの存在下で培養した。形質導入効率をフローサイトメトリーにより評価した。血漿の非存在下で、及び、使用したベクターの用量で、P4細胞の61%及び23%が、VSV−Gインディアナ及びニュージャージーでそれぞれシュードタイピングされた、GFPをコードするレンチウイルスベクターでの形質導入後にGFP
+であった。
【
図32】ワクチン被接種者における全、未感作及び記憶CD4
+及びCD8
+ T細胞の動態は、感染後のワクチン未接種及び対照マカクのものとは異なった。ベースラインの全CD4
+ T細胞(
図32a)、未感作CD4
+ T細胞(
図32b)、全CD8
+ T細胞(
図32c)、未感作CD8
+ T細胞(
図32d)、中央記憶(CM)CD8
+ T細胞(
図32e)、及びエフェクター記憶(EM)CD8
+ T細胞(
図32f)の%を追跡調査した。未感作及び対照群(黒色三角)対ワクチン接種群(灰色ひし形)での平均値を示す。P値<0.05を記入する*。
【
図33】コドン最適化によって、TRIP.NI LVベースのワクチンにより誘導されるCTL応答が決定的に改善される。免疫優性gag CD8+ T細胞エピトープに対するgag特異的な細胞性免疫応答を、四量体染色(A)又はIFN−γ ELISPOT(B)により評価した。SFC、スポット形成細胞。(C)gagのCD8+ T細胞免疫優性エピトープ及びCD4+ T細胞エピトープに反応するIFN−γ ELISPOTアッセイ。マウスを、100ngのTRIP.NI gagΔmyr LV又はTRIP.NI gagΔmyr CO LVで腹腔内プライミングした。10日後、免疫化マウスからの脾細胞を、対応するペプチドで刺激し、ELISPOTアッセイにより分析した。バックグラウンドの頻度を、プロット前に引いた、エラーバーは、1群当たりマウス3匹でのSDを表わす。(D)TRIP.NI gagΔmyr LV対TRIP.NI gagΔmyr CO LVの免疫化により誘導されるgag特異的な溶解活性の比較。CTL活性を、材料及び方法において記載する20時間インビボCTLアッセイを使用して免疫化後の10日目に測定した。マウス3匹での平均+/−SDを示す。
【
図34】TRIP.NI GAGΔmyr CO粒子での単回免疫化によって、強い持続性の細胞性免疫応答が誘導される。注射後8週目にTRIP.NI GAGΔmyr CO又はTRIP.I GAGΔmyr野生型粒子で免疫化した、又は、免疫化しなかったマウスからの脾細胞(A)又は骨髄細胞(B)でのELISPOTアッセイ。
【
図35】マウスを、VSV−GインディアナでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO又はTRIP.I GAG野生型粒子で免疫化し、そして13週間後、VSV−GニュージャージーでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO又はTRIP.I GAG野生型粒子でそれぞれブーストした。プライミング−ブーストプロトコールのための対照群には、VSV−GインディアナでシュードタイピングされたTRIP粒子(灰色図表)又はVSV−GニュージャージーでシュードタイピングされたTRIP粒子(青色図表)をそれぞれ1回だけ注射したマウスが含まれた。全てのマウスを免疫化後10日目に屠殺し、GAGに対する細胞性免疫応答をIFN−γ ELISPOT(A)又は四量体染色(B)により評価した。
【
図36】SIVmac239 GagΔmyr WPREをコードするレンチウイルスベクターでのマウスのワクチン接種。2〜5群:マウス129匹をマウス1匹当たり1.10
e7 TUで1回ワクチン接種した。単回投与後10日目、特定の免疫応答を、標的細胞として、CFSEで染色し、15−merペプチド(亜優性又は免疫優性CTLエピトープを含むSIVmac239 Gag(73−87)及びSIVmac239 Gag(309−323))でパルスしたコンジェニック未感作脾細胞を使用したインビボ細胞毒性アッセイにより分析した。i.d.、皮内;i.p.、腹腔内;s.c.、皮下。
【
図37】SIVmac239 GagΔmyr WPREをコードするレンチウイルスベクターでのマウスのワクチン接種。2〜3群:マウス129匹をマウス1匹当たり300ngのp24で1回ワクチン接種した。単回投与後10日目、特定の免疫応答を、標的細胞として、CFSEで染色し、15−merペプチド(亜優性又は免疫優性CTLエピトープを含むSIVmac239 Gag(73−87)及びSIVmac239 Gag(309−323))でパルスしたコンジェニック未感作脾細胞を使用したインビボ細胞毒性アッセイにより分析した。t.c.i.、経皮;i.d.、皮内;i.p.、腹腔内。
【
図38】SIVmac239 GagΔmyr WPREをコードするレンチウイルスベクターでのマウスのワクチン接種。5〜6群:C57BL/6jマウスをマウス1匹当たり1.10
e7TUで1回ワクチン接種した。単回投与後10日目、特定の免疫応答を、標的細胞として、CFSEで染色し、15−merペプチド(亜優性又は免疫優性CTLエピトープを含むSIVmac239 Gag(73−87)及びSIVmac239 Gag(309−323))でパルスしたコンジェニック未感作脾細胞を使用したインビボ細胞毒性アッセイにより分析した。i.m.、筋内;i.p.、腹腔内;s.c.、皮下。
【
図39】SIVmac239 GagΔmyr WPREをコードするレンチウイルスベクターでのマウスのワクチン接種。6群:C57Bl/6jマウスをマウス1匹当たり2.10
e6 TUで1回ワクチン接種した。単回投与後12日目、特定の免疫応答を、15−merペプチド(亜優性又は免疫優性CTLエピトープを含むSIVmac239 Gag(73−87)及びSIVmac239 Gag(309−323))で細胞を刺激するINFガンマELISPOTアッセイにより分析した。i.p.、腹腔内;i.m.、筋内。「星」印は、飽和ELISPOTウェルに起因する応答の過小評価を示す。
【
図40】インディアナVSV−G又はニュージャージーVSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターでの細胞の形質導入のインビトロ中和(細胞は、未感作マウス又はインディアナVSV−Gでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターで以前に免疫化されたマウスからである)。
【
図41】ペプチド(A)を含む免疫優性CD8エピトープに対する、又は、ペプチド(B)を含む亜優性CD8エピトープに対するインビボでの特異的融解。プライミング又はプライミング−ブースト反応を、個別のマウスで、プライミング及びブースト反応において同じVSV−Gエンベロープを有するレンチウイルスベクター又は異なるVSV−Gエンベロープを有するレンチウイルスベクターのいずれかで実施した。
【
図42】ペプチド(A)を含む免疫優性CD8エピトープに対する、又は、ペプチド(B)を含む亜優性CD8エピトープに対する、又はペプチド(C)を含むCD4に対するCTL活性を決定するためのIFNガンマElispotテスト。プライミング又はプライミング−ブースト反応を、個別のマウスで、プライミング及びブースト反応において同じVSV−Gエンベロープを有するレンチウイルスベクター又は異なるVSV−Gエンベロープを有するレンチウイルスベクターのいずれかで実施した。
【
図43】組込みが欠損したLVでの非分裂細胞の効率的な形質導入。アフィジコリン処置HeLa細胞を、段階用量(培地1ml当たり1〜100ngのp24抗原)のeGFP組込みLV(eGFP−ILV)又はeGFP非組込みLV(eGFP−NILV)で形質導入した。形質導入後48時間目、eGFP発現をフローサイトメトリーにより分析した。上パネルはGFP陽性細胞のパーセンテージを示し、下パネルはGFP陽性細胞のMFI(平均蛍光強度)を示す。
【
図44A】レンチウイルスベクターの形質導入は、従来型樹状細胞(cDC)及び形質細胞様樹状細胞(pDC)の両方における効果的な抗原発現をもたらす。(A)eGFP組込みLV(eGFP−ILV)もしくはeGFP非組込みLV(eGFP−NILV)での、又は、300ng/mlの熱不活化(HI)eGFP−ILVもしくはeGFP−NILVでの用量応答形質導入実験(0〜300ng/ml)。6日目、FL−DCをベクター粒子に48時間暴露させ、CD11c陽性細胞の形質導入を、フローサイトメトリーによりeGFP発現を測定することにより評価した。数字は、eGFPを発現するCD11c細胞のパーセンテージを示す。(B)LVによるpDC及びcDCの形質導入。cDC(CD11c
+ B220
−)及びpDC(CD11c
+ B220
+)によるeGFPの発現を示す。細線、対照細胞(Ctl);記入済みプロファイル、300ng/mlのベクター粒子で形質導入されたFL−DC。
【
図44B】レンチウイルスベクターの形質導入は、従来型樹状細胞(cDC)及び形質細胞様樹状細胞(pDC)の両方における効果的な抗原発現をもたらす。(A)eGFP組込みLV(eGFP−ILV)もしくはeGFP非組込みLV(eGFP−NILV)での、又は、300ng/mlの熱不活化(HI)eGFP−ILVもしくはeGFP−NILVでの用量応答形質導入実験(0〜300ng/ml)。6日目、FL−DCをベクター粒子に48時間暴露させ、CD11c陽性細胞の形質導入を、フローサイトメトリーによりeGFP発現を測定することにより評価した。数字は、eGFPを発現するCD11c細胞のパーセンテージを示す。(B)LVによるpDC及びcDCの形質導入。cDC(CD11c
+ B220
−)及びpDC(CD11c
+ B220
+)によるeGFPの発現を示す。細線、対照細胞(Ctl);記入済みプロファイル、300ng/mlのベクター粒子で形質導入されたFL−DC。
【
図45】単回用量のsE
WNV−NILVは、強く特異的な抗体応答を誘発する。成体マウス群に段階用量のsE
WNV−NILV(1〜100ngのp24抗原)(A、B)又はsE
WNV−ILV(B)で腹腔内免疫化した。対照マウスに熱不活化sE
WNV−LV NI(A、B)又はI(B)(HI 100)を注射した。21日後、プール血清(マウス6匹/群)をWNV特異的抗体について評価した。
【
図46】sE
WNV−NILV免疫化により与えられるWNV感染に対する迅速防御。マウス6匹/群に100ngのsE
WNV−NILV又は100ngの
sE
WNV−ILVをワクチン接種した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を接種した対照群のマウスが含まれた。ワクチン接種後1週目、マウスを1,000 i.p. LD
50sのWNV株IS−98−ST1でチャレンジした。生存を21日間記録した。
【
図47】WNV感染に対するsE
WNV−NILVによる効率的な長期防御。段階用量のsE
WNV−NILV(1−100ngのp24抗原)(A、B)又はsE
WNV−ILV(B)での免疫化後2ヶ月目、マウスに1,000 i.p. LD
50sのWNV株IS−98−ST1を接種した。生存を21日間記録した。
【
図48】gagΔmyrの発現レベルに及ぼすコドン最適化の影響。293 T細胞を、gagΔmyrの野生型配列(左パネル)又はコドン最適化配列(右パネル)のいずれかを含むTRIPベクタープラスミド、キャプシド形成プラスミドp8.7 D64V、及びVSV−G発現プラスミドでコトランスフェクトした。
【
図49】マウス群(N=5)を、VSV−GインディアナでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO(100ng)又はTRIP.I GAG野生型粒子(100ng)で免疫化し、又は、免疫化せず(未感作)、そして13週間後、VSV−GニュージャージーでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO(100ng)又はTRIP.I GAG野生型粒子(100ng)でそれぞれブーストした。全てのマウスを免疫化後10日目に屠殺し、そして、GAGに対する細胞性免疫応答をIFN−γ ELISPOT(A)又は四量体染色(B)により評価した。
【
図50】利用可能な場合、種々のVSV−G血清型(コドン最適化(CO)又は野生型(WT))によりシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子のタイトレーション。
【
図51A】血清中和活性の定量化のためのインビトロアッセイ。マウス血清を、異なる血清型のVSV.Gタンパク質によりシュードタイピングされた、1回の注射当たり300ngのP24レンチウイルスベクター粒子を2ヶ月間間隔で2回注射した動物から採取した。種々の血清型のVSV.Gタンパク質で再びシュードタイピングされたベクター粒子をコードするルシフェラーゼを、血清の希釈物の存在下で、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、レンチウイルスベクター粒子をコードするルシフェラーゼを使用して、1ウェル当たり1ngのP24で96ウェルプレート中の293T細胞に形質導入した。48時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を、使用説明書に従って発光検出キット(Boehringer)を使用して測定した。結果は、血清なしでのインキュベーション後、発光活性のパーセンテージとして表わした。
【
図51B】血清中和活性の定量化のためのインビトロアッセイ。マウス血清を、異なる血清型のVSV.Gタンパク質によりシュードタイピングされた、1回の注射当たり300ngのP24レンチウイルスベクター粒子を2ヶ月間間隔で2回注射した動物から採取した。種々の血清型のVSV.Gタンパク質で再びシュードタイピングされたベクター粒子をコードするルシフェラーゼを、血清の希釈物の存在下で、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、レンチウイルスベクター粒子をコードするルシフェラーゼを使用して、1ウェル当たり1ngのP24で96ウェルプレート中の293T細胞に形質導入した。48時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼ活性を、使用説明書に従って発光検出キット(Boehringer)を使用して測定した。結果は、血清なしでのインキュベーション後、発光活性のパーセンテージとして表わした。
【
図52】異なるマウス血清でのレンチウイルスベクター粒子の交差中和:異なるVSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子を、種々のマウス血清の存在下での形質導入実験によりテストする。A:形質導入は、完全に阻害される(++)、部分的に阻害される(+もしくは+/−)、又は阻害されない(−)のいずれかである。B:これらの実験の詳細。
【
図53】種々のサル血清の存在下でのインディアナシュードタイピング粒子の活性。A:免疫化前のサルからの血清、B:種々の用量でインディアナシュードタイピング粒子を注射(プライミング)したサルからの血清、及びC:ニュージャージーシュードタイピング粒子を注射(ブースト)後のサル血清。
【
図54】種々のサル血清の存在下でのニュージャージーシュードタイピング粒子の活性。A:免疫化前のサルからの血清、B:種々の用量でインディアナシュードタイピング粒子を注射(プライミング)したサルからの血清、及びC:ニュージャージーシュードタイピング粒子を注射(ブースト)後のサル血清。
【
図55】種々のサル血清の存在下でのCocalシュードタイピング粒子の活性。A:免疫化前のサルからの血清、B:種々の用量でインディアナ・シュードタイピング・レンチウイルスベクター粒子を注射(プライミング)したサルからの血清、及びC:ニュージャージー・シュードタイピング・レンチウイルスベクター粒子を注射(ブースト)後のサル血清。
【
図56】種々のサル血清の存在下でのイスファハンシュードタイピング粒子の活性。A:免疫化前のサルからの血清、B:種々の用量でインディアナシュードタイピング粒子を注射(プライミング)したサルからの血清、及びC:ニュージャージーシュードタイピング粒子を注射(ブースト)後のサル血清。
【
図57】種々のサル血清の存在下でのSVCVシュードタイピング粒子の活性。A:免疫化前のサルからの血清、B:種々の用量でインディアナシュードタイピング粒子を注射(プライミング)したサルからの血清、及びC:ニュージャージーシュードタイピング粒子を注射(ブースト)後のサル血清。
【
図58】ヒト血清中のVSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。VSV−Gタンパク質に対する中和抗体の存在は、A:VSV−Gインディアナ、B:VSV−Gニュージャージー、C:VSV−G Cocal、D:VSV−G SVCV、及びE:VSV−Gイスファハンでシュードタイピングされた粒子の形質導入アッセイにより、加熱した、又は、加熱しない種々のヒト血清の存在下で決定した。
【
図59A】ヒト血清中のCocal VSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。96のヒト血清(加熱した、及び、加熱しない)を、形質導入実験(1/2希釈)において、A:インディアナ、B:ニュージャージー、C:Cocal、D:イスファハン、及びE:SVCV VSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子の存在下でテストした。これらの実験は各条件について2回行っている。
【
図59B】ヒト血清中のCocal VSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。96のヒト血清(加熱した、及び、加熱しない)を、形質導入実験(1/2希釈)において、A:インディアナ、B:ニュージャージー、C:Cocal、D:イスファハン、及びE:SVCV VSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子の存在下でテストした。これらの実験は各条件について2回行っている。
【
図59C】ヒト血清中のCocal VSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。96のヒト血清(加熱した、及び、加熱しない)を、形質導入実験(1/2希釈)において、A:インディアナ、B:ニュージャージー、C:Cocal、D:イスファハン、及びE:SVCV VSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子の存在下でテストした。これらの実験は各条件について2回行っている。
【
図59D】ヒト血清中のCocal VSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。96のヒト血清(加熱した、及び、加熱しない)を、形質導入実験(1/2希釈)において、A:インディアナ、B:ニュージャージー、C:Cocal、D:イスファハン、及びE:SVCV VSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子の存在下でテストした。これらの実験は各条件について2回行っている。
【
図59E】ヒト血清中のCocal VSV.Gタンパク質に対する抗体の保有率。96のヒト血清(加熱した、及び、加熱しない)を、形質導入実験(1/2希釈)において、A:インディアナ、B:ニュージャージー、C:Cocal、D:イスファハン、及びE:SVCV VSV.Gタンパク質でシュードタイピングされたウイルス粒子の存在下でテストした。これらの実験は各条件について2回行っている。
【
図60-1】VSV−Gタンパク質を中和する、患者からのヒト血清の分析。血清がVSV−Gタンパク質に対する中和活性を提示する患者を、形質導入アッセイにより検討した(連続希釈中のA:インディアナ、B:ニュージャージー、C:SVCV、D:Cocal、及びE:イスファハン粒子)。
【
図60-2】VSV−Gタンパク質を中和する、患者からのヒト血清の分析。血清がVSV−Gタンパク質に対する中和活性を提示する患者を、形質導入アッセイにより検討した(連続希釈中のA:インディアナ、B:ニュージャージー、C:SVCV、D:Cocal、及びE:イスファハン粒子)。
【
図61】異なるVSV−Gエンベロープによりシュードタイピングされたベクター粒子が、mDChに融合する、又は、融合しない能力。ヒト単球由来DC(mDC)を、インディアナ、ニュージャージー、イスファハン、SVCV、Cocal及びチャンディプラのVSV−GエンベロープによりシュードタイピングされたGFPベクター粒子で形質導入した。形質導入後5日目、mDCをフローサイトメトリーにより分析し、力価を決定した。相対力価を、mDCで決定した力価と293T細胞において決定した力価の間の比率として表わす。
【0254】
HIV感染に対するワクチン接種の例示のためのモデルとして、SIV感染に対するワクチン接種戦略におけるTRIPレンチウイルスベクターの適用。
I.TRIPベクターがマウスモデルにおいて抗SIV特異的T細胞応答を誘導する潜在能力。
VSVウイルスに由来するエンベロープタンパク質を持つレンチウイルスベクターを改変して、免疫応答をブーストできるか否かを決定するために、本発明者は、交差反応性がないと予測される様々なVSV血清型からの糖タンパク質を発現するレンチウイルスベクターに基づく新たなベクター戦略を開発した。
【0255】
水疱性口内炎ウイルス(VSV)の分離株は、ラブドウイルス科中のベシクロウイルス属に属するエンベロープ化した非セグメント化マイナス鎖RNAウイルスである。VSVは、ウシ、ブタ及びウマなどの家畜に感染し、舌、口腔組織、乳房及び蹄において水疱性病巣の原因となる。VSVゲノムは宿主細胞の細胞質に送達され、レセプター媒介性のウイルス粒子のエンドサイトーシス及びそれに続くウイルスエンベロープとエンドソーム膜とのpH誘導性融合を経て複製が起こる。VSV Gタンパク質は、唯一のウイルス表面糖タンパク質であり、付着及び融合に必要とされる。VSVの2つの主な血清型、インディアナ及びニュージャージーが存在し、G糖タンパク質に対する中和抗体により区別する。それらの抗原構造に加えて、インディアナ及びニュージャージー糖タンパク質は、アミノ酸の数(それぞれ511及び517)及び組成(わずか50%の同一性)、翻訳後修飾、及び折り畳みにおいても異なる。対応して、インディアナ及びニュージャージー株は、VSV病原性に関して等しく重要ではない。ニュージャージー株が原因の大流行は、インディアナ株が原因のものよりも高頻度で、重篤である。
【0256】
材料及び方法
マウス。雌C57BL/6マウス(elevage Janvier, France)をPasteur Instituteの施設で飼育した。
【0257】
細胞培養。HeLa(ECACCで入手可能なヒト子宮頸部腺癌)及びヒト胚性腎細胞293T細胞(ATCCで入手可能)は、レンチウイルスベクター産生に使用され、10%熱不活化ウシ胎仔血清(FCS)及び抗生物質(ペニシリン−ストレプトマイシン)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)Glutamax(GIBCO)中で増殖させた。
【0258】
ベクターの構築及び産生
【0259】
ベクタープラスミドpTRIP.ΔU3.CMV.SIVmac239gagΔmyrは、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMVie)の制御下に非ミリストイル型のSIVmac239 gag配列を含む。
ベクター粒子を、ベクタープラスミド、キャプシド形成プラスミド(p8.7)、及びVSV−Gエンベロープ発現プラスミド、インディアナ血清型(pHCMV−G)(10)対ニュージャージー血清型(pcDNA3.1(−)NJ−G)(Invitrogenから入手可能な市販pcDNA3.1プラスミドに由来する)での293T細胞の一過性リン酸カルシウムコトランスフェクションにより産生した。タンパク質配列を
図3に開示する。
【0260】
クローニング戦略には以下の工程が包含された:ニュージャージーVSV血清型(pBS VSV−G NJ)からの糖タンパク質からの遺伝子を含むプラスミドが使用されている。
それを、XhoI/NotI消化後、pcDNA 3.1(−)ベクター(Invitrogen)中へクローン化した。この方法により由来するプラスミドをpcDNA3.1(−)VSV−G NJと名付けた。
WPRE配列(ウッドチャック肝炎ウイルスのポスト調節エレメント)(11)は、遺伝子発現を有意に増加させることが知られている転写後調節エレメントである。それをTOPO(登録商標)クローニングベクター(Invitrogen)中へクローン化した。
WPRE配列を、EcoRI消化及び脱リン酸化後のpcDNA3.1(−)VSV−G NJ中へクローン化した。この方法により由来するプラスミドをpcDNA3.1(−)VSV−G NJ WPREと名付けた。
WPRE:濃縮ベクター粒子のp24抗原含量の定量化は、市販のHIV−1 p24 ELISAキット(Perkin-Elmer Life Sciences)で行った。ベクターストックのタイトレーションのために、293T細胞を様々なベクター濃度で72時間にわたり形質導入し、そして溶解させた。溶解液をRNase及びプロテイナーゼKで処理し、その後、定量的PCR(Lightcycler)に使用した。
【0261】
インビトロ形質導入阻害アッセイ。HeLa細胞を、96ウェルプレート当たり10,000個細胞で蒔いた。1日後、細胞を、1:6に希釈した脱補体化マウス血清との30分間のプレインキュベーション後、eGFP(増強GFP(enhanced GFP))をコードし、VSVインディアナ又はニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターで形質導入した。マウスは、未感作マウス、又は、非ミリストイル化形態のSIVmac239 Gagをコードし、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた0.25 10
7形質導入単位(TU)のレンチウイルスベクターで1回免疫化されたマウスのいずれかであり、免疫化後14日目に放血させた。72時間後、形質導入をフローサイトメトリーによりアッセイした。形質導入中和のパーセンテージを、血清の非存在下での形質導入と比較して算出した。
【0262】
マウスの免疫化。全ての動物実験を、Pasteur InstituteのOffice Laboratory of Animal Careのガイドラインに従って実施した。9週齢のマウスを、0.2mlのダルベッコPBS中の0.25 10
7形質導入単位(TU)のpTRIP.ΔU3.CMV.SIVmac239gagΔmyrベクター粒子で、0日目、そしてその後、21日目と、2回腹腔内(i.p.)接種した。マウスを14日目に放血させた。免疫応答を28日目に分析した。
【0263】
プライミングのために、非ミリストイル化形態のSIVmac239 Gagをコードし、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを投与したのに対し、ブーストのために、同じであるが、しかし、VSVニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたベクターを注射した。
【0264】
比較は、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターの2回の続く注射を使用した同種のプライミング/ブースト戦略で行った。対照として、一次(7日目)及び記憶(28日目)応答を、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターの単回注射後に特性付けした。VSVニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターで1回だけ免疫化されたマウスの一次(7日目)応答もアッセイした。
【0265】
IFN−γ Elispotアッセイ
ニトロセルロースマイクロプレート(MAHA S4510、Millipore)を捕捉抗体(Mouse IFN-γ Elispot pair、BD Pharmingen)で一晩コーティングし、10% FCS、抗生物質、HEPES、非必須アミノ酸、b−メルカプトエタノール、及びピルビン酸ナトリウムを添加したRPMI1640 Glutamaxで構成される完全培地でブロックした。ベクター免疫化マウスからの脾細胞を3枚のプレートに0.25×10
6個細胞/ウェルで加え、SIVmac239 gagペプチド(NIH AIDS Research and Reference Reagent Program)、コンカナバリンA(1μg/ml)で刺激した。40時間後、スポットを、ビオチン抱合抗体(Mouse IFN-γ Elispot pair、BD Pharmingen)、続いてストレプトアビジン−AP(Roche)及びBCIP/NBT基質溶液(Promega)で明らかにした。スポットをBioreader 2000(Biosys, Karben, Germany)を使用してカウントし、結果を脾細胞100万個当たりのIFN−gスポット形成細胞(SFC)として表わした。
【0266】
インビボ細胞毒性アッセイ
標的細胞の調製のために、未感作マウスからの脾細胞を種々の濃度(高、5μM;中、1μM;低、0.2μM)のCFSE(カルボキシフルオセイン二酢酸スクシンイミジルエステル、Vybrant CFDA-SE cell-tracer kit、Molecular Probes)で標識した。脾細胞をその後、5μg/mlのペプチドでパルスした。各マウスは、後眼窩静脈を通じて、各分画からの等しい数の細胞を含む混合物の10
7個のCFSE標識細胞を受けた。15〜18時間後、脾臓からの単一細胞の懸濁液をフローサイトメトリー(Becton Dickingson、CellQuest software)により分析した。ペプチドパルスした細胞の消失を、免疫化マウス対未感作マウスにおいてパルス集団(高/中CFSE蛍光強度)と非パルス(低CFSE蛍光強度)集団の比率を比較することにより決定した。特異的な死滅のパーセンテージを以下の計算に従って定めた:[1−[(CFSE
lownaive/CFSE
high/mediumnaive)/(CFSE
lowimmunized/CFSE
high/mediumimmunized)]]×100。
【0267】
結果(
図40〜42)
本発明者は、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた低用量(0.25 10e7TU/マウス、このバッチについて650ngのp24に相当する)のレンチウイルスベクターで1回だけ免疫化されたマウスが、同じエンベロープでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターでの細胞のインビトロ形質導入を中和する強い液性応答を確かに発生することを初めて示した。それとは逆に、検出可能なVSVニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたベクターによる形質導入は低い血清中和だけであった。
【0268】
非ミリストイル化形態のSIVmac239 Gagをコードし、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを使用した予備用量応答実験によって、免疫応答を特性付けし、免疫優性CD8エピトープ(SIVmac239 gag:309−323(QTD
AAVKNWMTQTLL))ならびに亜優性CD8エピトープ(SIVmac239 gag:73−97(ENL
KSLYNTVCVIWC))を含むペプチドを同定することが可能になった(データ示さず)。0.45 10
7TU/マウスという低い用量は、免疫優性CD8エピトープ含有ペプチドについてほぼ100%の特異的溶解を伴う100%応答マウスのプラトーに達するために十分であった。対照的に、高用量(最高23 10
7TU/マウスまで)であっても、亜優性CD8エピトープ含有ペプチドの場合において100%のインビボ細胞溶解活性を刺激するために十分ではない。
【0269】
並行して、同じ抗原をコードするアデノウイルスベクターを使用して最近発表された論文では、CD4エピトープを含むペプチドが特性付けされた(SIVmac239 gag:297−311(YV
DRFYKSLRAEQTD))。
【0270】
従って、応答マウスの数及び応答の大きさの両方に関してブースト効果を検出できるようにするために、これらの3つのペプチドに対する免疫をモニターし、そして、最適以下の用量のベクター(0.25 10
7TU/マウス)でマウスを免疫化することを選んだ。
【0271】
II − 非ヒト霊長類モデルにおけるSIVMACに対する防御応答
序論
1.HIV感染及びAIDS
1.1.HIV及びその影響
1.1.1.疫学
後天性免疫不全症候群の最初の症例が1981年に報告されて以来、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の世界的広がりは大流行の割合に達しており、現在、世界的な発生及び公衆衛生上の脅威を表わす(Girard et al., 2006)。実際に、世界中でHIVを伴い生きている人々の数は、今日、約3950万であり、依然として指数関数的に増加しており、前年では430万の人々が感染し、毎日14,000の人々が感染している(http//www.unaids.org)。
【0272】
1.1.2.HIVの生物学
感染の生理病理学は、HIVの特徴と直接的に相関する。このウイルスは、レトロウイルス科、レンチウイルス属に属する。それは直径約110〜120nmのエンベロープウイルスである。gp120糖タンパク質はウイルス向性に関与する;実際に、それによって細胞レセプターCD4及びコレセプターCCR5又はCXCR4への固定を可能にし、このようにしてCD4+リンパ球をその主な標的細胞にする。ひとたびウイルスがCD4
+リンパ球に付着すると、ウイルスサイクルが2つの主な工程に分けられる;初期工程及び後期工程。細胞質中で、ウイルスRNAはウイルスキャプシド内で二本鎖に逆転写され、そして、核に能動輸送され、そこで細胞ゲノムに組込むことができる(Arhel et al., 2007)。ウイルスDNAの転写及びウイルスmRNAの翻訳によって新たなウイルス粒子の形成が可能になる。
【0273】
AIDSの病原性に関する大半の研究が、非ヒト霊長類において、HIVサル等価物:SIVで行われる。実際に、SIVウイルス構造及び生物学は、HIVのものと密接に関係する。
【0274】
1.1.3.HIV感染の生理病理学
疾患進行は、血漿HIV−1 RNA及びCD4+リンパ球の組み合わせ測定により正確に定義される。自然HIV感染は3つの主な時期に分けることができる:初感染又は急性感染で、ウイルス負荷のピーク(約10
6コピーRNA/ml血液)及び迅速であるが、一過性の循環T CD4
+の減少により特徴付けられる(Weber, 2001)。さらに、感染のこの初期段階で、HIV特異的CD4
+ T細胞はウイルスの主な標的であり、任意の処置の非存在下で優先的に破壊される(Rosenberg et al., 2000)。しかし、ウイルス負荷のこの増加は、一般的に、特異的な免疫応答、主に細胞性応答により十分に制御される。実際に、HIV特異的CD8
+ T細胞の出現と一次ウイルス血症の低下の間の一時的な相関関係の証拠が存在する(Koup et al., 1994)。結果として、T CD4
+数が高レベル(感染前の数に劣る)に戻り、ウイルス血症が安定化する(10
3〜10
6 RNAコピー/ml):セットポイント(SP)に達する;そのレベルはしばしば疾患の進化と相関する(Mellors, 1996)。感染個体はその後、無症候期間に入り、それはおよそ数ヶ月から数年持続しうる。この期間は、免疫システムとHIV複製の間の平衡に起因する、循環CD4
+数の遅い線形の減少により特徴付けられる。処置の非存在下で、この無症候時期の後にAIDSが続く。この時点で、ウイルス血症は進行的に高レベルに戻り、CD4
+ T細胞欠乏の傾きでの感染が観察される(200個細胞/mm
3血液に劣るCD4カウント)。最終的に、免疫システムが崩壊し、通常は完全に制御される、又は、容易に取り除かれる病原物質が潜在的に致死的となる。
【0275】
2.医学的処置
2.1.単剤療法からHAART
疾患のAIDSへの進行を遅らせるために、新医薬が1986年に発売された。それらは抗レトロウイルス薬品と呼ばれ、それらの目的はHIV複製を阻止して、ひいてはCD4+ T細胞欠乏を遅らせる。これらの薬品で最も有名なのは間違いなくAZT(Zidovudine)、即ち、ウイルス逆転写酵素のインヒビターであった。しかし、この単剤療法アプローチは、最終的に、効果が限られていることが見出された。なぜなら、HIVは、あらゆる抗レトロウイルス医薬に耐性を(突然変異を通じて)迅速に発生する潜在能力を有するウイルスであるからである。1996年、RTの新たなインヒビターが市販された;それらはAZT様インヒビターとは化学的に異なった。最終的に、新たなクラスのHIV医薬が1995年に現れた(プロテアーゼインヒビター(PI))。今日、抗HIV治療の「スタンダード」である組み合わせは、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)と呼ばれ、3クラスの抗レトロウイルス医薬の組み合わせからなり、通常は2つの異なるRTインヒビター及び1つのPIである。HAARTによって、強力な持続性のウイルス負荷の減少が可能になり(
図5B)、患者の大半で、血液中のウイルスコピーはさらに検出不可能になりうる(Gulick et al., 2000)。結果として、CD4カウントが増加し、免疫システムが部分的に回復し、日和見病原体を再び押し戻すことができる(Autran et al., 1997)。処置を利用可能な患者では、HAARTによってAIDS関連の罹患率の目覚ましい低下が可能になっている(Palella et al., 1998)。
【0276】
2.2.HAART限界
HAARTでの成功には反論の余地はないが、それはいくつかの限界を提示し、その長期使用に関して疑問が生じうる。まず第1に、HAART処置は現実には費用がかかり、依然として開発途上国では利用できない。また、これらの医薬の毒性は比較的高く、それらはしばしば主な副作用(糖尿病、脂肪異栄養症、下痢、頭痛・・・)の引き金となる。さらに、HIVがHAART処置に対する耐性を発生できたことが示されている。突然変異はしばしば処置により制約された領域中に現れる。HAART処置は、また、HIV抗原の産生を、見掛け上、HIV特異的エフェクターT細胞を刺激するため、又は、HIV特異的な未感作T細胞を増大させるために必要とされる未満の閾値まで制限する。HIVへの免疫記憶は、しかし、依然として持続する。免疫システムを処置中断後にウイルスへ再暴露させた時のHIVへのCD4及びCD8免疫応答の一過性の回復により示唆される通りである(Autran et al., 2004)。
【0277】
2.3.HIVワクチン接種
2.3.1.予防的/治療的ワクチン
薬品の効率は依然として限定され、HAARTは生涯にわたる治療であり、大半の第三世界の環境において費用がかかり過ぎ、困難であるため投与できないはずであるため、永続的にAIDSの発症を予防するための他の戦略を見出さなければならない。HIVワクチンの開発は、大流行を遅らせる唯一の方法を表わしうる。ワクチン接種の2つの異なる戦略がテストされている。一方で、予防的ワクチンは殺菌免疫を誘導できるはずであり、感染及びその合併症の両方を予防しうる。そのようなワクチンはウイルスの侵入時、及び、感染の非常に初期段階、ウイルスがリンパ器官に播種できる前に、機能することが可能であるはずである。他方で、治療的ワクチンがHAART処置下の慢性感染患者のためにデザインされている(Autran et al., 2004)。それは、最初にHAARTで患者を処置し、免疫能力を回復させ、その後、免疫化し、続いて、処置を中断する前にHIVに対する静止免疫応答をブーストさせることからなりうる。最終的に、ウイルスの免疫制御を増強できる場合、疾患進行は減弱されて、処置中断を、そして結果的にHAARTの使用の制限を可能にして、このようにしてそれらの毒性及びコストを最小限にする。
【0278】
2.3.2.現在のAIDSワクチン研究の状況
何の戦略を選ぼうと、ワクチン開発は膨大な科学的困難、例えば、ウイルスの高い遺伝的変動性、既存の動物モデルでの防御及び制限の免疫相関の欠如などに直面している。今まで、50を上回るワクチン候補がI/II相臨床試験でテストされている(www.iavi.org)(進行中の抗HIV−1試験の概要については添付文書1を参照のこと)。複数のワクチン接種戦略が今までにテストされている(Tonks, 2007)。最初に、従来の弱毒生ワクチンを、天然痘、ポリオ、又は麻疹に対するそれらの過去の成功のため、テストした。Nef遺伝子(SIV−Δnef)中の欠失を伴う弱毒生ワクチンは、SIV/マカクモデルにおける最も効果的なワクチンである。しかし、その適用は制限され、なぜなら、ワクチンウイルスは低レベルで、無制限にワクチン接種マカク中で持続し、新生児の病原となりうる。また、SIV−□nefは、ワクチン接種後数年間は成体で疾患の原因となりうる。しかしながら、これらの弱毒生ワクチンは、HIVワクチン開発の実施可能性のための原理の決定的な証拠を提供し、防御免疫の性質の特性付けを可能にする(Koff et al., 2006)。別の従来のワクチン戦略は、広範で持続性の中和抗体を誘導し、ウイルスの侵入を無効にし、感染を予防した。この目的のために、サブユニットワクチンを開発した。それらはHIVタンパク質又はペプチドで構成され、しばしば組換えであった。本発明者は、ミョウバン中で投与した単量体gp120をベースとするワクチンで、米国で第II相において評価した、VaxGen試験を引用できる。しかし、これらのサブユニットワクチン試験のいずれも、ワクチン接種体においてHIV感染の統計的に有意な低下は示さなかった。ワクチン誘発性応答は有望な結果を与えなかったため、研究者らは代わりに細胞媒介性の治療群に変えている。実際に、CD8+細胞傷害性エフェクターT細胞によってそれらのクラスI MHC分子上にウイルス粒子を呈する感染細胞を取り除くことができることが以前に示された。さらに、CD8+ T細胞はSIV及びHIV感染を制御する際に重要であることが知られている。なぜなら、(i)サルでの慢性SIV感染中のCD8+ T細胞の欠乏によりウイルス負荷が増加する(Jin et al., 1999)、(ii)クラスI HLA遺伝子座が異種であるHIV陽性患者はより遅い疾患進行速度を有し(Carrington et al., 1999)、及び(iii)ウイルスはCD8+ T細胞エピトープ中に突然変異を蓄積する(Goulder and Watkins, 2004)からである。T細胞応答を刺激するワクチンは、従来の方法では感染を予防しえないが、しかし、少なくともAIDSの発症を予防するには十分に長期間にわたりそれを抑制できうる。T細胞ワクチンのうち、DNAワクチンが、現在、第I相試験において、プラスミドによりコードされる単離HIV遺伝子を使用して見出されるが、しかし、免疫原性の問題に直面している。T細胞応答を誘発するために最も共通して使用される戦略は、組換えベクターの1つである。それは、単離HIV遺伝子をヒト細胞中へ輸送するためのウイルスベクター(ポックス、ワクシニア、又はアデノウイルスに由来する)の使用からなる。
【0279】
最後に、また、樹状細胞ベースのワクチン接種技術に言及する価値があり、SIVチャレンジに対するその結果は非常に有望であった。それは、化学的不活化SIV(アルドリチオール−2、AT−2で不活化)でパルスされた自己樹状細胞(DC)でマカクを免疫化することからなる。
不活化ウイルスは逆転写できず、しかし、ウイルス粒子はそれらのインタクトな構造及び全ての融合能力の大半を保存する。この技術をさらにテストし、慢性感染させた非処置ヒトにおいて、不活化自己HIVでパルスした自己DCで成功した(Andrieu and Lu, 2007)。その効率にもかかわらず、この技術はかなり費用がかかり、時間がかかる。
【0280】
2.3.3.事前のワクチン戦略により遭遇する問題
多くの型のワクチンがテストされており、依然としてテスト中であるが、それらのいずれも今日まで完全に成功していない。実際に、ウイルス負荷に及ぼす長期効果は、CTL特異的応答が刺激された場合でさえ、DNAワクチンでは観察されていない。液性応答を誘発するワクチンはウイルスの膨大な変動性を受け、抗体が生成された場合でさえ、それらはHIVの遺伝的多様性に対処できるほど万能では決してなかった。HIV感染個体の中和モノクローナル抗体での受動免疫化でさえ失敗し、HIV−1感染の制御における液性免疫の限界を明確に示した(Trkola et al., 2005)。ポックスベクターでは、特異的なCD4+及びCD8+T細胞応答の誘発に成功したが、しかし、何週間ものHAART中断後でのウイルス負荷の良好な制御は可能にしなかった。結果的に、他のワクチン接種戦略をテストする必要がある。本発明者らは、本明細書において、候補ワクチンとしてHIV−1に由来するレンチウイルスベクター(LV)の使用に基づく、新たなHIV−1ワクチン戦略をテストすることを提案する。
【0281】
3.HIVワクチン接種のための候補としてのレンチウイルスベクター
3.1.レンチウイルスベクターの技術
LVは20年前に最初に記載された(Poznansky et al., 1991)。組換えベクターとして、LVはトランスジーン(8−10kbまで)を宿主細胞のDNA中へ組込むことができる。HIV−1由来ベクター及び全てのLVの独自の特殊性は、非分裂細胞に形質導入するそれらの能力である。実際に、レンチウイルスなどのLVは、細胞有糸分裂に非依存的に組込むことができる。この能力は、宿主細胞の核膜を通じたウイルスDNA(又はベクターDNA)の能動的核内輸送に由来する。この能動的核内輸送についての1つの説明は、pol配列中の2つのシス活性配列を経たDNA Flap又はTriplexと呼ばれる、独自の三本鎖DNAの形成である:実験室で発見されたcPPT(セントラルポリプリントラクト)及びCTS(セントラルターミネーション配列)(Zennou et al., 2000)。
【0282】
本発明者らのワクチンプロジェクトでは、共通してTRIPと名付けられたHIV−1由来LVを使用する(なぜならそれは中央DNA Flap/Triplex構造を含む)。このベクターは、第三世代LVに属し、デザイン、産生、形質導入効率、及びバイオセイフティーのパラメーターの点で最適化されている(Delenda, 2004)。
【0283】
HIV−1を遺伝子導入ベクターとして使用することの1つの主な関心は、レトロウイルスは、プラス鎖RNAウイルス又はDNAウイルスとは対照的に、直接的な感染性がないことである。実際に、プラス鎖RNAゲノムは、インビボで逆転写ならびにウイルス複製及び病原性を開始するための多くのアクセサリータンパク質を必要とする。しかし、遺伝子導入ベクターとして使用するために、HIV−1ゲノムを、トランスジーンの発現及びパッケージングに必要な最小限の配列に減らしている(
図8)。トランスジェニック発現カセットに必要なシス作用配列は以下のものである:
【0284】
LTR配列(末端反復配列)は、逆転写、ウイルスDNA組込み、及び転写に必要とされる。この3’LTRは、2つの主な理由のため、遺伝子導入に必要な機能を混乱させることなくU3領域中で欠失させている:第1に、ひとたびDNAがゲノム中に組込まれたら、宿主細胞のトランス活性化を回避するため、第2に、レトロ転写後にウイルスシス配列の自己不活化を可能にするためである。このように、標的細胞において、内部プロモーターからの配列だけが転写される(トランスジーン)(
図9)。
【0285】
Ψ領域がウイルスRNAキャプシド形成に必要である。
【0286】
RRE配列(REV応答性エレメント)によって、Revタンパク質の結合後、核から細胞質へのウイルスメッセンジャーRNAの搬出が可能になる。
【0287】
DNA Flap配列(cPPT/CTS、通常Pol中に含まれる)によって核内輸送が促進される。
【0288】
WPREシス活性配列(ウッドチャックB型肝炎ウイルスのポスト応答性エレメント)も加えて、mRNAの安定性を最適化する(Zufferey et al., 1999)。WPREは翻訳されない。
【0289】
目的の遺伝子(即ち、抗原をコードする)を、強い、及び、しばしば偏在性のプロモーターの制御下にある導入ベクタープラスミド中に挿入する。
【0290】
ウイルス粒子(RNA、キャプシド、及びエンベロープ)を生成するために、特定のHIV−1ヘルパーパッケージングタンパク質を産生細胞内に同時に持ち込まなければならない。それらは、パッケージング又はキャプシド形成プラスミド及びエンベロープ発現プラスミドと呼ばれる2つの追加プラスミドによりコードされる。パッケージングプラスミドは、ウイルス粒子合成に必須のウイルスタンパク質だけをコードする。プラスミド中でのその存在によって安全性の懸念を生じうるアクセサリー遺伝子は、除去した。トランスで持ち込むウイルスタンパク質はそれぞれ以下である:
【0291】
マトリクス(MA、p17)、キャプシド(CA、p24)、及びヌクレオキャプシド(NC、p6)の構築のためのgagタンパク質。
【0292】
polコード酵素:インテグラーゼ、プロテアーゼ、及び逆転写酵素。
【0293】
Tat及びRevコード調節タンパク質、TatはLTR媒介性転写の開始に必要である。
【0294】
ウイルス粒子中のこれらの生成mRNAの任意のパッケージングを回避するために、Ψ領域を除去した。異種プロモーターを選んで、組換えの問題を回避した。
【0295】
エンベロープ発現プラスミドは、HIV−1自然envタンパク質(gp120、gp41)をコードしない。実際に、これらのタンパク質は不安定すぎるため、ベクター粒子の超遠心分離による効率的な産生及び濃縮を可能にしない。さらに、HIV−1のenvタンパク質は限られた向性を有する(CD4、CCR5、CXCR4)。これらの問題に対応するために、LV産生ではシュードタイピングと呼ばれるプロセスを使用する。それは、異種エンベロープ糖タンパク質でウイルス粒子を生成することにある。LVをシュードタイピングするための第1の依然としてもっとも広く使用される糖タンパク質は、インディアナ血清型からの水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質G(VSV−G)である。VSV−GでシュードタイピングされたLVは、VSV−Gが細胞上の偏在性の細胞性受容体と相互作用し、広範な宿主細胞の範囲を伴うベクターを賦与する点で、重要な利点を提供する。さらに、VSV−Gは高いベクター粒子の安定性を与え、ウイルス粒子の下流でのプロセシングを可能にする:主に超遠心分離による濃縮。
【0296】
3.2.なぜレンチウイルスベクターはHIV−1に対するワクチン接種のための有望な候補なのか?
3.2.1.DCの形質導入
LVは最初に遺伝子治療において使用された。遺伝子導入システムとしてのそれらの独自の能力は今日否定できない。
【0297】
第1に、アデノウイルス及びワクシニアウイルス由来ベクターとは対照的に、レンチウイルス属ウイルスに対するヒトにおける既存の免疫が存在しない。それらの出現以降、LVは、遺伝子治療プロトコールとの関連で、肝臓、脳、及び樹状細胞(DC)を含む、治療的に重要な多種類の細胞及び組織においてインビトロでテストされ、成功している。
【0298】
DCは抗原提示細胞(APC)の異種グループであり、先天性免疫において、ならびに、適応免疫応答の開始において重要な役割を果たす。DCは、抹消組織中で抗原を持続的に捕捉することにより、免疫システムのセンチネルとして作用する。ひとたび微生物産物又は炎症シグナルにより活性化されると、それらは成熟化を受け、排出リンパ組織に移り、そこでは、続いて、MHC I及びIIに関連する捕捉抗原をプロセシングし、CD8+及びCD4+ T細胞に提示する。興味深いことに、LVにより効率的に形質導入できた細胞型のうち、有糸分裂活性の低いヒトCD34+及び単球由来のDCならびにマウス骨髄由来DCが見出された。LVによるインビトロ形質導入は、それらの生存率に影響を及ぼさなかった。最終的に、DCの安定的な形質導入によって、細胞の全寿命中での抗原の内因性の提示が可能になる。このように、LVは良好な候補ワクチンとなる。
【0299】
3.2.2.ワクチン接種の目的のためのLVの使用の歴史
トランスジェニックタンパク質の効率的な発現の他、インビトロで、LVで形質導入したDCは、タンパク質に由来するペプチドを効率的にプロセシングし、提示することが示された。実際に、ヒト及びマウスのいずれのレンチウイルス形質導入DCも、インビトロで特定のT細胞株又はクローンを再刺激できた。より重要なことに、いくつかのグループによって、ヒトDCを使用した場合、関連抗原に対する未感作T細胞のインビトロでのプライミングが報告された。
【0300】
多くのグループが、その後、インビボ、主にマウスモデルにおいて、またより最近では霊長類モデルにおいて、免疫療法薬としてのレンチウイルス形質導入DCの使用を評価した。それは、エクスビボのレンチウイルス形質導入DCで動物を免疫化すること、そして、結果として得られるCD8+ T細胞応答をインビトロで分析することにある。可能な場合、防御の能力は、チャレンジに関連して、インビボでもテストした。これらの試験の大多数で、モデルとして腫瘍抗原が使用され、腫瘍細胞を除去するための誘導CTL応答の能力がテストされた。ごく少数の研究チームが、ウイルス感染に対するエクスビボのレンチウイルス形質導入DCの適切性を証明している。Zarei et al.は、例えば、ウイルス糖タンパク質をコードするLVで形質導入したDCで免疫化されたマウスにおけるLCMVチャレンジに対する防御の能力を実証した(Zarei et al., 2004)。
【0301】
しかし、この技術は、ヒトのワクチン接種プロトコールにおける適用が困難に思われ、結果的に、LVは直接的なインビボ投与を経て迅速にテストされた。多くのグループが、トランスジーン特異的な免疫応答を誘発するために、マウスにおいてLVのインビボ注射の効率を実証している。再度、腫瘍抗原を主に使用した。例えば、実験室により、HLA−A*0201トランスジェニックマウスにおけるレンチウイルスをコードするメラノーマポリエピトープの直接的なインビボ接種によって、コードされるメラノーマエピトープの大半に対する活発なCTL応答を誘発できることが示された(Firat et al., 1999)。LVの注射が、CTL応答の大きさ及び寿命の両方の点で、エクスビボで形質導入されたDCよりも優れていることがさらに実証されている(Esslinger et al., 2003)。さらに、機能的CD8
+ T細胞記憶応答は、TRIPベクターでの直接的なインビボ免疫化後に、CD4
+ T細胞の非存在下でさえ生成できうるが、HIVワクチン接種に対する否定できない利点である(Iglesias et al., 2007)。多くの研究チームが、現在、LVのワクチン接種ツールとしての高い潜在能力に寄与しうる複雑なメカニズムを研究している。特にDC中での持続性の抗原発現、ならびに、先天性免疫の活性化は、決定的役割を果たしうる(Breckpot et al., 2003)。
【0302】
4.カニクイザルにおけるワクチン試験
4.1.実験室での以前の研究、プロジェクトの初期
実験室において、免疫原性試験によって、非ミリストイル化形態のSIVmac239 Gag(上記)をコードするTRIPベクターで免疫化した近交系マウスでの抗SIV特異的T細胞応答の潜在能力が実証されている。これらのマウスモデルによって、HIVに対するワクチン接種のための候補としてのTRIPベクターの潜在能力を明確に示すことが可能になった。しかし、それらによって、ウイルスチャレンジと関連するTRIPベクター免疫化の防御能力をテストすることは可能にならなかった。
【0303】
4.2.マカクモデル
この目的のために、非ヒト霊長類モデル、特にカニクイザルを、防御効率の試験のために選んだ。ヒト/HIV−1モデルを、マカク/SIVmac非ヒト霊長類モデルに置き換えた。マカクはSIVmac感染に高度に感受性であり、進行性に免疫不全症候群を発生し、ヒトAIDSを模倣する。興味深いことに、一次及び慢性感染中の血漿ウイルス負荷は、ヒトにおいて観察されるものに匹敵する。なぜなら、HIV−1感染者において、長期非進行者ならびに迅速進行者が観察できるからである。HIV−1に感染したヒトと同様に、一次及び慢性感染中のSIVmacへの細胞性免疫応答は有意に異なり、そして、免疫回避の証拠は容易に記録される。HIV−1感染個体と同様に、腸管関連リンパ組織が、ウイルス複製及びCD4
+ T細胞の欠乏の主な部位である。
【0304】
今日、AIDSワクチン/チャレンジのデータは、本質的に、3つの主なマカク種において生成される:主に、インディアン由来のアカゲザル、また中国由来のアカゲザル及びカニクイザル。各種のモデルは、ウイルス感染への応答の試験における利点及び欠点を提示する。カニクイザルを本発明者らの試験のために選んだ。なぜなら、それらはヨーロッパにおいてアカゲザルよりも容易に入手可能であるからである。Reinman et al.は、SIVの病原性が、インドアカゲザルと比較して、カニクイザルにおいて減弱されることを示した(より低い血漿ウイルス血症、CD4
+ T細胞数の保存、生存時間の増加)。この減弱した病原性は、アカゲザル種においてよりも、GAG及びENVへのより早く、より強いIFN−γ ELISPOT応答と関連した。これらの知見は、このように、初期T細胞免疫応答の役割を裏付ける。最後に、より低い血漿ウイルス負荷にもかかわらず、チャレンジ後のウイルス血症はカニクイザルにおける実験エンドポイントとして有意に使用でき、チャレンジのために使用したウイルス用量が十分に高く、未感作群が十分に大きく、自然発生的な制御因子の統計的有意性を制限すると想定される。興味深いことに、カニクイザルは、ヒト感染でみられるものとより類似したウイルス負荷を呈する(Reimann et al., 2005)。
【0305】
4.3.抗原の選択
非ヒト霊長類でのワクチン試験に関連して、抗原選択の疑問が生じるはずである。GAG SIVmac239非ミリスチル化タンパク質を抗原として選んだ。自然HIV−1感染及びウイルス構造に関する以前の結果及び知見、ならびにデータによって、潜在的に効率的な抗原としてのこのタンパク質の選択を正当化できうる。まず第1に、HIV−1株における重要な変動性によって、本発明者らは、様々なHIV−1/SIV株間で十分に保存されているタンパク質を選ぶように制限された。GAG、POL、及びNEFだけがこの基準を満たしうる。しかし、CTLが主にgag及びnef上に位置するエピトープを認識することが示されている(Addo et al., 2003)。より最近では、標的となるHIV−1タンパク質のうち、GAG特異的応答だけがウイルス血症の低下に関連し、特定のHLA型に非依存的であることが実証された(Kiepiela et al., 2007)。また、GAG特異的応答が多様化するほど、血漿ウイルス血症は低下した。さらに、それがウイルスマトリクスを構成するため、GAGはプロセシングされ、MHCクラスIにより提示される第1タンパク質である(Sacha et al., 2007)。なぜなら、侵入/捕捉が十分であり、ウイルス複製の必要がないからである。GAGは、また、HIV−1タンパク質(1000−1500 CA)のうちで最も代表的である(Briggs et al., 2004)。全てのこれらのデータによって、本発明者らの第1ワクチン試験での関連抗原としてのこのタンパク質の選択が正当化された。また、この試験は、TRIPベクターのワクチン接種ツールとしての効率の概念の証拠を与えるようにデザインされた。この目的のために、単純な抗原を、ベクター自体が果たす防御的な役割(遺伝子導入効率)を強調するために、自発的に選んだ。さらに、単純GAGタンパク質を抗原として有することによって、以前のワクチン試験との比較を可能にする。
【0306】
4.4.ワクチン接種プロトコール
一次応答を強化するために、プライミング−ブースト戦略を選んだ。第2注射は、応答者の数、抗原特異的T細胞の頻度及び結合力ならびにT細胞応答の強度を増加すると思われる。それは、また、応答の多様性ならびに死滅又は抹消への移動などのT細胞の機能を改善するはずである。
【0307】
プライミングのために、2匹のマカクの3群を、3つの異なる用量で、インディアナ血清型VSV−GでシュードタイピングされたLVベクターTRIP−SIVmac239 Gagで免疫化した。2匹の動物が、無関係ベクターとして、インディアナ血清型VSV−GでシュードタイピングされたTRIP−GFPベクターを受けた。ブーストのために、プライミング後3ヶ月目に、全ての免疫化動物が、インディアナ非交差反応性血清型でシュードタイピングされた類似用量のTRIP−SIVmac239 Gag又はTRIP−GFPを受けた。
【0308】
このTRIPベクターベースのワクチンが引き金となる防御能力をテストするために、ブースト後2ヶ月目に8匹の動物を、500 Animal Infectious Dose 50(AID50)のSIVmac251で直腸内チャレンジした。チャレンジのための接種経路及び非常に高用量のウイルスは、コホートのサイズにより正当化されたが、実際に、感染用量を増加させることにより、本発明者らは、わずか4匹のマカクで構成される試験の未感作動物の治療群において自然発生的な制御因子の数を制限することを期待した。
【0309】
PBMCでのIFN−γ ELISPOTによるプライミング、ブースト、及びチャレンジ後の細胞性免疫応答の長期的な追跡調査が実施されている。
【0310】
材料及び方法
1.材料
1.1.抗原
SIVmac239 GAGΔmyrタンパク質を抗原として選んだ。それは511のアミノ酸のタンパク質である。タンパク質のミリスチル化ドメインを欠失させて、バイオセーフティーレベルL1での操作を可能にし、そして、APCによるクラスI提示を促進させた。SIV mac239からのGAG糖タンパク質の完全配列は、タンパク質ID: AAA47632を経て見出すことができる。GFPタンパク質は無関係抗原として選んだ。
【0311】
1.2.プラスミド
トランスフェクションに使用した全てのプラスミドは、JM109大腸菌株K12細菌(F’ traD36 proA
+B
+ lacI
q Δ(lacZ)M15/ Δ(lac−proAB)glnV44 e14
− gyrA96 recA1 relA1 endA1 thi hsdR17)中で産生させ、アンピシリンを添加したLB培地中で増殖させ、Macherey-Nagel(Hoerdt, France)からのMaxi-prep Nucleoboundキットで抽出した。
【0312】
これらのプラスミドコンストラクトを使用して、TRIP−ΔU3−CMV−Gag Δmyr−WPRE(本明細書においてTRIP−SIVmac239 Gagと名付ける、
図25 A)又はTRIP−ΔU3−CMV−eGFP−WPRE(本明細書においてTRIP−GFPと名付ける、
図25 B)の粒子を生成した。異種転写調節エレメント:サイトメガロウイルスプロモーターの制御下に、HIV−1シス活性遺伝子(LTR、3’にΔU3、キャプシド形成シグナルΨ、RRE及びDNA Flap、即ち、cPPT/CTS)、及びSIVmac239 GAG Δmyrタンパク質又はGFPのいずれかをコードするトランスジーンを含むベクタープラスミド。WPRE(ウッドチャック肝炎ウイルスのポスト応答性エレメント)(Donella J.E. et al, 1998)配列を加えて、トランスジーン発現を増加させた。
【0313】
産生細胞株中でのウイルス粒子の構築に必要なHIV−1遺伝子gag、pol、envを含むパッケージングプラスミドで、Zufferey et al, 1998においてp. 8.7.1としてデザインできる。
【0314】
水疱性口内炎ウイルスからの糖タンパク質G(VSV−G)をコードするエンベローププラスミド(エンベロープ発現プラスミド)、血清型インディアナ(ph CMV VSV−G)(Yee J. et al, 1994, Genebank AJ318514)又は血清型ニュージャージーなどのインディアナ非交差反応性血清型(pcDNA3.1(−)NJ−G WPRE)。pcDNA 3.1(−)NJGは、Invitrogenから入手可能なpcDNA3.1プラスミドに由来する。特に、pcDNA3.1(−)NJ WPREを構築するために、pBS−NJG(Genebank V01214)
17をXhoI及びNotIで消化し、pcDNA3.1(−)ベクター(Invitrogen)中にクローン化した。発現を増加させるために、PCRにより事前に増幅させ、TOPO TA Cloningベクター中へクローン化したWPRE(ウッドチャック転写後調節エレメント)配列を、EcoRI消化により付加した。
【0315】
パッケージングプラスミド及びエンベローププラスミドは、異種転写エレメント(CMVプロモーター、及びポリアデニル化シグナル)を有する。全てのプラスミドが、細菌中での増殖選択を容易にするためのアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0316】
1.3.細胞培養
ヒト胚腎細胞株(ヒト293T)をTRIPベクター産生のために使用した。形質導入アッセイでの阻害のために、P4細胞株、HeLa由来細胞株を使用した。
【0317】
これらの細胞は、10%熱不活化ウシ胎仔血清(FCS)(PAA Laboratories GmbH, Pasching, Austria)及びペニシリン、ストレプトマイシン(100 ユニット/mlペニシリンG(ナトリウム塩)及び100U/ml硫酸ストレプトマイシン、GIBCO、Invitrogen)を添加した、グルタミン(DMEM, GlutaMAX-I Supplement, GIBCO)を含むダルベッコ改変イーグル培地で構成される完全培地中で増殖させた。マカク初代細胞をRPMI GlutaMAX-I完全培地(10% FCS及び抗生物質、DMEM中と類似の濃度)中で培養した。
【0318】
1.4.非ヒト霊長類
12匹の成体カニクイザル(Macaca fascicularis)、インド洋モーリシャス島からの雄を、ワクチン接種試験に含めた。それらは、本試験に含める前、SIV、ヘルペスウイルスB、フィロウイルス、STLV−1、SRV−1、SRV−2、麻疹、肝炎B−HbsAg、及び肝炎B−HBcAbに陰性であった。免疫化、チャレンジ、及び血液採取は、非ヒト霊長類を使用した実験のためのECガイドラインに従って扱った。
【0319】
1.5.チャレンジのためのSIVウイルス
SIVmac251株(完全プロウイルスゲノム及び隣接配列:アクセッション番号:M19499)をチャレンジのために使用した。
【0320】
1.6.SIVmac239 GAG及びSIVmac251 NEFペプチドセット
ELISPOTでのインビトロ再刺激におけるPBMCを、125のペプチド又は64のペプチドをそれぞれ含むSIV mac239 GAG又はSIVmac251 NEFのいずれかのペプチドセットで行った(NIH AIDS Research and Reference Reagent Program)。これらのペプチドは15アミノ酸長であり、連続ペプチドの間に11アミノ酸が重複する。GAGペプチドは、順番にM〜Wの文字で名前を付けられ、SIVmac239 GAGタンパク質を回収する5〜12の連続の重複ペプチドを含む、11プール中に送った(
図26)。NEFペプチドをNEF SIV mac251タンパク質を回収する8ペプチドの12プール中に分け、順番にa〜hの文字で名付けた。ペプチドの大半が80%を上回り純粋であった。それらは、各々1mgで凍結乾燥し、配達した。受理時、それらを、ペプチド含量のパーセンテージ及びHPLC純度に基づき、2mg/mlでGAGペプチド用の5% DMSO及び1mg/mlでNEFペプチド用の純粋DMSO中に再懸濁した。
【0321】
2.方法
2.1.ベクター産生
ベクター粒子を、293T細胞の一過性リン酸カルシウムコトランスフェクション(CaCl
2 0.125mM、1×HEPES緩衝生理食塩水(pH 7.10)、70mM NaCl、0.75mM Na
2HPO
4 2H
2O、25mM HEPES)により産生した。GAGΔmyr又はGFPのいずれかをコードする10μgのベクタープラスミドが、Zennou et al 2000により以前に記載された通りに、VSV−G糖タンパク質エンベロープをコードする5〜10μgのプラスミド、及び10μgのパッケージングプラスミドと共に必要とされた(Zennou et al., 2000)。細胞を、10cm
2ポリスチレン処理組織培養ペトリ皿中に、トランスフェクションの24時間前に完全培地中に6.10
6で播蒔し、そして、培地をトランスフェクション前に変えた。細胞は少なくとも80%コンフルエントであった。トランスフェクション後24時間目に、FCSを伴わない完全培地を細胞に小容積で加え、粒子を濃縮した。トランスフェクション後48時間目に、上清をペトリ皿から採取し、沈殿浮遊細胞に遠心分離し(2500rpm、5分間)、そして、残留プラスミドDNAを除去するために、DNAse I(Roche Boehringer、20U)及びMgCl
2(Sigma、1mM)で37℃、15分間処理した。ベクターを上清の超遠心分離(22 000rpm;1時間)後に採取し、冷PBS中に再懸濁した。ベクターを小容積の一定分量中に−80℃で保存した。
【0322】
2.2.p24 GAG抗原産生の測定
ベクターHIV−1 p24 GAG抗原含量を、酵素結合免疫吸着検定法(Perkin-Elmer Life Sciences, Paris, France)により決定した。p24濃度をng(ベクター)/mlで示した。
【0323】
2.3.ベクターのタイトレーション
タイトレーションは、3つの異なる容積のベクターでの293T細胞の形質導入により実施した(6ウェルペトリ皿中に5.10
5細胞/ウェルでの形質導入前24時間目に蒔いた)。細胞は、また、先に70℃で熱不活化した同量のベクターで形質導入した。形質導入後72時間目に、細胞を、RNAseを含み、Dnase不含の溶解緩衝液1×(Tris 20 mM pH=8.8;NP40 0.1%;Tween 0.1%最終)(Roche Boehringer、50μg/ml最終)で溶解した。細胞タンパク質をプロテイナーゼK(最終100μg/mlで安定化したプロテイナーゼK、Eurobio)の添加により分解した。
【0324】
ベクターの力価を、Light Cycler機器(Roche Diagnostics, Meylan France)を使用して、細胞溶解液でリアルタイムPCRを実施することにより評価した。全HIV−1 DNAコピー数を、LTR U5領域中に局在化する、ウイルスDNA配列の検出により決定した(プライマーAASMリバース及びM667フォワード)。2つのハイブリダイゼーションプローブを各々のPCR実行で使用し、1つのプローブは3’末端ドナーとしてフルオレセイン(FL)で標識され、そして、他は5’アクセプターとしてLightCycler Red 640(FC)で標識した。細胞数への標準化は、プライマー3’中のCD3及び5’中のCD3ならびにプローブFL及びFCで、CD3配列(ハウスキーピング遺伝子)を検出することにより行った。PCRでは、5μlの溶解液を、各々の条件について2回、15μL PCR-mix(Q−PCR用のJumpstart taq readmix、Sigma 1×、MgCl
2 1.9mM、1.5U Taqポリメラーゼ(Invitrogen)、1.5μMフォワード及びリバースプライマーならびに0.2μM蛍光発生ハイブリダイゼーションプローブ)中でテストした。コピー数は、マウス細胞溶解液(3T3)中で一致する配列(U5R及びCD3)と共に希釈した、10
2〜10
8のクローン化プラスミドの増幅により作成した標準曲線を参照して決定した(
図27)。
【表1】
【0325】
2.4.マカクの免疫化
マカクを2匹の動物の4群に分けて(表A)、そして、2点において、3つの異なる用量(高用量2,5.10
8形質導入単位(TU)、6863ng p24;中用量1.10
8TU、2745ng p24、又は、低用量2.5 10
7TU、686ng p24)の、VSV−Gエンベロープ血清型インディアナでシュードタイピングされたTRIP−SIVmac239 Gagで、又は、高用量のTRIP−SIVmac239 Gag(6863ng p24)と同じp24用量のTRIP−GFPで、皮下注射した。
【0326】
プライミング後87日目に実施した第2の免疫化では、4点において、インディアナ非交差反応性VSV−G糖タンパク質血清型(VSV−G血清型ニュージャージー)でシュードタイピングされたベクターで皮下注射した。マカクは、GAGdeltamyr抗原でプライミングした場合には1.10
8TUのTRIP−SIVmac239 Gag、60185ng p24を、又は、GFP抗原でプライミングした場合には60185ng p24のTRIP−GFPベクターを受けた。
【表2】
表A:TRIPワクチン接種試験において使用するカニクイザルの配分
動物を、入れ墨番号及びプライミング免疫化時に受けたTRIPベクターの性質/用量に従って分類する。
【0327】
2.5.SIV mac251チャレンジ
免疫化した未感作マカク(合計12匹のマカク)をブースト後57日目(即ち、プライミング後136日目)に1ml(50%の動物に感染するために十分な動物感染用量)の病原性SIVmac 251(A.M. AUBERTIN, Universite Louis Pasteur, Strasbourg, FranceからANRS−による分配されるストック又はNIHから入手可能な等価ストック)中の500 AID50の単回用量で直腸内チャレンジした。動物を10〜20mg/kgのケタミン(Imalgene, Rhone-Merieux)で麻酔し、そして、全手順をEU規制及びAnimal Care and Useのガイドラインに従って行った。接種後、マカクを別々に飼育し、注意をレベル3バイオセキュリティーの畜舎に制限した。
【0328】
2.6.IFN−γ ELISPOT
動物を、血液採取のために、10〜20mg/kgのケタミン(Imalgene, Rhone-Merieux)で麻酔した。8mlの血液を、各々のマカクについて、細胞調製チューブ中に、PBMC及びクエン酸血漿採取のためにクエン酸ナトリウム(BD Vacutainer(商標) CPT(商標))により、3mlを、血清採取のために血清分離チューブ(Vacuette(登録商標))中のに採取した。遠心分離(10分間、Vacuette(登録商標)チューブでは2500rpm及びCPT(商標)では30分間、3000rpm、ブレーキなし)、及び3〜5ml 1×溶解緩衝液(IOtest(登録商標)10×溶解緩衝液、Beckman-Coulter)赤血球の溶解後、PBMCを10分間、1600rpmの遠心分離により沈殿させ、その後、Kova’s chamber Hycor(登録商標)で数え、そして、十分な細胞が利用可能な場合には2.10
5細胞/ウェルで3枚の96ウェルELISPOTプレートに分布させた。
【0329】
Immobilon(登録商標)−P(ポリフッ化ビニリデン、PVFD)メンブレン(MultiScreen HTS Assay System, MSIP; Millipore)を伴う96ウェルプレートを、事前に湿らせ(エタノール35%)、そして、捕捉抗体(精製したマウスIgG1抗ヒトサルIFN−γモノクローナル抗体GZ−4(Mabtech)、最終PBS中10μg/ml;1ウェル当たり50μl)と共に4℃でコーティングした。プレートをDulbecco’s PBS 1×中で4回洗浄し、完全RPMIでブロックした。
【0330】
細胞を、陽性対照(4000個細胞/ウェル)としてAT−2不活化SIVmac251(5μg/mlの全ウイルスタンパク質)、又はPMA−iono(0,1μM PMA及び1μMイオノマイシン)のいずれかの1プールのペプチド(2ug/ml)の添加により再刺激し、又はDMSO/RPMIで偽刺激した。
【0331】
40時間後、スポットをビオチン抱合抗体(精製したマウスIgG1抗ヒトサルインターフェロンγモノクローナル抗体7−B6−1(Mabtech);最終PBS 0,5% FCS中1μg/ml;1ウェル当たり100μl、37℃で2時間)、続いてストレプトアビジン−AP(1時間、PBS 0,5% FCS中で1/5000、1ウェル当たり100μl、37℃で1時間)及びBCIP/NBT基質溶液(調製済み混合液、1ウェル当たり60μl;15分間、室温、暗所)で明らかにした。スポットをBioreader 4000(Biosys, Karben, Germany)を使用して数えた。結果を、100万個のPBMC当たりのIFN−γスポット形成細胞(SFC)で表した。5% DMSO/RPMI刺激に起因するIFN−γ SFC/100万個PBMCを、バックグラウンドシグナルとして結果から引いた。
【0332】
2.7.ELISA
生得サイトカインの定量化(IL6;TNF−α及びIFN−αは市販のキット(U-Cytech Bioscience(Utrech, Netherlands)からのサルIL−6及びTNF−a ELISAキット、PBL Biomedical Laboratories(New Jersey, United States)からのヒトIFN−αキット)を使用してELISAにより実施した)。血漿を、各々の動物について、プライミング注射前40日目、プライミング注射後1時間、6時間、24時間、及び7日目にテストした。
【0333】
2.8.インビトロ血清中和アッセイ
P4細胞を、形質導入前24時間目に、96ウェルプレート中の完全培地に1.10
5/ウェルで蒔いた。形質導入の当日、細胞を、血漿の異なる希釈物でプレインキュベートしたTRIP−GFP(インディアナ血清型VSV−G又はニュージャージーVSV−Gなどのインディアナ非交差反応性VSV−Gでシュードタイピングされた)と共に培養した。細胞を、同容積の完全培地で偽形質導入した。形質導入後72時間目、形質導入の効率を、FACScalibur(BD)を使用したフローサイトメトリーによりGFP蛍光を分析することにより評価した。
【0334】
2.9.ウイルス負荷の決定
簡単に説明すると、ウイルスRNAを、RocheからのHigh Pure Viral RNA Kitでクエン酸血漿(合計200μl)から単離した。溶出は、50μl溶出緩衝液(ヌクレアーゼ不含、無菌、二回蒸留水)中で行った。血漿から単離したSIV−RNAの数は、InvitrogenからのPlatinium qRT-PCRを使用した定量的1段階RT−PCRで決定した。反応は、ABgene(AB1100)からのMastercycler ep realplex(Eppendorf)において96ウェルプレート中で、最終容積25μl(10μl RNA抽出物及び15μl Mix)で2回実施した。Taqman定量化方法を選び、内部プローブ(最終500nm)が5’及び3’にそれぞれFam及びTamraフルオロフォアを含んだ。プライマー(最終450nm)は、SIVmac 251 GAG mRNAゲノムのそれぞれ389及び456の位置であった(表B)。
【0335】
最初に存在するウイルスRNAコピーの量は、「分岐DNA」の技術により以前にタイトレーションしたウイルスストックSIVmac251のdH
2O中での連続希釈物から作成した内部標準曲線上への閾値蛍光値の外挿により評価した。PCRでの陽性対照として、TRIP−SIVmac239 Gagベクタープラスミドを使用した(10
4コピー/μl)。
【表3】
表B:血漿ウイルス負荷の決定に使用したプライマー及びプローブの配列ならびにTaqman RT-PCRプログラム
結果:レンチウイルスプライミング−ブーストワクチン接種によって、マカクにおける多量のSIVmac 251チャレンジに対する強い防御が与えられる。
【0336】
多くの試験で、HIV感染を制御する際にCD8+ T細胞が果たす決定的な役割が強調されており、効果的なワクチンが活発で広範な持続性CD8+ T細胞応答を誘導するはずであることが示唆されている。それにもかかわらず、特異的SIV CD8+ T細胞応答を誘発することが示されているいくつかのウイルスベクターでは、その後にSIV/マカクモデルにおいてウイルス血症を制御できていない(Schoenly, K.A. & Weiner, 2007)。本発明者らは、レンチウイルスベクターが細胞性免疫を誘導するために非常に強力であることを実証しているため(He, Y. & Falo, L.D., 2007により、及び、Breckpot, K, Aerts, J.L. & Thielemans, K., 2007により概説される)、本発明者らは、それらがSIV感染及びサルAIDSに対して防御的な細胞性免疫を与えうるか否かを評価した。本発明者らは、ヒトにおけるHIV−1感染で見られるものと類似のウイルス負荷レベル及び種々の進行速度を呈するカニクイザルのSIVmac251感染のモデルを選んだ(Karlsson, I. et al, 2007及びReimann, K.A., et al, 2005)。
【0337】
6匹のカニクイザルを、その天然配列において非分泌SIVmac239 GAGタンパク質をコードするHIV−1由来レンチウイルスベクター(TRIP−SIVmac239 GAG)の皮下注射により2回免疫化した。この単一の非最適化抗原を選び、ワクチン接種のためのレンチウイルスベクターシステムの潜在能力を強調した。中和抗ベクター抗体の存在を迂回し、ひいては効率的なブースト効果を可能にするために、エンベロープ交換の戦略をデザインした。実際に、マウスでの予備実験では、2つの非交差反応性血清型(インディアナとそれに続くニュージャージー)からのVSV−GでシュードタイピングされたTRIP−SIVmac239 GAG粒子を使用したプライミング−ブースト計画が、同種のプライミング−ブーストよりも効率的であることが示されていた。免疫化群及び実験デザインを以下の表1にまとめる。
【0338】
レンチウイルスベクターの単回注射は、受けた用量にかかわらず(
図28a)、そして全身性炎症の刺激なく(
図28(2))、各免疫化動物において強固な細胞性免疫を誘導するために十分であった。SIVmac239 GAG特異的T細胞応答はプライミング後16日目にピークに達し、高頻度のIFN−γ分泌細胞に達し(最高3,000 IFN−γ SFC/100万個PBMCまで)、免疫化後2ヶ月目に免疫化前のレベルに戻った(
図28(1)a及び
図28(1)b)。一次応答の強固さに加えて、これらは広範であることも見出され、いくつかのペプチドプールを包含した(
図30(2)a及び表2a)。本発明者らの非近交系コホートにおいて、本発明者らは、SIVmac239 GAG特異的IFN−γ応答が、優先的に、p27 CA及びp9 NCの部分を包含するGAGのC末端領域内の2つのプールに対することを観察した。全ての6つのワクチンがプールSIVmac239 GAG: 337−395に対して、そして、6つのうち4つがプールSIVmac239 GAG: 385−443に対して活発な応答を高めた。
【0339】
動物はVSV血清型インディアナに対する中和液性応答も発生したが(
図31(2)a)、しかし重要なことに、ワクチン接種された動物からの血清は、VSV−Gニュージャージーでシュードタイピングされたベクターをインビトロで中和しなかった(
図31(2)b)。マカクを、従って、その後、プライミング後11週目にVSV−Gニュージャージーでシュードタイピングされた中用量のTRIP−SIVmac239 GAG粒子で注射した。SIVmac239GAG(15−mers)Peptides−Complete Setを、AIDS Research and Reference Reagent Program(Division of AIDS, NIAID, NIH)を通じて得た。
【0340】
SIVmac239 GAG特異的T細胞応答が、2回目の注射により効率的に再刺激された(
図28(1)a)。応答の大きさは二次応答に典型的な動態、即ち、より速い発症及びより長い持続性で増加した。IFN−γ分泌細胞が、2回目の免疫化後1週目という早期から2ヶ月間以上まで検出された。細胞応答の幅は改善されなかった(
図30(2)b又は表2b)。感染細胞において抗原提示のために起こるが、しかし、ペプチドパルスによりバイパスされるプロセシング及びトラフィッキングの工程をより厳密に模倣するために、AT2不活化SIVmac251も抗原として使用した。弱(マカク20089)から強(マカク20022、20195、及び20056)の応答が観察された(
図30(2)d)。ブースト後10週目に実施された細胞内染色は、CD4+及びCD8+ T細胞の両方が、ペプチドプールに応答するIFN−γ産生に寄与することを示した(データ示さず)。
【0341】
ワクチンにより誘導される強固で広範な細胞性免疫応答を考慮して、本発明者らはSIV感染に対するその防御効率をテストした。マカクを、ブースト後11週目に、高用量のSIVmac251(500 AID50)の直腸内接種によりチャレンジした(表1)。多量の既往のSIV GAG特異的応答が、ワクチン未接種の対照動物とは対照的に、チャレンジ後すぐに(1週間以内)に免疫化動物の抹消血中で観察された。これらの応答は、より早くより活発にピークに達した(4,000 SIV GAG特異的IFN−γ SFC/100万個PBMCを上回る)(
図28)。全部の未感作の中央記憶CD8+ T細胞のより早く及び/又はより高いリバウンドも、ワクチン未接種の対照(TRIP GFP)のものと比較して、ワクチン接種動物での一次感染中に記録された(
図32(2))。免疫化後にマッピングされるGAG領域がチャレンジによりリコールされ、新たな免疫原性領域も感染後に検出された。GAG特異的応答の多様性は、ワクチン接種動物とワクチン未接種動物又は対照動物の間で同程度であった(
図30(2)c及び表2c)。
【0342】
ウイルスチャレンジは全ての動物において感染を招いたが、免疫化は、急性期中にウイルス複製及び中央記憶CD4
+ T細胞の欠乏に対する強い防御を与えた。TRIP GFP注射された対照動物は、ワクチン未接種マカクと非常に同程度の感染経過を有し、従って、単一群として集められた。これらの未感作の対照動物の血漿中で、ウイルス複製のピークは高く、平均1.02 10
7 RNAコピー/mlであった。ウイルス負荷はその後、全6匹のワクチン未接種の対照動物において減少し、低から中程度のセットポイント血漿ウイルスRNAレベルに達し(70〜154日目)、平均3.44 10
5 RNAコピー/mlであった(
図29(1)a及び29(1)c)。対照的に、全6匹の免疫化動物での初感染のピークでのウイルス血症は、未感作の対照動物において、少なくとも2桁の大きさで低く、平均9.25 10
4 RNAコピー/mlであった(
図29(1)b及び29(1)c)。6匹のワクチン接種マカクから、4匹で2 log10倍(20022、20293、20158)を超えて、2匹が3 log10倍を超えて(20293及び20158)、及び1匹が4 log 10倍を超えて(20195)ピークウイルス血症が抑制された(
図29(1)a)。ピークウイルス血症の消散後、ウイルス負荷は減少し、持続性にワクチン未接種の対照動物のものを約10倍下回ったままであり、感染後49日目に統計的に低かった(
図29(1)c)。感染の最初の154日間での累積複製(時間の関数としてのウイルス負荷の曲線下面積で表わす)を比較した場合、ワクチン接種により提供される恩恵は統計的に有意であった(
図29(1)f)。
【0343】
本発明者らは、感染経過中での末梢血におけるCD4+ T細胞の進化、及び特に中央記憶(CM)CD4
+ T細胞もモニターした。なぜなら、それらの欠乏は血漿ウイルス負荷と相関し(Karlsson, I. et al, 2007)、そして、急性及び慢性SIV感染中でのそれらの保存によって、セットポイントウイルス負荷レベルよりも良く、ワクチン接種サルの長期生存が予測される(Mattapallil, J.J. et al, 2006 and Letvin, N.L., et al, 2006)。
【0344】
急性感染中、ワクチン未接種の対照動物の末梢血中でCM CD4
+ T細胞の迅速で著しい低下が存在した(
図30a)。CM CD4
+ T細胞カウントは、それらの3つ(21544、14184、及び20456)では低いままであり、緩やかな欠乏の徴候を伴ったのに対し、他の3つ(15661、15885、及び14468)では欠乏は一過性であり、ベースラインへの戻りが続いた。これら2つのサブグループでは、さらに、対応して中及び低ポスト急性ウイルス血症が実証され、従って、進行動物(14184−21544−20456)及び非進行動物(15661−15885−14468)として分類された。
【0345】
対照的に、ワクチン接種動物は、ピークウイルス血症中にそれらのCM CD4
+ T細胞の十分な保存又はわずかに低い欠乏を示し、マカク20089を除き、全てがそれらのCM CD4+ Tリンパ球を迅速に回復した(
図30(1)b及び30(1)c)。
【0346】
全ての未感作の対照動物が、初感染のピークに著しいCM CD4
+ T細胞の喪失及び高ウイルス血症を経験したが、しかし、それらの半数がそれらのCM CD4
+ T細胞コンパートメントを迅速に回復したのに対し、他の半数は、それとは逆に、CM CD4+ T細胞数の遅い低下を示した。これら2つのサブグループでは、対応して低及び中ポスト急性ウイルス血症が実証され、従って、非進行動物(15661−15885−14468)及び進行動物(14184−21544−20456)として分類された。重要なことに、遅い時間点でのワクチン接種動物のウイルス血症は、進行ワクチン未接種動物と比較して、約2 log10倍低下したのに対し、ポスト急性ウイルス血症及びCM CD4
+ T細胞カウントは、ワクチンと非進行ワクチン未接種動物の間で類似していた(
図29d及び30d)。
【0347】
ワクチン誘導性の免疫応答とウイルス負荷の間の相関関係が、一部のELISPOTウェルでの飽和に起因する細胞性応答の過小評価にもかかわらず、見出された(
図29(2))。重要なことに、ピークウイルス血症のレベルと、プライミング後2週目、ブースト後1週目、及びチャレンジ後1週目に測定したGAG特異的IFN−γ応答の大きさの間に逆相関関係が存在した(
図32a、32b、及び32c)。これらの知見は、HIV61 GAG特異的CD8
+ T細胞と低ウイルス負荷及び遅い疾患進行の間の相関関係を示す大きなHIV−1感染患者コホートにおける試験と完全に一致している(Kiepiela, P. et al, 2007)。本発明者らは、急性感染中でのCM CD4+ T細胞の保存とウイルス負荷の間の強い相関関係も観察した(
図32d)。
【0348】
まとめると、この試験により、レンチウイルスベクターベースのプライミング/ブーストワクチン接種計画によって強く広範な細胞性免疫がカニクイザルにおいて誘発され、そして、ウイルス血症を低下させることにより、及び、初感染のピークでのCD4
+ T細胞及びCM CD4+ T細胞の喪失を完全に阻止することにより多量のSIVmac251感染に対する効率的な防御を与えるとの証拠が提供される。
【0349】
長期間の追跡調査によって、免疫圧力からのウイルスの回避がこのマカクコホートにおいて起こりうるか否かが分かる。5ヶ月間の追跡調査後、ワクチン接種動物におけるCD4
+ T細胞数の安定性及びウイルス負荷の減少傾向によって長期間の制御が支持される。この1回目の前臨床試験は、限られたマカクコホート中ではあるが、防御が非最適化GAG抗原に対する応答にだけ依存することを考慮すると、非常に有望である。本発明者らは、抗原発現を増加させることによる複製の制御の改善、ならびにコドン最適化(Deml, L. et al, 2001 and zur Megede, J. et al, 2000)、及び他のSIV抗原をGAGと融合させることにより細胞性応答の多様性を増加させること(Wilson, N.A. et al, 2006 and Hel, Z. et al, 2006)による免疫原性の改善を予測する。この点について、一部の結果が、その後にマウスモデルにおいて、このワクチン接種戦略の最適化バージョンで提示され、効率及び安全性の両方の必要条件を完全に満たしており、その後、ヒトでの治療的ワクチン接種の臨床試験に入る。
【表4】
【表5】
【0350】
GAGによりコードされるタンパク質(マトリクスMA、キャプシドCA、ヌクレオキャプシドNC、及びp6)の多様性及びワクチン誘導性、ウイルス誘導性、及びウイルスリコール性GAG特異的T細胞応答への相対的寄与率を、IFN−γ ELISPOTアッセイにより、一次応答(プライミング後2週目、補足表1a)、ブースト後1週目(補足表1b)、及び感染の急性期中(チャレンジ後3週目、補足表1c)のピークに、表の2行目に示す11プールのペプチドを使用して試験した。第1の2つのカラムは動物識別子を示す。数字はIFN−Y SFC/100万個PBMCに相当する。強調は飽和したELISPOTウェルを示す。薄灰色影付きボックスは陽性応答に対応し(>375 IFN−g SFC/100万個PBMC)、濃灰色影付きボックスは個別の動物における最も強い応答を表わす。右端カラムが、各々の動物により認識されるペプチドのプール数を示すのに対し、下側の列は、ペプチドの各々の個別プールに対する応答を高めたコホートの動物数を表わす。
【0351】
GAG抗原又はコドン最適化形態の抗原をコードするレンチウイルスベクターで免疫化されたマウスにおいて得られた免疫応答の比較
1.抗原をコードするポリヌクレオチドのコドン最適化によってCTL応答が改善される。
未感作マウス(n=3/群)は、コドン最適化形態のgag delta myr(TRIP.NI gagΔmyr CO)をコードする種々の用量のTRIP.NI gag delta myr又はTRIP.NI LVの単回注射で腹腔内免疫化された。免疫化後10日目、免疫優性gag CD8+ T細胞エピトープに対するgag特異的な細胞性免疫応答を、四量体染色(A)又はIFN−γ ELISPOT(B)により評価した(
図33)。SFCスポット形成細胞(C)gagのCD8+ T細胞免疫優性エピトープ及びCD4+ T細胞エピトープに応答するIFN−γ ELISPOTアッセイ。マウスを、100ngのTRIP.N gagΔmyr LV又はTRIP.NI gagAmyr CO LVで腹腔内プライミングした。10日後、免疫化マウスからの脾細胞を対応するペプチドで刺激し、ELISPOTアッセイにより分析した。バックグラウンドの頻度をプロット前に引いた。エラーバーは1群当たり3匹のマウスでのSDを表わす。(D)TRIP.NI gagΔmyr LV対TRIP.NI gagΔmyr CO LVの免疫化により誘導されるgag特異的溶解活性の比較。CTL活性を、免疫化後10日目に、材料及び方法に記載する20時間のインビボCTRLアッセイを使用して測定した。平均値+/−SD(マウス3匹)を示す。
【0352】
得られた結果は、コドン最適化によって、TRIP.NI LVベースのワクチンにより誘導されるCTL応答が決定的に改善されることを示す。
【0353】
2.コドン最適化された抗原をコードするレンチウイルスベクター粒子によって、単回注射後でさえ強い持続性の細胞性免疫応答が誘導される。
得られた結果は、コドン最適化によって、TRIP.NI LVベースのワクチンにより誘導されるCTL応答が決定的に改善されることを示す。
【0354】
非組込みレンチウイルスベクターにより誘導される記憶T細胞応答を、マウスにおいて、TRIP.NI gag Δmyr又はTRIP.NI gag Δmyr CO粒子の単回注射後にアッセイした。
図34は、コドン最適化された抗原をコードするレンチウイルスベクター粒子によって、単回注射後でさえ強い持続性の細胞性免疫応答が誘導されることを示す。
【0355】
3.非交差反応性VSV血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされたTRIP.NI gagΔmyr CO粒子に基づくプライミング−ブースト戦略によって細胞性免疫応答が増強される。
マウスを、VSV−GインディアナでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO又はTRIP.I GAG野生型粒子で免疫化し、そして13週間後、VSV−GニュージャージーでシュードタイピングされたTRIP.NI GAGΔmyr CO又はTRIP.I GAG野生型粒子でそれぞれブーストした。プライミング−ブーストプロトコールのための対照群には、VSV−GインディアナでシュードタイピングされたTRIP粒子(灰色図表)又はVSV−GニュージャージーでシュードタイピングされたTRIP粒子(青色図表)をそれぞれ1回だけ注射したマウスが含まれた。全てのマウスを免疫化後10日目に屠殺し、そして、GAGに対する細胞性免疫応答をIFN−γ ELISPOT(A)又は四量体染色(B)により評価した(
図35)。得られた結果は、レンチウイルスベースの粒子のコドン最適化によってプライミング−ブーストワクチン計画が増強されることを示す。
【0356】
マウスで得られたデータは、レンチウイルスベクター粒子中で抗原をコードするポリヌクレオチドのコドン最適化が、単回注射後、又は、プライミング−ブースト注射後に、宿主において細胞性免疫応答及び特にCTL応答のレベルの改善を提供することを示す。また、得られた応答は強く持続的である。
【0357】
様々な経路を通じて免疫化されたマウスにおいて得られる免疫応答の比較
2つの異なる型のマウスのいくつかの群を、SIVmac239GagΔをコードするレンチウイルスベクター粒子でワクチン接種した。誘発された免疫応答を、筋内(i.m.)、皮内(i.d.)、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)、又は経皮的(t.c.i.)のいずれかで実施した粒子の単回注射後10日目に各々の群において分析した。
【0358】
特に、応答を、インビボ細胞毒性アッセイ(
図36〜38)又はIFNgamma ELISPOTで分析した。
【0359】
注射を、筋内経路を通じて実施したマウス(C57BI/6j)の群では、注射を別の経路を通じて行った場合よりも強い応答が誘発された。
【0360】
ワクチン計画における防御のために投与された際、免疫応答の誘発のために使用される非組込みレンチウイルスベクター
材料及び方法
【0361】
細胞培養及びウイルス調製
【0362】
Hela細胞(ATCC CCL−2)、ヒト293T細胞、及びアフリカミドリサル腎臓Vero細胞(ATCC CCL−81)を 、10%(Hela細胞、293T細胞)又は5%(Vero細胞)熱不活化ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びGlutamax(GIBCO)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。ウエスト・ナイル・ウイルス(WNV)株IS−98−ST1(GenBankアクセッション番号AF 481 864)は、NY99株
10の厳密に関連するバリアントであり、蚊アエデス・シュードスキュテラリス(Aedes pseudoscutellaris)AP61細胞単層で増殖させた。ショ糖密度勾配での精製及び抗WNV過免疫マウス腹水(HMAF)を使用したフォーカス免疫検出アッセイ(FIA:focus immunodetection assay)によるAP61(アエデス・シュードスキュテラリス細胞)上でのウイルスタイトレーションを以前に記載の通りに実施した。感染力価はフォーカス形成単位として表わした。
【0363】
レンチウイルスベクターの産生
【0364】
TRIP
sEWNV(
図2)及びTRIP
GFPベクタープラスミドを以前に記載の通りに構築した(Iglesias et al. J. Gene Med. 2006 Mar; 8(3): 265-74)。これらの2つのベクターのヌクレオチド配列を
図4及び5にそれぞれ提示する。ベクター粒子を、以前に記載の通りに、293T細胞のベクタープラスミドpTRIP
sEWNV又はpTRIP
GFP、VSV−Gエンベロープ発現プラスミド(pHCMV−G)及びキャプシド形成プラスミド(それぞれ組込み能のある、又は、組込み能のないベクターの産生のためのp8.74又はpD64V)での一過性リン酸カルシウムコトランスフェクションにより産生した。濃縮ベクター粒子のp24抗原含量の定量化を、市販のHIV−1 p24酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)キット(Perkin Elemer Life Sciences)で実施した。TRIP.I及びTRIP.NI粒子のベクターの力価を、以前にIglesias et al.(J. Gene Med. 2006 Mar; 8(3): 265-74)に記載の通りに、アフィジコリンで処理したHeLa細胞に形質導入し、そして、定量的PCRを実施することにより決定した。組込み及び非組込みレンチウイルスベクターの力価は、増殖停止細胞中で測定したp24含量及び定量的PCRに従い類似していた。
【0365】
骨髄由来DCの調製
【0366】
骨髄細胞を、マウス大腿骨及び脛骨を10% FCSを添加したRPMIで洗い流すことにより単離した。細胞をその後、45μMセルストレーナーに通し、遠心分離し、IOtest(登録商標)3溶解液(赤血球溶解液、塩化アンモニウム、炭酸水素カリウム、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の混合液;Beckman Coulter)に再懸濁し、そして、4℃で5分間インキュベートし、赤血球を溶解させた。細胞を遠心分離し、10% FCS、L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES、及び50μM 2−メルカプトエタノールを伴う、100ng/ml組換えマウスFLT3リガンド(R&D Systems)を添加したRPMIからなる培養液中に1x10
6個細胞/mlで8日間培養した。
【0367】
形質導入実験及びフローサイトメトリー分析
【0368】
非分裂細胞での形質導入実験では、Hela細胞を48ウェルプレート中に40,000個細胞/ウェルで8μMアフィジコリン(Sigma)の存在下で蒔いた。形質導入時に培地中に補充したアフィジコリンブロック後の24時間目に、細胞に1〜100ng/mlの範囲の濃度で、レンチウイルスベクターで形質導入した。形質導入後2日目、細胞を収集し、そして、eGFP発現をフローサイトメトリーにより分析した。
【0369】
DC形質導入実験では、500,000個のFLT3L生成骨髄由来DC(FL−DC)を、分化の6日目に、50〜300ng/mlの範囲の濃度のレンチウイルスベクターで形質導入した。形質導入後2日目、FL−DCを収集し、そして、2% FCS及び0.01%アジ化ナトリウム(染色緩衝液)を伴うPBS中に再懸濁した。細胞をAPC(アロフィコシアニン)抱合抗CD11c抗体及びPerCP(ペリジニンクロロフィルタンパク質)抱合抗B220抗体で染色し、2回洗浄し、そして、FACSCalibur(BD biosciences, Franklin Lakes, NJ)でのフローサイトメトリーにより分析した。
【0370】
マウスの免疫化
【0371】
全ての動物実験を、Pasteur InstituteのOffice Laboratory of Animal Careのガイドラインに従って実施した。6週齢のC57/Bl6マウスに、緩衝化0.2%ウシ血清アルブミン(DPBS/0.2% BSA, Sigma)を添加した0.1mlダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS;pH 7.5)中の変動用量のTRIP/sEWNVベクター粒子(1〜100ng/ml)を腹腔内(i.p.)接種した。
【0372】
血清抗体応答の測定
【0373】
マウスを、眼窩周囲経路から放血させ、そして、血清サンプルを56℃で30分間熱不活化させた。抗WNV抗体を、ELISAにより、ショ糖精製WNV IS−98−ST1でコーティングしたマイクロタイタ―プレートの使用により検出した。ペルオキシダーゼヤギ抗マウス免疫グロブリン(H+L)(Jackson Immuno Research)を、二次抗体として1:4,000希釈で使用した。エンドポイント力価を、非免疫化マウスからの血清の光学密度(OD)を2回誘発する最後の希釈率の逆数として算出した。
【0374】
WNVチャレンジ
【0375】
WNVチャレンジを、以前に記載した通り、神経毒性WNV株IS−98−ST1(i.p. LD 50=10 FFU)のi.p.接種により、レンチウイルスベクターのワクチン接種後1週目又は2ヶ月目のいずれかに実施した。チャレンジしたマウスを、WNV株の接種後21日目まで、罹患及び死亡の徴候について毎日モニターした。
【0376】
結果
【0377】
組込み欠損したTRIPベクターでの非分裂細胞の形質導入は、高いトランスジーン発現レベルをもたらす。
【0378】
組込み欠損LV(TRIP.NIベクター)が、抗原(Ag)をDCなどの非分裂APCに送達するための効率的なツールでありうるとの仮説をテストするために、本発明者らは増殖停止細胞のそれらの形質導入効率を最初に評価した。この目的のために、細胞周期の特異的インヒビターであるアフィジコリンで処理したHeLa細胞を、eGFPをコードする段階用量のTRIP.NI又はTRIP.I粒子に暴露させた。形質導入効率をその後、フローサイトメトリーにより決定した。
図43(上パネル)に示す通り、TRIP.NIベクターを非分裂細胞に、高効率及び用量依存的に形質導入した。さらに、eGFP陽性細胞のパーセントの分析によって、TRIP.Iベクターのものと比較したTRIP.NIベクターの形質導入の能力における限界差が明らかになった。TRIP.NI粒子での形質導入によって高レベルのトランスジーン発現も生じたが(
図43、下パネル)、TRIP.I形質導入細胞と比較して2倍有意に低かった。
【0379】
TRIP非組込みレンチウイルスベクターの形質導入は、従来型樹状細胞及び形質細胞様樹状細胞の両方における効果的な抗原発現をもたらす。
【0380】
本発明者らは、次に、DCに形質導入するためのTRIP.NIの能力を試験した。DCは従来型(cDC)(CD11c+B220−)と形質細胞様(pDC)(CD11c+B220+)として分類され、両方のこれらのDCサブタイプがAg特異的免疫応答を刺激できる。本発明者らはその後、Flt3Lの存在下で分化する骨髄由来DC(FL−DC)の形質導入を研究し、それによって多数のpDC及びcDCの生成が可能になる。FL−DCを段階用量のTRIP.NI
GFP又はTRIP.I
GFP粒子に暴露させた。
図44Aに示す通り、TRIP.I及びTRIP.NIベクターのいずれもFL−DCに形質導入でき、形質導入の最高効率はそれぞれ60%及び56%であった。興味深いことに、本発明者らは、TRIP.I粒子での形質導入によって高レベルのeGFPを発現する少ない割合のDCがもたらされたのに対し、TRIP.NIでの形質導入実験によってはもたらされなかったことを観察した(HIベクターと比較して、本発明のレンチウイルスベクターで細胞に形質導入した実験における、ドットブロットの右上端におけるドットの存在を参照のこと)。ベクターストックに混入する残留eGFPタンパク質により与えられる偽形質導入の可能性を除外するために、本発明者らは、熱処理前に出された粒子への暴露後での形質導入DCのパーセンテージも評価した。熱処理は異なる細胞型でのLVの形質導入の能力を抑止することが示されている。予測通り、熱処理によってeGFP陽性細胞のパーセンテージが劇的に減少した(
図2A)。
【0381】
本発明者らは次にCD11c+B220+樹状細胞及びCD11c+B220−樹状細胞についてゲートし、LVが各DCサブセットに形質導入する能力を評価した。
図44Bに示す通り、組込み能力にかかわらず、FL由来cDCだけでなく、FL由来pDCも効率的にLVで形質導入できた。
【0382】
TRIP.NI粒子での形質導入効率は、用量依存的であったが、しかし、TRIP.I粒子で得られたものより非有意に低かった。興味深いことに、本発明者らは、TRIP.Iベクターでの形質導入によって高レベルのトランスジーンを発現する少ない割合のDCがもたらされたのに対し、TRIP.NIベクターへのDCの暴露によってはもたらされなかったことを観察した(
図44A)。TRIP.Iベクターでの形質導入実験においてだけ観察されたこの細胞集団は、ゲノムの活性転写領域における複数のベクターの組込みの結果でありうる。
【0383】
TRIP非組込みレンチウイルスベクターによってAg特異的抗体の産生が誘導される。
【0384】
TRIP.NIによって外来遺伝子をDCに効率的に送達できたことを考慮に入れ、本発明者らは次に特異的免疫応答を高めるためのそれらの能力を検討した。最近の試験では、本発明者らは、中和エピトープを保有する分泌形態のWNVエンベロープ(TRIP.I E
WNV)をコードするTRIP.Iベクターをデザインしており、そして、本発明者らは、TRIP.I E
WNVがWNV感染のマウスモデルにおいて抗体ベースの防御免疫を刺激できることを実証している。TRIP.NIベクターがB細胞応答を開始するための能力を研究するために、動物を、マウス1匹当たり1〜100ngのp24抗原の範囲での種々の用量のTRIP.NI E
WNV粒子で免疫化した。対照として、マウスに、それらの形質導入能力を阻止するために加熱(HI)により不活化した100ngのTRIP.NI E
WNV粒子を接種した。免疫化後3週目、マウスを眼窩周囲から放血させて、個別の又はプールした血清を抗WNV全抗体についてのELISAによりテストした。予測通り、熱不活化TRIP.NI E
WNVベクターでの免疫化後に、Abの産生は続かなかった(
図45A)。対照的に、10ngという低い用量のTRIP.NI E
WNVベクターで免疫化されたマウスは、検出可能なレベルの抗WNV抗体を提示し、そして、100ngのsE−NILVでの免疫化は抗WNV Igの多量の分泌を誘導し、平均力価は8×104に達した。
【0385】
本発明者らは次にTRIP.NI E
WNV及びTRIP.I E
WNVベクターにより誘発される免疫応答の強度を比較した。
図45Bに示す通り、3 ngという低い用量の粒子のTRIP.I E
WNVでのワクチン接種によって抗WNV抗体の非常に高い分泌が生成され、そして、力価は3〜100ngの免疫化用量の範囲内で比較的一定であり、用量応答は見られなかった。対照的に、そして、全ての予測に反して、TRIP.NI E
WNVベクターで免疫化されたマウスからの血清中の力価は、注射した粒子の用量に比例した。TRIP.Iベクターは、30ng未満の用量で、TRIP.NIベクターよりも高い免疫応答を誘発したが、100ngのいずれかのベクターでのワクチン接種は等価の応答をもたらした。
【0386】
まとめると、これらの結果によって、TRIP.NIベクターでの単回免疫化が液性の特異的免疫応答を誘発するために十分であり、強度はTRIP.Iベクターで得られるものと同程度であり、粒子の閾値用量を上回ることが実証された。興味深いことに、そして、驚くべきことに、非組込みベクターの使用によって、強度が注射されたレンチウイルスベクターの用量に依存的である免疫応答を得ることが可能になる。
【0387】
単回用量のTRIP.NisE
WNVでのマウスの免疫化によって以下の抗体力価が与えられる:
【表6】
【0388】
図45Aに示す通り、特異的WNV抗体の強力な分泌が得られ、平均力価が100ngのp24抗原の用量で8×10
4に達する。この用量で、TRIP.NIでの免疫化は、TRIP.Iで得られるものと等価の応答をもたらした。しかし、用量応答実験によって、B細胞応答の誘導に必要な最小用量が、TRIP.NI粒子と比較して、TRIP.I粒子でより低いことが明らかになった。この結果についての1つの可能な説明は、Ag高発現DCを生成するためのTRIP.Iベクターの能力に関連しうる。なぜなら、理論的根拠として、DCにおけるAgの高発現レベルは、抗原ペプチドのより持続的な提示を支持しうるが、これにより、なぜ低用量のTRIP.I粒子が特異的な免疫応答を誘発するために十分であったのかを説明しうるからである。この仮説によって、TRIP.Iベクターでの用量応答免疫化実験で観察されるWNV抗体の産生の非線形性も説明されうる(
図45B)。実際に、DCで実施したインビトロでの用量応答実験によって、Ag高発現DCの外観がTRIP.I粒子の用量と相関するとは思われないことが明らかになった(
図44A)。このように、Ag高発現DCを生成するための能力は、注射される低用量の粒子によりTRIP.IとTRIP.NIの間で観察される差の説明に寄与しうる。別の可能性は、VSV−GシュードタイピングされたLVが大きな細胞向性を有し、ひいては、注射部位で、分裂細胞を含む、DC以外の他の細胞型に形質導入しうるとの事実と関連する。これは、TRIP.I粒子でのワクチン接種実験においてAgのより持続的な発現をもたらしうる。どの細胞型をLVのインビボ注射後に形質導入し、そして、どの程度それらがTRIP.I及びTRIP.NIベクターにより誘発される免疫応答の大きさに関与するのかが進行中の研究の課題である。
【0389】
TRIP.NI E
WNVベクターでの免疫化は、WNVチャレンジに対する早期防御を与える。
【0390】
本発明者らは、以前に、TRIP.NI E
WNVがWNVチャレンジに対する早期防御を与えることを示している。TRIP.NIベクターにより誘発される免疫応答が迅速な防御ももたらすことができるか否かを決定するために、マウスを100ngのTRIP.NI E
WNV粒子で免疫化し、そして7日後に10,000 FFUの高病原性WNV株IS−98−ST1でチャレンジした(感染動物の50%を死滅させるために必要な用量の1000倍)。本発明者らは、このチャレンジ実験において、防御の陽性対照として100ngのTRIP.I E
WNVで免疫化されたマウスの群及び陰性対照としてD−PBSを接種したマウスの別の群も含めた。予測通り、D−PBSを受けた全てのマウスがチャレンジ後12日間以内に死亡した(
図46)。対照的に、単回用量のTRIP.NI E
WNVで免疫化された全てのマウスが、TRIP.I E
WNVで免疫化されたマウスと同様に、チャレンジから防御された。WNVチャレンジから防御されたマウスは、3週間のチャレンジ後観察期間中に病気の臨床徴候を発生しなかった。これらの結果は、WNVに対する早期の防御的免疫がTRIPの単回投与で達成されることを実証した。組込みが欠損したE
WNV。
【0391】
TRIP.NI E
WNVによって持続的防御が誘導される。
【0392】
先に実証した通り、TRIP.I E
WNVでのマウスの免疫化は、WNVチャレンジに対する長期防御免疫の確立をもたらした。TRIP.NI E
WNVにより誘発される防御免疫の持続期間、及び長期防御を誘導するために必要とされる粒子の最小用量を評価するために、マウスを異なる量の粒子(1、3、10、30、及び100ngのp24抗原)で免疫化し、そして、免疫化後2ヶ月間の待ち時間後にチャレンジした。
図47Aに示す通り、投与されるTRIP.NI E
WNV粒子の用量と防御の程度の間には用量依存的な関係が存在し、十分な防御が注射された100ngの用量のワクチン粒子で達成された。
【0393】
このように、TRIP.NI E
WNVベクターは、WNV感染に対する持続的免疫を誘導した。
【0394】
考察
【0395】
本実験の重要な結果は、TRIP.NI粒子でのワクチン接種が、投与されたレンチウイルスゲノムの組込みの非存在にもかかわらず、早期の持続的な免疫応答であり、さらに抗原用量依存的である効率的で強い免疫応答を提供できることの実証である。従って、致死用量のWNVでのチャレンジに対する十分な防御が実証された。
【0396】
予測通り、記憶防御免疫は、TRIP.NI粒子により誘導される抗WNV抗体の力価と直接的に相関した(
図45及び
図47)。実際に、特異的抗体が感染の散在を限定するため、液性免疫が、WNVに対する十分な防御免疫の確立のための決定的な構成成分であることが十分に確立されている。興味深いことに、熱不活化TRIP.NI粒子ならびにHI−TRIP.I粒子は、WNVチャレンジに対する部分的な(30%)防御を与えることができるが(データ示さず)、WNV抗体は、HI−TRIP粒子の注射後3週目に動物の血清中で検出されなかった(
図45A、B)。これは、細胞性免疫がWNVに対する防御の確立において部分的な役割も果たしうることを示唆する。この仮説と一致して、CD8+細胞を欠くマウスはWNV感染後に増加した死亡率を有する(Shoresta and Diamonds、未発表データ)。さらに、細胞傷害性T細胞エピトープは、いくつかのフラビウイルスのエンベロープのドメインIII中で定められている。追加の研究が、TRIP.NI及びTRIP.Iワクチンにより与えられる長期防御に対するCTL応答の相対的寄与を明確にするために必要とされる。さらに、DCにおいてHI−TRIP粒子の侵入を可能にする分子機構を定義するためにさらなる試験も必要とされる。なぜなら、熱処理によってVSV−Gエンベロープが変性し、そして、異なる細胞株におけるLVの形質導入能力が抑止されることが示されているからである。しかし、DCの例外的な内在化能力に関して、HI TRIP粒子の部分がDCにおいてVSV−G非依存的な機構により取り込まれ、低いが、しかし、十分なAg発現を可能にし、HI−TRIP粒子により与えられる部分的防御を説明しうることを推測することは魅力的である。
【0397】
ワクチン接種マウスでの動態チャレンジ実験によって、TRIP.NIワクチンが長期防御免疫を与えるだけでなく、粒子の単回注射後1週目という早期に防御も誘発することが明らかにされた。この早期防御に関与する正確な機構は十分に理解されていないが、本発明者らはTRIP.NI及びTRIP.I粒子での免疫化後1週目に特異的WNV抗体を検出している。本発明者らは、以前に、抗体のこの早期の波が、注射後4日目のマウス、即ち、WNV感染に対して完全に防御されたマウスに由来する特異的IgMでもっぱら構成されたことを示している。
【0398】
本発明者らの試験では、単回用量のTRIP.NI粒子の直接注射に基づくワクチン接種計画によって、強固で迅速な長期の特異的免疫応答が誘発され、WNVに対する十分な防御が達成された。このように、TRIP.NIベースのワクチン戦略は、B細胞免疫を必要とするフラビウイルスなどの病原物質に対するワクチンの開発のための安全で有効なプラットフォームを表わす。
【0399】
コドン最適化によって非組込みベクターの細胞性免疫応答を改善することが可能になる。さらなる改善がプライミング−ブースト計画により得られる。
材料及び方法
gag p27の細胞内染色。293 T細胞を、gagΔmyrの野生型配列又はコドン最適化配列のいずれかを含むTRIPベクタープラスミド、キャプシド形成プラスミドp8.7 D64V、及びVSV−Gインディアナ発現プラスミドでコトランスフェクトした。48時間後、細胞を洗浄し、Cytofix-Cytoperm溶液(BD Pharmingen)中で20分間透過処理した。PermWash緩衝液(BD Pharmingen)での2回の洗浄後、透過処理した細胞を抗gagSIV p27抗体(55-2F12, AIDS Research and Reference Reagent Program)と4℃で30分間、PermWash緩衝液中での1:3希釈でインキュベートした。細胞を、FITC抱合ラットIgG2bカッパモノクローナル抗体(553988, BD Biosciences)と4℃で30分間、PermWash緩衝液中での1:3希釈でインキュベートした。2回の追加洗浄後、細胞をフローサイトメトリーにより分析した。
【0400】
マウスの免疫化。プライミング実験のために、マウスの群に、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた種々の用量のTRIP.NI gagΔmyr野生型粒子又はコドン最適化(CO)粒子を腹腔内接種した。プライミング−ブースト実験のために、マウスの群に、VSVインディアナ血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた100ngのp24のTRIP.NI gagΔmyrコドン最適化(CO)粒子又は100ngのp24のTRIP.I gagΔmyr粒子を腹腔内接種した。13週間後、TRIP.NI gagΔmyr CO粒子でプライミングしたマウスを、VSVニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた100ngのp24のTRIP.NI gagΔmyr CO粒子でブーストした。並行して、TRIP.I gagΔmyr粒子でプライミングしたマウスを、VSVニュージャージー血清型からの糖タンパク質でシュードタイピングされた100ngのp24のTRIP.I gagΔmyr粒子でブーストした。
【0401】
Elispotアッセイ。ニトロセルロースマイクロプレート(MAHA S4510、Millipore)を捕捉抗体(Mouse IFNg Elispot pair、BD Pharmingen)で一晩コーティングし、10% FCS、抗生物質、HEPES、非必須アミノ酸、b−メルカプトエタノール、及びピルビン酸ナトリウムを添加したRPMI1640 Glutamaxで構成される完全培地でブロックした。ベクター免疫化マウスからの脾細胞を3枚のプレートに0.25×106個細胞/ウェルで加え、SIVmac239 gagペプチド(NIH AIDS Research and Reference Reagent Program)で刺激した。40時間後、スポットを、ビオチン抱合抗体(Mouse IFNg Elispot pair、BD Pharmingen)、続いてストレプトアビジン−AP(Roche)及びBCIP/NB基質溶液(Promega)で明らかにした。スポットをBioreader 2000(Biosys, Karben, Germany)を使用してカウントし、結果を脾細胞100万個当たりのIFNgスポット形成細胞(SFC)として表わした。
【0402】
インビボでの細胞傷害アッセイ。標的細胞の調製のために、未感作マウスからの脾細胞を種々の濃度(高、5μM;低、1μM)のCFSE(カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル、Vybrant CFDA-SE cell-tracer kit、Molecular Probes)で標識した。高濃度のCFSEで標識した脾細胞を、5μg/mlのペプチドでパルスした。低用量のCFSEで染色した対照集団を、ペプチドのない培地中でインキュベートした。各マウスは、後眼窩静脈を通じて、各分画からの等しい数の細胞を含む混合物の107個のCFSE標識細胞を受けた。15〜18時間後、脾臓からの単一細胞の懸濁液をフローサイトメトリー(Becton Dickingson、CellQuest software)により分析した。ペプチドパルスした細胞の消失を、免疫化マウス対未感作マウスにおけるパルス集団(高CFSE蛍光強度)と非パルス(低CFSE蛍光強度)集団の比率を比較することにより決定した。特異的な死滅のパーセンテージを以下の計算に従って定めた:(1−((CFSE
low naive/CFSE
high naive)/(CFSE
low immunized/CFSE
high immunized)))*100。
【0403】
四量体染色。免疫化されたマウスからの2×106個の脾細胞を、室温で5分間、抗CD3−FITC(Becton Dickinson)、抗CD8−APC(Becton Dickinson)、及びGAGSIVの免疫優性ペプチドに特異的なPE四量体で染色した。データはFACSCaliburを使用して収集し、そして、CellQuestを使用して分析した。
【0404】
結論
本発明は、以下の使用による、非組込みレンチウイルスベクターで誘導される細胞性免疫応答を改善するための溶液を提供する:
1.抗原をコードするトランスジーンのコドン最適化形態、及び/又は
2.プライミング−ブースト計画
1.本発明者らは、gagΔmyrSIV野生型抗原をコードする非組込みレンチウイルスベクターが、同じ抗原をコードする組込みレンチウイルスベクターよりも特異的T細胞応答の誘導時の強力さがずっと少ないことを実証している。より重要なことに、本発明者らは、この不良な免疫原性が、GagΔmyrSIVをコードするコドン最適化形態のトランスジーンの使用により克服できることを実証している。強いT細胞応答を誘導するための非組込みレンチウイルスベクターを伴うコドン最適化抗原の絶対的な必要条件は、予想できなかった。この結果は予測されていなかった。なぜなら、本発明者らは、非組込みレンチウイルスベクター、ならびに、組込みレンチウイルスベクターが、非分裂細胞及び特に樹状細胞、即ち、最も効率的な抗原提示細胞に効率的に形質導入できることを実証しているからである。しかし、非コドン最適化トランスジーンの発現は、非組込みレンチウイルスベクターでの形質導入細胞において、組込みレンチウイルスベクターで形質導入された細胞と比較して、2倍低かった。この結果は、インビボで、非組込みレンチウイルスベクターにより誘導される応答が、組込みレンチウイルスベクターにより誘導される応答と比較して、2倍強さ少なくなりうることを示唆した。そして、さらに2回の非組込みレンチウイルスベクターの注射が、組込みレンチウイルスベクターで得られるものに対して類似の応答を与えうることが予想できた。事実は全く異なった。なぜなら、非組込みレンチウイルスベクターにより誘発される特異的T細胞応答は、組込みレンチウイルスベクターで観察されるものより5〜10倍低いからである。さらに、非組込みレンチウイルスベクターでの特異的T細胞応答の誘導は、高用量の注射粒子でだけ達成できた(非組込みレンチウイルスベクターで定量化可能なT細胞応答を誘導するために必要とされる最小用量は、組込みレンチウイルスベクターで必要とされる最小用量より少なくとも10倍高い)。コドン最適化(CO)によってこの不良な免疫原性が克服される。このように、100ngの用量で、コドン最適化形態のgagΔmyrSIVを持つ非組込みレンチウイルスベクターが抗原に対する記憶T細胞応答を誘導したのに対し、野生型形態を持つベクターはしなかった。しかし、TRIP.NI gagΔmyrSIV COにより誘発される応答は、依然として、TRIP.I gagΔmyrSIV野生型により誘発されるものより2倍低い。
2.TRIP.NI gagΔmyrSIV COに基づくプライミング−ブースト計画は、強度の点で、TRIP.I gagΔmyrSIV野生型に基づくプライミング−ブースト計画と類似の応答を誘発する。プライミング−ブースト実験において、マウスを100ngのTRIP.NI gagΔmyrSIV CO又は100ngのTRIP.I gagΔmyrSIV野生型で免疫化した。レンチウイルスベクターをVSV−Gインディアナエンベロープでシュードタイピングした。13週間後、TRIP.NI粒子で免疫化されたマウスを、非交差反応性VSV−Gニュージャージーエンベロープでシュードタイピングされた100ngのTRIP.NI gagΔmyrSIV CO粒子でブーストした。並行して、TRIP.I粒子でプライミングしたマウスを、VSVニュージャージーエンベロープでシュードタイピングされた100ngのTRIP.I gagΔmyrSIV野生型でブーストした。免疫化マウスからの脾細胞で実施されたGagΔmyrSIV特異的な免疫応答の分析(IFNg ELISPOT、四量体染色)によって、TRIP.NI gagΔmyrSIV COに基づくプライミング−ブースト計画が、大きさの点で、TRIP.I gagΔmyrSIV野生型粒子に基づくプライミング−ブースト計画と類似の応答を少なくとも誘発することが明らかとなった。この結果は以前に発表されておらず、予想できなかった。なぜなら、TRIP.NI gagΔmyrSIV CO粒子での単回注射によって、TRIP.I gagΔmyrSIV野生型粒子の単回注射と比較してより低い応答を誘導されたからである。
【0405】
レンチウイルスベクター粒子をシュードタイピングするための異なる血清型のVSV−Gエンベロープタンパク質の使用
インディアナ血清型の水疱性口内炎ウイルスのG糖タンパク質(VSV−G)は、レンチウイルスベクターを操作するためのコートタンパク質として一般的に使用される膜貫通タンパク質である。
【0406】
現在、9つのウイルス種がVSVジェンダーに明確に分類され、そして19のラブドウイルス科が暫定的にこのジェンダーに分類され、全てが種々の程度の交差中和を示す。配列決定した場合、プロテインG遺伝子は配列類似性を示す。VSV−Gタンパク質は、N末端の外部ドメイン、膜貫通領域、及びC末端細胞質側末端を提示する。それは、トランスゴルジネットワーク(小胞体及びゴルジ装置)を経て細胞表面に搬出される。
【0407】
コドン最適化遺伝子を生成し、pThVベクターのBamH1及びEcoR1の部位の間にクローン化し、pThV−VSV.G(IND−CO)を生成した(
図6)。ヒト細胞中でのVSV−Gタンパク質の発現のためのコドン最適化は、ニュージャージー血清型の場合に示される通り、遺伝子導入効率を100倍刺激できる(
図20)。本発明者らは、VSV−Gタンパク質のいくつかの血清型が、シュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子との特定の関連において、インビボ注射後に交差中和抗体を誘導しないことをさらに示す。
【0408】
さらなるVSV−G血清型が、少なくとも1つのブースト注射を含むワクチンアッセイでの使用のための適した組み合わせをデザインするために必要とされる場合、他のVSV−G血清型が粒子コーティングについてテストされている。使用される第1のものはVSV−Gニュージャージー血清型であった。コドン最適化遺伝子を合成し、そして、pThVプラスミドのBamH1及びEcoR1の部位の間にクローン化し、pThV−VSV.G(NJ CO)ベクターを生成した(
図7)。
【0409】
現在、5つの他のVSV−G遺伝子が配列決定されており(チャンディプラ、Cocal、Piry、イスファハン、及びコイ春ウイルス血症、
図3)、そして、コドン最適化バージョンで調製されている。
【0410】
材料及び方法
1.材料
1.1.プラスミド
コドン最適化遺伝子を、Gene Art AG(Germany)により、5つの特性付けされたVSV−G血清型について生成している。遺伝子をpThVプラスミドのBamH1及びEcroR1の部位の間にクローン化し、以下のベクターを生成した:pThV−VSV.G(CHANDI−CO;
図8)、pThV−VSV.G(COCAL−CO;
図9)、pThV−VSV.G(PIRY−CO;
図10)、pThV−VSV.G(ISFA−CO;
図11)、及びpThV−VSV.G(SVCV−CO;
図12)。
【0411】
2.方法
2.1.交差中和アッセイ
マウス:C57Bl/6マウス(ハプロタイプH2b、12〜23週齢)に、VSV−G血清型(インディアナ、ニュージャージー、イスファハン、Cocal、及びSVCV、1群当たり6匹、450μl/マウス)でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子で腹腔内注射した。4週間後、マウスを同じ粒子(500μl/マウス)でブーストした。1回目の後眼窩血液採取(Capijectチューブ中)をブースト後15日目に、そして、2回目をブースト後21日目に行う。血液を3500rpmで6分間遠心分離し、血清を採取し、−20℃に保った。
【0412】
形質導入アッセイを、これらの血清の種々の希釈物の存在下で作成した。
【0413】
2.2.ヒト単球由来DCの生成
バフィーコートが、French Blood Bank(EFS-Rungis)から、全ての被験者からインフォームドコンセントと共に、倫理ガイドラインに従って得られた。PBMCをフィコール密度遠心分離により単離した。単球細胞を、組織−培養物−処理プレート上での付着により濃縮した。付着工程後、細胞を、10% FCS、ペニシリン−ストレプトマイシン、ピルビン酸0.1mM + Hepes 1mMを含み、顆粒球−マクロファージrhGM−CSF(50ng/ml、R&D systems)及びrIL−4(20ng/ml、R&D systems)を添加したRPMI培地中で培養する。この培地を、4日後に、rhGM−CSF(50ng/ml)及びrhIL−4(20ng/ml)を含む新鮮培地と交換した。7日目、細胞をシュードタイピングし、レンチウイルスベクターで形質導入した。形質導入後2時間目、rhGM−CSF及びrhIL−4を含むRPMI(Invitrogen)培地を加えた。細胞を形質導入後5日目に収集し、LSR IIフローサイトメトリー(Becton Dickinson)により分析した。DCによるGFPの発現を、フルオレセインイソチオシアネートチャネルにおいてフローサイトメトリーにより直接的に調べた。
【0414】
2.3.ヒト単球由来DCの表現型分析
表現型分析のために、DC(100μl中の1×10
6個細胞)を、0.1μg/μlの濃度のFITC−又はPE(Becton Dickinson)で標識した抗CD14、CD86、CD1a、及びHLA−dr抗体で、5分間室温でインキュベートした。染色された細胞をLSR IIフローサイトメトリー(Becton Dickinson)により分析した。
【0415】
結果
1.様々なVSV−G血清型のシュードタイピング能力の評価
ヒトコドン最適化遺伝子を5つの特性付けしたVSV−G血清型について生成し、pThVプラスミド内にクローン化し、以下のベクターを生成する:pThV−VSV.G(CHANDI−CO)、pThV−VSV.G(COCAL−CO)、pThV−VSV.G(PIRY−CO)、pThV−VSV.G(ISFA−CO)、及びpThV−VSV.G(SVCV−CO)(
図8〜12)。これらのエンベローププラスミドをレンチウイルスベクター粒子の産生のために使用し、それらのシュードタイピング能力をベクターの力価(TU/ml)を決定することにより評価している。
図50に示す通り、VSV−Gインディアナ及びニュージャージーに加えて、5つのVSV−Gタンパク質のうち3つだけが、本発明者らのレンチウイルスベクター粒子を効率的にシュードタイピングすることが可能である:Cocal、イスファハン、及びSVCV血清型。最良の力価がインディアナ血清型で観察される(有意差は、野生型タンパク質とコドン最適化タンパク質の間で観察できない)。他の血清型は、インディアナの力価の54%(ニュージャージー)、25%(Cocal)、22%(SVCV)、及び7%(イスファハン)を生じる。
【0416】
チャンディプラ及びPiry VSV−G血清型はいずれもインディアナの力価のわずか0.07%を生じる。それらの非常に低い融合活性は、本発明者らのレンチウイルスベクター粒子をシュードタイピングするためのそれらの効果的な使用を妨げうると思われる。なぜなら、それらは標的細胞を十分に形質導入することが可能ではないからである。チャンディプラVSV−Gタンパク質のこの低効率は、VSV−Gシュードタイピングされた複製能が欠損したヒト免疫不全ウイルス粒子との関連で、それが免疫応答をブーストする能力に欠けるとの報告を説明できる(Baliga CS, et al, Molecular Therapy, 2006)。
【0417】
2.交差中和アッセイ
中和抗体を生成するための本発明者らのVSV−Gタンパク質の適性を特性付けすること、及び、これらの抗体が異種VSV−G血清型を潜在的に交差中和するか否かをチェックすることは、シュードタイピングされたベクターがワクチン接種試験において注射されるべき好ましい順番に決まるために有用となりうる。
【0418】
効率的なVSV−Gタンパク質(インディアナ、ニュージャージー、Cocal、イスファハン、及びSVCV)でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子を、C57Bl/6マウスにおいて2回注射し、注射の間は4週間間隔であった。2回目の注射後の15日目、血液をマウスから採取し、種々のVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子を中和するその能力をテストした。
図51及び52に示す通り、VSV−Gインディアナ、ニュージャージー、SVCV、及びイスファハンのシュードタイプは、任意の他のVSV−Gタンパク質に対して検出可能な抗体を誘導しない。故に、それらを1回目の注射のために任意の順番で使用できる。対照的に、抗Cocal抗体は、インディアナ及びSVCVでシュードタイピングされた粒子を強く阻害する。従って、使用する場合、ワクチン接種の効果を阻害する任意の中和反応を回避するために、Cocalシュードタイピングされた粒子を最後の注射のために使用すべきである。まとめると、種々のテストされたVSV−Gタンパク質をプライミング−ブースト計画において連続的に使用する場合、シュードタイピングされた粒子の組み合わせでは、特に、VSV−Gシュードタイピングされた粒子を以下の順番で注射すべきであるとの事実を考慮に入れる:インディアナ − ニュージャージー − イスファハン − SVCV/Cocal。
【0419】
3.サル及びヒトの血清中での抗体の保有率
VSV−Gタンパク質を中和することが可能である抗体のヒト血清中での存在は、本発明者らのベクター粒子をシュードタイピングするためのそれらの使用前に決定すべきである。ヒト血清で得られうる中和応答の強度を評価するために、本発明者らは、本発明者らの試験において使用した動物から得られた種々のサル血清の存在下で、選択したVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされた本発明者らの粒子をテストすることを最初に決めた。故に、本発明者らは、4匹のサル(1匹はワクチン接種せず、3匹はVSV−Gインディアナでシュードタイピングされた種々の用量 − 低、中、及び高用量 − の粒子でワクチン接種し、単独用量のVSV−Gニュージャージーシュードタイピング粒子でブーストした)から、種々の時間(注射前、プライミング後、及びブースト後)に血清を採取した。これらのサル血清が、選択されたVSV−Gタンパク質(インディアナ、ニュージャージー、Cocal、イスファハン、及びSVCV)でシュードタイピングされた粒子を中和する能力をその後にテストし、結果を
図53〜57にそれぞれ示す。予測通り、強い中和活性が、VSV−Gインディアナに対して、インディアナシュードタイピング粒子でワクチン接種されたサルからの血清において用量依存的に見出され(
図53)、また、ニュージャージー粒子に対して、ニュージャージーシュードタイピング粒子でブーストされたサルからの血清において見出された(
図54)。故に、本発明者らは、同種の中和活性が約1/1024血清希釈(全活性の50%が1/1024の血清希釈で得られる)でのIC 50により特徴付けられる。
図55において、本発明者らは、VSV−G Cocal血清型に対する中和活性が、高用量のインディアナ粒子を受けたサルにより特異的に発生していることが分かる(この応答は低用量のインディアナ粒子では観察されない)。しかしながら、イスファハン又はSVCV血清型のいずれに対する特異的な中和活性も、事前に免疫化したサル、又は、ワクチン接種されたサルからの血清において見出されていない(
図56及び57)。
【0420】
VSV−Gタンパク質を中和することが可能な抗体のヒト血清中での存在を、無作為に選択した96のヒト血清中で決定している。選択されたVSV−Gタンパク質でシュードタイピングされたレンチウイルスベクター粒子での形質導入実験を、(加熱した、及び、加熱していない)ヒト血清の存在下で行った。
図58にまとめた結果(実験の詳細を
図59に示す)は、一部の患者の血清がVSV−Gタンパク質に対して強い中和活性を提示することを示す(インディアナに対して患者2人、ニュージャージーに対して4人、そして、Cocalに対して3人)。この中和活性が同種又は特異的でないかを決定するために、これらの患者をさらに研究し、異なるVSV−Gでシュードタイピングされた粒子の形質導入アッセイをこれらの血清の連続希釈物の存在下で行った。
図60に示す通り、血清の2倍希釈物の存在下でVSV−Gインディアナに対する中和活性を提示した患者(患者#39、47、54、83、94、及び99)が、さらなる希釈倍数でもはや中和活性を示さなかった。同じ観察が、ニュージャージーVSV−Gタンパク質(患者#7、9、63、70、84、及び88)、SVCV VSV−Gタンパク質(患者10、78、94、39、84、及び98)、及びイスファハンVSV−Gタンパク質(患者#10、78、9、94、70、84、及び98)に対して中和活性を以前に示した患者で行うことができた。対照的に、Cocal VSV−Gタンパク質に対して中和活性を提示する患者のうち(患者#9、57、67、80、88、54、62、69、83、及び93)、2人が依然として高い血清希釈物で中和活性を提示しており(患者#67及び69)、IC50は約1/512血清希釈であった。これらの結果は、Cocal血清型を本発明者らのレンチウイルスベクター粒子のシュードタイピングのために使用する場合、抗Cocal保有率を患者において決定しなければならないであろうことを示す。
【0421】
4.異なるVSV−Gエンベロープによりシュードタイピングされたベクター粒子でのヒト単球由来樹状細胞の形質導入
本発明の提案されたワクチン接種プロトコールにおいて、インディアナVSV−Gシュードタイプでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターを最初に注射し、免疫学的反応をプライミングする。免疫学的反応をブーストするために、以前に記載されたVSV−G血清型の1つでシュードタイピングされたレンチウイルスベクターをレンチウイルスベクター粒子の2回目の注射のために使用する。樹状細胞は、先天性免疫及び適応免疫において中心的な役割を果たす。故に、本発明者らは、異なるVSV−Gタンパク質によりシュードタイピングされたベクター粒子がヒトDCに融合する能力を特性付けした。従って、ヒト単球由来樹状細胞(mDC)を、種々のVSV−Gタンパク質(ニュージャージー、イスファハン、SVCV、Cocal、又はチャンディプラ)でシュードタイピングされたレンチウイルスベクターで形質導入し、様々な粒子での力価(TU/ml)の決定をもたらし、それは各VSV−Gの融合能と直接的に相関する。その上、古典的には293 T細胞で行われるベクター粒子の力価も特性付けし、形質導入の相対力価(力価DC/力価293T)を定めた。実験によって、テストされた全てのVSV−GエンベロープがmDCに融合する相対的能力を提示し、顕著な例外はVSV−Gのチャンディプラ血清型であった(
図61)。VSV−Gインディアナは、テストされた他と比較して、最も強い融合能を持つエンベロープであると思われる。しかしながら、VSV−Gニュージャージー、イスファハン、SVCV、及びCocalも、mDCと融合する良好な能力を提示する。様々なエンベロープを考慮すると、2つの異なる実験により提供されたデータ(
図61)は、相対力価(DC力価/293 T力価)の値が何であれ、同じパターンの融合能を示した。これは、形質導入時に使用されるmDCの生理学的状態における差に起因する。
【0422】
【表7】