(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを重合して得られる重合体であって、数平均分子量が500以上で、Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5以下、融点が70℃以上、13C−NMRで測定したラセミダイアド(r)が0.85以上であり、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンがプロピレンまたはブテンであるオレフィン重合体。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明に係るオレフィン重合体およびその製造方法について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0052】
本発明の一の態様に係るオレフィン重合体(単分散ポリオレフィン)は、炭素原子数2〜20のオレフィン(以下「オレフィン類」ということがある。)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体である。このオレフィン重合体は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のオレフィンの重合体であってもよく、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のオレフィンのランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよい。
【0053】
ここで炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン;
シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの炭素原子数3〜20の環状オレフィンなどが挙げられる。
【0054】
また、炭素原子数2〜20のオレフィンとして、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなども挙げられる。
ジエンまたはポリエンとしては、炭素原子数が4〜20であり2個以上の二重結合を有する環状または鎖状の化合物が挙げられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。
【0055】
さらにオレフィンとして、芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレン;
および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
また本発明で用いられるオレフィンとしては、炭素、水素以外の原子を有するモノマーも挙げられ、このようなモノマーとして具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの環状オレフィンカルボン酸およびその無水物、さらにこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジル類;
フッ化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化オレフィン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和シアノ化合物;
アクリルアミド、メタクリロアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの不飽和アミド類ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなどの不飽和ケトン類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの不飽和エーテル類;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジンなどのビニル基含有ヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0057】
本発明で用いられるオレフィンのうち少なくとも1種は、炭素と水素のみからなるオレフィンである。この炭素と水素のみからなるオレフィンのオレフィン全体に対する量比に特に制限はないが、例えばオレフィン全体の内の5モル%以上、100モル%以下の量が挙げられる。また少なくとも1種とは、本発明に係るオレフィン重合体全体の内で、炭素と水素のみからなるオレフィンが少なくとも1種含まれていればよく、例えば、複数の重合体ブロックからなるオレフィン重合体であれば、いずれかの重合体ブロックに、炭素と水素のみからなるオレフィンが含まれていてもよい。
【0058】
この単分散ポリオレフィンは数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、好ましくは1.3以下であることが望ましい。
【0059】
なお重量平均分子量、数平均分子量およびMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定される。得られたポリマー分子量はポリスチレン換算の分子量をユニバーサル法により、換算した。生成ポリマーが単分散ポリエチレンおよび単分散エチレン・プロピレン共重合体の場合はポリエチレン換算、それ以外の場合(テーパードポリマー、オレフィン系ブロック共重合体)はポリプロピレン換算して算出した。使用したパラメーター値は、下記の通りである。
【0060】
ポリスチレン標準サンプル:K=0.000137 α=0.686
ポリエチレン K=0.000326 α=0.77
ポリプロピレン K=0.0001 q=0.8
また得られたポリマーの融点は示差熱分析装置(DSC)を用いて窒素気流下、10℃/分の昇温条件で測定される。
【0061】
13C−NMRによる測定と解析は従来公知の方法によって実施することができる。
13C−NMRによる測定と解析に関する文献を以下に例示する。
1)L.P.Lindeman,J.Q.Adams,Anal.Chem.,43,1245(1971).
2)F.A.Bovey,M.C.Sacchi,A.Zambelli,Macromolecules,7,752(1974).
3)J.C.Randall,Macromolecules,11,33(1978).
4)A.Zambelli,P.Locatelli,G.Bajo,Macromolecules,12,154(1979).
5)Y.Doi,Macromolecules,12,248(1979).
6)N.Kashiwa,A.Mizuno,S.Minami,Polym.Bull.,12,105(1984).
7)P.Ammendola,L.Oliva,G.Gianotti,A.Zambelli,Macromolecules,18,1407(1985).
8)T.Tsutsui,A.Mizuno,N.Kashiwa,Polymer,30,428(1989).
9)T.Tsutsui,N.Ishimaru,A.Mizuno,A.Toyota,N.Kashiwa,Polymer,30,1350(1989).
【0062】
本発明に係る単分散ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、HDPE、LLDPE(なお、ポリエチレンとはコモノマー含量が0.01モル%未満のエチレン重合体であり、HDPEとはコモノマー成分として炭素原子数3〜8のオレフィン、好ましくはプロピレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンを0.01モル%以上3モル%未満の割合で含有するエチレン共重合体であり、LLDPEとはコモノマー成分として炭素原子数3〜8のオレフィン、好ましくはプロピレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンを3〜10モル%未満の割合で含有するエチレン共重合体をいう。)、ポリプロピレン、ポリブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの単独重合体、
エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンと炭素原子数4〜20のオレフィンとの共重合体(炭素原子数4〜20のオレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィン;ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン;スチレンなどの芳香族ビニル化合物;テトラシクロドデセン、ノルボルネン、メチルノルボルネンなどの環状オレフィン化合物などが挙げられる。なおコモノマーが炭素原子数3〜8のオレフィンの場合にはコモノマー含量が10モル%以上、それ以外の場合にはコモノマーが含量が0.01モル%以上である。)。
【0063】
プロピレンと炭素原子数4〜20のオレフィン(上記ジエン、芳香族ビニル化合物、環状オレフィン化合物を含む。)との共重合体が好ましく挙げられる。
上記例示のうち共重合体は、コモノマーを1種または2種以上含んでいてもよい。
【0064】
これらのなかでは、ポリエチレン、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体が好ましく、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体が特に好ましい。
【0065】
また本発明に係る単分散ポリオレフィンとしては、エチレンの重合体であって、数平均分子量が110,000以上、好ましくは110000〜10,000,000、より好ましくは150,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、好ましくは1.3以下である重合体であることが好ましく、炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体であって、数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、好ましくは1.3以下である重合体であり、融点が70℃以上である重合体であることも好ましい。
【0066】
またプロピレンまたは1−ブテンの重合体の場合には、数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、好ましくは1.3以下であり、
13C−NMRで測定したラセミダイアド(r)が0.85以上、好ましくは0.90以上のものが好ましい。
【0067】
またエチレン・プロピレン共重合体の場合には、エチレン含量が60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
なお本発明に係る単分散ポリオレフィンは、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに他の構造部分と結合していてもよい。また本発明の重合体はグラフト変性などされていてもよい。
【0068】
さらに本発明に係るオレフィン重合体としては、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種のオレフィンの共重合体であって、数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1000〜5,000,000の範囲にあり、2種以上のモノマー組成が連続して変化するセグメントを含むいわゆるテーパードポリマーが挙げられる。
【0069】
ここでテーパードポリマーとはポリマーの一端から他の一端に沿ってコモノマー組成が徐々に変化するポリマーである。このポリマーは連鎖移動反応が実質的に起きない完全なリビング重合系において、2種以上のモノマー(例えばエチレンとプロピレン)を重合することによって合成が可能である。重合系のリビング性が不充分な場合、完全なテーパードポリマーは得られず、組成の異なる共重合体の混合物となる。重合系のリビング性は、生成する重合体の分子量分布(Mw/Mn)で判断される。重合系のリビング性が高く、完全なテーパードポリマーが生成した場合、Mw/Mnの値は好ましくは2.5以下、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。
【0070】
またこの場合、2種以上のモノマーとしては、前述の炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれるものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンから選ばれることが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンであることがより好ましい。またモノマーの1種はエチレンであることがさらに好ましく、エチレン含量が30モル%以上であることが特に好ましい。
【0071】
具体的なテーパードポリマーの例としては、エチレン・プロピレンテーパードポリマー、エチレン・ブテンテーパードポリマー、エチレン・ヘキセンテーパードポリマー、プロピレン・ブテンテーパードポリマー、プロピレン・ヘキセンテーパードポリマーなどが挙げられる。
【0072】
なお本発明に係るテーパードポリマーは、上記のような構造を有していれば、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに上記構造以外の構造を有する部分と結合していてもよい。また本発明の重合体はグラフト変性などされていてもよい。
【0073】
さらに本発明に係るオレフィン重合体としては、下記のオレフィン共重合体が挙げられる。
2種類以上のモノマー単位で構成される重合体であって、炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれるモノマー単位(M
1)と該モノマー単位M
1とは異なる少なくとも1種モノマー単位(M
2)との関係を
13C−NMRで求めた[M
1・M
2]、[M
1・M
1]、[M
2・M
2]、[M
1]、[M
2]が下記式の関係を満たすオレフィン共重合体。
【0074】
1>[M
1・M
2]/(2×[M
1]×[M
2]) …(A)
1>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2])…(B)
ここで、[M
1]はモノマー単位M
1のモル分率、[M
2]はモノマー単位M
2のモル分率、[M
1・M
2]はオレフィン単位M
1とモノマー単位M
2とが隣接するユニットのモル分率、[M
1・M
1]はM
1とM
1とが隣接するユニットのモル分率、[M
2・M
2]はモノマー単位M
2とモノマー単位M
2とが隣接するユニットのモル分率である。ここで[M
1]+[M
2]=1.0であり、[M
1・M
2]+[M
1・M
1]+[M
2・M
2]=1.0である。
【0075】
ポリマー鎖の中にモノマー単位M
1とモノマー単位M
2とが統計的にランダムに含まれている場合は、[M
1・M
2]の生成確率は2×[M
1]×[M
2]になる。ここで2を乗じているのは[M
1・M
2]が厳密にはM
1−M
2のユニットとM
2−M
1のユニットとを合計したユニットのモル分率であるためである。前記式(A)は、モノマー単位M
1とモノマー単位M
2とが隣接するユニットが統計的にランダムに含まれている場合よりも少ないことを示している。これは1本のポリマー鎖の中にモノマー単位M
1の含有率が高い部分とモノマー単位M
2の含有率が高い部分とが共存することを示しており、テーパードポリマーやブロックポリマーにおいて観測される現象である。
【0076】
本発明に係るオレフィン共重合体の構造は精密に制御されているので、Mw/Mnは通常2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下、よりさらに好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.3以下となっている。
【0077】
従来の技術で前記式(A)を満たすテーパードポリマーやブロックポリマーを合成しようとする場合、重合時にモノマー単位M
1とモノマー単位M
2との供給比率を経時的に変化させることで見かけ上は前記式(A)を満たすポリマーを合成できる可能性はある。しかしモノマー単位M
1とモノマー単位M
2とでは重合時の反応性が異なるので経時的に供給モノマーの反応性が変化する結果となり、本発明のようにMw/Mnが小さくなることはない。
【0078】
一方で、従来の技術でMw/Mnが小さいポリマーを製造しようとする場合は、経時的に供給モノマーの反応性が変化することを防ぐために重合時のモノマー単位M
1とモノマー単位M
2との供給比率を一定に保つ必要があるので、[M
1・M
2]の生成確率は2×[M
1]×[M
2]に等しくなり、前記式(A)を満たすことが不可能となる。
【0079】
本発明では経時的に供給モノマーの反応性が変化する場合でも精密にポリマー構造を制御することが可能である。なお、前記式(A)は下記式(A−2)であることが好ましく、
0.95≧[M
1・M
2]/(2×[M
1]×[M
2]) …(A−2)
さらに下記式(A−3)であることがより好ましい。
0.90≧[M
1・M
2]/(2×[M
1]×[M
2]) …(A−3)
前記式(B)は前記式(A)において記載した内容をさらに高い精度で検証するための式である。
【0080】
前述のように[M
1・M
2]は厳密にはM
1−M
2のユニットとM
2−M
1のユニットとを合計したユニットのモル分率であるので、モノマー単位M
1の次にモノマー単位M
2が挿入されるM
1−M
2のユニットおよびモノマー単位M
2の次にモノマー単位M
1が挿入されるM
2−M
1のユニットの生成確率はいずれも[M
1・M
2]/2となる。ポリマーの末端がモノマー単位M
1であって次にモノマー単位M
1またはモノマー単位M
2が挿入されてM
1−M
1のユニットまたはM
1−M
2のユニットが生成される場合において、重合が統計的にランダムに進行する場合は両者の生成比率は[M
1]と[M
2]との比に一致する。すなわち、下記式(B−0−1)を満たす。
【0081】
([M
1・M
2]/2)/[M
1・M
1]=[M
2]/[M
1] …(B−0−1)
一方、ポリマーの末端示モノマー単位M
2であって次にモノマー単位M
1またはモノマー単位M
2が挿入されてM
2−M
1のユニットまたはM
2−M
2のユニットが生成される場合において、重合が統計的にランダムに進行する場合は両者の生成比率は[M
1]と[M
2]との比に一致する。すなわち、下記式(B−0−2)を満たす。
【0082】
([M
1・M
2]/2)/[M
2・M
2]=[M
1]/[M
2] …(B−0−2)
すなわち、重合が統計的にランダムに進行する場合は(B−0−1)と(B−0−2)との両辺を乗じた下記式(B−0)が成立する。
【0083】
1=[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−0)
前記式(B)は、モノマー単位M
1とモノマー単位M
2とが隣接するユニットが統計的にランダムに生成する場合よりも少ないことを示している。これは生成途中のポリマー鎖末端で同種コモノマーが連続して挿入される確率がポリマー鎖末端とは異種のコモノマーが挿入する確率より高いことを示しており、精密に構造を制御してテーパードポリマーやブロックポリマーを合成することが可能であることを示している。
【0084】
本発明に係るオレフィン共重合体の構造は精密に制御されているので、Mw/Mnは2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下、よりさらに好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.4以下となっている。なお、前記式(B)は下記式(B−2)であることが好ましく、 下記式(B−3)であることがさらに好ましく、下記式(B−4)であることがより好ましく、下記式(B−5)であることがさらにより好ましく、下記式(B−6)であることがなおさらにより好ましく、下記式(B−7)であることが最も好ましい。
【0085】
0.95>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−2)
0.90>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−3)
0.85>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−4)
0.80>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−5)
0.75>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−6)
0.70>[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2]) …(B−7)
従来の技術によって、本発明に操るテーパードポリマーのようにMw/Mnが小さく、かつ前記式(B)を満たすポリマーを製造できない理由は、上述のMw/Mnが小さく、かつ前記式(A)を満たすポリマーを製造できない理由と同様である。
【0086】
前記式(A)および(B)の関係を満たし、かつMw/Mnが2.5以下である本発明に係るオレフィン共重合体のうち、テーパードポリマーは、ポリマー鎖中に、孤立したモノマー単位M
1と2個以上の連続するモノマー単位M
1連鎖の両方が存在していることが
13C−NMRで検出される。このようなテーパードポリマー構造が
13C−NMRで解析された前例はなく、非常に精密な重合を進行させることができる本発明の技術によって初めて明らかにされた。
【0087】
一方、ブロックポリマーにおいては孤立したモノマー単位M
1は検出されずに2個以上の連続するモノマー単位M
1の連鎖のみが検出される。
本発明で初めて明らかとなったテーパードポリマー構造においては2個の連続するモノマー単位M
1の連鎖および3個以上の連続するモノマー単位M
1の連鎖が検出されることが好ましい。すなわち、孤立したモノマー単位M
1、モノマー単位M
1が2つだけ連続したユニット、3つ以上のモノマー単位M
1が連続したユニットの3者が同時に
13C−NMRで検出されることが好ましい。
【0088】
モノマー単位M
1およびモノマー単位M
2は、前記の炭素原子数2〜20のオレフィンとして例示したモノマーから導かれるものである。
モノマー単位M
1としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンから導かれるものが好ましく、エチレンから導かれるものがより好ましい。モノマー単位M
2としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンから導かれるものが好ましく、プロピレン、1−ブテンから導かれるものがより好ましい。
【0089】
モノマー単位M
1がエチレン単位である場合は、孤立したモノマー単位M
1、モノマー単位M
1が2つだけ連続したユニット、3つ以上のモノマー単位M
1が連続したユニットの3者が同時に
13C−NMRで検出されることが好ましい。さらに、孤立したモノマー単位M
2と2個以上のモノマー単位M
2が連続したモノマー単位M
2も同時に検出されることが好ましい。すなわち、2個以上の連続するメチレン基の連鎖が
13C−NMRで検出され、1個、2個、3個、4個、5個および6個以上のメチレン基の連鎖が全て検出されることが好ましい。さらに1個、2個、3個、4個、5個および6個以上のメチレン基の連鎖の各モル分率がそれぞれ異なる値となって検出されることがより好ましい。
【0090】
13C−NMRによる測定と解析は前述の通り、従来公知の方法によって実施することができる。
このようなオレフィン共重合体は、フィルム、シート、ブロー成形品などの各種成形材、相溶化剤や改質剤などの各種添加剤、塗料や接着剤などの用途に好適に用いられる。なお用途については後述する。
【0091】
上記のような本発明に係るオレフィン共重合体の製造方法については後述する。
本発明に係るオレフィン共重合体は、主鎖の末端に官能基を有していてもよい。また本発明に係るオレフィン共重合体は、上記のような構造を有していれば、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに上記構造以外の構造を有する部分と結合していてもよい。また本発明の重合体はグラフト変性などされていてもよい。
【0092】
官能基としては、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、金属原子含有基などが好ましい。
具体的には、芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、トリル、ビフェニリル、アントリルなどが挙げられる。
【0093】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
酸素含有基は、例えば基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。また、窒素原子、イオウ原子、リン原子またはハロゲン原子を含み、かつこれらの原子と酸素原子とが直接結合している基は酸素含有基には含まれない。酸素含有基として具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;カルボキシル基;エステル基;アセチル基などが挙げられる。酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0094】
窒素含有基は、例えば基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。窒素含有基として具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、トリルアミノ、ナフチルアミノなどのアリールアミノ基などが挙げられる。
【0095】
イオウ含有基は、例えば基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。イオウ含有基として具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネード、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0096】
リン含有基は、例えば基中にリン原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0097】
金属原子含有基としては、例えばケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、マグネシウムなどの原子を含有する基、およびリチウムなどの金属原子が挙げられ、具体的にはケイ素含有基、アルミニウム含有基、ホウ素含有基、亜鉛含有基、マグネシウム含有基、リチウム原子などが挙げられる。
【0098】
ケイ素含有基は、例えば基中にケイ素原子を1〜5個含有する基である。ケイ素含基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリル、メチルジフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどのアルキル置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。炭化水素置換シリル基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどのトリアルキルシリル基が好ましい。
【0099】
アルミニウム含有基は、例えば基中にアルミニウム原子を1〜5個含有する基である。アルミニウム含有基として具体的には、−AlR
2基(Rは水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す。)が挙げられる。
【0100】
ホウ素含有基は、基中にホウ素原子を1〜5個含有する基である。ホウ素含有基として具体的には、−BR
2基(Rは水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す。)が挙げられる。
【0101】
亜鉛含有基は、例えば基中に亜鉛原子を1〜3個含有する基である。亜鉛含有基として具体的には、−ZnR基(Rは水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す。)が挙げられる。
【0102】
マグネシウム含有基は、基中にマグネシウム原子を1〜3個含有する基である。マグネシウム含有基として具体的には、−MgR基(Rは水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す。)が挙げられる。
【0103】
このような主鎖の末端に官能基を有するオレフィン重合体として具体的には、ポリエチレン、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテンおよび1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの単独重合体、またはエチレンとプロピレンの共重合体、炭素原子数4〜20のオレフィンとの共重合体、具体的にはエチレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィン;ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン;スチレンなどの芳香族ビニル化合物;テトラシクロドデセン、ノルボルネン、メチルノルボルネンなどの環状オレフィン化合物との共重合体、またはプロピレンと前述の炭素原子数4〜20のオレフィンとの共重合体、前述のテーパードポリマーの末端に、ハロゲン原子、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、アセチル基、アルキルアミノ基、トリアルキルシリル基、トリメチルシロキシ基、ジアルキルアルミニウム基、ジアルキルホウ素基、アルキル亜鉛基、リチウムなどを有する重合体が挙げられる。
【0104】
これらのなかでは、ポリエチレン、HDPE、LLDPE、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体の末端に、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基またはアルキル亜鉛基を有する重合体が特に好ましい。
【0105】
このような主鎖の末端に官能基を有するオレフィン重合体は、相溶化剤や改質剤などの各種添加剤、塗料や接着剤などの用途に好適に用いられる。これらの重合体の用途については後述する。
【0106】
上記のような本発明に係る主鎖の末端に官能基を有するオレフィン重合体の製造方法については後述する。
また本発明の他の態様に係るオレフィン重合体は、
(i)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる重合体ブロックと
(ii)炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる上記重合体ブロック(i)とは異なる重合体ブロックとを含むオレフィンブロック共重合体である。
【0107】
ここで、異なる重合体ブロックとは、モノマー種、コモノマー種、コモノマー組成、コモノマー含量、コモノマー配列、立体規則性など、ポリマーの一次構造の少なくとも1種が異なっているものを示す。
【0108】
上記重合体ブロック(i)および(ii)は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のオレフィンの重合体であってもよく、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のオレフィンのランダム共重合体であってもよい。
【0109】
なお、オレフィンブロック共重合体は、上記重合体ブロック(i)および重合体ブロック(ii)に加えてさらに、重合体ブロック(iii)を単数または複数有していてもよい。この場合該ブロック共重合体は、(i)−(ii)−(iii)nの形態をとる。ここで、nは1以上、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜3の整数であり、隣り合う重合体ブロック同士は、それぞれ異なる重合体ブロックである。
【0110】
重合体ブロック(iii)は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる1種のオレフィンの重合体であってもよく、炭素、原子数2〜20のオレフィンから選ばれる2種以上のオレフィンのランダム共重合体であってもよい。
【0111】
このようなオレフィンブロック共重合体では、上記重合体ブロック(i)および重合体ブロック(ii)が、下記(a)、(b)および(c)から選ばれるブロック共重合体であることが好ましい。
(a)エチレンから得られる重合体ブロック、
(b)炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種のα−オレフィンから得られる重合体ブロック、
(c)炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる2種以上のα−オレフィンから得られる重合体ブロック。
【0112】
重合体ブロック(b)としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンの単独重合体からなるブロックなどが好ましい。
重合体ブロック(c)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体からなるブロックなどが好ましい。
【0113】
本発明では、エチレンから得られる重合体ブロック(a)を少なくとも1種含有し、重合体ブロック(a)の数平均分子量は110,000以上、好ましくは110,000〜10,000,000、より好ましくは150,000〜5,000,000、の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、1.3以下であることが好ましい。
【0114】
さらに上記のオレフィン重合体は、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる重合体ブロックが任意の個数の結合され、全ポリマーの数平均分子量(Mn)は500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1000〜5,000,000の範囲にあり、各隣接する重合体ブロックは、異なる重合体ブロックであり、各重合体ブロックの数平均分子量は、100以上、好ましくは100〜9,999,900の範囲、より好ましくは500〜4,999,500の範囲にあり、Mw/Mnが2.5以下であるものが挙げられる。
【0115】
本発明では、重合体ブロックの数は2以上の整数で通常2〜10の範囲であり、2〜6が好ましく、2〜4が特に好ましい。
またこのオレフィンブロック共重合体は重合体ブロックの数が2であるジブロックポリマーの場合は、Mw/Mnが1.35未満であることが好ましく、1.30未満であることがより好ましい。
【0116】
重合体ブロックの数が3であるトリブロックポリマーの場合は、Mw/Mnが1.80未満であることが好ましく、1.50未満であることがより好ましい。
重合体ブロックの数が4以上であるマルチブロックポリマーの場合は、Mw/Mnが2.00未満であることが好ましく、1.80未満であることがより好ましい。
【0117】
またこれらのオレフィンブロック共重合体は、各重合体ブロックがポリエチレン、HDPE、LLDPE、エチレンと炭素原子数3〜20のオレフィン(ジエン、環状オレフィンを含む)の共重合体、ata−ポリプロピレン、iso−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン、プロピレンと炭素原子数4〜20のオレフィン(ジエン、環状オレフィンを含む)から選ばれるモノマーとの共重合体または前述のテーパードポリマーから選ばれることが好ましい。
【0118】
さらに、各重合体ブロックがポリエチレン、HDPE、LLDPE、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、ata−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体または前述のテーパードポリマーから選ばれることを特徴とするジブロックポリマーまたはトリブロックポリマーが特に好ましい。
【0119】
これらのブロックポリマーの具体的な例としては以下のものが挙げられる。(ここでポリエチレン−HDPEとはポリエチレンブロックとHDPEブロックが結合したオレフィン系ブロック共重合体を指す。またこの重合体ブロックが、例えばエチレン・プロピレン共重合体のように2種以上のモノマーからなる共重合体の場合は、そのモノマー配列は、ランダム共重合体またはテーパードポリマーのどちらでもよい。)
【0120】
ポリエチレン−HDPE、ポリエチレン−LLDPE、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン−エチレン・ブテン共重合体、ポリエチレン−エチレン・ヘキセン共重合体、ポリエチレン−エチレン・オクテン共重合体、ポリエチレン−ata−ポリプロピレン、ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、HDPE−LLDPE、HDPE−エチレン・プロピレン共重合体、HDPE−エチレン・ブテン共重合体、HDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、HDPE−エチレン・オクテン共重合体、HDPE−ata−ポリプロピレン、HDPE−syn−ポリプロピレン、HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、
LLDPE−エチレン・プロピレン共重合体、LLDPE−エチレン・ブテン共重合体、LLDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、LLDPE−エチレン・オクテン共重合体、LLDPE−ata−ポリプロピレン、LLDPE−syn−ポリプロピレン、LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、
ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、
syn−ポリプロピレン−プロピルン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、
プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、
ポリエチレン−HDPE−ポリエチレン、ポリエチレン−LLDPE−ポリエチレン、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体−ポリエチレン、ポリエチレン−エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン、ポリエチレン−エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン、ポリエチレン−エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン、ポリエチレン−ata−ポリプロピレン−ポリエチレン、ポリエチレン−syn−ポリプロピレン−ポリエチレン、ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体−ポリエチレン、ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン、
HDPE−ポリエチレン−HDPE、HDPE−LLDPE−HDPE、HDPE−エチレン・プロピレン共重合体−HDPE、HDPE−エチレン・ブテン共重合体−HDPE、HDPE−エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE、HDPE−エチレン・オクテン共重合体−HDPE、HDPE−ata−ポリプロピレン−HDPE、HDPE−syn−ポリプロピレン−HDPE、HDPE−プロピレン・ブテン共重合体−HDPE、HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体−HDPE、
LLDPE−ポリエチレン−LLDPE、LLDPE−HDPE−LLDPE、LLDPE−エチレン・プロピレン共重合体−LLDPE、LLDPE−エチレン・ブテン共重合体−LLDPE、LLDPE−エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE、LLDPE−エチレン・オクテン共重合体−LLDPE、LLDPE−ata−ポリプロピレン−LLDPE、LLDPE−syn−ポリプロピレン−LLDPE、LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体−LLDPE、LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体−LLDPE、
エチレン・プロピレン共重合体−ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−HDPE−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−LLDPE−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体、
エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体、
【0121】
エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、
エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−HDPE−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−LLDPE−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、
ata−ポリプロピレン−ポリエチレン−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−HDPE−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−LLDPE−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、
syn−ポリプロピレン−ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−HDPE−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−LLDPE−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、
プロピレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
【0122】
プロピレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体ポリエチレン−HDPE−LLDPE、
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エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−エチレシ・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン−プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
【0126】
エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
【0127】
エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−HDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−HDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−LLDPE−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−LLDPE−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−ata−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
【0128】
ata−ポリプロピレン−ポリエチレン−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−HDPE−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、ata−ポリプロピレン−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−syn−ポリプロピレン、ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
syn−ポリプロピレン−ポリエチレン−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−HDPE−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−LLDPE−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体、syn−ポリプロピレン−ata−ポリプロピレン−プロピレン−ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−プロピレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ブテン共重合体、
プロピレン・ブテン共重合体−ポリエチレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−HDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−LLDPE−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・プロピレン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ブテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・ヘキセン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−エチレン・オクテン共重合体−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−ata−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体−syn−ポリプロピレン−プロピレン・ヘキセン共重合体。
【0129】
このようなブロック共重合体のなかではポリエチレン−ポリプロピレン、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体−ポリプロピレン、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体−LLDPE、ポリエチレン−エチレン・ブテン共重合体、ポリエチレン−エチレン・ブテン共重合体−LLDPE、ポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン−LLDPE−HDPE、ポリエチレン−LLDPEが特に好ましい 。
【0130】
なお、本発明のオレフィンブロック共重合体は、以上のような構造を有していれば、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに以上の構造以外の構造を有する部分と結合していてもよい。また本発明の重合体はグラフト変性などされていてもよい。
【0131】
このようなオレフィンブロック共重合体は、フィルム、シート、ブロー成形品などの各種成形材、相溶化剤や改質剤などの各種添加剤、塗料や接着剤などの用途に好適に用いられる。なおこれらの重合体の用途については後述する。
【0132】
上記のようなオレフィンブロック共重合体の製造方法については後述する。
本発明に係るオレフィンブロック共重合体は、主鎖の末端に官能基を有していてもよい。この官能基としては前述のものが挙げられる。
【0133】
このような主鎖の末端に官能基を有するオレフィンブロック共重合体は、相溶化剤や改質剤などの各種添加剤、塗料や接着剤などの用途に好適に用いられる。なお用途の詳細については後述する。
【0134】
また上記のような本発明に係る主鎖の末端に官能基を有するオレフィンブロック共重合体の製造方法については後述する。
次に、本発明に係るオレフィン重合体の製造方法について説明する。
【0135】
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法では、下記遷移金属化合物(A)からなるオレフィン重合用触媒、
好ましくは、
(A)下記遷移金属化合物と、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなるオレフィン重合用触媒が用いられる。
まず、本発明で用いられるオレフィン重合触媒を形成する各成分について説明する。
【0136】
(A)遷移金属化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)は、下記一般式(I)で表され、Xをnプロピル基に置換したカチオン錯体を密度汎関数法によって求めたβ−アゴスティック構造において、中心金属と直接結合を持たない最近接のヘテロ原子(Z)とβ位の水素との距離(r値)が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下であることを特徴とする化合物である。
【0137】
ここで、密度汎関数法とは、プログラムADF2000.01(開発元:SCM社(オランダ)入手方法:SCM社とライセンス契約を結んだ後、SCM社ホームページ(html://www.scm.com)からダウンロード)を使用しBLYP法を用いた計算を指す。基底関数としてはSlater型軌道であり、構造に関しては、中心金属にはTriple zeta型、その他の原子にはDouble zeta型を用いる。但し、静電エネルギー評価時には、その他の原子に、Double zeta型に分極関数を加えたものを用いる。この基底関数は、構造計算で得られた最適構造での1点計算にも用いる。また、構造計算以外では、パウリの相対論的ポテンシャルの補正を行なう。静電エネルギーとは、β位の水素と最近接ヘテロ原子間の静電エネルギーを指す。より具体的には、これら2原子に対して、錯体計算で得られた電荷を割り当てて求めた電子状態に基づく原子間静電相互作用である。ここでの電荷とは、錯体計算(構造計算後、求まったβ−アゴスティック最適構造での1点計算)で得られた、これら2原子のs、p、d軌道の各電子ポピュレーションである。
【0138】
L
mMX
n …(I)
一般式(I)中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは第4〜5族から選ばれる遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタンである。
mは1〜6の整数を示す。
Lは中心金属Mに配位する配位子であって、中心金属Mとの結合を持たないヘテロ原子(Z)を少なくとも1種有する有機または無機配位子である。
【0139】
具体的な配位子骨格として、シクロペンタジエニル骨格、アセチルアセトナート骨格、フェノキシ骨格、アミド骨格、イミド骨格や後述の一般式(II−a)、(II−b)または(III)で表される遷移金属化合物を形成する配位子骨格が挙げられる。
【0140】
ここで一般式(II−a)で表される配位子骨格とは、後述の一般式(II−a)においてR
1が炭化水素基であり、R
3およびR
4のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR
1、R
3およびR
4のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含む。
【0141】
また一般式(II−b)で表される配位子骨格とは、後述の一般式(II−b)においてR
1が炭化水素基であり、R
6、R
7、R
8およびR
9のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR
1、R
6、R
7、R
8およびR
9のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含む。
【0142】
また一般式(III)で表される配位子骨格とは、後述の一般式(III)においてR
10が炭化水素基であり、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR
11、R
12、R
13、R
14およびR
15のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含む。
【0143】
ここでヘテロ原子とは炭素原子および水素原子以外の非金属原子であり、具体的にはハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。
nはMの価数を満たす数である。
【0144】
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。なお、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0145】
またnが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0146】
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナンドリルなどのアリール基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0147】
酸素含有基は、例えば基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。また、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子またはケイ素原子を含み、かつこれらの原子と酸素原子とが直接結合している基も酸素含有基には含まれない。酸素含有基として具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0148】
イオウ含有基は、例えば基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。イオウ含有基としては、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0149】
窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。窒素含有基として具体的には、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0150】
ホウ素含有基は、例えば基中にホウ素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環式化合物残基は含まれない。ホウ素含有基として具体的には、BR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられる。
【0151】
アルミニウム含有基は、基中にアルミニウム原子を1〜5個含有する基である。アルミニウム含有基として具体的には、AlR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられる。
【0152】
リン含有基は、例えば基中にリン原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環式化合物残基は含まれない。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン、トリフチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0153】
ハロゲン含有基として具体的には、PF
6、BF
4などのフッ素含有基、ClO
4、SbCl
6などの塩素含有基、IO
4などのヨウ素含有基が挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含イオウ化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0154】
ケイ素含有基は、例えば基中にケイ素原子を1〜5個含有する基である。ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。なおケイ素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0155】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
また本発明で用いられる遷移金属触媒(A)としては下記式(II−a)または(II−b)で表されるものも挙げられる。
【0156】
【化4】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0157】
一般式(II−a)中、M
1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは4〜5族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0158】
Qは窒素原子または置換基R
2を有する炭素原子(−C(R
2)=)を示す。
Aは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R
5を有する窒素原子(−N(R
5)−)を示す。
【0159】
R
1は少なくとも1個のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を少なくとも1個有する炭化水素基である。ヘテロ原子としては、ハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。ヘテロ原子含有基は炭素原子および水素原子以外の非金属原子を含む基であり、具体的には酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ハロゲン原子含有基、ヘテロ環式化合物残基などが挙げられる。酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基およびヘテロ環式化合物残基としては、前記一般式(I)中のXと同様のものが挙げられる。ハロゲン含有基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも1つの水素がハロゲンに置換した基が挙げられ、具体的には例えばトリフルオロメチル、パーフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、パーフルオロヘキシル、トリクロロメチル、パークロロエチル、ペンタクロロフェニル、パークロロヘキシルなどが挙げられる。
【0160】
R
1としては、炭素原子数1〜30のハロゲン原子含有炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基が特に好ましい。
R
1として具体的には、
トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)ジクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0161】
R
2〜R
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。R
2〜R
5は、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0162】
R
2〜R
5が示すホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン原子、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
【0163】
またR
2〜R
5が示すハロゲン含有基としては、上記一般式(II−a)のR
1で例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示す炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜30のものが挙げられ。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニリル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0164】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
R
2〜R
5の炭化水素置換シリル基としては、例えば炭素原子数の合計が1〜30の基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。
【0165】
R
2〜R
5が示す酸素含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示す窒素含有基,としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
【0166】
R
2〜R
5が示すイオウ含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
【0167】
R
2〜R
5が示すハロゲン原子およびハロゲン含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
nは、M
1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
【0168】
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)中のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0169】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0170】
【化5】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0171】
一般式(II−b)中、M
1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは4〜5族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0172】
mは、1〜5の整数、好ましくは2〜4を示し、より好ましくは2である。
Aは窒素原子またはリン原子を示し、
Uは置換基R
6を有する炭素原子(−C(R
6)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは置換基R
7を有する炭素原子(−C(R
7)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Sは置換基R
8を有する炭素原子(−C(R
8)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは置換基R
9を有する炭素原子(=C(R
9)−)、窒素原子またはリン原子を示し、
R
1は、1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、具体的には上記一般式(II−b)中のR
1と同義である。
【0173】
R
6〜R
9は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には炭化水素基、炭化水素置換シリル基としては上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の基が挙げられ、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXと同様の基が挙げられる。
【0174】
R
6〜R
9としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
【0175】
R
6〜R
9は、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR
1同士、R
6同士、R
7同士、R
8同士、R
9同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR
6〜R
9のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR
6〜R
9のうち1個の基とが連結されていてもよい。
【0176】
nは、Mの価数を満たす数である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0177】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
なお一般式(II−a)または(II−b)で表される遷移金属化合物(A)としては、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物と同様に中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下であることが好ましい。
【0178】
また本発明で用いられる遷移金属触媒(A)としては、上記一般式(II−a)または(II−b)で表される遷移金属化合物のうちでも、下記式(II−a')または(II−b')で表され、R
1が下記の構造のものも挙げられる。
【0179】
【化6】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0180】
一般式(II−a')中、M
1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは4〜5族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0181】
Qは窒素原子または置換基R
2を有する炭素原子(−C(R
2)=)を示す。
Aは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R
5を有する窒素原子(−N(R
5)−)を示す。
【0182】
R
1は、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基およびそれ以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基を示し、R
1がフェニル基の場合、窒素原子に結合した炭素原子を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有しているか、または、3位、4位および5位にフッ素原子を除くヘテロ原子、炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基、フッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基の場合は、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有していることが好ましい。
【0183】
R
1が示すヘテロ原子およびヘテロ原子含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
さらに上記一般式(II−a')で表される遷移金属化合物は、R
1が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にフッ素原子もしくはフッ素原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または3位、4位および5位に1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、フッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、フッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂肪族炭化水素基およびフッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基であることが好ましい。このような遷移金属化合物は、活性と生成重合体の分子量の点で好ましい。
【0184】
R
1として具体的には、 トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0185】
好ましくは、R
1が炭素原子数3〜30のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、具体的には1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシルなどが挙げられる。またはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどのフッ素および/またはフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0186】
上記例示のうちR
1として特に好ましくは、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、1H,1H−パーフルオロオクチルである。
R
2〜R
5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。R
2〜R
5は、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0187】
R
2〜R
5が示すホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン原子、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
【0188】
またR
2〜R
5が示すハロゲン含有基としては、上記一般式(II−a)のR
1で例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示す炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜30のものが挙げられ。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニリル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0189】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
R
2〜R
5の炭化水素置換シリル基としては、例えば炭素原子数の合計が1〜30の基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。
【0190】
R
2〜R
5が示す酸素含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示す窒素含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示すイオウ含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5が示すハロゲン原子およびハロゲン含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
R
2〜R
5としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
【0191】
nは、M
1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)中のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0192】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0193】
【化7】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0194】
一般式(II−b')中、M
1は周期表第3〜11族、好ましくは周期表第4〜5族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0195】
mは、1〜5の整数、好ましくは2〜4を示し、より好ましくは2である。
Aは窒素原子またはリン原子を示し、
Uは置換基R
6を有する炭素原子(−C(R
6)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは置換基R
7を有する炭素原子(−C(R
7)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Sは置換基R
8を有する炭素原子(−C(R
8)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは置換基R
9を有する炭素原子(=C(R
9)−)、窒素原子またはリン原子を示し、
R
1は、1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、具体的には上記一般式(II−a')中のR
1と同義である。
【0196】
R
6〜R
9は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には炭化水素基、炭化水素置換シリル基としては上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の基が挙げられ、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXと同様の基が挙げられる。
【0197】
R
6〜R
9としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
【0198】
R
6〜R
9は、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR
1同士、R
6同士、R
7同士、R
8同士、R
9同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR
6〜R
9のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR
6〜R
9のうち1個の基とが連結されていてもよい。
【0199】
nは、Mの価数を満たす数である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0200】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
さらに本発明で用いられる遷移金属触媒(A)としては、式中のXの1つをn−プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ−アゴスティック構造において、中心金属と直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下であり、下記式(III)で表されるものも挙げられる。
【0201】
【化8】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0202】
一般式(III)中、M
1は周期表第4〜5族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0203】
mは、1または2を示し、好ましくは2である。
R
10は少なくとも1個のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を少なくとも1個有する炭化水素基である。ヘテロ原子としては、ハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。ヘテロ原子含有基は炭素原子および水素原子以外の非金属原子を含む基であり、具体的には酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ハロゲン原子含有基、ヘテロ環式化合物残基などが挙げられる。酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基およびヘテロ環式化合物残基としては、前記一般式(I)中のXと同様のものが挙げられる。
【0204】
ハロゲン含有基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも1つの水素がハロゲンに置換した基が挙げられ、具体的には例えばトリフルオロメチル、パーフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、パーフルオロヘキシル、トリクロロメチル、パークロロエチル、ペンタクロロフェニル、パークロロヘキシルなどが挙げられる。
【0205】
R
10としては炭素原子数1〜30のハロゲン原子含有炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基が特に好ましい。
R
10として具体的には、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。 R
11〜R
14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の原子または基を示す。
【0206】
R
15は、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、具体的には上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の基を示す。
R
15が示す炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜30のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の脂環骨格を有する炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントリル、フェナントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられ、より好ましくは、tert−ブチル基である。
【0207】
R
15が示す炭化水素置換シリル基としては、上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同じものが挙げられる。
R
15が示すヘテロ原子およびヘテロ原子含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
【0208】
また、R
10およびR
11〜R
15は、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
nは、M
1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
【0209】
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0210】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
さらに本発明で用いられる遷移金属触媒(A)としては下記式(III')で表され、R
10が下記の構造のものも挙げられる。
【0211】
【化9】
(なお、N……M
1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
式中、M
1、m、R
11〜R
14、R
15、nおよびXは、それぞれ上記一般式(III)中のM
1、m、R
11〜R
14、R
15、nおよびXと同義である。
【0212】
R
10は、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基およびそれ以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基を示し、R
10がフェニル基の場合、窒素原子に結合した炭素原子を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有しているか、または、3位、4位および5位にフッ素原子を除くヘテロ原子、炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基、フッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基の場合は、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有している。
【0213】
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
さらに上記一般式(III')で表される遷移金属化合物は、R
10が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にフッ素原子もしくはフッ素原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または3位、4位および5位に1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、フッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、フッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂肪族炭化水素基およびフッ素原子、フッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基であることが好ましい。このような遷移金属化合物は、活性と生成重合体の分子量の点で好ましい。
【0214】
なおヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する置換基の置換位置に関しては、R
10が芳香族の場合には、窒素原子に結合したR
10中の炭素原子に隣接する炭素原子(ベータ位の炭素原子)にあることが好ましく、R
10が脂肪族の場合には、隣接位またはさらにその隣接位(ベータ位またはガンマ位)にあることが好ましい。
【0215】
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基については前述のものが挙げられる。特にヘテロ原子としてはフッ素が好ましく、ヘテロ原子含有基はフッ素含有基が好ましい。
R
10として具体的には、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0216】
好ましくは、R
10が炭素原子数3〜30のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、具体的には1H,1H−パーフルオロプロピル、1H,1H−パーフルオロブチル、1H,1H−パーフルオロペンチル、1H,1H−パーフルオロヘキシル、1H,1H−パーフルオロヘプチル、1H,1H−パーフルオロオクチル、1H,1H−パーフルオロデシル、またはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどのフッ素および/またはフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0217】
より好ましくは、R
10はフッ素置換の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素原子数2以上のフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数8〜30の芳香族炭化水素基またはフッ素およびフッ素含有炭化水素基で置換された炭素原子数7〜30の芳香族炭化水素基であり、具体的にはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0218】
上記例示のうちR
10として特に好ましくは、2−フルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチル2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基である。
【0219】
なおフッ素の置換位置に関しては、R
10が芳香族の場合には、窒素原子に結合したR
10中の炭素原子に隣接する炭素原子(ベータ位の炭素原子)に有ることが好ましく、R
10が脂肪族の場合には、隣接位またはさらにその隣接位(ベータ位またはガンマ位)にあることが好ましい。
【0220】
R
11〜R
14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の原子または基を示す。
【0221】
R
15は、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、具体的には上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同様の基を示す。
R
15が示す炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜30のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の脂環骨格を有する炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントリル、フェナントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられ、より好ましくは、tert−ブチル基である。
【0222】
R
15が示す炭化水素置換シリル基としては、上記一般式(II−a)中のR
2〜R
5と同じものが挙げられる。
R
15が示すハロゲン原子およびハロゲン含有基としては、上記一般式(II−a)中のR
1と同様のものが挙げられる。
【0223】
また、R
10およびR
11〜R
15は、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
nは、M
1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
【0224】
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0225】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(II−a')、(II−b')または(III')で表される遷移金属化合物は、式中のXの1つをn−プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ−アゴスティック構造において、中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下であることが好ましい。
【0226】
以下に、上記一般式(I)、(II−a)、(II−b)、(II−a')、(II−b')、(III)または(III')で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0233】
【化16】
なお、上記例示中、Buはブチル基を示す。
【0234】
本発明では、上記のような化合物において、チタン金属をジルコニウム、ハフニウムなどのチタン以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されることなく、例えば上記一般式(III)で表される遷移金属化合物は、該遷移金属化合物を合成したときに配位子となる化合物(配位子前駆体)と、M
1X
k(MおよびXは、上記一般式(III)中のM
1およびXと同義であり、kはM
1の原子価を満たす数である。)で表される遷移金属M
1含有化合物とを反応させることで合成することができる。
【0235】
配位子前駆体は、サリチルアルデヒド類化合物と、式R
10−NH
2(R
10は前記と同義である。)で表される第1級アミン類化合物、例えばアニリン類化合物またはアルキルアミン類化合物とを反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に通常使用されるものが用いられるが、なかでもメタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、またはトルエンなどの炭化水素溶媒が好ましい。次いで、得られた溶液を室温から還流条件で、約1〜100時間攪拌すると、対応する配位子前駆体が得られる。配位子前駆体を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラシーブス、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンシュタークにより脱水を行うと、反応進行に効果的である。
【0236】
次に、こうして得られた配位子前駆体と、遷移金属M
1含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子前駆体を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキサイド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物などの金属化合物と低温下で混合し、−78℃から室温、または還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に通常使用されるものが用いられるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキサイド塩を調製する際に使用する塩基としては、n−ブチルリチウムなどのリチウム塩、水素化ナトリウムなどのナトリウム塩などの金属塩や、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基が好ましい。
【0237】
また、化合物の性質によっては、フェノキサイド塩調製を経由せず、配位子前駆体と遷移金属M
1含有化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。
【0238】
さらに、合成した遷移金属化合物中の金属M
1を、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR
10、R
11〜R
15の何れかがHである場合には、合成の任意の段階において、H以外の置換基を導入することができる。
【0239】
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子前駆体と遷移金属M含有化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
なお、これらの錯体の一般的な製法は、EP1008595A2にも記載されている。
以上のような遷移金属化合物(A)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0240】
(B−1)有機金属化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B−1)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第13族の有機金属化合物が用いられる。
【0241】
(B−1a):一般式 R
amAl(OR
b)
nH
pX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
【0242】
(B−1b):一般式 M
2AlR
a4
(式中、M
2はLi、NaまたはKを示し、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
【0243】
(B−1c):一般式 R
aR
bM
3
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M
3はMgである。)
で表される化合物。
【0244】
前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 R
amAl(OR
b)
3-m
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 R
amAlX
3-m
(式中、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 R
amAlH
3-m
(式中、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 R
amAl(OR
b)
nX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
【0245】
(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
(i−C
4H
9)
xAl
y(C
5H
10)
z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R
a2.5Al(OR
b)
0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
【0246】
また(B−1a)に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。
このような化合物として具体的には、(C
2H
5)
2AlN(C
2H
5)Al(C
2H
5)
2などが挙げられる。
【0247】
前記(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C
2H
5)
4、LiAl(C
7H
15)
4などが挙げられる。
またその他にも、(B−1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0248】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
【0249】
(B−1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような(B−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0250】
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0251】
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
【0252】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
【0253】
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0254】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0255】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0256】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0257】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0258】
また上記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
【0259】
有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0260】
【化17】
(式中、R
21は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R
22は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
【0261】
前記一般式(II)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸と
R
21−B−(OH)
2 …(V)
(式中、R
21は前記と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0262】
前記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中、では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0263】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0264】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0265】
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で必要に応じて用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0266】
具体的には、ルイス酸としては、BR
3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0267】
イオン性化合物としては、例えば下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0268】
【化18】
式中、R
23としては、H
+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0269】
R
24〜R
27は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0270】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0271】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0272】
R
23としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0273】
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
【0274】
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0275】
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0276】
ジアルキルアンモニウム塩として具体的にはは、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0277】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VII)または(VIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0278】
【化19】
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0279】
【化20】
ボラン化合物として具体的には、例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0280】
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどとの塩、トリフェニルエチル塩などとの有機塩が使用できるが、この限りではない。
【0281】
上記のような(B−3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
上述した遷移金属化合物(A)をオレフィン重合用触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とを併用すると、オレフィンに対して非常に高い重合活性を示す。
【0282】
本発明では、前記一般式(I)、(II−a)、(II−b)または(III)のいずれかで表される遷移金属化合物(A)を単独でオレフィン重合触媒として用いてもよいし、(A)遷移金属化合物と、(B)(B−1)有機金属化合物 (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物 から選ばれる少なくとも1種の化合物とをオレフィン重合触媒として用いてもよい。
【0283】
遷移金属化合物(A)と、成分(B)とを併用した場合、遷移金属化合物(A)が一般式(III)で表される場合は、重合系内において下記一般式(III−a)で表される化合物を形成する。
【0284】
【化21】
式中、R
10〜R
15、M
1、m、nおよびXは、それぞれ上記一般式(III)中のR
10〜R
15、M
1、m、nおよびXと同義であり、Yはいわゆる弱配位性のアニオンを示す。
【0285】
上記一般式(III−a)において金属MとYの結合は共有結合していてもよいし、イオン結合していてもよい。
Yの例としては、Chemical Review誌88巻1405ページ(1988年)、 Chemical Review誌93巻927ページ(1993年)、WO98/30612号6ページに記載の弱配位性アニオンが挙げられ、具体的には
AlR
4-
(Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、
酸素原子、窒素原子、リン原子、水素原子、ハロゲン原子もしくはこれらを含有する置換基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子が置換した基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子を有する置換基、が置換した基を示す。)
BR
4-
(Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、
酸素原子、窒素原子、リン原子、ハロゲン原子もしくはこれらを含有する置換基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子が置換した基、
または、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基に、酸素原子、窒素原子、リン原子もしくはハロゲン原子を有する置換基が置換した基を示す。)
またはPF
6-、SbF
5-、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネートなどが挙げられる。
【0286】
又、本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)と、有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)およびイオン化イオン性化合物(B−3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)(以下「成分(B)」ということがある。)とともに、さらに必要に応じて下記担体(C)および/または後述するような有機化合物(D)を含むことができる。
【0287】
(C)担体
本発明で必要に応じて用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0288】
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO
2、Al
2O
3、MgO、ZrO、TiO
2、B
2O
3、CaO、ZnO、BaO、ThO
2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO
2−MgO、SiO
2−Al
2O
3、SiO
2−TiO
2、SiO
2−V
2O
5、SiO
2−Cr
2O
3、SiO
2−TiO
2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO
2および/またはAl
2O
3を主成分とするものが好ましい。
【0289】
なお、上記無機酸化物は、少量のNa
2CO
3、K
2CO
3、CaCO
3、MgCO
3、Na
2SO
4、Al
2(SO
4)
3、BaSO
4、KNO
3、Mg(NO
3)
2、Al(NO
3)
3、Na
2O、K
2O、Li
2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差支えない。
【0290】
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m
2/g、好ましくは100〜700m
2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm
3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0291】
無機ハロゲン化物としては、MgCl
2、MgBr
2、MnCl
2、MnBr
2などが用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によってこれらを微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0292】
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0293】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl
2型、CdI
2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
【0294】
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO
4)
2・H
2O、α−Zr(HPO
4)
2、α−Zr(KPO
4)
2・3H
2O、α−Ti(HPO
4)
2、α−Ti(HAsO
4)
2・H
2O、α−Sn(HPO
4)
2・H
2O、γ−Zr(HPO
4)
2、γ−Ti(HPO
4)
2、γ−Ti(NH
4PO
4)
2・H
2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0295】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×10
4Åの範囲について測定される。
【0296】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0297】
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl
4、ZrCl
4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)
4、Zr(OR)
4、PO(OR)
3、B(OR)
3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al
13O
4(OH)
24]
7+、[Zr
4(OH)
14]
2+、[Fe
3O(OCOCH
3)
6]
+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)
4、Al(OR)
3、Ge(OR)
4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO
2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0298】
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、または加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0299】
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
【0300】
(D)有機化合物成分
本発明において(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、例えばアルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩などが挙げられる。
【0301】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R
28−OHで表されるものが使用され、ここで、R
28は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
【0302】
アルコール類としては、R
28がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0303】
カルボン酸としては、通常、R
29−COOHで表されるものが使用される。R
29は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
【0304】
リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
スルホン酸塩としては、下記一般式(IX)で表されるものが使用される。
【0305】
【化22】
式中、Mは周期表第1〜14族の元素である。
【0306】
R
30は水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0307】
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
図1に、本発明で用いられることのあるオレフィン重合触媒の調製工程の一例を示す。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0308】
上記(2)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
【0309】
また、上記の成分(C)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に遷移金属化合物(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
【0310】
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合または共重合することによりポリマーを得る。炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
【0311】
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0312】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合するに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10
-12〜1モル、好ましくは10
-10〜10
-2モルになるような量で用いられる。
【0313】
成分(B−1)が用いられる場合は、成分(B−1)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。成分(B−2)が用いられる場合は、成分(B−2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。成分(B−3)が用いられる場合は、成分(B−3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0314】
成分(D)が用いられる場合は、成分(B)が成分(B−1)の場合には、モル比〔(D)/(B−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B−2)の場合には、モル比〔(D)/(B−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B−3)の場合には、モル比〔(D)/(B−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0315】
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+100℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0316】
得られるオレフィン重合体の分子量は、モノマー/触媒比や重合時間を制御することによって調節することができる。
本発明の製造方法により、オレフィン重合体、例えば上述したような数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000の範囲にあり、Mw/Mnが1.5以下、好ましくは1.3以下であるオレフィン重合体が得られる。
【0317】
本発明の製造法によると、高い重合活性で、分子量が高く分子量分布の狭いオレフィン重合体または精密に構造の制御されたオレフィン系テーパードポリマー、オレフィン系ブロック共重合体を高い重合温度で得ることができる。
【0318】
本発明の他の態様に係るオレフィン重合体の製造方法は、上記のようにして得られたポリマーと官能基含有化合物とを接触させて、上述したような末端に官能基を有するオレフィン重合体を製造する。なお、官能基含有化合物には官能基へと変換できる化合物も含まれる。
【0319】
ここで官能基含有化合物または官能基へと変換できる化合物としては、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、リン含有基、金属原子含有基などの官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ビニル化合物、ヨウ素、塩素、臭素、二酸化炭素、エステル化合物、アルデヒド化合物、カルボン酸化合物、酸素、アルキルアミン化合物、アルキルハロゲン化珪素、アルキルアルミニウム化合物、アルキルホウ素化合物、アルキル亜鉛化合物、アルキルリチウム化合物などが挙げられる。
【0320】
さらに官能基含有化合物とを接触させた後、公知の方法で他の官能基に変換することも可能である。
オレフィン重合体と官能基含有化合物とを接触させる際の温度は、−78〜+300℃、好ましくは−78〜+200℃であり、圧力は常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の範囲である。また接触時間は1分〜100時間、好ましくは10分〜24時間の範囲である。
【0321】
オレフィン重合体と官能基含有化合物との接触は、溶媒中または無溶媒下で行うことができ、用いられる溶媒としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素化合物またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0322】
また本発明の他の態様に係るオレフィン重合体の製造方法では、前述の遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも2種以上の重合反応性の異なるオレフィンを共存させ、2種以上のモノマー組成が連続して変化するセグメントを含むテーパードポリマーを製造することを特徴とする。
【0323】
ここでテーパードポリマーとは前述の通り、ポリマーの一端から他の一端に沿ってコモノマー組成が徐々に変化するポリマーである。このポリマーは連鎖移動反応が実質的に起きないリビング重合系において、反応性の異なる2種以上のモノマー(たとえばエチレンとプロピレン)を重合することによって合成が可能である。
【0324】
この場合、モノマーの供給方法としては、複数のモノマーの組成を連続的に変化させながら供給する方法、または重合初期に複数のモノマーを一括で仕込み、重合反応性の差を利用してテーパードポリマーを得る方法などが挙げられる。この重合を行う温度、圧力、触媒の添加法、担持方法等に関しては、前記と同一のものが挙げられる。
【0325】
用いる2種以上のモノマーとしては、前述の炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれるものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンから選ばれることが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンであることがより好ましい。
【0326】
また、本発明の他の態様に係るオレフィン重合体の製造方法では、下記工程(1)および工程(2)、必要に応じて任意の回数工程(3)を行い複数の重合体ブロックからなるオレフィンブロック重合体を製造する。
【0327】
工程(1)では、上記オレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを重合させて重合体ブロックを製造する。
炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられ、これらは1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。また重合体ブロックとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0328】
工程(1)において、重合温度は通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+150℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下である。
【0329】
工程(2)では、上記工程(1)で製造された重合体ブロックの存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを重合させて、上記重合体ブロックとは異なる重合体ブロックを製造する。
【0330】
ここで、異なる重合体ブロックとは、モノマー種、コモノマー種、コモノマー組成、コモノマー含量、コモノマー配列、立体規則性など、ポリマーの一次構造の少なくとも一種が異なっているものを示す。
【0331】
炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられ、これらは1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。また、この工程(2)で得られた重合体ブロックとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0332】
工程(2)において、重合温度は通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+150℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下である。
【0333】
工程(3)上記工程(1)で得られた重合体ブロックと工程(2)で得られた重合体ブロックとを含むブロック重合体の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを重合させて、前段の工程で製造した重合体ブロックとは異なる重合体ブロックを製造する。
炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられ、これらは1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。また、工程(3)で得られた重合体ブロックとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0334】
工程(3)において、重合温度は通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+150℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下である。
【0335】
この工程(3)は、オレフィンの種類、組合せまたは重合条件を変更して任意の回数行うことができる。
本発明の製造方法により、例えば上述したようなオレフィンブロック共重合体が得られる。
【0336】
本発明の製造法によると、高い重合活性で、分子量が高く、分子量分布の狭いオレフィン系ブロック共重合体を高い重合温度で得ることができる。
本発明では上記のようにして得られたブロック共重合体と官能基含有化合物とを接触させて、末端に官能基を有するオレフィンブロック共重合体を得ることができる。
【0337】
このオレフィン系ブロック共重合体と官能基含有化合物との接触は、上記と同様にして行われる。
さらに本発明の他の態様に係るオレフィン重合体の製造方法は、オレフィンのリビング重合を進行させる触媒の存在下にオレフィンを重合し、系内で生成する触媒と生成ポリマー鎖の結合を連鎖移動反応によって切断することで得られる触媒を用いて重合を行う。
【0338】
リビング重合を進行させることは、得られた重合体の分子量分布が狭いこと、生成するポリマーの分子量が重合時間と共に増大することにより確認することができ、これによれば例えば上記単分散ポリオレフィン、オレフィン共重合体、テーパードポリマーまたはオレフィンブロック共重合体を製造することが可能である。
【0339】
上記のリビング重合が進行しているかどうかについては、例えば連鎖移動剤を除いた条件で、オレフィンを重合して確認することが最もよい。
上記単分散ポリオレフィン、オレフィン共重合体、テーパードポリマーまたはオレフィンブロック共重合体を与えうるかどうかについては、例えば連鎖移動反応により切断する操作を行わない以外は全く同じ条件(連鎖移動剤を単に除いただけの条件)で、オレフィンを重合して、上記オレフィン共重合体、テーパードポリマーまたはオレフィンブロック共重合体に記載のオレフィン系重合体を与えうるかどうか確認することが最もよい。
【0340】
この場合、用いられるオレフィン重合触媒としては、下記(1)〜(5)のものが挙げられる。
(1)4族メタロセン化合物と可溶性の非配位性アニオン化合物から成るオレフィン重合触媒
具体的には下記の構造のものが挙げられる。
[YCpM
2X
1][(C
2B
9H
11)
2Co]
[(YCp)
2M
2X
2(L)][X
3・B(C
6F
5)
3]
[(Y−CpM
2X
4)
2X
5][B']
式中M
2はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
Yは1つ以上の炭素原子数1〜20の炭化水素基、
Cpはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。Cpが複数個含まれる場合には1種でも2種以上でもよい。
【0341】
X
1〜X
5は前述のXと同じであり、Lは中性のルイス酸であり、B'は前述の非配位性アニオンである。
(2)(YCp)
2SmX
6、Y−CpTaX
7、Y−CpNbX
8(式中、YおよびCpは上記のものと同じであり、X
6〜X
8は前述のXと同じである。)とメチルアルミノキサンを組み合わせたオレフィン重合触媒
(3)下記式で表される化合物
【0342】
【化23】
式中、R
31〜R
33は水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基を示す。ただし、R
31〜R
33の少なくとも1つは水素原子である必要があるが、R
31〜R
33の全てが水素原子であってはならない。
【0344】
【化24】
式中、M
3は、周期表第8〜10族の遷移金属原子を示し、好ましくはニッケル、パラジウム、白金である。
【0345】
R
34〜R
37は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜50の炭化水素基、炭素数1〜50のハロゲン化炭化水素基、有機シリル基または窒素、酸素、リン、イオウ、ケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基を示す。
【0346】
R
34〜R
37で表される基は、これらのうちの2個以上、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成していてもよい。
qは0〜4の整数を示す。
【0347】
X
9は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、窒素含有基を示し、qが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0349】
【化25】
式中、M
4は、周期表第3〜6族の遷移金属原子を示し、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであることが好ましい。
【0350】
R
38およびR
39は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜50の炭化水素基、炭素数1〜50のハロゲン化炭化水素基または有機シリル基または、窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基を示す。
【0351】
mは、0〜2の整数である。
nは、1〜5の整数である。
Aは、周期表第13〜16族の原子を示し、具体的には、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、セレン、スズなどが挙げられ、炭素またはケイ素であることが好ましい。
【0352】
nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Eは、炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基である。Eで示される基が複数存在する場合は、Eで示される複数の基は、互いに同一でも異なっていてもよく、またEで示される2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0353】
pは、0〜4の整数である。
X
10は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有機を示す。なおpが2以上の場合には、X
10で示される複数の基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0354】
重合に用いられる炭素原子数1〜20のオレフィン化合物は、上記したものと同様の炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、炭素原子数3〜20の環状オレフィン、ビニルシクロヘキサン、ジエン、ポリエン、芳香族ビニル化合物などが挙げられる。これらのオレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0355】
また本発明で用いられるオレフィンとしては、炭素、水素以外の原子を有するモノマーも挙げられ、このようなモノマーとして具体的には上記のようなα,β−不飽和カルボン酸、環状オレフィンカルボン酸およびその無水物およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩、α,β−不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル類、不飽和グリシジル類、ハロゲン化オレフィン類、不飽和シアノ化合物、不飽和ケトン類、不飽和エーテル類、官能基含有スチレン誘導体、ビニル基含有ヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0356】
本発明で用いられるオレフィンのうち少なくとも1種は、炭素と水素のみからなるオレフィンである。この炭素と水素のみからなるオレフィンのオレフィン全体に対する量比に特に制限はないが、例えばオレフィン全体の内の5モル%以上、100モル%以下の量が挙げられる。また少なくとも1種とは、本発明に係るオレフィン重合体全体の内で、炭素と水素のみからなるオレフィンが少なくとも1種含まれていればよく、例えば、複数の重合体ブロックからなるオレフィン重合体であれば、いずれかの重合体ブロックに、炭素と水素のみからなるオレフィンが含まれていてもよい。
【0357】
これらのオレフィンを重合する条件については前述の条件が挙げられ、重合温度は通常−100〜+200℃、好ましくは−78〜+150℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の範囲である。
【0358】
また前記の連鎖移動反応は該反応が進行する所定の温度に保持することによって進行させるか水素、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物、有機鉛化合物から選ばれる1種以上の化合物を用いて進行させることを特徴とする。
【0359】
連鎖移動を進行させる条件は前述のオレフィンの重合反応と同じ条件でも良いし、異なっていてもよく、温度は通常−100〜+200℃−、好ましくは−78〜+150℃の範囲である。圧力は、通常常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下である。
【0360】
熱によって連鎖移動反応を進行させる場合には、連鎖移動が進行しない温度でオレフィン化合物を重合し、次いで反応系を連鎖移動が進行する所定の温度に保ち連鎖移動反応を進行させた後、再び連鎖移動反応が進行しない温度で重合を行うことが好ましい。またこの操作は任意の回数繰り返してもよい。
【0361】
連鎖移動反応を水素、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物、有機鉛化合物から選ばれる1種以上の化合物を用いて進行させる場合、これらの反応剤は、重合の開始時点から共存させてもよいし、任意の段階で後添加しても良い。テーパードポリマーやブロック共重合体を製造する場合には、目的のポリマーが系内で生成した後に、連鎖移動剤を加えることが好ましい。
【0362】
本発明で用いられる連鎖移動剤としては、水素、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物、有機鉛化合物が挙げられる。具体的には例えば下記のようなものが用いられる。
【0363】
一般式 R
amAl(OR
b)
nH
pX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
【0364】
一般式 R
amB(OR
b)
nH
pX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、好ましくは0<m≦2、nは0≦n<3、好ましくは0≦n<2、pは0≦p<3、好ましくは1≦p<3、qは0≦q<3、好ましくは0≦q<2の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機ホウ素化合物。
【0365】
一般式 R
amSi(OR
b)
nH
pX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、好ましくは0<m≦3、nは0≦n<4、好ましくは0≦n<3、pは0≦p<4、好ましくはpは1≦p<4、qは0≦q<4、好ましくは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=4である。)
で表される有機ケイ素化合物。
【0366】
一般式 R
amPb(OR
b)
nH
pX
q
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、nは0≦n<4、pは0≦p<4、qは0≦q<4の数であり、かつm+n+p+q=4である。)
で表される有機鉛化合物。
【0367】
一般式 R
aR
bM
4
(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M
4はZnまたはCdである。)
で表される亜鉛またはカドミウムのジアルキル化合物。
【0368】
上記の化合物としてより具体的には
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリド、ボラン、ボランテトラヒドロフラン錯体、ボランジメチルスルフィド錯体、ボランジメチルアミン錯体、ボラントリメチルアミン錯体、ボラントリメチルホスフィン錯体、テキシルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、トリエチルボラン、トリメチルボラン、モノアルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジエチルカドミウム、ジメチルカドミウム、テトラフェニル鉛が挙げられる。
【0369】
また重合系内で上記連鎖移動剤が形成されるような化合物を使用することもできる。
上記化合物のなかでは、水素、有機亜船化合物、有機ホウ素化合物、有機ケイ素化合物が好ましく、水素、ジエチル亜鉛、水素化ホウ素化合物が特に好ましい。
【0370】
上記のような連鎖移動剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
ただし、この連鎖移動剤を用いる場合、この試剤は、オレフィン重合触媒を構成する有機金属化合物とは異なるものである。なぜなら本重合反応は、連鎖移動剤を添加しない場合には、リビング重合が進行していることが必須であり、連鎖移動剤を添加することによって初めて連鎖移動反応が進行することを特徴とする。
【0371】
この連鎖移動剤と、遷移金属化合物とのモル比は通常0.1〜10000、好ましくは1〜5000となるような量で用いられる。
この場合、用いるオレフィン重合触媒として上記遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒が好ましく、製造する重合体が前述のテーパードポリマー、オレフィン共重合体およびオレフィン系ブロック共重合体である製造方法が好ましい。
【0372】
本発明の製造法によると、高い重合活性で、分子量が高く分子量分布の狭いオレフィイン重合体または精密に構造の制御されたテーパードポリマー、オレフィンブロック共重合体を高い効率で得ることができる。
【0373】
上記のような単分散ポリオレフィン、オレフィン共重合体、テーパードポリマー、オレフィンブロック共重合体またはこれらの重合体の末端に官能基を含有する重合体は、種々の添加剤を添加してもよい。
【0374】
また、上記のような単分散ポリオレフィン、オレフィン共重合体、テーパードポリマー、オレフィンブロック共重合体またはこれらの重合体の末端に官能基を含有する重合体は、種々の用途に使用できる。
【0375】
さらに上記のような単分散ポリオレフィン、オレフィン共重合体、テーパードポリマー、オレフィンブロック共重合体またはこれらの重合体の末端に官能基を含有する重合体を含む組成物は公知の成形法で成形して、成型品として使用することができる。
【0376】
本発明のオレフィン重合体のうち、硬質ブロックおよび軟質ブロックを含有するブロック共重合体およびテーパードポリマーは、熱可塑性エラストマーとしての性能を有する。
これらのポリマーの用途としては、サイドモール、バンパー、ウエザーストリップ、グラスランチャンネル、ブーツ類、エアダクトホースなどの自動車部品;パッキン類、マット、ベルト類、ホース類などの工業部品;電線、コード類、消音ギアなどの電気・電子部品;スポーツシューズ、スキー靴などのスポーツ用品;ガスケット、遮水シートなどの土木・建材用途などが挙げられる。
【0377】
本発明に係るオレフィン重合体は、熱可塑性樹脂、充填材、核材、高分子に用いられる添加剤を任意の割合で配合することができ、また架橋、発泡などの2次変性をしてもよい。
【0378】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリレートなどの非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。ポリ塩化ビニルも好ましく用いられる。
【0379】
上記ポリオレフィンとして具体的には、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体、3−メチル−1−ブテン系重合体、ヘキセン系重合体などが挙げられる。中でも、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体が好ましく、エチレン系重合体である場合はエチレン・極性基含有ビニル共重合体であることが好ましい。
【0380】
上記ポリエステルとして具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0381】
上記ポリアミドとして具体的には、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどが挙げられる。中でも、ナイロン−6が特に好ましい。
【0382】
上記ポリアセタールとして具体的には、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどが挙げられる。中でも、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0383】
上記ポリスチレンは、スチレンの単独重合体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンとの二元共重合体であってもよい。
上記ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するABSが好ましく用いられる。
【0384】
上記ポリカーボネートとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどから得られるポリマーが挙げられる。中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから得られるポリカーボネートが特に好ましい。
【0385】
上記ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)を用いることが好ましい。
上記ポリアクリレートとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレートを用いることが好ましい。
【0386】
上記のような熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、上記熱可塑性樹脂に加えてさらに架橋剤、充填剤、架橋促進剤、架橋助剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤、加工助剤、密着性付与剤、無機充填剤、有機フィラー、結晶核剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤などを含んでいてもよい。
【0387】
架橋剤
架橋剤としては、イオウ、イオウ化合物および有機過酸化物などが挙げられる。1分半減期温度が130〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的にはジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサンなどが好ましい。なお、架橋剤として有機過酸化物を用いる場合には、架橋助剤を併用することが好ましい。
【0388】
上記のような各種架橋剤のうち、イオウまたはイオウ系化合物、特にイオウを用いると優れた特性の架橋物を得ることができるため好ましいが、有機過酸化物が、特に架橋効率に優れているためより好ましい。
【0389】
架橋促進剤
架橋促進剤として具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾールなどが用いられる。
【0390】
架橋助剤
架橋助剤は、有機過酸化物架橋の際に用いられ、該架橋助剤として具体的には、イオウ;p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物;および多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物;N,N'−m−フェニレンビスマレイミドなどのマレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0391】
軟化剤
軟化剤としては、従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用いられ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質が挙げられる。なかでも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0392】
発泡剤
発泡剤としては、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤を広く使用することができ、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4−ジフェニル、ジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジドなどのアジド化合物が挙げられる。これらのうちでは、ニトロソ化合物、アゾ化合物、アジド化合物が好ましい。
【0393】
発泡助剤
また発泡剤とともに発泡助剤を用いることもでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0394】
加工助剤
加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸などの酸、これら高級脂肪酸の塩、例えばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などが挙げられる。
【0395】
密着性付与剤
密着性付与剤は、架橋物と塗膜などの加飾層との密着性を改良するものであり、例えば有機スズ化合物、第3級アミン化合物、水酸基含有(共)重合体、金属水酸化物などが挙げられる。
【0396】
無機充填剤
無機充填剤としては、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0397】
中でも層状化合物が好ましく、さらには分散媒に対して膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が特に好ましく用いられる。かかる粘土鉱物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族などを挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族などを挙げることができる。
【0398】
これらの粘土鉱物としては、より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。
【0399】
また、粘土鉱物を有機物で処理したもの(以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も無機層状化合物として用いることができる(なお、有機物で処理した粘土鉱物に関しては、朝倉書店、「粘土の事典」参照)。
【0400】
上記粘土鉱物の中でも、膨潤性またはへき開性の観点から、スメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族が好ましく、さらに好ましくはスメクタイト族が好ましい。スメクタイト族としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトを例示できる。
【0401】
無機層状化合物を膨潤またはへき開させる分散媒は、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトンなどが挙げられ、水やメタノールなどのアルコール類がより好ましい。
また、有機修飾粘土鉱物の場合、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチルメタアクリル酸メチル(MMA)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどが挙げられる。
【0402】
結晶核剤
結晶核剤としては、従来知られている種々の核剤が特に制限されることなく用いられる。結晶核剤として下記に挙げる芳香族リン酸エステル塩、ベンジリデンソルビトール、芳香族カルボン酸、ロジン系核剤などが例示される。
【0403】
芳香族リン酸エステル塩としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0404】
【化26】
(式中、R
41は酸素原子、イオウ原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、R
42およびR
43は水素原子または炭素原子数は1〜10の炭化水素基を示し、R
42およびR
43は同種であっても異種であってもよく、R
42同士、R
43同士またはR
42とR
43とが結合して環状となっていてもよく、Mは1〜3価の金属原子を示し、nは1〜3の整数である。)
【0405】
前記式(1)で表される化合物として具体的には、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス−(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス−(2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート)、マグネシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'−ジメチル−5,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−m−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]およびアルミニウム−トリス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]およびこれらの2個以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0406】
芳香族リン酸エステル塩として、下記式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0407】
【化27】
(式中、R
44は水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、Mは1〜3価の金属原子を示し、nは1〜3の整数である。)
【0408】
前記式(2)で表される化合物として具体的には、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−i−プロピルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0409】
ベンジリデンソルビトールとしては、下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0410】
【化28】
(式中、R
45は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、mおよびnはそれぞれ0〜5の整数である。)
【0411】
前記式(3)で表される化合物として具体的には、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2−4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0412】
上記のようなベンジリデンソルビトールの中では、下記式(4)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。
【0413】
【化29】
(式中、R
45は互いに同一でも異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示す。)
芳香族カルボン酸としては、下記式(5)で表されるアルミニウムヒドロキシジパラt−ブチルベンゾエートなどが挙げられる。
【0414】
【化30】
ロジン系の結晶核剤としては、例えばロジン酸の金属塩があり、ロジン酸の金属塩とは、ロジン酸と金属化合物との反応生成物をいう。ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、変性ロジンの精製物などを例示できる。なお、前記α,β−エチレン性飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。これらの中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも1種のロジン酸であることが好ましい。ここで、ロジン酸は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などから選ばれる樹脂酸を複数含んでいる。
【0415】
前記ロジン酸と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0416】
その他の結晶核剤としては、高融点ポリマー、芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸の金属塩、無機化合物などを例示できる。
高融点ポリマーとしては、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタンなどのポリビニルシクロアルカン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリアルケニルシランなどが挙げられる。
【0417】
芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸の金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0418】
成形法
本発明に係るオレフィン系共重合体はカレンダー成形、押し出し成形、射出成形、ブロー成形、プレス成形、スタンピング成形などで製造することができる。
【0419】
オレフィン系共重合体は押出成形により、シートまたはフィルム(未延伸)に成形することができる。
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、例えばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法により延伸することにより得られる。また本発明に係るオレフィン系共重合体からインフレーションフィルムを製造することもできる。
【0420】
フィラメントは、例えば溶融したオレフィン系共重合体を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。また、メルトブローン法で調製してもよい。
射出成形体は、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、オレフィン系共重命体を種々の形状に射出成形して製造することができる。本発明に係るオレフィン系共重合体からなる射出成形体は帯電しにくく、剛性、耐熱性、耐衝撃性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れており、自動車内装用トリム材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器など幅広く用いることができる。
【0421】
ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、製造することができる。
また、射出ブロー成形では、本発明に係るオレフィン系共重合体を樹脂温度100℃〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、金型に着装することにより中空成形体を製造することができる。
【0422】
スタンピング成形としてはスタンピングモールド成形が挙げられ、例えば基材と表皮材とを同時にプレス成形して両者を複合一体化成形(スタンピングモールド成形)する際の基材を上記オレフィン系共重合体で形成することができる。
【0423】
用途
本発明に係るオレフィン系共重合体は種々の用途に使用でき、例えばフィルムおよびシート積層体、改質剤に使用できる。
【0424】
本発明に係るオレフィン系共重合体からなる層を少なくとも1層含む積層体としては、例えば農業用フィルム、ラップ用フィルム、シュリンク用フィルム、プロテクト用フィルム、血漿成分分離膜、水選択透過気化膜などの分離膜例、イオン交換膜、バッテリーセパレータ、光学分割膜などの選択分離膜などがある。
【0425】
本発明に係るオレフィン系共重合体をゴム用改質剤として用いることができる。
ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレン系ゴム(EPM、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANMなど)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECOなど)、シリコーンゴム(Q)、フッ素系ゴム(FKMなど)などの架橋型ゴム;スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系、塩化ビニル系などの熱可塑型ゴムが挙げられる。
【0426】
本発明に係るオレフィン系共重合体は、潤滑油用改質剤、例えばガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、舶用エンジン油、ギア油、機械油、金属加工油、モーター油、マシン油、スピンドル油、絶縁油などの潤滑油用途、またこれらの粘度調節剤、凝固点降下剤として用いることができる。
【0427】
本発明に係るオレフィン系共重合体をワックス用改質剤として用いることができる。ワックスとしては、モンタンワックス、ピートワックス、オゾケライト・セレシンワックス、石油ワックスなどの鉱物性ワックス、ポリエチレン、Fischer−Tropschワックス、化学修飾炭化水素ワックス、置換アミドワックスなどの合成ワックス、植物ろう、動物ろうなどが挙げられる。
【0428】
本発明に係るオレフィン系共重合体をセメント用改質剤として用いることができる。
セメントとしては、石灰、石こう、マグネシアセメント等の気硬性セメント、ローマンセメント、天然セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高硫酸塩スラグセメント等の水硬性セメント、耐酸セメント、耐火セメント、水ガラスセメント、歯科用セメントなどの特殊セメントなどがある。
【0429】
(粘度調節剤、成形性改良剤)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、凸版印刷インキ、平板印刷インキ、フレキソインキ、グラビアインキ等のインキ、油性塗料、繊維素誘導体塗料、合成樹脂塗料、水性焼き付き塗料、粉状水性塗料、漆などのインキ・塗料の粘度調節剤、成形性改良剤として用いられる。
【0430】
(建材・土木用材料)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、例えば床材、床タイル、床シート、遮音シート、断熱パネル、防振材、化粧シート、巾木、アスファルト改質材、ガスケット・シーリング材、ルーフィングシート、止水シートなどの建材・土木用樹脂および建材・土木用成形体などに用いることができる。
【0431】
(自動車内外装材およびガソリンタンク)
本発明に係るオレフィン系共重合体からなる自動車内外装材、ガソリンタンクなどに用いることができる。
【0432】
(電気・電子部品)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、電気・電子部品に用いることができ、電気・電子部品としては、電気絶縁材料;電子部品処理用器材;磁気記録媒体、磁気記録媒体のバインダー、電気回路の封止材、家電用素材、電子レンジ用容器などの容器用器材;電子レンジ用フィルム、高分子電解質基材、導電性アロイ基材などがある。また電気・電子部品としては、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケーススイッチコイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、光コネクター、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレイ部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、電磁シールド材、スピーカーコーン材、スピーカー用振動素子などがある。
【0433】
(水性エマルジョン)
本発明に係るオレフィン系共重合体を含む水性エマルジョンは、ヒートシール性に優れたポリオレフィン用の接着剤として用いることができる。
【0434】
(医療・衛生用材料)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、不織布、不織布積層体、エレクトレット、医療用チューブ、医療用容器、輸液バッグ、プレフィルシリンジ、注射器などの医療用品、医療用材料、人工臓器、人工筋肉、濾過膜、食品衛生・健康用品;レトルトバッグ、鮮度保持フィルムなどに用いることができる。
【0435】
(雑貨類)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、デスクマット、カッティングマット、定規、ペンの胴軸・グリップ・キャップ、ハサミやカッターなどのグリップ、マグネットシート、ペンケース、ペーパーフォルダー、バインダー、ラベルシール、テープ、ホワイトボードなどの文房具;衣類、カーテン、シーツ、絨毯、玄関マット、バスマット、バケツ、ホース、バック、プランター、エアコンや排気ファンのフィルター、食器、トレイ、カップ、弁当箱、コーヒーサイフォン用ロート、メガネフレーム、コンテナ、収納ケース、ハンガー、ロープ、洗濯ネットなどの生活日用雑貨類;シューズ、ゴーグル、スキー板、ラケット、ボール、テント、水中メガネ、足ヒレ、釣り竿、クーラーボックス、レジャーシート、スポーツ用ネット等のスポーツ用品:ブロック、カードなどの玩具;灯油缶、ドラム缶、洗剤やシャンプーなどのボトルなどの容器;看板、パイロン、プラスチックチェーンなどの表示類などに用いることができる。
【0436】
(フィラー改質剤)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、フィラー分散性改良材と分散性の改良されたフィラーを調製するための添加剤などの用途に好適に用いることができる。
【0437】
(相溶化剤)
本発明に係るオレフィン系共重合体のうち末端に官能基を有するものは、相溶化剤として用いることができる。本発明に係るオレフィン系共重合体を相溶化剤として用いると、ポリオレフィンと、極性基を含有する熱可塑性樹脂とを任意の割合で混合することができる。上記オレフィン系共重合体は;ポリオレフィンセグメントと官能基とを有しているので元来非相溶であった成分を混和させることができる。
【0438】
(その他)
本発明に係るオレフィン系共重合体は、上記以外にもマイクロカプセル、PTP包装、ケミカルバルブ、ドラッグデリバリーシステムなどに用いることができる。
【実施例】
【0439】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、合成例で得られた化合物の構造は、
1H−NMRおよびFD−質量分析(日本電子 SX−102A)を用いて決定した。
【0440】
合成例1
充分に窒素置換した100mlの反応器にトルエン100ml、ペンタフルオロアニリン10.34g(56.5mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド6.68g(75.4%、28.2mmol)および触媒として少量の酢酸を装入し、7時間加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、さらに触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を加え、2.5時間還流攪拌した。室温まで放冷後濾過により触媒を除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(a)で示される黄色固体を、8.47g(収率88%)得た。
【0441】
【化31】
充分に窒素置換した50mlの反応器に上記で得られた化合物(a)1.043g(3.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.05ml(n−ヘキサン溶液、1.54N、3.15mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で3時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン3.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、1.50mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、ろ液を液量が約5mlになるまで減圧濃縮した。析出した固体を集め、ヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(1)で示される茶色の化合物を0.381g(収率32%)得た。なお、化合物(1)のFD−質量分析の結果は、802(M+)であった。
【0442】
【化32】
合成例2
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、2,4,6−トリフルオロアニリン3.82g(26.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド2.32g(13.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、4時間加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、濾過により触媒を除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(b)で示される黄色油状物を3.79g(収率95%)得た。
【0443】
【化33】
充分に窒素置換した50mlの反応器に上記で得られた化合物(b)1.23g(4.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.63ml(n−ヘキサン溶液、1.60N、4.20mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で2時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン4.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、2.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、ろ液を減圧濃縮した。エーテル5mlおよびヘキサン30mlを加えて析出した固体を集め、ヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(2)で示される赤茶色の化合物を0.550g(収率38%)得た。なお、化合物(2)のFD−質量分析の結果は、730(M+)であった。
【0444】
【化34】
合成例3
充分に窒素置換した100mlの反応器にエタノール30ml、2,6−ジフルオロアニリン5.16g(40.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド3.58g(20.0mmol)および触媒として少量の酢酸を装入し、加熱還流撹拌を続けた。少量の酢酸を追加装入しながら計150時間還流攪拌を行った。室温まで放冷後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(c)で示される黄色固体を4.76g(収率82.2%)得た。
【0445】
【化35】
充分に窒素置換した30mlの反応器に上記で得られた化合物(c)1.16g(4.00mmol)と無水ジエチルエーテル20mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.50ml(n−ヘキサン溶液、1.6N、4.00mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で3時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン4.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、2.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、固体を少量の塩化メチレンで洗浄した。ろ液およびろ洗液を減圧濃縮して得られた固体を集め、エーテル15mlに懸濁して析出物を濾過後、少量のエーテルおよびヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(3)で示される茶色の化合物を1.059g(収率76%)得た。なお、化合物(3)のFD−質量分析の結果は、694(M+)であった。
【0446】
【化36】
合成例4
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、o−フルオロアニリン2.89g(26.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド2.32g(13.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、5時間加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、濾過により触媒を除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(d)で示される黄色油状物を3.45g(収率98%)得た。
【0447】
【化37】
充分に窒素置換した30mlの反応器に上記で得られた化合物(d)1.01g(4.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.63ml(n−ヘキサン溶液、1.60N、4.20mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で2時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン4.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、2.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、ろ液を減圧濃縮した。エーテル5mlおよびヘキサン30mlを加えて析出した固体を集め、ヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(4)で示される赤茶色の化合物を0.530g(収率40%)得た。なお、化合物(4)のFD−質量分析の結果は、658(M+)であった。
【0448】
【化38】
合成例5
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、1H,1H−パーフルオロオクチルアミン3.19g(8.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド1.43g(8.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、14時間加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、濾過により触媒を除き、減圧濃縮して下記式(e)で示される黄色固体を4.04g(収率90%)得た。
【0449】
【化39】
充分に窒素置換した30mlの反応器に上記で得られた化合物(e)1.12g(2.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム1.31ml(n−ヘキサン溶液、1.60N、2.10mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で2時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン2.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、1.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、ろ液を減圧濃縮した。エーテル3mlおよびヘキサン20mlを加えて析出した固体を集め、ヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(5)で示される赤茶色の化合物を0.183g(収率15%)得た。なお、化合物(5)のFD−質量分析の結果は、1234(M+)であった。
【0450】
【化40】
合成例6
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロアニリン4.66g(20.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド1.78g(10.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、53時間加熱還流撹拌を続けた。GC分析により原料が確認されたため、さらに2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチル−アニリン2.33g(10.0mmol)を加えて7時間加熱還流攪拌を続けた。室温まで放冷後、濾過により触媒を除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(f)で示される淡黄色固体を2.53g(収率64%)得た。
【0451】
【化41】
充分にアルゴン置換した100mlの反応器に水素化ナトリウム0.15g(23.80mmol)を装入しヘキサン10mlで2回洗浄した後、ジエチルエーテル30mlを加えて懸濁させた。懸濁液を室温で攪拌しながら、上記で得られた化合物(f)を含むジエチルエーテル溶液20mlを20分かけて滴下し、さらに2時間攪拌した。溶液を−78℃に冷却し、四塩化チタン3.75ml(ヘプタン溶液、0.5M、1.88mmol)を5分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温した。さらに室温で12時間攪拌した後、選られた暗赤色スラリーをろ過し、濾液を減圧濃縮した。エーテルを加えて析出した固体を集め、減圧乾燥させることにより、下記式(6)で示される赤茶色粉末の化合物を0.76g(収率45%)得た。なお、化合物(6)のFD−質量分析の結果は、902(M+)であった。
【0452】
【化42】
合成例7
充分に窒素置極した200mlの反応器に、エチルマグネシウムブロミド16.2ml(エーテル溶液、3M、48.6mmol)および無水テトラヒドロフラン50mlを装入した。氷冷下、2−(1−アダマンチル)−4−メチルフェノール11.2g(46.2mmol)を無水テトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を20分かけて滴下した。滴下終了後室温にて攪拌し、トルエン300mlを加えて加熱攪拌し、テトラヒドロフランおよびジエチルエーテルを留去した。室温まで冷却し、パラホルムアルデヒド3.80g(127mmol)およびトリエチルアミン7.1g(70.2mmol)を加えて80〜90℃にて20分間加熱攪拌した。室温まで冷却しさらに氷冷しながら10%塩酸200mlを加えた。ジエチルエーテル300を加えて分液し、有機層を水200mlで2回、続けて炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた結晶を減圧乾燥し、下記式(g)で示される黄色の化合物(式中Admはアダマンチル基を示す。)を10.5g(収率84%)得た。
【0453】
【化43】
充分に窒素置換した100mlの反応器にトルエン80ml、ペンタフルオロアニリン2.75g(15.0mmol)、上記で得られた化合物(g)4.07g(99.7%、15.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、5時間半加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、溶媒を減圧留去した。メタノール50mlを加えて攪拌し、濾過により得られた固体を減圧乾燥して、下記式(g')で示される黄色固体を4.38g(収率67%)得た。
【0454】
【化44】
充分にアルゴン置換した50mlの反応器に上記で得られた化合物(g')1.35g(3.00mmol)と無水ジエチルエーテル20mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム1.89ml(n−ヘキサン溶液、1.59N、3.00mmol)を5分かけて滴下し、2時間攪拌した後にゆっくりと室温まで昇温した。室温で3時間撹拌後、この溶液を−78℃に冷却した四塩化チタン3.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、1.50mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlへ滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温で12時間攪拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた固体に塩化メチレン40mlを加えて攪拌後ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。析出した固体をヘキサンで再沈し、得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(7)で示される茶色の化合物を0.334g(収率23%)得た。なお、化合物(7)のFD−質量分析の結果は、986(M+)であった。
【0455】
【化45】
合成例8
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、o−トリフルオロメチルアニリン4.19g(26.0mmol)、3−t−ブチルサリチルアルデヒド2.32g(13.0mmol)および触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、5時間加熱還流撹拌を続けた。室温まで放冷後、濾過により触媒を除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(h)で示される黄色油状物を3.20g(収率77%)得た。
【0456】
【化46】
充分に窒素置換した30mlの反応器に上記で得られた化合物(h)1.29g(4.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.63ml(n−ヘキサン溶液、1.60N、4.20mmol)を5分かけて滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温した。室温で2時間撹拌後、−78℃に冷却した四塩化チタン4.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、2.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、ろ液を減圧濃縮した。エーテル5mlおよびヘキサン30mlを加えて析出した固体を集め、ヘキサンにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることにより、下記式(8)で示される赤茶色の化合物を0.80g(収率53%)得た。なお、化合物(8)のFD−質量分析の結果は、758(M+)であった。
【0457】
【化47】
合成例9
充分に窒素置換した100mlの反応器にエタノール55ml、3,5−ジトリフルオロメチルアニリン3.44g(15.0mmol)を装入し攪拌した。この溶液に、3−t−ブチルサリチルアルデヒド1.79g(10.0mmol)を装入し、室温で19時間攪拌した後にモレキュラーシーブ4A 6.00gを加えて5時間加熱還流攪拌を行なった。ろ過により固体を除き、溶液を濃縮した。固体をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(i)で示される黄色固体を0.92g(収率72%)得た。
【0458】
【化48】
充分に窒素置換した30mlの反応器に上記で得られた化合物(i)0.779g(2.00mmol)と無水ジエチルエーテル20mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム1.43ml(n−ヘキサン溶液、1.54N、2.20mmol)を5分かけて滴下し、3時間攪拌した。その後ゆっくりと室温まで昇温しながら5時間攪拌した後、−78℃に冷却した四塩化チタン2.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、1.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、溶液を10mlまで濃縮した。ろ過により選られた結晶をヘキサンで洗浄して減圧乾燥させることにより、下記式(9)で示される赤褐色の化合物を0.269g(収率30.1%)得た。なお、化合物(9)のFD−質量分析の結果は、894(M+)であった。
【0459】
【化49】
合成例10
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、3,5−ジフルオロアニリン3.36g(26.0mmol)を装入し攪拌した。この溶液に、3−t−ブチルサリチルアルデヒド2.32g(13.0mmol)および少量のp−トルエンスルホン酸を装入し、6.5時間加熱還流攪拌を行なった。ろ過により固体を除き、溶液を濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムを用いて精製し、下記式(j)で示される黄色固体を3.32g(収率89%)得た。
【0460】
【化50】
充分に窒素置換した50mlの反応器に上記で得られた化合物(j)1.16g(4.00mmol)と無水ジエチルエーテル30mlを装入し、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム2.63ml(n−ヘキサン溶液、1.60N、4.20mmol)を5分かけて滴下した。その後ゆっくりと室温まで昇温しながら12時間攪拌した後、−78℃に冷却した四塩化チタン4.00ml(ヘプタン溶液、0.5M、2.00mmol)のエーテルスラリーへ徐々に添加した。添加後、ゆっくりと室温まで昇温した。得られた暗赤色スラリーをろ過し、溶液を濃縮した。ろ過により選られた結晶をヘキサンで洗浄して減圧乾燥させることにより、下記式(10)で示される赤褐色の化合物を0.958g(収率69%)得た。なお、化合物(10)のFD−質量分析の結果は、694(M+)であった。
【0461】
【化51】
合成例11
充分に窒素置換した100mlの反応器にハフノセンジクロライド2.00g(5.27mmol)と無水ジエチルエーテル40mlを装入し、0℃に冷却し、撹拌した。これにメチルリチウム9.6ml(エーテル溶液、1.14N、10.9mmol)を45分かけて滴下し、2時間攪拌した。その後ゆっくりと0℃まで昇温した。0℃で30分撹拌後、ろ過により不溶物を除いた。濾液を濃縮し、エーテル10mlを加えて懸濁した後に再度不溶物を除き、溶液を減圧濃縮して(11)で示される淡黄色の化合物を1.79g(定量的)得た。
【0462】
【化52】
参考例1
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに、トルエン250mlを装入し、エチレン50リットル/hr、プロピレン150リットル/hrの混合ガスで液相および気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続きチタン化合物(1)を0.005mmol加え、重合を開始した。50℃にて5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。
【0463】
得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。析出したポリマーはメタノールで洗浄した後、130℃にて10時間減圧乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体は、0.794gであり、チタン1mmol当たりの重合活性は1.91kg/hrであった。IRで測定したプロピレン含量は13.3モル%であり、GPC測定による分子量(Mn)は159,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。
【0464】
参考例2
参考例1において、重合時間を10分とした他は同様に重合をおこない、エチレン・プロピレン共重合体1.318gを得た。チタン1mmol当たりの重合活性は1.58kg/hrであった。IRで測定したプロピレン含量は15.0モル%であり、GPC測定による分子量(Mn)は233,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。
【0465】
参考例3
参考例1において、重合時間を20分とした他は同様に重合をおこない、エチレン・プロピレン共重合体2.225gを得た。チタン1mmol当たりの重合活性は1.34kg/hrであった。IRで測定したプロピレン含量は15.4モル%であり、GPC測定による分子量(Mn)は345,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1:29であった。
【0466】
参考例4
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.0005mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、25℃で0.5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.149g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は35.8kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々191,000および219,000であり、Mw/Mnは1.15であった。
【0467】
参考例5〜22
触媒量、重合時間、重合温度を表1に記載のように変えたこと以外は、同様にして重合を行った。重合活性および得られたポリマーの分子量、分子量分布を表1に示す。
【0468】
【表1】
実施例23
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をプロピレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.50mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.01mmol加え重合を開始した。25℃で30分間反応させた後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含むメタノールに投入してポリマーを全量析出後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリプロピレン(PP)を0.4mg得た。得られたPPの数平均分子量(Mn、PP換算)および重量平均分子量(Mw、PP換算)は各々4,200および4,400であり、Mw/Mnは1.05であった。
【0469】
実施例24
実施例23で重合時間を3時間に延長した他は同様にして、ポリプロピレン(PP)を96mg得た。得られたPPの数平均分子量(Mn、PP換算)および重量平均分子量(Mw、PP換算)は各々20,500および22,400であり、Mw/Mnは1.09であった。
【0470】
実施例25
実施例23で重合時間を5時間に延長した他は同様にして、ポリプロピレン(PP)を180mg得た。得られたPPの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々28,500および31,600であり、Mw/Mnは1.11であった。このポリマーの融点をDSCで測定したところ、139℃であった。
【0471】
実施例26
実施例23においてチタン化合物(1)に代えてチタン化合物(6)を用い、重合時間を5時間に延長したこと以外は実施例23と同様にして、ポリプロピレン(PP)を37.6mg得た。得られたPPの数平均分子量(Mn、PP換算)および重量平均分子量(Mw、PP換算)は各々52,000および66,200であり、Mw/Mnは1.27であった。
【0472】
実施例27
十分に窒素置換したステンレス製1リットルのオートクレーブに、ヘプタン380mlを装入し、25℃にしてプロピレンで気相と液相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、チタン化合物(1)を0.01mmol加え、プロピレン圧力5kg/cm
2Gにて3時間重合を行った。
【0473】
得られたポリマー懸濁液に少量の塩酸を含む1.5リットルのメタノールを加えてポリマーを析出させ、グラスフィルターでろ過し、溶媒を除いた後メタノールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリプロピレンは0.691gであり、GPC測定によるMn(PP換算)は78,000であり、Mw/Mnは1.15であり、Tmは134.8℃であった。
【0474】
実施例28
重合時間を5時間にした以外は、上記と同様に重合を行った。得られたポリプロピレンは1.125gであり、GPC測定によるMn(PP換算)は138,000であり、Mw/Mnは1.11であり、Tmは130.5℃であった。
【0475】
実施例29
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、攪拌下、エチレンおよびブテンの混合ガス(エチレン:40リットル/hおよびブテン:60リットル/h)を20分間吹き込んだ。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.001mmol加え重合を開始した。混合ガスを吹き込みながら25℃で5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、少量の塩酸を溶解させたメタノールに反応物を投入してポリマーを析出後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを130℃で10時間減圧乾燥し、エチレン/ブテン共重合体を0.056g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は0.67kgであった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は49,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であり、ブテン含量は8.4モル%であった。
【0476】
実施例30〜33
エチレンおよびブテン流量、重合時間、重合温度を表2に記載のように変えたこと以外は、実施例29と同様にして重合を行った。重合活性および得られたポリマーの分子量、分子量分布を表2に示す。
【0477】
【表2】
実施例34
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン200mlを装入し、1−ブテンを100l/hで40分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いてチタン化合物(1)を0.05mmol添加すると共に、エチレンと1−ブテンの混合ガス(エチレン:20リットル/h、1−ブテン:80リットル/h)に切り替え、60分間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5Lに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合ポリマー1.79gを得た。GPC分析の結果数平均分子量は2.90万であり、Mw/Mnは1.15(ポリエチレン換算)であった。また、IR分析より1−ブテン導入量は22.8モル%であった。
【0478】
実施例35
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン200mlを装入し、1−ブテンを100リットル/hで40分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いて触媒を0.05mmol添加すると共に、エチレンと1−ブテンの混合ガス(エチレン:40リットル/h、1−ブテン:60リットル/h)に切り替え、30分間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5リットルに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合ポリマー5.15gを得た。GPC分析の結果数平均分子量は7.30万であり、Mw/Mnは1.16(ポリエチレン換算)であった。また、IR分析より1−ブテン導入量14.5モル%であった。
【0479】
実施例36
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン200mlを装入し、1−ブテンを100リットル/hで40分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いて触媒を0.05mmol添加すると共に、エチレンと1−ブテンとの混合ガス(エチレン:60リットル/h、1−ブテン:40リットル/h)に切り替え、10分間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5リットルに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、エチレン・1−ブテン共重合ポリマー2.38gを得た。GPC分析の結果数平均分子量は3.88万であり、Mw/Mnは1.18(ポリエチレン換算)であった。また、IR分析より1−ブテン導入量11.3モル%であった。
【0480】
実施例37
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン200mlおよび1−ヘキセン50mlを装入し、攪拌しながら液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.0025mmol加え重合を開始した。エチレンを吹き込みながら25℃で5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、少量の塩酸を溶解させたメタノールに反応物を投入してポリマーを析出後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを130℃で10時間減圧乾燥し、エチレン・ヘキセン共重合体を0.304g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は1.46kgであった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は95,600であり、Mw/Mnは1.17であり、ヘキセン含量は2.7モル%であった。
【0481】
実施例38
チタン化合物(1)を0.001mmol、トルエンを225ml、1−ヘキセンを25mlに変更したほかは実施例37と同様に行った。エチレン・ヘキセン共重合体を0.241g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は2.89kgであった。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は152,000であり、Mw/Mnは1.22であり、ヘキセン含量は1.7モル%であった。
【0482】
参考例39
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを入れ、一旦液相および気相をエチレンで飽和し、次いで気相のみを窒素置換した。メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.01mmolを加え重合を開始した。25℃で5分間反応させた後、少量のメタノールを加えて反応を停止した。塩酸および大量のメタノールを加えてポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、減圧乾燥してポリエチレン(PE)を0.800g得た。得られたポリエチレンの数平均分子量(Mn、PP換算)は115,000であり、Mw/Mnは1.10であった。ポリマー収量から換算すると系内のエチレンは定量的に消費されていた。
【0483】
参考例40
参考例39において、エチレンを25℃で5分間反応させ完全に消費した後に、プロピレンガス(30リットル/h)を吹き込みながら20分間反応させ、プロピレンを遮断してさらに280分間反応させた。少量のメタノールを加えて反応を停止し、少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えてポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリマーを1.135g得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は136,000であり、Mw/Mnは1.15であり、プロピレン含量は14.6モル%であった。
【0484】
参考例39で製造したポリエチレンプレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中にプロピレンが取り込まれていることから、ポリエチレン−ポリプロピレンジブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。
【0485】
参考例41
参考例39において、エチレンを25℃で5分間反応させた後に、エチレンガス(25リットル/h)およびプロピレンガス(75リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、混合ガスを遮断してさらに3分間反応させた。少量のメタノールを加えて反応を停止し、少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えてポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリマー1.700gを得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は211,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であり、プロピレン含量は6.4モル%であった。
【0486】
参考例39で製造したポリエチレンプレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中にプロピレンが取り込まれていることから、ポリエチレン−エチレン・プロピレンジブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。分子量および全ポリマー中のプロピレン含量から計算した第二ブロック成分(エチレン・プロピレン共重合体部分)のプロピレン含量は14.6モル%であった。
【0487】
参考例42
参考例39において、エチレンを25℃で5分間反応させた後に、エチレンガス(25リットル/h)およびプロピレンガス(75リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、混合ガスを遮断してさらに3分間反応させた。続けてプロピレン(30リットル/h)を20分間吹き込みながら反応させ、プロピレンを遮断してさらに280分間反応させた。少量のメタノールを加えて反応を停止し、少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えてポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリマーを1.814g得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は235,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であり、プロピレン含量は14.1モル%であった。
【0488】
参考例41で製造したポリエチレン−エチレン・プロピレンジブロック共重合体プレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中のプロピレン含量が増加していることから、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体−ポリプロピレンブロックトリブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。またプロピレン含量の増加は、本実施例で導入された第3ブロック成分がポリプロピレンであると仮定した計算値と一致した。
【0489】
参考例43
参考例39において、エチレンを25℃で5分間反応させた後に、エチレンガス(25リットル/h)およびプロピレンガス(75リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、混合ガスを遮断してさらに3分間反応させた。続けてエチレンガス(100リットル/h)を吹き込みながら1分間反応させ、少量のメタノールを加えて反応を停止した。少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えて攪拌し、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリエチレン−エチレン/プロピレン共重合体−LLDPEブロックポリマーを1.998g得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は272,000であり、Mw/Mnは1.13であり、プロピレン含量は6.6モル%であった。
【0490】
参考例41で製造したポリエチレン−エチレン・プロピレンジブロック共重合体プレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中のエチレン含量が増加していることから、ポリエチレン−エチレン・プロピレン共重合体−LLDPEトリブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。分子量および全ポリマー中のプロピレン含量から計算した第三ブロック成分(LLDPE部分)のプロピレン含量は7.3モル%であった。
【0491】
参考例44
参考例39において、触媒量を0.02mmolに変更したほかは同様にして重合を行った。ポリエチレン(PE)を0.800g得た。選られたポリエチレンの数平均分子量(Mn、PP換算)は78,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。
さらにこの例においてエチレンを25℃で5分間反応させた後に、エチレンガス(20リットル/h)およびブテンガス(80リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、混合ガスを遮断してさらに3分間反応させた。少量のメタノールを加えて反応を停止し、少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えて攪拌し、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリエチレン−エチレン/ブテン共重合体ブロックポリマーを1.416g得た。ポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は120,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。全ポリマー中のブテン含量は1.9モル%であった。
【0492】
参考例39で製造したポリエチレンプレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中にブテンが取り込まれていることから、ポリエチレン−LLDPEジブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。分子量及び全ポリマー中のブテン含量から計算した第二ブロック成分(LLDPE部分)のブテン含量は5.6モル%であった。
【0493】
参考例45
参考例39において、エチレンを25℃で5分間反応させた後に、エチレンガス(20リットル/h)およびブテンガス(80リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、混合ガスを遮断してさらに3分間反応させた。続けてエチレンガス(100リットル/h)を吹き込みながら1分間反応させ、少量のメタノールを加えて反応を停止した。少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えて攪拌し、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて10時間減圧乾燥してポリエチレン−LLDPE−HDPEブロックポリマーを1.921g得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn、PP換算)は141,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。全ポリマー中のブテン含量は2.0モル%であった。
【0494】
参考例44で製造したポリエチレン−LLDPEジブロック共重合体プレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中のエチレン含量が変化していることから、ポリエチレン−LLDPE−HDPEトリブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。分子量及び全ポリマー中のブテン含量から計算した第三ブロック成分(HDPE部分)のブテン含量は2.6モル%であった。
【0495】
実施例46
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを入れ、25℃にて液相および気相をプロピレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、引き続き、チタン化合物(1)を0.01mmol加え重合を開始した。25℃にて180分間反応させた後に少量のメタノールを加えて反応を停止した。少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えて攪拌し、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、130℃にて8時間減圧乾燥してポリプロピレンを0.100g得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn、PP換算)は17,200であり、Mw/Mnは1.15であった。
【0496】
参考例47
実施例46において、プロピレンを180分間反応させた後、さらにエチレンガス(20リットル/h)を吹き込みながら3分間反応させ、少量のメタノールを加えて反応を停止した。少量の塩酸を含むメタノール1リットルに反応物を加えて攪拌し、ポリマーを析出させた。ポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、減圧乾燥してポリプロピレン−エチレン・プロピレン共重合体ブロックポリマーを0.481g得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn、PP換算)は99,000であり、Mw/Mnは1.06であり、エチレン含量は70.9モル%であった。
【0497】
実施例46で製造したポリプロピレンプレポリマーと比較して、分子量分布が狭いまま分子量が増大し、ポリマー中にエチレンが取り込まれていることから、ポリプロピレン−エチレン・プロピレンジブロック共重合体が定量的に生成していることが確認できた。分子量および全ポリマー中のプロピレン含量から計算した第二ブロック成分(エチレン・プロピレン共重合体部分)のエチレン含量は18.4モル%であった。
【0498】
参考例48
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに、トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hrで流通させて系内を飽和させた。次いでメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、さらにチタン化合物(1)を0.02mmol加えて室温(24℃)で重合を開始した。5時間重合させた後、プロピレンの供給を停止して、エチレンの供給を1.5リットル/hrで開始した。室温で40分間重合させた後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。得られた重合スラリーは全量をメタノール1.5リットル中に投入し、少量の塩酸を加えた後に濾過してポリマーを採取した。得られたポリマーはメタノールで洗浄した後、80℃にて10時間減圧乾燥した。乾燥後のポリマー収量は2.53gであった。このポリマーをGPCで測定した結果、数平均分子量は160,300であり、Mw/Mnは1.51であった。
【0499】
得られたポリマーのうち50mgを110℃でオルトジクロロベンゼン/重水素ベンゼンの混合溶媒(混合比は体積比で8/1)0.5mlに溶解させて、JEOL社製LA500型核磁気共鳴装置を用いて125.8MHzでプロトン完全デカップルモードで以下の条件によって測定した。
【0500】
Pulse angle 45°.Pulse repetition 5.5 sec.,Spectral width 22000Hz,Number of scans 16000,Temperature 120℃,Deta points 32K.
その結果、モノマー単位M
1をエチレン、モノマー単位M
2をプロピレンとした場合、[M
1]は59.7モル%であり、[M
2]は40.3モル%であり、[M
1・M
2]は43.4モル%であり、[M
1・M
1]は38.1モル%であり、[M
2・M
2]は18.6モル%であり、[M
1・M
2]/(2×[M
1]×[M
2])の値は0.90であり[M
1・M
2]
2/(4×[M
1・M
1]×[M
2・M
2])の値は0.66であった。
【0501】
また、n個連続するメチレンのnの分布は以下の通りであった。
[n=1]=37.87モル%、 [n=2]=14.59モル%、 [n=3]=9.96モル%、 [n=4]=6.94モル%、 [n=5]=7.41モル%、 [n≧6]=23.23モル% n=3、5、6以上のメチレンは、それぞれ孤立したモノマー単位M
1、2つだけ連続したモノマー単位M
1、3つ以上連続したモノマー単位M
1が検出されていることを示している。
【0502】
参考例49
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hで20分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いてチタン化合物(1)を0.05mmol添加すると共に、エチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン:35リットル/h、プロピレン:65リットル/h)に切り替え、3分20秒間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5リットルに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、エチレン・プロピレン共重合ポリマー1.19gを得た。GPC分析の結果Mn=25,100であり、Mw/Mnは1.07であった。また、IR分析よりプロピレン導入量24.4モル%であった。
【0503】
参考例50
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hで20分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いてチタン化合物(1)を0.05mmol添加すると共に、エチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン:35リットル/h、プロピレン:65リットル/h)に切り替え、3分20秒間攪拌した後、組成の異なるエチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン:60リットル/h、プロピレン:40リットル/h)に切り替え、さらに1分50秒間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5リットルに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、A−Bジブロック共重合体2.29gを得た。GPC分析の結果、数平均分子量は40,600であり、Mw/Mnは1.09であった。また、IR分析よりプロピレン導入量23.1モル%であった。
【0504】
参考例51
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hで20分間流通した後、重合温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いてチタン化合物(1)を0.05mmol添加すると共に、エチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン:35リットル/h、プロピレン:65リットル/h)に切り替え、3分20秒間攪拌した後、組成の異なる(エチレン:60リットル/h、プロピレン:40リットル/h)に切り替え、さらに1分50秒間攪拌した後、エチレンガス100リットル/hに切り替え更に1分10秒間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合液をメタノール1.5リットルに注ぎ、ポリマーを析出させた後1晩マグネチックスターラーで攪拌した。ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、80℃で10時間乾燥し、A−B−Cトリブロック共重合体3.79gを得た。GPC分析の結果、数平均分子量は59,000であり、Mw/Mnは1.11であった。また、IR分析よりプロピレン導入量19.5モル%であった。
【0505】
参考例52
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(2)を0.0002mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、50℃で2分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物に少量の塩酸および大量のメタノールを加えてポリマーを全量析出後、濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.213g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は3.20kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々73,300および79,900であり、Mw/Mnは1.08であった。
【0506】
参考例53
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、攪拌下、エチレン100リットル/hおよび水素5リットル/hを10分間吹き込んだ。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(2)を0.0002mmol加え重合を開始した。エチレンおよび水素を吹き込みながら、50℃で2分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物に少量の塩酸および大量のメタノールを加えてポリマーを全量析出後、濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.195g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は2.93kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々59,500および69,700であり、Mw/Mnは1.17であった。
【0507】
参考例54〜58
触媒量、水素流量、重合時間を表3に記載のように変えたこと以外は参考例53と同様にして重合を行った。重合活性および得られたポリマーの分子量、分子量分布を表3に示す。水素の添加量を増やすと分子量が低下すること、重合時間を延長しても生成するポリマーの分子量がほとんど増加しないことから水素が連鎖移動剤として作用していることが確認された。また重合時間を延長した場合でもその重合活性が低下していないことから、連鎖移動反応によって生成した活性種によってさらに重合が進行していることも確認された。
【0508】
【表3】
参考例59
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、ジエチル亜鉛0.08mmol、引き続き、チタン化合物(2)を0.002mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、50℃で2分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物に少量の塩酸および大量のメタノールを加えてポリマーを全量析出後、濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.209g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は3.14kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々51,500および70,300であり、Mw/Mnは1.37であった。
【0509】
参考例60〜62
ジエチル亜鉛の量、重合時間を表4に記載したように変更したこと以外は参考例59と同様にして重合を行った。重合活性および得られたポリマーの分子量、分子量分布を表4に示す。
【0510】
亜鉛化合物の添加量を増やすと分子量が低下すること、重合時間を延長しても生成するポリマーの分子量がほとんど増加しないことから亜鉛化合物が連鎖移動剤として作用していることが確認された。また重合時間を延長した場合でもその重合活性が低下していないことから、連鎖移動反応によって生成した活性種によってさらに重合が進行していることも確認された。
【0511】
【表4】
参考例63
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、チタン化合物(3)を0.002mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、50℃で10分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物に少量の塩酸および大量のメタノールを加えてポリマーを析出後、ろ過してメタノールで洗浄した。ポリマーを80℃で10時間減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.247g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は0.74kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々88,500および98,800であり、Mw/Mn=1.12であった。
【0512】
参考例64
参考例63において、チタン化合物(3)を0.001mmol、重合時間を15分に変更したほかは同様にして重合を行ない、ポリエチレン(PE)を0.161g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は0.64kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々145,000および167,000であり、Mw/Mn=1.15であった。
【0513】
比較例1
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、ジルコノセンジクロライドを0.0005mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、25℃で0.5分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物に少量の塩酸および大量のメタノールを投入してポリマーを全量析出後、グラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を0.229g得た。ジルコニウム1mmol当たりの重合活性は55.0kgであった。得られたPEの数平均分子量は114,000であり、Mw/Mnは1.99であった。
【0514】
比較例2
比較例1において、重合時間を1分間に変更したほかは同様にして重合を行った。ポリエチレン(PE)を0.433g得た。ジルコニウム1mmol当たりの重合活性は52.0kgであった。得られたPEの数平均分子量は136,000であり、Mw/Mnは2.26であった。
【0515】
比較例3
比較例1において、ジルコニウム化合物の代わりにチタン化合物(9)を0.00025mmol、重合時間を1分に変更したほかは同様に重合を行ない、ポリエチレン(PE)を0.253g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は60.7kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々184,000および370,000であり、Mw/Mn=2.01であった。
【0516】
比較例4
比較例1において、ジルコニウム化合物の代わりにチタン化合物(10)を0.0005mmol、重合時間を1分に変更したほかは同様に重合を行ない、ポリエチレン(PE)を0.267g得た。チタン1mmol当たりの重合活性は32.0kgであった。得られたPEの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は各々129,000および229,000であり、Mw/Mn=1.78であった。
【0517】
比較例5
充分に窒素置換した内容積100mlの反応器にトルエン50mlを装入し、0℃に冷却して液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.0125mmol、続けてハフニウム化合物(11)を0.0125mmol加えて重合を開始した。常圧のエチレン雰囲気下、0℃で1分間反応させた後に少量のメタノールを加えて重合を停止した。反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを析出させ、ろ過した後にメタノールで洗浄した。80℃で10時間減圧乾燥してポリエチレン(PE)を0.290g得た。得られたPEの数平均分子量(Mn)は132,400であり、Mw/Mn=1.85であった。
【0518】
比較例6
参考例5において、ハフニウム化合物(12)およびジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.005mmol、重合温度を50℃に変更したほかは同様に重合を行なった。ポリエチレン(PE)を0.148g得た。得られたPEの数平均分子量(Mn)は98,800であり、Mw/Mn=1.91であった。
錯体構造パラメーター計算例
【0519】
【化53】
各触媒のH
B−Z間距離(r(H
B−Z))および静電相互作用エネルギー(ES(H
B−Z))
【0520】
【表5】