特許第5773802号(P5773802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773802
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/02 20060101AFI20150813BHJP
   D06F 21/06 20060101ALI20150813BHJP
   D06F 37/42 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   D06F33/02 P
   D06F21/06
   D06F37/42 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-180442(P2011-180442)
(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公開番号】特開2013-42784(P2013-42784A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】世渡 智和
(72)【発明者】
【氏名】秋田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 弘樹
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−344338(JP,A)
【文献】 特開平10−118388(JP,A)
【文献】 実開平03−034483(JP,U)
【文献】 特開2012−205778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 21/06
D06F 23/04
D06F 33/02
D06F 37/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の外郭を形成する筐体内に、縦軸周りに回転可能に設けられた回転槽と、該回転槽を内包するように設けられた水槽とを有し、前記水槽は防振支持装置を介して弾性的に支持された洗濯機において、
前記水槽の外側面の上部に設けられ、前記水槽の振動を電気的に検知する電気的振動検知手段と、
前記水槽の外側面から所定の間隙を介して対峙するように設けられ、前記水槽の振動を機械的に検知する機械的振動検知手段と、
前記電気的振動検知手段から出力された検出信号のレベルが、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力され得るレベルを越えているときに、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力されていないときには、前記機械的振動検知手段が故障していると判断する故障判断手段とを備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記故障判断手段は、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力されているときに、前記電気的振動検知手段から出力された検出信号のレベルが、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力され得るレベルを越えていないときには、前記電気的振動検知手段が故障していると判断することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記電気的振動検知手段または前記機械的振動検知手段のうちの一方が故障したと判断されたときに、ユーザーに前記一方が故障したことを報知することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記電気的振動検知手段または前記機械的振動検知手段のうちの一方が故障したと判断されたときに、モータの制御用の閾値を安全側に変更することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項5】
前記電気的振動検知手段または前記機械的振動検知手段のうちの一方が故障したと判断されたときに、他方のものだけで運転を続けられるように、運転制御を変更することを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
【請求項6】
前記故障判断手段は、前記回転槽の回転を阻止する状態と回転を許容する状態とを切り替えるクラッチの位置を検知することに基づいて前記回転槽の回転を許容する状態のときに、前記電気的振動検知手段または前記機械的振動検知手段の故障判断処理を実行することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
縦軸型の全自動洗濯機において、脱水運転時等に水槽(外槽)が大きく揺れたことを検知する場合、上部カバーに取り付けられた安全レバー(機械的振動検知手段)に上記水槽が接触したか否かを検知することで上記水槽の大きな揺れを検知していた。
【0003】
しかし、上記従来構成の全自動洗濯機では、水槽が安全レバーに強く当たったりなどした場合、安全レバーの棒が折れたり、歪んだりすることがあった。このような場合、水槽の大きな揺れを検知する動作が不安定になるという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−43469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、機械的振動検知手段の棒が折れたり、歪んだりする故障があっても、水槽の大きな揺れを精度良く検知することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の洗濯機によれば、洗濯機の外郭を形成する筐体内に、縦軸周りに回転可能に設けられた回転槽と、該回転槽を内包するように設けられた水槽とを有し、前記水槽は防振支持装置を介して弾性的に支持されている。前記水槽の外側面の上部に、前記水槽の振動を電気的に検知する電気的振動検知手段が設けられている。前記水槽の外側面から所定の間隙を介して対峙するように、前記水槽の振動を機械的に検知する機械的振動検知手段が設けられている。前記電気的振動検知手段から出力された検出信号のレベルが、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力され得るレベルを越えているときに、前記機械的振動検知手段から異常検知信号が出力されていないときには、前記機械的振動検知手段が故障していると判断する故障判断手段を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態を示す脱水兼用洗濯機の縦断側面図
図2】故障検知制御のフローチャート
図3】第2実施形態を示す図2相当図
図4】制御プログラムの閾値を変更する例を説明する表を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による洗濯機を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において実質的に同一の構成部品には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、図1には、洗濯機、中でも全自動式の縦軸型の脱水兼用洗濯機の全体構成を示している。本実施形態に示す洗濯機は、例えば洗い運転から乾燥運転までを自動的に行なうものである。洗濯機の外郭を形成する中空箱状の筐体1は、図1に示す如く箱状の外箱2と、この外箱2の上面を覆うように被着されたトップカバー3とから構成されている。筐体1内には、回転槽4及び水槽5が設けられている。
【0009】
上記トップカバー3には、中央部に洗濯物出入口6を形成していて、該洗濯物出入口6を開閉する例えば二つ折りの洗濯蓋7を回動可能に取付けている。このトップカバー3の前方外面には操作パネル8が設けられ、その内部には制御装置9が設けられている。制御装置9は、図示しないCPU、ROM、RAMなどで構成されたマイクロコンピュータを主体としており、洗濯機の作動全般を制御する機能を担う。
【0010】
トップカバー3の後方部には、大きく隆起した空間をなす機構室3aを形成していて、その内部に後述する給水手段や安全レバー装置が設けられている。給水手段は、図示しない水道の蛇口に接続される給水弁10、図示しない柔軟仕上剤等を供給すべくセット可能な給水ケース11、および給水パイプ12を有して構成されている。給水パイプ12の先端部は、前記水槽5内に連通接続されている。
【0011】
一方、筐体1を構成する外箱2内には、前記水槽5を吊り棒装置を介して弾性的に支持している。すなわち、外箱2の四隅部の上部から夫々吊り棒13を揺動可能に垂下するとともに、各吊り棒13の下端部に弾性部材としてコイルばね14を装着し、該コイルばね14を介して水槽5を吊持したものであり、もって弾性支持する吊り棒装置を構成している。このように、吊り棒装置を介して水槽5を弾性的に支持することは、水槽5の振動を緩衝して外箱2側への振動伝達を抑制する所謂防振支持装置として機能する。
【0012】
ここで、上記水槽5の具体構成につき述べると、水槽5は上面を開放した有底円筒状をなし、この底部の外面側には、図示しないモータを主体とする駆動装置15を取付けるとともに、水槽5から排水するための排水弁16および排水ホース17を配設している。
また、水槽5の上面を覆うように円盤状をなす水槽カバー18を嵌合するように被着している。
【0013】
この水槽カバー18の後部には、内外を連通した給水パイプ接続口(図示しない)が設けられていて、該接続口に前記給水パイプ12が接続されている。この給水パイプ接続口の裏面側には、これと対向する位置に給水ガイド部材20が一体的に設けられており、例えば給水をシャワー状にして槽内方側に指向して供給可能としている。また、水槽カバー18の中央側には、洗濯物出し入れ用の開口18aを有し、この開口18aを開閉する内蓋21を回動可能に設けている。従って、内蓋21が開口18aを閉鎖状態にあるとき、水槽5は実質的に閉鎖された空間を形成する。
【0014】
次いで、上記回転槽4の具体構成について述べる。回転槽4は、前記水槽5の内部に回転可能に設けられており、水槽5と同様に有底円筒状をなし周壁に多数の透孔4aや凸部4bを設けており、上端開口部には液体バランサ22を取付固定している。回転槽4の底部中央には、前記駆動装置15から延出され水槽5底部を貫通して突出した中空筒状の脱水軸23が連結されている。この脱水軸23の中空部分には洗濯軸24が挿通され、その上端部を回転槽4の内底部に配置した撹拌体25と連結固定している。
【0015】
ところで、駆動装置15には、洗い運転と脱水運転における回転伝達を切り換えるクラッチ機構(図示せず)を具備している。制御装置9は、洗い運転時には、クラッチ機構のクラッチ(図示せず)を切り替えて洗い側(即ち、回転槽4の回転を阻止する状態)へ位置させ、洗濯軸24を駆動して撹拌体25を正逆回転させる。また、脱水運転時には、クラッチ機構のクラッチを切り替えて脱水側(即ち、回転槽4の回転を許容する状態)へ位置させ、脱水軸23の回転駆動を有効化して回転槽4を一方向に高速回転させる。
【0016】
そして、前記トップカバー3の機構室3aに設けた安全レバー装置26は、詳細な説明は省略するが外箱2内に垂下する安全レバー(機械的振動検知手段)27を具備している。この安全レバー27は、水槽5の外側面と上下方向にラップする位置まで垂下され、且つ、径方向に所定の間隙を介して対峙するとともに揺動可能に設けられている。従って、水槽5が振動により上記所定の間隙よりも外方への揺れが大きくなったとき、水槽5の外側面が安全レバー27に当接するように、該安全レバー27の所定位置が定められている。なお、当接した場合には、安全レバー27の動作変位を受けて安全レバー装置26が具備するスイッチ機能(図示しない)が応答し、つまり振動検知手段として機能するもので、この検知結果は前記制御装置9に入力される構成となっている。
【0017】
このように、安全レバー27の機械的な変位に基づく機械的振動検知手段に対し、水槽5の振動を電気的に検知する電気的振動検知手段として例えば加速度センサ28を水槽5の外側面に取付固定している。この加速度センサ28は、例えば上下左右の2軸加速度センサであり、例えば半導体装置で構成されている。加速度センサ28の取付位置は、水槽5の振動振幅が顕著に表れる水槽5上部の外側面となっている。
【0018】
また、トップカバー3の機構室3a内には、前記給水弁10や給水ケース11等の給水手段と隣接して温風供給装置31を設けている。該温風供給装置31は、詳細な説明は省略するが背面側の吸気路32から外気を吸引する送風機(図示しない)と、該送風機から吐出される送風を加熱するヒータ(図示しない)とを具備して構成されている。前記送風機は、ヒータで加熱されて温風化された乾燥風を、供給パイプ(図示しない)および該供給パイプを接続する供給パイプ接続口(図示しない)を介して水槽5内(回転槽4内)に供給可能としている。
【0019】
従って、上記した乾燥風は、前記したように内蓋21で閉鎖され実質的に閉鎖された空間を形成する水槽5内に供給されることで、回転槽4内にも十分に供給可能となっている。この場合、例えば回転槽4を低速回転させながら上記乾燥風を供給することで、収容された洗濯物の乾燥作用が効果的に行なわれる構成となっている。
【0020】
乾燥作用を終えた乾燥風は、水槽5下部の連通口33から水槽5の背面側に設けた排気ダクト34に流入して上昇する。この排気ダクト34の上端部は、水槽カバー18の上面にまで延び、やゝ前方に至り排気口(図示しない)に着脱可能に設けた排気フィルタ(図示しない)を通して筐体1内の上方に排出する構成としている。その乾燥風は、例えば洗濯物出入口6を閉鎖した状態の洗濯蓋7の周囲の隙間や、必要に応じて洗濯蓋7などに設けた排気用の小孔を介して機外に排出される構成となっている。なお、上記排気フィルタは洗濯蓋7を開放した状態で視認でき着脱操作を可能とする位置に設けてあり、保守点検を容易にしている。
【0021】
このように、温風供給装置31と、該温風供給装置31にて温風化した乾燥風を水槽5内に供給し、排気ダクト34を経て水槽5外に排出するようにしてなる所謂乾燥風ダクトとを具備した構成は、洗濯物を乾燥する機能(乾燥機能)を構成するものである。
【0022】
そして、乾燥風ダクトを構成する排気ダクト34は、水槽5の外側面から後方たる外方に突出した形態である。この突出した部位が、水槽5の振動により外箱2の背面を形成する蓋体35と衝突しないように、蓋体35は外方(後方)に大きく膨出した構成となっている。なお、蓋体35は、外箱2の背面側に形成された保守点検用の開口部29をねじ等により着脱可能に閉鎖する部材である。上記加速度センサ28は、開口部29から水槽5に取り付けられた該加速度センサ28を直視できる位置に配設されており、開口部29を介して保守点検作業が可能となっている。
【0023】
ここで、前記排気ダクト34は、その突出部位が加速度センサ28の近傍から外方に突出する構成となっており、その突出量は加速度センサ28の突出量より大きくなっている。このため、排気ダクト34は、水槽5が大きく揺れた場合でも加速度センサ28が筐体1の背面側を構成する外箱2側と直接衝突することがないように作用し、つまり加速度センサ28を保護する機能を有するものである。
【0024】
尚、水槽5と筐体1(この場合、外箱2)との隙間は、コンパクト化のためにできるだけ小さく抑えた構成となしており、例えば本実施形態では筐体1の側方において最小隙間が例えば26mm程度と狭小である。そして、前記安全レバー27と水槽5の外側面との間の所定の間隙は、水槽5の外側面と外箱2内側面との間の上記最小隙間よりも小さく設定されている。
【0025】
次に、上記構成の洗濯機の作用について説明する。
通常、この種脱水兼用洗濯機では、操作パネル8の操作により所望の運転モード等が設定され、その操作信号を受けて前記制御装置9が予め記憶された制御プログラム等に基づき、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各行程(運転)を自動的に実行する。制御装置9は、故障判断手段としての機能を有している。
【0026】
上記各行程において、安全レバー27による検知結果と加速度センサ28による検知結果とに基づいて安全レバー27または加速度センサ28の故障を判断する故障判断制御について、図2のフローチャートに従って説明する。
【0027】
まず、図2のステップS10において、即ち、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各行程のいずれか1つの行程を実行中において、ステップS20へ進み、安全レバー27が水槽5の振動の異常を検知していないか否かを判断する。ここで、安全レバー27が異常検知していないときには、ステップS20にて「YES」へ進み、ステップS30へ進む。このステップS30では、加速度センサ28による水槽5の振動の検知結果が所定の閾値以下であるか否かを判断する。
【0028】
ここで、加速度センサ28の検知結果が閾値以下であれば、この場合は、安全レバー27が異常検知しておらず、且つ、加速度センサ28の検知結果が閾値以下であるから、異常振動が発生していないと判断できることから、ステップS30にて「YES」へ進み、ステップS40へ進む。このステップS40では、実行中の行程が終了したか否かを判断する。ここで、行程が終了していなければ、ステップS40にて、「NO」へ進み、ステップS10へ戻り、行程を続行し、以下上述した処理を繰り返す。また、ステップS40において、実行中の行程が終了すれば、「YES」へ進み、ステップS100へ進み、次の行程へ進む。
【0029】
さて、上記ステップS20において、安全レバー27が異常検知したときには、ステップS20にて「NO」へ進み、ステップS50へ進む。このステップS50では、加速度センサ28による振動の検知結果(検出信号のレベル)が、安全レバー27が動作し得る閾値(即ち、安全レバー27が異常を検知し得る閾値(レベル))を越えているか否かを判断する。
【0030】
ここで、加速度センサ28の検知結果が、安全レバー27が動作し得る閾値を越えておれば、安全レバー27及び加速度センサ28が共に正常に動作していると判断できることから、ステップS50にて「YES」へ進み、ステップS90へ進む。このステップS90では、実行中の行程(運転)の運転制御を、異常振動が極力発生しないように対策する周知の運転制御に変更する。例えば、脱水行程において異常振動が発生した場合には、回転槽4の回転による脱水運転を一時停止した後、駆動装置15を再起動する際には、回転槽4の回転速度を、間欠的に徐々に上昇するよう運転制御し、その遠心作用に応じて脱水も徐々に行なわれるようにする。この脱水運転制御の変更は、異常振動の発生(アンバランス状態の発生)を回避する上で有効な運転制御であり、従って再起動後は水槽5と安全レバー27とは当接することがなく正常な脱水運転が実行される確率を高めることができる。この後は、ステップS10へ戻り、以下上述した処理を繰り返す。
【0031】
一方、ステップS50において、加速度センサ28の検知結果が、安全レバー27が動作し得る閾値を越えていない場合は、安全レバー27は正常に動作しているが、加速度センサ28の動作が異常(故障)であると判断できることから、ステップS50にて「NO」へ進み、ステップS60へ進む。このステップS60では、加速度センサ28の異常(故障)を検知し、それをユーザーに報知する、例えば加速度センサ異常に対応するエラーコードを表示装置に表示する。尚、上記異常報知は、異常検知時点及び洗濯運転終了時に実行することが好ましい。そして、この場合、安全レバー27は正常であるから、洗濯運転および脱水運転を続行することが可能であり、ステップS80へ進む。
【0032】
このステップS80では、異常が検知された一方のセンサ、この場合、加速度センサ28からの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更する。続いて、ステップS40へ進み、実行中の行程が終了したか否かを判断し、以下上述した処理を繰り返す。
【0033】
また、上記ステップS30において、加速度センサ28の検知結果が閾値以下でない場合は、加速度センサ28は正常に動作しているが、安全レバー27の動作が異常(故障)であると判断できることから、ステップS30にて「NO」へ進み、ステップS70へ進む。このステップS70では、安全レバー27の異常を検知し、それをユーザーに報知する、例えば安全レバー異常に対応するエラーコードを表示装置に表示する。尚、上記異常報知は、異常検知時点及び洗濯運転終了時に実行することが好ましい。そして、この場合、加速度センサ28は正常であるから、洗濯運転を続行することが可能であり、ステップS80へ進む。
【0034】
ステップS80では、異常が検知された一方のセンサ、この場合、安全レバー27からの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更する。続いて、ステップS40へ進み、実行中の行程が終了したか否かを判断し、以下上述した処理を繰り返す。
【0035】
このような構成の本実施形態によれば、安全レバー27が異常検知したときに、加速度センサ28の検知結果が、安全レバー27が動作し得る閾値を越えていない場合は、安全レバー27は正常に動作しているが、加速度センサ28の動作が異常(故障)であると判断することができる。そして、本実施形態では、加速度センサ28の異常(故障)を検知し、それをユーザーに報知するように構成したので、ユーザーは、加速度センサ28の修理等のメンテナンスを依頼することができる。また、本実施形態では、異常が検知された一方のセンサ、この場合、加速度センサ28からの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更する構成としたので、正常な安全レバー27に基づいて洗濯運転および脱水運転を続行することが可能である。
【0036】
また、上記実施形態においては、安全レバー27が異常検知していないときに、加速度センサ28の検知結果が閾値以下でない場合は、加速度センサ28は正常に動作しているが、安全レバー27の動作が異常(故障)であると判断することができる。そして、本実施形態では、安全レバー27の異常(故障)を検知し、それをユーザーに報知するように構成したので、ユーザーは、安全レバー27の修理等のメンテナンスを依頼することができる。また、本実施形態では、異常が検知された一方のセンサ、この場合、安全レバー27からの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更する構成としたので、正常な加速度センサ28に基づいて洗濯運転および脱水運転を続行することが可能である。
【0037】
また、上記実施形態においては、水槽5の外側面から外方に突出する排気ダクト34を設け、該排気ダクト34の突出部位の突出基部の近傍にあって、水槽5の外側面に加速度センサ28を取付固定し、加速度センサ28の外方への突出量より、排気ダクト34の同突出量を大きくした。このため、排気ダクト34の水槽5外側面より外方に突出した突出部位によって、加速度センサ28が外箱2側に直接衝突することを回避することができ、加速度センサ28を保護することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図3及び図4は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一ステップには同一ステップ符号を付している。この第2実施形態では、第1実施形態のステップS80に代わるステップS180において、異常が検知された一方のセンサ(安全レバー27または加速度センサ28)からの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更すると共に、制御プログラムの閾値を安全側に変更する。
【0039】
具体的に説明するに、まず、安全レバー27及び加速度センサ28が共に正常な場合は、図4(a)に示すように、加速度センサ28の閾値を通常の値とし、安全レバー27の検知回数を3回としている。
【0040】
これに対して、加速度センサ28の異常時には、図4(b)に示すように、加速度センサ28が故障しているとして、検知不可に設定する。そして、安全レバー27の検知回数を3回から2回に低下させている(即ち、異常振動の検知を検知し易くしている)。更に、制御プログラムのその他の変更として例えばモータ制御を変更しても良い。具体的には、脱水運転の立ち上り回転数の上昇値を遅くすると共に、脱水運転の回転数の最大値を低くする。例えば、脱水運転の立ち上り回転数の上昇値を、毎秒10回転UPを毎秒6回転UPに変更すると共に、脱水運転の回転数の最大値を、900rpmから750rpmに変更する。
【0041】
また、安全レバー27の異常時には、図4(c)に示すように、安全レバー27が故障しているとして、検知不可に設定する。そして、加速度センサ28の検知用の閾値を1ランク下げる(即ち、異常振動の検知を検知し易くする)。更に、制御プログラムのその他の変更として例えばモータ制御を変更しても良い。具体的には、脱水運転の立ち上り回転数の上昇値を遅くする。例えば、脱水運転の立ち上り回転数の上昇値を、毎秒10回転UPを毎秒6回転UPに変更する。
【0042】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、安全レバー27または加速度センサ28の一方が異常になったときに、異常が検知された一方のセンサからの検知信号を無視して動作(運転)できるように制御プログラムを変更すると共に、制御プログラムの閾値を安全側に変更する構成としたので、異常振動の発生を極力抑制することができる。
【0043】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を加えても良い。
例えば、脱水行程(運転)のときだけ、上記した安全レバー27及び加速度センサ28の故障診断を実行するように構成しても良い。この場合、脱水行程であるか否かの判断を、回転槽の回転を阻止する状態と回転を許容する状態とを切り替えるクラッチの位置を検知することにより、脱水行程(運転)であることを判断することが好ましい。
【0044】
また、上記した乾燥機能では、常に外気を吸入し乾燥に寄与した後の乾燥風(排気)を機外に排出する所謂排気タイプの構成につき述べたが、これに限らず、乾燥風を循環するタイプの循環ダクトを有する構成にも適用できる。従って、乾燥風ダクトとしては上記した排気ダクトに限定されない。
【0045】
その他、上記した第1、第2の実施形態に限らず、例えば各実施形態を適宜組み合わせて実施しても良いし、加速度センサ28は2軸に限らず、例えば3軸タイプとして振動方向を含む検知精度を高めることも可能であるなど、種々変形して実施可能である。また、電気的振動検知手段として、加速度センサ28を用いたが、これに限られるものではなく、例えば変位検知型の振動センサや速度検知型の振動センサ等を用いても良い。また、機械的振動検知手段として、安全レバー27を用いたが、これに限られるものではなく、例えば水槽5が振動してときに水槽5の外周部が衝突する部位に設けたマイクロスイッチを用いても良いし、水槽5の外周部に設けた電極板と、水槽5が振動してときに水槽5の外周部が衝突する部位に設けた電極板とからなる電極スイッチを用いても良い。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
図面中、1は筐体、4は回転槽、5は水槽、8は操作パネル、9は制御装置(故障判断手段)、15は駆動装置、16は排水弁、17は排水ホース、23は脱水軸、24は洗濯軸、25は撹拌体、26は安全レバー装置、27は安全レバー(機械的振動検知手段)、28は加速度センサ(電気的振動検知手段)、31は温風供給装置、34は排気ダクト、35は蓋体を示す。
図1
図2
図3
図4