(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステータ基板あるいは前記軸受ホルダは、前記軸受ホルダあるいは前記ステータ基板に対する回転防止手段を有することを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【背景技術】
【0002】
例えば、プロジェクターなどの光学機器等のカラーホイール回転機構には、アウターロータ型のスピンドルモータが用いられている。
【0003】
このスピンドルモータは、例えば、
図7に示すように、回転軸101を有するロータ100と、回転軸101を軸支する軸受ユニット110(ステータ)を備えている。この軸受ユニット110は、回転軸101を軸支する軸受111と、軸受111の外周に配されている軸受ホルダ112と、軸受ホルダ112の外周に有する雄ねじ部112Aと螺合されて固定されているケース部材113と、ケース部材113の外周に配されているステータ基板114と、ケース部材113の内底面に配されているスラストワッシャ115を備えており、螺合されている軸受ホルダ112とケース部材113はステータ基板114の上部に配されている。
【0004】
そして、ロータ100の回転軸101は、軸受111に挿入されてスラストワッシャ115に当接されており、回転軸101は、ロータ100に有する駆動用のマグネット102と、ステータに有するステータコア116の磁極との間に生じる磁気吸着力により、下方に付勢されている(特許文献1)。
【0005】
そのため、ロータとステータを分解する必要が生じた場合(例えば、スピンドルモータの完成品の検査時に、ロータの駆動用のマグネットの着磁不足)には、ロータはステータから容易に抜き取ることができ、その故障原因である部材(ロータあるいはステータ)を新規部材に交換すると、残りの部材を再利用することができる。
しかし、磁気吸着力によるロータの抜け止め機構では、ロータが磁気吸着力を超える力を受けた場合、ロータはステータから簡単に抜けてしまう問題がある。
【0006】
一方、特許文献2には、
図8に示すように、回転軸101の下端に円周方向に沿って軸溝101Aを設け、この軸溝101Aに抜け止め用のリング状のワッシャ117を嵌合させた構造を有するスピンドルモータが開示されている。
図8のスピンドルモータによれば、ワッシャ117が、軸受111の底部(下端)によりロータの移動を制限できるため、ロータの抜け止めが防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るスピンドルモータについて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るスピンドルモータの断面図である。
【0018】
本実施形態のスピンドルモータ1は、
図1に示すように、ロータ10とステータ20を備えている。
ロータ10は、回転軸11と、抜け止め部材12と、ロータケース13と、マグネット14を備えている。
ステータ20は、軸受21と、軸受ホルダ22と、スラスト受材23と、ステータ基板24と、ステータコア25と、配線基板26を備えている。
【0019】
軸受21は、回転軸11のラジアル方向の支持を行うものであり、円筒状の焼結含油軸受からなる。この軸受21の内径は、回転軸11の外径より若干大きく形成されており、回転軸11は軸受21内を回転できる。この軸受21は、滑り軸受でもよく、動圧流体軸受でもよい。
【0020】
軸受ホルダ22は、金属製で軸受21の外周面に固定されており、略円筒形状からなり、円筒部22Aを有する。
この軸受ホルダ22は、外周面の円周方向全周にあって半径方向に一体に突出する外向きフランジ22Cを有する。
また軸受ホルダ22は、外周面に雄ねじ部22Dを有する。雄ねじ部22Dは、円筒部22Aの下端に、円周方向に沿って配されており、例えば、切削により形成される。
【0021】
また軸受ホルダ22は、円筒部22Aの上端から内側に突出する内向きフランジ22Eを有する。内向きフランジ22Eは、軸受ホルダ22内の軸受の油が軸受ホルダ22外に飛散するのを防止するためのものであり、軸受内に挿入される回転軸11とは非接触に配されている。
【0022】
スラスト受材23は、回転軸11のスラスト方向の支持を行うものであり、金属製で有底円筒状に形成されており、軸受ホルダ22の下端側開口22Bを覆うように配される。
このスラスト受材23は、円筒状の側壁23Aと、底部23Bを有する。
スラスト受材23の側壁23Aは、内周面に軸受ホルダ22の雄ねじ部22Dと締結(螺合)できる雌ねじ部23Cを有する。雌ねじ部23Cは、例えば、切削により形成される。
スラスト受材23の内底面は、平坦面状に形成されている。
【0023】
回転軸11は、軸受21およびスラスト受材23により軸支されるものであり、金属製で細長い円柱状に形成されている。
【0024】
抜け止め部材12は、回転軸11が軸受21から抜けないように保持するものである。抜け止め部材12は、樹脂製でキャップ状に形成されており、円筒状部12Aと、底部12Bを有する。
【0025】
円筒状部12Aの内径は、回転軸11の外径より若干小さく形成されている。回転軸11が軸受21内に挿入されると、回転軸11の下端は軸受21の下部から突出され、抜け止め部材12が、回転軸11の下端に軽圧入され装着(固着)される。
【0026】
円筒状部12Aの外径は、軸受21の内径より大きく形成されており、回転軸11を軸受21から抜き取ろうとした際、抜け止め部材12は軸受21の下端に当接される。
【0027】
この抜け止め部材12の外底面は、回転軸11の下端方向に突出する先端R形状に形成されており、スラスト受材23の内底面と当接されている。
【0028】
ステータ基板24は、金属製の板状に形成されており、本実施形態のスピンドルモータをプロジェクターなどの光学機器装置に取り付ける際の取り付け面となるものである。
このステータ基板24の外形は、ロータ10を構成する後述のロータケース13の外形より半径方向に大きく形成されている。
またステータ基板24は、略中央に、軸受ホルダ22の外周面と略同一の円形の貫通孔24Aを有している。
【0029】
ステータコア25は、コア板を複数積層されており、外周に等間隔に複数の突極を有している。各突極には、それぞれコイル25Aが巻回されている。ステータコア25は、コイル25Aに通電されたときコイル25Aの磁束を強めるものである。
このステータコア25は、中央部に環状部25Bを有している。
【0030】
ロータケース13は、回転軸11と一体に回転するものである。ロータケース13は、有底円筒状に形成されており、内周面に駆動用のマグネット14を備えている。ロータケース13の底部中央には、回転軸11の上端が圧入されて固定されている。
【0031】
マグネット14は、ステータコア25の突極と対向して配置されておりロータ10の回転力を発生させるものである。このマグネット14は、リング状に形成されており、円周方向にN極とS極が交互に着磁されている。
【0032】
配線基板26は、外部から加えられる電力をステータコア25に巻回されているコイル25Aに供給しているものである。この配線基板26は、フレキシブルプリント基板からなり、ステータ基板24上に配されている。
【0033】
そして、本実施形態のスピンドルモータ1は配線基板26より電力を供給されると、コイル25Aが励磁されることでマグネット14が力を受けてロータが回転できる。
【0034】
次に、本実施形態のスピンドルモータ1の組み立て方法について説明する。
まず、回転軸11がロータケース13に圧入されて固定される。そして、マグネット14がロータケース13の内周面に固着されてロータ10となる。
【0035】
次に、軸受21が軸受ホルダ22内の開口に圧入されて固定される。この軸受ホルダ22の外周には、上方からコイル25Aを巻回されたステータコア25が装着される。すると、ステータコア25の環状部25Bの下面が、軸受ホルダ22の外向きフランジ22Cの上面に当接して配置され、ステータコア25は軸受ホルダ22に接着剤等により固着される。
【0036】
また、軸受ホルダ22には、下方から、配線基板26を配されたステータ基板24が装着される。すると、ステータ基板24の貫通孔24A周縁の上面が、軸受ホルダ22の外向きフランジ22Cの下面に当接して配置される。そして、雄ねじ部22Dが形成されている軸受ホルダ22の円筒部22Aの下端が、ステータ基板24の下面から突出される。
【0037】
そして、ロータ10の回転軸11が軸受21内に挿入されると、回転軸11の下端が軸受21の下方に突出され、抜け止め部材12が回転軸11の下端に軽圧入され装着される。
そして、スラスト受材23が軸受ホルダ22に対しねじを締める方向に回転されることにより雄ねじ部22Dと雌ねじ部23Cが締結(螺合)される。
【0038】
さらにねじを締めることで、スラスト受材23の側壁端部23A1が、ステータ基板24の下面を押圧する。すると、ステータ基板24は、軸受ホルダ22の外向きフランジ22Cの下面とスラスト受材23の側壁端部23A1により挟まれて固定される。よって、スラスト受材23は、軸受ホルダ22の下端側開口22Bを覆い、ステータ基板24の下方に配される。
そして、回転軸11に装着された抜け止め部材12は、スラスト受材23の内底面に当接されてスラスト方向に支持され、スピンドルモータが完成する。
【0039】
このように構成された本実施形態のスピンドルモータ1では、ステータ基板24は、軸受ホルダ22の雄ねじ部22Dとスラスト受材23の雌ねじ部23Cが締結された状態で、軸受ホルダ22の外周面に有する外向きフランジ22Cとスラスト受材23により挟まれて固定され、スラスト受材23はステータ基板24の下方に配される。
【0040】
そのため、ロータ10に力を加えることなく、スラスト受材23と軸受ホルダ22の螺合を解いて、軸受ホルダ22の下端側開口22Bを開放でき、回転軸11の下端に装着されている抜け止め部材12を回転軸から容易に取り外すことができる。
したがって、ロータ10に過大な力を加えることなくロータ10を軸受21から取り外して、スピンドルモータをロータとステータに容易に分解できるため、故障原因である部材を新規部材に交換して、残りの部材を再利用することができ、量産時のコストが低減できる。
【0041】
また、スラスト受材23と軸受ホルダ22の螺合を容易に解くことができるため、ステータの一部であるステータ基板24と、軸受ホルダ22(コイルやステータコアを含む)が分解でき、ステータ基板あるいは軸受ホルダに故障原因があれば新規部材に交換して、残りの部材を再利用することができ、量産時のコストがさらに低減できる。
【0042】
また、スラスト受材23が軸受ホルダ22の下端側開口22Bを覆った状態で、軸受ホルダの雄ねじ部22Dとスラスト受材の雌ねじ部23Cが締結されているため、軸受ホルダ内から軸受ホルダ外への軸受の油漏れが防止できる。
また、スラスト受材23の側壁端部23A1がステータ基板24の下面を押圧した状態で、軸受ホルダの雄ねじ部22Dとスラスト受材の雌ねじ部23Cが締結されているため、軸受ホルダ内から軸受ホルダ外への軸受の油漏れが確実に防止できる。
【0043】
また、抜け止め部材12は、回転軸11の下端に装着されている樹脂製のキャップ形状であるため、次のような効果がある。
樹脂製の抜け止め部材が回転軸の下端に装着されていることにより、抜け止め部材は、回転軸の抜け止め機能と、従来例のような回転軸の下端に当接されて配されたスラストワッシャの機能を1つの部材により構成できる。よって、従来例のような回転軸の下端をスラスト受けするスラストワッシャが不要となるため、部品点数が少なくなりコスト削減と製造工程の短縮ができる。
【0044】
また、抜け止め部材12の底部12Bは、回転軸11の下端方向に突出する先端R形状に形成されており、スラスト受材23の内底面は、平坦面状に形成されている。よって、抜け止め部材12の底部12Bは、スラスト受材23に点接触して配され、ロータが回転すると、スラスト受材との摩擦が小さくなりロータは滑らかに回転できる。
【0045】
また、ステータ基板24の外形が、ロータ10(ロータケース13)の外形より半径方向に大きく形成されているため、スピンドルモータを分解する必要が生じた場合、ステータ基板を確実に把持することができ、スピンドルモータの分解時の作業性が向上できる。
【0046】
以上説明した本実施形態では、軸受ホルダの外周面は円形に形成されているが、ステータ基板24の円形の貫通孔24A内周と対向する軸受ホルダの外周面には、一体に突出する突部(回転防止手段)が1あるいは複数設けられてもよい。この場合の軸受ホルダは、樹脂成形により一体成形される。この軸受ホルダの外周にステータ基板の貫通孔が装着されると、この突部は、貫通孔内周を押圧する。よって、軸受ホルダは、ステータ基板に対する回転防止手段(突部)を有する。
そのため、ステータ基板を把持することで、スラスト受材は、軸受ホルダに対し回転することなく軸受ホルダから取り外すことができ、スピンドルモータの分解時の作業性が向上できる。
【0047】
また、以上説明した本実施形態では、軸受ホルダは、内向きフランジ22Eを有しているが、内向きフランジ22Eに対向する回転軸の外周面に発油剤(例えばフッ素系ポリマ等)を塗布してもよく、本実施形態のスピンドルモータが
図1の図面上下反対に光学機器装置に配置された場合であっても、軸受の油は軸受ホルダの上端側開口から漏れにくくなる。また、仮に、軸受の油が軸受ホルダの上端側開口から漏れたとしても軸受の油はロータケース内に溜まるため、軸受の油がスピンドルモータの外部に飛散することはない。
【0048】
また、以上説明した本実施形態では、軸受ホルダとステータ基板は別体に形成されているが、ステータ基板は、軸受ホルダの外周面に半径方向に突出して一体に形成されてもよい。この場合の軸受ホルダとステータ基板は、樹脂成形により一体成形される。
このようにしても、スピンドルモータを分解する必要が生じた場合に、スラスト受材を軸受ホルダに対してねじを外す方向に回転させることにより、軸受ホルダの下端側開口が開放できる。
【0049】
そして、回転軸の下端に装着された抜け止め部材を回転軸から引き抜くと、ロータは軸受から取り外すことができ、ロータとステータが分解できる。その結果、故障原因である部材を新規部材に交換して、残りの部材を再利用することができ、量産時のコストが低減できる。
また、スラスト受材が軸受ホルダの下端側開口を覆った状態で、軸受ホルダの雄ねじ部とスラスト受材の雌ねじ部が締結されているため、軸受ホルダ内から軸受ホルダ外への軸受の油漏れが防止できる。
【0050】
また、スラスト受材の側壁端部がステータ基板の下面を押圧した状態で、軸受ホルダの雄ねじ部とスラスト受材の雌ねじ部が締結されているため、軸受ホルダ内から軸受ホルダ外への軸受の油漏れが確実に防止できる。
また、ステータ基板と軸受ホルダは一体成形されているため、ステータ基板に対する軸受ホルダの軸垂直度が極めて高く構成できる。
【0051】
(第2実施形態)
図2(a)は、本発明の第2実施形態に係るスピンドルモータを説明するための図であり、弾性シール部材がスラスト受材の側壁端部に有する環状溝に配されている要部断面図を示す。
図2(b)は、弾性シール部材がスラスト受材の側壁内周面に有する環状溝に配されている要部断面図を示す。
図2(c)は、弾性シール部材がスラスト受材の側壁端部の内側に有する傾斜面に配されている要部断面図を示す。
図2(d)は、弾性シール部材が軸受ホルダの下端に配されている要部断面図を示す。
図2において、
図1中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態は、軸受ホルダ内の軸受の油漏れ防止機構が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、軸受ホルダの下端側開口は、スラスト受材により覆われているが、本実施形態では、さらに、スラスト受材と、ステータ基板あるいは軸受ホルダとの間には、リング状の弾性シール部材が設けられている。
【0053】
すなわち、
図2(a)に示すように、スラスト受材23の側壁端部23A1には、円周方向全周に環状溝23Dが設けられており、この環状溝23Dには、リング状の弾性シール部材であるOリング27が設けられている。
そして、スラスト受材23を軸受ホルダ22に対しねじを締める方向に回転させることにより、スラスト受材23の側壁端部23A1が、Oリング27を介してステータ基板24の下面を押圧し、スラスト受材23の側壁端部23A1とステータ基板24の下面との間に設けられたOリング27は圧縮される。
【0054】
そのため、本実施形態のスピンドルモータが配されたプロジェクターなどの光学機器装置が傾いた状態で、軸受ホルダ内の軸受の油が軸受ホルダ外に流れようとしても、スラスト受材23の側壁23Aとステータ基板24の下面との間には、Oリング27が圧縮されて設けられるため、軸受ホルダ内から軸受ホルダ外への軸受の油漏れがより確実に防止される。
【0055】
また、スピンドルモータを分解する必要が生じた場合には、スラスト受材を軸受ホルダに対してねじを外す方向に回転させることにより、ステータの一部であるステータ基板と軸受ホルダとOリングが分解できるため、Oリングに故障原因があれば新規部材に交換して、残りの部材を再利用することができ、量産時のコストがさらに低減できる。
【0056】
また、
図2(b)に示すように、スラスト受材23の側壁23A内周面には、円周方向全周に環状溝23Eが設けられ、この環状溝23Eには、Oリング27が設けられてもよい。この場合、スラスト受材23を軸受ホルダに対しねじを締める方向に回転させることにより、スラスト受材23の側壁23A内周面と、軸受ホルダの外周面との間に設けられたOリング27は圧縮される。このようにしても
図2(a)と同様の効果を有する。
【0057】
また、
図2(c)に示すように、スラスト受材23の側壁端部23A1の内側には、円周方向全周にC面状に切り欠いた傾斜面23Fが設けられており、この傾斜面23Fに、Oリング27が設けられてもよい。この場合、スラスト受材23を軸受ホルダ22に対しねじを締める方向に回転させることにより、スラスト受材23の側壁端部23A1の傾斜面23Fと、ステータ基板24の下面と軸受ホルダの外周面との間に設けられたOリング27は圧縮される。このようにしても
図2(a)と同様の効果を有する。
【0058】
また、
図2(d)に示すように、軸受ホルダ22の下端とスラスト受材23の内底面との間には、Oリング27が設けられてもよい。そして、スラスト受材23を軸受ホルダに対しねじを締める方向に回転させることにより、軸受ホルダ22の下端とスラスト受材23の内底面との間に設けられたOリング27は圧縮される。このようにしても
図2(a)と同様の効果を有する。
【0059】
(第3実施形態)
図3(a)は、本発明の第3実施形態に係るスピンドルモータを説明するための図であり、ステータ基板の一部を
図1の矢印A−Aから見た図である。
図3(b)は軸受ホルダを
図1の矢印A−Aから見た図である。
図3(c)は、
図3(b)の軸受ホルダを
図3(a)のステータ基板に有する貫通孔に挿入した状態を
図1の矢印A−Aから見た図である。
図3において、
図1中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態は、回転防止手段が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、軸受ホルダは、ステータ基板に対する回転防止手段を有するが、本実施形態では、ステータ基板は、軸受ホルダに対する回転防止手段を有する。
【0061】
すなわち、軸受ホルダ22の外周面はDカット形状を有し、ステータ基板24は、軸受ホルダ22の外周面と略同一のDカット形状の貫通孔24Aを有する。そして、軸受ホルダ22に有する平坦部22Fと、ステータ基板24に有する平坦部24B(回転防止手段)を対向させた状態で、ステータ基板24が軸受ホルダ22の下方から装着される。そして、スラスト受材23が軸受ホルダ22に対しねじを締める方向に回転されることにより雄ねじ部22Dと雌ねじ部23Cが締結(螺合)される。
【0062】
よって、スピンドルモータを分解する必要が生じた場合に、ステータ基板を把持して、スラスト受材を軸受ホルダに対してねじを外す方向に回転させると、スラスト受材は、軸受ホルダに対し回転することなく軸受ホルダから取り外すことができ、スピンドルモータの分解時の作業性が向上する。
【0063】
(第4実施形態)
図4(a)は、本発明の第4実施形態に係るスピンドルモータを説明するための図であり、ステータ基板の一部を
図1の矢印A−Aから見た図である。
図4(b)は、軸受ホルダを
図1の矢印A−Aから見た図である。
図4(c)は、
図4(b)の軸受ホルダを
図4(a)のステータ基板に有する貫通孔に挿入した状態を
図1の矢印A−Aから見た図である。
図4において、
図1中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態は、回転防止手段が第3実施形態と異なる。第3実施形態の回転防止手段は、Dカット形状であったが、本実施形態の回転防止手段は、軸受ホルダとステータ基板にそれぞれ設けられるキー溝に挿入された位置決めキー部材である。
【0065】
すなわち、軸受ホルダ22の外周面は、軸方向に設けられた第1キー溝22Gを有すると共に、ステータ基板24の貫通孔24Aの内周面は、第1キー溝22Gに対向する第2キー溝24Cを有する。そして、第1キー溝22Gと第2キー溝24Cが対向した状態で、ステータ基板24が軸受ホルダ22の下方から装着される。そしてステータ基板24の貫通孔24Aの上面周縁が、軸受ホルダ22の外向きフランジ22Cの下面に当接配置された状態で、第1キー溝22Gと第2キー溝24Cに係合する位置決めキー部材28が挿入される。そして、スラスト受材23が軸受ホルダ22に対しねじを締める方向に回転されることにより雄ねじ部22Dと雌ねじ部23Cが締結(螺合)される。本実施形態においても第3実施形態と同様の効果を有する。
【0066】
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態に係るスピンドルモータを説明するための図であり、
図1の矢印A−Aから見た部分図である。
図5において、
図1中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施形態は、スラスト受材の側壁が第1実施形態と異なる。第1実施形態の側壁の外周面は、円形に形成されているが、本実施形態の側壁の外周面には、スラスト受材を軸受ホルダから取り外す際に用いられる工具に係合できる滑り防止機構が設けられている。
【0068】
すなわち、スラスト受材23の側壁23A外周面には、回転軸11の軸線に平行で、且つ互いに平行な2つのDカット面23G(滑り防止機構)が設けられている。この滑り防止機構のDカット面23Gは1つでもよい。
そして、スピンドルモータを分解する必要が生じた場合、スラスト受材の外周面に工具(例えば、レンチまたはスパナ)が係合され、スラスト受材が軸受ホルダに対してねじを外す方向に回転される。すると、スラスト受材は軸受ホルダから非常に容易に取り外すことができ、スピンドルモータの分解時の作業性が格段に向上できる。
【0069】
(第6実施形態)
図6は、本発明の第6実施形態に係るスピンドルモータの断面図である。
図6において、
図1中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0070】
本実施形態は、軸受ホルダの内底面が第1実施形態と異なる。第1実施形態のスラスト受材の内底面は平坦面状に形成されているが、第6実施形態のスラスト受材の内底面は、回転軸11の下端方向に向かって窪むすり鉢状に形成されており、回転軸11の下端に装着された抜け止め部材12は、すり鉢状に形成された傾斜面23Hに当接されている。
【0071】
よって、ロータの回転時、回転軸は、回転軸外周と軸受内周との隙間分だけラジアル方向に移動できるが、回転軸が、すり鉢状の傾斜面23Hに当接されることにより、回転軸は、ラジアル方向の移動を制限されて回転できるため、ロータの回転時のラジアル方向の軸ブレが低減できる。