(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773795
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/10 20060101AFI20150813BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150813BHJP
【FI】
F21S8/10 371
F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-172999(P2011-172999)
(22)【出願日】2011年8月8日
(65)【公開番号】特開2013-37885(P2013-37885A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】西城 彰
【審査官】
柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−285766(JP,A)
【文献】
実公昭55−016771(JP,Y1)
【文献】
特開2005−327649(JP,A)
【文献】
特開2009−252608(JP,A)
【文献】
特開2002−100212(JP,A)
【文献】
特開2009−146722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い導光体と、
前記導光体の内部に光を出射する光源と、
車両後方側に開口を有する中空部が形成された末端部と、を備え、
前記導光体の車両後方側の面に不透明の塗装が施され、
前記導光体と前記末端部とが一体的に成型され、
前記光源が前記中空部に配置され、前記開口が封止され、
前記導光体の車両後方側の面に、該導光体内部の光を反射するためのステップが形成され、該ステップの後方に前記塗装が施されていることを特徴とする灯具。
【請求項2】
前記末端部は、前記中空部の前方に形成されたレンズと、該レンズと前記中空部との間に配置された第2光源とをさらに備え、
前記第2光源の点灯時に前記レンズが所定の配光を形成することを特徴とする請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記中空部の導光体側の側壁に、前記光源からの出射光を集光する凸状の受光部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の灯具。
【請求項4】
前記塗装が前記末端部の底面にも施されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯とともに使用される灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、前照灯以外にも様々な灯具が搭載される。特許文献1には、バンパー本体の帯状緩衝部材の両側端部を内面に反射面が形成された透光物質からなる反射部材で形成し、この反射部材の一方の末端部にパンバー本体の内側から光を照射して透光反射させることにより反射部材を光輝させるようにした車両用バンパーが開示されている。バンパー本体の内側に照射窓を通して照射装置が対向させて設けられており、この照射装置は灯体と電球とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭55−16771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、透光部材が剥き出しの状態になっているため、車両の走行中に透光部材の裏側に泥等が浸入するおそれがある。透光部材は透明であるので、透光部材の裏側に浸入した泥が車両正面から観察されてしまい見映えが悪くなるという問題が生じる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、剥き出しに配置された導光体を備える灯具において、導光体の裏側に泥等が浸入した場合でも見映えを低下させない技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、車両用前照灯のアウターレンズ外部に配置される灯具である。この灯具は、細長い導光体と、前記導光体の内部に光を出射する光源と、車両後方側に開口を有する中空部が形成された末端部と、を備える。導光体の車両後方側の面に不透明の塗装が施され、導光体と末端部とは一体的に成型され、光源が中空部に配置され、開口が封止される。
【0007】
この態様によると、導光体の車両後方側の面に不透明の塗装が施されているので、導光体の裏側に泥等が浸入しても車両の正面からは観察されず、見映えが悪くならない。また、導光体と光源が内部に配置される末端部とが一体成型されているので、部品点数を削減できる。
【0008】
末端部は、中空部の前方に形成されたレンズと、該レンズと中空部との間に配置された第2光源とをさらに備え、第2光源の点灯時にレンズが所定の配光を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光体を備える灯具において、導光体の裏側に泥等が浸入した場合でも見映えが悪くならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る灯具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る灯具であるクリアランスランプ40の正面図である。
【0012】
クリアランスランプ40は、前照灯と隣接して配置され、前照灯の非点灯時に他車両や歩行者に自車両の存在を知らせるためのものである。クリアランスランプ40は、細長い導光体42と、導光体42の下端に位置する末端部44とで構成される。導光体42と末端部44はともに透明合成樹脂製であり、一体成型されることが好ましい。
【0013】
クリアランスランプ40は、後述するように末端部44の内部に配置された白色LED等の半導体発光素子を光源として使用する。導光体42内の導光の強さは光路長が長くなる先端側に行くほど弱くなるため、半導体発光素子からの光が入射する導光体42の末端部側(
図1の左側)から先端部側(
図1の右側)にかけて徐々にその幅が狭くかつその厚さが薄くなるように形成されている。これにより、導光体42の末端から先端までの照度が略均一化される。
【0014】
クリアランスランプ40の導光体42および末端部44は、前面にカバーを有しておらず、外部環境に対して剥き出しの状態で車両前部に取り付けられる。クリアランスランプ40をカバーの内部に配置する必要がないので、クリアランスランプ40の組み付け順序の自由度が高くなる。
【0015】
図2は、
図1B−B線に沿った末端部44の断面図であり、
図3は、
図1のC−C線に沿った導光体42の断面図である。
【0016】
図2に示すように、末端部44には、車両後方側に開口を有する中空部48が形成されている。中空部48はキャップ50によって封止されており、水や土等の内部への浸入を防止している。中空部48の車両前方側には凸レンズ46が形成されている。凸レンズ46は、クリアランスランプとしての所定の配光が形成されるように調整される。
【0017】
中空部48内には、発光素子62、64からの出射光を凸レンズまたは導光体の内部に導くために、二箇所の受光部52、54が形成されている。中空部48の上面に形成された受光部52は、受光部52に隣接して配置された発光素子62から出射した光を凸レンズ46内に導く。中空部48の導光体42側の側壁に形成された受光部54は凸状に形成されている。受光部54に隣接して配置された発光素子64からの出射光を集光するように屈折させて導光体内部に導くことで、発光素子64からの光を有効利用することができる。
【0018】
図3に示すように、導光体42の断面のうち上面すなわち車両前面側は、長手方向の全長にわたって円弧状に形成される。導光体42の上面には、導光体42内部の光を発射するためのステップまたはシボ66が形成されていてもよい。導光体42の断面のうち底面すなわち車両後方側は、長手方向の全長にわたって平坦に形成される。
【0019】
上述のように、本実施形態のクリアランスランプ40は、車両前方側にカバーを備えていない。そのため、車両の走行中に、導光体42の裏側、すなわち導光体42の底面とエクステンション36との間に水滴や泥等が浸入する可能性がある。導光体42の裏側に水滴がつくと、導光体内部を進む光の屈折率が変化して配光むらが生じる可能性がある。また、導光体42の裏側に泥が入ると、導光体が透明であるため車両正面から観察したとき泥が見えてしまい、見映えが悪くなってしまう。
【0020】
そこで、本実施形態では、導光体42の平坦な底面に不透明の塗装70が施されている。この塗装により、導光体42の裏側に水滴や泥等が浸入した場合でも、配光むらの発生や見映えの悪化を防止することができる。また、クリアランスランプの発光時に導光体42が塗装70の色に光るので、見映えを高めることができる。
【0021】
塗装70は例えば銀色の塗装膜により形成されるが、光を通さない限り、材料および形成方法に制限はない。塗装70は、末端部44およびキャップ50の底面にも同様に施されてもよい。
【0022】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。また、本発明は、クリアランスランプの他、フロントターンシグナルランプや車両の後方に設置されるテールランプ、ストップランプ等、様々な設置場所や灯具の種類に適用することができる
【符号の説明】
【0023】
40 クリアランスランプ、 42 導光体、 44 末端部、 46 凸レンズ、 48 中空部、 50 キャップ、 52、54 受光部、 62、64 発光素子、 70 塗装、 100 灯具ユニット。