特許第5773792号(P5773792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773792
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20150813BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150813BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20150813BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150813BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   F21S2/00 436
   G02B6/00 331
   F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-169790(P2011-169790)
(22)【出願日】2011年8月3日
(65)【公開番号】特開2013-33170(P2013-33170A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2014年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 秀太
(72)【発明者】
【氏名】桑原 隆史
【審査官】 弓指 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−257900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0015753(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0284202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
F21S 2/00
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの面光源として使用されるバックライトと、
を有し、
前記バックライトは、前記面光源よりも狭い発光領域を有する光源と、前記光源の光を端面から入射して表面から出射する導光板と、を含み、
前記導光板の前記端面は、平坦面と前記平坦面から突出する凸面又は窪んだ凹面とを有し、前記平坦面に垂直な方向に前記光源から進行する光は、前記凸面又は前記凹面での屈折により拡がって前記導光板に入射し、
前記凸面又は前記凹面は、前記光が出射する前記表面に直交する複数の中心軸の周りにそれぞれ形成された複数の円筒面が一体化された形状をなし、
前記複数の円筒面の配列方向で前記凸面又は前記凹面の両端部に位置する一対の前記円筒面は、それぞれ、前記平坦面に隣接し、
隣同士の前記円筒面は、前記平坦面よりも前記凸面の突出方向又は前記凹面の窪んだ方向にずれた位置で相互に接続し、
前記光が出射する前記表面に平行な面で切った断面で、前記複数の円筒面によって複数の弧が表れ、前記平坦面によって直線が表れ、
前記複数の弧の最も突出した点または最も窪んだ点は、それぞれ、前記平坦面によって表れる前記直線に平行に一列に並ぶことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記複数の弧のそれぞれは、前記複数の中心軸を中心とする複数の円のうち対応する1つの円の一部であり、前記複数の弧をそれぞれ一部とする前記複数の円は、互いに相似形状を有するように設計されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載された表示装置において、
前記複数の弧のそれぞれは、前記複数の中心軸を中心とする複数の円のうち対応する1つの円の一部であり、前記複数の弧をそれぞれ一部とする前記複数の円の相似比は、それぞれ、基準値±15%以内であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載された表示装置において、
配列方向の両端のそれぞれに位置する1つの前記弧は、前記平坦面によって表れる前記直線と接続し、
前記直線との接続点で前記1つの前記弧に接する第1接線と前記直線とのなす角度は、前記第1接線が接する前記1つの前記弧の側において70°であり、
隣同士の前記弧の接続点で前記隣同士の前記弧の一方に接する第2接線と前記直線とのなす角度は、前記第2接線が接する前記一方の前記弧の側において40°であることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドライト方式のバックライトを備える表示装置では、導光板の端面に入射した光が、導光板の内部を進行し、裏面側の界面で反射して表面から出射するようになっている(特許文献1)。近年、表示パネルの表示領域を囲む領域(額縁)を小さくすることが要求されている。これに伴ってバックライトも狭額縁化が要求されるため、導光板の入光面近傍の輝度のむらを小さくする必要がある。そこで、導光板の端面には、凹凸又は溝を形成し、光を屈折して拡げることが行われている(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276531号公報
【特許文献2】特開2004−200072号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0120139号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光板の端面の凹凸又は溝の形状によって、光の進行角度は、0°(端面に直角方向)から90°(端面に平行方向)に近い角度まで設定することができる。光の進行角度が小さいと光の拡散が足りないため、導光板の端部とLEDの間に暗部が形成される。これに対して、光の進行角度を大きくすると、暗部がなくなる代わりに、その角度によっては明部が発生する。このように、バックライトを狭額縁化することで、輝度むらが生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、バックライトの輝度むらを低減して、面光源として利用可能な領域の面積を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルの面光源として使用されるバックライトと、を有し、前記バックライトは、前記面光源よりも狭い発光領域を有する光源と、前記光源の光を端面から入射して表面から出射する導光板と、を含み、前記導光板の前記端面は、平坦面と前記平坦面から突出する凸面又は窪んだ凹面とを有し、前記平坦面に垂直な方向に前記光源から進行する光は、前記凸面又は前記凹面での屈折により拡がって前記導光板に入射し、前記凸面又は前記凹面は、前記光が出射する前記表面に直交する複数の中心軸の周りにそれぞれ形成された複数の円筒面が一体化された形状をなし、前記複数の円筒面の配列方向で前記凸面又は前記凹面の両端部に位置する一対の前記円筒面は、それぞれ、前記平坦面に隣接し、隣同士の前記円筒面は、前記平坦面よりも前記凸面又は前記凹面の突出方向又は窪んだ方向にずれた位置で相互に接続し、前記光が出射する前記表面に平行な面で切った断面で、前記複数の円筒面によって複数の弧が表れ、前記平坦面によって直線が表れることを特徴とする。本発明によれば、平坦面に垂直な方向に進行して導光板に入射する光は、平坦面では直進し、円筒面の平坦面に隣接する領域では大きく屈折し、隣の円筒面に隣接する領域では小さく屈折する。これにより、配光のバランスを調整して、バックライトの輝度むらを低減し、面光源として利用可能な領域の面積を拡大することができる。
【0007】
(2)(1)に記載された表示装置において、前記複数の弧は、互いに相似形状を有するように設計されていることを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(1)に記載された表示装置において、
前記複数の弧の相似比は、それぞれ、基準値±15%以内であることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)本発明に係る表示装置は、前記複数の弧の最も突出した点または最も窪んだ点は、それぞれ、前記平坦面によって表れる前記直線に平行に一列に並ぶことを特徴とする
【0010】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された表示装置において、配列方向の両端のそれぞれに位置する1つの前記弧は、前記平坦面によって表れる前記直線と接続し、前記直線との接続点で前記1つの前記弧に接する第1接線と前記直線とのなす角度は、前記第1接線が接する前記1つの前記弧の側において70°であり、隣同士の前記弧の接続点で前記隣同士の前記弧の一方に接する第2接線と前記直線とのなす角度は、前記第2接線が接する前記一方の前記弧の側において40°であることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図2】導光板及び光源の全体平面図である。
図3】導光板及び光源の一部拡大平面図である。
図4】導光板の凸面の形状を説明するための図である。
図5】実施例及び比較例に係る導光板の配光特性を示すグラフである。
図6】比較例1に係る導光板の形状を示す図である。
図7】比較例1に係る導光板の暗部を示す図である。
図8】比較例2に係る導光板の形状を示す図である。
図9】比較例2に係る導光板の暗部及び輝部を示す図である。
図10】比較例3に係る導光板の形状を示す図である。
図11】比較例3に係る導光板の暗部を示す図である。
図12】本発明の別の実施例の平坦面から突出する楕円筒面を示す図である。
図13】本発明の別の実施例の平坦面から突出する2次曲線面を示す図である。
図14】本発明の別の実施例の平坦面から窪んだ円筒面を示す図である。
図15】本発明の別の実施例の平坦面から窪んだ楕円筒面を示す図である。
図16】本発明の別の実施例の平坦面から窪んだ2次曲線面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【0013】
表示装置は、表示パネル10を有する。表示パネル10は、光の通過及び遮断を制御して画像を表示する光シャッター方式のものである。図1に示す表示パネル10は、液晶表示パネルであって、ガラス等からなる一対の基板12とその間に挟まれた液晶層14を含み、一対の基板12の外側にそれぞれ偏光板16を有する。下側(後述するバックライト20側)の偏光板16には、偏光を変換するフィルム18が貼り付けられており、偏光板16の光透過軸方向に振動する偏光を有する光の成分を増加させている。
【0014】
表示装置は、表示パネル10の面光源として使用されるバックライト20を有する。バックライト20は、光源22を有する。光源22は、LED(Light Emitting Diode)などの点光源である。点光源は、面光源に比べて発光領域が狭い。
【0015】
バックライト20は、導光板24を含む。導光板24の端面26に、光源22から光が入射する。導光板24の表面28から、光が面状に出射する。導光板24は、光源22(点光源)の光を面光源に変換して表示パネル10に照射するためのものである。
【0016】
導光板24の裏面30には、複数の第1凸部32(縦突出部)が形成されている。第1凸部32は、光の進行方向に沿って稜線が続く。第1凸部32を形成することで、裏面30を界面として反射して内部に戻る光の拡がりを抑えている。
【0017】
導光板24の表面28には、複数の第2凸部34(横突出部)が形成されている。第2凸部34は、光の進行方向に交差して稜線が続く。第2凸部34を形成することで、裏面30で反射した光が表面28で戻らずに出射する。
【0018】
導光板24の上(表示パネル10に近い側)に、光拡散シート36が配置されている。光拡散シート36は弱い光拡散作用を持つので、これを光が透過することで導光板からの光分布への影響が弱められる。光拡散シート36の上(表示パネル10に近い側)には、2枚のプリズムシート38が配置されている。プリズムシート38を光が透過することで、光を正面に集光させ、正面輝度を向上させることができる。また、導光板24の下(表示パネル10とは反対側)には反射シート40が配置されている。表示装置は、フレーム42を有し、フレーム42の内側にバックライト20が配置されている。
【0019】
図2は、導光板24及び光源22の全体平面図である。図2に示すように、導光板24に対向するように光源22が配置されている。
【0020】
図3は、導光板24及び光源22の一部拡大平面図である。図3に示すように、光源22が対向する導光板24の端面26は、平坦面48と平坦面48から突出する凸面50とを有する。平坦面48に垂直な方向に光源22から進行する光は、平坦面48では直進するのに対して、凸面50では屈折により拡がって導光板24に入射する。
【0021】
凸面50は、複数の湾曲面として円筒面52が一体化された形状をなしている。複数の円筒面52の配列方向で凸面50の両端部に位置する一対の円筒面52は、それぞれ、平坦面48に隣接している。複数の円筒面52の配列方向での平坦面48の幅Wは、設計するバックライトの仕様によって決まる。隣同士の円筒面52は、平坦面48よりも凸面50の突出方向にずれた位置で相互に接続する。
【0022】
図4は、導光板24の凸面50の形状を説明するための図である。光が出射する表面28に平行な面で切った断面で、複数の円筒面52によって複数の弧54が表れ、平坦面48によって直線56が表れる。複数の弧54(複数の円筒面52)は、それぞれ、光が出射する表面28に直交する複数の中心軸58の周りにそれぞれ形成されている。複数の弧54は、半径が等しくなるように設計されている。あるいは、複数の弧54の半径は、それぞれ、基準値±15%以内の長さである。
【0023】
複数の弧54の中心点(中心軸58)は、それぞれ、平坦面48によって表れる直線56に平行に一列に並ぶ。配列方向の両端のそれぞれに位置する1つの弧54は、平坦面48によって表れる直線56と接続する。直線56との接続点で1つの弧54に接する第1接線60と直線56(又はその平行線)とのなす角度αは、第1接線60が接する1つの弧54の側において70°である。隣同士の弧54の接続点で隣同士の弧54の一方に接する第2接線62と直線56(又はその平行線)とのなす角度βは、第2接線62が接する弧54の側において40°である。
【0024】
本実施形態によれば、平坦面48に垂直な方向に進行して導光板24に入射する光は、図3に示すように、平坦面48では直進し、円筒面52の平坦面48に隣接する領域では大きく屈折し、隣の円筒面52に隣接する領域では小さく屈折する。これにより、配光のバランスを調整して、バックライト20の輝度むらを低減し、面光源28として利用可能な領域の面積を拡大することができる。
【実施例】
【0025】
図5は、実施例及び比較例に係る導光板の配光特性を示すグラフである。図6は、比較例1に係る導光板の形状を示す図である。図7は、比較例1に係る導光板の暗部を示す図である。
【0026】
図6に示す導光板124の光が入射する端面126は、複数の円筒面152からなり、平坦面が無い。円筒面152は、弧154を描いており、隣同士の弧154の接続点が直線156に沿って並ぶようになっている。隣同士の弧154の接続点で隣同士の弧154の一方に接する接線160と直線156とのなす角度βは、接線160が接する弧154の側において40°である。この例では、図5に示すように、光の拡がりが少ない。そのため、図7に示すように、導光板124の光が出射する表面128に、暗部164が形成される。
【0027】
次に、図8は、比較例2に係る導光板の形状を示す図である。図9は、比較例2に係る導光板の暗部及び輝部を示す図である。
【0028】
図8に示す導光板224の光が入射する端面226は、複数の円筒面252からなり、平坦面が無い。円筒面252は、弧254を描いており、隣同士の弧254の接続点が直線256に沿って並ぶようになっている。隣同士の弧254の接続点で隣同士の弧254の一方に接する接線260と直線256とのなす角度αは、接線260が接する弧254の側において70°である。この例では、図5に示すように、光の拡がりが大きくなるため、図9に示すように、暗部264は小さくなるが、明るさが際立つ輝部266が形成される。輝部266は、発光効率の良い45°付近の角度での光量が多いことに起因すると考えられる。
【0029】
次に、図10は、比較例3に係る導光板の形状を示す図である。図11は、比較例3に係る導光板の暗部を示す図である。
【0030】
図10に示す導光板324の光が入射する端面326は、複数の円筒面352を含み、隣同士の円筒面352の間に平坦面348がある。円筒面352の形状は、図8に示すものと同じであり、接線360と直線356の角度αは70°である。この例では、図5に示すように、40〜45°付近の光の光量が急激に減少する。そのため、図11に示すように、比較例2の輝部266は無くなるが、比較例2と同様の暗部364の他に、さらに暗部366が形成される。
【0031】
図5に示すように、本実施例は、比較例1と比べて光の拡がりが大きく、比較例2と比べて明らかなように45°付近での光量が多すぎることがなく、比較例3と比べて急激に光量が減少する角度が存在しない。したがって、暗部が小さくなるとともに、明るすぎる部分も存在しない。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。例えば、図12図13に示すように、円筒面を楕円筒面400、又は2次曲面402の置き換えても本発明の効果は同様に現れる。あるいは、図14図15図16に示したように、平坦面から突出する円筒面、楕円筒面、又は2次曲面の凸面を窪んだ円筒面404、楕円筒面406、又は2次曲面の凹面408に置き換えても同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0033】
10 表示パネル、12 基板、14 液晶層、16 偏光板、18 フィルム、20 バックライト、22 光源、24 導光板、26 端面、28 表面、30 裏面、32 第1凸部、34 第2凸部、36 光拡散シート、38 プリズムシート、40 反射シート、42 フレーム、48 平坦面、50 凸面、52 円筒面、54 弧、56 直線、58 中心軸、60 第1接線、62 第2接線、124 導光板、126 端面、152 円筒面、154 弧、156 直線、160 接線、164 暗部、224 導光板、226 端面、252 円筒面、254 弧、256 直線、260 接線、264 暗部、266 輝部、324 導光板、326 端面、348 平坦面、352 円筒面、356 直線、360 接線、364 暗部、366 暗部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16