(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
減圧機構に接続する微小部品吸着ノズルを下端に備えた軸体および軸体の周囲に備えられた軸体の昇降を案内する軸受からなる微小部品の昇降手段が複数個、それぞれの軸体の頂部および吸着ノズルの下端部を、それぞれが同一の高さにあるような位置関係にて軸体の幅方向に整列配置してなる微小部品の昇降機構、該昇降機構を支持固定している枠体、各昇降手段の軸体と軸受あるいは枠体とに係合して軸体をその頂部の高さが全て所定の高さになるように支持する弾性体、各軸体の頂部の上方に間隔を介して配置された押圧装置、任意の軸体の頂部と押圧装置の底面との間の間隔に挿入することが可能にされている押圧補助部材、そして押圧補助部材に接続し、該押圧補助部材を駆動して水平方向の移動かつ位置決めを行なう押圧補助部材駆動機構を含む微小部品配置ユニットであって、
上記昇降手段の軸受は軸体を回転可能に保持しており、該軸体は内部を中空とした管体から形成され、そして上記減圧機構は、該中空軸体の頂部に装着された、減圧源に接続される管路を有する減圧部材を含むことを特徴とする微小部品配置ユニット。
上記減圧部材は、中空軸体の頂部に装着される柱状回転部材と該柱状回転部材を回転可能に軸支する回転軸受とから構成され、上記の管路は、該柱状回転部材の底面から内部上方に垂直に延びる垂直管路部及び該垂直管路部の側面に設けられた開口部から該垂直管路部に交差する方向に延びる側管部を含み、そして該側管部は、柱状回転部材の周面と回転軸受の内周面との間に形成され、外気の侵入が封止部材により阻止されている環状空間部に気体の流通が可能なように接続されている請求項1に記載の微小部品配置ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の微小部品配置ユニットを、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の微小部品配置ユニット10の構成例を示す正面図である。そして
図2は、
図1の微小部品配置ユニット10の左側面図である。なお、上記の
図1において、電子部品91a〜91f、電子部品を収容するトレイ92、そして昇降機構15を支持固定している枠体16は、それぞれ断面として記入してある。
【0019】
図1及び
図2に示す微小部品配置ユニット10は、減圧機構に接続する微小部品吸着ノズル(例、吸着ノズル12a)を下端に備えた軸体(例、軸体13a)および軸体の周囲に備えられた軸体の昇降を案内する軸受81からなる微小部品の昇降手段(例、昇降手段15a)が複数個、それぞれの軸体の頂部および吸着ノズルの下端部を、それぞれが同一の高さにあるような位置関係にて軸体の幅方向に整列配置してなる微小部品の昇降機構15、昇降機構15を支持固定している枠体16、各昇降手段の軸体と枠体16とに係合して軸体をその頂部の高さが全て所定の高さになるように支持する弾性体17、各軸体の頂部の上方に間隔を介して配置された押圧装置51、任意の軸体の頂部と押圧装置51の底面との間の間隔に挿入することが可能にされている押圧補助部材61、そして押圧補助部材61に接続し、押圧補助部材61を駆動して水平方向の移動かつ位置決めを行なう押圧補助部材駆動機構71から構成されている。
このような構成を有する微小部品配置ユニットは、本特許出願の出願人により既に特許出願(出願番号:特願2010−99104)されている。
【0020】
図1及び
図2に示す本発明の微小部品配置ユニット10は、上記特許出願に記載した微小部品配置ユニットの発明の改良発明であって、上記昇降手段(例、昇降手段15a)の軸受81が軸体(例、軸体13a)を回転可能に保持しており、前記軸体が内部を中空とした管体から形成され、そして上記減圧機構が、前記中空軸体(例、軸体13a)の頂部に装着された、減圧源に接続される管路を有する減圧部材30を含むことに特徴がある。
【0021】
微小部品配置ユニット10は、例えば、その支持板19が電子部品実装装置が備える駆動装置に接続固定された状態にて電子部品実装装置に組み込まれる。この駆動装置の作動により、例えば、複数個の電子部品を収容しているトレイ92とプリント配線板(
図14:93)との間での微小部品配置ユニット10の高速での移動が繰り返して行なわれる。
【0022】
微小部品配置ユニット10には、例えば、昇降手段15a〜15fの六個が備えられている。昇降手段の個数(すなわち微小部品吸着ノズルを備える軸体の本数に相当する)は、通常は2〜30個、好ましくは3〜20個の範囲内、更に好ましくは4〜10個の範囲内に設定される。
【0023】
昇降手段15aは、減圧機構に接続する微小部品吸着ノズル12a、軸体13a、および軸受81から構成されている。軸受81は、軸体13aを回転可能に保持している。軸体13aは、内部を中空とした管体から形成されている。そして上記減圧機構は、前記中空軸体(例、軸体13a)の頂部に装着された、減圧源に接続される管路(
図7:30a)を有する減圧部材30を備えている。昇降手段15b〜15fの各々の構成は、昇降手段15aと同様である。
【0024】
以下では、昇降手段15a〜15fの構成や動作を、昇降手段15aを代表例として説明する。
【0025】
図1及び
図2に示す微小部品配置ユニット10の場合、昇降手段15aの減圧機構は、減圧源(図示していない)と、前記減圧源に接続される管路(
図7:30a)を有する減圧部材30から構成されている。
【0026】
減圧機構は、軸体13aの内部空間22を介して微小部品吸着ノズル12aに接続される。
【0027】
減圧源としては、例えば、エゼクタ真空ポンプに代表される公知のポンプ(図示していない)を用いることができる。
【0028】
減圧機構の減圧源を作動させ、減圧部材30の管路(
図7:30a)を介して軸体13aの内部空間22を減圧することにより、微小部品吸着ノズル12aの下端に電子部品を吸着させることができる。一方、減圧源の作動を停止して軸体13aの内部空間を外気圧と等しくする(あるいは外気圧よりも高い圧力にする)ことにより、微小部品吸着ノズル12aの下端から電子部品を離脱させることができる。
【0029】
軸体13aの周囲には、軸体13aの昇降を案内する軸受81が備えられている。軸受81は、軸体13aを回転可能に保持している。軸体13aの外周面には、それぞれ軸体13aの長さ方向に沿って延びる、軸体13aの周方向に沿って互いに間隔をあけて配置された複数本(例えば、4本)の直線溝14aが形成されている。軸受81としては、軸体13aの各直線溝14aに配置される複数個の転動体(図示していない)を備え、各転動体の各直線溝14aに沿った転動により軸体13aの昇降を案内し、そして各転動体と各直線溝14aとの係合により軸体13aを回転可能に保持する公知の直動軸受(例、ボールスプライン軸受)が用いられている。
【0030】
昇降手段15a〜15fは、それぞれの軸体の頂部および吸着ノズルの下端部を、それぞれが同一の高さにあるような位置関係にて軸体の幅方向に整列配置されていて、微小部品の昇降機構15を構成している。昇降機構15は(各昇降手段の軸受81と軸受81の周囲の装着した回転軸受82を介して)枠体16に支持固定されている。枠体16は(接続部材24と回転駆動装置83とを介して)支持板19に固定されている。
【0031】
微小部品配置ユニット10には、各昇降手段の軸体と枠体16とに係合して軸体をその頂部の高さが全て所定の高さになるように支持する弾性体17が備えられている。
図2に示すように、弾性体17は、筒体25aと減圧部材30とを介して軸体(例えば、軸体13a)に、そして筒体25bを介して枠体16に係合している。
【0032】
弾性体17としては、コイルばねが用いられている。コイルばねに代えて、例えば、ゴム製の筒体などを用いることもできる。なお、上記の「所定の高さ」とは、軸体を下降させた際に微小部品吸着ノズルの下端が電子部品(微小部品)に到達可能な高さを意味し、微小部品配置ユニットが組み込まれる装置に応じて適切な高さに設定される。
【0033】
例えば、軸体13aの頂部に装着した減圧部材30の頂部を押圧して下降させると、軸体13aと枠体16とに係合している弾性体17が短縮する。従って、上記の減圧部材30の押圧を停止すると、弾性体17が伸長して軸体13aが上昇する。
【0034】
上記弾性体は、軸体と軸受(例、軸受81)とに係合していてもよい。上記弾性体と軸体との係合、そして軸体と枠体(あるいは軸受)との係合については、後に詳しく説明する。
【0035】
複数本の軸体13a〜13fを昇降させるため、各軸体の頂部の上方に間隔(間隙)を介して押圧装置51が配置される。なお、前記のように各軸体の頂部には減圧部材30が装着されているため、上記「間隔」は、各減圧部材30の頂部の上方の間隔を意味する。すなわち、押圧装置51は、各減圧部材30の頂部の上方に間隔を介して配置される。
【0036】
押圧装置51は、各減圧部材30の上端面に対向する底面を有する可動ブロック52、可動ブロック52の上方に配設されていて、可動ブロック52の底面に対して平行に配置された回転軸53aを持つ回転駆動装置53、および回転駆動装置53の回転軸53aの中心とは異なる位置に一方の端部が接続され、他方の端部が可動ブロック52の前面(あるいは頂面)に接続されている、上記各端部を中心とする傾斜移動が可能なロッド54から構成されている。
【0037】
可動ブロック52と回転駆動装置53に備えられたプレート55とは、直動案内装置(リニアガイド)56、56を介して互いに接続されている。各直動案内装置56は、上下方向に伸びるレール56aとレール56aに滑動可能に装着されたスライダ56bとから構成されている。可動ブロック52は、各直動案内装置56のスライダ56bと共にレール56aに沿って移動(昇降)可能とされている。
【0038】
回転駆動装置53の回転軸53aを
図1に記入した矢印59aが示す方向(時計回り方向)に回転させると、ロッド54が可動ブロック52を押し下げ、これにより可動ブロック52が直動案内装置56のスライダ56bと共に下降する。一方、回転駆動装置53の回転軸53aを上記とは逆向き(反時計回り方向)に回転させると、ロッド54が可動ブロック52を引き上げ、これにより可動ブロック52は直動案内装置56のスライダ56bと共に上昇する。
【0039】
押圧装置51は、部品点数が少ないため、構成が簡単で軽量化が容易であるという利点を有している。なお、押圧装置51の回転駆動装置53及びロッド54は、可動ブロック52を上下方向に移動(昇降)させる直動駆動装置として機能している。この回転駆動装置53及びロッド54に代えて、公知の直動駆動装置を用いることができる。直動駆動装置の例としては、リニアモータ、あるいは回転駆動装置と送りねじとを組み合わせた直動駆動装置が挙げられる。
【0040】
微小部品配置ユニット10には、軸体13a〜13fのうちの任意の軸体の頂部と押圧装置51の底面(すなわち可動ブロック52の底面)との間の間隔(間隙)、すなわち各減圧部材30の頂部と押圧装置51の底面との間の間隔に挿入することが可能にされている押圧補助部材61と、押圧補助部材61に接続し、押圧補助部材61を駆動して水平方向の移動かつ位置決めを行なう押圧補助部材駆動機構71とが備えられている。
【0041】
図1及び
図2において、押圧補助部材61は、例えば、軸体13aの頂部と押圧装置51の底面との間の間隔(間隙)、すなわち軸体13aの頂部に装着した減圧部材30と押圧装置51の底面との間の間隔に挿入された状態にて示されている。
【0042】
押圧補助部材61を支持しているプレート62aは、直動案内装置63に固定されている。直動案内装置63は、上下方向に伸びるレール63aとレール63aに滑動可能に装着されたスライダ63bとから構成されている。レール63aはプレート62bに固定されていて、そしてスライダ63bはプレート62aに固定されている。プレート62aの下端面にはプレート62cが固定されている。プレート62b、62cは、弾性体64、64を介して互いに接続されている。弾性体64としては、例えば、コイルばねが用いられている。
【0043】
従って、押圧装置51の可動ブロック52を下降させることにより、押圧補助部材61は、可動ブロック52に押されて(押圧されて)、プレート62a、62c、およびスライダ63bと共にレール63aに沿って下方に移動(下降)する。この際、プレート62bとプレート62cとを接続している弾性体64が伸長する。このため、可動ブロック52を上昇させると、弾性体64が短縮して、押圧補助部材61は、プレート62a、62c、およびスライダ63bと共にレール63aに沿って上方に移動(上昇)する。このような機構により、押圧補助部材61の昇降が可能とされている。
【0044】
一方、上記の直動案内装置63を支持しているプレート62bは、別の直動案内装置65に固定されている。直動案内装置65は、水平方向に(軸体13a〜13fの整列方向に沿って)伸びるレール65aとレール65aに滑動可能に装着されたスライダ65bとから構成されている。レール65aは、支持板19から水平方向に伸びる棚板21の端面に固定されている。
【0045】
従って、押圧補助部材61は、プレート62a、62c、直動案内装置63、プレート62b、および直動案内装置65のスライダ65bと共にレール65aに沿って水平方向に(軸体13a〜13fの整列方向に沿って)移動することが可能とされている。
【0046】
押圧補助部材駆動機構71は、環状ベルト72と環状ベルト72の循環移動を実現する駆動装置73とから構成されている。
【0047】
駆動装置73は、回転軸74aを持つ回転駆動装置(例、モータ)74、回転軸74aに接続するプーリ75a、そして別の四個のプーリ75b〜75eから構成されている。
【0048】
環状ベルト72としては、タイミングベルトが用いられていて、環状ベルト72の内面を支持しているプーリ75a〜75cとしては、タイミングプーリが用いられている。
【0049】
環状ベルト72は、例えば、L字型の接続部材76を介して、上記押圧補助部材61を支持しているプレート62bに接続されている。従って、回転駆動装置74の回転軸74aを回転(あるいは逆回転)させ、環状ベルト72を循環移動させることにより、環状ベルト72に接続部材を介して接続している押圧補助部材61を、水平方向に移動して位置決めすることができる。
【0050】
環状ベルトを利用した押圧補助部材駆動機構71は、構成が簡単で軽量化が容易であるという利点を有している。なお、押圧補助部材駆動機構71は、押圧補助部材61を水平方向に移動させる直動駆動装置として機能している。この押圧補助部材駆動機構71に代えて、公知の直動駆動装置を用いることができる。直動駆動装置の例としては、リニアモータ、あるいは回転駆動装置と送りねじとを組み合わせた直動駆動装置が挙げられる。
【0051】
次に、押圧補助部材61の動作の一例について、添付の
図3〜
図5を参照しながら説明する。
図3〜
図5の各々には、
図1及び
図2に示す微小部品配置ユニット10の押圧装置51、押圧補助部材61、そして押圧補助部材駆動機構71が記入してある。
【0052】
図3に示すように、押圧補助部材駆動機構71の回転駆動装置(
図2:74)を作動させ、その回転軸に接続されたプーリ75aを、例えば、矢印79aが示す向きに回転させることにより、環状ベルト72を、矢印79bが示す方向に循環移動させる。これにより、押圧補助部材61が、矢印69aが示す方向(図にて右方向)に移動する。そして押圧補助部材61が任意の軸体の頂部の上方に移動したのち、上記回転駆動装置の作動を停止することにより、押圧補助部材61の水平方向の位置決めを行なうことができる。
【0053】
図4は、上記の位置決めの操作により、押圧補助部材61が、例えば、
図1に示す軸体13bの頂部の上方に位置決めされた状態を示している。
【0054】
そして
図4に示すように、押圧装置51の回転駆動装置(
図2:53)を作動させ、その回転軸53aを矢印59aが示す方向に回転させることにより、可動ブロック52を下降させる。この可動ブロック52に押圧されて、押圧補助部材61が矢印69bが示す方向に移動(下降)する。
【0055】
図5は、押圧補助部材61が下降した状態を示している。押圧補助部材61は、前記のように
図1に示す軸体13bの頂部の上方に位置決めされている。従って、前記のように押圧補助部材61を下降させることにより、押圧補助部材61が
図1に示す軸体13bの頂部に装着した減圧部材30を押圧する。これにより、軸体13bが微小部品吸着ノズル12bと共に下降する。この際に、軸体13bと枠体16とに係合している弾性体17が短縮する。そして押圧補助部材61を上昇させることにより、軸体13bを支持している弾性体17が伸長する。これにより、減圧部材30を頂部に備える軸体13bが、微小部品吸着ノズル12bと共に上昇する。
【0056】
従って、
図1及び
図2に示す微小部品配置ユニット10は、押圧補助部材駆動機構71を用いて押圧補助部材61を任意の軸体の頂部の上方に移動させて位置決めを行ない、次いで押圧装置51を用いて押圧補助部材61を昇降させることにより、この軸体をその下端に備えられた微小部品吸着ノズルと共に選択的に昇降させることができるため、すなわち各軸体毎に昇降駆動装置を設ける必要がないため、その構成が簡単で軽量化も容易である。
【0057】
また、微小部品配置ユニット10は、各軸体の周壁に透孔を形成し、各軸体の周囲に配設する複雑な構成の減圧機構を用いることなく、中空軸体の頂部に装着する減圧部材30を有する減圧機構を用いるため、その構成が更に簡単になる。
【0058】
そして、複数本の軸体13a〜13fはそれぞれ枠体16に支持固定されていて、各軸体が水平方向に移動することがないため、軸体を水平方向に移動させて高精度にて位置決めする駆動装置を用いる必要もない。
【0059】
図6は、
図1の微小部品配置ユニット10の軸体13aとその頂部に装着された減圧部材30の拡大図である。そして
図7は、
図6に記入した切断線VII−VII線に沿って切断した軸体13a及び減圧部材30の断面図である。
【0060】
減圧部材(本発明の減圧部材)30は、前記のように減圧源に接続される管路30aを有している。
【0061】
減圧部材30は、中空軸体13aの頂部に装着される柱状回転部材31と柱状回転部材31を回転可能に軸支する回転軸受32とから構成されている。
【0062】
そして管路30aは、柱状回転部材31の底面から内部上方に垂直に延びる垂直管路部31a及び垂直管路部31aの側面に設けられた開口部31bから垂直管路部31aに交差する方向に延びる側管部31cを含んでいる。側管部31cは、柱状回転部材31の周面と回転軸受32の内周面との間に形成され、外気の侵入が封止部材33により阻止されている環状空間部34に気体の流通が可能なように接続されている。
【0063】
本発明の減圧部材、例えば、上記減圧部材30を備える減圧機構を用いる場合、柱状回転部材31は、回転軸受32に対して回転移動するものの、前記回転軸受32に対して昇降することはない。これに対して、各軸体の周壁に透孔を形成し、各軸体の周囲を囲む枠体を用いた減圧機構を用いる場合、軸体はその周囲を囲む枠体に対して回転移動し、かつ上下方向にも昇降する。従って、本発明の減圧部材、例えば、上記減圧部材30では、柱状回転部材31と回転軸受32との間に配置される封止部材33により、環状空間部34への外気の流入が確実に阻止される。このため、中空軸体の内部空間が十分に減圧され、軸体の下端部に備えられた吸着ノズルによる微小部品の確実な吸着が可能になる。
【0064】
柱状回転部材31の底面の垂直管路部31aの下方の部位には、軸体13aの頂部が嵌め合わされ、柱状回転部材31の側壁に備えられたねじ31eで固定されている。
【0065】
軸体13aの頂部の外径と、軸体13aの頂部の外周側の垂直管路部31aの内径とは、概ね等しい寸法にされている。これにより、柱状回転部材31の垂直管路部31aへの外気の侵入が阻止されている。
【0066】
柱状回転部材の垂直管路部への外気の侵入を阻止するため、上記のような軸体の頂部とその外周側の垂直管路部の寸法の調節に代えて、あるいは前記の寸法の調節に加えて、軸体の頂部の周面とその外周側の垂直管路部の内周面との間に環状の封止部材(例、Oリング)を配置してもよく、あるいは軸体の頂面と、この頂面と対向する柱状回転部材の表面との間に環状の封止部材(例、Oリング)を配置してもよい。なお、上記の環状の封止部材が接触する表面には、この封止部材を部分的に収容可能な環状の溝を形成することもできる。
【0067】
柱状回転部材31の頂部に備えられているボルト31dは、硬度の高い材料(例えば、焼き入れ処理された鋼)から形成されている。これにより柱状回転部材31の頂面(すなわち上記ボルト31dの頂面)に、押圧補助部材(
図2:61)が繰り返し衝突した場合であっても、柱状回転部材の傷つきや組成変形の発生を抑制することができる。このため、柱状回転部材31(従って減圧部材30)が優れた耐久性を示すようになる。
【0068】
回転軸受32は、柱状回転部材31の周面に装着される回転軸受本体32aと、回転軸受本体32aを内周面に備える筒体32bから構成されている。筒体32bには上記環状空間部34に接続する透孔32cが形成されている。筒体32bの透孔32cには、例えば、減圧源に接続する管状体36の接続具35がねじ込み固定されている。
【0069】
環状空間部34は、柱状回転部材31の周囲に形成されている。従って、柱状回転部材31の垂直管路部31aの側面に、環状空間部34に接続する一つ又は二つ以上の側管を更に設けることもできる。
【0070】
環状空間部34への外気の侵入を阻止する封止部材33としては、公知の環状パッキンを用いることができる。環状パッキンとしては、例えば、径方向に切断した断面が略Y字形の環状パッキン(Yパッキンとも呼ばれている)、断面が略V字形の環状パッキン(Vパッキンとも呼ばれている)、あるいは断面が略円形の環状パッキン(Oリングとも呼ばれている)を用いることができる。回転する柱状回転部材31と回転軸受32との間に形成される環状空間部34への外気の侵入を効果的に阻止するため、断面が略Y字形あるいは略V字形の環状パッキンを用いることが好ましい。
【0071】
減圧部材30の場合、管路30aは、柱状回転部材31の垂直管路部31a、側管部31c、環状空間部34、回転軸受32の透孔32c、接続具35の内部空間35a、そして管状体36の内部空間36aから構成されている。
【0072】
図7に示すように、柱状回転部材31の側管部31cは垂直管路部31aに垂直な平面上に延びていることが好ましい。これにより、柱状回転部材31に側管部31cを形成する際の機械加工が容易になる。
【0073】
柱状回転部材31の頭部は、回転軸受32の上方に突き出ていることが好ましい。これにより、押圧補助部材(
図2:61)により軸体13aを柱状回転部材31を介して押圧することが可能になる。
【0074】
押圧補助部材(
図2:61)により軸体13aを柱状回転部材31を介して押圧すると、押圧補助部材が付与する大部分の力(衝撃)は、回転軸受32の回転軸受本体32aに加わることなく、柱状回転部材31を介して軸体13aに付与される。このため、各回転軸受本体32a(従って減圧部材30)が優れた耐久性を示すようになる。
【0075】
但し、減圧部材30を備える軸体を下降させるためには、軸体と共に回転する柱状回転部材31の頂部を押圧する必要がある。従って、直動駆動装置を用いて軸体を昇降させる場合、直動駆動装置(本発明の微小部品配置ユニットの場合には、押圧装置、押圧補助部材、および押圧補助部材駆動機構に相当する)を、軸体の回転を阻害することのないよう、減圧部材30の上方に間隔をあけて配置する必要がある。従って、減圧部材30は、軸体を昇降させる直動駆動装置を軸体の頂部の上方に間隔をあけて配置した構成の微小部品配置ユニットに組み込んで好ましく用いることができ、上記本発明の微小部品配置ユニットの減圧部材として特に好ましく用いることができる。
【0076】
図8は、減圧部材の別の構成例を示す断面図である。
図8の減圧部材40の構成は、回転軸受32の頭部(回転軸受32の蓋体32dの上部)が柱状回転部材31の上方に突き出ていること以外は、
図7の減圧部材30の構成と同様である。
【0077】
回転軸受32は、筒体32bの頂部に柱状回転部材31と非接触に配置された蓋体32dを備えている。
【0078】
減圧部材40を備える軸体を下降させるため、減圧部材40の頂部(すなわち蓋体32dの頂部)が押圧される。減圧部材40の頂部は、回転軸受32に固定された蓋体32dから構成されているため、軸体13aと共に回転することはない。従って、減圧部材40は、軸体を昇降させる直動駆動装置を軸体の頂部の上方に間隔をあけて配置した構成の微小部品配置ユニットに組み込んで用いることもできるし、あるいは軸体を昇降させる直動駆動装置を軸体の頂部に固定した構成の微小部品配置ユニット(例えば、前記特許文献1に記載の微小部品配置ユニット)に組み込んで用いることもできる。
【0079】
以下では、微小部品配置ユニット10の使用方法、例えば、トレイ92に収容された電子部品91a〜91fをプリント配線板の表面に配置(実装)する方法について説明する。
【0080】
先ず、
図1に示すように、押圧補助部材駆動機構71により押圧補助部材61を水平方向に移動して、軸体13aの頂部の上方に位置決めする。これにより、押圧補助部材61は、押圧装置51の底面(すなわち可動ブロック52の底面)と軸体13aの頂部との間の間隔(間隙)、すなわち押圧装置51の底面と軸体13aの頂部に装着した減圧部材30の頂部との間の間隔に挿入される。
【0081】
次に、押圧装置51の可動ブロック52を押圧補助部材61と共に下降させることにより、
図9に示すように軸体13aを微小部品吸着ノズル12aと共に下降させる。微小部品吸着ノズル12aの下端が電子部品91aに到達したのち減圧機構の減圧源を作動させることにより、減圧源に減圧部材30の管路(
図7:30a)を介して接続している軸体13aの内部空間(
図2:22)を減圧し、これにより吸着ノズル12aの下端に電子部品91aを吸着させる。次いで、押圧装置51の可動ブロック52を上昇させることにより、押圧補助部材61が上昇し、そして
図10に示すように、軸体13aが電子部品91aを吸着した微小部品吸着ノズル12aと共に上昇する。このようにして、一個目の電子部品91aの吸着が行なわれる。
【0082】
続いて、押圧補助部材駆動機構71により押圧補助部材61を水平方向に移動して、
図11に示すように軸体13bの頂部の上方に位置決めする。そして前記と同様にして押圧装置51の可動ブロック52を押圧補助部材61と共に下降させることにより、
図12に示すように軸体13bを微小部品吸着ノズル12bと共に下降させる。微小部品吸着ノズル12bの下端が電子部品91bに到達したのち減圧機構の減圧源を作動させることにより、吸着ノズル12bの下端に電子部品91bを吸着させる。次いで、押圧装置51の可動ブロック52を上昇させることにより、押圧補助部材61が上昇し、軸体13bが電子部品91bを吸着した微小部品吸着ノズル12bと共に上昇する。このようにして、二個目の電子部品91bの吸着が行なわれる。
【0083】
同様の操作を繰り返すことにより、
図13に示すように微小部品吸着ノズル12a〜12fに、それぞれ電子部品91a〜91fを吸着させる。
【0084】
そして、
図14に示すように微小部品配置ユニット10をプリント配線板93の上方に移動したのち、例えば、軸体13fを微小部品吸着ノズル12fと共に下降させることにより、プリント配線板93の表面に電子部品91fを配置(実装)することができる。同様にして、残りの電子部品をプリント配線板93の表面に配置する。
【0085】
図2に示すように、押圧補助部材61は、円盤状部材61aと円盤状部材61aを回転可能に保持する移動部材61bとから構成されていることが好ましい。このような押圧補助部材61としては、例えば、軸付きローラ、軸の周囲に回転軸受を装着した部品、あるいはカム機構に利用されるカムフォロアを用いることができる。
【0086】
押圧補助部材61が円盤状部材61aと移動部材61bとから構成されていると、押圧補助部材61が水平方向に移動する際に、円盤状部材61aが押圧装置51の底面(すなわち可動ブロック52の底面)に接触しながら転動する。これにより、押圧補助部材61と押圧装置51との摩擦が極めて小さくなるため、押圧補助部材61の耐久性が良好となる。
【0087】
なお、押圧装置を押圧補助部材の上方に間隔を介して配置して、押圧補助部材を押圧装置と接触させることなく水平方向に移動させて位置決めすることもできる。このような場合には、押圧補助部材を、例えば、金属製の部材から構成することもできる。
【0088】
また、本発明の微小部品配置ユニットにおいては、微小部品吸着ノズルに吸着した微小部品(例、電子部品)を所定の向きに配置するため、各昇降手段の軸受が軸体を回転可能に保持している。
【0089】
微小部品配置ユニット10の場合、例えば、昇降手段15aの軸受81は、軸体13aの昇降を案内し、かつ軸体13aを回転可能に保持している。
【0090】
上記の軸受81の周囲には回転軸受82が装着されていて、軸受81を軸体13aと共に回転することが可能とされている。軸体13a〜13fには、それぞれ軸受81を介してプーリ84a〜84fが備えられている。
【0091】
一方、微小部品配置ユニット10には、回転駆動装置83が備えられている。回転駆動装置83の回転軸83aにはプーリ85aが備えられている。
【0092】
プーリ85aは、環状ベルト86aを介してプーリ85bに接続されている。プーリ85bは、その回転軸87を介してプーリ85cに接続されている。プーリ85cは、環状ベルト86bを介してプーリ84a、84bに、そして環状ベルト86cを介してプーリ84b、84cに、それぞれ接続されている。
【0093】
プーリ85aは、同様にして環状ベルト86dを介してプーリ85dに接続されている。プーリ85dにその回転軸を介して接続されたプーリ(図示していない)は、環状ベルト86eを介してプーリ84d、84eに、そして環状ベルト86fを介してプーリ84e、84fに、それぞれ接続されている。
【0094】
従って、回転駆動装置83を駆動して、その回転軸83aを回転させ、これによりプーリ84a〜84fを回転させることにより、軸体13a〜13fをそれぞれ軸受81に支持された状態にて同時に回転させることができる。
【0095】
回転駆動装置83に代えて、二個の回転駆動装置を設け、一方の回転駆動装置の回転軸にプーリ及びベルトを介してプーリ84a、84c、84eを接続し、そして他方の回転駆動装置の回転軸にプーリ及びベルトを介してプーリ84b、84d、84fを接続することもできる。すなわち、一方の回転駆動装置により、軸体13a、13c、13eを同時に回転駆動し、そして他方の回転駆動装置により、軸体13b、13d、13fを同時に回転駆動することもできる。
【0096】
これにより、例えば、
図14に示すように軸体13fが備える微小部品吸着ノズル12fを用いて電子部品91fをプリント配線板93の表面に実装している間に、軸体13eを微小部品吸着ノズル12eと共に回転させることにより、この吸着ノズル12eに吸着した電子部品91eを所定の向きに回転させることができる。従って、複数個の電子部品を効率良く(短時間で)プリント配線板の表面に実装することができる。軸体の回転駆動方法は公知であるため、これ以上の説明は行なわない。
【0097】
また、上記のように各軸体を回転駆動する場合には、各軸体を支持する弾性体と、軸体そして枠体(あるいは軸受)との係合を、この軸体の回転を妨げることのない状態にて行なう必要がある。
【0098】
例えば、
図2に示す弾性体17は、その上端部にて筒体25aを支持していて、この筒体25aと減圧部材30を介して軸体13aに係合している。弾性体17はまた、その下端部が別の筒体25bに支持されていて、この筒体25bを介して枠体16に係合している。従って、軸体13aは、減圧部材30の回転軸受32に軸支された柱状回転部材31と共に回転可能とされていて、そして減圧部材30及び筒体25aと共に下降可能とされている。
【0099】
なお、弾性体17を、その下端部を直接的にあるいは別の部品を介して軸受で支持することにより、この軸受(例、軸受81)に係合させることもできる。
【0100】
図15は、
図1の微小部品配置ユニット10を、全ての電子部品91a〜91fを同時に吸着するため、軸体13a〜13fを微小部品吸着ノズル12a〜12fと共に下降させた状態にて示す図である。
【0101】
図12に示すように、押圧補助部材61は、押圧装置51の底面(すなわち可動ブロック52の底面)の下方の領域の外側に移動可能とされていることが好ましい。
【0102】
このような構成を採用すると、押圧補助部材駆動機構71により押圧補助部材61を押圧装置51の底面の下方の領域の外側に移動して、次いで押圧装置51の可動ブロック52を下降させることにより、
図12に示すように軸体13a〜13fを同時に下降させ、複数個の微小部品吸着ノズル12a〜12fのそれぞれに同時に電子部品91a〜91fを吸着させることができる。このような操作により、微小部品吸着ノズル12a〜12fに短時間で電子部品を吸着させることができるため、複数個の電子部品を極めて効率良くプリント配線板の表面に実装することができる。
【0103】
本発明の微小部品配置ユニットは、微小な電子部品や機械部品に代表される各種微小部品を実装あるいは移動する装置に組み込んで有利に用いることができる。電子部品の例としては、チップコンデンサやチップ抵抗に代表されるチップ型電子部品が挙げられる。機械部品の例としては、携帯電話に搭載されるカメラに用いられる小サイズの光学レンズや光学フィルタが挙げられる。
【0104】
本発明の部品配置ユニットは、例えば、上記のような小サイズの光学レンズや光学フィルタを携帯電話内部の所定位置に装着する装置、あるいはトレイに収容された微小部品を移動して、顧客の注文に応じて別のトレイに収容配置する装置に組み込んで用いることもできる。